JP2004346214A - 摩擦材組成物及び摩擦材組成物を用いた摩擦材 - Google Patents
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Abstract
【課題】制動特性などの他の特性を悪化させることなく、圧縮歪み量を安定して制御できる摩擦材に適した摩擦材組成物及び制動特性などの他の特性を悪化させることなく、圧縮歪み量を安定して制御できる摩擦材を提供する。
【解決手段】加熱加圧成形前に予め120℃以上の温度で非加圧加熱した摩擦材成形用混合粉を3〜30重量%含有してなる摩擦材組成物及び前記の摩擦材組成物を加熱加圧成形してなる摩擦材および非加圧加熱しない摩擦材成形用混合粉70〜97重量%を含む前記摩擦材。
【選択図】 なし
【解決手段】加熱加圧成形前に予め120℃以上の温度で非加圧加熱した摩擦材成形用混合粉を3〜30重量%含有してなる摩擦材組成物及び前記の摩擦材組成物を加熱加圧成形してなる摩擦材および非加圧加熱しない摩擦材成形用混合粉70〜97重量%を含む前記摩擦材。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車、鉄道車両、各種産業用機械等の制動に用いられるディスクブレーキパッド、ブレーキライニング等の摩擦材に適した摩擦材組成物及び摩擦材組成物を用いた摩擦材に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車、鉄道車両、各種産業用機械等には、その制動のため摩擦材が使用されている。この摩擦材としては、現在非アスベスト系ディスクブレーキパッドが主流であり、補強繊維として、スチール繊維、黄銅繊維、銅繊維等の金属繊維、アクリル繊維、アラミド繊維、フェノール繊維等の有機質繊維、ロックウール、チタン酸カリウム繊維、アルミナシリカ繊維、カーボン繊維等の無機質繊維を組み合わせたものが使用されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平6−184525号公報(第1−3頁)
【0004】
また、摩擦材用の結合剤としては、従来から一般的に、耐熱性、強度等の面からフェノール樹脂が使用される場合が多い。
最終製品である摩擦材は、上記した材料を乾式又は湿式で加圧しながら混合するか又はミキサーなどを用いて非加圧で混合して得た摩擦材組成物を、120℃以上の温度で加熱加圧成形することにより得られるが、加熱加圧成形後に200℃以上の温度でさらに非加圧加熱する場合が多い。また加熱加圧成形前に加熱せずに摩擦材としての形状が維持される程度に仮成形し、この仮成形体を予備加熱する場合もある。
【0005】
摩擦材の様々な特性のうち、特に、自動車、鉄道車両、各種産業用機械等の制動時のペダルフィーリングに大きく影響する圧縮歪み量は、従来、成形温度などの変更、材料組成の変更により制御してきたが、これらの方法では、圧縮歪み量以外の特性を悪化させずに圧縮歪み量を制御することが困難であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
請求項1、2及び3記載の発明は、制動特性などの他の特性を悪化させることなく、圧縮歪み量を安定して制御できる、摩擦材に適した摩擦材組成物を提供するものである。
請求項4記載の発明は、制動特性などの他の特性を悪化させることなく、圧縮歪み量を安定して制御できる、摩擦材を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、加熱加圧成形前に予め120℃以上の温度で非加圧加熱した摩擦材成形用混合粉を3〜30重量%含有してなる摩擦材組成物に関する。
また、本発明は、加熱加圧成形前に予め120℃以上の温度で非加圧加熱した摩擦材成形用混合粉3〜30重量%及び非加圧加熱しない摩擦材成形用混合粉70〜97重量%を含む摩擦材組成物に関する。
また、本発明は、120℃以上の温度で非加圧加熱した摩擦材成形用混合粉を3〜30重量%含有した摩擦材組成物が、非加圧加熱しない摩擦材成形用混合粉を用いた摩擦材組成物より圧縮歪み増加率が10〜80%大きいものである前記の摩擦材組成物に関する。
さらに、本発明は、前記の摩擦材組成物を加熱加圧成形してなる摩擦材に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の摩擦材組成物において、加熱加圧成形前に予め120℃以上の温度で非加圧加熱した摩擦材成形用混合粉の含有量は、摩擦材全組成物中に3〜30重量%の範囲、好ましくは5〜20重量%の範囲、さらに好ましくは7〜15重量%の範囲とされ、3重量%未満であると本発明の効果である圧縮歪み量を制御することが困難となり、30重量%を超えると圧縮歪み量が大きくなり過ぎ、ペダルストロークが伸びブレーキの効きが悪くなる。
【0009】
摩擦材成形用混合粉の3〜30重量%を予め非加圧加熱する温度は、120℃以上、好ましくは140℃以上、さらに好ましくは140〜180℃の範囲とされ、120℃未満であると圧縮歪みの上昇が見られない。なお、非加圧加熱は、例えば乾燥器中で乾燥する方法、超音波加熱方法等があるが特に制限はない。
【0010】
本発明において、加熱加圧成形前に予め120℃以上の温度で非加圧加熱した摩擦材成形用混合粉を3〜30重量%含有する摩擦材組成物は、非加圧加熱しない摩擦材成形用混合粉を用いた摩擦材組成物より圧縮歪み増加率が10〜80%大きいことが好ましく、10〜60%大きいことがさらに好ましい。圧縮歪み増加率が10%未満であると、圧縮歪みの変化が見られない傾向がある。一方、80%を超えると、ペダルストロークが伸びブレーキの効きが悪くなる傾向がある。
【0011】
本発明になる摩擦材組成物に含まれる材料としては、例えば、銅繊維、黄銅繊維、リン青銅繊維、アラミド繊維、アクリル繊維、カーボン繊維、セラミック繊維、ロックウール、チタン酸カリウム繊維、炭酸カルシウムウィスカ、炭酸マグネシウムウィスカ等の繊維状物質、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、バーミキュライト、ゼオライト、マイカ、ウォラストナイト、アルミナ、シリカ、ジルコニア、ジルコン、マグネシア、酸化鉄、硫化鉄、硫化錫、三硫化アンチモン、二硫化モリブデン、黒鉛、コークス等の無機質摩擦調整剤、各種のゴム粉、カシューダスト等の有機質摩擦調整剤、メラミン樹脂、ポリイミド樹脂、フラン樹脂等の熱硬化性樹脂やエラストマー変性フェノール樹脂などの結合剤、さらに必要に応じて銅粉、黄銅粉、亜鉛粉等の金属粉が用いられる。
【0012】
上記における繊維状物質の含有量は、機械強度などの点から、全組成物中に20〜50体積%とすることが好ましく、25〜45体積%とすることがより好ましく、30〜40体積%とすることがさらに好ましい。無機質摩擦調整剤の含有量は、特性に応じて全組成物中に20〜50体積%とすることが好ましく、25〜45体積%とすることがより好ましく、30〜40体積%とすることがさらに好ましい。有機質摩擦調整剤の含有量は、相手剤摩耗量などの点から全組成物中に3〜25体積%とすることが好ましく、8〜20体積%とすることがより好ましく、10〜18体積%とすることがさらに好ましい。結合剤の含有量は機械強度、耐摩耗性などの点から、全組成物中に10〜30体積%とすることが好ましく、13〜27体積%とすることがより好ましく、15〜25体積%とすることがさらに好ましい。
【0013】
本発明になる摩擦材は、上記に示す材料を均一に混合して摩擦材成形用混合粉を得た後、該摩擦材成形用混合粉の一部(3〜30重量%の範囲)を加熱加圧成形前に予め160℃以上の温度で非加圧加熱処理を行い、この後、残りの非加圧加熱処理を行わない摩擦材成形用混合粉中に前記非加圧加熱処理を行った摩擦材成形用混合粉を添加して、均一に混合して摩擦材組成物を得、さらに摩擦材組成物を予備加圧成形し、さらに金型内に裏金及び予備成形体を挿設した後、加熱加圧成形法で成形し、その後加熱処理を行い、必要に応じて表面の有機材料を除去するためのスコーチ処理を行って得られる。
【0014】
なお、成形する際の加熱温度は130〜170℃が好ましく、140〜160℃がさらに好ましい。圧力は20〜60MPaが好ましく、30〜50MPaがさらに好ましい。加熱処理温度は180〜300℃が好ましく、200〜250℃がさらに好ましい。またスコーチ処理は、摩擦部材に熱盤を押し当てる方法、ガスの炎などの直火で加熱する方法、遠赤外線などの輻射熱で加熱する方法等があり特に制限はない。スコーチ処理の条件については、その材質に合った条件を選定して処理すれば良い。
【0015】
以下、本発明を実施例により説明する。
実施例1〜5、比較例1〜2
表1に示すフェノール樹脂(結合剤)、アラミド繊維、ロックウール、銅繊維、鉄繊維、チタン酸カリウム繊維(以上、繊維状物質)、アルミナ、ジルコニア、ジルコンサンド、マイカ、黒鉛、硫酸バリウム、ゼオライト、三硫化アンチモン(以上、無機質摩擦調整剤)、カシューダスト、ゴム粉末(以上、有機質摩擦調整剤)をレディゲミキサーで4000r/minの回転数で10分間均一に混合して配合粉(摩擦材成形用混合粉)を得た。
【0016】
得られた配合粉の一部を乾燥器中で160℃で1時間非加圧加熱処理した。この後、非加圧加熱処理を行わない配合粉に、非加圧加熱処理した配合粉を摩擦材全組成物に対して、それぞれ5重量%(実施例1)、10重量%(実施例2)、15重量%(実施例3)、20重量%(実施例4)、30重量%(実施例5)、35重量%(比較例2)になるように加えて、レディゲミキサーで4000r/minの回転数で10分間均一に混合して摩擦材組成物を得た。
【0017】
得られた摩擦材組成物を室温で30MPaの条件で予備加圧成形した後、145℃及び40MPaの条件で7分間加熱加圧成形し、さらに220℃で3時間加熱処理を行い、冷却後研磨してディスクブレーキパッドを得た。
上記とは別に、配合粉(摩擦材成形用混合粉)の全量を非加圧加熱処理せずに上記と同様の条件で加熱加圧成形し、さらに220℃で3時間加熱処理を行い、冷却後研磨してディスクブレーキパッドを得たものを比較例1とした。
なお、表1における各成分の体積%は、その成分の使用重量をその成分の密度で除して算出した値である。
【0018】
【表1】
【0019】
次に、本発明になる実施例のディスクブレーキパッド(摩擦材)と比較例のディスクブレーキパッド(摩擦材)について、圧縮歪み量、表面硬度及び摩擦係数(μ)を測定した。その結果を表2に示す。なお、各試験条件は下記の通りである。
【0020】
(1)圧縮歪み量
面積51.7cm2のディスクブレーキパッドに1800kgfの加重をかけたときの歪み量を測定した。
(2)表面硬度
JIS D 4421の自動車用ブレーキライニング、ディスクブレーキパッド及びクラッチフェーシングの硬さ試験方法(HRR)に準じて測定した。
(3)摩擦係数(μ)
車両重量:1620kg、ブレーキ型式:コレットタイプ(シリンダ面積:25.68cm2)、3000ccオートマチック車の前輪にホイールトルクメーターを装着して測定した。なお、ディスクブレーキパッド温度は100℃。初速度は50km/h、減速度は2.0m/s2である。
【0021】
【表2】
【0022】
表2に示されるように、本発明のディスクブレーキパッドは、表面硬度及び摩擦係数(μ)を悪化させることなく、圧縮歪み量を安定して制御できることが明らかである。
【0023】
【発明の効果】
請求項1、2及び3記載の摩擦材組成物は、制動特性などの他の特性を悪化させることなく、圧縮歪み量を安定して制御できる、摩擦材に適した摩擦材組成物を提供することができる。
請求項4記載の摩擦材は、制動特性などの他の特性を悪化させることなく、圧縮歪み量を安定して制御でき、工業的に極めて好適である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車、鉄道車両、各種産業用機械等の制動に用いられるディスクブレーキパッド、ブレーキライニング等の摩擦材に適した摩擦材組成物及び摩擦材組成物を用いた摩擦材に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車、鉄道車両、各種産業用機械等には、その制動のため摩擦材が使用されている。この摩擦材としては、現在非アスベスト系ディスクブレーキパッドが主流であり、補強繊維として、スチール繊維、黄銅繊維、銅繊維等の金属繊維、アクリル繊維、アラミド繊維、フェノール繊維等の有機質繊維、ロックウール、チタン酸カリウム繊維、アルミナシリカ繊維、カーボン繊維等の無機質繊維を組み合わせたものが使用されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平6−184525号公報(第1−3頁)
【0004】
また、摩擦材用の結合剤としては、従来から一般的に、耐熱性、強度等の面からフェノール樹脂が使用される場合が多い。
最終製品である摩擦材は、上記した材料を乾式又は湿式で加圧しながら混合するか又はミキサーなどを用いて非加圧で混合して得た摩擦材組成物を、120℃以上の温度で加熱加圧成形することにより得られるが、加熱加圧成形後に200℃以上の温度でさらに非加圧加熱する場合が多い。また加熱加圧成形前に加熱せずに摩擦材としての形状が維持される程度に仮成形し、この仮成形体を予備加熱する場合もある。
【0005】
摩擦材の様々な特性のうち、特に、自動車、鉄道車両、各種産業用機械等の制動時のペダルフィーリングに大きく影響する圧縮歪み量は、従来、成形温度などの変更、材料組成の変更により制御してきたが、これらの方法では、圧縮歪み量以外の特性を悪化させずに圧縮歪み量を制御することが困難であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
請求項1、2及び3記載の発明は、制動特性などの他の特性を悪化させることなく、圧縮歪み量を安定して制御できる、摩擦材に適した摩擦材組成物を提供するものである。
請求項4記載の発明は、制動特性などの他の特性を悪化させることなく、圧縮歪み量を安定して制御できる、摩擦材を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、加熱加圧成形前に予め120℃以上の温度で非加圧加熱した摩擦材成形用混合粉を3〜30重量%含有してなる摩擦材組成物に関する。
また、本発明は、加熱加圧成形前に予め120℃以上の温度で非加圧加熱した摩擦材成形用混合粉3〜30重量%及び非加圧加熱しない摩擦材成形用混合粉70〜97重量%を含む摩擦材組成物に関する。
また、本発明は、120℃以上の温度で非加圧加熱した摩擦材成形用混合粉を3〜30重量%含有した摩擦材組成物が、非加圧加熱しない摩擦材成形用混合粉を用いた摩擦材組成物より圧縮歪み増加率が10〜80%大きいものである前記の摩擦材組成物に関する。
さらに、本発明は、前記の摩擦材組成物を加熱加圧成形してなる摩擦材に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の摩擦材組成物において、加熱加圧成形前に予め120℃以上の温度で非加圧加熱した摩擦材成形用混合粉の含有量は、摩擦材全組成物中に3〜30重量%の範囲、好ましくは5〜20重量%の範囲、さらに好ましくは7〜15重量%の範囲とされ、3重量%未満であると本発明の効果である圧縮歪み量を制御することが困難となり、30重量%を超えると圧縮歪み量が大きくなり過ぎ、ペダルストロークが伸びブレーキの効きが悪くなる。
【0009】
摩擦材成形用混合粉の3〜30重量%を予め非加圧加熱する温度は、120℃以上、好ましくは140℃以上、さらに好ましくは140〜180℃の範囲とされ、120℃未満であると圧縮歪みの上昇が見られない。なお、非加圧加熱は、例えば乾燥器中で乾燥する方法、超音波加熱方法等があるが特に制限はない。
【0010】
本発明において、加熱加圧成形前に予め120℃以上の温度で非加圧加熱した摩擦材成形用混合粉を3〜30重量%含有する摩擦材組成物は、非加圧加熱しない摩擦材成形用混合粉を用いた摩擦材組成物より圧縮歪み増加率が10〜80%大きいことが好ましく、10〜60%大きいことがさらに好ましい。圧縮歪み増加率が10%未満であると、圧縮歪みの変化が見られない傾向がある。一方、80%を超えると、ペダルストロークが伸びブレーキの効きが悪くなる傾向がある。
【0011】
本発明になる摩擦材組成物に含まれる材料としては、例えば、銅繊維、黄銅繊維、リン青銅繊維、アラミド繊維、アクリル繊維、カーボン繊維、セラミック繊維、ロックウール、チタン酸カリウム繊維、炭酸カルシウムウィスカ、炭酸マグネシウムウィスカ等の繊維状物質、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、バーミキュライト、ゼオライト、マイカ、ウォラストナイト、アルミナ、シリカ、ジルコニア、ジルコン、マグネシア、酸化鉄、硫化鉄、硫化錫、三硫化アンチモン、二硫化モリブデン、黒鉛、コークス等の無機質摩擦調整剤、各種のゴム粉、カシューダスト等の有機質摩擦調整剤、メラミン樹脂、ポリイミド樹脂、フラン樹脂等の熱硬化性樹脂やエラストマー変性フェノール樹脂などの結合剤、さらに必要に応じて銅粉、黄銅粉、亜鉛粉等の金属粉が用いられる。
【0012】
上記における繊維状物質の含有量は、機械強度などの点から、全組成物中に20〜50体積%とすることが好ましく、25〜45体積%とすることがより好ましく、30〜40体積%とすることがさらに好ましい。無機質摩擦調整剤の含有量は、特性に応じて全組成物中に20〜50体積%とすることが好ましく、25〜45体積%とすることがより好ましく、30〜40体積%とすることがさらに好ましい。有機質摩擦調整剤の含有量は、相手剤摩耗量などの点から全組成物中に3〜25体積%とすることが好ましく、8〜20体積%とすることがより好ましく、10〜18体積%とすることがさらに好ましい。結合剤の含有量は機械強度、耐摩耗性などの点から、全組成物中に10〜30体積%とすることが好ましく、13〜27体積%とすることがより好ましく、15〜25体積%とすることがさらに好ましい。
【0013】
本発明になる摩擦材は、上記に示す材料を均一に混合して摩擦材成形用混合粉を得た後、該摩擦材成形用混合粉の一部(3〜30重量%の範囲)を加熱加圧成形前に予め160℃以上の温度で非加圧加熱処理を行い、この後、残りの非加圧加熱処理を行わない摩擦材成形用混合粉中に前記非加圧加熱処理を行った摩擦材成形用混合粉を添加して、均一に混合して摩擦材組成物を得、さらに摩擦材組成物を予備加圧成形し、さらに金型内に裏金及び予備成形体を挿設した後、加熱加圧成形法で成形し、その後加熱処理を行い、必要に応じて表面の有機材料を除去するためのスコーチ処理を行って得られる。
【0014】
なお、成形する際の加熱温度は130〜170℃が好ましく、140〜160℃がさらに好ましい。圧力は20〜60MPaが好ましく、30〜50MPaがさらに好ましい。加熱処理温度は180〜300℃が好ましく、200〜250℃がさらに好ましい。またスコーチ処理は、摩擦部材に熱盤を押し当てる方法、ガスの炎などの直火で加熱する方法、遠赤外線などの輻射熱で加熱する方法等があり特に制限はない。スコーチ処理の条件については、その材質に合った条件を選定して処理すれば良い。
【0015】
以下、本発明を実施例により説明する。
実施例1〜5、比較例1〜2
表1に示すフェノール樹脂(結合剤)、アラミド繊維、ロックウール、銅繊維、鉄繊維、チタン酸カリウム繊維(以上、繊維状物質)、アルミナ、ジルコニア、ジルコンサンド、マイカ、黒鉛、硫酸バリウム、ゼオライト、三硫化アンチモン(以上、無機質摩擦調整剤)、カシューダスト、ゴム粉末(以上、有機質摩擦調整剤)をレディゲミキサーで4000r/minの回転数で10分間均一に混合して配合粉(摩擦材成形用混合粉)を得た。
【0016】
得られた配合粉の一部を乾燥器中で160℃で1時間非加圧加熱処理した。この後、非加圧加熱処理を行わない配合粉に、非加圧加熱処理した配合粉を摩擦材全組成物に対して、それぞれ5重量%(実施例1)、10重量%(実施例2)、15重量%(実施例3)、20重量%(実施例4)、30重量%(実施例5)、35重量%(比較例2)になるように加えて、レディゲミキサーで4000r/minの回転数で10分間均一に混合して摩擦材組成物を得た。
【0017】
得られた摩擦材組成物を室温で30MPaの条件で予備加圧成形した後、145℃及び40MPaの条件で7分間加熱加圧成形し、さらに220℃で3時間加熱処理を行い、冷却後研磨してディスクブレーキパッドを得た。
上記とは別に、配合粉(摩擦材成形用混合粉)の全量を非加圧加熱処理せずに上記と同様の条件で加熱加圧成形し、さらに220℃で3時間加熱処理を行い、冷却後研磨してディスクブレーキパッドを得たものを比較例1とした。
なお、表1における各成分の体積%は、その成分の使用重量をその成分の密度で除して算出した値である。
【0018】
【表1】
【0019】
次に、本発明になる実施例のディスクブレーキパッド(摩擦材)と比較例のディスクブレーキパッド(摩擦材)について、圧縮歪み量、表面硬度及び摩擦係数(μ)を測定した。その結果を表2に示す。なお、各試験条件は下記の通りである。
【0020】
(1)圧縮歪み量
面積51.7cm2のディスクブレーキパッドに1800kgfの加重をかけたときの歪み量を測定した。
(2)表面硬度
JIS D 4421の自動車用ブレーキライニング、ディスクブレーキパッド及びクラッチフェーシングの硬さ試験方法(HRR)に準じて測定した。
(3)摩擦係数(μ)
車両重量:1620kg、ブレーキ型式:コレットタイプ(シリンダ面積:25.68cm2)、3000ccオートマチック車の前輪にホイールトルクメーターを装着して測定した。なお、ディスクブレーキパッド温度は100℃。初速度は50km/h、減速度は2.0m/s2である。
【0021】
【表2】
【0022】
表2に示されるように、本発明のディスクブレーキパッドは、表面硬度及び摩擦係数(μ)を悪化させることなく、圧縮歪み量を安定して制御できることが明らかである。
【0023】
【発明の効果】
請求項1、2及び3記載の摩擦材組成物は、制動特性などの他の特性を悪化させることなく、圧縮歪み量を安定して制御できる、摩擦材に適した摩擦材組成物を提供することができる。
請求項4記載の摩擦材は、制動特性などの他の特性を悪化させることなく、圧縮歪み量を安定して制御でき、工業的に極めて好適である。
Claims (4)
- 加熱加圧成形前に予め120℃以上の温度で非加圧加熱した摩擦材成形用混合粉を3〜30重量%含有してなる摩擦材組成物。
- 加熱加圧成形前に予め120℃以上の温度で非加圧加熱した摩擦材成形用混合粉3〜30重量%及び非加圧加熱しない摩擦材成形用混合粉70〜97重量%を含む請求項1記載の摩擦材組成物。
- 120℃以上の温度で非加圧加熱した摩擦材成形用混合粉を3〜30重量%含有した摩擦材組成物が、非加圧加熱しない摩擦材成形用混合粉を用いた摩擦材組成物より圧縮歪み増加率が10〜80%大きいものである請求項1又は2記載の摩擦材組成物。
- 請求項1、2又は3記載の摩擦材組成物を加熱加圧成形してなる摩擦材。
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JP2003145701A JP2004346214A (ja) | 2003-05-23 | 2003-05-23 | 摩擦材組成物及び摩擦材組成物を用いた摩擦材 |
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---|---|---|---|
JP2003145701A JP2004346214A (ja) | 2003-05-23 | 2003-05-23 | 摩擦材組成物及び摩擦材組成物を用いた摩擦材 |
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JP2003145701A Pending JP2004346214A (ja) | 2003-05-23 | 2003-05-23 | 摩擦材組成物及び摩擦材組成物を用いた摩擦材 |
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009091422A (ja) * | 2007-10-05 | 2009-04-30 | Hitachi Chem Co Ltd | 摩擦材組成物及び摩擦材組成物を用いた摩擦材 |
JP2010285558A (ja) * | 2009-06-12 | 2010-12-24 | Akebono Brake Ind Co Ltd | 摩擦材 |
WO2014185307A1 (ja) * | 2013-05-15 | 2014-11-20 | 大塚化学株式会社 | 摩擦材及びドラムブレーキ用摩擦材 |
JP2015028176A (ja) * | 2009-06-01 | 2015-02-12 | 日立化成株式会社 | 摩擦材組成物、これを用いた摩擦材及び摩擦部材 |
-
2003
- 2003-05-23 JP JP2003145701A patent/JP2004346214A/ja active Pending
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2015028176A (ja) * | 2009-06-01 | 2015-02-12 | 日立化成株式会社 | 摩擦材組成物、これを用いた摩擦材及び摩擦部材 |
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