JP2010275163A - チタン酸ジルコニウム及びトナー用外添剤 - Google Patents

チタン酸ジルコニウム及びトナー用外添剤 Download PDF

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Abstract

【課題】トナー用外添剤として好適に使用することができるチタン酸ジルコニウム粒子、その製造方法及びこれからなる外添剤。
【解決手段】粉末X線回折において単相であり、一次粒子径が20〜100nmであることを特徴とするチタン酸ジルコニウム粒子。
【選択図】図1

Description

本発明は、チタン酸ジルコニウム及びトナー用外添剤に関する。
近年、電子写真方式を利用した複写機及びプリンタにより得られる静電画像の高精細、高画質化の要求に伴い、粒子径が小さくかつ高流動性のトナーを現像剤として用いて高画質化を達成しようとする試みが行われている。しかし、トナーの粒子径を小さくすると質量あたりの表面積が増大して摩擦帯電量が増加しトナー同士の付着力が強くなり、流動性が低下するという問題が起こる。
このような問題を改善するために、種々の無機微粒子を撥水処理したものを外添剤として使用することが行われている。外添剤として使用することができる無機微粒子としては、シリカ、酸化チタン、アルミナ、チタン酸ストロンチウム等が公知である。(特許文献1〜3)
外添剤は、コア粒子として使用する化合物の種類によって帯電特性が変化することから、目的に合った性能を有するコア粒子を使用することが必要となる。チタン酸ジルコニウムは、チタニアの持つ帯電の立ち上がりが早いという特性を有し、かつ、チタニアよりも帯電量が高くなるコア粒子と考えられる。しかしながら、チタン酸ジルコニウムを外添剤のコア粒子として使用する試みはなされておらず、このような用途に適した粒子径を有するチタン酸ジルコニウム及びその製造方法も公知ではなかった。
特許文献4には、セラミック原料としてのチタン酸ジルコニウム粒子が記載されているが、トナーの外添剤としての使用に適した粒子径を有するチタン酸ジルコニウム粒子に関する記載は存在しない。
特許文献5には、酸化チタンとチタン酸ジルコニウムとの結合体が記載されているが、5nm〜1μのチタン酸ジルコニウムと酸化チタンが Ti−O−Zr結合を介して両者を一体化させたものが記載されているのみであり、チタン酸ジルコニウム単相の粒子は記載されていない。更に、トナーの外添剤としての使用に関しては一切記載されていない。
特開2000−206733号公報 特開平10−133414号公報 特開2003−277054号公報 特開昭63−141576号公報 特開2000−14755号公報
本発明は、上記に鑑み、トナー用外添剤として好適に使用することができるチタン酸ジルコニウム粒子、その製造方法及びこれからなる外添剤を得ることを目的とするものである。
本発明は、粉末X線回折において単相であり、一次粒子径が20〜100nmであることを特徴とするチタン酸ジルコニウム粒子である。
上記チタン酸ジルコニウムは、一般式
ZrTi(1−x)(0.25<x<0.75)
で表されるものであることが好ましい。
本発明は、水性媒体中でチタン化合物及びジルコニウム化合物を混合することによって固体のチタン酸ジルコニウム前駆体を得る工程(I)、上記工程(I)によって得られたチタン酸ジルコニウム前駆体中の水を親水性溶媒で置換する工程(II)及び上記工程(II)によって得られたチタン酸ジルコニウム前駆体を600〜850℃で焼成する工程(III)を有することを特徴とする上述したチタン酸ジルコニウムの製造方法でもある。
本発明は、上述したチタン酸ジルコニウムからなるトナー用外添剤でもある。
本発明のチタン酸ジルコニウムは、チタニアの持つ帯電の立ち上がりが早いという特性を有し、かつ、チタニアよりも帯電量が高くなる粒子であり、このためにトナー用外添剤のコア粒子として使用した場合に優れた性質を有する。
本発明のチタン酸ジルコニウムの製造方法は、トナー用外添剤として好適な粒子形状を有するチタン酸ジルコニウム粒子を容易に製造することができる方法である。
実施例1のチタン酸ジルコニウムの透過型電子顕微鏡写真を示す図である。 実施例2のチタン酸ジルコニウムの透過型電子顕微鏡写真を示す図である。 実施例3のチタン酸ジルコニウムの透過型電子顕微鏡写真を示す図である。 実施例1のチタン酸ジルコニウムの粉末X線回折の結果を示す図である。 実施例2のチタン酸ジルコニウムの粉末X線回折の結果を示す図である。 実施例3のチタン酸ジルコニウムの粉末X線回折の結果を示す図である。 実施例6のチタン酸ジルコニウムの帯電量測定の結果を示す図である。 比較例の二酸化チタンの帯電量測定の結果を示す図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、粉末X線回折において単相であり、特定の粒子径を有するチタン酸ジルコニウム粒子である。本発明のチタン酸ジルコニウムは、粉末X線回折において、単相であることを特徴とするものである。チタン酸ジルコニウムは、その製造方法やチタンとジルコニウムのモル比等によって酸化チタンや酸化ジルコニウムが残留又は生成する場合がある。本発明のチタン酸ジルコニウム粒子は、単相の構造を有するものであり、これによって、トナー用外添剤としての使用に適した粒子とすることができる。すなわち、単相のチタン酸ジルコニウムは、帯電の立ち上がりが早く、かつ、チタニアよりも帯電量が高くなるという性質を有するものであり、このため特にトナー用外添剤として優れた性質を有する。
単相の構造とは、粉末X線回折において、チタン酸ジルコニウムに由来するピーク以外のピークが実質的に存在しないことを意味する。より具体的には、d=4.44〜1.54の範囲において、チタン酸ジルコニウムに由来するピークのうち最も強度が強いピークであるd=2.930付近のピーク強度に対して、5%以上の強度のピークが存在しないことを意味する。
例えば、チタン酸ジルコニウム中にルチル型酸化チタン構造が存在している場合は、ルチル型酸化チタンに由来するピークであるd=3.248のピークが現れるが、このようなピークの強度が、上記チタン酸ジルコニウムに由来するピークのピーク強度に対して5%以下である場合、単相構造であると判断する。
上記チタン酸ジルコニウムは、一般式
ZrTi(1−x)(0.25<x<0.75)
で表されるものであることが好ましい。
すなわち、上記範囲内のものとすることで、容易に単相のチタン酸ジルコニウムとすることができる点で好ましい。
本発明のチタン酸ジルコニウム粒子は、一次粒子径が20〜100nmである。上記範囲内とすることによって、トナー外添剤のコア粒子として最適な性質を得ることができる。なお、本発明における一次粒子径は、透過型電子顕微鏡写真から算出した個数基準の50%粒子径を意味する。なお、粒子径が球状でない場合は、上記一次粒子径は粒子の最も長い部分の径を意味する。上記一次粒子径の下限は、30nmであることがより好ましく、上限は、50nmであることがより好ましい。
本発明のチタン酸ジルコニウム粒子は、表面処理を施したものであってもよい。すなわち、トナー用外添剤として使用する場合には、通常、表面処理を行ったものが使用される。このような目的に応じて、表面処理を施すことができる。
表面処理剤としてはシラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミ系カップリング剤、シリコーン系オイル、シリコーンワニス、フッ素系シランカップリング剤、フッ素系シリコーンオイル等の従来から使用されている表面処理剤を使用することができる。なかでも、シラン系カップリング剤、シリコーン系オイル、フッ素系シランカップリング剤等を挙げることができ、より好ましくはシラン系カップリング剤を挙げることができる。
シラン系カップリング剤としては、例えばトリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、N,O−(ビストリメチルシリル)アセトアミド、N,N−ビス(トリメチルシリル)ウレア、tert−ブチルジメチルクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γーメタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、βー(3.4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γーグリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γーグリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γーメルカプトプロピルトリメトキシシラン、γークロロプロピルトリメトキシシラン、等を挙げることができる。
シリコーン系オイルとしては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、シリコーンワニス等が例示できる。
フッ素系シランカップリングとしては、例えば以下に示すものを単独でまたは混合して使用することができるが、これらに限定されるものではない。
・CF(CHSiCl
・CF(CFSiCl
・CF(CF(CHSiCl
・CF(CF(CHSiCl
・CF(CFCHCHSi(OCH
・CF(CF(CHSi(CH)Cl
・CF(CHSi(OCH
・CF(CF(CHSi(OCH
・CF(CFCONH(CHSi(OC
・CF(CFCOO(CHSi(OCH
・CF3(CF(CHSi(OCH
・CF(CF(CHSi(CH)(OCH
・CF(CFNH(CHSi(OC
・CF(CF(CHSi(OCH
上述したような特定の形状を有する単相のチタン酸ジルコニウム粒子は、製造方法を特に限定するものではないが、例えば、以下に詳述する方法によって製造することができる。
本発明のチタン酸ジルコニウム粒子の製造方法の一例は、水性媒体中でチタン化合物及びジルコニウム化合物を混合することによって固体のチタン酸ジルコニウム前駆体を得る工程(I)、上記工程(I)によって得られたチタン酸ジルコニウム前駆体中の水を親水性溶媒で置換する工程(II)及び上記工程(II)によって得られたチタン酸ジルコニウム前駆体を600〜850℃で焼成する工程(III)を有するものである。このようなチタン酸ジルコニウム粒子の製造方法も、本発明の一つである。
水性溶媒中でチタン酸ジルコニウム前駆体を得た場合、前駆体中には水が存在しているが、このままで乾燥や焼成を行うと、水の存在によって粒子同士の凝集が生じて、粒子径を微細なものに維持することができなくなってしまう。このため、工程(II)において水を親水性溶媒で置換する。これによって、乾燥・焼成時に粒子の凝集を防ぐことができ、上述した微細な粒子径を維持することができるものである。更に、焼成温度として、600〜850℃という温度範囲を選択することで、結晶化を進行させつつ、粒子サイズが大きくなることを防止することができるものである。
上記工程(I)は、水性媒体中でチタン化合物及びジルコニウム化合物を混合することによって固体のチタン酸ジルコニウム前駆体を得る工程である。上記工程(I)によって得られるチタン酸ジルコニウム前駆体は、X線回折におけるピークが存在しないアモルアファスの固体である。
本発明において、原料として使用することができるチタン化合物としては、水溶性又は酸溶解性のチタン化合物であれば特に限定されず、例えば、硫酸チタニル、オキシ塩化チタン等を挙げることができる。原料として使用することができるジルコニウム化合物としては、水溶性又は酸溶解性のジルコニウム化合物であれば特に限定されず、例えば、オキシ塩化ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、酢酸ジルコニウム等を挙げることができる。
上記チタン化合物とジルコニウム化合物を目的とするチタン酸ジルコニウムのxの値に合わせた比で混合し、水中で塩基性とすることによって、チタン酸ジルコニウム前駆体を沈殿させる。
上記沈殿に際しては、水中に、チタン化合物及びジルコニウム化合物を溶解した溶液とアルカリ溶液とをpHを一定に保ちつつ攪拌しながら徐々に添加する方法等を挙げることができる。
上記アルカリ溶液としては特に限定されず、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア水等を使用することができる。反応中の反応液は、pHがpH3〜9であることが好ましく、pHが3〜7であることがより好ましい。pHが3未満であれば水酸化チタンや水酸化ジルコニウムの沈殿が不十分になるおそれがある。また、pHが高すぎると沈殿物にチタン−ジルコニウム混合溶液由来の陽イオンが取り込まれやすくなったり、濾過性が悪くなったりするおそれがある点で好ましくない。
チタンとジルコニウムの沈殿pHを近づけるために、反応混合物中に過酸化水素水を添加してもよい。過酸化水素水はチタン-ジルコニウム混合溶液に予め加えておいてもよいし、アルカリ溶液に添加しても良いし、中和時に滴下してもよい。
反応後、濾過することによって、固形のチタン酸ジルコニウム前駆体を得る。得られた固形のチタン酸ジルコニウム前駆体は、以下に詳述する工程(II)に供する前に溶存塩類を取り除くことが好ましい。溶存塩類を取り除くには濾過、水洗以外に遠心分離やイオン交換樹脂、透析等の公知の手段を用いてもよい。溶存塩類が存在すると、後の焼成工程で異常粒成長の原因となるため、溶存塩類の除去が好ましい。
工程(II)は、上述した工程(I)を行った固形のチタン酸ジルコニウム前駆体を親水性溶媒によって処理する工程である。上記工程(II)によって、水を除去することができ、これによって以下の工程における粒子の凝集を抑制することができる。
上記親水性の溶媒としては、特に限定されず、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトン等、水と任意の割合で混合することができる有機溶媒を挙げることができる。
置換の方法は特に限定されないが、反応ケーキを置換したい溶媒にリパルプした後、濾過をおこない過剰の溶媒を除く方法が簡便である。置換に用いる溶媒量は特に限定されないが、少なすぎると十分な効果が得られない。逆に、置換に用いる溶媒量が多すぎても一定以上の効果は得られない為、コスト的に不利である。従って置換する水の2〜5倍体積量の溶媒を用いて置換することが好ましい。
このようにして得られたチタン酸ジルコニウム前駆体は、次いで乾燥させることが好ましい。乾燥には箱型乾燥機やバンドドライヤー、スプレードライヤーなど一般的な乾燥設備が使用できる。
上述した方法によって得られるチタン酸ジルコニウム前駆体はBET法での比表面積が100m/g以上であり、透過型電子顕微鏡で観察すると数nmの1次粒子の凝集体である。また、X線回折においてはピークは見られずアモルファスである。
工程(III)は、上記工程(II)によって得られたチタン酸ジルコニウム前駆体を焼成する工程である。工程(III)によりアモルファスなチタン酸ジルコニウム前駆体が結晶性のチタン酸ジルコニウムに変化する。
工程(III)の焼成は、焼結助剤の存在下で行うことが好ましい。焼結助剤を添加することによって、粒子同士の融着を好適に防止することができ、上述した所望の粒子径を有するチタン酸ジルコニウムを得るために有用である。焼結助剤としては塩化カリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のカリウム塩や珪酸ナトリウム、珪酸カリウムなどの珪酸塩を用いることができるが、焼成後の焼結助剤の除去を考えるとカリウム塩を用いることが好ましい。
融着防止効果を発揮させるには、焼結助剤の添加量はチタン酸ジルコニウムに対して下限0.5質量%、上限3質量%であることが好ましい。焼結助剤としてカリウム塩を使用する場合、3質量%を超えて添加すると、焼成により、一部、ジルコニウムが焼結助剤中の金属で置換されることによって、チタン酸カリウム等の副生物が生成するおそれがあるため、好ましくない。焼結助剤として珪酸塩を使用する場合、3質量%を超えて添加すると、チタン酸ジルコニウムの純度(含有量)が下がり特性が劣るおそれがあるため好ましくない。
焼成温度は得ようとする粒子の目的粒子サイズや、焼結助剤の添加量、チタンとジルコニウムの含有比により適宜変化するが、600〜850℃で行うことが好ましい。例えば、Ti0.5Zr0.5の組成比で焼結助剤として塩化カリウム1質量%を添加した場合、750℃で1次粒子径44nmの粒子が得られる。750℃よりも焼成温度を高くすれば粒子サイズは大きくなり、塩化カリウム添加量を増やせば粒子サイズは大きくなる。焼成温度を下げることで得られる1次粒子径は小さくなるが、温度が低すぎると結晶性のチタン酸ジルコニウムが得られない。このように、600〜850℃の範囲内で、その他の条件とともに温度範囲を選択することによって、目的とする粒子径を有するチタン酸ジルコニウムを得ることができる。
焼結方法は、特に限定されず、チタン酸ジルコニウムを焼結させることができる公知の方法を使用することができるが、例えば、電気炉等によって行うことができる。
焼成後には、得られたチタン酸ジルコニウムに対してイオン交換水を添加してリパルプしてもよい。リパルプすることによって、焼結剤等の不純物を除去することができる。
焼成後のチタン酸ジルコニウムは粉砕することで分散性を上げることが可能である。粉砕の方法は、ピンミルやジェットミル等の乾式法、ビーズミル等の湿式法が使用できる。
上述した方法によって得られた本発明のチタン酸ジルコニウムに対して、上述した表面処理剤による処理を施す場合の処理方法は特に限定されず、通常の方法によって行うことができる。
本発明のチタン酸ジルコニウム粉末は、磁性一成分トナー、二成分トナー及び非磁性一成分トナーのあらゆる静電記録方式で、また粉砕法あるいは重合法で製造したトナーの外添剤として使用することができる。本発明のチタン酸ジルコニウム粉末は、バインダー樹脂として公知の合成樹脂及び天然樹脂からなるものと併用して使用することができる。具体的には、例えば、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、オレフィン系樹脂、ジエン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂、フェノール系樹脂、石油樹脂及びウレタン系樹脂等が挙げられる。また、目的に応じて帯電調整剤や離型剤等の添加剤をバインダー中に添加したトナーと併用することもできる。
本発明のチタン酸ジルコニウム粉末は、トナー粒子に対して0.3〜5.0質量%の割合で外添して、使用され、必要に応じ電子写真の分野で使用されている公知の流動化剤、例えば、シリカ、酸化チタン、酸化アルミ等の1種又は2種以上と併用してもかまわない。
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。また実施例中、「部」は特に断りのない限り「質量部」を、「%」は特に断りのない限り「質量%」を意味する。
(実施例1)
チタン酸ジルコニウム前駆体の調製
TiOとしての濃度が100g/Lである硫酸チタニル水溶液30Lにオキシ塩化ジルコニウム8水和物12.1kgを加えオキシ塩化ジルコニウム8水和物が完全に溶解するまで撹拌し、イオン交換水を加え、液量を50Lにした。得られたチタン-ジルコニウム混合溶液中のZr:Tiのモル比はICPで分析したところ1.0:1.0であった。
タンクに純水を30L入れ、撹拌しながら上記、チタン-ジルコニウム混合溶液を2時間かけて滴下した。この時、タンク内の溶液pHがpH7を保つように、30質量%の濃度の水酸化ナトリウム水溶液を滴下した。
反応後、フィルタープレスで濾過し、濾液の電気伝導度が100μS/cm以下になるまで水洗した。水洗後、水の替わりに150Lのイソプロピルアルコールを流し、プレスケーキ中の水分をイソプロピルアルコールに置換した。
次いで、得られた沈殿物ケーキを防爆型の箱型乾燥機を用い、105℃で24時間乾燥させた。このようにして得られたチタン酸ジルコニウム前駆体は比表面積がBET法で453m/gであり、透過型電子顕微鏡で観察すると数nmの1次粒子の凝集体であった。また、X線回折においてはピークは見られずアモルファスであった。
チタン酸ジルコニウム粒子の調製
チタン酸ジルコニウム前駆体1Kgに10質量%の塩化カリウム水溶液100gを添加し、ヘンシェルミキサーで1分間混合した。その後、マッフル炉を用い750℃で2時間焼成した。焼成後のチタン酸ジルコニウムをイオン交換水でリパルプし、150g/Lの濃度になるよう希釈し、これを縦型ビーズミルで解砕した。
解砕後のスラリーをろ過、乾燥し透過型電子顕微鏡で観察したところ一次粒子径は44nmであった。また、粉末X線回折を2θ=20−60°の範囲で測定したところ、検出されたピークは全てチタン酸ジルコニウムに帰属され、それ以外のピークは見られなかった。また、Zr:Tiのモル比はICPで分析したところ1.0:1.0であった。
なお、本明細書の実施例において粉末X線回折は、Cu−Kα線を用いて行った。従って、2θ=20〜60°の範囲の測定は、d=4.44〜1.54の範囲で測定したことになる。
(実施例2)
TiO2としての濃度が100g/Lである硫酸チタニル水溶液の使用量を45Lとし、オキシ塩化ジルコニウム8水和物の使用量を6.0kgとした以外は実施例1と同様の操作を行ないチタン酸ジルコニウムの解砕スラリーを得た。
解砕後のスラリーをろ過、乾燥し透過型電子顕微鏡で観察したところ一次粒子径は32nmであった。また、粉末X線回折をd=4.44〜1.54の範囲で測定したところ、検出されたピークは全てチタン酸ジルコニウムに帰属され、それ以外のピークは見られなかった。Zr:Tiのモル比はICPで分析したところ0.25:0.75であった。
(実施例3)
TiOとしての濃度が100g/Lである硫酸チタニル水溶液の使用量を15Lとし、オキシ塩化ジルコニウム8水和物の使用量を24.2kgとした以外は実施例1と同様の操作を行ないチタン酸ジルコニウムの解砕スラリーを得た。
解砕後のスラリーをろ過、乾燥し透過型電子顕微鏡で観察したところ一次粒子径は35nmであった。また、粉末X線回折をd=4.44〜1.54の範囲で測定したところ、検出されたピークは全てチタン酸ジルコニウムに帰属され、それ以外のピークは見られなかった。Zr:Tiのモル比はICPで分析したところ0.75:0.25であった。
実施例1〜3のチタン酸ジルコニウム粒子の透過型電子顕微鏡写真を図1〜3に示した。更に、粉末X線回折測定のチャートを図4〜6に示した。これらの結果からも、上述した実施例によって、本発明のチタン酸ジルコニウム粒子が得られていることは明らかである。
(実施例4)
マッフル炉での焼成温度を720℃に変更した以外は(実施例1)と同様の操作をおこないチタン酸ジルコニウムの解砕スラリーを得た。解砕後のスラリーをろ過、乾燥し透過型電子顕微鏡で観察したところ平均粒子径は20nmであった。また、粉末X線回折をd=4.44〜1.54の範囲で測定したところ、検出されたピークは全てチタン酸ジルコニウムに帰属され、それ以外のピークは見られなかった。
(実施例5)
10質量%の塩化カリウム水溶液100gの代わりに10質量%の水酸化カリウム水溶液100mlを用い、さらに、マッフル炉での焼成温度を800℃に変更した以外は(実施例1)と同様の操作をおこないチタン酸ジルコニウムの解砕スラリーを得た。
解砕後のスラリーをろ過、乾燥し透過型電子顕微鏡で観察したところ平均粒子径は100nmであった。また、粉末X線回折をd=4.44〜1.54の範囲で測定したところ、検出されたピークは全てチタン酸ジルコニウムに帰属され、それ以外のピークは見られなかった。
(実施例6)
実施例1で得られたチタン酸ジルコニウムの解砕スラリー500mlをイオン交換水で1000mlに希釈し、次いでトリメトキシデシルシラン3.8gを溶解したイソプロピルアルコール溶液200mlを添加した。このトリメトキシデシルシランとチタン酸ジルコニウムの混合スラリーを撹拌しながら沸騰するまで加熱し2時間還流をおこない表面処理を行った。加熱後、得られた表面処理スラリーをスプレードライヤーで乾燥させ、得られた乾燥粉をさらに乾燥機で120℃、24時間熱処理することでチタン酸ジルコニウムの表面処理粉64gを得た。こうして得られたチタン酸ジルコニウムの表面処理粉に関して、帯電量測定および撥水性試験を行った。
(比較例1)
コア粒子スラリーとしてチタン酸ジルコニウムの解砕スラリー500mlの代わりに二酸化チタン(STR−60N 堺化学工業(株)製)のスラリー(二酸化チタン濃度=150g/L)500mlを用い、トリメトキシデシルシランの使用量を15gに変更した以外は実施例6と同様の処理を行い、二酸化チタンの表面処理粉68gを得た。こうして得られた二酸化チタンの表面処理粉に関して、帯電量測定および撥水性試験を行った。
なお、帯電量測定および撥水性試験は、以下に示す方法によって行った。
(擬似トナー作成方法)
1)樹脂10gとサンプル0.2gを秤量した。なお、樹脂としては綜研化学株式会社製 架橋アクリル樹脂:MX−500(平均粒径5μm)を用いた。
2)上記樹脂及びチタン酸ジルコニウム粒子をミキサーで120秒間乾式混合した。
(帯電量 測定方法)
1)上記擬似トナー1gとP−01キャリヤー(パウダーテック株式会社製)19gを秤量し、下記(1)(2)の条件で調湿した。
(1)高温高湿条件(HH/40℃、85RH%、24hr以上暴露)
(2)低温低湿条件(LL/10℃、20RH%、24hr以上暴露)
2)調湿後、密閉した状態で手振り200回にて混合した。
3)サンプルを0.1g秤量し、20−25℃、50−60RH%の室内で帯電量を測定した。なお、帯電量の測定には京セラケミカル株式会社製 粉体帯電量測定装置 TYPE TB−203を使用した。
(撥水性 評価方法)
1)純水とメタノールを体積比で純水7:メタノール3の割合で混合し、水-メタノール混合溶媒を調製した。
2)50mlのガラス製バイアル瓶に1)の混合溶媒40mlを入れた。
3)上記ガラス製バイアル瓶に評価対象の粒子を0.1g加え、蓋をして20回手振り攪拌した。
4)5分間静置し、粉の浮沈状態・分散状態を確認した。
5)撥水性の評価は
○…粉の沈降がなく、全て浮いている状態
△…粉の沈降があり、浮いている粉も存在する状態
×…粉が全量沈降している状態
の三段階で評価した。
結果を表1に示す。また、帯電量の時間変化を図7(実施例6)、図8(比較例)にそれぞれ示した。
以上の結果から、上述した方法によって本発明のチタン酸ジルコニウム粒子を製造することができ、このようにして製造されたチタン酸ジルコニウム粒子は、チタニアの持つ帯電の立ち上がりが早いという特性を有し、かつ、チタニアよりも帯電量が高くなる粒子である。また、表面処理を施すことによって、良好な撥水性を得ることができた。
本発明のチタン酸ジルコニウム粒子は、トナー用外添剤として好適に使用することができる粒子である。

Claims (4)

  1. 粉末X線回折において単相であり、一次粒子径が20〜100nmであることを特徴とするチタン酸ジルコニウム粒子。
  2. チタン酸ジルコニウムは、一般式
    ZrTi(1−x)(0.25<x<0.75)
    で表される請求項1記載のチタン酸ジルコニウム粒子。
  3. 水性媒体中でチタン化合物及びジルコニウム化合物を混合することによって固体のチタン酸ジルコニウム前駆体を得る工程(I)、
    前記工程(I)によって得られたチタン酸ジルコニウム前駆体中の水を親水性溶媒で置換する工程(II)及び
    前記工程(II)によって得られたチタン酸ジルコニウム前駆体を600〜850℃で焼成する工程(III)
    を有することを特徴とする請求項1又は2記載のチタン酸ジルコニウム粒子の製法。
  4. 請求項1又は2記載のチタン酸ジルコニウム粒子を用いたトナー用外添剤。
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