JP2010281351A - 車輪支持用転がり軸受ユニットの製造方法 - Google Patents

車輪支持用転がり軸受ユニットの製造方法 Download PDF

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康之 清水
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Abstract

【課題】ハブ本体9の軸方向中間部外径寄り部分に高周波焼入れにより硬化層14を形成する際に、回転側フランジ8に熱処理変形が生じる事を抑制できる製造方法を実現する。
【解決手段】荷重負荷装置17によって、上記ハブ本体9の軸方向内端部に軸方向外方に向けて荷重を負荷する事により、上記回転側フランジ8の軸方向外側面15を受治具16の上面に設けられたセラミックス製の拘束面20により拘束した状態で、上記ハブ本体9の軸方向中間部外径寄り部分を高周波加熱する。その後、上記軸方向外側面15の拘束を解いた状態で、上記ハブ本体9の軸方向中間部外周面を噴射冷却により冷却する。
【選択図】図1

Description

この発明は、自動車の懸架装置に対して車輪を回転自在に支持する為の、車輪支持用転がり軸受ユニットの製造方法の改良に関する。具体的には、車輪支持用転がり軸受ユニットを構成するハブ本体の軸方向中間部外周面に高周波焼入れを施す際に、このハブ本体の軸方向外端寄り部分の外周面に設けられた回転側フランジに熱処理変形が生じる事を抑制できる製造方法を実現するものである。
自動車の懸架装置に対して車輪を回転自在に支持する為に、図5に示す様な車輪支持用転がり軸受ユニット1が使用されている。この車輪支持用転がり軸受ユニット1は、外輪2の内径側にハブ3を、複数個の転動体4、4を介して、回転自在に支持している。このうちの外輪2は、中炭素鋼製で、内周面に複列の外輪軌道5、5を、外周面に静止側フランジ6を、それぞれ有する。この様な外輪2は、使用時にはこの静止側フランジ6を上記懸架装置を構成するナックルに結合固定し、回転する事はない。又、上記ハブ3は、外周面に複列の内輪軌道7、7と放射状の回転側フランジ8とを有し、使用時に、この回転側フランジ8に結合固定した車輪と共に回転する。上記各転動体4、4は、軸受鋼或いはセラミックス製で、上記両外輪軌道5、5と上記両内輪軌道7、7との間に、両列毎に複数個ずつ、転動自在に設けられている。又、上記回転側フランジ8には、使用状態で、車輪、及び、ディスクロータ等の制動用回転体を支持固定する。
又、上記ハブ3は、ハブ本体9と内輪10とを結合固定して成る。このうちのハブ本体9は、中炭素鋼製で、軸方向外端寄り部分(軸方向に関して外とは、懸架装置に組み付けた状態で車体の幅方向外側となる側を言う。本明細書及び特許請求の範囲全体で同じ。)の外周面に上記回転側フランジ8を、軸方向中間部外周面に、上記複列の内輪軌道7、7のうち軸方向外側の内輪軌道7を、それぞれ直接形成している。又、上記ハブ本体9の軸方向外端部には、上記車輪及び上記制動用回転体を外嵌位置決めする為の、パイロット部と呼ばれる円筒部11を設けている。
一方、上記内輪10は、軸受鋼製で、外周面に、上記複列の内輪軌道7、7のうち軸方向内側(軸方向に関して内とは、懸架装置に組み付けた状態で車体の幅方向中央側となる側を言う。本明細書及び特許請求の範囲全体で同じ。)の内輪軌道7を形成している。この様な内輪10は、上記ハブ本体9の軸方向内端寄り部分に形成された小径段部12に外嵌固定した状態で、このハブ本体9の軸方向内端部に形成したかしめ部13により抑え付けて、このハブ本体9に対し結合固定している。尚、このハブ本体9に上記内輪10を結合固定する為に、このハブ本体9の軸方向内端部に設けた雄ねじ部にナットを螺合させる構造も、広く知られている。
何れの構造の場合も、上記ハブ3の一部を焼入れ硬化している。先ず、上記内輪10に関しては、全体を加熱後に焼入れ油中に浸漬する、所謂ズブ焼入れにより、全体を硬化させている。一方、上記ハブ本体9に関しては、図5に斜格子で示した部分を、高周波焼入れにより焼入れ硬化させる事で、当該部分に硬化層14を形成している。この硬化層14は、上記ハブ本体9の軸方向中間部外径寄り部分(外周面を含む表面層部分)で、前記回転側フランジ8の軸方向内側面側の基端部から、上記小径段部12の軸方向外半部に掛けての部分に形成している。この様な部分に硬化層14を形成する事で、上記回転側フランジ8のモーメント剛性の確保と、前記軸方向外側の内輪軌道7の転がり疲れ寿命の確保と、上記小径段部12のフレッチング摩耗の防止と、上記ハブ本体9全体としての曲げ剛性の確保とを図っている。
ところが、上記硬化層14を形成する事に伴って、次の様な問題を生じる事が、本発明者等の研究により分かった。即ち、上記硬化層14を形成する事に伴い、上記ハブ本体9の軸方向外端寄り部分の外周面に設けた上記回転側フランジ8に熱処理変形が生じ、この回転側フランジ8の軸方向外側面15の平面度が低下する(悪くなる)事が分かった。この軸方向外側面15の平面度が低くなると、この軸方向外側面15に取り付けられる、図示しない制動用回転体に、回転に伴って軸方向に変位する、所謂振れが発生し易くなる。そして、この様な制動用回転体の振れは、制動時にジャダーと呼ばれる振動や異音を発生させる原因になる。従って、この様な振動や異音の発生を防止する為には、上記硬化層14を形成する事に伴って生じる、上記回転側フランジ8の熱処理変形を防止する事が有効になる。尚、この回転側フランジ8に生じた熱処理変形を、その後に研摩加工等の仕上加工を施す事により除去する事も考えられるが、この場合には加工工数の増加等を招き、製造コストを上昇させる原因になる為、好ましくない。
尚、本発明に関連する先行技術文献として、例えば特許文献1、2に記載された発明がある。但し、これら特許文献1、2に記載された発明は何れも、円環状の軌道輪を対象とした発明であり、本発明の場合の様な、ハブ本体に設けられた回転側フランジに生じる熱処理変形を抑制する事を意図したものではない。
特許第4182551号公報 特開2002−257145号公報
本発明は、上述の様な事情に鑑みて、ハブ本体の軸方向中間部外周面に高周波焼入れにより硬化層を形成する際に、回転側フランジに熱処理変形が生じる事を抑制できる、車輪支持用転がり軸受ユニットの製造方法を実現すべく発明したものである。
本発明の製造方法の対象となる車輪支持用転がり軸受ユニットは、外輪と、ハブと、複数の転動体とを備える。
このうちの外輪は、内周面に複列の外輪軌道を有し、使用時にも回転しない。
又、上記ハブは、外周面に複列の内輪軌道を有し、使用時に車輪と共に回転するもので、ハブ本体と内輪とを結合固定して成る。このうちのハブ本体は、軸方向外端寄り部分の外周面に上記車輪を支持固定する為の放射状(十字形、所謂手裏剣型を含む)の回転側フランジを、軸方向中間部外周面に軸方向外側の内輪軌道を、それぞれ直接形成している。
又、上記内輪は、外周面に軸方向内側の内輪軌道を形成したもので、上記ハブ本体の軸方向内端寄り部分に形成された小径段部に外嵌固定されている。
そして、上記ハブ本体の軸方向中間部外周面で、少なくとも上記軸方向外側の内輪軌道を含む部分に、高周波焼入れにより硬化層を形成している。
更に、上記各転動体は、上記両外輪軌道と上記両内輪軌道との間に、両列毎に複数個ずつ、転動自在に設けられている。
この様な車輪支持用転がり軸受ユニットを造る為に、本発明の車輪支持用転がり軸受ユニットの製造方法は、上記硬化層を形成する為の高周波焼入れ処理の工程を工夫している。
即ち、先ず、上記ハブ本体の軸方向内端部に軸方向外方に向けて荷重を負荷する事により、上記回転側フランジの軸方向外側面を治具の拘束面により拘束した状態(軸方向外側面を拘束面に押し付けた状態)で、上記ハブ本体の軸方向中間部外周面を高周波加熱する。
その後、上記荷重を解除し、特に好ましくは、上記回転側フランジの軸方向外側面を上記拘束面から離隔した状態(軸方向外側面の拘束を解いた状態)で、上記ハブ本体を冷却(焼入れ)する。
尚、本発明を実施する場合に、上記拘束面は、上記ハブ本体を構成する材料に比べて線膨張係数が低く且つ硬度の高い材料(例えばセラミックス)製とする。又、上記拘束面の平面度は、上記回転側フランジの軸方向外側面に要求される平面度よりも、十分に高いものとする。
上述の様な構成を有する本発明の車輪支持用転がり軸受ユニットの製造方法によれば、ハブ本体の軸方向中間部外周面に高周波焼入れにより硬化層を形成する際に、回転側フランジに熱処理変形が生じる事を抑制できる。
即ち、本発明の場合には、高周波焼入れ処理のうちの加熱処理を、上記回転側フランジの軸方向外側面を治具の拘束面により拘束した状態で行う為、この回転側フランジに熱膨張等に起因した熱処理変形が生じる事を抑制できる。この為、高周波焼入れ処理に伴って、上記回転側フランジの軸方向外側面の平面度が低下する事を抑制できる。この結果、この回転側フランジの軸方向外側面に取り付けられるロータ等の制動用回転体の振れを防止できて、制動時の振動や異音の発生を有効に防止できる。更に、本発明の場合には、高周波焼入れ処理後に、上記回転側フランジの軸方向外側面に熱処理変形を除去する為の仕上加工を施す必要がないか、仮に加工する必要があっても加工量を少なくできる為、製造コストの上昇を抑えられる。
尚、本発明の場合、上記回転側フランジの軸方向外側面を、加熱処理時のみ拘束し、冷却処理時には拘束しないが、この様な拘束状態を採用する理由は次の通りである。即ち、本発明者等の研究によると、冷却時に、上記回転側フランジの軸方向外側面を拘束すべく上記荷重を負荷した場合には、上記硬化層となる部分が、マルテンサイト変態による応力(引っ張り応力)の影響や温度低下に伴う硬さの上昇等に起因して、焼割れを起こし易くなったり、上記回転側フランジの軸方向外側面の平面度をかえって低下させる場合がある事が分かった。この様な理由により、本発明の場合には、上記回転側フランジの軸方向外側面を、加熱処理時のみ拘束し、冷却処理時には拘束しない事とした。
本発明の実施状況を示す半部縦断面図で、加熱時の状態を示す(A)及び冷却時の状態を示す(B)。 同じく受治具のみを取り出して示す、平面図(A)及び(A)のイ−イ断面図(B)。 本発明の効果を確認する為に行った実験に使用した3種類のハブ本体と基本的構成を同じとするハブ本体の断面図。 同じく図3のハブ本体を同図の右方から見た図。 本発明の製造方法の対象となる車輪支持用転がり軸受ユニットの1例を示す断面図。
[実施の形態の1例]
図1、2は、本発明の実施の形態の1例を示している。尚、本例を含めて本発明の特徴は、ハブ本体9の軸方向中間部外径寄り部分(外周面を含む表面層部分)に高周波焼入れを施す事に伴って、回転側フランジ8に熱処理変形が生じる事を抑制すべく、この回転側フランジ8の軸方向外側面15を拘束した状態で加熱処理する点にある。中炭素鋼等の鉄系合金により造られた素材に、鍛造等の塑性加工、旋削等の削り加工、研磨等の仕上加工を施して、必要な形状及び寸法精度を有するハブ本体9とする手順等に就いては、従来から広く知られている製造方法と同様であるから、説明は省略する。以下の説明は、高周波焼入れの際に、上記回転側フランジ8に熱処理変形が生じる事を抑制する方法を中心に行う。
本例の場合、図1、2に示した様な、受治具16と、荷重負荷装置17とを利用して、上記軸方向外側面15を拘束しつつ、上記ハブ本体8の軸方向中間部外径寄り部分の高周波焼入れ処理を行う。このうちの受治具16は、外径側に設けられた厚肉円筒状の本体部18と、内径側に設けられた薄肉円筒状の押し出し部材19とを備える。この本体部18は、SUS304等のステンレス鋼製で、その上面に、上記ハブ本体9を構成する中炭素鋼等の鉄系合金に比べて線膨張係数が小さく且つ硬度の高い、窒化珪素(Si34 )、アルミナ(Al23 )、ジルコニア(ZrO2 )等のセラミックス製の拘束面20を設けている。具体的には、上記本体部18の上面(図示の例では本体部18の上面に設けた凹部内)に、上記回転側フランジ8を構成する複数の放射腕部21と同数の(図示の例では4枚の)セラミックス板22、22を接着固定する事で、これら各セラミックス板22、22の上面により上記拘束面20を構成している。又、上記本体部18の内径寸法d18(=セラミックス板22、22の内接円の直径寸法)は、上記ハブ本体9の軸方向外端部に設けられた円筒部11の外径寸法D11よりも僅かに大きく(d18>D11)、同じく外径寸法D18(=セラミックス板22、22の外接円の直径寸法)は、上記回転側フランジ8の軸方向外側面15の外径寸法D15よりも僅かに大きい(D18>D15)。又、上記拘束面20を構成する上記各セラミック板22、22の幅寸法W22は、上記各放射腕部21の幅寸法W21(図4参照)よりも僅かに大きい(W22>W21)。又、本例の場合には、上記拘束面20の平面度を5μm以下としており、この拘束面20を、上記本体部18の中心軸に直交する仮想平面に平行な平坦面としている。
又、上記押し出し部材19は、SUS304等のステンレス鋼製で、上記本体部18の内径側に、軸方向{図1及び図2の(B)の上下方向、図2の(A)の表裏方向}の変位自在に設けられている。又、上記押し出し部材19の内径寸法d19は、上記ハブ本体9を構成する円筒部11の内径寸法d11よりも小さい(d19<d11)。
一方、上記荷重負荷装置17は、エアシリンダ等のアクチュエータと、荷重センサ等とを備え、上記ハブ本体9の軸方向内端部に、軸方向外方(図1の下方)に向けて所定の大きさの荷重Fを負荷自在としている。この様な荷重負荷装置17としては、従来から一般的に使用されている各種の荷重負荷装置を利用できる。
本例の場合には、この様な構成を有する受治具16及び荷重負荷装置17を利用して、高周波焼入れ処理のうちの加熱処理を施す。この為に先ず、図1の(A)に示す様に、上記受治具16を構成する押し出し部材19を下方に移動させた状態で、上記ハブ本体9を構成する円筒部11を、上記本体部18の内径側に挿入する。そして、上記回転側フランジ8を構成する上記各放射腕部21と、上記拘束面20を構成する上記各セラミックス板22、22との円周方向に関する位相を整合させた状態で、上記回転側フランジ8の軸方向外側面15を上記拘束面20上に載置する。
この様にして、上記ハブ本体9を上記受治具16上にセットした後は、このハブ本体9の軸方向中間部周囲に、高周波誘導加熱コイル23を配置する。そして、この高周波誘導加熱コイル23への通電に伴って、上記ハブ本体9の軸方向中間部外径寄り部分への加熱を開始する。特に本例の場合には、加熱開始と同時若しくはそれ以前から、上記荷重負荷装置17によって、上記ハブ本体9の軸方向内端部に軸方向外方に向けて荷重Fを負荷する。これにより、上記回転側フランジ8(放射腕部21)の軸方向外側面15を上記拘束面20により拘束した状態(軸方向外側面15を拘束面20に押し付けた状態)で、上記ハブ本体9の軸方向中間部外径寄り部分を高周波加熱する。具体的には、上記荷重負荷装置17から100〜500N程度の荷重Fを負荷した状態で、上記ハブ本体9の軸方向中間部外径寄り部分の温度を、室温から約900℃付近まで(オーステナイト化温度以上にまで)加熱する。
この様にして加熱処理を行った後は、次いで、冷却処理として当該加熱部分を急冷する。この為に本例の場合には、先ず、上記高周波誘導加熱コイル23を、上記ハブ本体9の周囲から退避させる。次いで、図1の(B)に示す様に、上記荷重負荷装置17による荷重Fを解除(除荷)すると共に、上記押し出し部材19を上方に移動させて、上記回転側フランジ8の軸方向外側面15を上記拘束面20から離隔させる。この様にして、この回転側フランジ8の軸方向外側面15の拘束を解いたならば、直ちに(例えば0.1〜0.2秒後に)、上記ハブ本体9の軸方向中間部外周面を、図示しない噴射冷却等の水冷手段により(例えば20〜30秒間)冷却する。言い換えれば、本例の場合には、冷却の直前(例えば0.1〜0.2秒前)まで、上記回転側フランジ8の軸方向外側面15を上記拘束面20により拘束しておく。この様な冷却処理の結果、上記ハブ本体9の軸方向中間部外径寄り部分に、図1の(B)に斜格子で示した様な、硬化層14が形成される。
以上の様にして高周波焼入れ処理を施した後は、上記ハブ本体9に対して焼戻し処理を施す。この焼戻し処理の方法等に就いては特に問わないが、例えば高周波誘導加熱コイルを利用した誘導焼戻しを採用しても良いし、ハブ本体9全体を所定温度(例えば160〜180℃程度、より具体的には170℃程度)の炉内に保持する事により焼戻ししても良い。
以上の様な本例の車輪支持用転がり軸受ユニットの製造方法によれば、上記ハブ本体9の軸方向中間部外径寄り部分に高周波焼入れにより上記硬化層14を形成する際に、上記回転側フランジ8に熱処理変形が生じる事を抑制できる。即ち、本例の場合には、高周波焼入れ処理のうちの加熱処理を、上記回転側フランジ8の軸方向外側面15を前記受治具16の拘束面20により拘束した状態で行う為、この回転側フランジ8に熱膨張等に起因した熱処理変形が生じる事を抑制できる。特に本例の場合には、上記拘束面20を、上記ハブ本体9を構成する中炭素鋼等の鉄系合金に比べて線膨張係数の小さいセラミックス製としている為、上記拘束面20に生じる熱変形量を極く小さく(無視できる程度に小さく)抑えられる。この為、本例の場合には、上記回転側フランジ8の熱処理変形を効果的に抑制できて、この回転側フランジ8の軸方向外側面15の平面度が低下する事を抑制できる。この結果、この軸方向外側面15に取り付けられるロータ等の制動用回転体の振れを防止できて、制動時に振動や異音が発生する事を有効に防止できる。更に、本例の場合には、高周波焼入れ後に、上記回転側フランジ8の軸方向外側面15に、熱処理変形を除去する為の仕上加工を施す必要がない為、製造コストの上昇を抑えられる。
本発明の効果を確認する為に行った実験に就いて説明する。実験は、図3、4に示した様な基本的形状を有し、下記の表1に示した様に、回転側フランジ8(放射腕部21、21)の形状が異なる3種類のハブ本体9(製品1〜3)に関して、加熱処理時にこの回転側フランジ8の軸方向外側面15を拘束するか否かが、この軸方向外側面15の平面度に及ぼす影響を確認する為に行った。
Figure 2010281351
又、上記3種類のハブ本体9は何れも、JIS S55Cに相当する、C含有量が0.55重量%の素材に、熱間鍛造、旋削加工を順次施す事により所定の形状及び寸法に加工したものであり、本実験では、種類の異なるハブ本体9毎に、次述する高周波焼入れ処理(条件A〜C)をそれぞれ施した。その後、約170℃の炉内で約1時間保持する事により焼戻しした後、上記回転側フランジ8の軸方向外側面15の平面度を測定した。
[条件A(製品1の高周波焼入れ条件)]
周波数:10kHz
加熱時間:6.0sec
出力:95kw
冷却時間:25sec
[条件B(製品2の高周波焼入れ条件)]
周波数:10kHz
加熱時間:6.2sec
出力:89kw
冷却時間:25sec
[条件C(製品3の高周波焼入れ条件)]
周波数:10kHz
加熱時間:6.5sec
出力:86kw
冷却時間:25sec
又、本実験では、上記回転側フランジ8の軸方向外側面15を拘束する為に、前記図1、2に示した受治具16及び荷重負荷装置17を利用した。具体的には、この荷重負荷装置17によって、ハブ本体9の軸方向内端部に軸方向外方に向けて100〜500Nの荷重(製品1に関しては100N、製品2に関しては300N、製品3に関しては500N)を負荷する事で、回転側フランジ8の軸方向外側面15を上記受治具16の拘束面20により拘束した。そして、この状態で、上記ハブの本体9の軸方向中間部外径寄り部分を、上述した条件(条件A〜C)で高周波加熱した(900℃付近まで温度上昇させた)。又、上記軸方向外側面15を拘束した状態で高周波加熱したものに就いては、この軸方向外側面15への拘束を解いた直後、具体的には0.1秒後から、120L/min で25秒間、上記ハブ本体9の軸方向中間部外周面に冷却水を吹き付ける噴射冷却により急冷した。尚、この噴射冷却による冷却速度に就いては、上記軸方向外側面15を拘束せずに高周波加熱したものに就いても同じ条件とした。又、上記拘束面20はセラミックス製で、その平面度を5μmとした。
以上の様な条件下で行った実験の結果を、下記の表2に示す。
Figure 2010281351
この表2に示した実験結果から明らかな通り、加熱処理(高周波加熱)時に回転側フランジ8の軸方向外側面15を拘束する事によって、この回転側フランジ8(放射腕部21、21)の形状に拘わらず、上記軸方向外側面15の平面度の低下を十分に抑制できる事が確認できた。特に、本発明の製造方法により造られた実施例1〜3の何れも、上記軸方向外側面15の平面度の値を、制動時の振動や異音の発生を防止する面から十分に小さい値(軸方向外側面15を拘束しない場合に比べて1/2以下)に抑える事ができた。
上述した実施の形態では、受治具を構成する拘束面を平坦面とした構造を説明したが、この拘束面は、平坦面に限らず(傾斜角度が極く僅かである)テーパ面とする事もできる。即ち、冷却時に回転側フランジに変形(熱収縮、マルテンサイト変態膨張等に基づく変形)が生じた場合にも、この回転側フランジの軸方向外側面の直角度(ハブ本体9の中心軸に対する直角度)を良好に保つべく、上記拘束面を冷却時の変形方向及び変形量に応じたテーパ面とする事ができる。又、焼戻し処理として、前述した様な、高周波誘導加熱コイルを利用した誘導焼戻しを行う場合には、必要に応じて、回転側フランジの軸方向外側面を拘束した状態で行う事もできる。これにより、焼戻し処理に伴う熱処理変形を防止する事もできる。又、受治具を構成する本体部の上面に設けられる拘束面は、この本体部の上面に複数枚のセラミックス板を固定して構成する構造に限らず、1枚の円輪状のセラミック板により構成したり、更には、上記本体部の上面にセラミックス被膜を形成する事により構成する事もできる。更に、高周波誘導加熱後に焼入れ(冷却)をする際には、上記回転側フランジの軸方向外側面を拘束面に押し付けていた荷重を解除すれば足り、限ずしもこれら両面を離隔させる必要はない。但し、上記回転側フランジの歪みをより抑える為には、離隔させる事が好ましい。
1 車輪支持用転がり軸受ユニット
2 外輪
3 ハブ
4 転動体
5 外輪軌道
6 静止側フランジ
7 内輪軌道
8 回転側フランジ
9 ハブ本体
10 内輪
11 円筒部
12 小径段部
13 かしめ部
14 硬化層
15 軸方向外側面
16 受治具
17 荷重負荷装置
18 本体部
19 押し出し部材
20 拘束面
21 放射腕部
22 セラミックス板
23 高周波誘導加熱コイル

Claims (1)

  1. 内周面に複列の外輪軌道を有し、使用時にも回転しない外輪と、外周面に複列の内輪軌道を有し、使用時に車輪と共に回転するハブと、これら両内輪軌道と上記両外輪軌道との間に、両列毎に複数個ずつ、転動自在に設けられた転動体とを備え、上記ハブは、ハブ本体と内輪とを結合固定して成るものであって、このうちのハブ本体は、軸方向外端寄り部分の外周面に上記車輪を支持固定する為の放射状の回転側フランジを、軸方向中間部外周面に軸方向外側の内輪軌道を、それぞれ直接形成したものであり、上記内輪は、外周面に軸方向内側の内輪軌道を形成したもので、上記ハブ本体の軸方向内端寄り部分に形成された小径段部に外嵌固定されており、このハブ本体の軸方向中間部外周面で少なくとも上記軸方向外側の内輪軌道を含む部分に、高周波焼入れにより硬化層を形成している車輪支持用転がり軸受ユニットの製造方法であって、上記ハブ本体の軸方向内端部に軸方向外方に向けて荷重を負荷する事により、上記回転側フランジの軸方向外側面を治具の拘束面により拘束した状態で、上記ハブ本体の軸方向中間部外周面を高周波加熱し、その後、上記荷重を解除した状態で、上記ハブ本体を冷却する事を特徴とする車輪支持用転がり軸受ユニットの製造方法。
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