JP2010273961A - 使い捨てパンツ型おむつ - Google Patents

Abstract

【課題】ホットメルト接着剤の滲み出しが防止され、着用者の肌に優しいエンド押さえシートを有する使い捨てパンツ型おむつを提供する。
【解決手段】前腹部Ｐと後背部Ｑとこれらの間に位置する股部Ｒとから構成され、前腹部Ｐと後背部Ｑとが接合されることによりウェスト開口部と一対の脚開口部とが形成された外装パンツ部材２と、外装パンツ部材２の股部Ｒの肌面側に備えられ、トップシートとバックシートとこれらの間に挟まれた吸収性コアとを有する吸収性本体８と、外装パンツ部材２の前腹部Ｐおよび／または後背部Ｑに、吸収性本体８の前後端部を覆い、ホットメルト接着剤により外装パンツ部材２と吸収性本体８とに接合されたエンド押さえシート７とを有し、前記エンド押さえシート７が、メルトブロー不織布層の少なくとも肌面側にスパンボンド不織布層が積層された複合不織布を有することを特徴とする使い捨てパンツ型おむつ。
【選択図】図２

Description

本発明は、幼児用または大人用の使い捨てパンツ型おむつに関するものである。

従来、前腹部と後背部とこれらの間に位置する股部とから構成された外装パンツ部材と、外装パンツ部材の股部に備えられた吸収性本体とを有する使い捨てパンツ型おむつが知られている。しかし、使い捨てパンツ型おむつでは、吸収性本体と外装パンツ部材との間におむつ厚み方向に段差が生じ、この段差により着用者が違和感を覚えることがある。特に、吸収性本体の前後端部においては、着用者が違和感を覚えやすい。そこで、吸収性本体の前後端部が直接着用者の肌に当たって着用者が違和感を覚えることを低減するために、特許文献１には、外装パンツ部材の前腹部と後背部とに、吸収性本体の前後端部を覆うエンド押さえシートを設けることが開示されている。そして、特許文献１では、エンド押さえシートは、ホットメルト接着剤により外装パンツ部材と吸収性本体とに接合されている。

特開２００６−２４７００９号公報

しかし、特許文献１で用いられるエンド押さえシートは、スパンボンド不織布から形成されているため、エンド押さえシートをホットメルト接着剤で外装パンツ部材に接着する際、ホットメルト接着剤がスパンボンド不織布を通って滲み出し、着用者の肌にトラブルを与えるおそれがある。

本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ホットメルト接着剤の滲み出しが防止され、着用者の肌に優しいエンド押さえシートを有する使い捨てパンツ型おむつを提供することにある。

前記課題を解決することができた本発明の使い捨てパンツ型おむつとは、前腹部と後背部とこれらの間に位置する股部とから構成され、前腹部と後背部とが接合されることによりウェスト開口部と一対の脚開口部とが形成された外装パンツ部材と、外装パンツ部材の股部の肌面側に備えられ、トップシートとバックシートとこれらの間に挟まれた吸収性コアとを有する吸収性本体と、外装パンツ部材の前腹部および／または後背部に、吸収性本体の前後端部を覆い、ホットメルト接着剤により外装パンツ部材と吸収性本体とに接合されたエンド押さえシートとを有し、前記エンド押さえシートが、メルトブロー不織布層の少なくとも肌面側にスパンボンド不織布層が積層された複合不織布を有するところに特徴を有する。

本発明では、エンド押さえシートが、メルトブロー不織布層の少なくとも肌面側にスパンボンド不織布層が積層された複合不織布を有するため、メルトブロー不織布層によりエンド押さえシートの接着に用いられるホットメルト接着剤の滲み出しが防止され、エンド押さえシートの表面が粘ついて肌触りが悪化したり、着用者の肌にトラブルを与えるおそれがなくなる。また、メルトブロー不織布層の肌面側にスパンボンド不織布層が積層されているため、エンド押さえシートの着用者の肌触りが良好となる。

エンド押さえシートに用いられる複合不織布のメルトブロー不織布層の目付は、１．０ｇ／ｍ²以上３．０ｇ／ｍ²以下であることが好ましい。メルトブロー不織布層の目付が前記範囲にあれば、ホットメルト接着剤の滲み出しが確実に防止されやすくなるとともに、エンド押さえシートの柔軟性が維持され、肌触りが良くなる。

外装パンツ部材の前腹部および／または後背部には、胴周り用弾性部材がおむつ幅方向に設けられ、エンド押さえシートは、スパンボンド不織布層を構成する繊維がおむつ幅方向に配向していることが好ましい。前記構成により、エンド押さえシートのおむつ幅方向の強度を高めることができ、その結果、外装パンツ部材に胴周り用弾性部材が設けられても、エンド押さえシートが破断しにくくなる。

外装パンツ部材の前腹部および／または後背部には、胴周り用弾性部材がおむつ幅方向に設けられ、エンド押さえシートは、ゴム系ホットメルト接着剤により外装パンツ部材と吸収性本体とに接合されていることが好ましい。エンド押さえシートの接着にゴム系ホットメルト接着剤を用いれば、胴周り用弾性部材の影響により、外装パンツ部材やエンド押さえシートが伸張と収縮を繰り返しても、エンド押さえシートが外装パンツ部材から剥がれにくくなる。

エンド押さえシートに用いられる複合不織布は、界面活性剤により親水化処理されたものであることが好ましい。前記構成により、複合不織布の柔軟性が増し、着用者の肌触りが良好となる。

本発明の使い捨てパンツ型おむつは、エンド押さえシートからのホットメルト接着剤の滲み出しが防止され、着用者の肌にトラブルを与えるおそれがなく、また、エンド押さえシートの着用者の肌触りが良好となる。

本発明の使い捨てパンツ型おむつを表す。 図１の使い捨てパンツ型おむつの前腹部と後背部との接合を解いて、平面に展開した状態を表す。 図２におけるＡ−Ａ断面図を表す。 図２におけるＢ−Ｂ断面図を表す。 エンド押さえシートに用いる複合不織布の例を表す。

本発明の使い捨てパンツ型おむつは、前腹部と後背部とこれらの間に位置する股部とから構成され、前腹部と後背部とが接合されることによりウェスト開口部と一対の脚開口部とが形成された外装パンツ部材と、外装パンツ部材の股部の肌面側に備えられ、トップシートとバックシートとこれらの間に挟まれた吸収性コアとを有する吸収性本体とを有する。

外装パンツ部材は、前腹部と後背部とがおむつ幅方向両側縁部において互いに接合されることにより、股部の両側に一対の脚開口部が形成されるとともに、前腹部と後背部のおむつ前後方向両側縁部から形成されるウェスト開口部が形成される。なお、おむつ前後方向とは、使い捨てパンツ型おむつの前腹部から後背部にかけての方向を意味し、おむつ幅方向とは、使い捨てパンツ型おむつの前腹部と後背部との接合を解いて平面に展開した状態で、使い捨てパンツ型おむつと同一面上にあり、前記前後方向に直交する方向を意味する。

外装パンツ部材の各部の名称については、使い捨てパンツ型おむつを着用の際に、着用者の腹側に当てる部分を前腹部と称し、着用者の臀部側に当てる部分を後背部と称し、前腹部と後背部との間に位置し着用者の股間に当てる部分を股部と称する。股部とは、使い捨てパンツ型おむつの前腹部と後背部との接合を解いて平面に展開した状態で、おむつ前後方向に３分割した中間に位置する部分であり、パンツ型に形成された場合におむつ幅方向両側縁部が接合されない部分を意味する。

外装パンツ部材の股部の肌面側には、吸収性本体が備えられる。肌面側とは、使い捨てパンツ型おむつを着用の際に、着用者の肌と面する側を意味する。また、使い捨てパンツ型おむつを着用の際に、外側に面する側を外面側とする。吸収性本体は、少なくとも股部に存在すればよく、さらに前腹部および後背部にかけて延在していることが好ましい。吸収性本体は、着用者から排泄された尿等を吸収するためのものである。

外装パンツ部材は、１枚のシートが所定形状に形成されたものでもよく、２枚以上のシートが積層されて所定形状に形成されていてもよい。好ましくは、外装パンツ部材は、外側シートと、外側シートの肌面側に積層された内側シートとを有する。この場合、内側シートは、親水性または液不透過性の材料から形成されることが好ましく、液不透過性の材料から形成されることがより好ましく、外側シートは、液不透過性の材料から形成されることが好ましい。なお、外装パンツ部材が１枚のシートのみから構成される場合は、外装パンツ部材は前記外側シートから構成されることが好ましい。外装パンツ部材が液不透過性の材料から形成されたシートを有していれば、外装パンツ部材からの尿等の漏れが防止されるようになる。

内側シートや外側シートとしては、不織布やプラスチックフィルムを用いることができる。なかでも、内側シートと外側シートは、不織布から構成されることが好ましい。

内側シートと外側シートに用いられる液不透過性の不織布としては、ポリオレフィン（ポリエチレン、ポリプロピレン等）不織布、ポリエステル不織布等が好ましく、特にポリプロピレン不織布が好ましい。このような不織布を用いれば、高強度の外装パンツ部材が得られる。

内側シートと外側シートとが不織布から構成される場合、当該不織布としては、スパンボンド不織布が好ましい。内側シートと外側シートとがスパンボンド不織布から構成されていれば、外装パンツ部材の通気性が確保され、おむつ着用時、着用者の汗等に由来して発生した水蒸気が、外部に放出されやすくなる。なお、スパンボンド不織布とは、スパンボンド法により得られる不織布を意味し、本発明においては、スパンボンド層のみからなる不織布を意味する。

内側シートと外側シートに用いられる不織布の目付は、１０ｇ／ｍ²以上が好ましく、１５ｇ／ｍ²以上がより好ましく、また３５ｇ／ｍ²以下が好ましく、２５ｇ／ｍ²以下がより好ましい。不織布の目付が１０ｇ／ｍ²以上であれば、シートが十分な強度を有しやすくなる。不織布の目付が３５ｇ／ｍ²以下であれば、不織布の通気性が確保されやすくなり、着用者の快適性が向上する。

外装パンツ部材の前腹部および／または後背部には、吸収性本体の前後端部を覆うエンド押さえシートが設けられる。エンド押さえシートを設けることにより、着用者が、吸収性本体の前後端部が着用者の肌に当たることによる違和感が軽減される。好ましくは、エンド押さえシートは、外装パンツ部材の前腹部と後背部とに設けられる。

エンド押さえシートは、おむつ前後方向に対しては、吸収性本体の前後端部を覆うように、吸収性本体と外装パンツ部材とに跨って設けられればよい。エンド押さえシートは、少なくとも前腹部および／または後背部に設けられればよく、例えば、吸収性本体が股部のみに位置する場合は、エンド押さえシートは前腹部から股部にかけて、または後背部から股部にかけて設けられてもよい。しかしながら、吸収性本体が、股部から前腹部および後背部にかけて設けられ、エンド押さえシートが、前腹部および／または後背部のみに設けられることが好ましい。なお、エンド押さえシートは、前腹部および／または後背部の全体に設けられてもよく、前腹部および／または後背部の一部に設けられてもよい。

エンド押さえシートは、おむつ幅方向に対しては、吸収性本体をおむつ幅方向に横切って、設けられる。好ましくは、エンド押さえシートは、外装パンツ部材とおむつ幅方向において一致するように設けられる。エンド押さえシートが、外装パンツ部材とおむつ幅方向において一致するように設けられれば、使い捨てパンツ型おむつを連続的に製造する際、エンド押さえシートを設けることが容易になる。

エンド押さえシートは、ホットメルト接着剤により、外装パンツ部材と吸収性本体とに接合される。詳細には、エンド押さえシートは、ホットメルト接着剤により、外装パンツ部材の前腹部および／または後背部と、吸収性本体の前後端部とに接合される。ホットメルト接着剤を用いることにより、外装パンツ部材と吸収性本体の前後端部とで段差が形成されていても、エンド押さえシートを両部材に確実に接合できるようになる。

エンド押さえシートは、着用者の肌に面するように設けられる上、特に凹凸の大きい吸収性本体の前後端部を覆うように設けられることから、おむつ着用時、エンド押さえシートは着用者の肌と強く接触することとなる。従って、エンド押さえシートは、着用者の肌触りが良好となるように、着用者の肌と面する側がスパンボンド不織布層から構成されている。しかし、スパンボンド不織布層は、不織布を構成する繊維間の空隙が大きくなりやすいため、エンド押さえシートがスパンボンド不織布層のみから構成される場合、エンド押さえシートの接着に用いられるホットメルト接着剤がエンド押さえシートを通って滲み出し、エンド押さえシートの表面が粘ついて肌触りが悪化したり、着用者の肌にトラブルを与えるおそれがある。

そこで、本発明では、エンド押さえシートに、メルトブロー不織布層の少なくとも肌面側にスパンボンド不織布層が積層された複合不織布を用いる。メルトブロー不織布層は、不織布を構成する繊維間の空隙が小さいため、エンド押さえシートがメルトブロー不織布層を有していれば、エンド押さえシートからのホットメルト接着剤の滲み出しが防止されるようになる。さらに、メルトブロー不織布層の肌面側にスパンボンド不織布層が積層されているため、エンド押さえシートの着用者の肌触りも良好となる。

エンド押さえシートに用いられる複合不織布のメルトブロー不織布層の目付は、１．０ｇ／ｍ²以上が好ましく、１．５ｇ／ｍ²以上がより好ましく、また３．０ｇ／ｍ²以下が好ましく、２．５ｇ／ｍ²以下がより好ましい。メルトブロー不織布層の目付が１．０ｇ／ｍ²以上であれば、ホットメルト接着剤の滲み出しが確実に防止されやすくなる。一方、メルトブロー不織布層の目付が３．０ｇ／ｍ²以下であれば、エンド押さえシートの剛性が高くなりすぎず、柔軟性が維持され、肌触りが良くなる。

エンド押さえシートは、メルトブロー不織布層の少なくとも肌面側にスパンボンド不織布層が積層された複合不織布から構成されていればよく、例えば、メルトブロー不織布層の肌面側と外面側とにスパンボンド不織布層が積層された複合不織布を用いてもよい。そのような不織布として、ＳＭＳ不織布や、ＳＭＭＳ不織布等が挙げられる。メルトブロー不織布層をスパンボンド不織布層で挟むことにより、エンド押さえシートの強度を高めることができる。

エンド押さえシートに用いられる複合不織布の目付は、５．０ｇ／ｍ²以上が好ましく、７．５ｇ／ｍ²以上がより好ましく、また２５．０ｇ／ｍ²以下が好ましく、１５．０ｇ／ｍ²以下がより好ましい。エンド押さえシートは外装パンツ部材と重なって設けられるが、おむつ着用時、エンド押さえシートが設けられる部分で嵩高さやごわつき感を感じないように、前記複合不織布の目付は、エンド押さえシートの強度が確保されることを条件に、少ない方が好ましい。従って、エンド押さえシート用いられる複合不織布は、強度と薄さを両立する目付として、５．０ｇ／ｍ²以上２５．０ｇ／ｍ²以下が好ましい。

エンド押さえシートの複合不織布は、界面活性剤により親水化処理されたものであることが好ましい。複合不織布が界面活性剤により親水化処理されることにより、複合不織布の柔軟性が増し、着用者の肌触りが良好となる。複合不織布を界面活性剤により親水化処理するためには、複合不織布を界面活性剤に含浸させたり、複合不織布に界面活性剤を塗布したり、複合不織布を構成する繊維に界面活性剤を塗布したり含浸させて当該繊維から複合不織布を形成したり、親水性成分を繊維に混在させて当該繊維から複合不織布を形成したりすればよい。

外装パンツ部材には、前腹部および／または後背部に、胴周り用弾性部材がおむつ幅方向に設けられることが好ましい。胴周り用弾性部材により、おむつの下腹部と臀部周りのフィット性が向上する。しかし、胴周り用弾性部材はエンド押さえシートと重なる位置あるいはエンド押さえシートに近接して設けられるため、外装パンツ部材に胴周り用弾性部材が設けられる場合、エンド押さえシートは胴周り用弾性部材の収縮力の影響を強く受けることとなる。その結果、エンド押さえシートは、おむつ着用時、おむつ幅方向に伸張と収縮が繰り返されることとなる。この場合、エンド押さえシートが外装パンツ部材から剥がれたり、エンド押さえシートが破断するおそれがある。

従って、外装パンツ部材に胴周り用弾性部材が設けられる場合、エンド押さえシートを外装パンツ部材と吸収性本体に接合するホットメルト接着剤としては、ゴム系ホットメルト接着剤を用いることが好ましい。ゴム系ホットメルト接着剤を用いれば、外装パンツ部材やエンド押さえシートが伸張と収縮を繰り返しても、エンド押さえシートが外装パンツ部材から剥がれにくくなる。ゴム系ホットメルト接着剤としては、ゴム弾性を示すホットメルト接着剤であれば特に限定されず、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体（ＳＩＳ）、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体（ＳＢＳ）、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体（ＳＥＢＳ）、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体（ＳＥＰＳ）等のスチレン系エラストマーを用いることが好ましい。前記例示したスチレン系エラストマーは、１種のみを用いてもよく、２種以上を併用してもよい。

ゴム系ホットメルト接着剤には、スチレン系エラストマーに加え、さらに粘着付与剤や酸化防止剤、可塑剤、軟化剤、粘度調整剤等が含まれていてもよい。粘着付与剤としては従来公知のものを使用すればよく、例えば、ジシクロペンタジエン樹脂、Ｃ５系またはＣ９系炭化水素樹脂、脂環族系炭化水素樹脂、ロジン類、テルペン類等を使用することができる。ゴム系ホットメルト接着剤は、十分な接着性と柔軟性を確保する点から、スチレン系エラストマーを１０質量％〜４０質量％（好ましくは、１５質量％〜３０質量％）含んでいることが好ましく、粘着付与剤を３０質量％〜７０質量％（好ましくは、４０質量％〜６０質量％）含んでいることが好ましい。なお、前記割合は、各成分の合計が１００質量％を超えない範囲で任意に調整される。

外装パンツ部材に胴周り用弾性部材が設けられる場合、エンド押さえシートがおむつ幅方向の伸張と収縮に耐えられるように、エンド押さえシートは、スパンボンド不織布層を構成する繊維がおむつ幅方向に配向していることが好ましい。前記説明したように、エンド押さえシートを構成する複合不織布の厚みは薄い方が好ましいが、複合不織布のスパンボンド不織布層を構成する繊維がおむつ幅方向に配向していれば、複合不織布の目付を増やさなくても、エンド押さえシートのおむつ幅方向の強度を高めることができる。その結果、外装パンツ部材に胴周り用弾性部材が設けられても、エンド押さえシートは、厚みが薄く維持され、破断しにくいものとなる。特に、おむつの着脱時、ウェスト開口部を広げるためにおむつを幅方向に引っ張っても、エンド押さえシートが破断しにくくなる。

スパンボンド不織布層を構成する繊維の配向については、次のように説明される。スパンボンド不織布は、例えば、ポリマー原料を溶融し、紡糸口金から押し出して延伸し、これをコンベアベルト等の上に集積して、ウェブ状に形成することにより得られるが、この際、コンベアベルト上に集積されたウェブ（繊維）はコンベアベルトの進行方向に沿って配列されることとなる。従って、この場合、ウェブ（繊維）はコンベアベルトの進行方向（ＭＤ方向）に沿って配向することとなる。スパンボンド不織布層の繊維の配向方向は、表面を顕微鏡等で観察することにより確認できる。

外装パンツ部材には、胴周り用弾性部材以外に、ウェスト用弾性部材や脚用弾性部材が設けられることが好ましい。ウェスト用弾性部材は、前腹部や後背部のウェスト開口縁に沿って設けられ、着用者が寝ている状態で、背中側や腹部側から尿等の排泄物が漏れることを防止する。脚用弾性部材は、脚開口縁に沿って設けられ、脚開口縁からの尿等の排泄物の漏れを防止する。なお、ウェスト開口縁とは、外装パンツ部材のウェスト開口部周りの縁を意味し、脚開口縁とは、外装パンツ部材の脚開口部周りの縁を意味する。

外装パンツ部材が１枚のシートから形成される場合、各弾性部材はシート上にホットメルト接着剤等により固定される。外装パンツ部材が内側シートと外側シートから構成される場合、各弾性部材は、両シート間に配設され、ホットメルト接着剤等により内側シートおよび／または外側シートに固定されることが好ましい。各弾性部材は、複数本設けられてもよい。

各弾性部材は、ポリウレタン糸、ポリウレタンフィルム、天然ゴム等の通常使い捨ておむつに用いられる弾性伸縮材料が用いることができる。各弾性部材は、伸張状態で、ホットメルト接着剤で固定されることが好ましい。例えば、繊度１００〜２，５００デシテックスのポリウレタン糸を、倍率１．１〜５．０倍に伸張して配設し、固定する。接合手段としては、好ましくは、ゴム系のホットメルト接着剤である。

外装パンツ部材の股部の肌面側に備えられる吸収性本体は、トップシートとバックシートとこれらの間に挟まれた吸収性コアとを有する。トップシートは、液透過性の不織布等により構成されることが好ましく、バックシートは、液不透過性または撥水性の不織布やプラスチックフィルム等により構成されることが好ましい。

吸収性コアは、尿等の排泄物を吸収できるものであれば特に限定されず、吸水性樹脂を含んでいることが好ましい。吸収性コアは、例えば、粉砕したパルプ繊維やセルロース繊維等の親水性繊維集合層に粒状の吸水性樹脂を混合または分散したものを、ティッシュペーパーなどの紙シートまたは液透過性不織布シート等の被覆シートで包み、長方形、砂時計型、ひょうたん型、羽子板型等の所定形状に成形することにより得られる。

吸収性本体のおむつ幅方向両側縁部に沿って、立ち上がりフラップが設けられていることが好ましい。立ち上がりフラップは、例えば、吸収性本体のトップシート上に接合されてもよく、吸収性本体の幅方向両外側に設けられてもよい。立ち上がりフラップは、液不透過性や撥水性の不織布やプラスチックフィルム等により構成されることが好ましく、撥水性の不織布により構成されることがより好ましい。立ち上がりフラップを設けることにより、尿等の横漏れを防ぐことができる。

立ち上がりフラップが立ち上がった状態の上側端部（着用者側の端部）には、起立用弾性部材が設けられていることが好ましい。起立用弾性部材の収縮力により、着用者側に立ち上がる立体ギャザーが形成され、尿等の横漏れが防止される。なお、立ち上がりフラップのおむつ前後方向の端部は、内面が例えばトップシート上に接合されていてもよく、これにより尿等の前後方向への漏れが防止される。

次に、本発明の使い捨てパンツ型おむつの一例について、図面を参照して説明する。なお、本発明は、下記実施態様に限定されるものではない。

図１は、本発明の使い捨てパンツ型おむつを表す。図２は、図１の使い捨てパンツ型おむつの前腹部と後背部との接合を解いて、平面に展開した状態を表す。図３は、図２のＡ−Ａ断面図を表す。図４は、図２のＢ−Ｂ断面図を表す。図では、矢印ｘをおむつ幅方向とし、矢印ｙをおむつ前後方向と定義付けている。また、矢印ｘ，ｙにより形成される面に対して垂直方向を厚み方向ｚと定義付ける。

使い捨てパンツ型おむつ１は、前腹部Ｐと後背部Ｑとこれらの間に位置する股部Ｒとから構成され、前腹部Ｐと後背部Ｑとが接合されることによりウェスト開口部３と一対の脚開口部４とが形成された外装パンツ部材２を有する。外装パンツ部材２は、外側シート５と、外側シート５の肌面側に積層された内側シート６とを有する。

使い捨てパンツ型おむつ１は、外装パンツ部材２の股部Ｒの肌面側に備えられ、トップシート９とバックシート１０とこれらの間に挟まれた吸収性コア１１とを有する吸収性本体８を有する（図３）。トップシート９は、着用者の股部の肌に面するように配置され、尿等の排泄物を透過する。トップシート９を透過した排泄物は、吸収性コア１１により収容される。バックシート１０は、外装パンツ部材２の内側シート６に接合され、排泄物が外部へ漏れるのを防いでいる。

吸収性本体８のおむつ幅方向ｘの両側縁部に沿って、立ち上がりフラップ１２が設けられている。立ち上がりフラップ１２は、トップシート９とバックシート１０とに跨って接合され、おむつ前後方向ｙに延在している。立ち上がりフラップ１２のおむつ幅方向ｘの内方端部には、起立用弾性部材１３が配設されている。立ち上がりフラップ１２は、起立用弾性部材１３の収縮力により、トップシート９の上方（着用者側）に立ち上がる立体ギャザーを形成し、尿等の横漏れを防止する。なお、立ち上がりフラップ１２は、吸収性本体８の前後端部で、内面がトップシート９上に接合されており、これにより尿等の前後方向ｙの外方への漏れが防止される。

外装パンツ部材２の前腹部Ｐと後背部Ｑとには、外側シート５と内側シート６との間に、複数の胴周り用弾性部材１４がおむつ幅方向ｘに設けられている。胴周り用弾性部材１４は、ホットメルト接着剤により外側シート５と内側シート６とに接着している。

外装パンツ部材２の前腹部Ｐおよび後背部Ｑには、吸収性本体８の前後端部を覆い、ホットメルト接着剤１５により外装パンツ部材２と吸収性本体８とに接合されたエンド押さえシート７が設けられている（図２，図４）。図では、エンド押さえシート７は、胴周り用弾性部材１４の全体を覆うように、外装パンツ部材２に設けられている。

エンド押さえシート７を形成する複合不織布の例を図５に示す。図５（ａ）では、エンド押さえシート７は、メルトブロー不織布層１７の肌面側１７ａにスパンボンド不織布層１８が積層された複合不織布からなっている。図５（ｂ）では、エンド押さえシート７は、メルトブロー不織布層１７の肌面側１７ａと外面側１７ｂとにスパンボンド不織布層１８が積層された複合不織布からなっている。

外装パンツ部材２のウェスト開口縁１９に沿って、複数のウェスト用弾性部材２０がおむつ幅方向ｘに設けられている。外側シート５は、外装パンツ部材２のウェスト開口縁１９で、内側シート６側に折り返され、折り返された外側シート５はホットメルト接着剤によりエンド押さえシート７と接着されている。ウェスト用弾性部材２０は、折り返された外側シート５間に挟まれて外側シート５と接着されている。

外装パンツ部材２の脚開口縁２１に沿って、外側シート５と内側シート６との間に、脚用弾性部材２２，２３が設けられている。脚用弾性部材は、股部Ｒを横切っておむつ前側の両脚開口縁に沿って設けられる前側脚用弾性部材２２と、股部Ｒを横切っておむつ後側の両脚開口縁に沿って設けられる後側脚用弾性部材２３とからなる。前側脚用弾性部材２２と後側脚用弾性部材２３とにより、脚開口縁２１のほぼ全周にわたり脚用弾性部材が設けられることとなる。

１： 使い捨てパンツ型おむつ
２： 外装パンツ部材
５： 外側シート
６： 内側シート
７： エンド押さえシート
８： 吸収性本体
９： トップシート
１０： バックシート
１１： 吸収性コア
１４： 胴周り用弾性部材
１５： ホットメルト接着剤

Claims (5)

1. 前腹部と後背部とこれらの間に位置する股部とから構成され、前腹部と後背部とが接合されることによりウェスト開口部と一対の脚開口部とが形成された外装パンツ部材と、
   外装パンツ部材の股部の肌面側に備えられ、トップシートとバックシートとこれらの間に挟まれた吸収性コアとを有する吸収性本体と、
   外装パンツ部材の前腹部および／または後背部に、吸収性本体の前後端部を覆い、ホットメルト接着剤により外装パンツ部材と吸収性本体とに接合されたエンド押さえシートとを有し、
   前記エンド押さえシートは、メルトブロー不織布層の少なくとも肌面側にスパンボンド不織布層が積層された複合不織布を有することを特徴とする使い捨てパンツ型おむつ。
2. 前記複合不織布のメルトブロー不織布層の目付が、１．０ｇ／ｍ²以上３．０ｇ／ｍ²以下である請求項１に記載の使い捨てパンツ型おむつ。
3. 前記外装パンツ部材の前腹部および／または後背部に、胴周り用弾性部材がおむつ幅方向に設けられ、
   前記エンド押さえシートは、スパンボンド不織布層を構成する繊維がおむつ幅方向に配向している請求項１または２に記載の使い捨てパンツ型おむつ。
4. 前記外装パンツ部材の前腹部および／または後背部に、胴周り用弾性部材がおむつ幅方向に設けられ、
   前記ホットメルト接着剤が、ゴム系ホットメルト接着剤である請求項１〜３のいずれか一項に記載の使い捨てパンツ型おむつ。
5. 前記複合不織布が、界面活性剤により親水化処理されたものである請求項１〜４のいずれか一項に記載の使い捨てパンツ型おむつ。

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