JP2010277762A - 色素増感型太陽電池用金属酸化物電極及び色素増感型太陽電池、並びに金属酸化物電極の製造方法 - Google Patents

色素増感型太陽電池用金属酸化物電極及び色素増感型太陽電池、並びに金属酸化物電極の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】金属酸化物層の機械強度に優れ、電池特性を過度に損なうことなく耐久性を向上させ得る色素増感型太陽電池用金属酸化物電極、並びに、電池特性及び耐久性に優れる色素増感型太陽電池等を提供する。
【解決手段】基体と該基体上に設けられた金属酸化物層とを有し、前記金属酸化物層は、金属酸化物及びリン酸系界面活性剤を含有する、色素増感型太陽電池用金属酸化物電極。前記リン酸系界面活性剤は、前記金属酸化物に対し0.1〜30wt%含まれることが好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は、色素増感型太陽電池用金属酸化物電極及び色素増感型太陽電池、並びに金属酸化物電極の製造方法に関する。
多孔質酸化チタン電極を用いることにより、アモルファスシリコン太陽電池に匹敵する性能を有する色素増感型太陽電池が得られる旨の報告がグレッツェルらによって既になされている(J. Am. Chem. Soc. 115 (1993) 6382参照)。また、近時、色素増感型太陽電池の応用開発研究が、国内外を問わず、様々な研究機関で盛んに行われている。例えば、上記の酸化チタン以外に、酸化ニオブ、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化インジウム等の金属酸化物及びこれらの混合系等の様々な金属酸化物においても、光電変換能が発揮されることが報告されている。
上記の金属酸化物電極の製法としては、金属酸化物の微粒子のゾル液又はスラリー液等の塗布液を導電性基板の表面に塗布し成膜する方法が一般的に用いられている。
金属酸化物電極がその機能を充分に発揮するためには、金属酸化物粒子同士の強い結合、及び、金属酸化物微粒子と導電性基板表面との強い結合が非常に重要となる。これらの目的を達成するため、従来、ポリエチレングリコ−ルなどの有機バインダー成分を適量添加した塗布液を調製し、この塗布液を基板上に塗布し、しかる後、400℃以上の高温で焼成することにより成膜する方法が知られている。しかしながら、このような高温焼成処理を必須とする方法では、基板の損傷が生じ得るため、事実上、樹脂材料を含む基板を用いることができず、その結果、得られる電極の用途が限定される問題があった。また、印加エネルギー量が大きいので、環境負荷が大きいという問題もあった。
このような問題点に鑑み、特許文献1には、高温焼成に代わる処理方法として、(i)400nm以下の紫外光を照射したり、(ii)50℃以上350℃未満で加熱したり、(iii)マイクロ波を照射したりする等の各種処理方法が提案されている。また、特許文献2には、透明導電層上に金属酸化物半導体微粒子とバインダー樹脂とを含有する分散液を塗布し、150℃程度の低温焼成した後、前記バインダー樹脂を脱脂して金属酸化物半導体多孔質層を形成する方法が提案されている。しかしながら、これらの方法では、塗布液に必須成分として配合された有機バインダー成分が金属酸化物層中に残留するので、良好な電池特性を実現することが困難であるという問題があった。
一方、特許文献3至5には、150℃以下程度の低温処理でも高い電池特性を実現できる金属酸化物層の作製方法が提案されている。具体的には、金属酸化物微粒子のゾル又はスラリー中に有機バインダー成分を配合しない構成を採用している。しかしながら、これらの方法では、金属酸化物粒子同士、及び、金属酸化物微粒子と導電性基板表面との結合性が未だ不十分で、高温高湿試験や温度サイクル試験などの耐久性(長期信頼性)試験において、金属酸化物層が破損したり、導電性基板表面から金属酸化物層が剥離したりする等の問題があった。
特開2001−357896号公報 特開2007−103310号公報 特開2004−119129号公報 特開2005−222838号公報 特開2005−251591号公報
本発明はかかる実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、金属酸化物層の機械強度(膜強度、密着強度)に優れ、電池特性を過度に損なうことなく耐久性(長期信頼性)を向上させ得る色素増感型太陽電池用金属酸化物電極、電池特性及び耐久性(長期信頼性)に優れる色素増感型太陽電池、並びに、そのような金属酸化物電極を簡易且つ低コストで再現性よく安定して製造可能な製造方法を提供することにある。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、上記従来の有機バインダー成分に代えてリン酸系界面活性剤を用いることで、上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の色素増感型太陽電池用金属酸化物電極は、基体と該基体上に設けられた金属酸化物層とを有し、前記金属酸化物層は、金属酸化物及びリン酸系界面活性剤を含有するものである。
本発明者らが、上記の色素増感型太陽電池用金属酸化物電極の特性を測定したところ、その金属酸化物層は、従来のものに比して機械強度(膜強度、密着強度)が飛躍的に高められ、これを用いて得られる色素増感型太陽電池は、耐久性(長期信頼性)が格別に高められていることが判明し、その上さらに、有機バインダー成分を配合する場合に不可避的に付随する電池特性の低下までもが格別に抑制されていることが判明した。かかる効果が奏される作用機構の詳細は、未だ明らかではないものの、例えば、以下のとおり推定される。
上述したように、金属酸化物層の機械強度を高めるためには、金属酸化物層に有機バインダー成分を配合することが望まれる。しかしながら、従来技術のように金属酸化物層に有機バインダー成分を配合すると、金属酸化物の表面への増感色素の担時(吸着)が阻害され、或いは、金属酸化物層の濡れ性が低下する等して電解液の含浸が阻害され得るので、電池特性が著しく損なわれる傾向にある。
一方、金属酸化物層にリン酸系界面活性剤を配合する場合は、そのような電池特性の著しい低下は抑制される。その理由は定かではないが、複数の電子吸引性のリン酸基が金属酸化物の表面の金属原子と優先的に相互作用した結果、金属酸化物の表面において新たなエネルギー準位が形成されて可視光に応答し得るバンドギャップを有しているとも考えられる。
他方、リン酸系界面活性剤は界面活性剤の中でも低気泡性の特性を有しており、そのため、これを金属酸化物の粒子のスラリーやゾルに添加しても、気泡の発生が観察されない。一般に、スラリーやゾル中に混入した気泡は、塗膜(金属酸化物層、金属酸化物膜)中にも取り込まれるので、スラリーやゾル中にそのような気泡が存在すると形成される金属酸化物層の機械強度の低下を招く可能性が高い。そのような意味でも、リン酸系界面活性剤の使用は、膜の機械強度を上げるという点で極めて有利であると考えられる。また、リン酸基は、透明電極の構成元素(例えば、InやSn等の金属元素)とも強い結合を形成し得るので、基材との密着強度が格別に高められたものと考えられる。
但し、作用はこれらに限定されない。
前記金属酸化物層は、金属酸化物の粒子が凝集した多孔質構造を有することが好ましい。リン酸系界面活性剤の配合により、金属酸化物の粒子同士、及び、金属酸化物の粒子と導電性基板表面とが強固に結合して、金属酸化物層の機械強度が格別に高められ、耐久性が格別に高められる。
前記リン酸系界面活性剤は、前記金属酸化物に対し0.1〜30wt%含まれることが好ましい。リン酸系界面活性剤の含有量をこの範囲に調整することで、従来では為し得なかった、電池特性及び耐久性(長期信頼性)の両立が図られる。
本発明の色素増感型太陽電池は、上記本発明の色素増感型太陽電池用金属酸化物電極を有効に利用可能なものであって、基体と該基体上に設けられた金属酸化物層とを有する金属酸化物電極、前記金属酸化物電極と対向するように配設された対向電極、並びに、前記金属酸化物電極及び前記対向電極の間に設けられた電解質、を備え、前記金属酸化物層は、金属酸化物及びリン酸系界面活性剤を含有し、且つ、増感色素を担持しているものである。上記と同様の理由で、前記金属酸化物層は、金属酸化物の粒子が凝集した多孔質構造を有することが好ましく、前記リン酸系界面活性剤は、前記金属酸化物に対し0.1〜30wt%含まれることが好ましい。
本発明の金属酸化物電極の製造方法は、上記本発明の色素増感型太陽電池用金属酸化物電極を有効に製造可能なものであって、基体と該基体上に設けられた金属酸化物層とを有する金属酸化物電極の製造方法であって、金属酸化物粒子及びリン酸系界面活性剤を含有する調合物を準備する工程と、前記調合物を基材に付与する工程と、を有するものである。この製造方法によれば、簡易且つ低コストでそのような金属酸化物電極を再現性よく安定して製造可能となる。
本発明によれば、金属酸化物層の機械強度に優れ、電池特性を過度に損なうことなく耐久性を向上させ得る色素増感型太陽電池用金属酸化物電極、及び、電池特性及び耐久性に優れる色素増感型太陽電池が実現される。しかも、従来技術の如く高温焼成プロセスを必須とせず、簡易且つ低コストで再現性よく安定して製造可能なので、生産性及び経済性が高められる。
色素増感型太陽電池100及び金属酸化物電極14の概略構成を示す断面図である。
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。さらに、図面の寸法比率は、図示の比率に限定されるものではない。また、以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明はその実施の形態のみに限定されるものではない。
図1は、本実施形態の色素増感型太陽電池の概略構成を示す断面図である。
色素増感型太陽電池100は、作用電極としての色素担持電極11と、対極21と、これら色素担持電極11及び対極21の間に設けられた電解質31を備える。色素担持電極11と対極21とは、スペーサ41を介して対向配置され、これら色素担持電極11、対極21及びスペーサ41並びに図示しない封止部材によって画成される封止空間内に電解質31が封入されている。
色素担持電極11は、基体12の導電性表面12a上に金属酸化物及びリン酸系界面活性剤を含有する多孔性の金属酸化物層13を有する金属酸化物電極14を備え、その金属酸化物層13に増感色素が担持(吸着)されたものである。換言すれば、本実施形態の色素担持電極11は、増感色素が担持(吸着)された金属酸化物層13、すなわち、増感色素が金属酸化物の表面に担持(吸着)された複合構造体が、基体12の導電性表面12a上に積層された構成となっている。
基体12としては、少なくとも金属酸化物層13を支持可能なものであればその種類や寸法形状は特に制限されず、例えば、板状或いはシート状の物が好適に用いられる。その具体例としては、例えば、ガラス基板、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等のプラスチック基板、金属基板或いは合金基板、セラミックス基板又はこれらの積層体等が挙げられる。また、基体12は、透光性を有することが好ましく、可視光領域における透光性に優れるものがより好ましい。さらに、基体12は、可撓性を有することが好ましい。この場合、その可撓性を生かした種々の形態の構造物を提供できる。
導電性表面12aは、例えば、導電性PETフィルムのように基体12上に透明導電膜を形成する等して、基体12に付与することができる。また、導電性を有する基体12を用いることで、基体12に導電性表面12aを付与する処理を省略することができる。透明導電膜の具体例としては、例えば、インジウム−スズ酸化物(ITO)、インジウム−亜鉛酸化物(IZO)、SnO2、InO3の他、SnO2にフッ素をドープしたFTO等が挙げられるが、これらに特に限定されない。これらは、各々を単独で用いても、複数を組み合わせて用いてもよい。透明導電膜の形成方法は、特に限定されず、例えば、蒸着法、CVD法、スプレー法、スピンコート法、或いは浸漬法等、公知の手法を適用できる。また、透明導電膜の膜厚は、適宜設定可能である。なお、基体12の導電性表面12aは、必要に応じて、適宜の表面改質処理が施されていてもよい。その具体的としては、例えば、界面活性剤、有機溶剤又はアルカリ性水溶液等による脱脂処理、機械的研磨処理、水溶液への浸漬処理、電解液による予備電解処理、水洗処理、乾燥処理等公知の表面処理が挙げられるが、これらに特に限定されない。
金属酸化物層13は、TiO2、ZnO、SnO2、WO3、Nb25等の金属酸化物を主成分とする多孔性の半導体層である。金属酸化物層13は、チタン、スズ、亜鉛、鉄、タングステン、ジルコニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、カドミウム、鉛、アンチモン、ビスマス等の金属、これらの金属酸化物及びこれらの金属カルコゲニドを含んでいてもよい。なお、金属酸化物層13の厚みは、特に限定されないが、0.05〜50μmであることが好ましい。
金属酸化物層13に含まれるリン酸系界面活性剤は、リン酸基を有する界面活性剤である。金属酸化物層13にリン酸系界面活性剤を含ませることで、機械強度(膜強度、密着強度)及び耐久性(長期信頼性)が飛躍的に向上し、また、有機バインダーを添加する従来手法に比して、初期特性の低下が抑制される。かかる観点から、リン酸系界面活性剤は金属酸化物層13に含まれることが重要である。好ましいリン酸系界面活性剤は、リン酸基を有するアニオン性界面活性剤である。より好ましくは、ポリマー主鎖にリン酸を有するアルキル基を側鎖として有するもの、具体的には、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸やポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸等が挙げられる。かかるアルキル基の炭素数としては、12〜20程度が好ましく、分子内に含まれるアルキル基の長さは単一でも異なっていてもよい。その代表例としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンステアリルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエーテルリン酸等が挙げられるが、これらに特に限定されない。
金属酸化物層13に含まれるリン酸系界面活性剤の含有量は、特に限定されないが、0.1〜30wt%であることが好ましく、より好ましくは0.3〜20wt%、さらに好ましくは0.5〜15wt%である。リン酸系界面活性剤の含有量が多いほど機械強度及び耐久性に優れる傾向にあり、一方、リン酸系界面活性剤の含有量が少ないほど初期特性に優れる傾向にある。したがって、これらのバランスを考慮して、リン酸系界面活性剤の含有量を適宜設定すればよい。
金属酸化物層13の形成方法は、特に限定されず、公知の手法が適用可能である。例えば、金属酸化物粒子及びリン酸系界面活性剤を含有する調合物を基体12の導電性表面12a上に付与した後に焼結する方法や、かかる調合物を基体12の導電性表面12a上に付与した後に50〜150℃程度、好ましくは70〜150℃程度の低温処理を行う方法が挙げられる。これらの手法によると、金属酸化物の粒子が凝集した多孔質構造を有する金属酸化物層13を簡易に得ることができる。これらの中でも、樹脂を含む基板が使用可能となるとともに印加エネルギー量を減らして環境負荷を低減できる観点から、後者の50〜150℃程度の低温処理を行う方法が好ましい。なお、調合物の基材表面への付与方法は、特に限定されず、従来公知の塗布法等が適用可能である。
上記の金属酸化物粒子及びリン酸系界面活性剤を含有する調合物は、分散媒を含む調合液(例えば、分散液、ゾル液又はスラリー液等)であることが好ましい。分散媒の具体例としては、特に限定されないが、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、ジクロロメタン、アセトン、アセトニトリル、酢酸エチル、トルエン、ジメチルホルムアミド、エトキシエタノール、シクロヘキサノン等の各種の有機溶媒が挙げられる。なお、これらは、各々を単独で用いても、複数を組み合わせて用いてもよい。また、必要に応じて、他の界面活性剤、酸、キレート剤等の助剤を含むものであってもよい。
金属酸化物層13に担持させる増感色素は、特に限定されず、水溶性色素、非水溶性色素、油溶性色素のいずれであっても構わない。光電変換素子として要求される性能に応じて、所望の光吸収帯・吸収スペクトルを有するものを適宜選択できる。増感色素の具体例としては、例えば、エオシンY等のキサンテン系色素、クマリン系色素、トリフェニルメタン系色素、シアニン系色素、メロシアニン系色素、フタロシアニン系色素、ナフタロシアニン系色素、ポルフィリン系色素、ポリピリジン金属錯体色素等の他、ルテニウムビピリジウム系色素、アゾ色素、キノン系色素、キノンイミン系色素、キナクリドン系色素、スクアリウム系色素、ペリレン系色素、インジゴ系色素、オキソノール系色素、ポリメチン系色素、リボフラビン系色素等が挙げられるが、これらに特に限定されない。なお、これらは、各々を単独で用いても、複数を組み合わせて用いてもよい。また、色素担持量を増大させる観点から、増感色素は、金属酸化物と相互作用する吸着性基を有することが好ましい。吸着性基の具体例としては、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基或いはリン酸基等が挙げられるが、これらに限定されない。
増感色素を金属酸化物層13に担持させる方法としては、例えば、増感色素を含む溶液に金属酸化物層13を浸漬する方法、増感色素を含む溶液を金属酸化物層13に塗布する方法等が挙げられる。ここで用いる増感色素含有溶液の溶媒は、使用する増感色素の溶解性又は相溶性等に応じて、例えば、水、エタノール系溶媒、ニトリル系溶媒、ケトン系溶媒等の公知の溶媒から適宜選定することができる。
なお、色素担持電極11(金属酸化物電極14)は、基体12の導電性表面12aと金属酸化物層13との間に、中間層を有していてもよい。中間層の材料は、特に限定されないが、例えば、上記の透明導電膜12aで説明した金属酸化物等が好ましい。中間層は、例えば、蒸着法、CVD法、スプレー法、スピンコート法、浸漬法或いは電析法等の公知の手法によって、基体12の導電性表面12aに金属酸化物を析出或いは堆積することで形成することができる。なお、中間層は、透光性を有することが好ましく、さらに導電性を有することが好ましい。また、中間層の厚みは、特に限定されるものではないが、0.1〜5μm程度が好ましい。
対極21は、導電性表面22aを有する基体22からなり、その導電性表面21aが色素担持電極11の金属酸化物層13と対面するように対向配置されている。基体22及び導電性表面22aは、上述した基体12及び導電性表面12aと同様に、公知のものを適宜採用することができ、例えば、導電性を有する基体12の他、基体12上に透明導電膜12aを有するもの、基体12の透明導電膜12a上にさらに白金、金、銀、銅、アルミニウム、インジウム、モリブデン、チタン等の金属、カーボン、導電性ポリマー等の膜を形成したもの等を用いることができる。
電解質31としては、レドックス電解質溶液やこれをゲル化した半固体電解質或いはp型半導体固体ホール輸送材料を成膜したもの等、一般に電池や太陽電池等において使用されているものを適宜用いることができる。色素増感型太陽電池の代表的な電解質溶液としては、例えば、ヨウ素及びヨウ化物又は臭素及び臭化物を含むアセトニトリル溶液、エチレンカーボネート溶液、又はプロピレンカーボネート溶液、及びそれらの混合溶液等が挙げられる。電解質の濃度や各種添加剤等は、要求性能に応じて適宜設定及び選択することができる。添加剤の具体例としては、例えば、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン及びそれらの誘導体等のp型導電性ポリマー;イミダゾリウムイオン、ピリジニウムイオン、トリアゾリウムイオン及びそれらの誘導体とハロゲンイオンとの組み合わせからなる溶融塩;ゲル化剤;オイルゲル化剤;分散剤;界面活性剤;安定化剤等が挙げられるが、これらに特に限定されない。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
まず、以下の手順で酸化チタンゾル液を調製した。
125mlのチタンイソプロポキシドを0.1M硝酸水溶液750mlに攪拌しながら添加し、さらにこれを80℃で8時間激しく攪拌した。得られた液体をテフロン(登録商標)製の圧力容器内で230℃、16時間オートクレーブ処理した。次いで、得られたゾル液を攪拌し、沈殿物を再懸濁させた。その後、吸引濾過により、再懸濁しなかった沈殿物を取り除き、エバポレーターで酸化チタン濃度が11wt%になるまでゾル液を濃縮した。得られたゾル液にポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸(商品名:フオスフアノールML−220、東邦化学工業製)を酸化チタン重量に対し5wt%添加し、その後、1時間攪拌した。
かくして得られたゾル液を酸化チタン濃度が2wt%となるようにメタノールで希釈することで、実施例1の酸化チタンゾル液を得た。
次に、上記の実施例1の酸化チタンゾル液を用い、以下の手順で金属酸化物電極(酸化チタン電極)を作製した。
まず、ポリカーボネ−トフィルム基材の表面に導電膜として厚さ約600nmのITOをスパッタ成膜することで、可撓性を有する導電性ポリカーボネートフィルム樹脂基板(サイズ:縦2.0cm、横1.5cm、厚さ0.1mm、シ−ト抵抗:30Ω/□)を作製した。次に、得られた導電性ポリカーボネートフィルム樹脂基板の導電膜上に、縦0.5cm、横0.5cmの四角穴を設けた厚さ70μmのマスキングテ−プを貼り、その四角穴に向けて酸化チタンゾル液をスプレー塗布することで、その四角穴の内側で露出する導電膜上に酸化チタンゾル液を付与した。その後、マスキングテ−プを剥がし、電気炉を用いて100℃で30分間加熱することで、金属酸化物及びリン酸系界面活性剤を含有する金属酸化物層(酸化チタン膜)を形成した。なお、加熱時の昇温速度は2℃/minとした。
次いで、得られた金属酸化物層中に含まれる硝酸成分を除去するため、金属酸化物層をアルカリ溶液で処理した。具体的には、アルカリ溶液として2wt%のアンモニア水/メタノ−ル希釈溶液を用い、この溶液中に金属酸化物層を30分浸漬し、その後、金属酸化物層を取り出してメタノ−ルで洗浄し、さらに80℃で10分間乾燥させた。
以上の操作により、基体の導電性表面上に金属酸化物及びリン酸系界面活性剤を含有する金属酸化物層(酸化チタン膜)を有する実施例1の金属酸化物電極(酸化チタン電極)を得た。この金属酸化物層の膜厚を測定したところ、約6μmであった。
なお、上記と同様の金属酸化物電極(酸化チタン電極)を作製し、金属酸化物層(酸化チタン膜)の熱重量分析(TGA)を行ったところ、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸が酸化チタンに対して4.1wt%含まれていることが確認された。この熱重量分析の測定条件は以下の通りである。セイコ−電子社製のTG/DTA22装置を用い、試料2mgを採取して試料ホルダーにセットするとともに参照ホルダーに参照試料をセットし、試料周囲の雰囲気ガスとしてHeガスを流量300mL/分で装置内に流通開始した後、昇温速度10℃/分の昇温プログラムの下、室温から昇温を開始して、そのときの試料の質量変化を測定した(室温〜500℃)。
また、上記と同様の金属酸化物電極(酸化チタン電極)を作製し、その金属酸化物層(酸化チタン膜)の導電性ポリカーボネートフィルム樹脂基板への密着強度を評価した。密着強度の評価は、JIS K5400の碁盤目セロハンテープ剥離試験に準拠しておこなった。具体的には、金属酸化物層(酸化チタン膜)に1mm間隔で碁盤目状のマス目を入れ、その表面にセロハンテープ(CT24、ニチバン(株)製)を用い、指の腹でフィルムに密着させた後剥離した。テープ剥離試験後に基板上に残存する金属酸化物層(酸化チタン膜)のマスの割合(%)を計測した結果、剥離試験後に残った酸化チタン膜のマスの割合は96%であり、充分な機械強度を有することが確認された。
その後、上記の実施例1の金属酸化物電極を用い、以下の手順で色素担持電極を作製した。
増感色素として(4,4'−ジカルボン酸−2,2'−ビピリジン)ルテニウム(II)ジイソチアネートを3×10-4M濃度で添加した無水エタノール溶液20mlに金属酸化物電極を浸漬し、12時間放置した。放置後、電極を取り出して無水アセトニトリルで洗浄し自然乾燥させた。得られた電極は、金属酸化物層がルテニウム色素の担持(吸着)によって深紅色となっていることが確認された。
以上の操作により、金属酸化物の表面に増感色素が担持された金属酸化物層を基体の導電性表面上に有する実施例1の色素担持電極を得た。
そして、上記の実施例1の色素担持電極を用い、以下の手順で色素増感型太陽電池を作製した。
まず、縦0.5cm、横0.5cmの四角穴を設けた縦1.5cm、横1.5cm、厚さ70μmのスペ−サ−を、四角穴の部分と増感色素が担持された金属酸化物層(酸化チタン膜)の部分とが一致するように、金属酸化物電極(酸化チタン電極)上に載置して密着させた。そして、四角穴の部分に電解液を充填し、その後、スペーサ上に対極30を載せ、さらに周囲をエポキシ樹脂で封止することで、実施例1の色素増感型太陽電池を作製した。ここで、電解液としては、テトラプロピルアンモニウムヨウジド(0.4M)とヨウ素(0.04M)を含むメトキシプロピオニトリル溶液を用いた。また、対極としては、白金を100nmの厚さで蒸着した導電性ガラスを用いた。
得られた実施例1の色素増感型太陽電池の電池特性を、AM−1.5(1000W/m2)のソーラーシミュレーターを用いて測定した。電池特性は、開放電圧(Voc)、光電流密度(Jsc)、形状因子(FF)、変換効率(η)の4項目を測定した。なお、開放電圧(Voc)は、太陽電池セル・モジュールの出力端子を開放したときの両端子間の電圧を表す。光電流密度(Jsc)は、太陽電池セル・モジュールの出力端子を短絡させたときの両端子間に流れる電流(1cm2当たり)を表す。また、形状因子(FF)は、最大出力Pmaxを開放電圧(Voc)と光電流密度(Jsc)の積で除した値(FF=Pmax/Voc・Jsc)であり、太陽電池としての電流電圧特性曲線の特性を表すパラメータである。さらに、光電変換効率(η)は、光電変換素子の電圧をソースメータにて掃引して応答電流を測定することで得られる、電圧と電流との積である最大出力を1cm2あたりの光強度で除した値に100を乗じてパーセント表示したものであり、(最大出力/1cm2あたりの光強度)×100で表される。これらの結果を表1に示す。
また、耐久性(長期信頼性)を評価するために、60℃95%RHで100hr放置した後の光電変換効率、及び、60℃〜−20℃の温度サイクル試験(1サイクル6時間×10回)を実施した後の光電変換効率を測定し、先に測定した(初期の)光電変換効率からの変動率(%)を各々算出した。これらの結果を、表1に併せて示す。
(実施例2)
ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸を酸化チタン重量に対し30wt%添加すること以外は、実施例1と同様に行い、実施例2の酸化チタンゾル液を調製した。そして、この実施例2の酸化チタンゾル液を用いること以外は、実施例1と同様に行い、実施例2の金属酸化物電極、色素担持電極並びに色素増感型太陽電池を作製し、各種測定を行った。結果を、表1に示す。
(実施例3)
まず、以下の手順で酸化亜鉛スラリー液を調製した。
市販の酸化亜鉛粒子(商品名:nano ZINC100、本荘ケミカル製)をトルエンに対して30wt%添加し、さらにポリオキシエチレンステアリルエーテルリン酸(商品名:フオスフアノール RL−310、東邦化学工業製)を酸化亜鉛重量に対し4wt%添加した。その後、ペイントシェーカーを用いて30分間分散処理を行うことで、実施例3の酸化亜鉛スラリー液を得た。
次に、上記の実施例3の酸化亜鉛スラリー液を用い、以下の手順で金属酸化物電極(酸化亜鉛電極)を作製した。
まず、ポリカーボネ−トフィルム基材の表面に導電膜として厚さ約600nmのITOをスパッタ成膜することで、可撓性を有する導電性ポリカーボネートフィルム樹脂基板(サイズ:縦2.0cm、横1.5cm、厚さ0.1mm、シ−ト抵抗:30Ω/□)を作製した。次に、得られた導電性ポリカーボネートフィルム樹脂基板の導電膜上に、縦0.5cm、横0.5cmの四角穴を設けた厚さ70μmのマスキングテ−プを貼り、その四角穴の内側で露出する導電膜上に酸化亜鉛スラリー液を500rpmでスピンコート塗布した。その後、マスキングテ−プを剥がし、電気炉を用いて100℃で30分間加熱処理した。昇温速度は2℃/minとした。前記スピンコート塗布と加熱処理を5回繰り返すことで、金属酸化物及びリン酸系界面活性剤を含有する金属酸化物層(酸化亜鉛膜)を形成した。
以上の操作により、基体の導電性表面上に金属酸化物及びリン酸系界面活性剤を含有する金属酸化物層(酸化亜鉛膜)を有する実施例3の金属酸化物電極(酸化亜鉛電極)を得た。この金属酸化物層の膜厚を測定したところ、約5μmであった。
なお、上記と同様の金属酸化物電極(酸化亜鉛電極)を作製し、これを熱重量分析(TG)したところ、この金属酸化物層(酸化亜鉛膜)中にポリオキシエチレンステアリルエーテルリン酸が酸化亜鉛に対して3.5wt%含まれていることが確認された。
また、上記と同様の金属酸化物電極(酸化亜鉛電極)を作製し、その金属酸化物層(酸化亜鉛膜)の導電性ポリカーボネートフィルム樹脂基板への密着強度を評価した。密着強度の評価は、金属酸化物層(酸化亜鉛膜)に碁盤目状のマス目を入れ、テープ剥離試験後に基板上に残存する金属酸化物層(酸化亜鉛膜)のマスの割合(%)を計測する碁盤目試験により行った。その結果、剥離試験後に残った酸化亜鉛膜のマスの割合は95%であり、充分な機械強度を有することが確認された。
その後、上記の実施例3の金属酸化物電極を用い、以下の手順で色素担持電極を作製した。
増感色素としてD149(三菱製紙製)を用い、0.5mMのD149溶液(t−ブタノール/アセトニトリル=1/1混合溶媒)に金属酸化物電極を浸漬し、1時間放置した。放置後、電極を取り出してアセトニトリルで洗浄し自然乾燥させた。得られた電極は、金属酸化物層がD149の担持(吸着)によって深紅色となっていることが確認された。
以上の操作により、金属酸化物の表面に増感色素が担持された金属酸化物層を基体の導電性表面上に有する実施例3の色素担持電極を得た。
そして、上記の実施例3の色素担持電極を用いること以外は、実施例1と同様に行い、実施例3の色素増感型太陽電池を作製し、各種測定を行った。結果を、表1に示す。
(実施例4)
ポリオキシエチレンステアリルエーテルリン酸を酸化亜鉛重量に対し1wt%添加すること以外は、実施例3と同様に行い、実施例4の酸化亜鉛スラリー液を調製した。そして、この実施例4の酸化亜鉛スラリー液を用いること以外は、実施例3と同様に行い、実施例4の金属酸化物電極、色素担持電極並びに色素増感型太陽電池を作製し、各種測定を行った。結果を、表1に示す。
(実施例5)
ポリオキシエチレンステアリルエーテルリン酸を酸化亜鉛重量に対し10wt%添加すること以外は、実施例3と同様に行い、実施例5の酸化亜鉛スラリー液を調製した。そして、この実施例5の酸化亜鉛スラリー液を用いること以外は、実施例3と同様に行い、実施例5の金属酸化物電極、色素担持電極並びに色素増感型太陽電池を作製し、各種測定を行った。結果を、表1に示す。
(実施例6)
ポリオキシエチレンステアリルエーテルリン酸を酸化亜鉛重量に対し20wt%添加すること以外は、実施例3と同様に行い、実施例6の酸化亜鉛スラリー液を調製した。そして、この実施例6の酸化亜鉛スラリー液を用いること以外は、実施例3と同様に行い、実施例6の金属酸化物電極、色素担持電極並びに色素増感型太陽電池を作製し、各種測定を行った。結果を、表1に示す。
(実施例7)
ポリオキシエチレンステアリルエーテルリン酸を酸化亜鉛重量に対し30wt%添加すること以外は、実施例3と同様に行い、実施例7の酸化亜鉛スラリー液を調製した。そして、この実施例7の酸化亜鉛スラリー液を用いること以外は、実施例3と同様に行い、実施例7の金属酸化物電極、色素担持電極並びに色素増感型太陽電池を作製し、各種測定を行った。結果を、表1に示す。
(実施例8)
ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸に代えてポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテルリン酸を用いること以外は、実施例1と同様に行い、実施例8の酸化チタンゾル液を調製した。そして、この実施例8の酸化チタンゾル液を用いること以外は、実施例1と同様に行い、実施例8の金属酸化物電極、色素担持電極並びに色素増感型太陽電池を作製し、各種測定を行った。結果を、表1に示す。
(実施例9)
ポリオキシエチレンステアリルエーテルリン酸に代えてポリオキシエチレンステアリルフェニルエーテルリン酸を用いること以外は、実施例3と同様に行い、実施例9の酸化亜鉛スラリー液を調製した。そして、この実施例9の酸化亜鉛スラリー液を用いること以外は、実施例3と同様に行い、実施例9の金属酸化物電極、色素担持電極並びに色素増感型太陽電池を作製し、各種測定を行った。結果を、表1に示す。
(比較例1)
ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸を添加しないこと以外は、実施例1と同様に行い、比較例1の酸化チタンゾル液を調製した。そして、この比較例1の酸化チタンゾル液を用いること以外は、実施例1と同様に行い、比較例1の金属酸化物電極、色素担持電極並びに色素増感型太陽電池を作製し、各種測定を行った。結果を、表1に示す。
(比較例2)
ポリオキシエチレンステアリルエーテルリン酸を添加しないこと以外は、実施例3と同様に行い、比較例2の酸化亜鉛スラリー液を調製した。そして、この比較例2の酸化亜鉛スラリー液を用いること以外は、実施例3と同様に行い、比較例2の金属酸化物電極、色素担持電極並びに色素増感型太陽電池を作製し、各種測定を行った。結果を、表1に示す。
(比較例3)
ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸に代えてポリエチレングリコール(分子量4000、和光純薬製)を用いること以外は、実施例1と同様に行い、比較例3の酸化チタンゾル液を調製した。そして、この比較例3の酸化チタンゾル液を用いること以外は、実施例1と同様に行い、比較例3の金属酸化物電極、色素担持電極並びに色素増感型太陽電池を作製し、各種測定を行った。結果を、表1に示す。
(比較例4)
ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸に代えてポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム(商品名:エマール20C、花王製)を用いること以外は、実施例1と同様に行い、比較例4の酸化チタンゾル液を調製した。そして、この比較例4の酸化チタンゾル液を用いること以外は、実施例1と同様に行い、比較例4の金属酸化物電極、色素担持電極並びに色素増感型太陽電池を作製し、各種測定を行った。結果を、表1に示す。
Figure 2010277762
実施例1〜9及び比較例1及び2に示す通り、リン酸系界面活性剤を金属酸化物層中に含有させることで、金属酸化物層の機械強度が飛躍的に高められ、色素増感型太陽電池の耐久性(長期信頼性)が格別に向上することが確認された。また、リン酸系界面活性剤の含有量を調整することで、従来では為し得なかった、優れた電池特性及び優れた耐久性(長期信頼性)を両立することが可能であることが確認された。
一方、比較例3及び4との対比から、従来の有機バインダー成分或いは他の界面活性剤を用いた場合には、金属酸化物層の機械強度の向上効果及び色素増感型太陽電池の耐久性(長期信頼性)の向上効果が不十分であるばかりか、そもそも良好な電池特性が発揮されていないことが確認された。
これらのことから、リン酸系界面活性剤は、他のポリマー化合物或いは他の界面活性剤とは異なり、電池性能を過度に損なうことなく、金属酸化物層の機械強度(膜強度、密着強度)及び色素増感型太陽電池の耐久性(長期信頼性)を高めることができる特異な添加物であることが確認された。
なお、上述したとおり、本発明は、上記実施形態及び実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更を加えることが可能である。
以上説明した通り、金属酸化物層の機械強度に優れ、電池特性を過度に損なうことなく耐久性を向上させ得る電極を実現でき、しかも、生産性、経済性及び汎用性に優れるので、本発明は、電子・電気材料、電子・電気デバイス、及びそれらを備える各種機器、設備、システム等に広く且つ有効に利用可能であり、特に、光電変換素子及び色素増感型太陽電池の分野において有効に利用可能である。
11…色素担持電極、12…基体、12a…導電性表面、13…金属酸化物層、14…金属酸化物電極、21…対極、22a…導電性表面、22…基体、31…電解質、41…スペーサ、100…光電変換素子。

Claims (7)

  1. 基体と該基体上に設けられた金属酸化物層とを有し、
    前記金属酸化物層は、金属酸化物及びリン酸系界面活性剤を含有する、
    色素増感型太陽電池用金属酸化物電極。
  2. 前記金属酸化物層は、金属酸化物の粒子が凝集した多孔質構造を有する、
    請求項1に記載の色素増感型太陽電池用金属酸化物電極。
  3. 前記リン酸系界面活性剤は、前記金属酸化物に対し0.1〜30wt%含まれる、
    請求項1又は2に記載の色素増感型太陽電池用金属酸化物電極。
  4. 基体と該基体上に設けられた金属酸化物層とを有する金属酸化物電極、
    前記金属酸化物電極と対向するように配設された対向電極、並びに、
    前記金属酸化物電極及び前記対向電極の間に設けられた電解質、を備え、
    前記金属酸化物層は、金属酸化物及びリン酸系界面活性剤を含有し、且つ、増感色素を担持している、
    色素増感型太陽電池。
  5. 前記金属酸化物層は、金属酸化物の粒子が凝集した多孔質構造を有する、
    請求項4に記載の色素増感型太陽電池。
  6. 前記リン酸系界面活性剤は、前記金属酸化物に対し0.1〜30wt%含まれる、
    請求項4又は5に記載の色素増感型太陽電池。
  7. 基体と該基体上に設けられた金属酸化物層とを有する金属酸化物電極の製造方法であって、
    金属酸化物粒子及びリン酸系界面活性剤を含有する調合物を準備する工程と、
    前記調合物を基材に付与する工程と、を有する、
    金属酸化物電極の製造方法。
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