JP4630967B2 - 密着接合性構造体 - Google Patents
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しかし、粘着剤層を形成する必要がある。
しかし、熱圧着温度が130℃〜190℃と高温であり、接合面に微小凹部を形成した場合に凹部形状を必ずしも維持できない。
しかし、この技術は、ガラス転移温度を越えるまで30分〜3時間もかけて徐々に昇温し、昇温した温度を15分〜45分も維持し、さらには1時間〜3.5時間もかけてゆっくり冷却しなければならず、多くの工数が必要である。
ここで、接着剤を使用せずに接合とは、射出成形品を、連続する相のガラス転移温度以上に加熱することにより、密着性あるいは粘着性を発揮させる接合をいい、接合面に接着剤や粘着剤層を用いる必要がないことをいう。
従って、密着性の観点から非晶領域が多い方が好ましく、結晶量で80%以下が良い。
例えば、第1の合成樹脂成分と第2の合成樹脂成分を混合(配合)した樹脂組成物において、第1の合成樹脂成分と第2の合成樹脂成分が相溶していることにより、混合した樹脂組成物の透明度がいずれか透明度の低い樹脂の透明度よりも低下しないことをいう。
なお、相溶については後で詳述する。
従って、第1の射出成形品と第2の射出成形品とが同じ合成樹脂成分配合である必要はない。
また、結晶領域の融点と、連続する相のガラス転移温度との差は50℃以上がよいが、好ましくは100℃以上差があった方が結晶領域の融点より低い温度で樹脂の形状を維持しつつ、連続する相のガラス転移温度以上で加熱する範囲が広くなりよい。
このような温度範囲で加熱接合するものであるから、接合面に微小凹部を形成しても、その凹部形状をそのまま維持することができる。
但し、X:ポリプロピレン系樹脂に相溶しないポリマーブロック、Y:共役ジエンのエラストマー性ポリマーブロックである。
この場合に、ポリプロピレン系樹脂単独の結晶量を100%としたときの融解熱比で、射出成形品の結晶量が80%以下であるのが好ましい。
ここで、ポリマーブロックXは、ポリプロピレン系樹脂に相溶しないポリマーブロックであり、ポリマーブロックYは、共役ジエンのエラストマー性ポリマーブロックである。 ポリプロピレン系樹脂としては、ホモポリマー又は、エチレン、ブテン−1、ヘキセン−1などのα−オレフィンを含むランダムコポリマーを用いることができる。
また、一般式X−Yで表記されるブロックコポリマーの水素添加誘導体には、(X−Y)nにおいてn=1〜5の範囲にあるものや、X−Y−X、Y−X−Y等が含まれる。
スチレン成分はポリプロピレン系樹脂等との相溶性が低いので、その割合が高くなるとポリプロピレンとの混合に時間を要するので、スチレン成分の多い水素添加誘導体を用いるときはマスターバッチ化し、予め十分に混合しておくのが良い。
また、ポリオレフィン系のものは、エチレンと炭素数3〜10のα−オレフィンの共重合体がある。
更に非共役ジエンが共役重合されていても良い。
オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン等である。
非共役ジエンとしては、例えば、1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,5−ヘキサジエン、1,4−オクタジエン、シクロヘキサジエン、シクロオクタジエン、シクロペンタジエン、5−エチリデー2−ノルボネル、5−ブチリデン−2−ノルボネル、2−イソプロペニル−5−ネルボルネン等がある。
共重合体の具体例としては、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体、エチレン−プロピレン−1,4−ヘキサジエン共重合体、エチレン−プロピレン−5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体等が挙げられる。
更に水素添加前のポリマーブロックYとして、イソプレン単位及びブタジエン単位を主体とするモノマー単位からなるイソプレン/ブタジエン共重合体で、イソプレン単位が2−メチル−2−ブテン−1,4−ジイル基、イソプロペニルエチレン基及び1−メチル−1−ビニルエチレン基からなる群から選ばれるすくなくとも1種の基であり、ブタジエン単位が2−ブテン−1,4−ジイル基及び/又はビニルエチレン基であるものが挙げられる。
ブタジエン単位とイソプレン単位の配置は、ランダム状、ブロック状、テーパブロック状のいずれの形態になっても良い。
一方、射出成形にてバリ発生を防止するために70重量%以下が良い。
ポリプロピレン系樹脂に、上記に示したX−Yで表記されるブロックコポリマーの水素添加誘導体を混合すると、図7に示すような模式図として表現できる。
図7に示したPPとは、ポリプロピレン相を示し、結晶部分と非晶領域部分が混在している。
水素添加物誘導体は、Y−X−Y状のブロックコポリマーであり、ポリマーブロックXが中核となりそのまわりにポリマーブロックYが放射状に延びている状態にある。
ポリマーブロックXがPP相に相溶せずにミクロメドインを形成するが、ポリマーブロックYがPP相の非晶領域部分と入り混じり相溶している。
従って、本発明にて連続する相のガラス転移温度とは、PP相の非晶領域とPP・・Yの混在している非晶領域とXの非晶領域が連続している相のガラス転移温度をいう。
図2の表中、結晶量はDSCにて融解熱を測定し、PP(ポリプロピレン)単体を100%とした時の比から算出した。
融点はDSCにて測定した融解ピーク温度の値を示し、ガラス転移温度は動的粘弾性測定装置で測定したtan(−δ)のピーク温度を示す。
この図2の表から結晶領域の融点には大きな差は認められないが、連続する相のガラス転移温度はポリマーブロックYとポリプロピレン相(PP相)の非晶領域とが相溶して新たなガラス転移温度を形成し、大きく低下し、図2の表で結晶領域の融点(PP結晶)(Tm)と、連続する相のガラス転移温度(Tg)との差(Tm−Tg)が水素添加誘導体の割合の増加とともに大きくなっている。
また、厚さ2.5mmのヘーズ値を示すように、ポリプロピレン100%に対して水素添加誘導体を混合すると相溶により透明度が向上している。
マイクロアレイとは、数μm〜数十μmの微細な凹部を整列させたマイクロチップをいい、マイクロタスとは、基板上に溶液ないし気体が流れる微小な溝(マイクロチャンネル)のネットワークを作成し、生化学の操作や検出を1枚のチップ上に集積化、小型化したマイクロチップをいう。
また、マイクロリアクターとは、数μm〜数百μmの微小な流路によるマイクロ空間内の現象を利用した化学反応、物資生産のための混合、反応、分離などを可能にしたマイクロチップをいう。
さらに、また本発明における構造体は、2枚以上の樹脂製単位プレートを相互に密着接合し、二次元又は三次元のミクロ流路ないしナノ流路を有するマイクロチップ本体部に適用でき、マイクロ凹部形成を含めたマイクロケミカル技術に適用されるチップの全てが対象となる。
マイクロウエルアレイチップ上に細胞を整列し、各種生化学反応、生化学検査をする際に、マイクロウエルアレイチップに適下した試験液が周囲に漏れないように液漏れ防止枠をチップ上に取り付ける。
その場合に、本発明に係る樹脂組成物でマイクロウエルアレイチップと液漏れ防止枠とをそれぞれ射出成形して製造すると、このマイクロウエルアレイチップと液漏れ防止枠との密着性が非常に良く、重ね合わせるだけで液漏れを防止できる。
試験サンプルは、第1の射出成形品としてマイクロチップ本体部1(マイクロチャンネル)を想定した流路1c、反応部あるいは試料注入部を想定したインク注入部1a及びインク溜り部1bをそれぞれ形成してある。
ここで、流路1cは深さ50μm、幅50μm、長さ14mmとなっている。
第2の射出成形品として、保護プレート2には、マイクロチップ本体部に対応させてインク注入口2a、インク溜まり口2bを形成している。
マイクロチップ本体部1に保護プレート2を重ね、約2kg荷重を付加し、約80℃で30分加温した。
荷重条件、加温条件は、マイクロチップ本体部及び保護プレートの低い方の結晶領域の融点以下で、いずれか高い方の連続する相のガラス転移温度以上の範囲で適宜設定すれば良いが、量産性を考えると、加温保持温度40〜100℃、加温時間10分〜30分、押さえ加重0.1〜1kg/1平方センチメートルが良い。
インク注入部1aから赤色のインク(シャチハタ株式会社製 Xstanper補充液)を注入し流路からインク溜まりまで流し込み、そのときの注入圧水準をふって、図3に模式的にインク漏れを3で示したように接合部にインクが漏れる流路破壊圧を測定した。
図1の表には流路破壊圧と共に密着性として評価した場合を示し、成形性についても評価した。
密着性については、表中、「◎」:実用上特に優れているレベル、「○」:実用上全く問題がなく、「△」:実用上問題はないが耐久性にやや心配があるレベル、「×」:製品として使用するには問題があるレベルをいう。
成形性については、「◎」:製品上も生産性上も問題がなく、「○」:ややバリが発生し、「△」:製品として問題がないがバリが発生するレベルである。
これにより、水素添加誘導体の配合割合は30%以上必要で、70%を越えると成形の安定性が低下することが明らかになった。
結晶量でいうと、密着性を確保するには80%以下がよい。
また、このときのインクの流れを観察した拡大写真を図8に示す。
本発明に係る樹脂組成物を用いると、インクの流れ先端が凹んだ形状になり大気圧中で自然に流れ込み、その速度が約3mm/分で注入に外圧をかける必要がないことも明らかになった。
マイクロチップ本体部10に、反応室15及び試料液室11、12、13、14等を流路16にて連結したマイクロチャンネルを形成する。
これに試料液の注入口あるいは取り出し口21、22、23、24を形成した保護プレート20を重ね、加温接合してマイクロチップを得る。
第1プレート30と第2プレートは、必ずしも合成樹脂成分の配合割合が同一である必要はない。
第1プレート30には、ミクロなしはナノレベルの流路31、32、33・・・がマイクロチャンネルとして形成してあり、第2プレート40には流路開口部41aに蓋体42を用いたりして流路41を形成してあり、この第1プレート30と第2プレート40を相互の平滑面を介して密着接合することで二次元又は三次元のマイクロチップ本体部を形成することができる。
また、第2プレートの流路開口部41aと蓋体42との接合にも本発明を利用できる。
このような構造体に、液の注入又は排出のチューブ35を連結する場合にアダプター34を本発明に係る樹脂組成物を用いて射出成形品にすると、アダプター34の平滑面34aと第1プレート30の平滑面30aを介して容易に密着接合できる。
マイクロウエル領域52を形成したマイクロウエルアレイチップ51と、開口部53aを形成した液漏れ防止枠53を本発明に係る樹脂組成物を用いて射出成形して製造すると、重ね合わせるだけでマイクロチップ構造体となる。
なお、顕微鏡等の検出装置に装着するためのチップホルダー50も本発明に係る射出成形品とすることもできる。
チップホルダー50に想像線で示した開口部50aを形成すると、透過型検出装置用にも展開できる。
2、20 保護プレート
30 第1プレート
40 第2プレート
Claims (4)
- 混合しても最も透明度の低い合成樹脂成分単独のものよりも、透明度の低下しない2種以上の合成樹脂成分を含む樹脂組成物を用いて射出成形してなる、同種組成ないし異種組成の2つ以上の射出成形品からなり、
2種以上の合成樹脂成分における第1の成分がポリプロピレン系樹脂であり、
第2の成分が一般式X−Yで表記されるブロックコポリマーの水素添加誘導体であり、
Xは前記ポリプロピレン系樹脂に相溶しない、ポリスチレン系又はポリオレフィン系のポリマーブロックであり、
Yは共役ジエンのエラストマー性を有し、(1,2結合及び/又は1,4結合のポリブタジエン)又は(1,2結合、3,4結合及び/又は1,4結合のポリイソプレン)のポリマーブロックであり、
当該樹脂組成物を用いた射出成形品中に前記水素添加誘導体が30〜70重量%含まれ、
各射出成形品は、ポリプロピレン系樹脂単独の結晶量を100%としたときの融解熱比で当該射出成形品の結晶量が80%以下であり、
かつ、結晶領域の融点と、当該結晶領域に連続する非晶領域の相のガラス転移温度との差が154℃〜180℃の範囲にあり、
更に少なくとも接合しようとする部位に平滑面を有しており、この平滑面を介して接着剤を使用せずに接合されていることを特徴とする、密着接合性構造体。 - 構造体がマイクロアレイ、マイクロタス、マイクロリアクターのうち、いずれかのマイクロチップであることを特徴とする、請求項1に記載の密着接合性構造体。
- 構造体がマイクロアレイに液漏れ防止枠を接合してなるマイクロチップであることを特徴とする、請求項1に記載の密着接合性構造体。
- 構造体が少なくとも2枚以上の樹脂製単位プレートが相互に接合されており、二次元又は三次元のミクロ流路ないしナノ流路を有するマイクロチップ本体部であることを特徴とする、請求項1に記載の密着接合性構造体。
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