JP2010285558A - 摩擦材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】繊維基材、摩擦調整材および重金属材料を少なくとも含む摩擦材であって、ヒドロキシアパタイトの少なくとも1種と、1〜10体積%のゼオライトとを配合したことを特徴とする摩擦材。
【選択図】なし
Description
また、充填材として、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、金属粉、バーミキュライト、マイカなどが用いられている。
そして、これらの成分を配合してなる摩擦材の相手材攻撃性を抑え、耐フェード性、耐摩耗性を改善した非石綿系摩擦材として種々の配合の摩擦材が提案されている。
特許文献2には、焼成骨粉と廃摩擦材を600℃以上の温度で熱処理して有機成分を除去した後粉砕して得た複合材粒子が廃摩擦材全体の10体積%以上配合され、焼成骨粉を摩擦材全体の3体積%以上配合した摩擦材は、やはり、気孔率が高く、フェード特性が向上することが開示されている。
特許文献3は、無機充填材の一成分として家畜及び魚類の少なくとも1種の焼成骨粉を摩擦材全体の5〜65重量%配合した摩擦材もフェード特性が向上することを開示している。
ところで、摩擦材のフェード特性は、摩擦材の気孔率に大きく影響を受けるため、気孔率を高くすることができる材料が充填材に対して求められている。すなわち、摩擦材の気孔率を大きくすると、ブレーキをかけたときに発生するガス圧を下げることができるため、フェード特性が向上できる。このため、摩擦材の気孔率を大きくできる材料が依然として求められている。
更に、摩擦材中に含まれる銅等の重金属は、ブレーキ制動により摩耗粉として空気中に放出されるが、近年、サンフランシスコ湾やバルト海の銅汚染の原因として疑われており、その因果関係が米国の地球環境グループやスウェーデン環境保護庁(EPA)などで調査されている。
すなわち、本発明は、下記の手段により、上記の課題を解決した。
(1) 繊維基材、摩擦調整材および重金属材料を少なくとも含む摩擦材であって、ヒドロキシアパタイトの少なくとも1種と、1〜10体積%のゼオライトとを配合したことを特徴とする摩擦材。
(2) 前記ヒドロキシアパタイトが、摩擦材全体の1〜20体積%配合されていることを特徴とする上記(1)記載の摩擦材。
(3) 前記重金属材料が銅であることを特徴とする上記(1)又は上記(2)記載の摩擦材。
(4) 0.5〜2体積%のゾノライト型合成含水ケイ酸カルシウムを更に含む、上記(1)〜(3)のいずれか1に記載の摩擦材。
更に、無機充填材の一成分として配合したヒドロキシアパタイトは重金属イオンを吸着するため、重金属による汚染の低減が可能となる。また、ゼオライトを含むことで重金属イオンの吸着特性が向上される。
本発明の摩擦材において、無機充填材として使用するヒドロキシアパタイトは、Ca10(PO4)6(OH)2あるいはCa5(PO4)3OHの化学組成を有する。ヒドロキシアパタイトの摩擦材全体における配合量は1〜20体積%であることが好ましい。上記範囲であれば耐摩耗性を有し、相手材攻撃性を抑え、フェード特性向上の特性を得る事ができる。また、本発明で使用しうるヒドロキシアパタイトとしては、鉱物として産出されるヒドロキシアパタイトや焼成骨粉のような天然ヒドロキシアパタイトでもよく、合成した純度の高いヒドロキシアパタイトでもよい。ヒドロキシアパタイトの粒径はクラック防止などの成形性の観点から4〜100μmであることが好ましい。また、気孔率は、耐摩耗性の観点から15〜25%であることが好ましい。
有機充填材として、例えば、ゴムダスト、メラミンダスト等が挙げられる。これらは1種以上を組み合わせて用いることができる。前記した充填材の配合量は、摩擦材組成物全体に対して好ましくは30〜80体積%、より好ましくは40〜70体積%である。
〔摩擦材の配合〕
無機充填材であるヒドロキシアパタイトの配合割合を10体積%とし、比較例として硫酸バリウムを用いたベース材に基づいて、摩擦材の配合を行った。天然ヒドロキシアパタイトとしては平均粒径が10μm程度のものを使用した。合成ヒドロキシアパタイトとしては平均粒径10μm程度の第3リン酸カルシウムを使用した。配合内容を表1に示す。結合材としてはストレートフェノール樹脂を使用した。
上記の配合材料を、通常の工程である、撹拌、予備成形、熱成形(150℃、成形面圧40MPa)、加熱(アフタキュア250℃、2時間)、研摩等の工程を経て、摩擦材完成品を得た。
摩擦材に配合されたそれぞれのヒドロキシアパタイトにおける銅イオン吸着効果を確認するために、下記の(1)〜(8)の手順で試料を作製しICP発光分析を行った。結果を表2に示す。
ICP試料作成手順
(1) 表1の配合割合で作製した摩擦材を粉砕した。
(2) 粉砕したそれぞれの摩擦材10gをフラスコに準備し、蒸留水を100mlになるまで加えた。
(3) 銅のイオン化を促進させるため、硫酸(H2SO4)と硝酸(HNO3)でpH3に調整した。
(4) pH3に調整後、常温で1週間放置した。
(5) 安定化させるため、水酸化ナトリウム(NaOH)でpH7に調整した。
(6) pH7に調整後、常温で一週間放置した。
(7) 実施例及び比較例のそれぞれの溶剤をろ過した。
(8) ろ液を10倍希釈し、ICP試料とした。
ICP発光分析では、溶液中の銅イオンの量を計測した。
1)気孔率の測定
実施例及び比較例によって得られた摩擦材に対して、気孔率の測定(オイル含浸法、JIS D4418)を行った。その測定結果を表3に示す。
2)フェード特性
テストピース慣性型のスケールテスターを用いて性能試験(JASO C406に従う)を行い、第1フェード試験時における、最低μを測定した。結果を表3に示す。
3)パッド摩耗量の測定
テストピース慣性型のスケールテスターを用いて性能試験(JASO C406に準拠)を行い、パッドの摩耗量を測定した。
4)ロータ摩耗量の測定
更に性能試験終了後に、ロータの摩耗量を測定し、ロータ攻撃性(相手材攻撃性)を評価した。結果を表3に示す。今回の摩擦材の目標値はフェード率85%以上、ロータ摩耗量7μm以下である。
5)クリープグー音の測定
実車により平坦路前進でクリープグー音試験を行い、下記の感応評価を行った。結果を表3に示す。
大:グー音発生率70dB以上
中:グー音発生率65dB以上70dB未満
小:グー音発生率65dB未満
Claims (4)
- 繊維基材、摩擦調整材および重金属材料を少なくとも含む摩擦材であって、ヒドロキシアパタイトの少なくとも1種と、1〜10体積%のゼオライトとを配合したことを特徴とする摩擦材。
- 前記ヒドロキシアパタイトが、摩擦材全体の1〜20体積%配合されていることを特徴とする請求項1記載の摩擦材。
- 前記重金属材料が銅であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の摩擦材。
- 0.5〜2体積%のゾノライト型合成含水ケイ酸カルシウムを更に含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の摩擦材。
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