JP2010503634A - エナミンの光学分割を含むピリド[2,1−a]イソキノリン誘導体の製造方法 - Google Patents

エナミンの光学分割を含むピリド[2,1−a]イソキノリン誘導体の製造方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、光学活性分割剤の存在下で、式(II)(式中、Rは、低級アルキルである)で示されるエナミンを光学分割して、式(III)(式中、RCO は、分割剤の共役塩基である)で示される(S)−エナミン塩を形成させることを含む、式(I)(式中、R、R、R及びRは、本明細書に定義されたとおりである)で示されるピリド[2,1−a]イソキノリン誘導体の製造方法に関する。

Description

本発明は、DPP IVに関連する疾患の治療及び/又は予防に有用な式I:
Figure 2010503634
(式中、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、低級アルキル、低級アルコキシ及び低級アルケニルからなる群から選択され、ここで、低級アルキル、低級アルコキシ及び低級アルケニルは、場合により、低級アルコキシカルボニル、アリール及びヘテロシクリルからなる基により置換されていてもよい)
で示されるピリド[2,1−a]イソキノリン誘導体、及びその薬学的に許容され得る塩の製造方法に関する。
式Iで示されるピリド[2,1−a]イソキノリン誘導体は、PCT国際特許出願公報WO2005/000848に開示されている。
式Iで示される化合物の合成における主な作業は、ピリド[2,1−a]イソキノリン部分にキラル中心を導入することであるが、この作業には、PCT国際特許出願公報WO2005/000848による現行の合成では、後期段階にキラルHPLCによるラセミ体分離が含まれる。しかし、そのような方法は、技術的規模で管理することが困難である。それゆえ、解決されるべき課題は、その方法の初期段階で所望の光学異性体を得ることが可能で、より高い収率を与え、技術的規模で実施することができる別の適切な方法を見出すことであった。
以下に概説される本発明の方法により、その課題が解決され得ることが見出された。
他に断りがなければ、以下の定義が、本明細書内の発明を記載するのに用いられる様々な用語の意義及び範囲を例示及び定義するために示される。
用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素を指し、フッ素、臭素及び塩素が、好ましい。
単独又は他の基と一緒に用いられる用語「アルキル」は、炭素原子1〜20個、好ましくは炭素原子1〜16個、より好ましくは炭素原子1〜10個の分枝鎖又は直鎖一価飽和脂肪族炭化水素基を指す。
本明細書において、用語「低級」は、炭素原子1〜6個、好ましくは1〜4個からなる基を意味するために用いられる。
つまり、単独又は他の基と一緒に用いられる用語「低級アルキル」は、炭素原子1〜6個、好ましくは炭素原子1〜4個の分枝鎖又は直鎖一価アルキル基を指す。この用語は、更に、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、イソブチル、t−ブチル、n−ペンチル、3−メチルブチル、n−ヘキシル、2−エチルブチルなどの基を例とする。好ましい低級アルキル残基は、メチル及びエチルであり、メチルが、特に好ましい。
本明細書で用いられる用語「アルケニル」は、炭素原子を1〜6個、好ましくは炭素原子を2〜4個有し、オレフィン性二重結合を1又は2個、好ましくはオレフィン性二重結合を1個有する非置換又は置換された炭化水素鎖基を示す。例は、ビニル、1−プロペニル、2−プロペニル(アリル)又は2−ブテニル(クロチル)である。
用語「アルコキシ」は、基:R’−O−(式中、R’は、アルキルである)を指す。用語「低級アルコキシ」は、R’が、先に定義された低級アルキル基である、基:R’−O−を指す。低級アルコキシ基の例は、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ及びヘキシルオキシであり、メトキシが、特に好ましい。
用語「低級アルコキシカルボニル」は、基:R’−O−C(O)−(式中、R’は、先に定義された低級アルキル基である)を指す。
用語「アリール」は、場合により、独立して、低級アルキル、低級アルコキシ、ハロゲン、シアノ、アジド、アミノ、ジ−低級アルキルアミノ又はヒドロキシにより一置換、二置換又は三置換されていてもよい、芳香族一価単環式炭素環又は多環式炭素環基、例えば、フェニル又はナフチル、好ましくはフェニルを指す。
用語「ヘテロシクリル」は、場合により更なる窒素又は酸素原子を含んでいてもよい、5又は6員芳香族又は飽和N−複素環残基、例えば、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、ピリジル、ピリミジル、モルホリノ、ピペラジノ、ピペリジノ又はピロリジノ、好ましくはピリジル、チアゾリル又はモルホリノを指す。そのような複素環は、場合により、独立して、低級アルキル、低級アルコキシ、ハロゲン、シアノ、アジド、アミノ、ジ−低級アルキルアミノ又はヒドロキシにより一置換、二置換又は三置換されていてもよい。好ましい置換基は、低級アルキルであり、メチルが好ましい。
用語「薬学的に許容され得る塩」は、生命有機体にとって非毒性である、式Iで示される化合物と、無機酸又は有機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸、クエン酸、ギ酸、マレイン酸、酢酸、フマル酸、コハク酸、酒石酸、メタンスルホン酸、サリチル酸、p−トルエンスルホン酸など)との塩を包含する。酸での好ましい塩は、ギ酸塩、マレイン酸塩、クエン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩及びメタンスルホン酸塩であり、塩酸塩が特に好ましい。
詳細には、式I:
Figure 2010503634
(式中、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、低級アルキル、低級アルコキシ及び低級アルケニルからなる群から選択され、ここで、低級アルキル、低級アルコキシ及び低級アルケニルは、場合により、低級アルコキシカルボニル、アリール及びヘテロシクリルから選択される基により置換されていてもよい)
で示されるピリド[2,1−a]イソキノリン誘導体の製造方法は、工程a)、b)、c)又はd)の1つ以上を含み、ここで、
工程a)は、光学活性分割剤の存在下で、式II:
Figure 2010503634
(式中、R、R及びRは、先に定義されたとおりであり、Rは、低級アルキル又はベンジルである)で示されるエナミンを光学分割して、式III:
Figure 2010503634
(式中、R、R、R及びRは、先に定義されたとおりであり、RCO は、分割剤の共役塩基である)で示される(S)−エナミン塩を形成させることを含み;
工程b)は、式IIIで示される(S)−エナミン塩を式IV:
Figure 2010503634
(式中、R、R、R及びRは、先のとおりであり、Protは、アミノ保護基を表す)で示されるエステルに転換することを含み;
工程c)は、式IVで示されるエステルをアミド化して、式V:
Figure 2010503634
(式中、R、R、R及びProtは、先に定義されたとおりである)で示されるアミドを形成させることを含み;
工程d)は、式Vで示されるアミドを分解して、式VI:
Figure 2010503634
(式中、R、R、R及びProtは、先に定義されたとおりである)で示されるアミンを形成させることを含む。
一実施形態において、本発明の方法は、先に定義された工程a)を含む。
別の実施形態において、本発明の方法は、工程a)と、続いて先に定義された工程b)を含む。
本発明の更に別の実施形態において、該方法は、工程a)〜工程d)を一緒に含む。
更なる実施形態において、本発明は、工程b)及びc)が、中間体:IVの単離を行わずに実施される、式Iで示されるピリド[2,1−a]イソキノリン誘導体の製造方法に関する。
好ましくは、Rは、低級アルキルである。より好ましくは、Rは、メチル、エチル又はイソプロピルである。最も好ましくは、Rは、エチルである。
好ましくは、R、R及びRは、独立して、水素、低級アルキル及び低級アルコキシから選択される。特に好ましいのは、R及びRが、低級アルコキシであり、Rが、水素である、化合物である。
工程a)は、光学活性分割剤の存在下で、式II:
Figure 2010503634
(式中、R、R及びRは、先に定義されたとおりであり、Rは、低級アルキル又はベンジルである)で示されるエナミンを光学分割して、式III:
Figure 2010503634
(式中、R、R、R及びRは、先に定義されたとおりであり、RCO は、分割剤の共役塩基である)で示される(S)−エナミン塩を形成させることを含む。
式IIで示されるエナミンは、以下のスキーム1により、市販の前駆体から合成することができる。
Figure 2010503634
式:R−COHで示される適切な分割剤は、式VII:
Figure 2010503634
[式中、
は、
非置換フェニル、
低級アルキル、低級アルコキシ及びハロゲンから独立して選択される基1、2、又は3個により置換されたフェニル、
低級アルキル、
ベンジル(ここで、フェニル環は、非置換であるか、又は低級アルキル、低級アルコキシ及びハロゲンから独立して選択される基1、2、又は3個により置換されている)、及び
−NH−フェニル(ここで、フェニル環は、非置換であるか、又は低級アルキル、低級アルコキシ及びハロゲンから独立して選択される基1、2、又は3個により置換されている)
からなる群から選択され;
は、ヒドロキシ、低級アルコキシ及び−NR(式中、R及びRは、互いに独立して、低級アルキルである)からなる群から選択される]
で示される酒石酸誘導体である。
好ましくは、Rは、非置換フェニル、置換されたフェニル(低級アルキル、低級アルコキシ及びハロゲンから独立して選択される基1、2、又は3個により置換された)、及び−NH−フェニル(ここで、フェニル環は、非置換であるか、又は低級アルキル、低級アルコキシ及びハロゲンから独立して選択される基1、2、又は3個により置換されている)からなる群から選択される。
より好ましくは、Rは、非置換フェニル又は置換されたフェニル(低級アルキル、低級アルコキシ及びハロゲンから独立して選択される基1、2、又は3個により置換された)である。
好ましくは、Rは、ヒドロキシ又は−N(CHである。より好ましくは、Rは、ヒドロキシである。
式VIIで示される好ましい化合物の例は、(+)−O,O’−ジベンゾイル−D−酒石酸、(+)−O,O’−ジベンゾイル−D−酒石酸モノジメチルアミド、(+)−O,O’−ジ−p−トルオイル−D−酒石酸、及び[S−(R,R)]−2,3−ビス[[(フェニルアミノ)カルボニル]オキシ]−ブタン二酸からなる群から選択される。
好ましい分割剤は、(+)−O,O’−ジベンゾイル−D−酒石酸である。
用語「分割剤の共役塩基」は、式VIIで示される上記の酸から選択される対応するアニオン、つまり式VIII:
Figure 2010503634
(式中、R及びRは、先に定義されたとおりである)
を有するアニオンを意味する。
工程a)による光学分割は、好ましくは、結晶誘導性動的光学分割(crystallization-induced dynamic optical resolution)(CIDR)の原理に従う。古典的な光学分解では、所望の異性体は結晶化し、望まない異性体は溶液中に残存する。所望の異性体の収率は、最大で50%にしかならない可能性がある。動的分割の概念は、溶解された望まない異性体の連続ラセミ化と、所望の異性体の連続結晶化に基づいている。つまり、所望の異性体の収率は、最大で100%に達する可能性がある。
光学分割又は結晶誘導性動的光学分割は、通常、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、トルエン又はそれらの混合物から選択される溶媒中で実施される。その選択は、分割剤による。
動的光学分割では、少なくとも1当量の分割剤が、完全な変換に必要である。
工程温度は、原則として、40℃〜還流温度の範囲内、好ましくは55℃〜65℃の範囲内に保持される。
(S)−エナミン塩の結晶は、ろ過及び乾燥により、反応混合物から分離することができる。
好ましい実施形態において、工程a)の光学分割は、Rが、メチル、エチル、イソプロピル又はベンジルであり、好ましくはRが、エチルである、式IIで示されるエナミンを用いて実施される。
式IIIで示される(S)−エナミン塩は、新規な化合物であり、したがって、本発明の更なる実施形態である。
好ましい式IIIで示される(S)−エナミン塩は、
(S)−2−アミノ−9,10−ジメトキシ−1,6,7,11b−テトラヒドロ−4H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−3−カルボン酸エチルエステル、(2S,3S)−ビス−ベンゾイルオキシ−コハク酸塩、
(S)−2−アミノ−9,10−ジメトキシ−1,6,7,11b−テトラヒドロ−4H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル、(2S,3S)−ビスベンゾイルオキシ−コハク酸塩、
(S)−2−アミノ−9,10−ジメトキシ−1,6,7,11b−テトラヒドロ−4H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−3−カルボン酸イソプロピルエステル、(2S,3S)−ビスベンゾイルオキシ−コハク酸塩、及び
(S)−2−アミノ−9,10−ジメトキシ−1,6,7,11b−テトラヒドロ−4H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−3−カルボン酸エチルエステル、(2S,3S)−ビス−ベンジルオキシ−N,N−ジメチル−スクシンアミド酸塩
である。
工程b)は、式IIIで示される(S)−エナミン塩を酸性条件下でヒドリド還元し、続いてアミノ保護基を導入することにより、式IV:
Figure 2010503634
(式中、R、R、R及びRは、先に定義されたとおりであり、Protは、アミノ保護基を表す)で示されるエステルに転換することを含む。
この転換により、式IVで示される立体異性体が、高い選択率で生成される。
ヒドリド還元は、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素リチウム及びシアノ水素化ホウ素ナトリウムから選択される還元剤を用いて実施され、好ましくは還元剤は、水素化ホウ素ナトリウムである。
原則として、適切な酸(例えば、トリフルオロ酢酸、モノ−、ジ−もしくはトリクロロ酢酸、又は酢酸)及び有機溶媒(例えば、テトラヒドロフラン(THF)又はメチルテトラヒドロフラン(MeTHF))に懸濁させた式IIIで示される(S)−エナミン塩を、還元剤と適切な溶媒との混合物に添加する。
(S)−エナミンを、有機溶媒中の水素化ホウ素ナトリウムとトリフルオロ酢酸との混合物に添加することもできる。
反応温度は、原則として、−40℃〜30℃の範囲内、好ましくは−20℃〜25℃の範囲内に保持される。
当業者に公知の後処理により、例えば、適切な有機溶媒による塩基性化反応混合物の抽出、一般的な洗浄手順、及び最終的な溶媒除去により、遊離アミンを分離することができる。
アミノ保護基の導入は、当業者に周知の手順に従って実行することができる。
用語「アミノ保護基」又は「Prot」は、アミノ基の反応性を遮断するために従来から用いられる任意の置換基を指す。適切なアミノ保護基及びその導入法は、Green T., "Protective Groups in Organic Synthesis", Chapter 7, Jhon Wiley and Sons, Inc., 1991, 309-385に記載されている。適切なアミノ保護基は、トリクロロエトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、クロロアセチル、トリフルオロアセチル、フェニルアセチル、ホルミル、アセチル、ベンゾイル、tert−ブトキシカルボニル(BOC)、パラメトキシベンジルオキシカルボニル、ジフェニルメトキシカルボニル、フタロイル、スクシニル、ベンジル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル(トリチル)、メタンスルホニル、パラトルエンスルホニル、ピバロイル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリフェニルシリルなどであり、そのうち、tert−ブトキシカルボニル(Boc)が、好ましい。
好ましい実施形態において、工程b)は、R及びRが、メトキシであり、Rが、水素であり、R及びProtが、先に定義されたとおりである、エステル:IVの製造を含む。
より好ましくは、工程b)は、Rが、エチルであり、R及びRが、メトキシであり、Rが、水素であり、Protが、Bocである、エステル:IVの製造を含む。
式IVで示されるエステルは、新規な化合物であり、したがって、本発明の更なる実施形態である。
好ましい式IVで示されるエステルは、
(2S,3S,11bS)−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−9,10−ジメトキシ−1,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−2H−ピリド[2,1−a]イソキノリン]−3−カルボン酸エチルエステル、及び
(2S,3S,11bS)−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−9,10−ジメトキシ−1,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−2H−ピリド[2,1−a]イソキノリン]−3−カルボン酸メチルエステル
である。
工程c)は、式IVで示されるエステルをアミド化して、式V:
Figure 2010503634
(式中、R、R、R及びProtは、先に定義されたとおりである)で示されるアミドを形成させることを含む。
アミド化は、通常、適切なアミド化剤(例えば、ホルムアミド/ナトリウムメトキシド(NaOMe)、ホルムアミド/ナトリウムエトキシド(NaOEt)、アセトアミド/ナトリウムメトキシド又はアセトアミド/ナトリウムエトキシド)を用いて実施される。
その反応は、有機溶媒(例えば、THF、MeTHF、メタノール、DMF、ジオキサン)中、10℃〜70℃、好ましくは20℃〜45℃の温度で実行することができる。
好ましい実施形態において、工程c)は、R及びRが、メトキシであり、Rが、水素であり、Protが、先に定義されたアミノ保護基である、アミド:Vの製造を含む。
好ましい実施形態において、工程c)は、R及びRが、メトキシであり、Rが、水素であり、Protが、Bocである、アミド:Vの製造を含む。
工程d)は、式Vで示されるアミドを分解して、式VI:
Figure 2010503634
(式中、R、R、R及びProtは、先のとおりである)で示されるアミンを形成させることを含む。
工程d)における式Vで示されるアミドの分解は、PIDA(ヨードソベンゼンジアセタート)、PIFA(ヨードソベンゼンビストリフルオロアセタート)又はヨードソベンゼンビストリクロロアセタートから選択される酸化剤を用いて、Hofmann分解の原理により実施される。好ましい酸化剤は、PIDA(ヨードソベンゼンジアセタート)及びPIFA(ヨードソベンゼンビストリフルオロアセタート)である。
通常、その反応は、適切な溶媒(例えば、THF、アセトニトリル、水、又はそれらの混合物)中、過剰の塩基(例えば、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム)の存在下で、0℃〜70℃、好ましくは10℃〜30℃の範囲内の反応温度で実施される。
式Vで示されるアミドの後処理及び単離は、当業者に公知の方法により実施することができる。
好ましい実施形態において、工程d)は、R及びRが、メトキシであり、Rが、水素であり、Protが、先に定義されたアミノ保護基である、アミン:VIの製造を含む。
より好ましくは、工程d)は、R及びRが、メトキシであり、Rが、水素であり、Protが、Bocである、アミン:VIの製造を含む。
更なる実施形態において、本発明は、式VIで示されるアミンの製造に関する。この化合物は、PCT国際特許出願WO2005/000848に開示されたDPP−IV阻害剤を製造するための有用な中間体である。より好ましくは、本発明は、(2S,3S,11bS)−(3−アミノ−9,10−ジメトキシ−1,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−2H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル)]−3−カルバミン酸tert−ブチルエステルの製造方法に関する。
更なる工程
更に別の実施形態(以下のスキーム2)によれば、(S)−4−フルオロメチルジヒドロフラン−2−オン(VII)が、アミノピリド[2,1−a]イソキノリン誘導体(VI)と直接カップリングして、ピリド[2,1−a]イソキノリン(VIII)のヒドロキシメチル誘導体を形成し、その後、引き続きフルオロメチルピロリジン−2−オン誘導体(IX)に環化される。後者を脱保護して、所望のピリド[2,1−a]イソキノリン誘導体(I)を得ることができる。
Figure 2010503634
更に好ましい実施形態において、(S)−1−((2S,3S,11bS)−2−アミノ−9,10−ジメトキシ−1,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−2H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−3−イル)−4−フルオロメチルピロリジン−2−オン又はその薬学的に許容され得る塩の製造方法は、次の工程:
e)(2S,3S,11bS)−3−アミノ−9,10−ジメトキシ−1,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−2H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル(R及びRが、メトキシであり、Rが、水素であり、Protが、Bocである、式VIで示されるアミン)を、式VII:
Figure 2010503634
で示される(S)−4−フルオロメチルジヒドロフラン−2−オンとカップリングする工程、
f)塩基の存在下で、得られた(2S,3S,11bS)−3−(3−フルオロメチル−4−ヒドロキシブチリルアミノ)−9,10−ジメトキシ−1,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−2H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル]−カルバミン酸tert−ブチルエステルを環化する工程、及び
g)得られた(2S,3S,11bS)−3−((4S)−フルオロメチル−2−オキソピロリジン−1−イル)−9,10−ジメトキシ−1,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−2H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル]−カルバミン酸tert−ブチルエステルを脱保護する工程、
を含む。
PCT国際特許出願WO2005/000848に開示された式(II)で示されるピリド[2,1−a]イソキノリン誘導体は、DPP−IVに関連する疾患、例えば糖尿病、特に非インスリン依存性糖尿病、及び/又は耐糖能障害に加え、DPP−IVにより正常に不活性化されるペプチドの作用を増幅させることが治療的利益を与える他の状態の治療及び/又は予防に有用である。驚いたことに、本発明の化合物は、肥満、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、及び/もしくは代謝症候群の治療及び/もしくは予防、又はβ細胞の保護に用いることもできる。更に、本発明の化合物は、利尿薬として、そして高血圧の治療及び/又は予防に用いることができる。意外にも、本発明の化合物は、当該技術分野で公知の他のDPP−IV阻害剤に比較して、改善された治療及び薬理学的性質(例えば、薬物動態性及び生物学的利用度に関連して)を示す。
以下の実施例は、本発明を例示しており、限定するものではない。
Figure 2010503634
前駆体化合物の合成
A1) (±)−1−(3−イソプロポキシカルボニル−2−オキソ−プロピル)−6,7−ジメトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリニウムクロリド(3c)の合成
Figure 2010503634
メカニカルスターラー、添加漏斗及びアルゴン入口/出口を装備した100−ml二首丸底フラスコ中に、1 5.0gを室温でヘプタン19ml中に懸濁した。2−PrOH 19mlを15分かけて加えて、撹拌を1時間続けた。メカニカルスターラー、添加漏斗及びアルゴン入口/出口を装備した200−ml四首丸底フラスコに、2−PrOH 56ml中の2 7.4g、NaOAc 268.0mg及びHO 1.9mlを仕込んだ。この混合物に、1.5時間かけて、あらかじめ調製したエマルションを加えて、1時間後、濃含水HCl 333μLを加えた。ヘプタン55mlを30分かけて加えた。黄色の懸濁液を2時間、室温で撹拌し、濾過して、2−PrOH 12ml及びヘプタン24ml(0℃に冷却した)で分割して洗浄した。溶媒の蒸発及び高真空下で乾燥を行って、オフホワイトの固体として3cを10.23g(84%)得た。
試薬として使用した式1の環状無水物を、次の通りに調製した:
無水酢酸2.13L及び酢酸3Lを、室温で反応容器に仕込んだ。溶液を8℃〜10℃に冷却して、1,3−アセトンジカルボン酸2kgを加えた。反応混合物を3時間8℃〜10℃で撹拌した。およそ1.5時間の反応時間後、溶液がほとんど得られて、その上に生成物の結晶化が始まった。8〜10℃で3時間の反応時間後、懸濁液を濾過した。結晶をトルエン4Lで洗浄して、一定重量になるまで45℃/10mbar〜20mbarで乾燥させて、環状無水物1が1.33kg(80%収率)得られた。
A2) (±)−1−(3−エトキシカルボニル−2−オキソ−プロピル)−6,7−ジメトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリニウムクロリド(3a)の合成
Figure 2010503634
環状無水物1 250gを反応容器に仕込み、続けてヘプタン925mLを仕込んだ。エタノール925mLを、20−25℃の間に温度を保持しながら、15分かけて懸濁液に加えた。1時間反応後、得られた溶液を、20−25℃の間に温度を保持しながら、1.5時間かけて、イミン塩酸塩2 370g、酢酸ナトリウム13.33g、エタノール2.77L及び水93mLからなる溶液に加えた。反応過程の間、生成物が結晶化し始めた。1.5時間反応後、37% HCl水溶液16.48mLを加えて、続けて30分かけてヘプタン2.75Lの添加をした。黄色の懸濁液を、2時間、室温で撹拌して、濾過した。フィルターケークを、エタノール599mL及びヘプタン1.2Lの冷(0℃)混合物で洗浄した。結晶を一定重量になるまで50℃、10mbarで乾燥させて、アミン塩酸塩3aが534g(88%収率、HPLC純度及び残留溶媒容量に対して補正した)得られた。
A3) (±)−1−(3−メトキシカルボニル−2−オキソ−プロピル)−6,7−ジメトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリニウムクロリドの合成
メカニカルスターラー、添加漏斗及びアルゴン入口/出口を装備した100−ml二首丸底フラスコ中に、1 5.0gを室温でヘプタン19ml中に懸濁した。MeOH 19mlを15分かけて加えて、撹拌を1時間続けた。メカニカルスターラー、添加漏斗及びアルゴン入口/出口を装備した200−ml四首丸底フラスコに、MeOH 56ml中の2 7.4g、NaOAc 268.0mg及びHO 1.9mlを仕込んだ。この混合物に、1.5時間かけて、あらかじめ調製したエマルションを加えて、1時間後、濃含水HCl 333μLを加えた。ヘプタン55mlを30分かけて加えた。黄色の懸濁液を2時間、室温で撹拌し、濾過して、MeOH 12ml及びヘプタン24ml(0℃に冷却した)で分割して洗浄した。溶媒の蒸発及び高真空下で乾燥を行って、オフホワイトの固体として3bを9.37g(84%)得た。
B1) (±)−2−アミノ−9,10−ジメトキシ−1,6,7,11b−テトラヒドロ−4H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル(4b)の合成
Figure 2010503634
メカニカルスターラー、添加漏斗及びアルゴン入口/出口を装備した100−ml二首丸底フラスコ中に、3b 6.0gを室温でMeOH 90ml中に懸濁して、NaOAc 1.44gを加えた。懸濁液を、全てが溶解するまで温めて、次に、MeOH 30ml及びホルムアルデヒド溶液1.4ml(MeOH/HO中13.3M)を含有する、メカニカルスターラー、温度計、添加漏斗、還流冷却器及びアルゴン入口/出口を装備した200−ml四首丸底フラスコに、30分かけて室温で加えた。3時間後、NHOAc 4.04gを加え、次に溶液を47℃に温めた。3時間後、揮発物を除去して、残留物をCHCl 50ml及びHO 25mlに溶解し、続けて飽和含水NaHCO 40mlをゆっくり添加した。有機相を分離して、ブラインで2回洗浄した。合わせた水相をCHCl 20mlで4回抽出し、有機相を回収して、MgSO上で乾燥させた。濾過及び溶媒の蒸発を行って、赤色の泡状物として粗4bを5.6g得た。
B2) (±)−2−アミノ−9,10−ジメトキシ−1,6,7,11b−テトラヒドロ−4H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−3−カルボン酸イソプロピルエステル(4c)の合成
Figure 2010503634
メカニカルスターラー、添加漏斗及びアルゴン入口/出口を装備した100−ml二首丸底フラスコ中に、3c 6.0gを室温でMeOH 90ml中に懸濁して、NaOAc 1.44gを加えた。得られた混合物を添加漏斗に移して、MeOH 30ml及びホルムアルデヒド溶液1.3ml(MeOH/HO中13.3M)を含有する、メカニカルスターラー、温度計、還流冷却器及びアルゴン入口/出口を装備した200−ml四首丸底フラスコに、0.5時間かけて室温で加えた。3時間後、NHOAc 3.73gを加えて、溶液を47℃に温めた。3時間後、揮発物を除去して、残留物をCHCl 50ml及びHO 25mlに溶解し、続けて飽和含水NaHCO 38mlをゆっくり添加した。有機相を分離して、ブラインで2回洗浄した。合わせた水相をCHCl 20mlで4回抽出した。合わせた有機相をMgSO上で乾燥させた。溶媒の除去及び高真空上で乾燥を行って、赤色の泡状物として4cを4.98g得て、それをさらに精製しないで使用した。
B3) (±)−2−アミノ−9,10−ジメトキシ−1,6,7,11b−テトラヒドロ−4H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−3−カルボン酸エチルエステル(4a)の合成
Figure 2010503634
アミン塩酸塩3a 480gを反応容器に仕込み、続けてメタノール7.2L及び酢酸ナトリウム108.9gを仕込んだ。得られた溶液を、25分間、20−22℃で温度を保持しながら、メタノール2.4L中36%含水ホルムアルデヒド106.6mLの溶液に加えた。2.5時間反応後、酢酸アンモニウム306.9gを加えて、反応混合物を45−50℃に加熱した。一晩撹拌後、溶液を濃化油に濃縮した。ジクロロメタン4.0Lを加え、続けて水2.0Lを加えた。10%含水NaHCO 3.0Lをゆっくり加えた。有機相を分離して、10%含水NaCl 3.0Lで洗浄した。水相を順次ジクロロメタン3.6Lで再抽出した。合わせた有機相を濃縮して、還流で、メタノール1.32L中で再溶解した。溶液を8時間かけて0℃に冷却して、8時間0℃で、そして5時間−25℃で撹拌して、その後、懸濁液を濾過した。フィルターケークを、全体で800mLの冷(−25℃)メタノール及び冷(−25℃)ヘプタン300mLで分割して洗浄した。結晶を45℃、3mbarで乾燥させて、エナミノエステル4aを365g(73%収率、HPLC純度及び残留溶媒に対して補正した)得た。
実施例1a
(+)−O,O’−ジベンゾイル−D−酒石酸を使用する(±)−エナミン1の光学分割に関する手順:(S)−2−アミノ−9,10−ジメトキシ−1,6,7,11b−テトラヒドロ−4H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−3−カルボン酸エチルエステル、(2S,3S)−ビス−ベンジルオキシ−コハク酸との塩(5a)
Figure 2010503634
古典的な分割:メカニカルスターラー、還流冷却器、温度計、及びアルゴン入口/出口を装備した500−ml四首フラスコに、ラセミエナミン4a(10.0g、30.1mmol)を仕込んで、EtOH/HO 9:1(125ml)を加えた。清澄な帯黄色の溶液が得られるとすぐに、混合物を50℃に加熱した。(+)−O,O’−ジベンゾイル−D−酒石酸(10.8g、30.1mmol)を一度に加えて、清澄な溶液を得た。2〜3分後、結晶化が始まった。混合物を放置して2.5時間かけて周囲温度にゆっくり冷却して、次にもう14時間撹拌した。懸濁液を濾過して、フィルターケークを0℃でEtOH/HO(15ml)で洗浄した。減圧下で乾燥後、(S)−エナミン塩5a(9.37g、45.1%収率、98.0% ee)を白色の結晶として得た。鏡像体過剰率を、キラルセルOD−Hカラムを使用してキラル固定相上のHPLCにより測定した。
融点=161℃
実施例1b
メカニカルスターラー、還流冷却器、Pt−100温度計及び窒素入口を装備した1.5L四首フラスコに、エナミン4a 85.0g(249mmol)及びエタノール300mlを仕込んだ。撹拌下、(+)−O,O’−ジベンゾイル−D−酒石酸95.7g(262mmol)を固体として加えて、添加漏斗を無水エタノール125mlですすいだ。白色の懸濁液を24時間60℃で撹拌し、次に、放置してゆっくり室温に冷却した。僅かに橙色の懸濁液を濾過し、完全な物質移動のためにその母液で洗浄し、次に全体として250mlのエタノールで数回の分割で洗浄した。結晶を45℃/10mbarで48時間乾燥させて、白色の粉末として生成物154.6g(90%収率;分析:97%;e.r.>99:1)を得た。
融点=161℃
実施例1c
(S)−2−アミノ−9,10−ジメトキシ−1,6,7,11b−テトラヒドロ−4H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル、(S),(S)−2,3−ビスベンゾイルオキシ−コハク酸(5b)の合成
Figure 2010503634
還流冷却器及びアルゴン入口/出口を装備した10−ml二首丸底フラスコ中に、メチルエステル4b 500mg及び(+)−O,O’−ジベンゾイル−D−酒石酸597mgを、室温でEtOH 3mlに溶解した。混合物を65℃油浴中で20時間撹拌した。得られた黄色の懸濁液を1時間かけて室温に冷却し、EtOH 5mlで希釈して、濾過した。結晶をEtOH 5mlで2回洗浄して、高真空下で乾燥させて、オフホワイトの固体として5bを643mg(91.6% ee)得た。
NMR(DMSO−d、400MHz):δ 8.00−7.95(m、4H);7.70−7.66(m、2H);7.57−7.53(m、4H)、6.81(s、1H);6.62(s、1H);5.73(s、2H);3.91−3.65(m、8H);3.60(s、3H);3.35−3.20(m、2H);3.15−3.03(m、1H);3.00−2.89(m、1H)、2.80−2.60(m、2H);2.40−2.28(m、1H);
実施例1d
(S)−2−アミノ−9,10−ジメトキシ−1,6,7,11b−テトラヒドロ−4H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−3−カルボン酸イソプロピルエステル、(S),(S)−2,3−ビスベンゾイルオキシ−コハク酸(5c)の合成
Figure 2010503634
還流冷却器及びアルゴン入口/出口を装備した10−ml二首丸底フラスコ中に、イソプロピルエステル4c 500mg及び(+)−O,O’−ジベンゾイル−D−酒石酸549mgを、室温でEtOH 3ml中に懸濁した。混合物を65℃油浴中で20時間撹拌した。得られた懸濁液を2時間かけて室温に冷却し、EtOH 5mlで希釈して、濾過した。固体をEtOH 5mlで2回洗浄し、高真空下で乾燥させて、オフホワイトの固体として5cを643mg(>99.5% ee)得た。
融点=156℃。
実施例2
ジベンゾイル−D−酒石酸モノジメチルアミドを使用する(±)−エナミン 1の光学分割に関する手順:(S)−2−アミノ−9,10−ジメトキシ−1,6,7,11b−テトラヒドロ−4H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−3−カルボン酸エチルエステル、(2S,3S)−ビス−ベンジルオキシ−N,N−ジメチル−スクシンアミド酸との塩(5d)
Figure 2010503634
メカニカルスターラー、還流冷却器、温度計、及びアルゴン入口/出口を装備した100−ml四首フラスコに、ラセミエナミン1(10.0g、30.1mmol)を仕込んで、EtOH(60ml)を加えた。混合物を50℃に加熱するとすぐに、清澄な溶液が得られた。(+)−ジベンゾイル−D−酒石酸モノジメチルアミド(11.5g、30.0mmol)を一度に加えて、清澄な帯黄色の溶液を得た。分割剤の添加の5分後、結晶化が50℃で始まった。混合物を放置して周囲温度にゆっくり冷却して、この温度でもう12時間撹拌した。懸濁液を濾過して、フィルターケークを0℃でEtOH(15ml)で洗浄した。減圧下で乾燥後、(S)−エナミン塩3(9.09g、42.1%収率、99.3% ee)を白色の結晶として得た。鏡像体過剰率を、キラルセルOD−Hカラムを使用してキラル固定相上のHPLCにより測定した。
融点=161℃
実施例3
(S)−2−アミノ−9,10−ジメトキシ−1,6,7,11b−テトラヒドロ−4H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−3−カルボン酸エチルエステル(5e)の調製に関する手順
Figure 2010503634
マグネチックスターラーを有する500−ml一首丸底フラスコに、(S)−エナミン酒石酸塩5a(18.6g、29.9mmol、99.0% ee)及びCHCl(180ml)を仕込んだ。水酸化ナトリウム溶液(1.0N、180ml)を加えて、混合物を室温で5分間撹拌した。混合物を分液漏斗に移して、水相をCHCl(180ml)で抽出した。NaSOでの乾燥、濾過及び溶媒の蒸発を行って、黄色の泡状物として所望の(S)−エナミン5e(8.77g、98%収率、99.0% ee)を得た。鏡像体過剰率を、キラルセルOD−Hカラムを使用してキラル固定相上のHPLCにより測定した。
実施例4
(2S,3S,11bS)−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−9,10−ジメトキシ−1,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−2H−ピリド[2,1−a]イソキノリン]−3−カルボン酸エチルエステル(6)の調製
Figure 2010503634
メカニカルスターラー、Pt−100温度計及び窒素入口を装備した1.5L四首フラスコに、酒石酸塩5a 250g(362mmol)及び乾燥THF 625mlを仕込んだ。0−5℃に冷却した−10℃予備冷却した懸濁液に、30分間、0−5℃で温度を維持しながら、トリフルオロ酢酸156ml(1.99mol)をゆっくり加えた。黄色の溶液を得て、それを0−5℃の温度で保持した。
メカニカルスターラー、Pt−100温度計、還流冷却器及び窒素入口を装備した第二の1.5L四首フラスコ中に、水素化ホウ素ナトリウム14.27g(362mmol)及び乾燥THF375mlを仕込んだ。得られた懸濁液を−10〜−20℃に冷却した。この懸濁液に、30分間、−10〜−20℃で温度を維持しながら、第一のフラスコから反応混合物をゆっくり加えた。最初に、添加では強い発熱があり、活発な水素発生が起こった。
添加後、反応混合物を、−5〜0℃で24時間撹拌した。還元の完了後、次に水1.25Lを慎重に加えて、続けてジクロロメタン1.25lを加えた:次に、酸性反応混合物を、おおよそ40分間、13−14のpHに達成するまで、−5〜0℃で温度を維持しながら、32%水酸化ナトリウム溶液325mlを使用してゆっくり塩基性化した。
有機相を分離し、10%ブライン1.25L、続けて水1.25Lで洗浄した。水相を回収して、ジクロロメタン1.25Lで抽出した。有機相を回収して、減圧下、45℃で蒸発乾固した。
次に、赤橙色の残留物をジクロロメタン800mlに取り、メカニカルスターラー、Pt−100温度計、還流冷却器、窒素入口及び滴下漏斗を装備した1.5L四首フラスコに移した。
粗反応混合物に、ジクロロメタン200ml中のジ−tert−ブチルジカルボナート88.68gの溶液を室温で加えた。反応は僅かに発熱した。
反応混合物を一晩、室温で撹拌した。反応の完了後、粗混合物を、400mlの量まで、減圧下、45℃で蒸発させた。残留ジクロロメタンを、一定容量下でのヘプタン1.5lとの溶媒交換を通して、蒸発させた。
得られた結晶をヘプタン300ml中に懸濁して、室温で3時間撹拌した。結晶を濾過し、総量625mlのヘプタンで分割して洗浄して、減圧下、45℃で48時間乾燥させて、白色の粉末として生成物101.6g(64%収率;分析:99%)を得た。
MS:m/e 435(M+H)、380、379、318。
実施例5
[(2S,3S,11bS)−(3−カルバモイル−9,10−ジメトキシ−1,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−2H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル)]−カルバミン酸tert−ブチルエステル(7)の調製
Figure 2010503634
メカニカルスターラー、Pt−100温度計、滴下漏斗及び窒素入口を装備した1L四首フラスコに、エステル6 50.0g(113mmol)を仕込んで、THF 488mlに溶解した。この赤色の溶液に、ホルムアミド22.6ml(566mmol)を室温で加え、続けて15分間、ナトリウムメトキシド44.0ml(0.238mol、5.4M)を加えた。添加の間、懸濁液が僅かに帯赤色の懸濁液に変化した。混合物を一晩、室温で撹拌した。それが高粘度であるが、十分に撹拌可能な白色の懸濁液に変化して、それをメタノール240mlで希釈して、20分間撹拌した。懸濁液を濾別して、THF 120mlとメタノール60mlの混合物で分割して洗浄した。結晶を、40−45℃、≦10mbarで、24時間乾燥させて、アミド7 43.0g(91.3%収率;分析:97.5%)を得た。
MS:m/e 406(M+H)、388、351、332、255。
実施例6
酒石酸塩5aからの[(2S,3S,11bS)−(3−カルバモイル−9,10−ジメトキシ−1,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−2H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル)]−カルバミン酸tert−ブチルエステルの直接調製(エステル6の単離をしない)
Figure 2010503634
メカニカルスターラー、Pt−100温度計、滴下漏斗及び窒素入口を装備した四首フラスコに、水素化ホウ素ナトリウム4.05g(103mmol)及び乾燥THF 165mlを仕込んだ。懸濁液を−30〜−20℃に冷却して、この温度で、1時間以内に、トリフルオロ酢酸47.8g(400mmol)で処理した。得られた溶液に、−30〜−20℃で、酒石酸塩5a 54.60g(79mmol)を一度に加えた。混合物を放置して室温に7時間以内に温めて、次にこの温度でさらに5時間撹拌した。次に、混合物を0〜10℃で水200mlに加えて、pHを水酸化ナトリウム溶液(水中28%)43gを加えてpH7.5〜8.0に調整した。次に、THF約200mlを減圧下で留去して、同量のジクロロメタンに置き換えた。pHを水酸化ナトリウム溶液(水中28%)約36gを加えてpH11.0〜11.5に調整した。スターラーを止めて、層を放置して分離した。有機層を分離して、水層をジクロロメタン(1×90ml)で抽出した。合わせた有機層を水(1×90ml)で洗浄して、次に室温で10分以内にジクロロメタン44ml中のジ−tert−ブチルジカルボナート22.0g(99mmol)の溶液で処理した。室温で2時間後、ジクロロメタンを留去して、連続的にTHF 900mlに置き換えた。次に、混合物(約400ml)を引き続いて32〜38℃で、ホルムアミド35.65g(788mmol)及びナトリウムメトキシド溶液(メタノール中30%)42.7g(237mmol)で処理して、得られた懸濁液を32〜38℃で10時間撹拌した。混合物を水180mlで処理して、60〜65℃で4時間加熱した。懸濁液を1〜2時間以内に室温に冷却して、室温で1時間撹拌した。結晶を濾別し、THF 90mlと水45mlの混合物を用いて2度で洗浄して、60〜70℃、≦30mbarで、15時間乾燥させて、アミド7 25.40g(79.2%収率;分析:98.7%(m/m))が得られた。
MS:m/e 406(M+H)、388、351、332、255。
融点:270℃(DSC;>250℃で僅かな分解性)
実施例7a
(2S,3S,11bS)−(3−アミノ−9,10−ジメトキシ−1,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−2H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル)]−カルバミン酸tert−ブチルエステル(8)の調製
Figure 2010503634
メカニカルスターラー、Pt−100温度計、滴下漏斗及び窒素入口を装備した6L四首フラスコに、アミド7 100g(242mmol)を仕込んだ。2N水酸化ナトリウム溶液982mlを加えて、混合物を5分間、室温で撹拌した。アセトニトリル1.75Lを加えて、撹拌をさらに30分間続けた。得られた懸濁液に、18−22℃で温度を維持しながら、15分間、水240ml及びアセトニトリル500ml中のジアセトキシヨードソベンゼン95.5g(291mmol)の溶液を加えた。僅かに黄色の反応混合物を、室温で15分間撹拌した。いくつかの不溶解結晶を含有する僅かに黄色の二相混合物を形成して、それに塩化ナトリウム400gを加えて、混合物をさらに20分間、室温で撹拌し、次に5℃に冷却した。25%塩酸220mlと水220mlの溶液を、pHがおよそ5.5に至るまで30分間ゆっくり加えた。pH8から、沈殿物が形成された。懸濁液を75分間、5〜10℃で、そしてpH5.5でさらに撹拌した。懸濁液を濾別し、反応器に戻して、ジクロロメタン1.5L中に懸濁した。10%重炭酸ナトリウム溶液1Lを懸濁液に加えて、混合物を15分間撹拌して、一方でpH8に達した。有機相を分離して、水相をジクロロメタン1Lで再度抽出した。有機相を回収して、45℃〜結晶点の直前温度で濃縮した。TBME 275mlを加えて、得られた懸濁液を1時間、室温で、次に1.5時間、0〜4℃で撹拌した。次に、結晶を濾別して、冷TBME 総量150mlで分割して洗浄した。
結晶を40−45℃、10mbarで48時間乾燥させ、次にエタノール530mlとメタノール530mlの混合物中に懸濁して、2時間、室温で撹拌した。沈殿物を濾別して、メタノールとエタノールの1:1混合物の総量100mlで分割して洗浄した。濾液を50℃で蒸発乾固して、結晶を50℃/1mbarで乾燥させた。次に、それらをTBME 400ml中に懸濁し、2時間、20℃で、次に2時間、0℃で撹拌した。結晶を濾別して、冷TBME 総量200mlで分割して洗浄した。結晶を40−45℃、≦20mbarで24時間乾燥させて、アミン8 67.2g(73%収率;分析:99%)を得た。
MS:m/e 378(M+H)、322、306、305。
実施例7b
(2S,3S,11bS)−(3−アミノ−9,10−ジメトキシ−1,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−2H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル)]−カルバミン酸tert−ブチルエステル(8)の調製
メカニカルスターラー、Pt−100温度計、滴下漏斗及び窒素入口を装備した1L四首フラスコに、アミド7 20.00g(49mmol)、水85ml及びアセトニトリル215mlを仕込んだ。懸濁液を5〜10℃で、30分以内に、水酸化ナトリウム溶液69.7g(水中28%)で処理した。混合物を15〜20℃に加熱して、この温度で、2〜3時間以内に、水46ml及びアセトニトリル97ml中のヨードソベンゼンジアセタート18.07g(56mmol)の溶液で処理した。混合物を15〜20℃で30分間撹拌し、約250mlの残留容量まで減圧下で濃縮して、次に室温で塩酸30g(水中37%)で処理して、pHを9.4〜9.7に調整した。ジクロロメタン(200ml)を加えて、層を放置して分離した。有機層を分離して、水層をジクロロメタン(1×80ml)で抽出した。不溶性ウレア副生成物を除去するために、合わせた有機層を濾過した。濾液からジクロロメタンを留去して、連続的にトルエン220mlに置き換えた。懸濁液を70℃に加熱して、得られた僅かに混濁した溶液を研磨濾過した。濾液を約150mlの残留容量まで減圧下で濃縮した。得られた懸濁液を75〜85℃に加熱して、清澄な溶液を得るまで、この温度で撹拌した。次に、溶液を放置して2時間以内に0〜5℃に冷却して、それにより、結晶化が約60℃で起こった。0〜5℃で2時間後、結晶を濾別し、トルエン50mlを用いて2度で洗浄して、45〜55℃、≦30mbarで15時間乾燥させて、アミン8 14.70g(79.0%収率;分析:99.6%(m/m))が得られた。
MS:m/e 378(M+H)、322、306、305。
融点:170℃(DSC)
実施例8
(2S,3S,11bS)−(3−アミノ−9,10−ジメトキシ−1,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−2H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル)]−カルバミン酸tert−ブチルエステルを(S)−1−((2S,3S,11bS)−2−アミノ−9,10−ジメトキシ−1,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−2H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−3−イル)−4−フルオロメチル−ピロリジン−2−オンへの変換
a) 4−フルオロメチル−5H−フラン−2−オンの調製
メカニカルスターラー、Pt−100温度計、滴下漏斗及び窒素入口を装備した6L反応器に、4−ヒドロキシメチル−5H−フラン−2−オン500g(4.38mmol)及びジクロロメタン2.0Lを仕込んだ。溶液を−10℃に冷却して、ビス−(2−メトキシエチル)アミノ硫黄トリフルオリド(Deoxo−Fluor)1.12kg(4.82mol)を、−5〜−10℃で温度を冷却浴で維持しながら、50分間加えた。添加の間、帯黄色のエマルションが形成され、添加を完了した後、それを橙赤色の溶液に溶解した。この溶液を1.5時間、15−20℃で撹拌し、次に−10℃に冷却した。−5〜−10℃の間で温度を維持しながら、30分間、エタノール1.00L中の水250mlの溶液を加え、混合物を放置して15−20℃にした。次に、それをロータリーエバポレーター中、40℃/600−120mbarで、おおよそ1.6Lの容量まで濃縮した。残留物をジクロロメタン2.0Lに溶解して、1N塩酸4.0Lで3回洗浄した。合わせた水層をジクロロメタン1.4Lで3回抽出した。合わせた有機層を、ロータリーエバポレーター中で蒸発させて、暗褐色の液体として粗生成物681gを得た。この物質を、ビグリューカラムで、0.1mbarで蒸留し、生成物画分を71〜75℃の間で回収した(312g)。この物質を同条件下で再蒸留して、画分を65〜73℃の間で回収して、4−フルオロメチル−5H−フラン−2−オン299g(58%収率;分析:99%)を得た。
MS:m/e 118 M、74、59、41。
b) (S)−4−フルオロメチル−ジヒドロ−フラン−2−オンの調製
メカニカルスターラーを装備した2Lオートクレーブに、メタノール284ml中の4−フルオロメチル−5H−フラン−2−オン96.0g(8.27×10−1mol)の溶液を仕込んだ。オートクレーブを密閉して、微量の酸素を除去するために数回アルゴン(7bar)で加圧した。〜1barアルゴンで、メタノール100ml中のRu(OAc)((R)−3,5−tBu−MeOBIPHEP)82.74mg(6.62×10−5mol)(S/C 12500)の溶液を、撹拌下、グローブボックス(O含有量<2ppm)中にあらかじめ仕込んだ触媒添加装置から加えて、アルゴン(7bar)で加圧した。オートクレーブ中のアルゴン雰囲気を、水素(5bar)に置き換えた。この圧力で、反応混合物を、20時間、30℃で撹拌(〜800rpm)して、次にオートクレーブから取り出し、減圧下で濃縮した。残留物を蒸留して、(S)−4−フルオロメチル−ジヒドロ−フラン−2−オン91.8g(94%)が得られた。生成物の化学的純度が99.7%(GC面積)であった。
c) (2S,3S,11bS)−3−(3−フルオロメチル−4−ヒドロキシ−ブチリルアミノ)−9,10−ジメトキシ−1,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−2H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル]−カルバミン酸tert−ブチルエステルの調製
メカニカルスターラー、Pt−100温度計、滴下漏斗及び窒素入口を装備した1.5L反応器に、(2S,3S,11bS)−3−アミノ−9,10−ジメトキシ−1,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−2H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル50g(128mmol)、トルエン500ml及び2−ヒドロキシピリジン2.51g(25.6mmol)を仕込んだ。この僅かに帯褐色の懸濁液に、(S)−4−フルオロメチル−ジヒドロ−フラン−2−オン22.7g(192mmol)を室温で滴下した。添加の間、発熱状態(exothermy)は観察されなかった。滴下漏斗を総量100mlのトルエンで分割してすすいだ。懸濁液を加熱し還流して、それが60℃から出発する清澄な溶液に変化する一方で、40分後、還流下で、懸濁液が再度形成された。還流下で全体として23時間後、濃い懸濁液を室温に冷却し、ジクロロメタン100mlで希釈して、30分間、室温で撹拌した。濾過後、フィルターケークを、分割してトルエン総量200mlで、次に分割してジクロロメタン総量100mlで洗浄した。フィルターケークを50℃/10mbarで、20時間乾燥させて、生成物60.0g(94%収率;分析:100%)を得た。
MS:m/e 496(M+H)、437。
d) (2S,3S,11bS)−3−((4S)−フルオロメチル−2−オキソ−ピロリジン−1−イル)−9,10−ジメトキシ−1,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−2H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル]−カルバミン酸tert−ブチルエステルの調製
メカニカルスターラー、Pt−100温度計、滴下漏斗、冷却浴及び窒素入口を装備した1.5L反応器に、(2S,3S,11bS)−3−(3−フルオロメチル−4−ヒドロキシ−ブチリルアミノ)−9,10−ジメトキシ−1,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−2H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル28g(56.5mmol)及びTHF 750mlを仕込んだ。混合物を0℃に冷却して、THF 42mL中のメタンスルホン酸6.17mL(79mmol)の溶液を、10分間、0−5℃で温度を維持しながら加えた。0℃で、THF 42mL中のトリエチルアミン12.6mL(90.2mmol)の溶液を15分間加えた。得られた懸濁液を80分間、0−5℃で撹拌して、一方でそれが徐々に濃くなった。次に、1Mリチウム−ビス(トリメチルシリル)アミド141mL(141mmol)を15分間、混合物に加えて、一方で懸濁液が溶解した。溶液を60分間、撹拌下で室温にした。冷却しないで水500mLを加えて、混合物を抽出して、その後に水相をジクロロメタン500mLと250mLで順次抽出した。有機層をそれぞれ半飽和ブライン300mLで洗浄し、合わせて、ロータリーエバポレーターで蒸発させた。得られた泡状物をジクロロメタン155mLに溶解し、濾過して、再度蒸発させて、僅かに帯褐色の泡状物として粗生成物30.5gを得た。この物質をメタノール122mLに溶解し、濃い懸濁液が得られ、それを加熱還流上で溶解した。還流20分後、溶液を徐々に冷却して、2時間で室温にして、一方で、結晶化が10分後に始まった。2時間後、懸濁液を1時間0℃に、続けて1時間−25℃に冷却した。結晶を予備冷却した焼結ガラス(glasssinter)漏斗を介して濾別し、TBME 78mLで分割して洗浄して、18時間、45℃/20mbarで乾燥させて、白色の結晶として標記生成物21.0g(77%収率;分析:99.5%)を得た。
MS:m/e 478(M+H)、437、422。
e) (2S,3S,11bS)−1−(2−アミノ−9,10−ジメトキシ−1,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−2H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−3−イル)−4(S)−フルオロメチル−ピロリジン−2−オン二塩酸塩の調製
メカニカルスターラー、Pt−100温度計、滴下漏斗及び窒素入口を装備した2.5L反応器に、(2S,3S,11bS)−3−((4S)−フルオロメチル−2−オキソ−ピロリジン−1−イル)−9,10−ジメトキシ−1,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−2H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル619g(1.30mol)、イソプロパノール4.2L及び水62mLを仕込んで、懸濁液を40−45℃に加熱した。第二の容器中で、イソプロパノール1.98Lを0℃に冷却して、塩化アセチル461mL(6.50mol)を、35分間、0−7℃で温度を維持しながら加えた。添加を完了後、混合物をおおよそ15℃にして、次に1.5時間、第一の容器にゆっくり加えた。添加を完了後、混合物を18時間、40−45℃で撹拌して、一方で結晶化が1時間後に始まった。白色の懸濁液を2時間20℃に冷却し、その温度で、1.5時間撹拌して、濾過した。結晶をイソプロパノール1.1Lで分割して洗浄して、72時間、45℃/20mbarで乾燥させて、白色の結晶として生成物583g(100%収率;分析:99.0%)を得た。

Claims (25)

  1. 式I:
    Figure 2010503634

    (式中、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、低級アルキル、低級アルコキシ及び低級アルケニルからなる群から選択され、ここで、低級アルキル、低級アルコキシ及び低級アルケニルは、場合により、低級アルコキシカルボニル、アリール及びヘテロシクリルから選択される基により置換されていてもよい)
    で示されるピリド[2,1−a]イソキノリン誘導体の製造方法であって、
    工程a)、b)、c)又はd)の1つ以上を含み、ここで、
    工程a)は、光学活性分割剤の存在下で、式II:
    Figure 2010503634

    (式中、R、R及びRは、先に定義されたとおりであり、Rは、低級アルキル又はベンジルである)で示されるエナミンを光学分割して、式III:
    Figure 2010503634

    (式中、R、R、R及びRは、先に定義されたとおりであり、RCO は、分割剤の共役塩基である)で示される(S)−エナミン塩を形成させることを含み;
    工程b)は、式IIIで示される(S)−エナミン塩を式IV:
    Figure 2010503634

    (式中、R、R、R及びRは、先に定義されたとおりであり、Protは、アミノ保護基を表す)で示されるエステルに転換することを含み;
    工程c)は、式IVで示されるエステルをアミド化して、式V:
    Figure 2010503634

    (式中、R、R、R及びProtは、先に定義されたとおりである)で示されるアミドを形成させることを含み;
    工程d)は、式Vで示されるアミドを分解して、式VI:
    Figure 2010503634

    (式中、R、R、R及びProtは、先に定義されたとおりである)で示されるアミンを形成させることを含む、方法。
  2. 工程a)を含む、請求項1記載の方法。
  3. 工程a)及びb)を含む、請求項1記載の方法。
  4. 工程a)〜d)を含む、請求項1記載の方法。
  5. 工程b)及びc)が、中間体:IVの単離を行わずに実施される、請求項1記載の方法。
  6. 工程a)における光学分割が、結晶誘導性動的光学分割であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
  7. 工程a)における光学分割が、式VII:
    Figure 2010503634

    [式中、
    は、
    非置換フェニル、
    低級アルキル、低級アルコキシ及びハロゲンから独立して選択される基1、2、又は3個により置換されたフェニル、
    低級アルキル、
    ベンジル(ここで、フェニル環は、非置換であるか、又は低級アルキル、低級アルコキシ及びハロゲンから独立して選択される基1、2、又は3個により置換されている)、及び
    −NH−フェニル(ここで、フェニル環は、非置換であるか、又は低級アルキル、低級アルコキシ及びハロゲンから独立して選択される基1、2、又は3個により置換されている)
    からなる群から選択され;
    は、ヒドロキシ、低級アルコキシ及び−NR(式中、R及びRは、互いに独立して、低級アルキルである)からなる群から選択される]
    で示される分割剤を用いて実施されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
  8. 工程a)における光学分割が、式VII:
    Figure 2010503634

    [式中、Rが、非置換フェニル、置換されたフェニル(低級アルキル、低級アルコキシ及びハロゲンから独立して選択される基1、2、又は3個により置換された)、及び−NH−フェニル(ここで、フェニル環は、非置換であるか、又は低級アルキル、低級アルコキシ及びハロゲンから独立して選択される基1、2、又は3個により置換されている)からなる群から選択され、
    が、ヒドロキシ又は−NR(式中、R及びRは、互いに独立して、低級アルキルである)である]
    で示される分割剤を用いて実施されることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
  9. 工程a)における光学分割が、(+)−O,O’−ジベンゾイル−D−酒石酸、及び(+)−O,O’−ジベンゾイル−D−酒石酸モノジメチルアミドから選択される分割剤を用いて実施されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
  10. 工程a)における光学分割が、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、トルエン又はこれらの混合物からなる群から選択される溶媒中で実施されることを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
  11. 工程a)における光学分割が、Rが、メチル、エチル又はイソプロピルである、式IIで示されるエナミンを用いて実施されることを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
  12. 工程b)における式IIIで示される(S)−エナミン塩の転換が、酸性条件下での還元と、続くアミノ保護基の導入により実施されることを特徴とする、請求項1記載の方法。
  13. 還元が、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素リチウム及びシアノ水素化ホウ素ナトリウムから選択される還元剤を用いて実施されることを特徴とする、請求項12記載の方法。
  14. 還元が、−40℃〜30℃の温度の有機溶媒中で実施されることを特徴とする、請求項1、12又は13記載の方法。
  15. トリクロロエトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、クロロアセチル、トリフルオロアセチル、フェニルアセチル、ホルミル、アセチル、ベンゾイル、tert−ブトキシカルボニル、パラメトキシベンジルオキシカルボニル、ジフェニルメトキシカルボニル、フタロイル、スクシニル、ベンジル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、メタンスルホニル、パラトルエンスルホニル、ピバロイル、トリメチルシリル、トリエチルシリル及びトリフェニルシリルからなる群から選択されるアミノ保護基が、導入されることを特徴とする、請求項1、12、13又は14記載の方法。
  16. 工程c)におけるアミド化が、ホルムアミド/ナトリウムメトキシド、ホルムアミド/ナトリウムエトキシド、アセトアミド/ナトリウムメトキシド又はアセトアミド/ナトリウムエトキシドを用いて実施されることを特徴とする、請求項1記載の方法。
  17. 工程c)におけるアミド化が、10℃〜70℃の範囲内の温度の有機溶媒中で実施されることを特徴とする、請求項1又は16記載の方法。
  18. 工程d)における式Vで示されるアミドの分解が、Hofmann分解の原理により実施されることを特徴とする、請求項1記載の方法。
  19. 工程d)における式Vで示されるアミドの分解が、ヨードソベンゼンジアセタート、ヨードソベンゼンビストリフルオロアセタート及びヨードソベンゼンビストリクロロアセタートから選択される酸化剤を用いて実施されることを特徴とする、請求項1又は18記載の方法。
  20. (2S,3S,11bS)−(3−アミノ−9,10−ジメトキシ−1,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−2H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル)]−3−カルバミン酸tert−ブチルエステルを製造するための、請求項1〜19のいずれかに記載の方法。
  21. (S)−1−((2S,3S,11bS)−2−アミノ−9,10−ジメトキシ−1,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−2H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−3−イル)−4−フルオロメチルピロリジン−2−オンを製造するための、請求項1〜19のいずれかに記載の方法。
  22. 請求項1〜19のいずれかに記載の方法と、続いて、
    e)(2S,3S,11bS)−3−アミノ−9,10−ジメトキシ−1,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−2H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル)−カルバミン酸tert−ブチルエステルを、式I:
    Figure 2010503634

    で示される(S)−4−フルオロメチルジヒドロフラン−2−オンとカップリングする工程、
    f)塩基の存在下で、得られた(2S,3S,11bS)−3−(3−フルオロメチル−4−ヒドロキシブチリルアミノ)−9,10−ジメトキシ−1,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−2H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル]−カルバミン酸tert−ブチルエステルを環化する工程、及び
    g)得られた(2S,3S,11bS)−3−((4S)−フルオロメチル−2−オキソピロリジン−1−イル)−9,10−ジメトキシ−1,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−2H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル]−カルバミン酸tert−ブチルエステルを脱保護する工程
    を含む、(S)−1−((2S,3S,11bS)−2−アミノ−9,10−ジメトキシ−1,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−2H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−3−イル)−4−フルオロメチルピロリジン−2−オンを製造するための、請求項1〜19のいずれかに記載の方法。
  23. 式III:
    Figure 2010503634

    (式中、R、R、R及びRは、請求項1に定義されたとおりであり、RCO は、分割剤の共役塩基である)で示される(S)−エナミン塩。
  24. 式IV:
    Figure 2010503634

    (式中、R、R、R及びRは、請求項1に定義されたとおりであり、Protは、アミノ保護基を表す)で示されるエステル。
  25. 明細書に記載された新規な方法、中間体及び使用。
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