JP2010275630A - 高い疲労強度を持つホウ素含有のα+β型チタン合金の製造方法およびこれに用いるチタン合金材の製造方法 - Google Patents

高い疲労強度を持つホウ素含有のα+β型チタン合金の製造方法およびこれに用いるチタン合金材の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高い疲労強度を持つチタン合金の製造方法を提供する。
【解決手段】ホウ素含有のチタン合金材をα+β域の温度範囲にて鍛造及び圧延して中間素材を得た後、前記中間素材をα+β域の温度範囲にて焼鈍し、最後に700℃付近で安定化処理することを特徴とするα+β型チタン合金の製造方法。また、このα+β型チタン合金の製造に用いるチタン合金材の製造方法であって、スポンジチタン、アルミニウム−バナジウム母合金または金属アルミニウムと金属バナジウム、および金属ホウ素またはチタンのホウ化物から構成される溶解原料を、真空アーク溶解炉、プラズマアーク溶解炉、浮遊溶解法または電子ビーム溶解炉にて溶製することを特徴とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、チタン合金材およびこれを用いたα+β型チタン合金の製造方法であって、特に疲労特性に優れたチタン合金の製造方法に関する。
金属チタンは、航空機や化学プラントに好適に使用されているが、その大半は合金の形で使用される。チタン合金は、その内部組織によりα型、β型、又はα+β型の合金が知られており、この中でも、α+β型合金であるTi−6Al−4V合金(以降、「6Al4V合金」と呼ぶ場合がある。)は高強度合金として古くから知られている。
前記α+β型チタン合金の加工性については、強度が高い上に、熱伝導率が小さいこと、α相の結晶対称性が低いこと、などのために加工が難しいことが知られている。この点については、前記チタン合金を恒温鍛造することにより加工性が改善される技術が知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
しかしながら、前記チタン合金の鍛造比については10〜25%程度に抑えられており、目的とするサイズの結晶粒を持った組織を得るには、複数の鍛造回数が必要となる場合がある。また、これらの方法では鍛造時の歪速度をクリープ変形に近い速度でしか加工できないため高い歪速度での鍛造は難しく生産性の改善が求められていると記載されている。また、自動車用部品に対しては、加工性のみならず、疲労強度という点に対して求められる特性が厳しくなっており、この点からも改善が求められている。
これに対して、ホウ素をマトリックス中に均一に析出させ、更にα相の割合が40容積%以上であることを特徴とするチタン合金が知られている(例えば、特許文献3参照)。当該公報には、前記チタン合金は、延性や疲労強度に優れていると記載されている。
しかしながら、特許文献3に記載のチタン合金には0.5〜3.0%ものホウ素が添加されている。さらに、チタン合金に添加するホウ素の含有量については、0.1%以上のホウ素を含有すると伸びが低下し好ましくないとのことが特許文献4に開示されており、まだ検討の余地が残されているように考えられる。
ホウ素は、微量ならばチタン合金の特性に悪影響を及ぼさないが、前記引例のように合金成分として添加されるような量のホウ素が添加された場合には、チタン合金の破壊特性を劣化させる場合のあることも知られている。
特開平02−089532号公報 特開平11−010270号公報 WO01/92589号公報 特開2004−277873号公報
以上のように、6Al−4Vのようなα+β型チタン合金において、優れた疲労特性を有したチタン合金が望まれている。本発明は上記状況に鑑みてなされたものであり、優れた疲労強度を有するα+β型チタン合金の製造方法の提供を目的とする。
かかる実情に鑑み前記課題について鋭意検討を進めてきたところ、チタン合金材をα+β域にて鍛造及び圧延して中間素材を得た後、前記中間素材をα+β域の温度範囲にて焼鈍することにより、優れた疲労特性を示すことを見出し、本願発明を完成するに至った。
即ち、本願発明にかかるα+β型チタン合金の製造方法は、ホウ素含有チタン合金材をα+β域の温度範囲にて鍛造加工した後に圧延して中間素材を得た後、次いで前記中間素材をα+β域の温度範囲にて焼鈍することを特徴としている。
また、本願発明にかかるα+β型チタン合金の製造方法は、前記α+β域の温度範囲にて焼鈍した後、室温まで空冷してから、次いで安定化処理をすることを好ましい態様とするものである。本願発明でいうところの安定化処理とは、金属組織の安定化を目的とするものであり、熱処理後、室温まで冷却された材料を再度、後述する高温域まで加熱保持する操作を意味する。
本発明のα+β型チタン合金の製造方法においては、前記の方法で製造されたα+β型チタン合金中には、球状のα結晶粒(以下、「等軸晶」と呼ぶ場合がある。)が析出していることを好ましい態様としている。
本願発明のα+β型チタン合金の製造方法においては、チタン合金中に析出している等軸晶の平均結晶粒径が5μm〜50μmの範囲にあることを好ましい態様としている。
本願発明のα+β型チタン合金の製造方法においては、針状のTiBが析出しており、前記針状TiB析出物の短径に対する長径の比が1〜300の範囲にあることを好ましい態様としている。
本願発明のα+β型チタン合金の製造方法においては、チタン合金中に析出している針状析出物が圧延方向に沿って並んでいることを好ましい態様としている。
本願発明のα+β型チタン合金の製造方法においては、チタン合金中に分布しているTiB析出物の間隔を2μm以上とすることを好ましい態様としている。
本願発明のα+β型チタン合金の製造方法においては、チタン合金中のホウ素の含有量が0.05〜0.15wt%の範囲であることを好ましい態様としている。
さらに、前記α+β型チタン合金の製造に用いるチタン合金材の製造方法は、スポンジチタン、アルミニウム−バナジウム母合金または金属アルミニウムと金属バナジウム、および、金属ホウ素またはチタンのホウ化物から構成される溶解原料を、真空アーク溶解炉、プラズマアーク溶解炉、浮遊溶解法または電子ビーム溶解炉にて溶製することを特徴としている。
以上述べた本願発明に係る方法で製造されたチタン合金は、従来に比べて疲労特性に優れているため、自動車のエンジン部品等に好適に使用することができるという効果を奏するものである。
出発原料から本願発明のチタン合金材を製造する工程を示す模式図である。 チタン合金材から本願発明のα+β型チタン合金を製造する工程を示す模式図である。 本願発明におけるα+β型チタン合金の結晶組織を示す顕微鏡写真である。 実施例における疲労強度と疲労サイクルの関係を示すグラフである。
本発明の最良の実施形態について図面を参照しながら以下に説明する。
本願発明は、出発原料を溶製してチタン合金材とし、このチタン合金材をα+β域温度で鍛造及び圧延を行い中間素材Mとし、この中間素材Mをα+β域温度で焼鈍し、最後に安定化処理を施して目的のα+β型チタン合金とすることを特徴とするものであり、図1は、このうち出発原料からチタン合金材を製造する工程を模式的に表している。
図1に示すように、本願発明に係るチタン合金材の製造方法では、チタン合金材の出発原料である純チタン、アルミニウム−バナジウム合金および金属ホウ素を溶解することを好ましい態様とするものである。前記アルミニウム−バナジウム合金の代わりに、金属アルミニウムおよび金属バナジウムを別個に準備して溶解原料とすることもできる。ここで、前記チタン合金材は、真空アーク溶解炉、プラズマアーク溶解炉、電子ビーム溶解炉あるいは、浮遊溶解炉を適宜用いて製造することができる。
本願発明に係るチタン合金材の製造方法では、図1に示す純チタンとアルミニウム−バナジウム合金の組み合わせのほか、純チタンと各添加金属とを適宜組み合わせてもよい。例えばα+β型合金としても、Ti−6Al−4Vのみならず、Ti−3Al−2.5V、Ti−6Al−2Sn−4Zr−2MoまたはTi−6Al−6V−2Sn合金等があり、このように種々な合金成分を含む合金にも好適に適用できる。
本実施態様では、Ti−6Al−4V合金を製造する場合を例にとり、以下の好ましい態様につき説明する。
溶解原料は、純チタン材とアルミニウム−バナジウム母合金およびTiBあるいはホウ素単体で構成することが好ましい。あるいはアルミニウム−バナジウム母合金の代わりに金属アルミニウムおよび金属バナジウムを別個に準備して溶解原料に用いてもよい。前記本願発明においては、前記純チタン材は、スポンジチタンや純チタンスクラップを好適に使用することができる。
本願発明においては、チタン合金原料中の金属ホウ素の添加量は、最終的なα+β型チタン合金中において0.05〜0.15wt%となる範囲に設定しておくことが好ましい。前記のような範囲に金属ホウ素を添加しておくことで、その後に行う鍛造加工と圧延加工および焼鈍工程を経て製造されたチタン合金の靭性を損なうことなく、高い疲労強度を付与することができるという効果を奏するものである。
前記したホウ素の含有範囲が0.05%未満の場合には、本願発明に係るチタン合金材の結晶粒が十分に微細化されない。一方、ホウ素の含有範囲が0.15wt%を超える場合には、本願発明に係るチタン合金材の延性が低下して好ましくない。よって、本願発明においては、チタン合金材中のホウ素の含有範囲は、0.05〜0.15wt%となるように添加することが好ましいとされる。
本願発明においては、前記ホウ素の添加量が0.01〜0.15wt%の範囲においては、溶製されたチタン合金原料であるチタン材(インゴット)の結晶粒径は、微細化されて80〜200μmの範囲に微細化される。その結果、本願発明で得られたチタン合金の疲労特性や延性の改善に大きく寄与するという効果を奏するものである。
前記した溶解原料の溶解に先立って、前記した溶解原料を均一に混合した後、ブリケット成形した後、電極を構成し、次いで、前記電極を真空アーク溶解により溶解して本願発明に係るチタン合金材を溶製することができる。
前記溶解原料を電子ビーム溶解炉により溶解する場合には、純チタンとアルミニウム−バナジウム母合金または金属アルミニウムおよび金属バナジウム、および金属ホウ素またはチタンのホウ化物で構成された顆粒状またはブロック状の溶解原料をそのままフィーダーにより電子ビーム溶解炉を構成するハースに供給することができる。前記した溶解炉を用いることで、溶解原料からチタン合金材を製造することができる。
前記溶解原料を浮遊溶解炉を用いて溶解する場合には、純チタンと母合金または各添加金属および金属ホウ素またはチタンのホウ化物で構成された顆粒状またはブロック状の溶解原料を水冷銅ルツボに投入後、前記水冷銅ルツボの外周に配置した高周波コイルに通電して前記原料を溶解することができる、この際、高周波コイルに供給する電流を増加させることにより、前記溶解された溶湯を水冷銅ルツボの底面より浮かせた状態で溶解することもできる。前記のような溶解方法を採用することでルツボからの汚染の少ない純度の高いチタン合金を溶製することができるという効果を奏するものである。
なお、本願発明においては、前記浮遊溶解の場合、雰囲気はアルゴンガスあるいは減圧下で行なうことが好ましいとされる。
本願発明のチタン合金材は、溶解原料を真空アーク溶解炉、電子ビーム溶解炉あるいは浮遊溶解炉のいずれかの溶解炉により溶製した後、溶製されたままのインゴットとして次工程に供することが好ましい。
図2は、上述したチタン合金材から本願発明に係るα+β型チタン合金を製造する方法を模式的に表している。本願発明においては前記の方法で溶製されたチタン合金材をα+β域の温度にて鍛造及び圧延を行なって中間素材Mを得た後、α+β域の温度で焼鈍することを特徴としている。前記鍛造温度は、α+β域で行う場合には、具体的には、800℃〜1000℃が好ましく、850℃〜980℃の範囲がより好ましいとされる。
本願発明においては、前記鍛造温度の下限未満で行なう場合には、前記材料の流動性が低下して割れや耳のような欠陥を生成して好ましくない。一方、前記鍛造温度の上限を超えて行なう場合には、鍛造に要するエネルギー的には有利ではあるが、経済性の点や材料の酸化消耗という点では好ましくない。
またコロニー組織という、TiBがラメラー状に析出した粗い金属組織が形成され、優れた疲労特性は得られない。よって、本願発明においては、前記した温度範囲で鍛造及び圧延を行い中間素材Mを製造することが好ましいとされる。
本願発明における鍛造及び圧延は、等軸晶を得るために必要な処理であるが、前記チタン合金を製造するに適した形状の棒状あるいは板の形状に変形することをも目的とするものである。
本願発明においては、鍛造・圧延合計の加工比は50〜95%の範囲になることが好ましい態様とするものである。前記のような圧下率でチタン合金材を加工することで、焼鈍後に適切な結晶粒度を有するチタン合金を製造することができるという効果を奏するものである。
前記の方法で焼鈍処理を施された中間素材Mは、次いで、α+β域の温度で安定化処理することが好ましい。ここでいう安定化処理は、金属組織の安定化を目的とするものである。例えば、溶製するチタン合金が6Al−4V合金である場合には、前記安定化処理温度は、650℃〜760℃の範囲で30分〜2時間行うことが好ましい。
本願発明においては、前記した中間素材Mを焼鈍処理した後、一旦室温近傍まで冷却し、次いで室温からα+β域まで加熱して安定化処理することが好ましい。前記したような安定化処理を行なうことで、合金中の組成を平衡状態に持ちきたすことができ、その結果、製造されたチタン合金の疲労特性の劣化を効果的に抑制することができるという効果を奏するものである。
本願発明においては前記一連の方法で製造されたα+β型チタン合金の結晶組織は、図3に示すように等軸晶を好ましい態様とするものであるが、前記等軸晶組織中に混在して析出しているTiBの析出物が針状に形成および分布されていることを好ましい態様とするものである。
更には、前記TiBの析出物の短径に対する長径の比が、1〜300の範囲にあることを好ましい態様とするものである。
前記TiBの析出物の短径に対する長径の比が、1未満では、本願発明に係るチタン合金の疲労強度が低下して好ましくない。一方、300を超える場合には、前記チタン合金材を得るための圧延工程における圧下率を大きくとる必要があり、圧延の回数が増加し、生産性の観点からは好ましくない。よって、本願発明においては、TiBの析出物の短径に対する長径の比が、1〜300の範囲にあることが好ましい態様とされるものである。
また、前記TiBの析出物の長手方向が、圧延方向に揃って整列していることを好ましい態様とするものである。
更に、図3に示すように、前記TiBの析出物相互の間隔が2μm以上離れていることを好ましい態様とするものであり、5μm以上離れていることをより好ましい態様とするものである。
また、本願発明においては、前記等軸晶の結晶粒径は、5μm〜50μmの範囲に規定することが好ましい。前記のような範囲に結晶粒径を調整することで、以下に述べるような疲労強度を効果的に高めることができるという効果を奏するものである。
前記結晶粒径が5μm未満の場合には、得られたチタン合金の疲労特性を高めることができる反面、前記中間素材Mを得るための鍛造比を大きくとる必要があり好ましくない。一方前記結晶粒径が50μmを超える場合には、疲労強度が低下して好ましくない。よって、本願発明に係るα+β型チタン合金の結晶粒度は、5μm〜50μmの範囲とすることが好ましいとされる。
前記のよう安定化処理工程を取り込むことで中間素材Mの組成を平衡状態に持ちきたすことができ、その結果、製造されたチタン合金の疲労特性の劣化を効果的に抑制することができるという効果を奏するものである。
また、本実施態様にて、形成されたチタン合金には、疲労破壊の起点を生成することなく、疲労特性に優れているという効果を奏するものである。
以上、本願発明に沿ってチタン材を加工・熱処理することで、疲労強度や耐疲労破壊性に優れたチタン材を提供することができるという効果を奏するものである。
[実施例1]
下記表1に示す配合比率を有するスポンジチタン、アルミニウム−バナジウム母合金、TiB粉末、金属アルミニウム粒からなる合金原料を均一に混合した後、プレス成形してブリケットとした。次いで、前記ブリケットを溶接で接合して電極を構成した後、真空アーク溶解炉にて溶解して、本願発明に係る合金素材Mに相当するTi−6Al−4V合金インゴット材を溶製した。
Figure 2010275630
[実施例2]
実施例1で製造されたチタン合金インゴット材を、表2の条件下にて鍛造後に溝圧延して丸棒形状の中間素材Mを得た後、前記中間素材Mを950℃にて1Hr焼鈍し、表3のように最後に700℃で1Hrの安定化処理を施して本願発明に係るチタン合金を得た。
また、前記焼鈍して得られたチタン丸棒の等軸晶の平均結晶粒径は5μmであった。
Figure 2010275630
Figure 2010275630
[実施例3]
チタン合金インゴット材を、表2の条件下にて鍛造して丸棒形状の中間素材Mを得た後、前記中間素材Mを、950℃で1Hr保持し、この温度から冷却速度0.05℃/分にて室温まで徐冷した。次いで、前記合金を700℃まで加熱して1hr保持した後、室温まで冷却した。
前記のような熱処理されたチタン材から平滑丸棒状の疲労試験片を切り出し、これを、疲労試験機(島津製作所製、型番:卓上型油圧式サーボパルサー4890)にかけて、繰返しサイクル数:10Hz、応力比(最小負荷荷重/最大負荷荷重):0.1の条件下で疲労強度と疲労サイクルに係るデータを採取した。採取された結果を図4に示した。ホウ素を添加していない場合に比べて、疲労特性が格段に改善されていることが確認された。また、本願発明に開示した方法で製造されたチタン合金の疲労強度は、前記特許文献4に記載の疲労強度に比べて、大きく上回っていることも確認された。
[比較例1]
実施例1において、金属ホウ素を添加しない点を除き、同じ条件下にて6Al−4V合金を溶製した。この合金を表2の条件下にて鍛造して丸棒形状の中間素材Mを得た後、前記中間素材Mを950℃にて1Hr焼鈍した。次いで、700℃まで加熱して1hr保持した後、室温まで冷却した。このような処理を施した丸棒より平滑丸棒状の疲労試験片を切り出し、これを、実施例1と同じ条件下にて疲労試験を行ったところ、図4に示すように、いずれの条件下においても、疲労強度および疲労サイクルはB添加材よりも低い値を示した。
なお、本願発明で得られたデータと、従来技術のところで引用した特許文献3および4に開示されているデータとを表3に整理した。本実施例のデータは、引っ張り強度は、特許文献3に比べてやや小さいがほぼ同レベルにある。しかしながら、伸びおよび疲労強度は、特許文献に対して優れていることが確認された。この要因は、本願発明で形成されている結晶組織のみならず、TiBの析出形態も適切に制御されていることに帰着できるものと考えられる。
Figure 2010275630
本願発明は、高い疲労強度が付与可能なチタン合金の製造方法を提供するものであり、この方法により製造されたチタン合金を用いることで疲労特性に優れたチタン合金部品を製造することができる。

Claims (10)

  1. ホウ素含有チタン合金材をα+β域の温度範囲にて鍛造加工した後に圧延して中間素材を得た後、次いで前記中間素材をα+β域の温度範囲にて焼鈍することを特徴とするα+β型チタン合金の製造方法。
  2. 前記α+β合金を焼鈍した後、室温まで空冷してから、次いで安定化処理することを特徴とする請求項1に記載のα+β型チタン合金の製造方法。
  3. 前記α+β型チタン合金中には、等軸晶が析出していることを特徴とする請求項1に記載のα+β型チタン合金の製造方法。
  4. 前記α+β型チタン合金中に析出している等軸晶の結晶粒径が、5μm〜50μmの範囲であることを特徴とする請求項1に記載のα+β型チタン合金の製造方法。
  5. 前記α+β型チタン合金中には、針状のTiBが析出しており、前記針状TiB析出物の短径に対する長径の比が、1〜300の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載のα+β型チタン合金の製造方法。
  6. 前記TiBの針状析出物が圧延方向に沿って並んでいることを特徴とする請求項5に記
    載のα+β型チタン合金の製造方法。
  7. 前記α+β型チタン合金中に析出しているTiBの針状析出物間の間隔が、2μm以上であることを特徴とする請求項5に記載のα+β型チタン合金の製造方法。
  8. 前記α+β型チタン合金材中のホウ素の含有量が、0.05〜0.15wt%であることを特徴とする請求項1または2に記載のα+β型チタン合金の製造方法。
  9. 請求項1または2に記載のα+β型チタン合金の製造に用いるホウ素含有チタン合金材の製造方法であって、前記チタン合金材の溶解原料を、真空アーク溶解炉、プラズマアーク溶解炉、浮遊溶解法または電子ビーム溶解炉にて溶製することを特徴とするチタン合金材の製造方法。
  10. 前記溶解原料が、スポンジチタン、アルミニウム−バナジウム母合金または金属アルミニウムと金属バナジウム、および金属ホウ素またはチタンのホウ化物から構成されていることを特徴とする請求項9に記載のチタン合金材の製造方法。
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