JP2001107026A - 摩擦材組成物及び摩擦材組成物を用いた摩擦材 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 音振特性や効き特性、耐摩耗特性への悪影響
が少なく、防錆に優れる摩擦材に適した摩擦材組成物及
び摩擦材組成物を用いた摩擦材を提供する。 【解決手段】 全組成物中に長さが１〜１０mmの亜鉛繊
維を１〜１０重量％含有してなる摩擦材組成物及び上記
の摩擦材組成物を加熱加圧成形してなる摩擦材。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、自動車、鉄道車
両、各種産業用機械等の制動に用いられるディスクブレ
ーキパッド、ブレーキライニング等の摩擦材に適した摩
擦材組成物及び摩擦材組成物を用いた摩擦材に関する。

【０００２】

【従来の技術】自動車、鉄道車両、各種産業用機械等に
は、その制動のためディスクブレーキパッド、ブレーキ
ライニング等の摩擦材が使用されている。現在使用され
ている摩擦材、例えばディスクブレーキバッドは、特開
平６−１８４５２５号公報などに示されるようにアラミ
ド繊維・鉱物繊維等の繊維状物質、カシューダスト・黒
鉛等の摩擦調整剤を用いて制動時の鳴きや異音の発生の
少ないNon・Asbestos・Organic（ノン・アスベストス・オ
ーガニック）（以下ＮＡＯ材と称する）系のディスクブ
レーキパッドが主流である。

【０００３】しかしながら、近年のブレーキへの性能要
求は益々多様化する傾向にあり、従来のＮＡＯ材に対し
て、ブレーキ鳴き、異音といった音振特性をさらに向上
しながら、効き特性、耐摩耗特性、ディスクロータ表面
とディスクブレーキパッド摩擦面間の発錆防止や相手材
（ディスクロータ）への錆固着（貼り付き）防止（以下
防錆とする）等の性能向上が要求されているが、上記に
示すような従来のディスクブレーキパッドでは、全ての
特性を十分に満足することが難しい状況である。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】請求項１記載の発明
は、音振特性や効き特性、耐摩耗特性への悪影響が少な
く、防錆に優れる摩擦材に適した摩擦材組成物を提供す
るものである。請求項２記載の発明は、音振特性や効き
特性、耐摩耗特性への悪影響が少なく、防錆に優れる摩
擦材を提供するものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は、全組成物中に
長さが１〜１０mmの亜鉛繊維を１〜１０重量％含有して
なる摩擦材組成物に関する。また、本発明は、上記の摩
擦材組成物を加熱加圧成形してなる摩擦材に関する。

【０００６】

【発明の実施の形態】本発明で用いられる亜鉛繊維の繊
維長さは、１〜１０mm、好ましくは２〜８mm、さらに好
ましくは３〜６mmの範囲とされ、１mm未満であると耐フ
ェード性が低下し、１０mmを超えると鳴きが悪化する。
また、長さが１〜１０mmの範囲の亜鉛繊維の含有量は全
組成物中に１〜１０重量％、好ましくは２〜８重量％、
さらに好ましくは３〜６重量％の範囲とされ、１重量％
未満であると防錆効果（発錆や錆固着等の防止効果）が
低下し、１０重量％を超えると耐フェード性が低下し、
鳴きが悪化する。さらに、亜鉛繊維の太さ（直径）につ
いては特に制限はないが、例えば３０〜１５０μｍであ
ることが好ましく、５０〜１２０μｍであることがより
好ましく、７０〜１００μｍであることがさらに好まし
い。

【０００７】本発明における摩擦材組成物は、亜鉛繊維
以外の繊維状物質、結合剤、摩擦調整剤、充填剤等が用
いられ、さらに必要に応じて銅、黄銅、亜鉛、青銅等の
金属粉が用いられる。なお亜鉛繊維以外の繊維状物質と
しては、スチール繊維、黄銅繊維、銅繊維、アラミド繊
維、アクリル繊維、カーボン繊維、セラミック繊維、ロ
ックウール、チタン酸カリウム繊維、炭酸カルシウムウ
ィスカ、炭酸マグネシウムウィスカ等が挙げられる。

【０００８】結合剤としては、フェノール樹脂、メラミ
ン樹脂、エポキシ樹脂やこれらの各種変性樹脂、例えば
カシュー変性、ゴム変性等の熱硬化性樹脂、ＮＢＲ、Ｓ
ＢＲ、ＩＲ等のゴムなどが挙げられる。摩擦調整剤とし
ては、カシューダスト、三硫化アンチモン、二硫化モリ
ブデン、黒鉛、コークス等が挙げられる。充填剤として
は、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウ
ム、バーミキュライト、ゴム粉等が挙げられる。

【０００９】上記における繊維状物質の含有量は、機械
強度などの点から、全組成物中に５〜４０重量％とする
ことが好ましく、１０〜３５重量％とすることがより好
ましく、１５〜３０重量％とすることがさらに好まし
い。結合剤の含有量は、成形性などの点から全組成物中
に３〜１５重量％とすることが好ましく、４〜１３重量
％とすることがより好ましく、５〜１１重量％とするこ
とがさらに好ましい。摩擦調整剤の含有量は、摩擦係数
とその安定性などの点から全組成物中に４〜３０重量％
とすることが好ましく、７〜２２重量％とすることがよ
り好ましく、１０〜１９重量％とすることがさらに好ま
しい。

【００１０】充填剤の含有量は、充填密度などの点から
全組成物中に２０〜６０重量％とすることが好ましく、
２５〜５０重量％とすることがより好ましく、３０〜４
０重量％とすることがさらに好ましい。さらに必要に応
じて添加する金属粉の含有量は、全組成物中に１〜８重
量％とすることが好ましく、２〜７重量％とすることが
より好ましく、３〜６重量％とすることがさらに好まし
い。これらの成分は全組成物が１００重量％になるよう
に配合される。

【００１１】本発明になる摩擦材は、上記に示す摩擦材
組成物を均一に混合し、この混合物を予備成形し、次い
で金型内に裏金及び予備成形体を挿設した後、加熱加圧
成形法で成形し、その後加熱処理を行って得られる。な
お必要に応じて加熱処理後、さらに４００〜７００℃の
高温で成形体の表面を焼き付けても良い。成形する際の
加熱温度は１３０〜１７０℃が好ましく、１４０〜１６
０℃がさらに好ましい。圧力は３０〜７０MPaが好まし
く、４０〜６０MPaがさらに好ましい。加熱処理温度は
１５０〜３００℃が好ましく、１８０〜２５０℃がさら
に好ましい。

【００１２】

【実施例】以下、本発明を実施例により説明する。

【００１３】実施例１〜５、比較例１〜４ 表１及び表２に示す成分を配合し、混合機で均一に混合
して摩擦材組成物を得た。次いで摩擦材組成物を所定の
形状に予備成形した後、金型内に裏金と予備成形体を挿
設し、１４０±５℃及び５０MPaの条件で１０分間加熱
加圧成形し、さらに２５０℃で５時間加熱処理を行い、
冷却後研磨してディスクブレーキパッドを得た。

【００１４】

【表１】

【００１５】

【表２】

【００１６】次に本発明の実施例になる摩擦材組成物を
用いたディスクブレーキパッドと比較例の摩擦材組成物
を用いたディスクブレーキパッドについて、防錆、効き
（摩擦係数）及びブレーキ鳴きの比較試験を行った。そ
の結果を表３に示す。なお試験条件は次の通りである。 防錆 ＪＩＳ Ｄ ４４１４に従って錆固着試験を行い、発錆
面積と錆固着力を比較した。 効き ＪＡＳＯ Ｃ４０２に従ってダイナモ試験を行い、摩擦
係数を比較した。 鳴き ＪＡＳＯ Ｃ４０２に従って実車試験を行い、試験中の
鳴きを測定し、７５dB以上の鳴きの発生率を求めた。な
お、上記の試験は全て本田技研工業(株)製、車種名：シ
ビック（１３インチサイズ）のブレーキユニットを用い
て行った。

【００１７】

【表３】

【００１８】表３に示されるように、本発明の実施例に
なる摩擦材組成物を用いたディスクブレーキパッドは、
防錆性能に優れ、効きと鳴きへの影響が小さいことが明
らかである。これに対し比較例１の摩擦材組成物を用い
たディスクブレーキパッドは、防錆効果が不十分であ
り、また比較例２及び４の摩擦材組成物を用いたディス
クブレーキパッドは、ブレーキ鳴きの発生率が高く、さ
らに比較例３の摩擦材組成物を用いたディスクブレーキ
パッドは、第２回効力試験における摩擦係数と第１フェ
ード試験における摩擦係数の両方が低いことが明らかで
ある。

【００１９】

【発明の効果】請求項１記載における摩擦材組成物は、
音振特性や効き特性、耐摩耗特性への悪影響が少なく、
防錆に優れる摩擦材を提供することができる。請求項２
における摩擦材は、音振特性や効き特性、耐摩耗特性へ
の悪影響が少なく、防錆に優れ、工業的に極めて好適で
ある。

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Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 全組成物中に長さが１〜１０mmの亜鉛繊
   維を１〜１０重量％含有してなる摩擦材組成物。
2. 【請求項２】 請求項１記載の摩擦材組成物を加熱加圧
   成形してなる摩擦材。