JP2010282923A - 真空バルブ - Google Patents

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Abstract

【課題】耐電圧性能を向上させた真空バルブを提供する。
【解決手段】円筒状のセラミックス製絶縁容器1の端部に深皿状の端板2をろう付けする部分に相当する接合部16の内側に、絶縁容器1と同軸に細溝部1bを設け、絶縁容器1の端部から細溝部の内側に連続的にメタライズ層1aを設ける。そしてこのメタライズ層1aを介して端板2と絶縁容器1をろう付け溶接する。これにより、メタライズ層1a端部の電界を緩和し、特別なシールドを必要としない真空バルブ100を提供できる。
【選択図】図1

Description

この発明は、真空バルブの絶縁容器の構造に関するものである。
図5は従来の真空バルブの断面図である。従来の真空バルブ容器は、円筒形のアルミナセラミックスなどからなる絶縁容器1の各端面に固定側端板2と可動側端板3がろう付等により、絶縁容器1と同軸に取り付けられている。
各端板2、3は、深皿状をしていて、中心に電極棒を通す穴を開けている。
端板2、3と絶縁容器1の接合は主に銀系のろう材を使用して行なわれており、固定側端板2には固定側電極棒4が、可動側端板3にはベローズ6を介して可動側電極棒5がろう付接合されている。
このような真空バルブの接合過程において、絶縁容器1と端板2、3の接合部では、ろう付け温度から室温への冷却時に端板と絶縁容器1の熱膨張係数の違いによる応力が発生する。
この応力を緩和するために絶縁容器1の端部には薄いメタライズ層1aが形成されている。
しかし、メタライズ層1aは極めて薄く、厚さに比して幅のある一直線でシャープな形状であるため、真空バルブに電圧が印加された場合に他の部位と比べて、その端部の電界が高くなり、絶縁容器の沿面を介しての電圧の閃絡が発生しやすい部位となっている。
そこで、この部位の電界を緩和するために例えば特許文献1に示すようなシールドリングを使用して耐電圧性能を向上させたり、特許文献2のように絶縁容器に段部を設けるという手法が用いられている。
特開2004−362918 図1 実開昭64−9335 P4 P5
しかし、特許文献1のような構成では部品点数の増加や組み立て工程の増加により装置が高価になるという欠点があった。
また、特許文献2のように、溝の底にだけメタライズ層を設けるという方法ではメタライズ層端部の電界緩和効果が不十分であるという問題があった。
この発明は上記のような問題を解決するためになされたものであり、部品点数を増やすことなくメタライズ層のエッジ部の電界を緩和し、耐電圧性能を向上させることを目的としており、さらに、安価な真空バルブ構造を提供することを目的とするものである。
この発明に係る真空バルブは、
円筒状の絶縁容器と、
この絶縁容器の両端部に気密に接合されて絶縁容器の内部を真空に封止する端板を有する真空容器と、
この真空容器内に離接可能に設けられた一対の電極とを備えた真空バルブにおいて、
端板と絶縁容器端部の接合部の内側又は外側に、接合部に沿って前記絶縁容器端部に溝部を設け、
絶縁容器端部及び溝部の表面にメタライズ層を設けたことを特徴とするものである。
この発明に係る真空バルブは、
端板と絶縁容器端部の接合部の内側又は外側に、接合部に沿って前記絶縁容器端部に溝部を設け、
絶縁容器端部及び溝部の表面にメタライズ層を設けたことを特徴とするもの
なので、部品点数を増やすことなくメタライズ層のエッジ部の電界を緩和し、耐電圧性能の高い、安価な真空バルブを提供できる。
この発明の実施の形態1による真空バルブの断面図である。 この発明の実施の形態1による真空バルブの断面図の要部拡大図である。 この発明の実施の形態1の変形例による真空バルブの断面図の要部拡大図である。 この発明の実施の形態2による真空バルブの断面図の要部拡大図である。 従来の真空バルブの構造を示す断面図である。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による真空バルブ100の断面図である。
図に示すように、アルミナセラミックスなどからなる円筒形の絶縁容器1の一端部に金属製の固定側端板2を、他端部には金属製の可動側端板3を接合してある。
これら固定側端板2及び可動側端板3はそれぞれ絶縁容器1の両端部にメタライズ層1aを介してろう材15により同軸上に取り付けられている。このろう材15としては主として銀系の複合材を使用している。
メタライズ層1aは、セラミックスと金属を接合する場合における膨張係数の違いによる冷却時の応力を緩和するために設けている。
固定側端板2には固定側電極棒4が、可動側端板3にはベローズ6を介して可動側電極棒5がろう付接合されている。
固定側電極7、可動側電極8はそれぞれ固定側電極棒4と可動側電極棒5にろう付接合されて互いに対向して配置されている。
ベローズ6は、薄いステンレスで蛇腹状に製作されており、絶縁容器1内部の真空気密を保ちながら可動側電極棒5が動作することを可能にしている。
シールド9、ベローズシールド10は、絶縁容器1の内面及びベローズ6を覆うように配設され、絶縁容器1の内面及びベローズ6が接点間のアークにより発生する金属蒸気で汚染されるのを防いでいる。
可動側端板3の可動側電極棒5が貫通する穴の周囲、外側にはガイド取り付け板11を取り付けてある。
そして、このガイド取り付け板11には、可動側電極棒5の移動を案内する樹脂ガイド12がネジなどによって取り付けられている。
固定側端板2及び固定側電極棒4は真空バルブ100の内側を気密に保つようろう付け溶接されて固定側ブロック13に固定されている。
図2は、この真空バルブ100の要部を拡大した断面図である。
図2に示すように絶縁容器1の固定側端板2と絶縁容器1は、メタライズ層1aを介してろう材15にてろう付け接合されていて、絶縁容器1の端部と固定側端板2との接合部16の内側には溝部1bが環状に設けられている。
溝部1bの断面はU字状である。溝部の断面がコ字形状の場合、製作時に角部が欠けやすくなり、また角部の電界が高くなるが、これを断面U字状にすると製作時の角部の欠け防止と角部の電界緩和ができる効果がある。
メタライズ層1aが、セラミックス製の絶縁容器1の端面からこの溝部1bに連続的に形成されることによりメタライズ層1aの溝部1b内の端部が周囲に晒されなくなる。
また、溝部1bの形状と表面積の増加によりメタライズ層1aの絶縁容器1内側角部の電界集中部の電界緩和が可能となる。
また、メタライズ層1aの真空バルブ100の外周側端部のエッジも電界集中する部位となるが、溝部1bのメタライズ層の形状によりこの部位の電界緩和も可能となり、従来必要であった電界緩和リング(図5、符号14に相当)が不要となる。
図3は実施の形態1の変形例の要部を拡大した断面図である。
電界緩和を更に促進するためには溝部1bの縁に図3に示すような突起部1cを設け、この突起部1cに施すメタライズ層の範囲を絶縁容器1の端部より高い位置まで施すことが好ましい。
また、真空バルブ100に高電圧が印加された場合にセラミックス製の絶縁容器1の内面においてはメタライズされた部分からシールド9を介して閃絡するという事象が発生する場合があるが、図3、1aより突起部1cの高さ(「高さ」とは各図に示す真空バルブ1を各図面の上側を上にして垂直に立てた場合の高さをいう)を高く形成することにより、起点となるメタライズ層1aの端部を、突起部1cによるバリア効果により保護することで閃絡を起こり難くすることが可能となる。
また、突起部1cを絶縁容器1の端部から突出させることにより、セラミックスの内側の沿面距離を伸ばすことができるため耐電圧性能を向上させることが可能となる。
また、接点電流を多数回遮断すると接点部から発生する金属蒸気が発生し、絶縁容器1の内面の耐電圧性能が低下するが、突起部1cの高さを高くすることにより、突起部1cの溝部1b側の側面を電極の接点部から影になるように保護できる。
これにより金属蒸気が付きにくく、電流を多数回遮断したときの耐電圧性能も向上させることが可能である。
実施の形態2.
この発明の実施の形態2による真空バルブ101を図に基づいて説明する。
図4はこの発明の実施の形態2による真空バルブ101の要部拡大断面図である。
固定側端板2と絶縁容器1がメタライズ層101aを介してろう材15にてろう付け接合されるが、絶縁容器1のろう付け接合部の外側に溝部101bが環状に設けられている。
メタライズ層101aがセラミックス製の絶縁容器1の端面からこの溝部101bに連続的に形成されることによりメタライズ層101a外周部の端部が周囲に晒されなくなり、また、溝部101bの形状によりメタライズ層101aの外側の角部の電界集中部の電界緩和が可能となり、大気中におけるメタライズ層101a付近でのコロナ放電の軽減にも効果がある。また、メタライズ層101aの内周側端部のエッジも電界集中する部位となるが、溝部101bのメタライズ層の形状によりこの部位の電界緩和も可能となる。また、真空バルブ101に高電圧が印加された場合にセラミックス外側においてはメタライズされた部分を起点としてセラミックス外沿面で閃絡が発生する事象があるが、図4に示すように突起部101cを絶縁容器1の端部から突出させることにより、起点となるメタライズされた絶縁容器1の端部をバリア効果により保護することで閃絡を起こり難くし、耐電圧性能を向上させることが可能となる。また、これによりセラミックスの外側の沿面距離を伸ばすことも可能となる。
また、突起部101cの形状については他部品等との衝突による割れ、欠けを防ぐために角部に面取り又は丸取りを実施した形状が有効である。
上記では絶縁容器1の固定側端部に溝部101bを設けているが、絶縁容器1の可動側端部に溝を形成することも上記実施の形態2と同様の効果がある。
また、実施の形態1と実施の形態2を同時に実施することも耐電圧性能向上のために効果的である。
1 絶縁容器、1a,101a メタライズ層、1b,101b 溝部、
1c,101c 突起部、2 固定側端板、3 可動側端板、4 固定側電極棒、
5 可動側電極棒、6 ベローズ、7 固定側電極、8 可動側電極、9 シールド、
10 ベローズシールド、11 ガイド取り付け板、12 樹脂ガイド、
13 固定側ブロック、14 電界緩和リング、15 ろう材、16 接合部。

Claims (5)

  1. 円筒状の絶縁容器と、
    この絶縁容器の両端部に気密に接合されて前記絶縁容器の内部を真空に封止する端板を有する真空容器と、
    この真空容器内に離接可能に設けられた一対の電極とを備えた真空バルブにおいて、
    前記端板と前記絶縁容器端部の接合部の内側又は外側に、前記接合部に沿って前記絶縁容器端部に溝部を設け、
    前記絶縁容器端部の接合部及び前記溝部の表面にメタライズ層を設けたことを特徴とする真空バルブ。
  2. 前記メタライズ層は前記接合部から前記溝部に連続的に形成したことを特徴とする請求項1に記載の真空バルブ。
  3. 前記溝部は断面がU字状であることを特徴とする請求項1又は2に記載の真空バルブ。
  4. 前記溝部の片側の縁であって、前記接合部と反対側の縁上に、前記溝部に沿って前記絶縁容器の軸方向に、前記絶縁容器端部から突出する突起部を有することを特徴とする請求項1ないし3に記載の真空バルブ。
  5. 前記突起部の前記溝部側側面は前記溝部に続くメタライズ層を有することを特徴とする請求項4に記載の真空バルブ。
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