JP2010273410A - 発電制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】内燃機関のクランク軸に連結駆動される発電機10の発電を制御する発電制御装置1において、ステータコアとステータコイルとからなる固定子を発電ポールとして複数有する発電機ACG10の発電に寄与する発電ポールを選択する発電ポール選択手段ACU20を設け、内燃機関の回転速度に応じて発電ポールの全部が発電する長巻回発電ポールPHと発電ポールの一部が発電する短巻回発電ポールPLとを切り換える。
【選択図】図3
Description
しかし、エンジンの高回転領域においては、エンジントルクが増大するので、発電トルクを利用した振動の抑制効果が小さくなってしまう。
このため、振動抑制効果を高めるために出力の大きな発電機を使用することも考えられるが、内燃機関のクランク軸に連結・駆動される発電機の場合、同程度の外形寸法を維持したまま、コイル巻回数を増やしたり磁束密度を高くしたりすることのよって、発電出力を上げると、却って発電効率が低下することが知られている。
ところが、本発明者等の鋭意試験により、内燃機関のクランク軸に連結され駆動される発電機において、一定の回転速度以上では、発電コイルの巻回数が少ないほど、即ち、発電に寄与するポールが少ないほど発電トルクが大きくなり、より高い振動抑制効果が得られることが判明した。
特に、本発明の発電制御装置は、複数の固定子を略放射状に配設し、その周囲に固定子に対して相対回転する回転子を配設し、回転子に界磁として永久磁石を使用した永久磁石同期ACGを用いた内燃機関の振動抑制に好適なものである。
本発明の発電制御装置は、ACGの発電極(発電ポール)を構成する複数の固定子から、発電に寄与する固定子を選択することによって、発電トルクを多段的に調整可能とし、内燃機関の回転速度によって変化するエンジントルクに応じて発電トルクを多段的に調整することが可能となり、振動を効果的に抑制できる。
発電制御装置1は、ACG10と、本発明の要部でありACG10の発電ポールを決定する発電ポール選択手段(ACU)20と、バッテリ(BT)50とランプ系負荷(LMP)60と駆動系負荷(LD)70とへの電力供給を制御するレギュレータ(REG)30と、内燃機関80の運転状況に応じてACU20を制御すると共に内燃機関80を制御する電子制御装置(ECU)40とによって構成されている。
シリンダヘッド81には、図略の吸気バルブによって開閉される吸気路と排気バルブによって開閉される排気路と、燃料噴射弁71と点火プラグ72とが設けられている。
吸気バルブの開弁とピストン83の下降とによる燃焼室800内への吸気行程と、燃料噴射弁71による燃料噴射とピストン83の上昇による圧縮行程と、点火プラグ72を用いた混合気への点火による爆発行程と、排気バルブの開弁による排気行程との燃焼サイクルが繰り返され、クランク軸85が回転する。クランク軸85には、ACG10が連結され、クランク軸85の回転に伴いACG10が駆動される。
ステータコア101にステータコイル102が巻回されてステータ100が形成されている。複数のステータ100がクランク軸85の周囲に位置するように略放射状に配設され、直列に接続されており、ステータ100の外側に界磁としてマグネット111N、111Sが回転方向に並べられ、マグネット111N、111SのN極とS極とが交互にステータ100に対向するように配設されている。マグネット111N、111Sには永久磁石が用いられている。
クランク軸85に連結されたフライホール120の回転と共に、マグネット111N、111S及びロータ110がステータ100に対して相対回転することによって、ステータコイル102内の磁界が変化し、ACG10に交流が発生する。本実施形態においては、ステータ100が16極形成された例を示し、全ポールを選択して発電する場合(PH)と黒丸印の施された位置の発電ポールを選択する場合(PL)とを切換え可能となっている。
ACG10には、クランク軸85の1回転当たりに、ステータ100の発電ポール数に対してその半分の発電山周期をもち、クランク軸85の回転速度に比例した周波数の起電力が発生する。
フライホイール120の外周には、所定の間隔で複数の検出子(リフラクタ)112が設けられている。燃焼サイクル検出手段として設けられたクランク角センサSEN1によってリフラクタ112が検知され、クランク角センサSEN1からは、クランク角信号SCAがECU40に発信される。このとき、特定位置のリフラクタ112が間引かれているので、クランク角CAを正確に検出することができる。
また、ECU40では、クランク角センサSEN1によって検知される所定のリフラクタ112の通過時間からクランク軸85の回転速度VRTを算出することができる。
ACU20は、スイッチング素子SCR1L、SCR1Hの開閉により長巻回発電ポールPHと短巻回発電ポールPLと発電停止との3段階の切り換えが可能となり、発電量の制御とクランク軸85に制動力として作用する発電トルクTQEGとを多段的に制御することができる。
SCU21によって、SCR1HとSCR1Lとの両方が開かれると、発電停止となり、SCU21によって、SCR1Hが開かれ、SCR1Lが閉じられると、発電ポールの一部のみが発電状態となる短巻回発電ポールPLが選択され、SCU21によって、SCR1Hが閉じられ、SCR1Lが開かれると全ての発電ポールが発電状態となる長巻回発電極PHが選択される。
REG30は、スイッチング素子SCR2を開閉し、ヘッドライト、テールライト、方向指示器等のランプ系負荷(LMP)60への電力供給を制御するランプ系制御回路(LCU)31と、スイッチング素子SCR3を開閉してバッテリ(BT)50の適切な充電と燃料噴射弁71、点火プラグ72等の動力系負荷70への電力供給を制御するバッテリ系制御回路(BCU)32とによって構成され、ACG10で発生した交流の負側の電力をLMP60に供給し、正側の電力をBT50とLD70とに供給している。
演算部(CPU)では、ECU40に入力されたクランク角信号SCA、バッテリ電圧+B等にしたがって回転速度VRT、発信指令SGE等を算出する。
なお、CPUは、ECU40に内蔵されたものを兼用しても良いし、ECU40の演算負荷を低減するために、ACU20又はREG30内に別途設けても良い。
内燃機関80の燃焼サイクルに応じてクランク角センサSEN1から発信されるクランク角信号SCAに基づいて、ECU40で瞬間回転速度VRTが算出される。
爆発初期においては、回転速度VRTが所定値以下であるので、ECU40から発信される発電指令SGEは、長巻回発電ポールPHが選択され、ステータ100の全極が発電状態となり、燃焼サイクル当たりに16山の周期で発電電流IGEが発生する。
このとき、発電トルクTQGEとして、比較例1と同様の低回転時長巻回発電トルクTHLがクランク軸85の制動方向に作用する。
このとき、発電トルクTQGEとして、高回転時長巻回発電トルクTHHよりも大きな高回転時短巻回発電トルクTLHがクランク軸85の制動方向に作用する。
したがって、比較例1よりも回転速度VRTの上昇が抑制されるので最速回転速度と最遅回転速度との差が小さくなり回転変動による振動の発生を抑制できる。
さらに、排気行程から吸気行程に移行する際にクランク軸85に設けられたカウンタウエイト86の重心移動により瞬間的に回転速度VRTの上昇がおこる。
このように回転速度が徐々に減速している途中で、瞬間的な回転速度の上昇が起きると、大きな振動が発生する虞がある。
ところが、この時の発電指令SGEは、短巻回発電ポールPLが選択され、高回転持長巻回発電トルクTHHよりも大きなトルクである高回転時短巻回発電トルクTLHが作用するので回転速度VRTの瞬間的な上昇が抑制され、振動が効果的に抑制される。
このとき、回転速度VRTは、所定の回転速度よりも低くなっており、発電指令SGEは、長巻回発電ポールPHが選択され、高回転時短巻回発電トルクTLHよりも小さい高回転時長巻回発電トルクTHHが作用する。
したがって、僅かな回転速度VRTの上昇が抑制され、吸気行程から圧縮行程への移行期に発生する振動も効果的に抑制することができる。
さらに、圧縮行程の後期には、フリクションによってさらに回転速度VRTが低下する。このとき、発電指令SGEは発電停止となり、発電トルクTQGEによる重畳的な回転速度VRTの低下が抑制される。
以上により、本発明の発電制御装置1を用いれば、比較例1よりも燃焼サイクル当たりの回転変動が少なく、振動の発生が抑制されることが判明した。
従来の発電制御装置においても、燃焼サイクル中に発電の実行と停止とを切り換えて発電トルクTQGEを回転変動の抑制に利用することは行われている。
しかし、発電の実行と停止とのニ元的な制御であり、クランク軸85の回転に制動力として作用する発電トルクTQGEは回転速度VRTの変化に関わらず一定である。このため、内燃機関80が高速で回転している場合には、エンジントルクが大きく、発電トルクTQGEによる振動抑制効果が小さい。
上記実施形態においては、ACG10を発電停止、ステータ100の100%を発電ポールとする長巻回発電ポールPH、ステータ100の50%を発電ポールとする短巻回発電ポールPLの3段階に切り換えて発電制御する装置を示したが、本実施形態においては、図7(a)に示すように、ACG10aを発電停止、ステータ100の100%を発電ポールとする長巻回発電ポールPH、ステータ100の65%を発電ポールとする中巻回発電ポールPM、ステータ100の50%を発電ポールとする短巻回発電ポールPLの4段階に切り換え可能となるよう、ステータコイル102を接続し、図7(b)に示すように、ACU20aは、ECU40からの発電指令SGEにしたがってスイッチング素子SCR1H、SCR1M、SCR1Lを開閉するSCU21aを具備し、発電停止、長巻回発電ポールPH、中巻回発電ポールPM、短巻回発電ポールPLの4段階に切り換えて可能とし、回転速度VRTに応じて発電トルクTQGEをより細かく調整可能とした点が相違している。
したがって、回転速度VRTに応じて、発電信号SGEを、発電なし、長巻回発電ポールPH、中巻回発電ポールPM、短巻回発電ポールPLとの4段階に切り換えることによって、発電トルクTQGEをさらに細かく多段階に調整し、発電トルクTQGEによる振動抑制効果を向上できると期待される。
ステップS100では、スロットル開度等の走行状態検出手段によって検知された情報から、内燃機関80の走行状態を検出する。
ステップS101では、定常状態判定手段により定常状態か否かを判定し、定常状態の場合には判定はYESとなりステップS102に進み、加回転時や減回転時の定常状態でない場合には、判定はNOとなりステップS105に進む。
ステップS102では、クランク角信号SCAに基づいて瞬間回転速度VRTを検出し、ステップ103に進む。
ステップS103では、クランク角信号SCAに基づいてクランク角CAを検出し、爆発、排気、吸気、圧縮の燃焼サイクルのどの行程であるかを認識し、ステップS104に進む。
ステップS104では、瞬間回転速度VRTとクランク角CAとから、回転速度に適した発電トルクとなるように発電ポール数を決定し、発電停止、短巻回発電ポールPL、中巻回発電ポールPMのいずれかを選択し、上述の発電トルクTQGEを多段階に調整して振動抑制に効果的に用いた制御を実施する。
ステップS105では、加回転時にはエンジントルクが大きく発電トルクの影響が少なく、減回転時には、発電トルクがエンジンの制動に寄与するので、どちらの場合にも長巻回発電ポールPHを選択し、全ポールで発電を行って、必要な発電量を確保する。
本実施形態においては、クランク角信号SCAから算出した瞬間回転速度VRTが、例えば、4500rpm以上の高回転領域において、爆発行程では、発電ポールの50%を発電に使用する短巻回発電ポールPLを選択し、排気行程初期には、発電を停止し、排気行程後期には、発電ポールの65%を発電に使用する中巻回発電ポールPMを選択し、吸気行程では発電を停止し、圧縮行程初期には、発電ポールの100%を発電に利用する長巻回発電ポールPHを選択する。
また、クランク角信号SCAから算出した瞬間回転速度VRTが、4500rpm以下の低回転領域において、爆発行程では、発電ポールの100%を発電に使用する長巻回発電ポールPHを選択し、排気行程初期には、発電を停止し、排気行程後期には、発電ポールの65%を発電に使用する中巻回発電ポールPMを選択し、吸気行程では発電を停止し、圧縮行程初期には、発電ポールの50%を発電に利用する短巻回発電ポールPLを選択する。
内燃機関80の燃焼特性に適した回転速度と発電ポール決定用マップを予め用意し、このマップの設定にしたがって回転速度に応じて発電ポールを多段階に調整することによって振動抑制に優れた発電制御装置を実現できる。
上記第1の実施形態及び第2の実施形態においては、発電ポールの選定を燃焼サイクルと回転速度VRTとの関係で決定したが、本実施形態においては、これに加えて、バッテリ電圧+Bを考慮して、振動の抑制効果を向上しつつ、バッテリの消耗に応じて発電ポールを決定する点が相違する。
ステップS201では、定常状態か否かを判定し、定常状態の場合には判定はYESとなりステップS202に進み、加回転時や減回転時の定常状態でない場合には、判定はNOとなりステップS207に進む。
ステップS202では、バッテリ電圧+Bを検出する。
ステップS203で、バッテリ電圧+Bが所定の閾値より大きいか否かによって、発電量の制限が可能であるか否かを判定し、+Bが閾値より高ければ、判定はYESとなりステップ204に進み、+Bが閾値以下であれば、判定はNOとなりステップS207に進む。
ステップS204では、クランク角信号SCAに基づいて瞬間回転速度VRTを検出し、ステップS105に進む。
ステップS205では、クランク角信号SCAに基づいてクランク角CAを検出し、爆発、排気、吸気、圧縮の燃焼サイクルのどの行程であるかを認識し、ステップS206に進む。
ステップS206では、瞬間回転速度VRTとクランク角CAとから、回転速度に適した発電トルクとなるように発電ポール数を決定し、発電停止、短巻回発電ポールPL、中巻回発電ポールPMのいずれかを選択し、上述の発電トルクTQGEを多段階に調整して振動抑制に効果的に用いた制御を実施する。
ステップS207では、加回転時にはエンジントルクが大きく発電トルクの影響が少なく、減回転時には、発電トルクがエンジンの制動に寄与し、バッテリ電圧が低下している場合には発電を優先するので、いずれの場合にも長巻回発電ポールPHを選択し、全極発電を行って、必要な発電量を確保する。
例えば、上記実施形態においては、発電ポールが16極設けられたACG10、10aを例に説明したが、発電ポールが8極の構成からなるACGにおいても、8極全部を発電する長巻回発電ポールPHと半数の4極を発電する短巻回発電ポールPLと発電停止とを段階的に切り換えることによって同様の振動抑制効果が得られる。
なお、本発明の発電制御装置は、内燃機関として単気筒エンジン又は二気筒エンジンに連結された発電機の発電制御に特に好適であるが、多気筒エンジンに連結された発電機の発電制御にも適用可能である。
10 発電機(AGC)
100 固定子(ステータ)
101 ステータコア
102 ステータコイル
110 回転子(ロータ)
111N、111S 界磁(マグネット)
112 クランク角検出子(リフラクタ)
120 フライホイール
20 発電ポール(発電極)選択手段(ACU)
21 スイッチング素子制御手段(SCU)
30 レギュレータ(REG)
31 ランプ系制御回路(LCU)
32 バッテリ系制御回路(BCU)
40 ECU
50 バッテリ
60 ランプ系負荷
70 動力系負荷(LD)
71 燃料噴射弁
72 点火プラグ
80 内燃機関
800 燃焼室
81 シリンダ
82 シリンダヘッド
83 ピストン
84 コンロッド
85 クランク軸
SCR1L 短巻回発電ポール開閉素子(サイリスタ)
SCR1H 長巻回発電ポール開閉素子(サイリスタ)
SCR2 負側サイリスタ
SCR3 正側サイリスタ
SEN1 クランク角センサ
SCA クランク角信号
CA クランク角
PL 短巻回発電ポール
PH 長巻回発電ポール
VRT 回転速度
IGE 発電電流
TQGE 発電トルク
THH 高回転時長巻回発電トルク
THL 低回転時長巻回発電トルク
TLH 高回転時短巻回発電トルク
TLL 低回転時短巻回発電トルク
CPU 演算部
Claims (7)
- 内燃機関のクランク軸に連結駆動される発電機の発電を制御する発電制御装置において、
上記発電機が、上記クランク軸の周囲に配設された複数の固定子と、上記クランク軸によって駆動され、上記固定子に対して相対回転する回転子とによって複数の発電ポールを構成すると共に、
該複数の発電ポールのうち発電に寄与する発電ポールを選択する発電ポール選択手段を具備することを特徴とする発電制御装置。 - 上記発電ポール選択手段は、上記複数の発電ポールの全部又は一部を発電可能とするスイッチング素子と、該スイッチング素子の開閉を制御するスイッチング素子制御手段と、上記内燃機関の運転を制御すると共に、上記内燃機関の運転状態に応じて上記スイッチング素子制御手段に発電指令を発信する電子制御装置とを具備することを特徴とする請求項1に記載の発電制御装置。
- 上記内燃機関の走行状態を検出する走行状態検出手段と、該走行状態検出手段によって検知された走行状態が定常状態であるか否かを判定する定常状態判定手段と、内燃機関の燃焼サイクルを検出する燃焼サイクル検出手段とを具備する請求項1又は2に記載の発電制御装置。
- 上記発電機によって充電されるバッテリと、該バッテリのバッテリ電圧を検出するバッテリ電圧検出手段とを具備する請求項1ないし3のいずれか1項に記載の発電制御装置。
- 請求項1ないし4のいずれか1項に記載の発電制御装置の発電制御方法であって、
上記発電機の発電を実行するに際して、
上記定常状態判定手段によって定常状態であると判定された場合には、上記燃焼サイクル検出手段によって検知された内燃機関の燃焼サイクルに応じて、上記発電ポール選択手段によって選択された発電ポールによって発電を実行し、
上記定常状態判定手段によって定常状態でないと判定された場合には、全極発電を実行することを特徴とする発電制御方法。 - 上記発電機の発電を実行するに際して、上記バッテリ電圧検出手段によって検出されたバッテリ電圧が閾値以下である場合には、上記発電ポールの全てを発電状態とし、上記バッテリ電圧が閾値よりも高い場合には、上記発電ポール選択手段によって選択した発電ポールのみによって発電を実行することを特徴とする請求項5に記載の発電制御方法。
- 上記内燃機関の回転速度と燃焼サイクルとに応じて予め設定したマップにしたがって発電ポールを決定することを特徴とする請求項5又は6に記載の発電制御方法。
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