JP2010280601A - キシロオリゴ糖高含有錠剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】小さいサイズであり、かつ少ない錠数で必要量を補える高濃度のキシロオリゴ糖を含有する錠剤を、安定した品質で低コストに製造できる方法を提供すること。
【解決手段】キシロオリゴ糖を錠剤の重量当り55〜90重量%含有する錠剤を、連続打錠機で製造する際に、滑沢剤を錠剤の重量に対して1.5〜3.5重量%配合する。錠剤の1錠当りの重量は、好ましくは90〜280mg、より好ましくは200〜250mgである。
【選択図】なし

Description

本発明は、キシロオリゴ糖を高濃度で含有する錠剤を製造する方法に関する。より詳細には、摘み易く且つ嚥下し易いサイズであり、キシロオリゴ糖の含有量が錠剤の重量に対して55〜90重量%である錠剤を、連続打錠法により安定して製造できる方法に関する。
キシロオリゴ糖は整腸作用を有することが知られており、健康食品素材として注目を集めている。便性改善などの整腸作用に対するキシロオリゴ糖の有効量は、一般に1日当り0.4g〜7g程度と言われている(非特許文献1)。有効量のキシロオリゴ糖を手軽に摂取できる製剤の開発が期待されている。
手軽に摂取できる製剤の剤形の1つとして、錠剤が広く用いられている。錠剤は、携帯性にすぐれ、また所定量の有効成分を容易に服用することができるので便利である。内服用錠剤としては、摘み易さと嚥下し易さを両立したサイズ(例えば、1錠当り90〜280mg程度、好ましくは200〜250mg程度)であれば、水などとともに摂取しやすく、好ましく用いられる。また、有効成分の必要量をできるだけ少ない錠数で補給できるような、有効成分を高濃度で含む錠剤は、一般に好ましいといえる。飲みやすい大きさ、すなわち小さいサイズでありながら、キシロオリゴ糖の1日当り有効量0.4g以上をできるだけ少ない錠数で補給できる高濃度のキシロオリゴ糖を含有する錠剤を、安定に製造できる方法の開発が望まれる。
キシロオリゴ糖を錠剤化する試みはこれまでにもなされている。例えば、水とともに服用するタイプのキシロオリゴ糖含有錠剤としては、株式会社小谷穀粉製の商品名「リキメイト ケールオリゴ糖」や、アイ・ファーム社の商品名「ラクトフォーLact4Ex」などが市販されている。これらの製品におけるキシロオリゴ糖の含有割合は、錠剤の重量に対して17〜23重量%程度であり、これらの製品によりキシロオリゴ糖の1日当りの有効量0.4gを補うためには、錠剤を6〜9錠服用する必要がある。
また、口中で咀嚼して服用するタイプの錠剤としては、オルビス株式会社製の商品名「アプリコットオリゴ」が市販されている。また、特許文献1には、オリゴ糖、発泡剤成分、及び中和剤成分を含む発泡性チュアブル錠が記載されている。これらの錠剤は、錠剤の1錠当りの重量が0.9g(「アプリコットオリゴ」)、及び0.5〜6g(特許文献1)程度である。また、錠剤の重量に対するキシロオリゴ糖の含有割合は、「アプリコットオリゴ」では約39重量%であり、特許文献1には36重量%の具体例が記載されるのみである。
また、特許文献2には、キシロオリゴ糖を5〜66重量%含有する1錠当り300mgの錠剤を単発打錠機で製造した記載がある。
このように、現在のところ、1錠当り90〜280mg程度の大きさであり、かつ、整腸作用に対するキシロオリゴ糖の1日当りの有効量0.4g以上を少ない個数(例えば、2〜4錠程度)で補給できるような、キシロオリゴ糖を高濃度で含有する錠剤は市販されていないし、報告もされていない。
特開2001−8666号公報 特開2007−39337号公報
谷村顕雄監修、「植物資源の生理活性物質ハンドブック」、第1版、株式会社サイエンスフォーラム、2001年8月、p.407−410
キシロオリゴ糖などのオリゴ糖は、吸湿性が高く、吸湿することにより付着力が強まるため(特許文献1)、打錠機の臼や杵に付着しやすく、キャッピング(錠剤の上杵側が帽子状に剥離する現象)や、スティッキング(錠剤表面の一部が薄く剥がれ、傷を生ずる現象)、バインディング(錠剤が臼から排出される時、錠剤側面に縦傷ができる現象)といった打錠不良が起こりやすいという問題がある。特に、キシロオリゴ糖は、オリゴ糖の中でも付着力が強く、高濃度のキシロオリゴ糖を含む錠剤を打錠不良を生じさせずに製造することは困難であった。
また、特にロータリー型打錠機などの連続打錠機を用いる場合、先に成形に付されたキシロオリゴ糖が杵や臼に付着して残留するなどにより、安定した品質の錠剤を連続して打錠することは困難であった。大量の製品をより低コストに製造するためには、連続打錠は必須であるといってもよく、安定に連続打錠できないということは、製品の製造業者にとって大きな問題である。
また、小さいサイズの錠剤を製造する場合、1錠当りのキシロオリゴ糖の含有量(絶対量)をある程度確保するためには、錠剤中のキシロオリゴ糖の含有割合を高めることとなるが、キシロオリゴ糖の含有割合を高めると、その分、打錠を補助する賦形剤などの添加剤の配合量(絶対量)がより少なくなることから、安定した打錠がより困難となるという問題もあった。
本発明は、水などとともに飲み込みやすい小さいサイズの錠剤であり、かつ少ない錠数で1日当りの必要量を補える高濃度のキシロオリゴ糖を含有する錠剤を、低コストな連続打錠で、安定した品質で製造できる方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題について鋭意検討を行なった結果、滑沢剤の量を通常用いられる量より高い量、すなわち、錠剤重量に対して1.5〜3.5重量%とすることにより、55〜90重量%という高濃度のキシロオリゴ糖を含有し、摂取し易いサイズの錠剤を、連続打錠で、安定して製造できることを見出し、本発明に至った。具体的には、本発明は、以下のとおりである。
1. キシロオリゴ糖を錠剤の重量に対して55〜90重量%含有する錠剤を、連続打錠機を用いて打錠して製造する方法であって、滑沢剤を錠剤の重量に対して1.5〜3.5重量%配合することを含む、上記方法。
2. 錠剤の1錠当りの重量が、90〜280mgである、上記1に記載の方法。
3. 滑沢剤が、ステアリン酸カルシウム又はステアリン酸マグネシウムである、上記1又は2に記載の方法。
4. 打錠法が、直接粉末圧縮法である、上記1〜3のいずれかに記載の方法。
5. 流動化剤を錠剤の重量に対して1〜2重量%配合することをさらに含む、上記1〜4のいずれかに記載の方法。
6. 流動化剤が、微粒二酸化ケイ素である、上記5に記載の方法。
7. 乳酸菌を配合することをさらに含む、上記1〜6のいずれかに記載の方法。
本発明の方法により、水などともに飲み込みやすい、例えば90〜280mgといった小さいサイズでありながら、キシロオリゴ糖の1日当りの所要量0.4g以上を少ない個数、例えば2〜4錠程度で補給できる錠剤を、低コストな連続打錠で、安定した品質で、打錠不良を起こすことなく、製造することができる。本発明により製造される錠剤は、高齢者や小児にも嚥下し易い大きさであり、かつ、特に高齢者にとっても摘み易い大きさであり、好適である。更に、1日当りに飲まなくてはならない錠数が従前のものに比べて少ないため、服用者にとって非常に便利である。また、本発明により製造される錠剤は、十分な強度(錠剤硬度、及び摩損しにくさ)を有しており、製品流通時や携帯時などに破損しにくく、また、例えば必要に応じてコーティングを施す際などにも割れたり欠けたりしにくく、取り扱い性がよいという利点も有する。また、キシロオリゴ糖は水分の存在下で褐変し易いが、本発明の方法は水分を必要とする造粒工程を含まないので、キシロオリゴ糖が褐変しにくく、製造時や保存時の安定性にも優れている。
本発明は、キシロオリゴ糖を錠剤の重量に対して55〜90重量%含有する錠剤を製造するに当り、滑沢剤を1.5〜3.5重量%配合することを特徴とし、これにより、キシロオリゴ糖を高濃度で含有する錠剤を、連続打錠にて、安定に製造できるものである。
(キシロオリゴ糖)
本発明でいうキシロオリゴ糖とは、キシロースがβ−1,4結合で数個結合したオリゴ糖のことを言う。キシロオリゴ糖は、白色でわずかな甘味を有する無臭の結晶性の粉末である。キシロオリゴ糖には、例えば、キシロビオース(重合度2)や、キシロトリオース(重合度3)など、キシロースが2〜10個程度結合したもの、又はこれらの混合物が含まれる。このようなキシロオリゴ糖は、例えば、コーンコブ、綿実殻、麦芽粕、稲ワラ等から得られるキシランやヘミセルロースを、酵素処理、爆砕処理などの物理的処理、またはそれらを組み合わせた処理などで分解することにより、得ることができる。また、例えば、本出願人による商品名「キシロオリゴ95P」などの、市販品として入手することもできる。
キシロオリゴ糖は整腸作用を有することが知られており、その有効量は、一般に1日当り0.4g〜7g程度と言われている(非特許文献1)。本発明により製造する錠剤は、より少ない錠数で1日当りの必要量0.4g以上を補えるように、キシロオリゴ糖を高濃度で含有することが好ましく、具体的には、キシロオリゴ糖を、錠剤の重量に対して55〜90重量%含有するとよい。この程度の割合で錠剤にキシロオリゴ糖を含有させれば、例えば、錠剤の1錠当りの大きさをヒトが摘み易く且つ嚥下し易い90〜280mg、好ましくは200〜250mgとした場合に、少ない個数、例えば2〜4錠程度で0.4g以上のキシロオリゴ糖を補うことができる。好ましくは、キシロオリゴ糖の含有量は、60〜90重量%、より好ましくは70〜90重量%、最も好ましくは80〜90重量%である。高濃度のキシロオリゴ糖を含有し、より少ない錠数で1日当りの必要量を補うことができる錠剤は、消費者にとって利便性が高く、継続して飲用しやすいものである。一方、他の機能性成分などを含有させる余地を考慮する場合には、キシロオリゴ糖の含有量は、好ましくは、錠剤の重量に対して55〜80重量%、より好ましくは、57〜70重量%程度がよい。
(滑沢剤)
本発明で製造するキシロオリゴ糖を55〜90重量%含有する錠剤には、滑沢剤を、錠剤の重量に対して1.5〜3.5重量%の割合で配合する。本発明でいう滑沢剤とは、錠剤の打錠時に通常用いられている、杵や臼へ粉末が付着するのを防ぐ効果を有する剤をいう。具体的には、ロイシン、イソロイシン、L−バリン、レシチン、酵素分解レシチン、硬化油、ワックス、ステアリン酸、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなどの少糖類の脂肪酸エステル、ステアリン酸マグネシウムやステアリン酸カルシウムなどの脂肪酸の金属塩、タルク、マクロゴール(ポリエチレングリコール)、含水二酸化ケイ素、ステアリルアルコールなどが挙げられるが、これらに限定されず、本発明では、経口組成物への添加が許可されているものならばいずれも用いることができる。特に本発明では、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルがコストや生産性の観点から好ましい。最も好ましくは、ステアリン酸カルシウムである。
一般的な錠剤において、滑沢剤は、錠剤の重量当り1.0重量%程度の量で配合すれば錠剤に十分な滑沢性を付与できることが知られており、1.0重量%以上の量を配合しても滑沢性のさらなる向上には繋がらない一方で、錠剤中の粉体の結合力が低下し、錠剤の硬度が顕著に低下することが知られている(例えば、Journal of the American Pharmaceutical Association、Vol. XLV, No. 1, p.51-55、"The Physics of Tablet Compression. IX. Fundamental Aspects of Tablet Lubrication"、W. A. Strickland, Jr.らを参照のこと)。また、粉体の結合力の低下により、キャッピング(錠剤の上杵側が帽子状に剥離する現象)などの打錠障害も起こりやすくなることが知られている。したがって、滑沢剤は、通常、錠剤の重量当り0.1〜1.0重量%程度の量で用いられることが普通である。これに対し、本発明の55〜90重量%という高濃度のキシロオリゴ糖を含有する錠剤では、意外なことに、通常用いられる量よりも多い量である1.5〜3.5重量%の滑沢剤を用いることにより、打錠障害を低減させ、かつ十分な硬度を有する錠剤を製造できることを見いだしたものである。滑沢剤の配合量はより好ましくは1.5〜3.0重量%であり、さらに好ましくは1.5〜2.0重量%である。
(その他の添加剤)
本発明により製造する錠剤には、キシロオリゴ糖および滑沢剤のほかに、製剤に一般に用いられる添加剤を配合することができる。そのような添加剤としては、例えば、賦形剤、流動化剤、崩壊剤、結合剤、安定化剤、矯味剤、着色剤、保存剤、各種機能性成分、強化剤などが挙げられる。
賦形剤とは、打錠時の取扱いを容易にするために増量、希釈、充填、補形などの目的で添加される剤であり、本発明では、一般に経口組成物への添加が認められているものであればいずれでも用いることができる。例えば、賦形剤として、乳糖、デンプン、部分アルファー化デンプン、結晶セルロース、D−マンニトール、ブドウ糖、炭酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、デキストリンなどを用いることができる。中でも、結晶セルロースやデキストリンが、コストや生産性の点から好ましい。結晶セルロースとしては、例えば、商品名「セオラス(登録商標)」(旭化成ケミカルズ株式会社製)として市販されているものなどを用いることができる。賦形剤の配合量は、キシロオリゴ糖や、滑沢剤などの添加剤の配合量に応じて適宜決定することができるが、本発明では、通常、錠剤の重量当り1〜40重量%程度である。
流動化剤とは、打錠の際の粉体の固結を防止し、流動性を向上させるために添加される剤であり、本発明では、一般に食品に添加することが認められているものであればいずれも用いることができる。例えば、流動化剤としては、微粒二酸化ケイ素などを好適に用いることができる。微粒二酸化ケイ素は、平均粒子径15μm以下の二酸化ケイ素であり、滑らかな触感をもち、無臭、無味の、白色の粉末である。微粒二酸化ケイ素は、例えば、商品名「サイロページ」(富士シリシア化学株式会社製)や、商品名「カープレックス」(DSL.ジャパン株式会社製)として市販されているものを用いることができる。流動化剤の配合量は適宜決定することができるが、一般的に、錠剤の重量当り0.5〜2重量%程度である。特に、本発明では、微粒二酸化ケイ素を、1〜2重量%配合すると、混合粉末の均一性がよくなることから、好ましい。
また、本発明の錠剤には、キシロオリゴ糖以外の機能性成分を配合することができる。例えば、キシロオリゴ糖に加えて乳酸菌を添加することにより、キシロオリゴ糖による整腸作用を増強させることができる。
本発明の錠剤に含有させることができる乳酸菌には、特に限定はなく、例えば、ラクトバシラス属、ラクトコッカス属、ストレプトコッカス属、ペディオコッカス属、エンテロコッカス属菌などのいずれも用いることができる。なかでも、ラクトバシラス・ペントーサスなどのラクトバシラス属菌は好ましい。特に、植物由来であって、高い免疫調節作用を有することが知られているラクトバシラス・ペントーサスS−PT84(国際寄託番号:FERM BP−10028、国際寄託日:2004.05.25、寄託機関:独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター、寄託機関住所:日本国茨城県つくば市東1−1−1つくばセンター中央第6)は、本発明の錠剤に好適である。
乳酸菌は、培養後、集菌(遠心)、洗浄、凍結乾燥などの操作を経て、また、必要により賦形剤等で倍散して、錠剤の原料とすることができる。乳酸菌の配合量は、通常、一回投与分として菌数で1000万〜1兆個、より好ましくは1億個〜1000億個程度であるが、例えば、ラクトバシラス・ペントーサスS−PT84(FERM BP−10028)のような安全性が高い乳酸菌は、より多くの量を配合してもよい。
本発明の錠剤には、その他にも、リボフラビンやチアミン塩酸塩などのビタミン類や、ミネラル類などの強化剤を添加してもよい。リボフラビンやチアミン塩酸塩などのビタミン類や、ミネラル類などの強化剤を添加する場合には、打錠前の混合時に乾燥粉末の形態で添加することが好ましい。
(錠剤の製造)
本発明では、上記のようなキシロオリゴ糖及び滑沢剤、ならびに、必要により配合される賦形剤、流動化剤などの添加剤や、他の機能性成分などを、均一に混合し、圧縮成形することにより、錠剤を製造する。圧縮成形法としては、一般に、結合剤水溶液の添加などにより顆粒を形成(造粒)してから圧縮成形を行なう顆粒圧縮法と、混合粉末を造粒することなく直接圧縮成形する直接粉末圧縮法とがあるが、本発明では、特に、キシロオリゴ糖を水と接触させることなく、粉末の状態で直接に圧縮成形する、直接粉末圧縮法を用いると、キシロオリゴ糖の物理的、化学的安定性が確保され、例えば、キシロオリゴ糖の変色の防止や、錠剤製造後の保存安定性の改善に繋がるので、好ましい。また、直接粉末圧縮法は、造粒工程を含まず、製造工程が少ないため、経済的にも利点がある。一般的に、直接粉末圧縮法は、顆粒圧縮法と比較して、高い成形圧力をかけても錠剤の機械的強度(硬度)が上がらず、脆い錠剤となったり、また、粉末の流動性が顆粒の流動性に比べて一般的に悪い傾向にあることから打錠操作が困難であり安定した品質の錠剤を製造できなかったり、錠剤中の各種成分の含量を錠剤間で均一にすることが困難であったりなどの問題が生じやすいことが知られているが、キシロオリゴ糖を55〜90重量%で含有し、かつ滑沢剤を1.5〜3.5重量%で含有する本発明の錠剤では、意外なことに、直接粉末圧縮法を用いた場合でも、十分に高い強度(錠剤硬度、摩損しにくさ)を有する錠剤を、安定した品質で製造できることが確認されている。
また、本発明の錠剤の製造においては、単発打錠機ではなく、ロータリー型打錠機などを用いて、連続打錠を行なうことがコストの面から好ましい。ロータリー型打錠機とは、一般に、多数の臼と杵のセットが回転盤(ターンテーブル)に取り付けられた構造を有しており、回転盤が1回転する間に、粉末の充填、圧縮、抜圧、排出の各工程を回転盤の外周上の別々の箇所で行なうことができる打錠機をいう。ロータリー型打錠機は、回転盤が1回転する時間の間に、回転盤にセットされた臼の数だけの錠剤を打錠することができる、錠剤を短い時間で大量に生産するのに適する打錠機である。ロータリー型打錠機では、1度に複数個の錠剤が連続して圧縮成形されているため、いずれかの臼・杵のセットにおいて、粉末が付着・残留したり、または錠剤が適切に排出されないなどの問題が生じると、連続して行なわれる次の錠剤の製造工程において、粉末の充填、圧縮などが適正に行なわれなくなり、打錠不良の錠剤が連続して発生するという問題が生じる。したがって、ロータリー型打錠機などの連続打錠機で安定して連続打錠を行なうためには、バッチ式の単発打錠に比べて、粉末の適切な流動性や、臼・杵への付着しにくさなどが、より厳密に求められるといえる。本発明のキシロオリゴ糖を55〜90重量%含有し、滑沢剤を1.5〜3.5重量%含有する錠剤は、ロータリー型打錠機などの連続打錠機を用いた場合でも、打錠不良を起こすことなく、連続して、安定に、打錠できることが確認されている。
打錠時の圧力は、適宜設定することができ、例えば、0.6〜0.9kNである。
錠剤の重量は、経口で服用されることから、90mg〜280mgが好ましい。特に、嚥下し易さと摘み易さを考慮した場合、150mg〜250mgが好ましく、中でも、幼児や高齢者にとっての嚥下し易さと摘み易さを考慮した場合、200〜250mg、好ましくは200〜230mg程度が望ましい。これらの重量であれば、水などとともに摂取しやすい。
錠剤の直径については、錠剤重量に合わせて適宜設定すればよく、例えば、直径5〜10mm、好ましくは6〜9mm程度の大きさとする。錠剤の形状は、円形平面錠、円形曲面錠、涙型などの異型錠のようないずれの形状であってもよい。
また、本発明の錠剤は、各種成分由来の特徴的な味や臭いのマスキングまたは改善、あるいは外観による識別性の付与などの目的に応じて、その外周にコーティングを施してもよい。コーティングの種類としては、一般に製剤のコーティングに用いられるものを用いることができ、特に限定されない。例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)などの水溶性基剤を用いた水溶性コーティングや、胃溶性基剤を用いた胃溶性コーティング、腸溶性コーティング、徐放性コーティングなどを用いることができる。コーティングの付与量は特に限定されず、たとえば、素錠100重量部に対して1〜10重量部程度を付与することができる。コーティング方法も特に制限はなく、通常のコーティング機を用いて行うことができる。
本発明の錠剤は、1錠当たりの重量のうち、55〜90重量%という高い濃度でキシロオリゴ糖を有している。整腸作用に対して必要とされる1日当たりのキシロオリゴ糖の量0.4g以上を、少ない個数、例えば2〜4錠程度で補給することができる。本発明の錠剤の服用方法は、口中で咀嚼する方法、水と一緒に服用する方法のいずれでもよい。本発明の錠剤は、老齢者や小児でも嚥下し易い小さいサイズであり、且つ、特に高齢者にとっても摘み易い大きさであることから、水などとともに飲み込むのに特に適している。
本発明の錠剤の製造方法は、付着力の強いキシロオリゴ糖を高濃度で用いるにもかかわらず、キャッピング、スティッキング、バインディングといった打錠不良が起こらず、ロータリー打錠機などでの連続打錠により、安定して打錠できるという利点を有している。また、本発明の方法により製造された錠剤は、株式会社藤原製作所製の木屋式デジタル硬度計で測定した錠剤硬度が、6kg以上、好ましくは8〜14kg程度あり、実用上十分な硬度を有している。また、本発明の錠剤は、外部からの衝撃に対しても強く、摩損しにくいという利点がある。
以下、実施例に基づいて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、「%」及び「部」は、特に断わりがない限り、それぞれ「重量%」及び「重量部」を示す。
実施例1
キシロオリゴ糖としてサントリー株式会社製の商品名「キシロオリゴ95P」(キシロオリゴ糖含量95%)、滑沢剤として太平化学産業株式会社製の「ステアリン酸カルシウム」、流動化剤としてDSL.ジャパン株式会社製の商品名「カープレックスFPS−500」(微粒二酸化ケイ素)、賦形剤として松谷化学工業株式会社製の商品名「パインデックス#100」(デキストリン)と旭化成ケミカルズ株式会社製の商品名「セオラスST−02」(結晶セルロース)を用いて、下記表1に記載の処方にしたがって、直接粉末圧縮法により錠剤を得た。打錠機としてロータリー型打錠機(株式会社畑鉄工所製のHT−EX12SS−II型)を用いて、仕込み量を200gとし、錠剤径を8.0mm、曲面径を6.5mm、打錠圧力を0.7kNとして連続打錠を行なった。得られた錠剤について、打錠性、錠剤硬度、摩損度、及び飲みやすさを評価した。
打錠性は、連続打錠した際の、キャッピング(錠剤の上杵側が帽子状に剥離する現象)、スティッキング(錠剤表面の一部が薄く剥がれ、傷を生ずる現象)、及びバインディング(錠剤が臼から排出される時、錠剤側面に縦傷ができる現象)の発生の程度、ならびに品質の均一性を総合的に評価し、十分に良好である場合を○、許容できないレベルである場合を×とした。
錠剤硬度は、木屋式デジタル硬度計(株式会社藤原製作所製)を用いて、10錠の錠剤について測定した値の平均値を硬度とし、硬度が6kg以上の場合に○、それ未満の場合に×とした。この硬度6kgという値は、錠剤の実用上の硬度として一般に十分であるとみなされる値であり、例えば、製品の流通時や、コーティングパンを用いて錠剤にコーティングを施す際など、錠剤同士が接触する場合であっても、錠剤の割れや欠けが防止される目安となる値である。
摩損度は、錠剤摩損度試験器(萓垣医理科工業株式会社製、内径約300mm、深さ約50mm)を用い、錠剤20錠を25rpmで10分間回転し、回転前の錠剤の総重量に対する回転後の錠剤の総重量の減少割合を摩損度とし、摩損度が0.3%以内の場合を○、0.3%を超える場合を×とした。
飲みやすさは、錠剤を成人6名に水とともに服用してもらい、4名以上が服用しやすい大きさであると判断した場合を○とし、それ以外を×として評価した。
結果を表1に示す。
Figure 2010280601
表1の結果より、滑沢剤を1.5重量%、2重量%、または3重量%用いた本発明の錠剤は、錠剤重量が200〜230mgと小さく、キシロオリゴ糖濃度が55〜90重量%と高濃度であるにもかかわらず、打錠性、錠剤硬度、摩損度、飲みやすさのいずれの点においても優れていることがわかる。一方、滑沢剤が0重量%である比較品1では打錠障害が多発し、均質な品質の錠剤を製造することができなかった。また、滑沢剤が10重量%である比較品2では、錠剤の硬度が顕著に低下し、崩れやすい脆い錠剤となった。
実施例2
キシロオリゴ糖、デキストリン、結晶セルロース、滑沢剤、流動化剤は、実施例1と同じものを用いた。
また、乳酸菌として、ラクトバシラス・ペントーサスS−PT84(FERM BP−10028)をMRS培地で37℃、24時間培養し、培養終了後、集菌(遠心)し、洗浄し、凍結乾燥し、デキストリンで約10倍散としたものを用いた。
下記表2に示す処方にしたがって、ロータリー型打錠機(株式会社畑鉄工所製のHT−EX12SS−II型)を用いて、直接粉末圧縮法により連続打錠して錠剤を得た。打錠性、錠剤硬度、摩損度、及び飲みやすさを、実施例1に記載の方法で評価した。結果を表2に示す。
Figure 2010280601
いずれの錠剤においても、打錠性、錠剤硬度、摩損度、および飲みやすさが良好であった。
実施例3
実施例2で製造した本発明品12(錠剤(素錠)重量230mg)に、以下の手順でコーティングを施した。本発明品12の素錠100部に対して、2.7部のヒドロキシプロピルセルロース及び0.3部のポリエチレングリコール6000からなる水溶性の皮膜をコーティングした。仕込み量を200gとし、コーティング機としてハイコーターミニ(フロイント社製、回転数15rpm、排気温度約45℃)を用いた。コーティング中に錠剤の割れや欠けといった障害は認められず、本発明の錠剤の強度が良好であることが確認された。また、得られたコーティング錠は飲みやすいものであり、取り扱い性にも優れたものであった。

Claims (7)

  1. キシロオリゴ糖を錠剤の重量に対して55〜90重量%含有する錠剤を、連続打錠機を用いて打錠して製造する方法であって、滑沢剤を錠剤の重量に対して1.5〜3.5重量%配合することを含む、上記方法。
  2. 錠剤の1錠当りの重量が、90〜280mgである、請求項1に記載の方法。
  3. 滑沢剤が、ステアリン酸カルシウム又はステアリン酸マグネシウムである、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 打錠法が、直接粉末圧縮法である、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 流動化剤を錠剤の重量に対して1〜2重量%配合することをさらに含む、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  6. 流動化剤が、微粒二酸化ケイ素である、請求項5に記載の方法。
  7. 乳酸菌を配合することをさらに含む、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
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