JP2010275268A - 経口用メラニン生成抑制剤 - Google Patents

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剛 縄村
Sachiko Kuwatsuru
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祐輔 中野
Kunihisa Iwai
邦久 岩井
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Abstract

【課題】経口摂取することにより優れたメラニン生成抑制作用を発揮し、日焼け後の色素沈着・しみ・そばかす・肝斑等の防止・淡色化、美白に優れた効果を有する経口用メラニン生成抑制剤およびそれを配合した食品を提供する。
【解決手段】スイカズラ科ガマズミ属ガマズミ(Viburnum dilatatum)の粉砕物、粉末、抽出物または該抽出物の粗精製物もしくは精製物を含むものとする。
【選択図】なし

Description

本発明は経口用メラニン生成抑制剤に関し、より詳しくは、経口摂取することによりメラニンの生成を抑制して、日焼け・シミ・ソバカスを予防・改善する経口用メラニン生成抑制剤およびそれを含む食品に関するものである。
日焼け・シミ・ソバカスは女性にとって肌に関連する大きな関心事であり、シミ・ソバカスを防いで、常に若々しく美しい色白の肌であることが求められている。このシミ・ソバカスの色調の由来は主に皮膚に沈着するメラニン色素であり、この色素沈着の発生機序としては、メラノサイトおよびメラニンの増加、メラニン顆粒の授受障害、排泄障害等が挙げられている。従って、美白に関する基礎研究はメラノサイトの発生過程、メラノサイトの活性化を制御する生体内因子、メラノサイト内のメラニン生成機序に関する視点で行われており、様々なアプローチでメラニン生成抑制剤が開発されつつある。
近年、美白に対する意識の高まりにより、化粧料による美白効果だけでなく、飲食物として経口摂取することにより、内面美容を訴求する美白剤の提供が望まれている。しかしながら、経口摂取で美白効果を有するものとしては、ビタミンC製剤やチオール化合物等が知られているが、十分な効果を発揮していない。
また、経口摂取で美白効果を示す植物素材として従来知られているものとしては、バラ科ピラカンタ属植物(特許文献1)、ヤマノイモ科ヤマノイモ属植物である Dioscorea composita、D. villosa(特許文献2)、イワベンケイソウ科イワベンケイ属植物(特許文献3)、ザクロ抽出物(非特許文献1)等が報告されている。経口摂取の場合は化学合成品ではなく、天然由来成分、特に食経験のある天然由来成分であることが安全性の観点から好ましいことから、さらなる経口による美白効果を奏する植物を見出すことが望まれている。
特開2001−139482号公報 特開2004−67663号公報 特開2008−13440号公報
Biosci Biotechnol Biochem, 69 (12), 2368 (2005)
上記のように、経口摂取によりメラニン生成抑制作用を奏する新たな植物を見出すことが求められている。本発明はこのような従来の事情に対処してなされたもので、植物由来の新しい経口用メラニン生成抑制剤を提供することを目的とする。
本発明者等は、このような現状に鑑み、鋭意研究を重ねた結果、今までに知られていなかった特定の植物抽出物に優れたメラニン生成抑制作用があることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、スイカズラ科ガマズミ属ガマズミ(Viburnum dilatatum)の粉砕物、粉末、抽出物または該抽出物の粗精製物もしくは精製物を含むことを特徴とする経口用メラニン生成抑制剤である。
本発明は、上記の経口用メラニン生成抑制剤を配合したことを特徴とする食品である。
本発明の経口用メラニン生成抑制剤は、経口摂取することにより優れたメラニン生成抑制作用を発揮するものであり、日焼け後の色素沈着・しみ・そばかす・肝斑等の予防や淡色化、美白に優れた効果を有し、しかも安全性の高いものである。
本発明の食品は、上記した本発明の経口用メラニン生成抑制剤が摂取し易い形になっているので、摂取者がより簡単に、かつ日常的に摂取することが可能となる。
以下、本発明について詳述する。
本発明で用いられる植物であるスイカズラ科ガマズミ属ガマズミ(Viburnum dilatatum)は、日本全国に分布する落葉性低木であり、果実は食用としたり、果実酒としたりする。またガマズミ果実搾汁残渣には抗酸化活性があることがすでに報告されている(特開2002−345443号公報、特開2006−141334号公報)。
しかしながら、ガマズミやその抽出物を経口摂取した時に、メラニン生成抑制作用があるという報告はこれまでになく、本発明者らによって初めて見出されたものである。
上記植物の粉砕、粉末化や抽出は常法によって行えばよい。粉砕、粉末化や抽出の部位は、果実、果肉、果皮などが好ましいが、種子であっても良い。
粉砕の場合は、例えば果実、果肉、果皮などをそのまま、あるいは乾燥後、粉砕して得ることができる。また、果実、果肉、果皮等を圧搾した残渣を乾燥後、粉砕したものであっても良い。
粉末化の場合は、例えば上記植物の果実、果肉、果皮等を乾燥あるいは凍結乾燥した後、粉砕して粉末化したり、抽出物を乾燥させて得る。
抽出の場合は、例えば上記植物の果実、果肉、果皮を圧搾して搾汁した液を抽出液として得ることができる。また、果実、果肉、果実を圧搾後、残渣を乾燥後、細断あるいは粉砕し、抽出溶媒を加え、冷浸または加熱することによって行うことが出来る。抽出は室温静置で行っても良いが、必要に応じて加温、攪拌、加熱還流により抽出を促進することが可能である。得られた抽出液は、そのまま、あるいは適宜濾過・濃縮・脱色などの処理を施して用いることが出来る。また、一旦溶媒を除去した後に、抽出に用いた溶媒とは異なる溶媒に再溶解して用いることも可能である。得られた抽出物を活性炭やカラムマトグラフィーなどによりさらに精製して用いることも可能である。
抽出に用いられる抽出溶媒は、通常抽出に用いられる溶媒であれば何でもよく、特に水、エタノール、プルパノール等のアルコール類、含水アルコール類、アセトン、酢酸エチル、ヘキサン、エーテル等の有機溶媒を単独あるいは組み合わせて用いることができるが、含水エタノール等が特に好ましい。抽出は超臨界抽出法で行っても良い。また、これらの抽出物を溶媒分画や活性炭処理やカラムクロマトグラフィーなどにより精製して用いても良い。
なお、本発明における抽出物とは、抽出液、該抽出液の希釈液もしくは濃縮液、該抽出物を乾燥して得られる乾燥物、または抽出エキスのいずれかをも意味するものとする。上記抽出物の粗精製および精製は常法によって行えばよく、例えば吸着剤による吸着および溶出、クロマトグラフィー等の公知の手段を適当に組み合わせて実施することが出来る。
本発明の経口用メラニン生成抑制剤はガマズミ由来物からなることが好ましいが、本発明の効果を損なわない範囲において他の種々の成分を含有することが出来る。
以上のようにして得られる上記植物の粉砕物、粉末、抽出物、該抽出物の粗精製物および精製物は、後述する実施例から明らかなように、内服でメラニン生成抑制作用を有するため、経口用メラニン生成抑制剤の有効成分として使用することが出来る。本発明の経口用メラニン生成抑制剤は、生薬由来のものを有効成分としているため、副作用が比較的少なく、長期間の服用が可能である。
本発明の経口用メラニン生成抑制剤は、経口摂取可能な形態、例えば、粉末、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、液剤などの剤型にすることができ、またそれ以外に常法に従い、例えば、菓子や清涼飲料水や主食に添加する等様々な使用形態の食品とすることが出来る。
本発明の経口用メラニン生成抑制剤は、上記のような食品に配合することができ、かかる食品を摂取することで、メラニン生成抑制効果を内から発揮することができる。
本発明の経口用メラニン生成抑制剤が添加される食品には、上記経口用メラニン生成抑制剤のほか、ビタミンC製剤やチオール化合物等の従来公知の美白効果を有するその他の成分を同時に配合してよく、更に必要に応じて通常食品に用いられる賦形剤、増量剤、甘味剤、香味剤、着色剤等の添加物を本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合することが出来る。
本発明の上記食品におけるガマズミ由来物の配合量は、乾燥物又は乾燥残分として、通常0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上である。配合量が少なすぎると効果が十分に発揮されない。上限は本発明の効果を損なわない範囲において特に限定されないが、過剰に配合しても増量に見合った顕著な効果が得られないこと、また、製剤設計や使用性などにおいて悪影響を及ぼすこともあることなどから、通常20質量%以下、より好ましくは10質量%以下である。
また好ましい一日の摂取量は、0.01〜200gであり、より好ましくは、0.1〜50gである。
本発明について以下に実施例を挙げてさらに詳述するが、本発明はこれによりなんら限定されるものではない。配合量は特記しない限り質量%で示す。
最初に、試料(ガマズミ果実搾汁液凍結乾燥物、ガマズミ果実圧搾後残渣の含水エタノール抽出物)の調製方法、メラニン生成抑制効果に関する試験方法とその結果について説明する。
1.試料の調製方法
(1)ガマズミ果実搾汁液の凍結乾燥物の調製
ガマズミ果実搾汁液は市販品(ジョミ(登録商標)、小野寺醸造元社製)を使用した。ガマズミ果実搾汁液196gを凍結乾燥し、20.6gの凍結乾燥物を得た。
(2)ガマズミ果実の圧搾後残渣からの20%エタノール抽出物の調製
Viburnum dilatatum 果実の果汁圧搾後残渣乾燥物100gを室温で1週間1Lの20%エタノールに浸漬した。次いで、ろ紙ろ過により得た抽出液より溶媒を留去し、20%エタノール抽出物14gを得た。
(3)ガマズミ果実の圧搾後残渣からの50%エタノール抽出物の調製
Viburnum dilatatum 果実の果汁圧搾後残渣乾燥物100gを室温で1週間1Lの50%エタノールに浸漬した。次いで、ろ紙ろ過により得た抽出液より溶媒を留去し、50%エタノール抽出物8.2gを得た。
(4)ガマズミ果実の圧搾後残渣からの70%エタノール抽出物の調製
Viburnum dilatatum 果実の果汁圧搾後残渣乾燥物110gを室温で1週間1Lの70%エタノールに浸漬した。次いで、ろ紙ろ過により得た抽出液より溶媒を留去し、70%エタノール抽出物8.9gを得た。
2.In vivo メラニン生成抑制試験方法およびその結果
DBA/2マウス(雄性,6週齢)に被験物質である上記で調製したガマズミ果実搾汁液凍結乾燥物を経口投与し、投与後、中波長領域紫外線(120 mJ/cm2)を照射することを9日間連続で行った。
上記試料の調製方法(1)により得られたガマズミ果実搾汁液凍結乾燥物を用い、該凍結乾燥物の投与を、1日1回、体重1kgあたり乾燥物相当量として0.7gを水溶液として経口投与することにより行った。
群構成は、紫外線非照射溶媒投与対照群(A群)、紫外線照射溶媒投与対照群(B群)、被験物質投与対照群(C群)(n=8〜9)とした。10日目に耳介皮膚組織を採取し、常法により表皮シートを作製し、DOPA染色後、顕微鏡下で単位面積当たりのDOPA陽性メラノサイト数を計数した。各群の単位面積当たりのDOPA陽性メラノサイト数(上記群記述順にa,b,cとする)を計数後、次式により被験物質のメラニン生成抑制率(%)を算出した。その結果を表1に示す。
メラニン生成抑制率=100−{(c−a)/(b−a)}X100
Figure 2010275268
表1から分かるように、被験物質投与群ではDOPA陽性メラノサイト数の減少が認められ、被験物質は明らかなメラニン生成抑制活性を示した。
したがって、該植物を配合した食品を摂取することにより、日焼け後の色素沈着・しみ・そばかす・肝斑等を防止・改善し、美白作用を奏することができる。しかも食品とすることで、上記経口用メラニン生成抑制剤を、簡単に摂取することができる。
以下に、本発明による経口用メラニン生成抑制剤の配合例を説明する。以下の配合例中抽出物はすべて溶媒を留去し乾燥させた乾燥物を用いた。本発明はこの配合例によって何ら限定されるものではなく、特許請求の範囲によって特定されるものであることはいうまでもない。
配合例1(キャンディー) 質量%
砂糖 48
水飴 46
経口用メラニン生成抑制剤 5
(ガマズミ果実搾汁液凍結乾燥物)
香料 1
配合例2(ドリンク) 質量%
経口用メラニン生成抑制剤 10
(ガマズミ果実搾汁液凍結乾燥物)
ビタミンC 0.5
水 残余
配合例3(錠剤) 質量%
ビタミンC 42.8
経口用メラニン生成抑制剤 10
(ガマズミ果実搾汁後残渣50%エタノール抽出物)
酵母エキス 5
ヒアルロン酸 10
N−アセチルグルコサミン 10
ビタミンB6 1
ビタミンB2 0.5
ショ糖脂肪酸エステル 5
結晶セルロース 10
メチルセルロース 2
グリセリン 1.7
ビタミンE 2.0
配合例4(ソフトカプセル) 質量%
食用大豆油 45.9
経口用メラニン生成抑制剤
(内訳)
ガマズミ果実搾汁後残渣90%エタノール抽出物 5
ガマズミ果実搾汁後残渣アセトン抽出物 0.1
ローヤルゼリー 3
ビタミンE 2
ミツロウ 4
ゼラチン 25
グリセリン 8
グリセリン脂肪酸エステル 7
配合例5(顆粒) 質量%
経口用メラニン生成抑制剤
(内訳)
ガマズミ果実搾汁液凍結乾燥物 20
ガマズミ果実搾汁後残渣70%エタノール抽出物 5
ビタミンC 20
還元乳糖 25
デキストリン 28
香料 2
配合例6(クッキー) 質量%
薄力粉 45
バター 17
グラニュー糖 20
経口用メラニン生成抑制剤
(内訳)
ガマズミ果実搾汁液凍結乾燥物 5
ガマズミ果実搾汁後残渣エタノール抽出物 0.5
卵 12
香料 0.5

Claims (2)

  1. スイカズラ科ガマズミ属ガマズミ(Viburnum dilatatum)の粉砕物、粉末、抽出物または該抽出物の粗精製物もしくは精製物を含むことを特徴とする経口用メラニン生成抑制剤。
  2. スイカズラ科ガマズミ属ガマズミ(Viburnum dilatatum)の粉砕物、粉末、抽出物または該抽出物の粗精製物もしくは精製物を含む経口用メラニン生成抑制剤を配合したことを特徴とする食品。
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