JP2010264446A - 流体流れ性に優れた構造体 - Google Patents

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和之 山下
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Abstract

【課題】接着剤(粘着剤を含む)を使用することなく、容易に密着接合でき、かつ、接合面の凹部形状をそのまま維持することができる密着接合性に優れるとともに、流路を形成した場合に流体の流れ性に優れる構造体の提供を目的とする。
【解決手段】合成樹脂組成物中のポリプロピレン系樹脂の含有量が70〜30質量%、水素添加誘導体の含有量が30〜70質量%であり、構造体の表面はポリマーブロックXがPP相に相溶せずにミクロドメインを形成しており、ポリマーブロックYがPP相の非晶領域部分に相溶した構造であり、流体の流れ性評価として、前記流路にインクを注入した場合に、当該インクの流れ先端が凹んだ形状になり大気圧中で自然に流れ込み、また、この合成樹脂組成物からなる射出成形品は、密着接合性に優れる(但し、X:ポリプロピレン系樹脂に相溶しないポリマーブロック、Y:共役ジエンのエラストマー性ポリマーブロックである。)。
【選択図】 図1

Description

本発明は、接着剤等を用いずに密着接合できるとともに流体の流れ性をインクの流れで評価した場合にそのインクの流れ性に優れた構造体に関する。
接合面を有する組み立て構造体として、接着剤を残すことなく繰り返し剥離可能で且つ新たに再貼付可能である組み立て構造体は以前から知られており、ラベル、粘着付箋紙、粘着テープ等に使用されている。
しかし、粘着剤層を形成する必要がある。
特開2003−220330号公報には、2枚の基板の最高ガラス転移温度の差が0〜150℃の範囲にあるような2層の透明ポリオレフィン基板で構成し、それらを加熱接合する技術を開示する。
しかし、熱圧着温度が130℃〜190℃と高温であり、接合面に微小凹部を形成した場合に凹部形状を必ずしも維持できない。
特表2002−510567号公報には、凹所を有するポリマー支持体にポリマー被覆部材をガラス転移温度まで徐々に加熱し、接着剤なしで接合する技術を開示する。
しかし、この技術は、ガラス転移温度を越えるまで30分〜3時間もかけて徐々に昇温し、昇温した温度を15分〜45分も維持し、さらには1時間〜3.5時間もかけてゆっくり冷却しなければならず、多くの工数が必要である。
また、従来の樹脂射出成形品は流路を形成し、この流路にインクを流した場合に流れ先端が凸形状になり、流れ性が不充分であった。
特開2003−220330号公報 特表2002−510567号公報
本発明は、上記従来技術に有する技術課題に鑑みて、接着剤(粘着剤を含む)を使用することなく、容易に密着接合でき、かつ、接合面の凹部形状をそのまま維持することができる密着接合性に優れるとともに、流路を形成した場合に流体の流れ性に優れる構造体の提供を目的とする。
本発明に係る流体流れ性に優れた構造体は、第1の成分がポリプロピレン系樹脂であり、第2の成分が一般式X−Yで表記されるブロックコポリマーの水素添加誘導体である2種以上の合成樹脂成分からなる合成樹脂組成物を用いて射出成形により、表面に二次元または三次元のミクロ流路ないしナノ流路を成形してなる構造体であって、前記合成樹脂組成物中のポリプロピレン系樹脂の含有量が70〜30質量%、水素添加誘導体の含有量が30〜70質量%であり、構造体の表面はポリマーブロックXがPP相(ポリプロピレン相)に相溶せずにミクロドメインを形成しており、ポリマーブロックYがPP相の非晶領域部分に相溶した構造であり、流体の流れ性評価として、前記流路にインクを注入した場合に、当該インクの流れ先端が凹んだ形状になり大気圧中で自然に流れ込むことを特徴とする。
(但し、X:ポリプロピレン系樹脂に相溶しないポリマーブロック、Y:共役ジエンのエラストマー性ポリマーブロックである。)
また、本発明に係る構造体は、密着接合性に優れ、第1の成分がポリプロピレン系樹脂であり、第2の成分が一般式X−Yで表記されるブロックコポリマーの水素添加誘導体である2種以上の合成樹脂成分からなる合成樹脂組成物を用いて射出成形により、二次元または三次元のミクロ流路ないしナノ流路を成形してなる構造体であって、前記合成樹脂組成物中のポリプロピレン系樹脂の含有量が70〜30質量%、水素添加誘導体の含有量が30〜70質量%であり、前記構造体は前記合成樹脂組成物を用いた同種組成ないし異種組成の2つ以上の射出成形品を、接着剤を使用せずに接合されたものであり、
構造体の各射出成形品は少なくとも接合しようとする部位に平滑面を有し、結晶量がポリプロピレン樹脂単体と比較して80%以下であり、結晶領域の融点と、当該結晶領域に連続する非晶領域の相のガラス転移温度との差が50℃以上あることを特徴とする。
ここで、密着接合性に優れるとは、射出成形品を、連続する相(結晶領域に連続する非晶領域の相)のガラス転移温度以上に加熱することにより、密着性あるいは粘着性が発現し、接合面に接着剤や粘着剤層を用いることなく接合できる性質をいう。
従って、密着性の観点から非晶領域が多い方が好ましく、結晶化度で50%以下が良い。
また、本発明に係る構造体は、流路を形成すると流体の流れ性に優れ、インクを用いて流れ性を評価するとインクの流れ先端が凹んだ形状になり、流路側壁とのぬれ性が良い。
本発明に用いる射出成形品にあっては、例えば、第1の合成樹脂成分と第2の合成樹脂成分を混合(配合)した樹脂組成物において、第1の合成樹脂成分と第2の合成樹脂成分が相溶していることにより、混合した樹脂組成物の透明度がいずれか透明度の低い樹脂の透明度よりも低下しない。
なお、相溶については後で詳述する。
例えば、上記のような射出成形品を2つ接合する場合に、便宜上第1の射出成形品の平滑面と第2の射出成形品の平滑面とが、第1と第2の射出成形品の内、結晶領域に連続する非晶領域の相のガラス転移温度の高い方の温度以上で、結晶領域の融点の低い方の温度以下の範囲で加熱接合できる。
従って、第1の射出成形品と第2の射出成形品とが同じ合成樹脂成分配合である必要はない。
また、結晶領域の融点と、結晶領域に連続する非晶領域の相のガラス転移温度との差は50℃以上がよいが、好ましくは100℃以上差があった方が結晶領域の融点より低い温度で樹脂の形状を維持しつつ、連続する相(結晶領域に連続する非晶領域の相)のガラス転移温度以上で加熱する範囲が広くなりよい。
このような温度範囲で加熱接合するものであるから、接合面に微小凹部を形成しても、その凹部形状をそのまま維持することができる。
2種以上の合成樹脂成分を混合しても単独で透明度の低い合成樹脂成分よりも透明度が低くならない樹脂組成物としては、2種以上の合成樹脂成分における第1の成分がポリプロピレン系樹脂であり、第2の成分が一般式X−Yで表記されるブロックコポリマーの水素添加誘導体の組み合わせであってよい。
但し、X:ポリプロピレン系樹脂に相溶しないポリマーブロック、Y:共役ジエンのエラストマー性ポリマーブロックである。
この場合に、ポリプロピレン系樹脂単独の結晶量を100%としたときの融解熱比で、射出成形品の結晶量が80%以下であるのが好ましい。
ここで、ポリマーブロックXは、ポリプロピレン系樹脂に相溶しないポリマーブロックであり、ポリマーブロックYは、共役ジエンのエラストマー性ポリマーブロックである。 ポリプロピレン系樹脂としては、ホモポリマー又は、エチレン、ブテン−1、ヘキセン−1などのα−オレフィンを含むランダムコポリマーを用いることができる。
また、一般式X−Yで表記されるブロックコポリマーの水素添加誘導体には、(X−Y)nにおいてn=1〜5の範囲にあるものや、X−Y−X、Y−X−Y等が含まれる。
水素添加誘導体のポリマーブロックXとしては、ポリスチレン系とポリオレフィン系のものがあり、ポリスチレン系のものは、スチレン、α−メチルスチレン、ο−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセンのうちから選択された1種又は2種以上のビニル芳香族化合物をモノマー単位として構成されるポリマーブロックが挙げられる。
スチレン成分はポリプロピレン系樹脂等との相溶性が低いので、その割合が高くなるとポリプロピレンとの混合に時間を要するので、スチレン成分の多い水素添加誘導体を用いるときはマスターバッチ化し、予め十分に混合しておくのが良い。
また、ポリオレフィン系のものは、エチレンと炭素数3〜10のα−オレフィンの共重合体がある。
更に非共役ジエンが共役重合されていても良い。
オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン等である。
非共役ジエンとしては、例えば、1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,5−ヘキサジエン、1,4−オクタジエン、シクロヘキサジエン、シクロオクタジエン、シクロペンタジエン、5−エチリデー2−ノルボネル、5−ブチリデン−2−ノルボネル、2−イソプロペニル−5−ネルボルネン等がある。
共重合体の具体例としては、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体、エチレン−プロピレン−1,4−ヘキサジエン共重合体、エチレン−プロピレン−5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体等が挙げられる。
ポリマーブロックYの水素添加前のものとして、2−ブテン−1,4−ジイル基又はビニルエチレン基の少なくとも1種の基をモノマー単位として構成される1,2結合及び/又は1,4結合のポリブタジエンや、また2−メチル−2−ブテン−1,4−ジイル基、イソプロペニルエチレン基及び1−メチル−1−ビニルエチレン基からなる群から選択される少なくとも1種の基をモノマー単位として構成される1,2結合、3,4結合及び/又は1,4結合のポリイソプレンが挙げられる。
更に水素添加前のポリマーブロックYとして、イソプレン単位及びブタジエン単位を主体とするモノマー単位からなるイソプレン/ブタジエン共重合体で、イソプレン単位が2−メチル−2−ブテン−1,4−ジイル基、イソプロペニルエチレン基及び1−メチル−1−ビニルエチレン基からなる群から選ばれるすくなくとも1種の基であり、ブタジエン単位が2−ブテン−1,4−ジイル基及び/又はビニルエチレン基であるものが挙げられる。
ブタジエン単位とイソプレン単位の配置は、ランダム状、ブロック状、テーパブロック状のいずれの形態になっても良い。
また、ポリマーブロックYの水素添加前のものとして、ビニル芳香族化合物単位及びブタジエン単位を主体とするモノマー単位からなるビニル芳香族化合物/ブタジエン共重合体で、ビニル芳香族化合物単位が、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセンのうちから選択された1種のモノマー単位であり、ブタジエン単位が、2−ブテン1,4−ジイル基及び/又はビニルエチレン基である共重合体が挙げられる。 ビニル芳香族化合物単位とブタジエン単位の配置は、ランダム状、ブロック状、テーパブロック状のいずれの形態になっても良い。
上記のようなポリマーブロックYにおける水素添加の状態は、部分水素添加であっても、また完全水素添加であっても良い。
水素添加誘導体の添加割合は、密着性及び成形性に影響を与え、密着性を確保するにはポリプロピレン系樹脂との混合率において水素添加誘導体の分率は30質量%以上が良く、好ましくは40質量%、さらに好ましくは50質量%以上が良い。
一方、射出成形にてバリ発生を防止するために70質量%以下が良い。
次に、相溶と本発明における密着(粘着)挙動について説明する。
ポリプロピレン系樹脂に、上記に示したX−Yで表記されるブロックコポリマーの水素添加誘導体を混合すると、図7に示すような模式図として表現できる。
図7に示したPP相とは、ポリプロピレン相を示し、結晶部分と非晶領域部分が混在している。
水素添加物誘導体は、Y−X−Y状のブロックコポリマーであり、ポリマーブロックXが中核となりそのまわりにポリマーブロックYが放射状に延びている状態にある。
ポリマーブロックXがPP相に相溶せずにミクロメドインを形成するが、ポリマーブロックYがPP相の非晶領域部分と入り混じり相溶している。
従って、本発明にて連続する相(結晶領域に連続する非晶領域の相)のガラス転移温度とは、PP相の非晶領域とPP・・Yの混在している非晶領域とXの非晶領域が連続している相のガラス転移温度をいう。
図2の表にポリプロピレン樹脂(出光石油化学株式会社製、J−3021GR)に水素添加誘導体(株式会社クラレ製ハイブラー7311S)を混合配合した樹脂組成物の物性値を示す。
図2の表中、結晶量はDSCにて融解熱を測定し、PP(ポリプロピレン)単体を100%とした時の比から算出した。
融点はDSCにて測定した融解ピーク温度の値を示し、ガラス転移温度は動的粘弾性測定装置で測定したtan(−δ)のピーク温度を示す。
この図2の表から結晶領域の融点には大きな差は認められないが、連続する相(結晶領域に連続する非晶領域の相)のガラス転移温度はポリマーブロックYとポリプロピレン相(PP相)の非晶領域とが相溶して新たなガラス転移温度を形成し、大きく低下し、図2の表で結晶領域の融点(PP結晶)(Tm)と、連続する相のガラス転移温度(Tg)との差(Tm−Tg)が水素添加誘導体の割合の増加とともに大きくなっている。
また、厚さ2.5mmのヘーズ値を示すように、ポリプロピレン100%に対して水素添加誘導体を混合すると相溶により透明度が向上している。
このように、非晶領域が多く結晶量を少なくとも80%以下で結晶領域の融点と、連続する相(結晶領域に連続する非晶領域の相)のガラス転移温度との差が50℃以上あると、そのような射出成形品を平滑面で相互に接触し、連続する相のガラス転移温度以上に加熱することにより、接合面間の平滑面における非晶領域が相互に密着し接合されることになる。
本発明においては、複数の射出成形品の平滑面を重ね合わせ、軽く加圧しつつ、最も低い連続する相のガラス転移温度以上に加熱するだけで密着接合し、各種構造体を得ることができる。
このような構造体としては、マイクロアレイ、マイクロタス、マイクロリアクター等と称する各種マイクロチップに広く適用できる。
マイクロアレイとは、数μm〜数十μmの微細な凹部を整列させたマイクロチップをいい、マイクロタスとは、基板上に溶液ないし気体が流れる微小な溝(マイクロチャンネル)のネットワークを作成し、生化学の操作や検出を1枚のチップ上に集積化、小型化したマイクロチップをいう。
また、マイクロリアクターとは、数μm〜数百μmの微小な流路によるマイクロ空間内の現象を利用した化学反応、物質生産のための混合、反応、分離などを可能にしたマイクロチップをいう。
さらに、また本発明における密着性及び流体の流れ性に優れた構造体は、2枚以上の樹脂製単位プレートを相互に密着接合し、二次元又は三次元のミクロ流路ないしナノ流路を有するマイクロチップ本体部に適用でき、マイクロ凹部形成を含めたマイクロケミカル技術に適用されるチップの全てが対象となる。
この流路に流体を流すと大気圧下で自然に流れる。
また、本発明に係る密着性及び流体の流れ性に優れた構造体はマイクロウエルアレイチップに液漏れ防止枠を接合してマイクロチップとしても適用できる。
マイクロウエルアレイチップ上に細胞を整列し、各種生化学反応、生化学検査をする際に、マイクロウエルアレイチップに適下した試験液が周囲に漏れないように液漏れ防止枠をチップ上に取り付ける。
その場合に、本発明に係る合成樹脂成分配合でマイクロウエルアレイチップと液漏れ防止枠とをそれぞれ射出成形して製造すると、このマイクロウエルアレイチップと液漏れ防止枠との密着性が非常に良く、重ね合わせるだけで液漏れを防止できる。
本発明においては、第1の成分がポリプロピレン系樹脂であり、第2の成分が一般式X−Yで表記されるブロックコポリマーの水素添加誘導体であり、この樹脂組成物を用いた射出成形品の結晶量が、ポリプロピレン樹脂単体と比較して80%以下であり、結晶領域の融点と、結晶領域に連続する非晶領域の相のガラス転移温度の差が50℃以上ある樹脂組成物を用い、射出成形品を得ることで、接合面の密着性が優れ、接合面に汚れが生じない限り剥がしても繰り返し組み立てることができる構造体として使用できるのみならず、流路を形成した場合に流体の流れ性がよく、その流れ性をインクを用いて試験すると、インクの流れ先端が凹んだ形状になる。
マイクロチップの密着性、成形性の評価結果を示す。 ポリプロピレン系樹脂に水素添加誘導体を配合した場合の物性値変化を示す。 評価に用いた試験サンプルの構造を示す。 2層の構造体の例を示す。 複数の射出成形品からなるマイクロチップ本体部の構造例を示す。 マイクロウエルアレイチップと液漏れ防止枠の組み合せ例を示す。 相溶状態を表した模式図を示す。 マイクロチャンネル部のインクの流れを観察した拡大写真を示す。
第1の合成樹脂成分として、ポリプロピレン樹脂のランダムコポリマー(射出成形用の出光石油化学株式会社製のJ−3021GR、MFR33g/10min、密度0.9g/cm、引張弾性率1000MPa、曲げ弾性率1000MPa、ロックウエル硬度76R)を用い、第2の合成樹脂成分として水素添加誘導体(株式会社クラレ製ハイブラー7311S、水添ポリスチレン・ビニルーポリイソプレン・ポリスチレンブロック共重合体で、スチレン含有率12質量%)とを各種配合割合を変えて、樹脂組成物を調合し、図3に示すような接合性評価試験サンプルを射出成形した。
試験サンプルは、第1の射出成形品としてマイクロチップ本体部1(マイクロチャンネル)を想定した流路1c、反応部あるいは試料注入部を想定したインク注入部1a及びインク溜り部1bをそれぞれ形成してある。
ここで、流路1cは深さ50μm、幅50μm、長さ14mmとなっている。
第2の射出成形品として、保護プレート2には、マイクロチップ本体部に対応させてインク注入口2a、インク溜まり口2bを形成している。
マイクロチップ本体部1に保護プレート2を重ね、約2kg荷重を付加し、約80℃で30分加温した。
荷重条件、加温条件は、マイクロチップ本体部及び保護プレートの低い方の結晶領域の融点以下で、いずれか高い方の連続する相(結晶領域に連続する非晶領域の相)のガラス転移温度以上の範囲で適宜設定すれば良いが、量産性を考えると、加温保持温度40〜100℃、加温時間10分〜30分、押さえ加重0.1〜1kg/1平方センチメートルが良い。
上記のようにして製作したマイクロチップを用いて下記のように評価した。
インク注入部1aから赤色のインク(シャチハタ株式会社製 Xstanper補充液)を注入し流路からインク溜まりまで流し込み、そのときの注入圧水準をふって、図3に模式的にインク漏れを3で示したように接合部にインクが漏れる流路破壊圧を測定した。
図1の表には流路破壊圧と共に密着性として評価した場合を示し、成形性についても評価した。
密着性については、表中、「◎」:実用上特に優れているレベル、「○」:実用上全く問題がなく、「△」:実用上問題はないが耐久性にやや心配があるレベル、「×」:製品として使用するには問題があるレベルをいう。
成形性については、「◎」:製品上も生産性上も問題がなく、「○」:ややバリが発生し、「△」:製品として問題がないがバリが発生するレベルである。
これにより、水素添加誘導体の配合割合は30%以上必要で、70%を越えると成形の安定性が低下することが明らかになった。
結晶量でいうと、密着性を確保するには80%以下がよい。
また、このときのインクの流れを観察した拡大写真を図8に示す。
このような合成樹脂成分配合からなる樹脂組成物を用いると、インクの流れ先端が凹んだ形状になり大気圧中で自然に流れ込み、その速度が約3mm/分で注入に外圧をかける必要がないことも明らかになった。
図4には、本発明をマイクロリアクタに適用したマイクロチップの適用例を示す。
マイクロチップ本体部10に、反応室15及び試料液室11、12、13、14等を流路16にて連結したマイクロチャンネルを形成する。
これに試料液の注入口あるいは取り出し口21、22、23、24を形成した保護プレート20を重ね、加温接合してマイクロチップを得る。
図5には、第1プレート30及び第2プレート40を本発明に係る樹脂組成物を用いて射出成形品として製造した。
第1プレート30と第2プレートは、必ずしも合成樹脂成分の配合割合が同一である必要はない。
第1プレート30には、ミクロないしはナノレベルの流路31、32、33・・・がマイクロチャンネルとして形成してあり、第2プレート40には流路開口部41aに蓋体42を用いたりして流路41を形成してあり、この第1プレート30と第2プレート40を相互の平滑面を介して密着接合することで二次元又は三次元のマイクロチップ本体部を形成することができる。
また、第2プレートの流路開口部41aと蓋体42との接合にも本発明を利用できる。
このような構造体に、液の注入又は排出のチューブ35を連結する場合にアダプター34を本発明に係る合成樹脂成分配合からなる樹脂組成物を用いて射出成形品にすると、アダプター34の平滑面34aと第1プレート30の平滑面30aを介して容易に密着接合できる。
図6にマイクロウエルアレイチップと液漏れ防止枠の組み合わせ例を示す。
マイクロウエル領域52を形成したマイクロウエルアレイチップ51と、開口部53aを形成した液漏れ防止枠53を本発明に係る合成樹脂成分配合からなる樹脂組成物を用いて射出成形して製造すると、重ね合わせるだけでマイクロチップ構造体となる。
なお、顕微鏡等の検出装置に装着するためのチップホルダー50も本発明に係る射出成形品とすることもできる。
チップホルダー50に想像線で示した開口部50aを形成すると、透過型検出装置用にも展開できる。
1、10 マイクロチップ本体部
2、20 保護プレート
30 第1プレート
40 第2プレート

Claims (3)

  1. 第1の成分がポリプロピレン系樹脂であり、第2の成分が一般式X−Yで表記されるブロックコポリマーの水素添加誘導体である2種以上の合成樹脂成分からなる合成樹脂組成物を用いて射出成形により、表面に二次元または三次元のミクロ流路ないしナノ流路を成形してなる構造体であって、
    前記合成樹脂組成物中のポリプロピレン系樹脂の含有量が70〜30質量%、水素添加誘導体の含有量が30〜70質量%であり、
    構造体の表面はポリマーブロックXがPP相に相溶せずにミクロドメインを形成しており、ポリマーブロックYがPP相の非晶領域部分に相溶した構造であり、
    流体の流れ性評価として、前記流路にインクを注入した場合に、当該インクの流れ先端が凹んだ形状になり大気圧中で自然に流れ込むことを特徴とする、流体流れ性に優れた構造体(但し、X:ポリプロピレン系樹脂に相溶しないポリマーブロック、Y:共役ジエンのエラストマー性ポリマーブロックである。)。
  2. 第1の成分がポリプロピレン系樹脂であり、第2の成分が一般式X−Yで表記されるブロックコポリマーの水素添加誘導体である2種以上の合成樹脂成分からなる合成樹脂組成物を用いて射出成形により、二次元または三次元のミクロ流路ないしナノ流路を成形してなる構造体であって、
    前記合成樹脂組成物中のポリプロピレン系樹脂の含有量が70〜30質量%、水素添加誘導体の含有量が30〜70質量%であり、
    前記構造体は前記合成樹脂組成物を用いた同種組成ないし異種組成の2つ以上の射出成形品を、接着剤を使用せずに接合されたものであり、
    構造体の各射出成形品は少なくとも接合しようとする部位に平滑面を有し、結晶量がポリプロピレン樹脂単体と比較して80%以下であり、結晶領域の融点と、当該結晶領域に連続する非晶領域の相のガラス転移温度との差が50℃以上あり、流体流れ性に優れた構造体(但し、X:ポリプロピレン系樹脂に相溶しないポリマーブロック、Y:共役ジエンのエラストマー性ポリマーブロックである。)。
  3. 構造体がマイクロアレイ、マイクロタス、マイクロリアクターのうち、いずれかのマイクロチップであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の流体流れ性に優れた構造体。
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