JP2010267735A - 窒化物半導体レーザ素子、光ディスク装置および画像表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】閾値電流の上昇を抑えることができるとともに、特性を安定させることが可能な△n調整タイプの自励発振型の窒化物半導体レーザ素子およびそれを用いた光ディスク装置および画像表示装置を提供する。
【解決手段】リッジストライプ部の電流注入領域の上部に設けられた第1のpコンタクト電極と、リッジストライプ部の横側に設けられて第1のpコンタクト電極とは分離領域によって電気的に分離された第2のpコンタクト電極と、を有し、第2のpコンタクト電極がp型窒化物半導体層およびn型窒化物半導体層のそれぞれと電気的に接続されており、分離領域におけるp型窒化物半導体層の少なくとも一部に溝が設けられている、若しくは電流注入領域におけるp型窒化物半導体層よりも高抵抗である箇所が設けられている、窒化物半導体レーザ素子と、それを用いた光ディスク装置および画像表示装置である。
【選択図】図1
【解決手段】リッジストライプ部の電流注入領域の上部に設けられた第1のpコンタクト電極と、リッジストライプ部の横側に設けられて第1のpコンタクト電極とは分離領域によって電気的に分離された第2のpコンタクト電極と、を有し、第2のpコンタクト電極がp型窒化物半導体層およびn型窒化物半導体層のそれぞれと電気的に接続されており、分離領域におけるp型窒化物半導体層の少なくとも一部に溝が設けられている、若しくは電流注入領域におけるp型窒化物半導体層よりも高抵抗である箇所が設けられている、窒化物半導体レーザ素子と、それを用いた光ディスク装置および画像表示装置である。
【選択図】図1
Description
本発明は、窒化物半導体レーザ素子、光ディスク装置および画像表示装置に関し、特に、自励発振特性を有する自励発振型の窒化物半導体レーザ素子とそれを用いた光ディスク装置および画像表示装置に関する。
窒化物半導体レーザ素子は、現在、たとえば記憶容量の大きな光ディスク装置、より具体的にはBD(Blu−ray Disk)の読み取りおよび書き込み用の光源などに多く用いられている。
しかしながら、窒化物半導体レーザ素子を光源として用いたBDの読み取りおよび書き込みにおいても、CD(Compact Disk)やDVD(Digital Versatile Disk)といった旧来の光ディスク装置と同様に、ディスク面から半導体レーザ素子への戻り光雑音が問題となっている。
このような戻り光雑音への対策としては、従来から、駆動電流を変調させる高周波重畳を利用する方法と、半導体レーザ素子自らが出力変動を行なう自励発振型レーザ素子を用いる方法の2つの方法がある。いずれの方法も多モード発振状態にして可干渉性を低下させることで、雑音特性を改善している。
高周波重畳を利用する方法と、自励発振型レーザ素子を用いる方法とでは、高周波回路をシステムに組み込む必要のない後者の方法が、半導体レーザ素子の低コスト化かつ小型化を実現できるため、有利とされている。しかしながら、窒化物半導体レーザ素子を用いたBDにおいては、高周波重畳を利用する方法しか実現されていないのが現状で、自励発振型レーザ素子を用いる方法の実用化はされていない。
自励発振型レーザ素子を実現するためには、可飽和吸収領域を半導体レーザ素子の内部に形成する必要があるが、その形成方法によって3つのタイプに分けることができる。
第1のタイプは、活性層の上部および/または下部に可飽和吸収の機能を有する層を設ける可飽和吸収層タイプである。
第2のタイプは、横方向の屈折率差(△n)を小さくして活性層における光閉じ込めを弱めて、横方向の光分布を電流分布に対して広げることで、活性層横の領域(リッジストライプ部の外側の活性層)を可飽和吸収領域として利用するタイプ(△n調整タイプ)である。
第3のタイプは、電流が注入されない電流非注入領域を共振器長方向に設けて、この電流非注入領域を可飽和吸収領域として利用するタイプ(分離電極タイプ)である。
以上の3つのタイプの内、CDおよびDVDで用いられるGaAs系半導体レーザ素子で最も広範に利用されているのは△n調整タイプである。△n調整タイプは、他の2つのタイプに比べて、特別な層を結晶成長によって設ける必要がなく、さらには電極構造を変える必要もないため、製造が容易であるという製造上のメリットがある。また、△n調整タイプは、閾値電流近傍において光出力が急激な立ち上がりを抑え、比較的高出力まで自励発振が維持されるという特性上のメリットもある。なお、閾値電流近傍における光出力の急激な立ち上がりは、光ディスク装置において、安定した駆動を妨げるため大きな問題となる。
上記のメリットを考慮して、窒化物半導体レーザ素子においても△n調整タイプの自励発振型レーザ素子が望まれているのにも関わらず、実用化はされていない。これは、窒化物半導体という材料特有の性質が大きく関係している。
すなわち、自励発振型レーザ素子を実現するためには、単に可飽和吸収領域を設ければよいわけではなく、可飽和吸収領域におけるキャリア寿命を短くすることが必要となる。これは、可飽和吸収領域中のキャリアが、レーザ光の発振停止状態から次のレーザ光の発振再開始までの間に消滅しない場合には、永続的な自励発振が維持されないためである。
従来の△n調整タイプではリッジストライプ部の外側の領域の活性層におけるキャリアの横方向拡散が最も主要なキャリア緩和機構となるが、GaAs系半導体レーザ素子においては、GaAs系の半導体材料中におけるキャリアの拡散係数が大きいため、キャリアの横方向拡散によるキャリア寿命低減を実現することができる。
しかしながら、窒化物半導体レーザ素子においては、窒化物半導体中におけるキャリアの拡散係数はGaAs系の半導体材料に比べて小さくなるため、キャリアの横方向拡散によるキャリア寿命低減が困難である。そのため、窒化物半導体レーザ素子においては、△n調整タイプの自励発振型レーザ素子は実用化されていないと考えられる。
このような課題に対して、特許文献1(特開2007−81283号公報)においては、リッジストライプ部の外側の可飽和吸収領域で生じたキャリアを、p電極をアースと接続して掃き出すことを可能とする自励発振型の窒化物半導体レーザ素子を開示している。
上記の特許文献1においては、電流注入領域から可飽和吸収領域への電流リークを防ぐために、可飽和吸収領域をリッジストライプ部の脇からある程度離す必要があると記載されている(特許文献1の段落[0057]等参照)。
△n調整タイプの自励発振型レーザ素子において、可飽和吸収領域の位置は、活性層の横方向の屈折率差で決まる。活性層の横方向の屈折率差は、リッジストライプ部の底面の位置に大きく影響されるが、特許文献1では電流狭窄機能を強めて、閾値電流を大きくしないために、リッジストライプ部の底面と活性層との間の距離を狭くすることによって活性層における電流注入領域を狭くしている(特許文献1の段落[0057]等参照)。
しかしながら、リッジストライプ部の底面と活性層との間の距離を狭くした場合には、活性層の横方向の屈折率差が大きくなるため、レーザ光は横方向に閉じ込められる。
そのため、特許文献1に記載の窒化物半導体レーザ素子においては、レーザ光を吸収させるための可飽和吸収領域をリッジストライプ部の脇から離すことができなくなることから、電流注入領域から可飽和吸収領域への電流リークを防ぐことが困難になるという問題があった。また、可飽和吸収領域の大きさ自体を小さくする必要があるため、自励発振が生じにくくなるという問題もあった。
また、特許文献1に記載の半導体レーザ素子においては、電流注入領域に形成される電流注入用のp電極と、可飽和吸収領域に形成されるキャリア排出用のp電極と、を空間的に分離することによって、これらのp電極を互いに電気的に短絡させないようにしている。しかしながら、実際には、これらのp電極の分離幅が十分でない場合には、これらのp電極の間にp型窒化物半導体層を経由した電流リークが生じやすいという問題があった。
一方、上記のp電極の間の分離幅を広くした場合には、可飽和吸収領域の外側にしかキャリア排出用のp電極を設けることができず、可飽和吸収領域上にキャリア排出用のp電極を設けられなくなってしまうため、可飽和吸収領域上にキャリア排出用のp電極を形成することによる効果が得られないという問題があった。
特に、特許文献1に記載の半導体レーザ素子のように、リッジストライプ部の底面と活性層との距離を狭くすることにより活性層の屈折率差を大きくしてレーザ光を横方向に閉じ込める場合には、可飽和吸収領域を電流注入領域に近づける必要があるため、上記の問題はより顕在化する。
上記の事情を鑑みて、本発明は、電流注入領域から可飽和吸収領域への電流リークによる閾値電流の上昇を抑えることができるとともに、自励発振を安定して生じさせることにより特性を安定させることが可能な△n調整タイプの自励発振型の窒化物半導体レーザ素子およびそれを用いた光ディスク装置および画像表示装置を提供することにある。
本発明は、基板と、基板上に順次積層された、n型窒化物半導体層と、活性層と、p型窒化物半導体層とを含む窒化物半導体積層構造体と、を備え、窒化物半導体積層構造体にリッジストライプ部が設けられた窒化物半導体レーザ素子であって、リッジストライプ部の電流注入領域の上部に設けられた第1のpコンタクト電極と、リッジストライプ部の横側に設けられて第1のpコンタクト電極とは分離領域によって電気的に分離された第2のpコンタクト電極と、を有しており、第2のpコンタクト電極は、p型窒化物半導体層およびn型窒化物半導体層のそれぞれと電気的に接続されており、分離領域におけるp型窒化物半導体層の少なくとも一部に溝が設けられている、窒化物半導体レーザ素子である。
ここで、本発明の窒化物半導体レーザ素子においては、溝の底面が、活性層よりもp型窒化物半導体層側に位置していてもよい。
また、本発明の窒化物半導体レーザ素子においては、溝の底面が、活性層よりもn型窒化物半導体層側に位置していてもよい。
また、本発明の窒化物半導体レーザ素子においては、溝には絶縁膜が埋め込まれており、絶縁膜の屈折率が2以上であることが好ましい。
また、本発明は、基板と、基板上に順次積層された、n型窒化物半導体層と、活性層と、p型窒化物半導体層とを含む窒化物半導体積層構造体と、を備え、窒化物半導体積層構造体にリッジストライプ部が設けられた窒化物半導体レーザ素子であって、リッジストライプ部の電流注入領域の上部に設けられた第1のpコンタクト電極と、リッジストライプ部の横側に設けられて第1のpコンタクト電極とは分離領域によって電気的に分離された第2のpコンタクト電極と、を有しており、第2のpコンタクト電極は、p型窒化物半導体層およびn型窒化物半導体層のそれぞれと電気的に接続されており、分離領域におけるp型窒化物半導体層の少なくとも一部が、電流注入領域におけるp型窒化物半導体層よりも高抵抗である、窒化物半導体レーザ素子である。
ここで、本発明の窒化物半導体レーザ素子において、分離領域におけるp型窒化物半導体層の高抵抗である領域はイオン注入により高抵抗とされたことが好ましい。
また、本発明の窒化物半導体レーザ素子においては、イオン注入に用いられたイオン種が、水素、窒素、酸素、フッ素、ベリリウムおよびホウ素からなる群から選択された少なくとも1種のイオンであることが好ましい。
また、本発明の窒化物半導体レーザ素子において、第2のpコンタクト電極は、n型窒化物半導体層およびp型窒化物半導体層の両方に接していることが好ましい。
また、本発明の窒化物半導体レーザ素子において、n型窒化物半導体層に電気的に接続するn電極をさらに備え、第2のpコンタクト電極は、n電極とワイヤボンディングにより電気的に接続されていてもよい。
また、本発明の窒化物半導体レーザ素子において、第1のpコンタクト電極を覆うようにして設けられて第1のpコンタクト電極と電気的に接続されたpパッド電極をさらに備え、第2のpコンタクト電極はpパッド電極と電気的に絶縁されていることが好ましい。
また、本発明の窒化物半導体レーザ素子において、pパッド電極は、第2のpコンタクト電極の横側に設けられていてもよい。
また、本発明の窒化物半導体レーザ素子は、上記のリッジストライプ部よりも大きく上記のリッジストライプ部を包含する他のリッジストライプ部を有し、他のリッジストライプ部の側面はn型窒化物半導体層を含み、第2のpコンタクト電極は、少なくとも他のリッジストライプ部の側面に設けられていてもよい。
また、本発明の窒化物半導体レーザ素子においては、第2のpコンタクト電極が、他のリッジストライプ部の上面から側面にかけて連続的に設けられていてもよい。
また、本発明の窒化物半導体レーザ素子においては、第2のpコンタクト電極とp型窒化物半導体層との間のコンタクト抵抗が、第1のpコンタクト電極とp型窒化物半導体層との間のコンタクト抵抗よりも大きいことが好ましい。
また、本発明の窒化物半導体レーザ素子においては、第2のpコンタクト電極が透明導電膜であることが好ましい。
また、本発明の窒化物半導体レーザ素子は、自励発振特性を有することが好ましい。
また、本発明は、上記のいずれかの窒化物半導体レーザ素子を光源とした光ディスク装置である。
また、本発明は、上記のいずれかの窒化物半導体レーザ素子を光源とした光ディスク装置である。
さらに、本発明は、上記のいずれかの窒化物半導体レーザ素子を光源とした画像表示装置である。
本発明によれば、電流注入領域から可飽和吸収領域への電流リークによる閾値電流の上昇を抑えることができるとともに、自励発振を安定して生じさせることにより特性を安定させることが可能な△n調整タイプの自励発振型の窒化物半導体レーザ素子およびそれを用いた光ディスク装置および画像表示装置を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、本発明の図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表わすものとする。
<実施の形態1>
図1に、本発明の窒化物半導体レーザ素子の一例の模式的な断面図を示す。ここで、窒化物半導体レーザ素子1は、導電性の基板11と、基板11上にn型窒化物半導体層12、窒化物半導体からなる活性層13およびp型窒化物半導体層14をこの順序で含む窒化物半導体積層構造体10とを備えている。
図1に、本発明の窒化物半導体レーザ素子の一例の模式的な断面図を示す。ここで、窒化物半導体レーザ素子1は、導電性の基板11と、基板11上にn型窒化物半導体層12、窒化物半導体からなる活性層13およびp型窒化物半導体層14をこの順序で含む窒化物半導体積層構造体10とを備えている。
窒化物半導体積層構造体10には、p型窒化物半導体層14の一部が凸状に形成された部分である第1のリッジストライプ部15が設けられており、その第1のリッジストライプ部15を含むようにして、第1のリッジストライプ部15よりも大きい第2のリッジストライプ部16が設けられている。なお、第2のリッジストライプ部16は、基板11と窒化物半導体積層構造体10との積層体の一部が凸状に形成された部分である。なお、第1のリッジストライプ部15および第2のリッジストライプ部16はそれぞれ図1の紙面に垂直な方向である共振器長方向に伸長する形状に形成されている。
第1のリッジストライプ部15の上面には第1のpコンタクト電極17が設けられており、第1のpコンタクト電極17が設けられた領域に対応する第1のリッジストライプ内領域15a内のp型窒化物半導体層14および活性層13の領域が電流注入領域25となる。
第1のリッジストライプ内領域15aの両横の領域がそれぞれ第1のリッジストライプ外領域15bとなっており、第1のリッジストライプ外領域15bのp型窒化物半導体層14、活性層13およびn型窒化物半導体層12の少なくとも一部の領域が可飽和吸収領域となる。
第2のリッジストライプ部16の凸状に形成された部分の上面に対応する領域が第2のリッジストライプ内領域16a(第1のリッジストライプ内領域15aとその両横の第1のリッジストライプ外領域15bとを足し合わせた領域)とされ、第2のリッジストライプ内領域16aの両横の領域がそれぞれ第2のリッジストライプ外領域16bとされる。
第1のリッジストライプ部15の両横にはそれぞれ第2のpコンタクト電極18が設けられており、第2のpコンタクト電極18は、第1のリッジストライプ部15の横側の第2のリッジストライプ部16の上面(p型窒化物半導体層14の上面の一部)から第2のリッジストライプ部16の側面(p型窒化物半導体層14の側面、活性層13の側面およびn型窒化物半導体層12の側面および基板11の側面の一部)を介して基板11の上面にかけて連続的に形成されている。第2のpコンタクト電極18が、n型窒化物半導体層12およびp型窒化物半導体層14のそれぞれに接することによりn型窒化物半導体層12とp型窒化物半導体層14とが電気的に接続されている。
第1のリッジストライプ部15の側面および第2のpコンタクト電極18の上面を覆うようにして絶縁膜20が設けられている。
第1のpコンタクト電極17および絶縁膜20を覆うようにpパッド電極21が形成されており、pパッド電極21は第1のpコンタクト電極17と電気的に接続されている。なお、pパッド電極21と第2のpコンタクト電極18との間には絶縁膜20が設けられているため、pパッド電極21と第2のpコンタクト電極18とは電気的に絶縁されている。
窒化物半導体積層構造体10の積層側と反対側となる基板11の裏面にはn電極19が形成されており、基板11とn電極19とは電気的に接続されている。
図1に示す構造を有する窒化物半導体レーザ素子1においては、第1のpコンタクト電極17と、第2のpコンタクト電極18とが、分離領域24によって電気的に絶縁されている。
ここで、分離領域24は、窒化物半導体レーザ素子1の横方向(図1の紙面の左右方向)における第2のpコンタクト電極18と電流注入領域25との間のp型窒化物半導体層14および絶縁膜20の領域である。
そして、分離領域24は、電流注入領域25におけるp型窒化物半導体層14よりも電気抵抗が高くなるように形成されたp型窒化物半導体層14の領域である高抵抗領域24aを有しているため、pパッド電極21から第1のpコンタクト電極17を経由して第1のリッジストライプ部15に注入された電流は電流注入領域25を優先して流れ、高抵抗領域24aには流れにくい。
したがって、図1に示す構造を有する窒化物半導体レーザ素子1においては、第1のpコンタクト電極17と第2のpコンタクト電極18との間にp型窒化物半導体層14を経由した電流リークが生じにくくなるため、電流注入領域から可飽和吸収領域への電流リークによる閾値電流の上昇を抑えることができる。
また、図1に示す構造を有する窒化物半導体レーザ素子1においては、第1のリッジストライプ部15の底面と活性層13の上面との間の距離tを小さくした際に、レーザ光の横方向閉じ込め効果が大きくなり、可飽和吸収領域が電流注入領域に近づくに伴って、第1のpコンタクト電極17と第2のpコンタクト電極18との間の横方向の分離幅dを小さくする必要が生じた場合でも、分離領域24には高抵抗領域24aが設けられていることから、第1のpコンタクト電極17と第2のpコンタクト電極18との間にp型窒化物半導体層14を経由した電流リークが生じにくくなる。
また、活性層13の上面と第1のリッジストライプ部15の底面との間の距離tのみを大きくした場合でも、分離領域24には高抵抗領域24aが設けられていることから、p型窒化物半導体層14を経由した第1のpコンタクト電極17と第2のpコンタクト電極18との間の電流リークを抑えることができる。
このことは、△n調整タイプの自励発振型レーザ素子において非常に大きなメリットとなる。
なぜなら、△n調整タイプの自励発振型レーザ素子においては、活性層13における横方向の屈折率差(△n)を意図的に小さくして光分布を通常の半導体レーザ素子よりも広げることで、光分布のうち電流注入領域と重ならない領域を可飽和吸収領域とするためである。
したがって、図1に示す構造を有する窒化物半導体レーザ素子1においては、p型窒化物半導体層14を経由した第1のpコンタクト電極17と第2のpコンタクト電極18との間の電流リークを抑えつつ、活性層13における横方向の屈折率差(△n)を意図的に小さくして光分布を広げることによって可飽和吸収領域をより広く形成して自励発振特性を安定させることができる。
なお、△nは、第1のリッジストライプ部15の底面と活性層13の上面との間の距離tによって制御することができ、距離tを大きくすれば△nを小さくすることができる。距離tは、窒化物半導体積層構造体10の構造にもよるが、一般的には30nm以上300nm以下とすることが好ましい。
従来においては、上記の距離tが30nm以上300nm以下である場合には、p型窒化物半導体層14を経由した第1のpコンタクト電極17と第2のpコンタクト電極18との間の電流リークによって閾値電流が上昇していたが、分離領域24に高抵抗領域24aを持たせることによって閾値電流の上昇を抑えることができる。
また、従来においては、上記の電流リークを防ぐために、電流注入用のp電極とキャリア排出用のp電極との間の横方向の分離幅をある程度以上に保つ必要があり、その制御が困難であった。一方、図1に示す構造を有する窒化物半導体レーザ素子1においては、上記の電流リークが発生するおそれが少ないため、第1のpコンタクト電極17と第2のpコンタクト電極18との間の横方向の分離幅dを小さくすることができ、ひいては第2のpコンタクト電極18がカバーできる可飽和吸収領域が広くなるため、可飽和吸収領域におけるキャリア寿命低減の効果も大きくなる。ただし、電流リークの発生をより有効に抑制するためには、上記の分離幅dは0.01μm以上であることが好ましい。
なお、第1のpコンタクト電極17は、第1のリッジストライプ内領域15a内の活性層13に電流注入するために設けられており、第2のpコンタクト電極18は、可飽和吸収領域として働く第1のリッジストライプ外領域15bの活性層13におけるキャリアを外部に取り出すために設けられている。
以上のような構成にすることによって、可飽和吸収領域のキャリア寿命を短くすることができるため、窒化物半導体中におけるキャリアの拡散係数が小さい場合でも、自励発振特性(直流電流の注入により発生する光の光出力の大きさが変動する特性)を有する△n調整タイプの自励発振型の窒化物半導体レーザ素子を実現することができる。
以下に、第1のリッジストライプ外領域15bの活性層13におけるキャリアが第2のpコンタクト電極18から外部に取り出されて、第2のpコンタクト電極18とn電極19との間で消滅するメカニズムについて説明する。
n型窒化物半導体層12とp型窒化物半導体層14との間に設けられた活性層13は空乏層に生じる拡散電位によって内部電界の影響を受ける。そのため、第1のリッジストライプ外領域15bの活性層13において光吸収により生じたキャリアのうち、たとえば井戸層から外へ移動した分については、電子はn側へ、ホールはp側へそれぞれ蓄積される。
このとき、第2のpコンタクト電極18によって、n型窒化物半導体層12とp型窒化物半導体層14とが電気的に接続されている場合には、蓄積されたキャリアが第2のpコンタクト電極18を通って外部に取り出され、第2のpコンタクト電極18とn電極19との間で速やかに消滅する。その結果、井戸層内から外へのキャリアの移動が促進されて、第1のリッジストライプ外領域15bの活性層13におけるキャリア寿命が短くなる。なお、第1のリッジストライプ外領域15bの活性層13における井戸層内から外へのキャリアの移動の主な機構はトンネル効果である。
ところで、窒化物半導体レーザ素子では、六方晶の窒化物半導体結晶が主に用いられるが、窒化物半導体結晶の非対称性と格子不整合による歪みによって内部電界が生じ、バンド構造が曲がること(バンドベンディング)がよく知られている。このバンドベンディングは、井戸層内から外へのトンネル効果によるキャリアの移動を助長する。そのため、第2のpコンタクト電極18による可飽和吸収領域のキャリア寿命の低減は、窒化物半導体を用いた窒化物半導体レーザ素子で特に有効である。
なお、上記において、基板11としては、たとえば、GaN、サファイア、SiC、GaAs、Si、AlN、AlGaNまたはInGaNなどを用いることができるが、基板11として特にGaN基板を用いた場合には、窒化物半導体結晶の品質を高めることができ、窒化物半導体レーザ素子の生産性も高くなる点で好ましい。
基板11の窒化物半導体積層構造体10を形成する側の表面としては、基板11の表面が六方晶からなる場合には、たとえば、{0001}面、{11−20}面、{1−100}面、{1−102}面または{11−22}面などを用いることができる。また、基板11の表面が立方晶からなる場合には、たとえば、{001}面、{111}面または{110}面などを用いることができる。基板11の表面として、特に好ましいのはGaNの(0001)面である。なお、結晶面および方向を表わす場合に、本来であれば所要の数字の上にバーを付した表現をするべきであるが、表現手段に制約があるため、本明細書においては、所要の数字の上にバーを付す表現の代わりに、所要の数字の前に「−」を付して表現している。
n型窒化物半導体層12は、たとえば、n型バッファ層、n型コンタクト層、n型クラッド層およびn型ガイド層などを含み、たとえば、n型バッファ層とn型コンタクト層とは省略した構造としてもよい。基板11としてGaN基板を用いた場合には、基板11の上に直接n型クラッド層を設けることもできる。また、n型窒化物半導体層12の構造としては上記以外にも、ホールブロック層を設けたり、導電型がn型でない層を一部に設けたり、特に限定なく種々の構造を用いることができる。
n型窒化物半導体層12を形成するためのn型不純物としては、たとえばSiまたはOなどのIV族元素またはVI族元素などのn型不純物として機能する元素の1種類以上を用いることができる。なかでも、n型不純物としては、Siを用いることが好ましい。n型窒化物半導体層12中におけるn型不純物濃度は、たとえば、5×1016/cm3以上1×1021/cm3以下とすることができ、好ましくは、1×1017/cm3以上5×1018/cm3以下とすることができる。
p型窒化物半導体層14は、たとえば、p型キャリアブロック層、p型クラッド層、p型ガイド層およびp型コンタクト層などを含み、たとえば、p型ガイド層とp型コンタクト層とは省略した構造としてもよい。また、p型窒化物半導体層14の構造としては上記以外にも、活性層13とp型キャリアブロック層との間に中間層を設けたり、導電型がp型でない層を一部に設けたり、特に限定なく種々の構造を用いることができる。特に、導電型の制御により、n型窒化物半導体層12とp型窒化物半導体層14との間における活性層13の位置を調整することができる。これにより、拡散電位による内部電界の影響を制御できるため、キャリア寿命の調整も可能になる。
p型窒化物半導体層14を形成するためのp型不純物としては、たとえばMgまたはZnなどのp型不純物として機能する元素の1種類以上を用いることができる。なかでも、p型不純物としては、Mgを用いることが好ましい。p型窒化物半導体層14中におけるp型不純物濃度は、たとえば、5×1016/cm3以上1×1021/cm3以下とすることができ、好ましくは、5×1019/cm3以上2×1020/cm3以下とすることができる。
活性層13は、n型窒化物半導体層12とp型窒化物半導体層14との間に設けられていて、井戸層と障壁層とを有する量子井戸構造を有することが好ましい。量子井戸構造としては、たとえば、井戸層を単数有する単一量子井戸構造または井戸層を複数有する多重量子井戸構造を用いることができる。
また、活性層13の井戸層と障壁層において、2種類以上の材料および組成を有する多層構造を用いることもできる。このような構造を用いた場合には、六方晶である窒化物半導体結晶に特有の内部電界を利用して、井戸層内のキャリアを井戸層外へトンネル効果により移動させる効果を大きくすることができる。活性層13への不純物ドープは特に限定されないが、好ましくはノンドープあるいはSiドープである。
なお、n型窒化物半導体層12、活性層13およびp型窒化物半導体層14としてはそれぞれ、たとえば、GaN、AlGaN、InGaN、AlN、InNまたはAlInGaNなどのIII−V族化合物半導体を用いることができる。なお、III−V族化合物半導体のIII族元素の一部がBに置換されていてもよく、V族元素としてのNの一部がPおよび/またはAsで置換されていてもよい。
n型窒化物半導体層12、活性層13およびp型窒化物半導体層14はいずれも、たとえば、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法、MBE(Molecular Beam Epitaxy)法若しくはスパッタ法などの種々の気相成長法、超臨界流体中で結晶育成させる水熱合成法またはフラックス法などの液相成長法などを単独でまたは2つ以上組み合わせた方法により形成することができる。
また、第1のリッジストライプ部15は、第1のリッジストライプ内領域15aのみに電流注入を行なう電流狭窄機能と、第1のリッジストライプ部15の内外で活性層の屈折率差をつけて活性層における横方向の光閉じ込めを行なう導波路機能とを有する。
第1のリッジストライプ部15の横方向の幅は、たとえば1μm以上20μm以下とすることができるが、光ディスク装置用途などでレーザ光を単一モード発振状態とする必要がある場合には1μm以上3μm以下とすることが好ましく、ディスプレイ用途などでレーザ光が多モード発振状態でもよい場合には、レーザ光の最大光出力を高めるために、2μm以上20μm以下とすることが好ましい。また、第1のリッジストライプ部15の高さはたとえば0.1μm以上2μm以下とすることができる。
また、第1のリッジストライプ部15の高さおよび横方向の幅は、共振器長方向において一定である必要はない。また、第1のリッジストライプ部15の側面の形状は垂直であっても、テーパー形状であってもよいが、電流リークの低減を考慮すると、第1のリッジストライプ部15の側面は、第1のリッジストライプ部15の上面に対して30°以上85°以下の角度で上面から末広がりに傾斜するテーパー形状であることが好ましい。
なお、第1のリッジストライプ部15は、第2のリッジストライプ部16上に設けられているが、第2のリッジストライプ内領域16aの中央に設けられる必要は必ずしもない。
第2のリッジストライプ部16は、第1のリッジストライプ外領域15bの可飽和吸収領域におけるp型窒化物半導体層14を第2のpコンタクト電極18によってn型窒化物半導体層12に電気的に接続させるために設けられており、第2のリッジストライプ外領域16bにおいて、活性層13より下方のn型窒化物半導体層12の側面が露出している。
第1のリッジストライプ外領域15bにおいては、第2のリッジストライプ部16の上面から側面に接して連続的に第2のpコンタクト電極18が形成されている。そのため、第2のpコンタクト電極18の密着性を確保する観点から、第1のリッジストライプ外領域15bの横方向の幅は、第1のリッジストライプ内領域15aの横方向の幅よりも広いことが好ましい。特に、第1のリッジストライプ外領域15bの横方向の幅と第1のリッジストライプ内領域15aの横方向の幅との差は2μm以上であることが好ましく、150μm以下であることが好ましい。上記の差が150μmよりも大きくなると、窒化物半導体レーザ素子1の横方向の幅が大きくなりすぎて1枚のウエハから取り出すことのできる窒化物半導体レーザ素子の数が少なくなり、窒化物半導体レーザ素子1つ当たりの製造コストが増加するおそれがある。なお、上記の横方向の幅の差の値は、第1のリッジストライプ内領域15aの両横の2つの第1のリッジストライプ外領域15bのうち少なくとも一方の領域について満たしていればよい。
第2のリッジストライプ部16の高さは、第2のリッジストライプ部16の側面にn型窒化物半導体層12の側面が露出される高さであることが好ましく、基板11の側面の一部まで露出される高さであってもよい。第2のリッジストライプ部16の高さは、たとえば150nm以上とすることができるが、高くなりすぎると製造工程の所要時間が長くなって製造コストが増加するため5000nm以下であることが好ましい。
また、第2のリッジストライプ部16の高さおよび横方向の幅は、共振器長方向において一定の値である必要はない。また、第2のリッジストライプ部16の側面の形状は垂直であっても、テーパー形状であってもよいが、電流リークの低減を考慮すると、第2のリッジストライプ部16の側面は、第2のリッジストライプ部16の上面に対して30°以上85°以下の角度で上面から末広がりに傾斜するテーパー形状であることが好ましい。
また、第2のリッジストライプ外領域16bは、たとえば、窒化物半導体レーザ素子1の横方向の端まで同一高さが続く形状または窒化物半導体レーザ素子1の横方向の端までの間に高さが変わる形状とすることができる。
また、第2のリッジストライプ外領域16bの横方向の幅は、pパッド電極21のワイヤボンディング領域を確保する観点から、第2のリッジストライプ内領域16aの横方向の幅よりも広いことが好ましい。第2のリッジストライプ外領域16bの横方向の幅は、20μm以上あることが好ましく、50μm以上であることがより好ましい。また、第2のリッジストライプ外領域16bの横方向の幅は、150μm以下であることが好ましい。第2のリッジストライプ外領域16bの横方向の幅が大きくなりすぎると、窒化物半導体レーザ素子1の横方向の幅が大きくなりすぎて1枚のウエハから取り出すことのできる窒化物半導体レーザ素子の数が少なくなり、窒化物半導体レーザ素子1つ当たりの製造コストが増加するおそれがある。なお、第2のリッジストライプ外領域16bの幅は、第2のリッジストライプ内領域16aの両横の第2のリッジストライプ外領域16bのうち少なくとも片側の領域について満たしていればよい。
第1のpコンタクト電極17としては、たとえば、Pd、Ni、Pt、Au、Mo、IrまたはRhなどの金属からなる単層、これらの金属からなる層を複数含む複数層、あるいはこれらの合金で構成される単層あるいは複数層などを用いることができる。なかでも、p型窒化物半導体層14に対するコンタクト抵抗を小さくして安定性を高くする観点からは、Pd層/Mo層、Ni層/Au層、Ni層/Au層/Pt層、Ni層/Au層/Pd層の複数層(積層順序は左側の層から右側の層にかけてp型窒化物半導体層14側から積層されている)を用いることが好ましい。
また、第2のpコンタクト電極18としては、第1のpコンタクト電極17と同じ構造を用いることができるし、異なる構造とすることもできる。第1のpコンタクト電極17は、窒化物半導体レーザ素子1の電圧特性に大きく関わるため、p型窒化物半導体層14に対するコンタクト抵抗が小さい方が好ましいが、第2のpコンタクト電極18は、n型窒化物半導体層12とp型窒化物半導体層14とを電気的に接続するものであればよいため、コンタクト抵抗を必ずしも小さくする必要はない。
したがって、第2のpコンタクト電極18としては、上記において第1のpコンタクト電極17に用いられる金属として挙げたものを用いてもよく、第1のpコンタクト電極17に用いられる金属として挙げたもの以外の金属(たとえば、Al、Hf、W、V、AgまたはCuなど)を用いてもよい。
また、p型窒化物半導体層14に対する第2のpコンタクト電極18のコンタクト抵抗がp型窒化物半導体層14に対する第1のpコンタクト電極17のコンタクト抵抗よりも高い場合には、電流注入領域から可飽和吸収領域への電流リークをさらに小さくすることができる傾向にある。
また、第1のpコンタクト電極17および第2のpコンタクト電極18を構成する各金属層の層厚は、たとえば、5nm以上500nm以下とすることができ、一般に知られている各種の真空蒸着法、スパッタ法またはCVD(Chemical Vapor Deposition)法などを用いて形成することができる。
また、第2のpコンタクト電極18は、第1のリッジストライプ部15の両横の第1のリッジストライプ外領域15bのp型窒化物半導体層14にそれぞれ設けられることが好ましいが、第1のリッジストライプ部15の両横の2つの第1のリッジストライプ外領域15bのうちいずれか一方におけるp型窒化物半導体層14のみに設けることも可能である。
また、第2のpコンタクト電極18は、第2のリッジストライプ部16の側面を覆ってn型窒化物半導体層12とp型窒化物半導体層14の双方に接することにより、本発明の効果は得られるが、第2のpコンタクト電極18は、第2のストライプ外領域16bにまで延伸していても構わない。また、第2のpコンタクト電極18が、第2のリッジストライプ部16の側面だけでなく第1のリッジストライプ外領域15bにおけるp型窒化物半導体層14の上面から第2のリッジストライプ部16の側面にかけて連続して設けられている場合には、第2のpコンタクト電極18と窒化物半導体層との密着性が向上するだけでなく、製造工程が簡易となり、可飽和吸収領域のキャリア寿命を低減させる効果が大きくなる傾向にある。
n電極19としては、たとえば、Hf、Al、Mo、Pt,Au,W、TiまたはCrなどの金属からなる単層、これらの金属からなる層を複数含む複数層、あるいはこれらの合金で構成される単層あるいは複数層などを用いることができる。なかでも、n型窒化物半導体に対するコンタクト抵抗を小さくして安定性を高くする観点からは、n電極19としては、Hf層/Al層/Mo層/Pt層/Au層、またはTi層/Pt層/Au層の複数層(積層順序は左側の層から右側の層にかけてp型窒化物半導体層14側から積層されている)を用いることが好ましい。
また、n電極19を構成する各金属層の層厚は、たとえば、5nm以上500nm以下とすることができ、一般に知られている各種の真空蒸着法、スパッタ法またはCVD法などを用いて形成することができる。
なお、基板11がたとえばn型GaN基板のように導電性基板である場合には、図1に示すように、基板11の、窒化物半導体積層構造体10が積層される側と反対側の表面にn電極19を設けることができる。また、基板11がサファイア基板のように絶縁性基板である場合には、たとえばエッチングなどによって露出したn型窒化物半導体層12の表面上に設けられる。したがって、窒化物半導体レーザ素子1の製造を容易にする観点からは、基板11としてはn型GaN基板などの導電性の基板を用いることが好ましい。
また、第1のpコンタクト電極18、第2のpコンタクト電極19、絶縁膜20およびpパッド電極21は、それぞれの機能を有する限りにおいて、種々の層厚および形状とすることができる。たとえば、第1のpコンタクト電極18が、第1のリッジストライプ部15の側面の一部または全面に回りこむ形になっていてもよい。このようにすることで窒化物半導体レーザ素子1の駆動電圧を低くすることができる。
また、第2のpコンタクト電極18とn電極19とを一体化することも可能である。この場合には、製造工程の簡略化により、窒化物半導体レーザ素子1の製造コストを低下させることができる。
絶縁膜20は、第2のpコンタクト電極18とpパッド電極21とが電気的に接続されないようにするために設けられている。したがって、絶縁膜20は、第1のpコンタクト電極17と第2のpコンタクト電極18との間を埋め込み、第2のpコンタクト電極18の表面を覆うようにして設けられる。
絶縁膜20としては、Si、Ti、Ta、Al、Zr、Nb、Hf若しくはZnなどの金属の酸化物、窒化物または酸窒化物などの単層、あるいはそれらの積層構造を用いることができる。また、絶縁膜20には、Si、MoまたはTiのような光吸収材料が含まれていてもよい。また、絶縁膜20は、たとえば、単結晶、多結晶、アモルファス、あるいはこれらの少なくとも2種の混在状態といった種々の形態とすることができる。
なかでも、絶縁膜20としては、製造の容易さ、密着性および熱安定性の観点から、Siの酸化物の単層、Zrの酸化物の単層、Alの窒化物の単層、Siの窒化物の単層、またはSiの酸化物とTiの酸化物との積層体からなる複数層などを用いることが好ましい。
また、絶縁膜20を構成する各層の層厚は、たとえば、5nm以上500nm以下とすることができ、一般に知られている各種の真空蒸着法、スパッタ法またはCVD法などを用いて形成することができる。
pパッド電極21は、外部端子と電気的に接続するためのワイヤボンディングを行なうために、第1のpコンタクト電極17と電気的に接続されるようにして設けられる。したがって、図1に示す窒化物半導体レーザ素子1において、pパッド電極21は、第1のpコンタクト電極17を覆うようにして、連続して絶縁膜20の上に延伸して設けられている。なお、第2のコンタクト電極18に接触させることなくワイヤボンディングを行なうことができる場合には、pパッド電極21は省略可能である。
以下、図1に示す構造を有する窒化物半導体レーザ素子1の製造方法の一例について説明する。
まず、図2の模式的断面図に示すように、たとえばMOCVD法などによって、円板状の基板11上に、n型窒化物半導体層12、活性層13およびp型窒化物半導体層14をこの順序で積層する。これにより、n型窒化物半導体層12、活性層13およびp型窒化物半導体層14からなる窒化物半導体積層構造体10が基板11上に形成されたウエハが作製される。
次に、図3の模式的断面図に示すように、たとえばプラズマCVD法などによって、p型窒化物半導体層14の一部上に、たとえばSiO2などからなるエッチングマスク31を形成する。
次に、図4の模式的断面図に示すように、たとえばICP(Inductively Coupled Plasma)ドライエッチングなどによって、エッチングマスク31をマスクとして窒化物半導体積層構造体10の一部をエッチングして除去することにより、第2のリッジストライプ部16を形成する。その後、エッチングマスク31は、n型窒化物半導体層12の上面から除去される。
次に、図5の模式的断面図に示すように、たとえばEB蒸着法などによってn型窒化物半導体層12の上面の一部に第1のpコンタクト電極17を形成する。そして、たとえばフォトエッチングなどによって、窒化物半導体積層構造体10の側面の一部上および第1のpコンタクト電極17上にそれぞれレジスト層51を形成する。
次に、ICPドライエッチングなどによって、レジスト層51をマスクとして、窒化物半導体積層構造体10の一部をエッチングして除去することにより、図6の模式的断面図に示すように第1のリッジストライプ部15を形成し、その後、レジスト層51をすべて除去する。
次に、図7の模式的断面図に示すように、第1のリッジストライプ部15の両横のp型窒化物半導体層14の上面に第2のpコンタクト電極18を形成する。ここで、第2のpコンタクト電極18は、第1のリッジストライプ部15の形成後の窒化物半導体積層構造体10上面および側面ならびに基板11の上面に第2のpコンタクト電極18を形成した後に、第1のpコンタクト電極17および第2のpコンタクト電極18を残す部分にレジスト層71を形成し、レジスト層71から露出した第2のpコンタクト電極18の一部をエッチングなどにより除去することによって形成することができる。
次に、図8の模式的断面図に示すように、第2のpコンタクト電極18の形成に用いたレジスト層71をイオン注入マスクとして、レジスト層71から露出しているp型窒化物半導体層14の表面部分にイオン81をイオン注入により注入して高抵抗領域24aを形成する。その後、レジスト層71はすべて除去される。
ここで、イオン81としては、たとえば、水素、窒素、酸素、フッ素、ベリリウムおよびホウ素からなる群から選択された少なくとも1種のイオンが好適に用いられる。イオン注入およびイオン濃度は、イオン注入エネルギおよびドーズ量などによって制御することができる。なお、高抵抗領域24aが活性層13まで到達すると、窒化物半導体レーザ素子1の特性に悪影響が出る可能性があるため、高抵抗領域24aはp型窒化物半導体層14内に留まっていることが好ましい。
また、イオン注入領域が光吸収を有する場合には、窒化物半導体レーザ素子1の微分効率などの特性が悪化する可能性があるため、イオン注入領域の光吸収特性に変化がないことが好ましい。
また、高抵抗領域24aは、共振器長方向全面に亘って設けられることが好ましいが、本発明の効果が得られる限りにおいて、一部設けられていなくても構わない。
レジスト層71の除去後には、窒化物半導体レーザ素子1の特性の向上のため、第1のpコンタクト電極17および第2のpコンタクト電極18をたとえば100℃以上500℃以下の温度で加熱することにより、p型窒化物半導体層14に対する第1のpコンタクト電極17および第2のpコンタクト電極18の良好なオーミック特性を得ることができる。
次に、第1のpコンタクト電極17の上面にレジスト層(図示せず)を形成した後にたとえばEB蒸着法などによって絶縁膜20を形成し、その後、リフトオフ法によって第1のpコンタクト電極17の上面のレジスト層およびその上の絶縁膜20を除去することによって、図9の模式的断面図に示すように、上記の高抵抗領域24aが形成されたウエハの上面に絶縁膜20を形成する。
次に、図10の模式的断面図に示すように、上記の絶縁膜20の形成後のウエハの全面にレジスト層(図示せず)を形成した後にたとえばEB蒸着法などによってpパッド電極21を形成し、その後、リフトオフ法によってレジスト層およびその上のpパッド電極21を除去することによって所定の形状のpパッド電極21を形成する。
その後、円板状の基板11を窒化物半導体積層構造体10の形成側と反対側の裏面から研磨することによって、基板11の薄型化を行なう。なお、研磨後の基板11の厚さは、たとえば70μm以上300μm以下とすることができる。
そして、基板11の裏面にn電極19を形成する。ここで、n電極19の形成前に、基板11の裏面をたとえばドライエッチング、アッシングまたは逆スパッタなどによって清浄化することが好ましい。n電極19の形成前に基板11の裏面を清浄化した場合には、基板11の裏面とn電極19との密着性を高めることができる傾向にある。
以上の製造工程を経て得られたウエハは、劈開によって共振器端面を形成するために、バー状に分割(バー分割)されて、レーザバーが形成される。ここで、共振器端面間の共振器長は、バー分割位置の間隔によって決定され、たとえば300μm以上3000μm以下の長さとすることができ、400μm以上1000μm以下の長さとされることが好ましい。
バー分割は、たとえば以下のようにして行なうことができる。まず、ウエハの表面および/または裏面にダイヤモンドポイントなどによってスクライブラインが形成される。ここで、スクライブラインが形成される領域が、たとえば電極などによってパターニングされていることが好ましい。
また、上記の電極のパターニングとバー分割位置の調節とによって、第1のpコンタクト電極17、第2のpコンタクト電極18およびpパッド電極21の少なくとも1種が共振器端面付近に設けられていない構造とすることもできる。このような構造にすることによって、窒化物半導体レーザ素子1の特性を向上させることができる場合がある。
また、スクライブラインは、上記の劈開の補助線の役割を有する。また、スクライブラインを形成する代わりに、ドライエッチングなどで予め凹状の溝を設けることもできる。スクライブラインはウエハの端に少なくともあればよいが、ウエハの内側に破線状に設けることによって劈開の直線性を向上させることもできる。
次に、上記のスクライブラインの形成後に、ウエハに適当な力を加えて劈開を行なうことによって共振器端面を形成する。ここで、劈開面となる共振器端面は、たとえば図1に示すn型窒化物半導体層12、活性層13およびp型窒化物半導体層14の積層方向に対して垂直な面(図1の紙面に対して平行な面)であることが好ましい。
たとえば、基板11の表面がGaNの(0001)面である場合には、共振器端面をたとえば{1−100}面または{11−20}面とすることができるが、共振器端面の平坦性を考慮すると、共振器端面を{1−100}面とすることが好ましい。
また、基板11の表面がGaNの{1−100}面である場合には、共振器端面をたとえば{0001}面または{11−20}面とすることができる。
また、共振器端面の平坦性を考慮すると、共振器端面を{11−20}面とすることが好ましいが、閾値電流などの窒化物半導体レーザ素子1の特性を向上させる観点からは、共振器端面を{0001}面とすることが好ましい。ただし、{0001}面は劈開しにくいため、このような場合には、劈開の代わりに、ドライエッチングを用いてエッチドミラーの共振器端面を形成してもよい。
次に、上記のようにして形成された共振器端面に保護膜を形成する。ここで、共振器端面に保護膜を形成することによって、共振器端面に光学損傷を生じにくくすることによって、窒化物半導体レーザ素子1の高出力時の信頼性を向上させることができるとともに共振器端面の反射率を制御することができる。
保護膜としては、たとえば、Al、Si、Zr、Ta、Ga、Y、Nb、Hf、Zn若しくはTiの酸化物、またはAl、Si、Ga、Bの窒化物若しくは酸窒化物などの金属化合物の単層または複数層を用いることができる。
なかでも、バー分割によって露出した劈開面に直接接する保護膜は光学損傷に大きく影響することから、保護膜としては、Alの窒化物および/またはAlの酸窒化物を用いることが好ましい。また、保護膜は、たとえば、単結晶、多結晶、アモルファス、あるいはこれらの少なくとも2種の混在状態といった種々の形態とすることができる。
また、保護膜の形成後の共振器端面の反射率は、共振器端面の一方(光出射側の共振器端面)における反射率をこれに対向する他方の共振器端面(光反射側の共振器端面)における反射率よりも低くされ、光出射側の共振器端面から出射されるレーザ光が出射光とされる。
光出射側の共振器端面における反射率は、たとえば、1%以上80%以下とすることができる。光出射側の共振器端面における反射率を低くした場合には、窒化物半導体レーザ素子1の微分効率は高くなるが、閾値電流も上昇し、光出射側の共振器端面における反射率を高くした場合にはその逆となる。これを考慮して使用する光出力の駆動電流を小さくして、自励発振を安定させるためには、光出射側の共振器端面における反射率は15%以上60%以下とされることが好ましく、25%以上45%以下とされることが好ましい。また、光出射側の共振器端面における反射率を18%以上にする場合には、保護膜は、屈折率の異なる材料の複数層構造とすることが好ましい。なお、光出射側の共振器端面における反射率を18%未満とする場合でも屈折率の異なる材料の複数層構造としてもよいことは言うまでもない。
光出射側の共振器端面における反射率は、たとえば、60%以上99%以下とすることができる。光出射側の共振器端面における反射率は高い程、閾値電流を低くすることができる点で好ましいが、光反射側の共振器端面から出射されるレーザ光を利用して駆動電流を制御するような場合には、レーザ光を透過させる観点から、光出射側の共振器端面における反射率を60%以上95%以下の反射率にすることが好ましい。
保護膜は、たとえば、ECR(Electronic Cyclotron Resonance)スパッタ法若しくはマグネトロンスパッタ法などのスパッタ法、真空蒸着法、イオンビームアシスト蒸着法、またはCVD法などの従来から公知の方法を単独でまたは2種類以上組み合わせて用いて形成することができる。なかでも、ECRスパッタ法を用いて保護膜を形成した場合には良好な膜質の保護膜を形成できる点で好ましい。
また、保護膜の形成前および/または保護膜の形成後に、たとえば、アルゴン、酸素または窒素などのガスを用いたプラズマ照射や加熱処理を行なってもよい。
次に、上記の保護膜をレーザバーの両面となる共振器端面に形成した後に、レーザバーをチップ状に分割(チップ分割)することによって、レーザバーから、図1に示す構造を有する窒化物半導体レーザ素子1が取り出される。
なお、チップ分割位置によってチップ幅(窒化物半導体レーザ素子1の横方向の幅)を規定することができ、チップ幅は、たとえば100μm以上1000μm以下とすることができ、150μm以上400μm以下とすることが好ましい。
また、チップ分割の方法は、レーザバーの分割時と同様に、スクライブを形成して行なうことが好ましい。なお、チップ分割は、バー分割時と垂直方向に分割することが好ましい。
上記のようにして製造された図1に示す構造を有する窒化物半導体レーザ素子1は、+端子と−端子とを備えたステムに、たとえば、はんだまたは銀ペーストなどを用いて電気的に接続されることにより設置される。
ここで、窒化物半導体レーザ素子1のn電極19とステム本体とが電気的に接続され、pパッド電極21と+端子とがワイヤボンディングで電気的に接続される。ワイヤボンディングはpパッド電極21に対して行なわれるが、第1のリッジストライプ部15にダメージを与えないために、第1のリッジストライプ部15の上方の領域を避けてワイヤボンディングを行なうことが好ましい。
また、pパッド電極21側を下側にしてステム本体と接続してn電極19側にワイヤボンディングを行なうジャンクションダウン方式を用いて、窒化物半導体レーザ素子1を設置することもできる。
また、窒化物半導体レーザ素子1とステム本体との間に放熱性向上のためのサブマウントを設けることもできる。この場合には、窒化物半導体レーザ素子1のn電極19とサブマウントとを電気的に接続するとともに、サブマウントとステムの−端子とをワイヤボンディングすればよい。
なお、上記のワイヤボンディング後に、たとえば乾燥空気雰囲気中でキャップ封止を行なってもよい。
以上においては、本発明の実施形態について具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
本発明によれば、電流注入領域から可飽和吸収領域への電流リークによる閾値電流の上昇を抑えることができるとともに、自励発振を安定して生じさせることにより特性を安定させることが可能な△n調整タイプの自励発振型の窒化物半導体レーザ素子を得ることができる。△n調整タイプであるため、自励発振型の窒化物半導体レーザ素子を容易に製造することができ、生産性も高くなる。
また、本発明によれば、閾値電流近傍における光出力の急激な立ち上がりの発生を抑え、比較的高出力まで自励発振を維持することができるという△n調整タイプの自励発振型の窒化物半導体レーザ素子を得ることができる。また、電流リークを抑えることができるため、閾値電流の上昇を伴わずに、自励発振を生じさせることも可能となる。
上記のようにして製造された実施の形態1の窒化物半導体レーザ素子は、BDなどの光ディスク装置用の光源およびディスプレイなどの画像表示装置用の光源として好適な自励発振特性を有する窒化物半導体レーザ素子とすることができる。
<実施の形態2>
本実施の形態の窒化物半導体レーザ素子は、実施の形態1の窒化物半導体レーザ素子に対して、電流注入領域から可飽和吸収領域への電流リークを別の方法で抑制したものである。
本実施の形態の窒化物半導体レーザ素子は、実施の形態1の窒化物半導体レーザ素子に対して、電流注入領域から可飽和吸収領域への電流リークを別の方法で抑制したものである。
図11に、本実施の形態の窒化物半導体レーザ素子の模式的な断面図を示す。本実施の形態の窒化物半導体レーザ素子1は、電流注入領域25の両横の分離領域24にそれぞれ溝26が設けられている点で、実施の形態1の窒化物半導体レーザ素子1と異なっている。ここで、溝26は、側面22と底面23とから構成されている。
分離領域24に溝26を設けることによって、第1のpコンタクト電極17から注入される電流を溝26の間の電流注入領域25で狭窄することができるため、この場合にも電流注入領域から可飽和吸収領域への電流リークを抑えることができる。
なお、分離領域24に溝26を設けることなく、第1のリッジストライプ部15の底面と溝26の底面23とを同じ高さにすることによっても電流リークについては同様の効果があるが、この場合には、活性層13の横方向の△nが大きくなってしまうため、△n調整タイプの自励発振型の窒化物半導体レーザ素子1において△nを小さくすることが困難となる傾向にある。
また、上記の電流リークを十分に抑える観点からは、分離領域24に設けられた溝26は、絶縁膜20によって埋め込まれていることが好ましい。なお、本実施の形態においては、溝26は絶縁膜20によって埋め込まれているが、溝26の少なくとも一部が絶縁膜20によって埋め込まれていなくてもよい。
また、溝26により活性層13の横方向の△nが影響を受けることを考慮すると、溝26を埋め込む絶縁膜20は屈折率(絶対屈折率)が2以上であることが好ましい。溝26を埋め込む絶縁膜20の屈折率が2よりも小さい場合には、活性層13の上面と第1のリッジストライプ部15の底面との間の距離tを制御したとしても、△nを小さくすることが困難となることから、第1のリッジストライプ部15の外側の領域を可飽和吸収領域とすることが困難となるためである。なお、屈折率が2以上である絶縁膜20としては、たとえば、Ti、Ta、Zr、Nb、Hf若しくはZnの酸化物、またはAl、Siの窒化物若しくは酸窒化物などの金属化合物からなる膜を用いることができる。
図11に示す構造を有する窒化物半導体レーザ素子1は、たとえば、実施の形態1の窒化物半導体レーザ素子1の製造においてイオン注入を行なう工程の代わりに、たとえば図12の模式的断面図に示すようにICPドライエッチングなどによりp型窒化物半導体層14の一部を除去して溝26を形成することによって製造することができる。
なお、溝26の底面23が活性層13の上面よりも上側(p型窒化物半導体層14側)にあるように溝26を形成した場合には、溝26の形成時の活性層13へのダメージを抑えることができるため、窒化物半導体レーザ素子1の特性の悪化を抑えることができる。
また、溝22の底面23が活性層13の底面よりも下側(n型窒化物半導体層12側)にあるように溝26を形成した場合には、分離領域24と電流注入領域25とが電気的に絶縁されることになるため、電流注入領域から可飽和吸収領域への電流リークの低減に大きな効果がある。
また、溝26の底面23が活性層13の底面よりも下側(n型窒化物半導体層12側)にあるように溝26を形成する場合には、活性層13へのダメージを抑えるために、溝26の幅をできるだけ狭くすることが好ましい。溝26は、本発明の効果が得られる限りにおいて、分離領域24の一部のみに設けられていてもよい。
また、溝26は、共振器長方向の全体にわたって設けられることが好ましいが、本発明の効果が得られる限りにおいて、共振器長方向の一部に設けられていない領域があってもよい。溝26の形状についても、本発明の効果が得られる限りにおいて、種々の形状を用いることができる。
上記のようにして製造された実施の形態2の窒化物半導体レーザ素子についても、BDなどの光ディスク装置用の光源およびディスプレイなどの画像表示装置用の光源として好適な自励発振特性を有する窒化物半導体レーザ素子とすることができる。
<実施の形態3>
本実施の形態の窒化物半導体レーザ素子は、実施の形態1または実施の形態2の窒化物半導体レーザ素子において、第2のpコンタクト電極18として透明導電膜を用いた点に特徴がある。
本実施の形態の窒化物半導体レーザ素子は、実施の形態1または実施の形態2の窒化物半導体レーザ素子において、第2のpコンタクト電極18として透明導電膜を用いた点に特徴がある。
本実施の形態の窒化物半導体レーザ素子においては、第2のpコンタクト電極18として透明導電膜を用いていることから、第2のpコンタクト電極18による光吸収を小さくすることができるため、微分効率を改善することができる。
ここで、透明導電膜としては、たとえば、ITO(Indium Tin Oxide)および/またはIZO(Indium Zinc Oxide)などを用いることができる。ITOやIZOなどの透明導電膜は、一般に知られている各種真空蒸着法、スパッタ法またはCVD法などを用いて形成することができる。なお、透明導電膜からなる第2のpコンタクト電極18の厚さは、たとえば5nm以上500nm以下とすることができる。
上記のようにして製造された実施の形態3の窒化物半導体レーザ素子についても、BDなどの光ディスク装置用の光源およびディスプレイなどの画像表示装置用の光源として好適な自励発振特性を有する窒化物半導体レーザ素子とすることができる。
<実施の形態4>
図13に、本実施の形態の窒化物半導体レーザ素子の模式的な断面図を示す。本実施の形態の窒化物半導体レーザ素子1は、実施の形態2の窒化物半導体レーザ素子において、第2のリッジストライプ部16を形成せず、第2のpコンタクト電極18およびn電極19にそれぞれ導電性のワイヤ27がワイヤボンディングされて第2のpコンタクト電極18とn電極19とが電気的に接続されている点に特徴がある。
図13に、本実施の形態の窒化物半導体レーザ素子の模式的な断面図を示す。本実施の形態の窒化物半導体レーザ素子1は、実施の形態2の窒化物半導体レーザ素子において、第2のリッジストライプ部16を形成せず、第2のpコンタクト電極18およびn電極19にそれぞれ導電性のワイヤ27がワイヤボンディングされて第2のpコンタクト電極18とn電極19とが電気的に接続されている点に特徴がある。
本実施の形態の窒化物半導体レーザ素子1においては、第2のpコンタクト電極18がp型窒化物半導体層14のみに接しており、n型窒化物半導体層12には接していないが、ワイヤ27のワイヤボンディングにより、p型窒化物半導体層14とn型窒化物半導体層12との電気的な接続が可能となる。
したがって、本実施の形態の窒化物半導体レーザ素子1においては、第2のリッジストライプ部16を形成してn型窒化物半導体層12を露出させる必要がないため、製造工程を大幅に簡略化できる。
なお、実施の形態1〜3の窒化物半導体レーザ素子のように、第2のリッジストライプ部16を形成した場合でも、第2のpコンタクト電極18とn電極19とを導電性のワイヤ27でワイヤボンディングすることによっても、p型窒化物半導体層14とn型窒化物半導体層12との電気的な接続が可能となる。
また、本実施の形態の窒化物半導体レーザ素子1においては、第2のpコンタクト電極18とn電極19とがワイヤ27により直接ワイヤボンディングされて電気的に接続されているが、n電極19が電気的に接続されているサブマウントまたはステム本体と、第2のpコンタクト電極18とがワイヤ27によりワイヤボンディングされて電気的に接続されていてもよい。
本実施の形態の窒化物半導体レーザ素子は、第2のリッジストライプ部16を形成しないこと以外は実施の形態2の窒化物半導体レーザ素子と同様にして製造することが可能である。
本実施の形態の窒化物半導体レーザ素子についても、実施の形態1〜3の窒化物半導体レーザ素子と同様に、BDなどの光ディスク装置用の光源およびディスプレイなどの画像表示装置用の光源として好適な自励発振特性が得られる。
<実施の形態5>
図14(a)および図14(c)に、本実施の形態の窒化物半導体レーザ素子の模式的な断面図を示し、図14(b)に、本実施の形態の窒化物半導体レーザ素子の模式的な平面図を示す。なお、図14(a)は図14(b)のB−B’に沿った模式的な断面図であり、図14(c)は図14(b)のA−A’に沿った模式的な断面図である。
図14(a)および図14(c)に、本実施の形態の窒化物半導体レーザ素子の模式的な断面図を示し、図14(b)に、本実施の形態の窒化物半導体レーザ素子の模式的な平面図を示す。なお、図14(a)は図14(b)のB−B’に沿った模式的な断面図であり、図14(c)は図14(b)のA−A’に沿った模式的な断面図である。
本実施の形態の窒化物半導体レーザ素子1は、実施の形態4の窒化物半導体レーザ素子において、絶縁膜20の形状およびpパッド電極21の形状がそれぞれ異なっている点に特徴がある。なお、図14(a)〜図14(c)においては、説明の便宜のため、溝26については図示していない。
本実施の形態の窒化物半導体レーザ素子1においては、実施の形態1の窒化物半導体レーザ素子のように、pパッド電極21は絶縁膜20を介して第2のpコンタクト電極18上に設けられておらず、pパッド電極21は片方の第2のpコンタクト電極18の周囲の一部を取り囲むU字状に設けられている。すなわち、pパッド電極21は、第2のpコンタクト電極18の両横にそれぞれ位置するように形成されていることになる。
そして、pパッド電極21は、第2のpコンタクト電極18と電気的に接続されないようにして、第1のリッジストライプ内領域15aにおいて第1のpコンタクト電極17と電気的に接続されている。
なお、図14(a)〜図14(c)においては、pパッド電極21は、片方の第2のpコンタクト電極18の周囲の一部を取り囲むU字状に設けられているが、両方の第2のpコンタクト電極18のそれぞれの周囲の一部を取り囲むW字状等に設けられていてもよい。
本実施の形態の窒化物半導体レーザ素子は、絶縁膜20の形状およびpパッド電極21の形状をそれぞれ変更して形成すること以外は実施の形態4の窒化物半導体レーザ素子と同様にして製造することが可能である。
本実施の形態の窒化物半導体レーザ素子についても、実施の形態1〜4の窒化物半導体レーザ素子と同様に、BDなどの光ディスク装置用の光源およびディスプレイなどの画像表示装置用の光源として好適な自励発振特性が得られる。
以下、本発明の窒化物半導体レーザ素子について実施例を挙げてより詳細に説明するが、本発明はこれに限定されず、本発明の範囲に含まれる限り、本実施例以外の形態でも同様の効果が得られることは言うまでもない。
本実施例においては、図1に示す構造を有する窒化物半導体レーザ素子1を作製した。以下に、本実施例の窒化物半導体レーザ素子の製造方法について説明する。まず、n型GaNからなる円板状の基板11をMOCVD装置内に設置し、基板11の(0001)面上に、MOCVD法により、基板11側から、n型窒化物半導体層12、活性層13およびp型窒化物半導体層14をこの順序で積層することによって窒化物半導体積層構造体10を形成してウエハを作製した。
ここで、n型窒化物半導体層12としては、基板11側から順に、厚さ100nmのn型GaN層、厚さ2200nmのn型Al0.05Ga0.95Nクラッド層および厚さ20nmのn型GaNガイド層を積層することによって形成した。
また、活性層13としては、n型窒化物半導体層12に最も近い側に、第1の障壁層である厚さ20nmのIn0.03Ga0.97N層を積層した後に、第1の障壁層上に、井戸層として厚さ5.5nmのIn0.1Ga0.9N層を3層積層するとともに各井戸層間の障壁層として厚さ8nmのIn0.03Ga0.97N層積層してなる多重量子井戸構造を形成し、多重量子井戸構造上に厚さ70nmのGaN層を積層することによって形成した。ここで、活性層13を構成するいずれの層にも不純物ドーピングは行なわなかった。
また、p型窒化物半導体層14としては、活性層13側から順に、厚さ15nmのp型Al0.3Ga0.7Nキャリアブロック層、厚さ550nmのp型Al0.05Ga0.95Nクラッド層および厚さ100nmのp型GaNコンタクト層を積層することによって形成した。
なお、上記のn型窒化物半導体層12、活性層13およびp型窒化物半導体層14のMOCVD法による形成において、III族元素の原料としては、トリメチルガリウム(TMGa)、トリメチルインジウム(TMIn)およびトリメチルアルミニウム(TMAl)からなる群から選択された少なくとも1種を用い、V族元素の原料としては、アンモニア(NH3)を用いた。
また、n型不純物としてはSiがドープされ、n型不純物の原料としてはシラン(SiH4)を用いた。また、p型不純物としてはMgがドープされ、p型不純物の原料としてはシクロペンタジエニルマグネシウム(CP2Mg)を用いた。
また、n型不純物であるSiのドープ量は、n型Al0.05Ga0.95Nクラッド層が4×1018/cm3であり、n型GaNガイド層が1×1018/cm3であった。また、p型不純物であるMgのドープ量は、p型Al0.3Ga0.7Nキャリアブロック層およびp型Al0.05Ga0.95Nクラッド層がそれぞれ1×1020/cm3であり、p型GaNコンタクト層が2×1020/cm3であった。
なお、MOCVD法におけるn型窒化物半導体層12の成長温度(基板11の温度)は1025℃であり、活性層13の成長温度(基板11の温度)は780℃であり、p型窒化物半導体層14の成長温度(基板11の温度)は1075℃であった。
次に、上記のようにして作製したウエハの表面の一部にフォトリソグラフィを利用して厚さ1.4μmのSiO2層を形成した。そして、このSiO2層をマスクとしてICPドライエッチングにより窒化物半導体積層構造体10の一部を除去することによって第2のリッジストライプ部16を形成した。
ここで、SiO2層の横方向の幅を150μmとすることによって、第2のリッジストライプ部16の上面の横方向の幅を150μmとした。
また、窒化物半導体積層構造体10のエッチング深さは1500nmとして、n型窒化物半導体層12の側面を第2のリッジストライプ部16の側面から露出させた。また、第2のリッジストライプ部16はその側面が底面に向かって広がるように傾斜するテーパー形状に形成され、第2のリッジストライプ部16の上面に対する側面の傾斜角は80°程度とされた。
次に、SiO2層を除去して、第2のリッジストライプ内領域16a内のp型GaNコンタクト層の表面の中央付近に幅1.7μmで厚さ50nmのPd層からなる第1のpコンタクト電極17を形成するとともに、その第1のpコンタクト電極17上にレジスト層を形成した。
ここで、第1のpコンタクト電極17は、EB蒸着法によって、p型GaNコンタクト層の表面の全面にPd層を形成した後にウエットエッチングを利用したフォトエッチングによって20μm幅とし、そのPd層上に1.7μm幅のレジスト層をフォトリソグラフィを利用して形成し、その後、このレジスト層をマスクとしてRIEにてPd層をエッチングすることによって幅を1.7μmとした。
引き続いて、上記の第1のpコンタクト電極17上のレジスト層をマスクとしてICPドライエッチングによりp型窒化物半導体層14を除去することによって第1のリッジストライプ部15を形成した。これにより、第1のリッジストライプ内領域15aの横方向の幅を1.7μmとした。また、エッチング深さを520nmとした結果、活性層13の上面と第1のリッジストライプ部15の底面との間の距離tを45nmとした。
次に、上記の第1のpコンタクト電極17上のレジスト層を除去した後のウエハの表面の全面にEB蒸着法によって厚さ50nmのAl層を形成した。そして、ウエットエッチングを利用したフォトエッチングによって第1のpコンタクト電極17と接する箇所のAl層のみを除去して第1のpコンタクト電極17と電気的に絶縁された第2のpコンタクト電極18を形成した。ここで、第1のpコンタクト電極17と第2のpコンタクト電極18との間の横方向の幅dは0.5μmとした。なお、第2のpコンタクト電極18を構成するAl層は、第1のpコンタクト電極17を構成するPd層よりもp型窒化物半導体層14に対するコンタクト抵抗が高いため、電流リークの影響を小さくすることができる。
次に、上記のフォトエッチングに用いられたレジスト層を除去せずにイオン注入マスクとして、p型窒化物半導体層14の表面にホウ素イオンをイオン注入(イオン注入エネルギ:60keV、ドーズ量:1×1014cm-2)することによって、分離領域24の一部の領域に高抵抗領域24aを形成した。高抵抗領域24aは、第1のpコンタクト電極17の下方の電流注入領域25のp型窒化物半導体層14よりも高抵抗となった。
次に、上記のレジスト層を除去した後に、第1のpコンタクト電極17上のみにレジスト層を再度形成した。そして、このレジスト層の形成後のウエハの表面上にEB蒸着法によって厚さ170nmのSiO2層および厚さ50nmのTiO2層をこの順序で積層して絶縁膜20を形成し、引き続いて、リフトオフ法を用いて第1のpコンタクト電極17上の絶縁膜20を除去した。
その後、フォトリソグラフィにより、所定のパターンのレジスト層を形成し、そのレジスト層の形成後のウエハの表面の全面に厚さ15nmのMo層および厚さ200nmのAu層をこの順序でEB蒸着法により積層した。その後、リフトオフ法を用いてレジスト層を除去することによって所定のパターンのpパッド電極21を形成した。
次に、研削機および研磨機を用いて基板11を研削および研磨により薄くして、ウエハの厚さを120μmとした。
次に、基板11の裏面側に、基板11側から、厚さ5nmのHf層、厚さ150nmのAl層、厚さ36nmのMo層、厚さ18nmのPt層および厚さ250nmのAu層をこの順序でEB蒸着法により積層してn電極19を形成した。その後、n電極19を500℃に加熱することによって良好なオーミック特性を有する電極とした。
次に、上記のn電極19の形成後のウエハについて共振器長が400μmとなるように劈開してバー分割を行ない、両側面に共振器端面を備えたレーザバーを形成した。
次に、レーザバーの光出射側となる共振器端面を200℃で10分間加熱した後にアルゴンプラズマの照射を5分間行なって清浄化し、その後、ECRスパッタ法により厚さ20nmのAlON層(酸窒化アルミニウム層)、厚さ110nmのAl2O3層、厚さ74nmのSiO2層および厚さ61nmのAl2O3層をこの順序で積層して保護膜を形成した。
次に、レーザバーの光反射側となる共振器端面に同じくECRスパッタ法により厚さ20nmのAlON層(酸窒化アルミニウム層)および厚さ110nmのAl2O3層をこの順序で積層した後に、厚さ74nmのSiO2層と厚さ50nmのSiN層(窒化シリコン層)とを交互に6層ずつSiO2層から積層することによって保護膜を形成した。
これにより、光出射側の共振器端面の反射率は30%となり、光反射側の共振器端面の反射率は95%となった。
その後、チップ幅が300μmとなるようにチップ分割を行なうことによって、本実施例の窒化物半導体レーザ素子を完成させた。その後、本実施例の窒化物半導体レーザ素子を実装することによって窒化物半導体レーザ装置を作製した。
以上のようにして製造した窒化物半導体レーザ装置の窒化物半導体レーザ素子の諸特性を調べたところ、室温25℃において閾値電流値30mAで連続発振し、発振波長は405nmであった。また、閾値電流近傍での光出力の急激な立ち上がりは発生しなかった。
また、窒化物半導体レーザ素子のファーフィールドパターン(FFP)は水平方向が6.0°、垂直方向が20.8°であった。本実施例の窒化物半導体レーザ素子においては活性層13の第1のリッジストライプ外領域15bを可飽和吸収領域として利用しており、通常の窒化物半導体レーザ素子に比べて、水平方向の光閉じ込めを意図的に弱くしていることから、FFPの水平方向を小さい値としている。
次に、光オシロスコープにて、本実施例の窒化物半導体レーザ素子の自励発振の有無を確認したところ、連続発振状態で2mW〜18mWの範囲で自励発振が確認された。ここで、自励振動周波数は、1.3GHz〜2.4GHzであった。この光出力範囲および自励振動周波数は、BDでの再生用途として利用可能な値である。
次に、本実施例の窒化物半導体レーザ素子の可干渉性を評価したところ、自励発振時のγは60%以下であった。通常の窒化物半導体レーザ素子ではほぼ100%であるため、自励発振により多モード発振状態となって可干渉性が低下しているといえる。
以上のように、本実施例の窒化物半導体レーザ素子は、閾値電流が実用上全く問題ないレベルであり、高出力まで自励発振が維持され、△n調整タイプ型であるために閾値電流近傍での光出力の急激な立ち上がりも発生せず、BDなどの光ディスク装置用の光源として非常に有用なものである。すなわち、本実施例の窒化物半導体レーザ素子を用いた場合には、高周波重畳回路を付与する必要がないため、光ディスク装置の低コスト化および小型化が可能となる。
また、本実施例の窒化物半導体レーザ素子の窒化物半導体積層構造体の構成を変えて発振波長をたとえば445nmや525nmとすることによっても上記と同様の特性が得られ、スペックルノイズの低減効果があるため、本実施例の窒化物半導体レーザ素子は、ディスプレイなどの画像表示装置用の光源としても非常に有用である。
以上の効果は、△n調整タイプの自励発振型の窒化物半導体レーザ素子において、第1のリッジストライプ外領域15bの可飽和吸収領域におけるp型窒化物半導体層14とn型窒化物半導体層12とを電気的に接続することによって可飽和吸収領域におけるキャリア寿命を低減するとともに、第1のpコンタクト電極17と第2のpコンタクト電極18との間の分離領域24におけるp型窒化物半導体層14の少なくとも一部を高抵抗化して高抵抗領域24aを形成することによって、第1のpコンタクト電極17と第2のpコンタクト電極18との間の電流リークによる閾値電流の上昇を抑えることによって発現する。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明の窒化物半導体レーザ素子は、BDなどの光ディスク装置用の光源だけでなくディスプレイなどの画像表示装置用の光源としても好適に利用することができる。
1 窒化物半導体レーザ素子、10 窒化物半導体積層構造体、11 基板、12 n型窒化物半導体層、13 活性層、14 p型窒化物半導体層、15 第1のリッジストライプ部、15a 第1のリッジストライプ内領域、15b 第1のリッジストライプ外領域、16 第2のリッジストライプ部、16a 第2のリッジストライプ内領域、16b 第2のリッジストライプ外領域、17 第1のpコンタクト電極、18 第2のpコンタクト電極、19 n電極、20 絶縁膜、21 pパッド電極、22 側面、23 底面、24 分離領域、24a 高抵抗領域、25 電流注入領域、26 溝、27 ワイヤ、31 エッチングマスク、51,71 レジスト層、81 イオン。
Claims (18)
- 基板と、
前記基板上に順次積層された、n型窒化物半導体層と、活性層と、p型窒化物半導体層とを含む窒化物半導体積層構造体と、を備え、
前記窒化物半導体積層構造体にリッジストライプ部が設けられた窒化物半導体レーザ素子であって、
前記リッジストライプ部の電流注入領域の上部に設けられた第1のpコンタクト電極と、
前記リッジストライプ部の横側に設けられて前記第1のpコンタクト電極とは分離領域によって電気的に分離された第2のpコンタクト電極と、を有しており、
前記第2のpコンタクト電極は、前記p型窒化物半導体層および前記n型窒化物半導体層のそれぞれと電気的に接続されており、
前記分離領域におけるp型窒化物半導体層の少なくとも一部に溝が設けられている、窒化物半導体レーザ素子。 - 前記溝の底面が、前記活性層よりも前記p型窒化物半導体層側に位置していることを特徴とする、請求項1に記載の窒化物半導体レーザ素子。
- 前記溝の底面が、前記活性層よりも前記n型窒化物半導体層側に位置していることを特徴とする、請求項1に記載の窒化物半導体レーザ素子。
- 前記溝には絶縁膜が埋め込まれており、前記絶縁膜の屈折率が2以上であることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の窒化物半導体レーザ素子。
- 基板と、
前記基板上に順次積層された、n型窒化物半導体層と、活性層と、p型窒化物半導体層とを含む窒化物半導体積層構造体と、を備え、
前記窒化物半導体積層構造体にリッジストライプ部が設けられた窒化物半導体レーザ素子であって、
前記リッジストライプ部の電流注入領域の上部に設けられた第1のpコンタクト電極と、
前記リッジストライプ部の横側に設けられて前記第1のpコンタクト電極とは分離領域によって電気的に分離された第2のpコンタクト電極と、を有しており、
前記第2のpコンタクト電極は、前記p型窒化物半導体層および前記n型窒化物半導体層のそれぞれと電気的に接続されており、
前記分離領域におけるp型窒化物半導体層の少なくとも一部が、前記電流注入領域におけるp型窒化物半導体層よりも高抵抗である、窒化物半導体レーザ素子。 - 前記分離領域におけるp型窒化物半導体層の高抵抗である領域は、イオン注入により高抵抗とされたことを特徴とする、請求項5に記載の窒化物半導体レーザ素子。
- 前記イオン注入に用いられたイオン種が、水素、窒素、酸素、フッ素、ベリリウムおよびホウ素からなる群から選択された少なくとも1種のイオンであることを特徴とする、請求項6に記載の窒化物半導体レーザ素子。
- 前記第2のpコンタクト電極は、前記n型窒化物半導体層および前記p型窒化物半導体層の両方に接していることを特徴とする、請求項1から7のいずれかに記載の窒化物半導体レーザ素子。
- 前記n型窒化物半導体層に電気的に接続するn電極をさらに備え、
前記第2のpコンタクト電極は、前記n電極とワイヤボンディングにより電気的に接続されていることを特徴とする、請求項1から7のいずれかに記載の窒化物半導体レーザ素子。 - 前記第1のpコンタクト電極を覆うようにして設けられて前記第1のpコンタクト電極と電気的に接続されたpパッド電極をさらに備え、
前記第2のpコンタクト電極は、前記pパッド電極と電気的に絶縁されていることを特徴とする、請求項1から9のいずれかに記載の窒化物半導体レーザ素子。 - 前記pパッド電極は、前記第2のpコンタクト電極の横側に設けられていることを特徴とする、請求項10に記載の窒化物半導体レーザ素子。
- 前記リッジストライプ部よりも大きく前記リッジストライプ部を包含する他のリッジストライプ部を有し、
前記他のリッジストライプ部の側面は前記n型窒化物半導体層を含み、
前記第2のpコンタクト電極は、少なくとも前記他のリッジストライプ部の側面に設けられていることを特徴とする、請求項1から11のいずれかに記載の窒化物半導体レーザ素子。 - 前記第2のpコンタクト電極が、前記他のリッジストライプ部の上面から側面にかけて連続的に設けられていることを特徴とする、請求項12に記載の窒化物半導体レーザ素子。
- 前記第2のpコンタクト電極と前記p型窒化物半導体層との間のコンタクト抵抗が、前記第1のpコンタクト電極と前記p型窒化物半導体層との間のコンタクト抵抗よりも大きいことを特徴とする、請求項1から13のいずれかに記載の窒化物半導体レーザ素子。
- 前記第2のpコンタクト電極が透明導電膜であることを特徴とする、請求項1から14のいずれかに記載の窒化物半導体レーザ素子。
- 自励発振特性を有することを特徴とする、請求項1から15のいずれかに記載の窒化物半導体レーザ素子。
- 請求項1から16のいずれかに記載の窒化物半導体レーザ素子を光源とした、光ディスク装置。
- 請求項1から16のいずれかに記載の窒化物半導体レーザ素子を光源とした、画像表示装置。
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