JP2010284738A - 微小可動デバイス - Google Patents
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Abstract
【課題】単一のアクチュエータで3点以上の安定点を取ることができ、小型化・集積化可能な微小可動デバイスを提供する。
【解決手段】微小可動デバイスは基板31と、基板31上に設けられた固定構造物と、その固定構造物に連結支持されて基板板面と平行に駆動される可動構造物とを有する。可動構造物(可動ロッド41)は第1の双安定ヒンジ対53,54の中央に結合され、第1の双安定ヒンジ対53,54の他端は第2の双安定ヒンジ対56,57の中央に結合され、第2の双安定ヒンジ対56,57の他端は固定構造物(アンカー部58)に結合される。2つの双安定ヒンジ対がそれぞれ2つの安定状態の何れかにある時に可動ロッド41は4つの安定点を取ることができる。双安定ヒンジ対をN段構成(Nは2以上の整数)とすれば、安定点が3以上2N以下の個数の相互に異なる点として形成される。
【選択図】図1
【解決手段】微小可動デバイスは基板31と、基板31上に設けられた固定構造物と、その固定構造物に連結支持されて基板板面と平行に駆動される可動構造物とを有する。可動構造物(可動ロッド41)は第1の双安定ヒンジ対53,54の中央に結合され、第1の双安定ヒンジ対53,54の他端は第2の双安定ヒンジ対56,57の中央に結合され、第2の双安定ヒンジ対56,57の他端は固定構造物(アンカー部58)に結合される。2つの双安定ヒンジ対がそれぞれ2つの安定状態の何れかにある時に可動ロッド41は4つの安定点を取ることができる。双安定ヒンジ対をN段構成(Nは2以上の整数)とすれば、安定点が3以上2N以下の個数の相互に異なる点として形成される。
【選択図】図1
Description
この発明は微小可動デバイスに関し、特に簡易な構成で可動構造物(可動体)を複数の安定点に位置させることができる微小可動デバイスに関する。
図12は特許文献1に記載されている1×n光スイッチの構成を示したものである。図12中、1はハウジング、2は光導入路を構成する入力用光ファイバ、3及び4はコリメータレンズ、5はn個の光導出路を構成する出力用光ファイバ、6はn個のプリズムP1〜Pnと共に光路切換制御手段を構成する電磁リレーを示す。また、8はコリメータレンズ、9は伝送用光ファイバを示す。
この例では電磁リレー6を駆動制御し、プリズムP1〜Pnを光路Pxに対し、進退させ、つまり各プリズムP1〜Pnの位置を制御することにより、光導入路(入力用光ファイバ2)から導入された光信号をn個の光導出路(出力用光ファイバ5)のいずれかに択一的に振り分けることができるものとなっている。
図13は特許文献2に記載されている1×n光スイッチの構成を示したものであり、この例では1本のマスター側光ファイバ11を可動的にガイドするガイド機構12と、複数本のn側光ファイバ13を支持する支持機構14とが所定の間隔をあけて配置されている。
ガイド機構12においては、マスター側光ファイバ11を支持する移動ステージ15に設けた凹凸部15aと、ガイド部材16及び駆動板17のそれぞれに設けた凹凸部16a,17aとが互いに噛み合うように構成され、移動ステージ15とガイド部材16とは適当強度の磁石により吸引されている。支持機構14においては、支持部材18に形成された複数本のV溝18aにそれぞれn側光ファイバ13が嵌合され、押さえ板19で固定されている。
この例では駆動板17が円環運動をすることにより、移動ステージ15はガイド部材16に沿って移動し、凹凸部15a,16aの噛み合いにより位置決めされると共に、マスター側光ファイバ11の先端は次のV溝18a内においてn側光ファイバ13と光結合して光路の切り替えが行われるものとなっている。
一方、特許文献3には双安定ヒンジ(双安定梁)を備えることを特徴とするMEMSに基づくシステム(MEMSデバイス)が記載されている。図14はその構成を示したものであり、図14中、21は双安定ヒンジ、22は可動メンバ、23は定常状態メンバを示す。可動メンバ22及び定常状態メンバ23は例えば導波管や光ファイバなどとされ、可動メンバ22は双安定ヒンジ21と共に動くように構成され、定常状態メンバ23は基板24に固定されている。
双安定ヒンジ21に力Fを印加することにより、双安定ヒンジ21は図14Aに示した第1安定状態と図14Bに示した第2安定状態との間を移動し、この例では図14Bに示した第2安定状態において可動メンバ22は定常状態メンバ23と整列または連結されるものとなっている。
上述の図12に示したような構成とされた光スイッチではn個の光導出路に対して、それぞれプリズムと電磁リレーとが必要であり、つまりチャネル数分の光路切換制御手段が必要であり、その分、全体として大型となり、集積化・小型化が図りづらいという問題がある。
図13に示した光スイッチでは1つのアクチュエータ機構(ガイド機構)によって複数の安定点を取れ、つまりアクチュエータ機構は複数の安定点を有するものとなっているものの、機構が複雑であり、その点で作製に手間がかかり、また図12に示した光スイッチと同様、小型化を図りづらいという問題がある。
一方、図14に示したMEMSデバイスはSOIウェハ等を用いて作製されるもので、集積化・小型化の点では有利であるものの、双安定ヒンジにより得られる安定点(安定位置)は2点であり、よって例えば1×2光スイッチは容易に構成できるものの、1×3光スイッチは構成が困難になるという問題がある。
この発明の目的は上述したような問題に鑑み、単一のアクチュエータで3点以上の安定点を取ることができ、その点で集積化・小型化でき、かつ作製が容易な微小可動デバイスを提供することにある。
請求項1の発明によれば、基板と、その基板上に設けられた固定構造物と、その固定構造物に連結支持されて基板板面と平行に駆動される可動構造物とを有する微小可動デバイスは、可動構造物が第1の双安定ヒンジ対の中央に結合され、その第1の双安定ヒンジ対の可動構造物に結合されていない端部が第2の双安定ヒンジ対の中央に結合され、Nを2以上の整数、kを1≦k≦N−1の整数とした時、第kの双安定ヒンジ対の可動構造物もしくは第k−1の双安定ヒンジ対の端部に結合されていない端部が第k+1の双安定ヒンジ対の中央に結合され、第Nの双安定ヒンジ対の第N−1の双安定ヒンジ対の端部に結合されていない端部が固定構造物に結合されることで、可動構造物が固定構造物に連結支持されており、第1乃至第Nの双安定ヒンジ対のすべてがそれぞれ2つの安定状態の何れかにある時に可動構造物が取る位置としての安定点が、3以上2N以下の個数の相互に異なる点として形成される。
請求項2の発明では請求項1の発明において、第kの双安定ヒンジ対の可動構造物もしくは第k−1の双安定ヒンジ対の端部に結合されていない端部どうしが第kの堅牢な連結構造体で連結され、その第kの連結構造体が第k+1の双安定ヒンジ対の中央に結合されることで、第kの双安定ヒンジ対の可動構造物もしくは第k−1の双安定ヒンジ対の端部に結合されていない端部が第k+1の双安定ヒンジ対の中央に結合される。
請求項3の発明では請求項1又は2の発明において、第1乃至第Nの双安定ヒンジ対のそれぞれが持つバネ定数が相互に異なるものとされる。
請求項4の発明では請求項1の発明において、可動構造物の、基板板面に平行な面内の動きを制約する駆動方向ガイドが基板上に設けられる。
請求項5の発明では請求項2の発明において、可動構造物もしくは第kの連結構造体の、基板板面に平行な面内の動きを制約する駆動方向ガイドが基板上に設けられる。
この発明によれば、単一のアクチュエータで3点以上の安定点を取ることができ、その点で集積化・小型化でき、かつ作製が容易な微小可動デバイスを提供することができる。
この発明の実施形態を図面を参照して実施例により説明する。
図1はこの発明による微小可動デバイスの一実施例として、1×4光スイッチの構成を示したものであり、1×4光スイッチはこの例ではSOIウェハをフォトリソグラフィ及びエッチングすることによって形成されている。SOIウェハはSi(シリコン)基板31上に絶縁層(SiO2層)を介してデバイス層(Si層)32が配置されてなる3層構造を有するもので、Si基板31上にデバイス層32によって所要の固定構造物及び可動構造物が形成される。
以下、1×4光スイッチの構成を説明する。
可動ロッド41の先端にはミラー42が形成され、ミラー42は凹部43に位置されている。凹部43から基板31の一辺に向って1本のファイバ溝44が形成され、さらにこのファイバ溝44と直交する方向に凹部43から基板31の他辺に向って4本のファイバ溝45が形成されている。これらファイバ溝44及び45にはそれぞれ入力用光ファイバ35及び出力用光ファイバ36が図1に示したように位置決め設置される。
可動ロッド41の先端にはミラー42が形成され、ミラー42は凹部43に位置されている。凹部43から基板31の一辺に向って1本のファイバ溝44が形成され、さらにこのファイバ溝44と直交する方向に凹部43から基板31の他辺に向って4本のファイバ溝45が形成されている。これらファイバ溝44及び45にはそれぞれ入力用光ファイバ35及び出力用光ファイバ36が図1に示したように位置決め設置される。
可動ロッド41は櫛歯型静電アクチュエータによって駆動される構造とされ、櫛歯型静電アクチュエータは第1固定櫛歯電極46と第2固定櫛歯電極47と可動櫛歯電極48とによって構成されている。可動ロッド41の延伸方向中間部における幅方向両側には支持ロッド49がそれぞれ突設され、これら支持ロッド49のそれぞれ両側に可動櫛歯電極48が形成されている。第1及び第2固定櫛歯電極46,47は支持ロッド49の両側の可動櫛歯電極48とそれぞれ噛み合うように配置されている。
上記のような構成を有する櫛歯型静電アクチュエータは凹部43と連通する凹部51内に位置され、さらにこの凹部51に続いて凹部52が形成され、この凹部52に可動ロッド41の基端が位置されている。
可動ロッド41の基端は第1の双安定ヒンジ対53,54の中央に結合され、それら第1の双安定ヒンジ対53,54の各他端はこの例では堅牢な連結構造体55に結合されている。連結構造体55はコ字形状をなし、さらにコ字の中間部55aの中央から外側に突設された突設部55bを有している。第1の双安定ヒンジ対53,54の各他端はコ字の両脚部55cに結合され、連結構造体55によって連結されている。
連結構造体55の突設部55bの先端は第2の双安定ヒンジ対56,57の中央に結合され、それら第2の双安定ヒンジ対56,57の各他端は凹部52を囲むアンカー部58に結合されている。このように、この例では可動ロッド41は第1の双安定ヒンジ対53,54、連結構造体55及び第2の双安定ヒンジ対56,57を介してアンカー部58に連結支持された構造となっている。
上記のような構成において、可動ロッド41、ミラー42、支持ロッド49、可動櫛歯電極48、第1の双安定ヒンジ対53,54、連結構造体55及び第2の双安定ヒンジ対56,57は可動体であり、これら可動体はその下の絶縁層がエッチング除去されることによりSi基板31から浮いた状態となっている。
櫛歯型静電アクチュエータを駆動することにより、可動ロッド41はSi基板31の板面と平行に、その延伸方向に駆動され、これにより第1の双安定ヒンジ対53,54及び第2の双安定ヒンジ対56,57はそれぞれ反転動作をし、2つの安定状態の何れかを取る。よって、この例では可動ロッド41は4つの安定点を取り、それら安定点間を移動するものとなっており、つまりミラー42が4本の出力用光ファイバ36のいずれかに対応する位置に位置して光路の切り替えが行われるものとなっている。
図2は第1及び第2の双安定ヒンジ対53,54及び56,57の各反転動作により4つの安定点(安定状態)が得られる様子を示したものである。
図2Aに示した第1安定点の状態から第1の双安定ヒンジ対53,54に矢印で示したように力Fが紙面上向きに加わると、第1の双安定ヒンジ対53,54は反転し、図2Bに示した第2安定点の状態となる。さらに、第1の双安定ヒンジ対53,54に上向きに力Fが加わると、第2の双安定ヒンジ対56,57が反転し、図2Cに示した第3安定点の状態となる。そして、この第3安定点の状態に対し、下向きに力Fを加えると、第1の双安定ヒンジ対53,54が反転し、図2Dに示した第4安定点の状態となり、このような力Fの印加により4つの安定点を得ることができる。
次に、上述した例のように、双安定ヒンジ対を2段構成とした場合に得られる安定点の位置(距離)をシミュレーションにより求めた結果について説明する。なお、第1の双安定ヒンジ対H1(53,54)及び第2の双安定ヒンジ対H2(56,57)の連結構造は図3Aに示したように図1と同様とし、双安定ヒンジ対のヒンジ厚さ:t、ヒンジ長さ:BL、S−Bend:SB及びフィレット半径:rを図3Bに示したように定義する。
〈シミュレーション1〉
下記値をシミュレーションに用いた。
下記値をシミュレーションに用いた。
・ヒンジ厚さ:t
第1の双安定ヒンジ対H1:1.5μm
第2の双安定ヒンジ対H2:2.0μm
・ヒンジ長さ:BL
第1の双安定ヒンジ対H1:500μm
第2の双安定ヒンジ対H2:500μm
・S−Bend:SB
第1の双安定ヒンジ対H1:10μm
第2の双安定ヒンジ対H2:15μm
・フィレット半径:r
第1の双安定ヒンジ対H1:4000μm
第2の双安定ヒンジ対H2:4000μm
第1の双安定ヒンジ対H1:1.5μm
第2の双安定ヒンジ対H2:2.0μm
・ヒンジ長さ:BL
第1の双安定ヒンジ対H1:500μm
第2の双安定ヒンジ対H2:500μm
・S−Bend:SB
第1の双安定ヒンジ対H1:10μm
第2の双安定ヒンジ対H2:15μm
・フィレット半径:r
第1の双安定ヒンジ対H1:4000μm
第2の双安定ヒンジ対H2:4000μm
シミュレーション結果を図4に示す。図4においてx軸は初期状態(図3の状態:第1安定点)から双安定ヒンジ対が第2安定点へ移動する方向を正とした時のストローク距離を示し、y軸は双安定ヒンジ対の反力を示す。
シミュレーションの条件によりグラフが一部歪んでいるが、図5に参照用として示した単独(1段)の双安定ヒンジ対の場合のグラフ(反力図)と比較して図4Aに示した往路、図4Bに示した復路共に安定点が1つ多い3つの安定点(反力の傾きが正であり、かつ反力値が0である点。但し、初期状態を含む)を有することがわかる。
安定点から次の安定点に移行するためには、移動方向の反力の山を越える力が必要である。図4では両双安定ヒンジ対の硬さを変えたことにより、各安定点へ移行するために必要な力がそれぞれ異なる結果となった。これは加える力を制御することにより、任意の安定点へ双安定ヒンジ対を移行制御することができることを示す。各安定点の位置は以下の通りとなった。
第1安定点:x=0μm
第2安定点:x=21.6μm
第3安定点:x=52.8μm
第4安定点:x=31.6μm
第2安定点:x=21.6μm
第3安定点:x=52.8μm
第4安定点:x=31.6μm
〈シミュレーション2〉
シミュレーション1に対し、第1の双安定ヒンジ対H1と第2の双安定ヒンジ対H2のバネ定数(硬さ)の大小関係を逆にし、第1の双安定ヒンジ対H1のバネ定数>第2の双安定ヒンジ対H2のバネ定数とした。シミュレーションに用いた値は以下の通りである。
シミュレーション1に対し、第1の双安定ヒンジ対H1と第2の双安定ヒンジ対H2のバネ定数(硬さ)の大小関係を逆にし、第1の双安定ヒンジ対H1のバネ定数>第2の双安定ヒンジ対H2のバネ定数とした。シミュレーションに用いた値は以下の通りである。
・ヒンジ厚さ:t
第1の双安定ヒンジ対H1:3.0μm
第2の双安定ヒンジ対H2:1.5μm
・ヒンジ長さ:BL
第1の双安定ヒンジ対H1:500μm
第2の双安定ヒンジ対H2:500μm
・S−Bend:SB
第1の双安定ヒンジ対H1:15μm
第2の双安定ヒンジ対H2:10μm
・フィレット半径:r
第1の双安定ヒンジ対H1:4000μm
第2の双安定ヒンジ対H2:4000μm
第1の双安定ヒンジ対H1:3.0μm
第2の双安定ヒンジ対H2:1.5μm
・ヒンジ長さ:BL
第1の双安定ヒンジ対H1:500μm
第2の双安定ヒンジ対H2:500μm
・S−Bend:SB
第1の双安定ヒンジ対H1:15μm
第2の双安定ヒンジ対H2:10μm
・フィレット半径:r
第1の双安定ヒンジ対H1:4000μm
第2の双安定ヒンジ対H2:4000μm
シミュレーション結果を図6に示す。図6よりバネ定数の大小関係を逆にしても、往路、復路共に3つの安定点を持つことがわかる。なお、グラフが一部乱れているのはシミュレーションの条件による。各安定点の位置は以下の通りとなった。
第1安定点:x=0μm
第2安定点:x=20.8μm
第3安定点:x=51.2μm
第4安定点:x=31.2μm
第2安定点:x=20.8μm
第3安定点:x=51.2μm
第4安定点:x=31.2μm
〈シミュレーション3〉
シミュレーション2の条件に対し、第1の双安定ヒンジ対H1と第2の双安定ヒンジ対H2のストローク(SB×2)を同じにした。シミュレーションに用いた値は以下の通りである。
シミュレーション2の条件に対し、第1の双安定ヒンジ対H1と第2の双安定ヒンジ対H2のストローク(SB×2)を同じにした。シミュレーションに用いた値は以下の通りである。
・ヒンジ厚さ:t
第1の双安定ヒンジ対H1:3.0μm
第2の双安定ヒンジ対H2:1.5μm
・ヒンジ長さ:BL
第1の双安定ヒンジ対H1:500μm
第2の双安定ヒンジ対H2:500μm
・S−Bend:SB
第1の双安定ヒンジ対H1:10μm
第2の双安定ヒンジ対H2:10μm
・フィレット半径:r
第1の双安定ヒンジ対H1:4000μm
第2の双安定ヒンジ対H2:4000μm
第1の双安定ヒンジ対H1:3.0μm
第2の双安定ヒンジ対H2:1.5μm
・ヒンジ長さ:BL
第1の双安定ヒンジ対H1:500μm
第2の双安定ヒンジ対H2:500μm
・S−Bend:SB
第1の双安定ヒンジ対H1:10μm
第2の双安定ヒンジ対H2:10μm
・フィレット半径:r
第1の双安定ヒンジ対H1:4000μm
第2の双安定ヒンジ対H2:4000μm
シミュレーション結果を図7に示す。図7よりストロークを同じにした場合、3つの安定点しか取らないことがわかる。各安定点の位置は以下の通りとなった。
第1安定点:x=0μm
第2安定点:x=21.6μm
第3安定点:x=42.4μm
第2安定点:x=21.6μm
第3安定点:x=42.4μm
以上、シミュレーションを行った結果について説明したが、双安定ヒンジ対を2段構成とすることにより、単独の双安定ヒンジ対では実現し得なかった4つもしくは3つの安定点を得ることができる。
上述した例では双安定ヒンジ対を2段構成としたが、図8に示したようにさらに段数を増やした構成とすることもできる。図8では双安定ヒンジ対はN段構成とされており、このようなN段構成の双安定ヒンジ対を図1に示した光スイッチに適用することもできる。この場合、第Nの双安定ヒンジ対HNの第N−1の双安定ヒンジ対HN−1の端部に結合されていない端部をアンカー部58(固定構造物)に結合することで、可動ロッド41(可動構造物)がN段の双安定ヒンジ対を介してアンカー部58(固定構造物)に連結支持される。
以上説明したように、この発明は可動構造物を第1の双安定ヒンジ対の中央に結合し、その第1の双安定ヒンジ対の可動構造物に結合されていない端部を第2の双安定ヒンジ対の中央に結合し、以下、同様に、Nを2以上の整数、kを1≦k≦N−1の整数とした時、第kの双安定ヒンジ対の可動構造物もしくは第k−1の双安定ヒンジ対の端部に結合されていない端部を第k+1の双安定ヒンジ対の中央に結合し、第Nの双安定ヒンジ対の第N−1の双安定ヒンジ対の端部に結合されていない端部を固定構造物に結合することで、可動構造物を固定構造物に連結支持するものとなっており、第1乃至第Nの双安定ヒンジ対のすべてがそれぞれ2つの安定状態の何れかにある時に可動構造物が取る位置としての安定点が、3以上2N以下の個数の相互に異なる点として形成されるものとなっている。
なお、上述した例では第kの双安定ヒンジ対の可動構造物もしくは第k−1の双安定ヒンジ対の端部に結合されていない端部どうしが第kの堅牢な連結構造体で連結され、その第kの連結構造体が第k+1の双安定ヒンジ対の中央に結合されることで、第kの双安定ヒンジ対の可動構造物もしくは第k−1の双安定ヒンジ対の端部に結合されていない端部が第k+1の双安定ヒンジ対の中央に結合されるものとなっている。
上述したようなN段(多段)構成の双安定ヒンジ対はバネ定数が相互に異なるものとすることにより、任意の安定点に駆動させることができる。以下、図9を参照して、任意の安定点に駆動させる方法を説明する。
図9は双安定ヒンジ対が4段(4つ)連結されているものとして、それら双安定ヒンジ対のみを模式的に示したものであり、図9では第1乃至第4の双安定ヒンジ対を第1乃至第4ヒンジと簡略化して記している。
今、図9中に示したように、第1ヒンジから第4ヒンジまでバネ定数が段階的に小さくなっているとし、図9Aに示した初期状態から、図9Bに示したように第1ヒンジを反転状態、第2ヒンジを反転状態、第3ヒンジを初期状態、第4ヒンジを反転状態にする場合を考える。なお、ヒンジが初期状態(第1安定状態)にある時を“0”とし、ヒンジが反転状態(第2安定状態)にある時を“1”とする。
この例の場合、バネ定数の最も大きい第1ヒンジを“1”の状態にする最低限の力を駆動部(アクチュエータ)より与え、第1ヒンジを反転させる。この時、第1ヒンジ以降の第2ヒンジから第4ヒンジまですべて“1”の状態になる。次に、2番目にバネ定数の大きい第2ヒンジを制御する。現状態では第2ヒンジは反転状態にあるため、このままの状態を維持すればよく、よって制御は行わず、次のヒンジの制御に移る。第3ヒンジは“1”の状態にあるため、“0”の状態に戻す必要があり、反転する最低限の力を駆動部より与える。この時、第3ヒンジよりもバネ定数が大きい第1ヒンジ、第2ヒンジは動作せず、バネ定数が小さい第4ヒンジは第3ヒンジと共に、“0”の状態に戻る。以降同様に制御を行い、最終段の第4ヒンジを反転状態にする最低限の力を駆動部より与えることで、図9Bに示した安定状態とすることができる。
このようにヒンジ状態を2進数で認識して駆動力を発生させることによりヒンジ状態を制御することができ、ヒンジの連結段数が多くなったとしても、任意の安定点に容易に駆動させることができる。
ところで、このようなN段の双安定ヒンジ対に支持され、駆動部により基板板面と平行に駆動される可動構造物の所定の(駆動すべき方向への)動きを良好に実現するためには、可動構造物に駆動方向ガイドを設けるのが好ましい。図10は図1に示した2段構成の双安定ヒンジ対による可動ロッド41の支持構造に対し、駆動方向ガイドを設けた例を示したものであり、この例では駆動方向ガイド61は可動ロッド41の幅方向両側に所定の間隙を介して設けられている。このような駆動方向ガイド61を設けることにより、可動ロッド41の基板板面に平行な面内の動きを制約することができ、つまり駆動すべき方向以外への動きを制限することができる。なお、図10中に2点鎖線で示したように、駆動方向ガイド61に加え、さらに連結構造体55の突設部55bに対しても同様に駆動方向ガイド62を設けてもよい。
図11はN段の双安定ヒンジ対による可動構造物の支持構造の他の構成例を示したものであり、この例では連結構造体65は前述の連結構造体55と異なり、単なるコ字形状とされている。
可動ロッド41の基端は第1の双安定ヒンジ対53,54の中央に結合され、それら第1の双安定ヒンジ対53,54の各他端は第1の連結構造体651の両脚部651cにそれぞれ結合されている。そして、第1の連結構造体651の両脚部651cと第2の連結構造体652の両脚部652cの間に第2の双安定ヒンジ対56,57が各別に設けられている。つまり、この例では2段構成の場合を示しているが、第2の双安定ヒンジ対以降は互いに直接には連続せず、左右に分かれて配置される構成となっており、このような支持構造を採用することもできる。
以上説明したように、この発明によれば従来の単一の双安定ヒンジ対を具備する構成では実現し得なかった3点以上の安定点を単一のアクチュエータで得ることができ、よって例えば1×N型の光スイッチを容易に作製することができる。なお、このような3点以上の安定点を有する微小可動デバイスは光スイッチに限らず、自己保持を必要とするチューナブルデバイスに応用することができ、例えばMEMS型の可変キャパシタなどに用いて好適である。
Claims (5)
- 基板と、その基板上に設けられた固定構造物と、その固定構造物に連結支持されて基板板面と平行に駆動される可動構造物とを有する微小可動デバイスであって、
前記可動構造物は第1の双安定ヒンジ対の中央に結合され、その第1の双安定ヒンジ対の前記可動構造物に結合されていない端部は第2の双安定ヒンジ対の中央に結合され、Nを2以上の整数、kを1≦k≦N−1の整数とした時、第kの双安定ヒンジ対の前記可動構造物もしくは第k−1の双安定ヒンジ対の端部に結合されていない端部は第k+1の双安定ヒンジ対の中央に結合され、第Nの双安定ヒンジ対の第N−1の双安定ヒンジ対の端部に結合されていない端部は前記固定構造物に結合されることで、前記可動構造物が前記固定構造物に連結支持されており、
前記第1乃至第Nの双安定ヒンジ対のすべてがそれぞれ2つの安定状態の何れかにある時に前記可動構造物が取る位置としての安定点が、3以上2N以下の個数の相互に異なる点として形成されることを特徴とする微小可動デバイス。 - 請求項1記載の微小可動デバイスにおいて、
前記第kの双安定ヒンジ対の前記可動構造物もしくは第k−1の双安定ヒンジ対の端部に結合されていない端部どうしが第kの堅牢な連結構造体で連結され、その第kの連結構造体が第k+1の双安定ヒンジ対の中央に結合されることで、前記第kの双安定ヒンジ対の前記可動構造物もしくは第k−1の双安定ヒンジ対の端部に結合されていない端部が前記第k+1の双安定ヒンジ対の中央に結合されていることを特徴とする微小可動デバイス。 - 請求項1又は2記載の微小可動デバイスにおいて、
前記第1乃至第Nの双安定ヒンジ対のそれぞれが持つバネ定数が相互に異なることを特徴とする微小可動デバイス。 - 請求項1記載の微小可動デバイスにおいて、
前記可動構造物の、前記基板板面に平行な面内の動きを制約する駆動方向ガイドが前記基板上に設けられていることを特徴とする微小可動デバイス。 - 請求項2記載の微小可動デバイスにおいて、
前記可動構造物もしくは第kの連結構造体の、前記基板板面に平行な面内の動きを制約する駆動方向ガイドが前記基板上に設けられていることを特徴とする微小可動デバイス。
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