JP2010269610A - エアバッグドア構造 - Google Patents

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正樹 石塚
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Abstract

【課題】自動車のインストルメントパネルに設けられるエアバッグドア構造において、エアバッグの展開を妨げることなく確実に開き、且つ、成形にかかるコストを低減することのできるエアバッグドア構造を提供する。
【解決手段】エアバッグシュート2は、エアバッグ装置10を取り囲み保持する矩形の枠体4と、前記枠体の上端から外側に拡がって形成され、前記枠体をインストルメントパネル3に固定するフランジ部2aと、前記枠内の上端から内側の領域に形成されたフラップ部2bと、前記枠体の上端部の一辺側が前記フラップ部のヒンジとして機能するよう前記フラップ部を形作る第一の切り目2cとを有し、前記フランジ部とフラップ部とは、前記インストルメントパネルの裏面に裏打ちされ、前記フランジ部において、前記フラップ部のヒンジ側となる前記枠体の一辺よりも外側に、該一辺に沿って形成された第二の切れ目2dが設けられている。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば自動車の助手席側のインストルメントパネルに設けられるエアバッグドア構造に関する。
図5、図6に示すように、自動車の助手席側においてインストルメントパネル50の裏面側には、車両が大きな衝撃を受けた際に展開するエアバッグ装置60が収納されている。インストルメントパネル50には、エアバッグドア61が設けられており、エアバッグ装置60の展開に伴い、エアバッグドア61の所定部位(鎖線部)が破断し、扉予定部66が例えば観音開きに開くようになされている(例えば特許文献1参照)。
より詳細に説明すると、図6に示すインストルメントパネル50部分の断面図において、前記エアバッグ装置60は、前記インストルメントパネル50を支持するためのインパネレインフォースメント52のブラケット部52aに、ブラケット52bを介してネジ止め、固定されている。
また、前記インストルメントパネル50の裏面側には、エアバッグシュート53が取付けられている。このエアバッグシュート53には、フランジ部53a及びフラップ部53bが形成され、それらの上面がインストルメントパネル50の裏面に接着されている。
また、前記エアバッグシュート53の裏面側には枠体54が形成され、この枠体54には係合孔54aが形成されている。この係合孔54aに前記エアバッグ装置60に固定された複数のソケット60aが係止され、前記エアバッグ装置60がエアバッグシュート53に固定されている。
そして、図7に示すように前記インストルメントパネル50に取付けられたエアバッグ装置60が、車両の衝突等の衝撃によってエアバッグ65を膨張させると、前記膨張による外力によって、エアバッグシュート53のフラップ部53b及びインストルメントパネル50の扉予定部66(開口予定部)を開き、前記エアバッグシュート53のフラップ部53b及びインストルメントパネル50に開放空間を形成する。
前記エアバッグ65は前記開放空間から飛び出し、フロントガラスと助手席との間で膨張し、搭乗者がフロントガラスに衝突しないように保護する。
ところで従来、インストルメントパネル50の材料として一般に用いられているPP材(ポリプレピレン)は、安価で外観品質に優れ、比較的硬質であるためエアバッグ展開時の応力により扉予定部66(破断予定部)を確実に破断させることができる。
しかしながら、PP材は低温時において脆くなるという短所を有し、扉予定部66をPP材のみで形成すると、エアバッグ展開時に破片が飛散し、乗員に危害を与える虞があった。
このため従来、エアバッグシュート53を柔軟性に優れたTPO材(熱可塑性エラストマー)により形成し、前記のようにインストルメントパネル50における扉予定部66の裏面にフランジ部53a及びフラップ部53bを裏打ちし、PP材からなる扉予定部66が破断した後の飛散を防止していた。
尚、インストルメントパネル50の裏面に前記TPO材からなるフランジ部53a及びフラップ部53bを裏打ちする方法としては、従来、インストルメントパネル50とエアバッグシュート53とをそれぞれ別々の型により成形後、振動溶着等により接着することがなされていた。
しかしながら、近年にあっては、コスト低減のため、PP材からなるインストルメントパネル50とTPO材からなるエアバッグシュート53とを一つの型内で同時成型する方法(便宜的に同一型成型法と呼ぶ)の適用が望ましいとされる。
特開2002−220019号公報
ところで前記のようにインストルメントパネル50の裏面にエアバッグシュート53のフランジ部53a及びフラップ部53bを裏打ちすると、フラップ部53b及びインストルメントパネル50からなる扉予定部66は2層構造となるため、エアバッグ展開時に開き難くなる(ヒンジ部が曲がり難くなる)。
このため従来は、図6に示すフラップ部53bのヒンジ部となる部位Aを薄く形成する、インストルメントパネル50の扉予定部66に溝を形成する等して、エアバッグ展開時に扉予定部66が開くやすくなる工夫がなされていた。
しかしながら、成型法として望ましい前記同一型成形法にあっては、PP材からなるインストルメントパネル50のみに予め所定の加工を行うことが困難であり、TPO材からなるエアバッグシュート53のみの加工では、扉予定部66を充分に開きやすくすることができないという課題があった。
本発明は、前記した点に着目してなされたものであり、自動車のインストルメントパネルに設けられるエアバッグドア構造において、エアバッグの展開を妨げることなく確実に開き、且つ、成形にかかるコストを低減することのできるエアバッグドア構造を提供することを目的とする。
前記した課題を解決するために、本発明に係るエアバッグドア構造は、車両に設けられたインストルメントパネルと、前記インストルメントパネルの裏面側に取り付けられ、エアバッグ装置から膨張展開するエアバッグの通路を形成するエアバッグシュートとを備え、前記エアバッグの膨張展開に伴う外力により押し開かれるエアバッグドア構造であって、前記エアバッグシュートは、前記エアバッグ装置を取り囲み保持する矩形の枠体と、前記枠体の上端から外側に拡がって形成され、前記枠体を前記インストルメントパネルに固定するフランジ部と、前記枠内の上端から内側の領域に形成されたフラップ部と、前記枠体の上端部の一辺側が前記フラップ部のヒンジとして機能するよう前記フラップ部を形作る第一の切り目とを有し、前記フランジ部とフラップ部とは、前記インストルメントパネルの裏面に裏打ちされ、前記フランジ部において、前記フラップ部のヒンジ側となる前記枠体の一辺よりも外側に、該一辺に沿って形成された第二の切れ目が設けられていることに特徴を有する。
尚、前記フラップ部のヒンジとして機能する枠体の上端部は、該枠体の他の部位よりも薄く形成されていることが望ましい。
また、前記エアバッグシュートは、前記インストルメントパネルよりも柔軟性を有する材質により形成されていることが望ましく、例えば、前記インストルメントパネルは、PP材(ポリプレピレン)により形成され、前記エアバッグシュートは、TPO材(熱可塑性エラストマー)により形成されていることが望ましい。
また、前記枠体内の領域において、前記インストルメントパネルの裏面に裏打ちされた2つのフラップ部が左右対称に形作られていることが望ましい。
このように、エアバッグシュートに設けられたフランジ部において、フラップ部のヒンジ側となる枠体の一辺よりも外側に、その一辺に沿った第二の切れ目が設けられるため、エアバッグ展開に伴い折れ曲がるヒンジ部は前記枠体の上端部となり、インストルメントパネルから離れた位置となされる。
即ち、例えば硬質のPP材からなるインストルメントパネルにTPO材からなるエアバッグシュートを裏打ちしても、フラップ部が開く際のヒンジ部は、枠体の上端部の一層のみ、即ち柔軟性に優れるTPO材の一層であるため、エアバッグ展開の際にヒンジ部として確実に機能させることができる。
特に、前記上端部を薄く形成して曲がりやすくする加工を施すことにより、エアバッグ展開を妨げることなく確実に開くことができる。
また、前記のようにフラップ部が開きやすく構成されるため、インストルメントパネルの破断予定部、即ち、前記フラップ部の周りに設けられた第一、第二の切れ目に確実に応力を集中させることができ、エアバッグ展開時に容易に破断させることができる。
したがって、従来のようにインストルメントパネルに対し、破断を容易とするための加工を施す必要がなく、成型の際にインストルメントパネルとエアバッグシュートとを一つの型を用いて同時成形することができ、成型にかかるコストを低減することができる。
本発明によれば、自動車のインストルメントパネルに設けられるエアバッグドア構造において、エアバッグの展開を妨げることなく確実に開き、且つ、成形にかかるコストを低減することのできるエアバッグドア構造を得ることができる。
図1は、この発明に係る車両用のエアバッグドア構造の断面図である。 図2は、図1のエアバッグドア構造が備えるエアバッグシュートの平面図である。 図3は、図1のエアバッグドア構造の一部拡大断面図である。 図4は、図1のエアバッグドア構造において、エアバッグ膨張展開時の状態を示す図である。 図5は、車両のインストルメントパネルにおけるエアバッグドアの位置を示す斜視図である。 図6は、従来のエアバッグドア構造を示す断面図である。 図7は、図6のエアバッグドア構造において、エアバッグ膨張展開時の状態を示す図である。
以下、本発明にかかる実施の形態につき、図に示す実施の形態に基づいて説明する。図1は、この発明に係る車両用のエアバッグドア構造の断面図である。
図1に示すエアバッグドア構造1は、エアバッグ装置10を保持し、エアバッグ11が展開する通路を形成するエアバッグシュート2と、このエアバッグシュート2が裏面に取り付けられるインストルメントパネル3とからなる。
エアバッグシュート2の裏面側には、枠体4が形成され、この枠体4には係合孔4aが設けられている。この係合孔4aに前記エアバッグ装置10に固定された複数のソケット10aが係止され、前記エアバッグ装置10がエアバッグシュート2に固定されている。
また、エアバッグ装置10の底部付近は、インストルメントパネル3を支持するためのインパネレインフォースメント5のブラケット部5aに、ブラケット5bを介してネジ止め、固定されている。
また、前記エアバッグシュート2は、前記インストルメントパネル3の裏面側に取り付けられている。このエアバッグシュート2には、フランジ部2a及びフラップ部2bが形成され、それらの上面がインストルメントパネル3の裏面に接着されている。
尚、このインストルメントパネル3の裏面側へのエアバッグシュート2の取り付けは、好ましくは、硬質なPP材からなるインストルメントパネル3と、柔軟性に優れるTPO材からなるエアバッグシュート2とを一つの型内で同時成形されることで実現される。そのような同一型成形法によれば、成形にかかるコスト低減の面からも望ましい。
続いてエアバッグシュート2の構造について詳細に説明する。図2は、エアバッグシュート3の平面図である。
図2に示すようにエアバッグシュート2において、エアバッグ装置10を囲む矩形の枠体4の周りには、枠体4の上端から外側に拡がる前記フランジ部2aが形成され、枠体4の上端から内側の領域には2つの前記フラップ部2bが左右対称に設けられている。
即ち、前記枠体4の内側に扉を形作る切れ目2c(第一の切れ目)が設けられており、これにより前記2つのフラップ部2bが形成されている。具体的には、これら2つのフラップ部2bは、枠体4の上端部の一辺側がそれぞれヒンジとして機能するように設けられている。
さらに前記フランジ部2aにおいて、前記フラップ部2bのヒンジ側となる枠体4の一辺よりも外側には、その一辺に沿った切れ目2d(第二の切れ目)が設けられている。この切れ目2dが設けられることにより、エアバッグ展開の際に、2つのフラップ部2bにそれぞれ対応する枠体4の上端部4bが折れ曲がり、ヒンジとして機能するようになされている。
尚、前記枠体4の上端部4bは、図1に示すように枠体4の他の部位よりも薄く形成され、エアバッグ展開時により折れ曲がりやすい工夫がなされている。
このように構成されたエアバッグドア構造1において、エアバッグ装置10が、車両の衝突等の衝撃によってエアバッグ11を膨張させると、前記膨張による外力によって、エアバッグシュート4のフラップ部2b及びインストルメントパネル3の扉予定部(開口予定部)を下方から押し開く。
より具体的には、図3に示すように前記フラップ部2bに対し、下方から押し上げる方向に外力が働くと、フラップ部2bの一辺側には、枠体4よりも外側に切れ目2dが設けられているため、枠体4の上端部4bが折れ曲がり、フラップ部2bのヒンジとして機能する。
ここで、フラップ部2b及び枠体4は、柔軟性に優れたTPO材により形成されているため、フラップ部2bは破断することなく、前記枠体4の上端部4bを軸に回動する力が生じる。
そして、前記フラップ部2bが裏打ちされた、硬質のPP材からなるインストルメントパネル3には、フラップ部2bの周りに形成された切れ目2c、2dに沿って応力が集中し、前記切れ目2c、2dに沿って破断する。
これにより、図4に示すようにフラップ部2b及びインストルメントパネル3の扉予定部が上方に向け開き、開放空間が形成される。
そして前記エアバッグ11は前記開放空間から飛び出し、フロントガラスと助手席との間で膨張し、搭乗者がフロントガラスに衝突しないように保護するよう機能する。
このように本実施の形態に係るエアバッグドア構造によれば、TPO材からなるエアバッグシュート2に設けられたフランジ部2aにおいて、フラップ部2bのヒンジ側となる枠体4の一辺よりも外側に、その一辺に沿った切れ目2dが設けられる。
これにより、エアバッグ展開に伴い折れ曲がるヒンジ部は、前記枠体4の上端部4bとなり、インストルメントパネル3から離れた位置となされる。
即ち、硬質のPP材からなるインストルメントパネル3にTPO材からなるエアバッグシュート2を裏打ちしても、フラップ部2bが開く際のヒンジ部は、枠体4の上端部4bの一層のみ、即ち柔軟性に優れるTPO材の一層であるため、エアバッグ展開の際にヒンジ部として確実に機能させることができる。特に、前記上端部4bに曲がりやすくなる加工(例えば薄く形成する)を施すことにより、エアバッグ展開を妨げることなく確実に開くことができる。
また、前記のようにフラップ部2bが開きやすく構成されるため、インストルメントパネル3の破断予定部、即ち、前記フラップ部2bの周りに設けられた切れ目2c、2dに確実に応力を集中させることができ、エアバッグ展開時に容易に破断させることができる。
したがって、従来のようにインストルメントパネル3に対し、破断を容易とするための加工を施す必要がなく、成型の際にインストルメントパネル3とエアバッグシュート2とを一つの型を用いて同時成形することができ、成型にかかるコストを低減することができる。
尚、前記実施の形態においては、インストルメントパネル3を硬質なPP材、エアバッグシュート2を柔軟性に優れるTPO材により形成されるものとして説明したが、本発明に係るエアバッグドア構造にあっては、それに限定されるものではない。
即ち、インストルメントパネル3を硬質で破断しやすい材質、エアバッグシュート2を、より柔軟性に優れ、破断し難い材質で形成することができれば、それぞれPP材、TPO材以外の材料で成型するようにしてもよい。
1 エアバッグドア構造
2 エアバッグシュート
2a フランジ部
2b フラップ部
2c 切り目(第一の切り目)
2d 切り目(第二の切り目)
3 インストルメントパネル
4 枠体
4b 上端部
10 エアバッグ装置

Claims (5)

  1. 車両に設けられたインストルメントパネルと、前記インストルメントパネルの裏面側に取り付けられ、エアバッグ装置から膨張展開するエアバッグの通路を形成するエアバッグシュートとを備え、前記エアバッグの膨張展開に伴う外力により押し開かれるエアバッグドア構造であって、
    前記エアバッグシュートは、
    前記エアバッグ装置を取り囲み保持する矩形の枠体と、前記枠体の上端から外側に拡がって形成され、前記枠体を前記インストルメントパネルに固定するフランジ部と、前記枠内の上端から内側の領域に形成されたフラップ部と、前記枠体の上端部の一辺側が前記フラップ部のヒンジとして機能するよう前記フラップ部を形作る第一の切り目とを有し、
    前記フランジ部とフラップ部とは、前記インストルメントパネルの裏面に裏打ちされ、
    前記フランジ部において、前記フラップ部のヒンジ側となる前記枠体の一辺よりも外側に、該一辺に沿って形成された第二の切れ目が設けられていることを特徴とするエアバッグドア構造。
  2. 前記フラップ部のヒンジとして機能する枠体の上端部は、該枠体の他の部位よりも薄く形成されていることを特徴とする請求項1に記載されたエアバッグドア構造。
  3. 前記枠体内の領域において、前記インストルメントパネルの裏面に裏打ちされた2つのフラップ部が左右対称に形作られていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載されたエアバッグドア構造。
  4. 前記エアバッグシュートは、前記インストルメントパネルよりも柔軟性を有する材質により形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載されたエアバッグドア構造。
  5. 前記インストルメントパネルは、PP材(ポリプレピレン)により形成され、前記エアバッグシュートは、TPO材(熱可塑性エラストマー)により形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載されたエアバッグドア構造。
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