JP2003220330A - 透明ポリマーチップ - Google Patents

透明ポリマーチップ

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JP2003220330A
JP2003220330A JP2002022807A JP2002022807A JP2003220330A JP 2003220330 A JP2003220330 A JP 2003220330A JP 2002022807 A JP2002022807 A JP 2002022807A JP 2002022807 A JP2002022807 A JP 2002022807A JP 2003220330 A JP2003220330 A JP 2003220330A
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olefin
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polyolefin substrate
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Itaru Natori
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 波長領域200〜400nmの範囲の光を吸
収する1種または2種以上の有機化合物の微量試料を、
混合、反応、合成、抽出、分離、分析するためのポリマ
ーチップを提供する。 【解決手段】 試料と接触する積層された2層のポリマ
ーフィルムにおける1層のフィルムを形成するポリマー
のガラス転移温度の最高値をTgA(℃)、他の1層のフ
ィルムを形成するポリマーのガラス転移温度の最高値を
TgB(℃)としたとき、|TgA−TgB|(絶対値)
が、0〜150℃の範囲にある透明オレフィン系ポリマ
ー製フィルムを、TgAおよびTgBのいずれよりも低
い温度で加熱圧着して接合し、試料の貯蔵、移動、反
応、回収等を行う微小なスペースを有する透明ポリマー
チップを作成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、少なくとも2層の
透明ポリオレフィン基板を直接接合する事によって得ら
れる透明ポリマーチップに関する。更に詳細には、少な
くとも波長領域230〜400nmの範囲の光を吸収す
る1種または2種以上の有機化合物の微量試料を混合、
反応、合成、抽出、分離、分析する事を目的とした、光
学特性と寸法精度に優れる透明ポリマーチップに関す
る。
【0002】
【従来の技術】有機化合物(特に天然物や生体関連物
質)は、一般に高価で不安定であるため、これらを主に
取扱う研究においては高度な知識、技術レベルと細心の
注意が必要とされてきた。また実験操作の各段階が煩雑
であるため、多くの人手と時間が要求され、従来の研究
手法や技術においては、期待する結果を得るまでに膨大
な時間を費やす事を余儀なくされていた。ところが近
年、企業間における国際的なコスト競争、新製品の研究
開発競争は一段と厳しさを増しており、また世界経済も
予断を許さない状況にあることから、研究開発を加速す
るための、より簡便で高速であり、かつより安価な研究
手法や技術の導入が強く望まれ数々の興味深いアイディ
アが提案されるようになってきた。
【0003】これらの中で最も注目すべきアイディアの
一つは、有機化合物の微量試料を、高速で混合、反応、
合成、抽出、分離、分析する事ができるマイクロチップ
(マイクロリアクター、マイクロタス、マイクロアレー
等。Lab-on-a-Chipとも呼ばれる。:従来は実験室で行
われていた作業を小型のチップ上で全て行ってしまおう
というコンセプト)である。マイクロチップのメリット
は以下の通りであり、研究開発の新しいツールとして医
療/医薬分野の研究者達を中心に大きな関心を集めてい
る。 ・試薬、サンプル、廃液が少量。 ・反応および分析の高速処理が可能。 ・高精度分析が可能。自動化が容易。 ・システムの小型化が可能。 ・量産化、集積化が容易。
【0004】初期型のマイクロチップは、微細加工(マ
イクロファブリケーション)技術を応用してマイクロス
ケールの反応容器や分析用チャネルなどをシリコン、ガ
ラス、あるいは石英などの無機材料の基板上に形成し、
次いでシリコン、ガラス、あるいは石英の薄い基盤をそ
の上に張り合わせる事によって製造されていた(例え
ば、特開平2−245655号、特開平5−80032
号の各公報など)。しかしながら、これらの無機材料で
構成されるマイクロチップは、製造工程が複雑、製造コ
ストが高い(特に、エッチングと張り合わせの工程)、
廃棄が難しい(例えば、血液等を取扱ったチップを回収
する業者が、割れたチップによって感染等の被害に遭う
深刻な可能性が指摘されている)などの、コストと安全
性に問題があり、その改良が強く要望されている。
【0005】そこで、これらの諸問題を解決するため
に、製造が簡単で安価であり、かつ廃棄が簡単で安全
(使い捨て、焼却可能)である有機ポリマー(プラスチ
ック)製のマイクロチップ(ポリマーチップ)が研究開
発されるようになった(例えば、特開平2−25955
7号、特開平8−327597号の各公報など)。しか
しながら、従来のポリマーチップは、一般にはポリスチ
レン(PSt)、ポリメタクリル酸メチル(PMM
A)、ポリカーボネート(PC)等の汎用的な透明ポリ
マーの基板に、微細加工(マイクロファブリケーショ
ン)技術、射出成形技術、エンボス加工技術などを応用
してマイクロスケールの反応容器や分析用チャネルとな
る微細な溝を形成し、接着層としてポリエチレン(P
E)フィルムを被せ、更にその上からポリエチレンテレ
フタレート(PET)製のフィルムを被せて熱溶着する
事により製造されている。これらの汎用的な透明なポリ
マー(PSt、PMMA、PC、PET等)において
は、その高分子鎖中に不飽和結合(芳香環など)やカル
ボニル基、エステル基、カーボネート基等が存在してお
り、波長領域230〜400nmの範囲の光を吸収して
しまうという本質的な性質を有している。
【0006】そのため、例えば波長領域230〜400
nmの範囲の光を吸収する1種または2種以上の有機化
合物の微量試料(例えば、DNA、RNA、タンパク質
など)を従来のポリマーチップで取扱おうとした場合に
は、測定しようとする試料の吸収する光の波長の範囲と
ポリマーチップ自体の吸収する光の波長の範囲が重なっ
てしまうために、対象とする有機化合物を直接検出し、
その状態を正確に観察すること(混合、反応、合成、抽
出、分離、分析等)は原理的に不可能であった。
【0007】また、工業的な観点からは、汎用的な吸光
度測定法であるUV検出器によって対象とする有機化合
物を直接検出する事が、コスト、簡便性、高速性、応用
範囲の広さ等から最も好ましいいが、検出時におけるポ
リマー基板やフィルムからのバックグラウンドが極めて
大きいために、対象とする有機化合物を直接検出する事
はできていない。そのため従来技術においては、対象と
する有機化合物それぞれに蛍光試薬をマーカーとして付
加させる工程が必要であり、この蛍光試薬の蛍光をレー
ザー検出器等によって検出する事により、二次的に対象
とする有機化合物を観察する事を余儀なくされている。
【0008】しかしながら、従来用いられている蛍光試
薬は極めて高価であるばかりでなく、蛍光試薬を付加さ
せる操作も非常に煩雑であり、かつ有機化合物の微量試
料の検出時におけるポリマーチップ(基板やフィルム)
からのバックグラウンドも依然として大きいために、十
分な精度と信頼性を有する結果を高速かつ低コストにて
得る技術を確立するまでには至っていなかった。一方、
従来のポリマーチップの製造においては、ポリマー基板
とポリマーフィルム(主にPETフィルム)の間にPE
フィルムを挟んで、これを熱融着して接合する方法(P
Eを接着層として用いる)が頻繁に採用されている。し
かしながらPEフィルムは、接着層としてはある程度の
効果を示してはいるものの、このポリマーは結晶性であ
るために、UV検出器等によって光学的な測定を行おう
とした場合には結晶に由来するバックグラウンドが大き
なノイズとして観察され、検出精度を著しく低下させて
しまうという本質的な問題点を有している。更に、ポリ
マーチップを形成するポリマー基板とポリマーフィルム
(主にPETフィルム)を熱融着させるためには、接着
層となるPEの融点(Tm)およびガラス転移温度(T
g)以上の温度条件が必要であるために、PEフィルム
が溶融・軟化して変形するという大きな問題点をも有し
ている。
【0009】また、従来の製造方法によって得られたポ
リマーチップでは、PEフィルムによって形成されてい
るマイクロスケールの反応容器や分析用チャネルの壁
は、他の三方の壁(汎用的な透明ポリマーによって形成
されている)に比べて大きく変形したものとなり、正確
な混合や流速、反応制御等を行う事は事実上不可能であ
った。更に、PEフィルム側の壁と他の三方の壁が違う
材質で構成されており、試料溶液の流れが2つの異なる
性質を持った壁面に接触するため均一とならず、試料の
流量や流速を正確にコントロールする事は本質的に困難
であるという大きな問題点も内包している。
【0010】すなわち従来技術においては、上述した種
々の問題点を解決するポリマーチップを提供する事がで
きないために、有機化合物の微量試料を取扱い、かつ厳
密な結果を要求される用途分野においては、非常に高価
であり、かつ廃棄時の安全性が強く懸念されてはいるも
のの、依然として石英製のマイクロチップが使用されて
いる。そこで、次世代のポリマーチップとしては、製造
が容易であり、廃棄時の安全性が高く、かつ下記の要件
を満たす新しい製品の開発が強く求められる様になって
きた。 ・UVによる検出が可能(UV検出でありながら高い感
度が得られる)。 ・高価な蛍光試薬を用いることなく、対象物質をそのま
ま検出できる。 ・接着層を有さない。
【0011】そこで本発明者は、上記の諸問題を解決す
るために新しいタイプのポリマー類(透明オレフィン系
ポリマー)の研究開発に成功し、それらを提案した(W
O94/29359)。更に、本発明者が提案したポリ
マー類の中で、光波長230〜400(nm)の紫外線
領域における光線透過率の最小値が50%以上である六
員環の水素化環状共役ジエン系ポリマー(ポリシクロヘ
キサン系ポリマー)を、DNAやタンパク質を分析する
ためのポリマーチップの基板材料として採用する可能性
も示唆されている(特開2000−39420号公
報)。
【0012】しかしながら、特開2000−39420
号公報においては、UVによる検出を可能とするために
は、ポリマーチップの基板材料として透明の六員環を有
するオレフィン系ポリマーが適している事は示唆されて
いるものの、一般の透明ポリオレフィンにも幅広く対応
でき、かつ2層の透明ポリオレフィン基板を直接接合す
る事によって、ポリマーチップ内にマイクロスケールの
反応容器や分析用チャネルなどを精巧に形成する方法の
記載はない。すなわち依然として、上述した次世代のポ
リマーチップの条件を満たす製品の開発には成功してお
らず、この早急な解決が強く望まれていた。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上述した課題
を解決するために、少なくとも2層の透明ポリオレフィ
ン基板を直接接合させ、光学的特性に優れかつマイクロ
スケールの反応容器や分析用チャネルなどが精巧に形成
された透明ポリマーチップを提供する事を課題とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するために鋭意検討した。その結果、本発明者は特
定の範囲のガラス転移温度(Tg)を有し、好ましくは
特定のポリマー鎖構造を有するオレフィン系ポリマーか
らなる透明ポリオレフィン基板どうしを直接接合する
と、光学的特性に優れかつマイクロスケールの反応容器
や分析用チャネルなどが精巧に形成された透明ポリマー
チップが得られる事実を発見して本発明を完成した。よ
り詳細には、本発明は以下の[1]〜[12]より構成
されている透明ポリマーチップに関する発明である。
【0015】[1]有機化合物の微量試料を、混合、反
応、合成、抽出、分離、分析する事を目的とした、少な
くとも2層の透明ポリオレフィン基板から構成されてい
るポリマーチップであって、少なくとも2層の透明ポリ
オレフィン基板を直接接合する事によって形成される試
料の貯蔵、移動、反応、回収等を行う微小なスペースを
ポリマーチップ内に有し、かつ試料と接触する積層され
た2層の透明ポリオレフィン基板における1層の基板を
形成するオレフィン系ポリマーのガラス転移温度の最高
値をTgA(℃)、他の1層の基板を形成するオレフィ
ン系ポリマーのガラス転移温度の最高値をTgB(℃)
としたとき、|TgA−TgB|(絶対値)が、0〜15
0℃の範囲にある事を特徴とする透明ポリマーチップ。
【0016】[2]試料と接触する積層された2層の透
明ポリオレフィン基板が、TgAおよびTgBのいずれ
よりも低い温度で接合表面を加熱処理して直接接合され
ている事を特徴とする[1]に記載の透明ポリマーチッ
プ。 [3]試料と接触する積層された2層の透明ポリオレフ
ィン基板が、TgAおよびTgBのいずれよりも低い温
度で加熱圧着して直接接合されている事を特徴とする
[1]または[2]に記載の透明ポリマーチップ。
【0017】[4]透明ポリオレフィン基板を形成する
オレフィン系ポリマーが、少なくとも80℃〜250℃
の範囲にガラス転移温度の最高値を有する非晶性ポリマ
ーである事を特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記
載の透明ポリマーチップ。 [5]透明ポリオレフィン基板を形成するオレフィン系
ポリマーが、炭素−炭素飽和結合により形成される環状
構造単位を高分子鎖中に含有している事を特徴とする
[1]〜[4]のいずれかに記載の透明ポリマーチッ
プ。
【0018】[6]透明ポリオレフィン基板を形成する
オレフィン系ポリマーが、炭素−炭素飽和結合により形
成される5〜8員環またはその縮合した環状構造単位を
高分子鎖中に含有している事を特徴とする[1]〜
[5]のいずれかに記載の透明ポリマーチップ。 [7]少なくとも1層の透明ポリオレフィン基板を形成
するオレフィン系ポリマーに含有されている環状構造単
位が、ブロック、交互、またはランダム状に配列されて
いる事を特徴とする[1]〜[6]のいずれかに記載の
透明ポリマーチップ。
【0019】[8]少なくとも1層の透明ポリオレフィ
ン基板を形成するオレフィン系ポリマーが、高分子鎖中
に炭素−炭素飽和結合により形成される環状構造単位と
鎖状構造単位の両方を含有するコポリマーである事を特
徴とする[1]〜[7]のいずれかに記載の透明ポリマ
ーチップ。 [9]少なくとも1層の透明ポリオレフィン基板を形成
するオレフィン系ポリマーが、高分子鎖中にブロック構
造部分を含有するコポリマーである事を特徴とする
[1]〜[8]のいずれかに記載の透明ポリマーチッ
プ。
【0020】[10]少なくとも1層の透明ポリオレフ
ィン基板を形成するオレフィン系ポリマーが、高分子鎖
中に炭素−炭素飽和結合により形成される鎖状構造単位
からなるブロック構造部分を含有するコポリマーである
事を特徴とする[1]〜[9]のいずれかに記載の透明
ポリマーチップ。 [11]試料と接触する少なくとも1層の透明ポリオレ
フィン基板の厚さ(t)が0.0001≦t≦5000
(μm)の範囲にある事を特徴とする[1]〜[10]
のいずれかに記載の透明ポリマーチップ。
【0021】[12]透明ポリオレフィン基板の一部ま
たは全てが、溶媒キャスト法により作成されたものであ
る事を特徴とする[1]〜[11]のいずれかに記載の
透明ポリマーチップ。 本発明の透明ポリオレフィン基板を形成するオレフィン
系ポリマーとは、炭素と水素からなり、かつ炭素−炭素
飽和結合により高分子主鎖が形成されている透明ポリマ
ーであり、特に好ましくは非晶性の透明ポリマーであ
る。このようなオレフィン系ポリマーは、不飽和結合や
官能基による光の吸収が無く、更に結晶に由来する光の
分散が無いために、波長領域230〜400nmの範囲
の光を効率良く透過する事ができ、本発明における好ま
しい基板材料となる。
【0022】本発明のオレフィン系ポリマーが、熱的あ
るいは機械的な環境変化に対して精巧な形状を保持する
ためには、その高分子主鎖の分子運動を規制する、炭素
−炭素飽和結合より形成される環状構造単位を有してい
る事が好ましい。例えば、炭素−炭素飽和結合により形
成される4〜10員環、好ましくは5〜8員環、特に好
ましくは5〜6員環の環状構造単位またはそれらの1種
または2種以上が縮合した環状構造単位、更にそれらの
誘導体を例示する事ができる。具体的には、シクロブタ
ン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘ
プタン環、シクロオクタン環あるいはそれらの1種また
は2種以上の縮合体、更にそれらの誘導体を例示するこ
とができる。これらの環状構造単位は、本発明の範囲内
で、高分子鎖中に連続して存在していても、あるいは交
互、ランダム、グラフト、ブロック状に存在していても
特に制限されるものでは無い。
【0023】本発明のオレフィン系ポリマーにおいて、
環状構造単位の高分子鎖中への導入方法は特に制限され
るものではなく、従来公知の技術を適時採用する事がで
きる。例えは、重合反応(ラジカル重合、イオン重合、
配位重合、開環重合、付加重合、重縮合等)、重合反応
と水素化反応の組み合わせ、付加反応等を例示する事が
でき、必要に応じて適時選択し組み合わせる事が可能で
ある。例えば、環状オレフィン類の重合反応や付加反
応、環状ジエン類やスチレン類の重合反応と水素化反応
の組み合わせ等によって、目的とする環状構造単位を導
入することが可能である。
【0024】これらの反応に適応される具体的なモノマ
ー類としては、シクロブテン、シクロペンテン、シクロ
ヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン、ビニルシ
クロヘキサン、ノルボルネン、ビシクロ[2,2,1]
ヘプト−2−エン、テトラシクロ[4,4,0,
2,5,17,10]−3−ドデセン、ヘキサシクロ[6,
6,1,13,6,02,7,09,14]−4−ヘプタデセン、
トリシクロ[5,2,1,0 2,6]−8−デセン、ペン
タシクロ[6,5,1,13,6,02,7,09,14]−4−
ヘキサデセン、ペンタシクロ[6,5,1,13,6,0
2,7,09,13]−4−ペンタデセン、ヘプタシクロ
[8,7,0,12,9,14,7,111,17,03,8,012
,16]−5−エイコサン、ペンタシクロ[4,7,0,
2,5,08,13,19,12]−3−ペンタデセン、トリシ
クロ[4,4,0,12,5]−3−ウンデセン、5−カ
ルボキシメチルビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エ
ン、5−メチル−5−カルボキシメチルビシクロ[2,
2,1]ヘプト−2−エン、5−シアノビシクロ[2,
2,1]ヘプト−2−エン、8−カルボキシメチルテト
ラシクロ[4,4,0,12,5,17,10]−3−ドデセ
ン、8−カルボキシエチルテトラシクロ[4,4,0,
2,5,17,10]−3−ドデセン、8−カルボキシn−
プロピルテトラシクロ[4,4,0,12,5,17,10
−3−ドデセン、8−カルボキシイソプロピルテトラシ
クロ[4,4,0,12,5,17,10]−3−ドデセン、
8−カルボキシn−ブチルテトラシクロ[4,4,0,
2,5,17,10]−3−ドデセン、8−メチル−8−カ
ルボキシメチルテトラシクロ[4,4,0,12, 5,1
7,10]−3−ドデセン、8−メチル−8−カルボキシエ
チルテトラシクロ[4,4,0,12,5,17,10]−3
−ドデセン、8−メチル−8−カルボキシn−プロピル
テトラシクロ[4,4,0,12,5,17,10]−3−ド
デセン、8−メチル−8−カルボキシイソプロピルテト
ラシクロ[4,4,0,12,5,17 ,10]−3−ドデセ
ン、8−メチル−8−カルボキシn−ブチルテトラシク
ロ[4,4,0,12,5,17,10]−3−ドデセン、8
−エチリデンテトラシクロ[4,4,0,12,5,1
7,10]−3−ドデセン、8−エチルテトラシクロ[4,
4,0,12,5,17,10]−3−ドデセン、8−メチル
テトラシクロ[4,4,0,12,5,17,10]−3−ド
デセン、6−エチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,
4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタ
レン、5,10−ジメチルテトラシクロ[4,4,0,
2,5,17,10]−3−ドデセン、ジメタノオクタヒド
ロナフタレン、エチルテトラシクロドデセン、トリメタ
ノオクタヒドロナフタレン、ペンタ[8,4,0,1
2,5,19,12,08,13]−3−ヘキサデセン、ペンタ
[7,4,0,12,5,19,12,08,13]−3−ペンタ
デセン、ヘプタシクロ[8,7,0,13,6,110,17
12,15,02,7,011,16]−4−エイコサン、ヘプタ
シクロ[8,8,0,14,7,111,13,113,16
3,8,012,17]−5−ヘンエイコサン、ジシクロペン
タジエン、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、
シクロヘプタジエン、シクロオクタジエン、スチレン、
α−メチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアント
ラセン等を例示する事ができる。
【0025】本発明の透明ポリオレフィン基板を形成す
るオレフィン系ポリマーにおいて、その数平均分子量
(標準ポリスチレン換算)は、5,000〜5,00
0,000の範囲が好ましく、10,000〜3,00
0,000の範囲がより好ましく、10,000〜1,
000,000の範囲が、本発明の透明ポリオレフィン
基板を容易に製造するために特に好ましい。本発明のオ
レフィン系ポリマーの数平均分子量が5,000未満で
あると、得られる透明ポリオレフィン基板は脆弱なもの
となり、一方、数平均分子量が5,000,000以上
の場合では、透明ポリオレフィン基板の製造時における
オレフィン系ポリマーの溶融あるいは溶液粘度が著しく
高くなるために、平滑性に優れた透明ポリオレフィン基
板を製造する事は極めて困難となってしまう。
【0026】本発明のオレフィン系ポリマーにおいて、
それから得えられる透明オレフィン基板が熱的な環境変
化に対して精巧な形状を保持するためには、80〜25
0℃の範囲にガラス転移温度(Tg:示差走査熱量計
(DSC)により観察される)の最高値を有する事が好
ましく、100〜250℃の範囲が特に好ましく、11
0〜240℃の範囲が特に好ましい。ガラス転移温度が
80℃未満であると、透明ポリオレフィン基板を接合す
る場合に熱的な環境変化に対して精巧な形状を保持する
事が困難となる。一方、ガラス転移温度が250℃以上
であると、溶融あるいは溶液粘度が著しく高くなるため
に、平滑性に優れた透明ポリオレフィン基板を製造する
事は極めて困難となる。なお、本発明におけるガラス転
移温度の最高値とは、本発明のオレフィン系ポリマーが
複数のガラス転移点を有する場合(例えば、ブロックコ
ポリマーの場合に観察される)には、それらのガラス転
移点の中で最も高いガラス転移点の温度を意味する。ま
た、本発明のオレフィン系ポリマーが、ブロードなガラ
ス転移温度領域を有する場合(ランダムコポリマー、交
互コポリマーなどに観察される)には、DSC測定によ
って得られるスペクトルのピークの最も高温側の温度を
意味する。
【0027】本発明のオレフィン系ポリマーにおいて、
炭素−炭素飽和結合によって形成される環状構造単位に
加えて、“−CH2−”構造に代表される炭素−炭素飽
和結合によって形成される鎖状構造単位を含有している
事は、オレフィン系ポリマーや、それから製造される透
明ポリオレフィン基板に柔軟性、靭性、加工性、溶解
性、溶融性、接着性等の性質を与える目的においては好
ましい態様である。これらの性質は、本発明のオレフィ
ン系ポリマーの高分子鎖中に存在する鎖状構造の含有量
の増加に伴って向上する。しかしながら、本発明のオレ
フィン系ポリマーから得られる透明ポリオレフィン基板
が、機械的な環境変化に対して精巧な形状を保持するた
めには、環状構造単位/鎖状構造単位のモル(mol)
比は、100/0〜5/95の範囲が好ましく、100
/0〜10/90の範囲が特に好ましく、100/0〜
15/85の範囲が最も好ましい。
【0028】本発明のオレフィン系ポリマーにおいて、
鎖状構造単位は、本発明の範囲内で、高分子鎖中に連続
して存在していても、あるいは交互、ランダム、グラフ
ト、ブロック状に存在していても特に制限されるもので
は無い。特に、鎖状構造単位がブロック構造部分を形成
している場合には、オレフィン系ポリマーや、それから
得られる透明ポリオレフィン基板の機械的強度を保持し
たまま、柔軟性、靭性、加工性、溶解性、溶融性、接着
性等の性質を与える事が可能となる。例えば、透明ポリ
オレフィン基板どうしを直接接合する場合、鎖状構造単
位が連続して存在している部分(ブロック構造部分)
は、接着強度の向上に大きく寄与する。
【0029】すなわち、本発明の透明ポリオレフィン基
板を構成するオレフィン系ポリマーにおいて、ポリマー
鎖中に存在する環状構造単位は剛直で分子運動性が小さ
いためにポリオレフィン基板の精巧な形状を保持させ、
一方、鎖状構造単位は柔軟で分子運動性が大きいため
に、他の高分子鎖に容易に接近し、あるいは絡み合う事
ができるため、透明ポリオレフィン基板どうしが良好な
接着性を発現するものと考えられる。
【0030】なお、本発明のオレフィン系ポリマーが、
それから得られる透明ポリオレフィン基板の光学特性や
接着強度に好ましからざる影響を及ぼさない範囲で、少
量の不飽和結合(芳香環、二重結合等)、官能基(例え
ば、水酸基、カルボニル基、カルボキシル基、アミノ基
等)、あるいは水素、炭素以外の元素(酸素、窒素、珪
素等)等を含有することも特に制限されるものでは無
い。本発明における透明ポリオレフィン基板とは、本発
明の上記のオレフィン系ポリマーから製造されるポリマ
ー製の基板(あるいはフィルム、シート、ロール)であ
り、その製造方法は従来公知の技術をそのまま応用する
事が可能である。具体的には、オレフィン系ポリマーの
加熱溶融してから必要な形状に冷却固化して製造する方
法(例えば、射出成形、圧縮成形、インフレーション成
形、Tダイ等による溶融押し出し成形など)や、オレフ
ィン系ポリマーの溶液から溶媒を除去する方法(例え
ば、溶媒キャスト法、スピンコート法など)により製造
する方法などを例示することができ、必要に応じて適時
選択される。本発明の透明ポリオレフィン基板が高精度
な表面平滑性を要求される場合には、溶媒キャスト法や
スピンコート法などの、ポリマー溶液から溶媒を徐々に
除去して基板を製造する事は、基板表面に高い平滑性を
実現するという観点からは好ましい方法である。
【0031】また、本発明の透明ポリオレフィン基板の
製造にあたって、本発明のオレフィン系ポリマーから抽
出などの操作によって不純物を可能な限り除去しておく
事は、光学特性に優れる透明オレフィン基板を得るため
に推奨すべき好ましい前処理方法である。本発明におけ
る透明ポリオレフィン基板の厚さ(t)は、本発明の透
明ポリマーチップの使用目的に応じて適時選択されるた
めに特に制限されるものではないが、工業的な観点から
は、0.0001≦t≦5000(μm)の範囲にある
ことが好ましく、0.001≦t≦3000(μm)の
範囲にあることが特に好ましく、0.01≦t≦200
0(μm)の範囲にあることが最も好ましい。これらの
範囲の厚さを有する本発明の透明ポリオレフィン基板
は、優れた光学特性と高い寸法精度(形状安定性)を両
立する事が可能となる。
【0032】本発明の透明ポリオレフィン基板の厚さ
(t)が0.0001μm未満の場合は、基板の機械的
強度が低下して取り扱いが困難になるなどの問題を生じ
ることになる。一方、厚さ(t)が5000μmを超え
ると、平滑な基板表面を得る事が困難になり、また基板
一枚あたりの製造コスト、材料コスト等が上昇するなど
という好ましからざる結果を招くことになる。本発明の
透明ポリマーチップとは、波長領域230〜400nm
の範囲の光を効率良く透過する2層以上積層された上記
の透明ポリオレフィン基板をその内部に有しており、か
つ、上記の透明ポリオレフィン基板を直接接合する事に
よって、有機化合物の微量試料の貯蔵、移動、反応、回
収等を行うための微小なスペース(リザーバー、キャピ
ラリー、リアクター等)をその内部に形成している事が
特徴である。
【0033】ここで、本発明の透明ポリマーチップが微
小なスペースを内部に有するためには、接合される透明
オレフィン基板の少なくとも一方が、基板上にあらかじ
め微小な窪みや溝、必要に応じて貫通孔を有している事
が必要である。本発明の透明ポリオレフィン基板上に微
小な窪み、溝、貫通孔などを形成させるための方法とし
ては、従来公知の技術をそのまま応用する事が可能であ
る。具体的には、エッチング(レーザー、プラズマ、ケ
ミカル等)、あるいは金属、プラスチック、シリコンな
どによって作られた型上のパーターンの転写(エンボス
加工、射出成形加工、圧縮成形加工等)などを例示する
事ができ、必要に応じて適時選択する事が可能である。
【0034】本発明の透明ポリマーチップの製造におい
て、透明ポリオレフィン基板上の微小なスペースの形状
を正確に保持したまま2層の透明ポリオレフィン基板を
直接接合するためには、積層される2層の透明ポリオレ
フィン基板における1層の基板を形成するオレフィン系
ポリマーのガラス転移温度の最高値をTgA(℃)、他
の1層の基板を形成するオレフィン系ポリマーのガラス
転移温度の最高値をTgB(℃)としたとき、|TgA
−TgB|(絶対値)は0〜150℃の範囲にある事が
必要である。マイクロスケールの反応容器や分析用チャ
ネルの4方の壁を、可能な限り同一の材質とし、試料の
流量や流速を正確にコントロールするためには、|Tg
A−TgB|(絶対値)は0〜120℃の範囲にある事
が好ましく、0〜100℃の範囲にあることが更に好ま
しく、0〜80℃の範囲にあることが最も好ましい。本
発明の透明ポリマーチップにおいて、理想的な|TgA
−TgB|は0℃である。|TgA−TgB|(絶対値)
が150℃以上の場合は、透明ポリオレフィン基板上の
微小なスペースの形状を正確に保持する事が困難とな
り、また2層の透明ポリオレフィン基板に十分な接着強
度が与えられないなどの好ましからざる結果となる。
【0035】本発明の透明ポリマーチップの製造におい
て、透明ポリオレフィン基板上の微小なスペースの形状
を正確に保持するための積層される2層の透明ポリオレ
フィン基板の直接接合は、少なくとも1層の透明ポリオ
レフィン基板、好ましくは2層の透明ポリオレフィン基
板を、TgAおよびTgBのいずれよりも低い温度で基
板の接合表面を加熱処理して接合する事が必要である。
工業的な観点からは、積層された2層の透明ポリオレフ
ィン基板をTgAおよびTgBのいずれよりも低い温度
で加熱圧着して接合することが、操作の容易さと装置の
簡便性において特に好ましい。このようにして得られた
本発明の透明ポリマーチップは、2層の透明ポリオレフ
ィン基板のいずれもが溶融していないために、透明ポリ
オレフィン基板上の微小なスペースの形状を正確に保持
することができる。
【0036】本発明の透明ポリオレフィン基板(表面)
の加熱方法は、従来公知の技術をそのまま適応する事が
でき、必要に応じて適時選択する事が可能である。具体
的には、超音波、電磁波(マイクロウェーブ)、電気オ
ーブン、加熱圧縮ロール、熱プレス機などを例示する事
ができる。透明ポリオレフィン基板の加熱雰囲気に関し
ては特に制限されないが、オレフィン系ポリマーの劣化
を可能な限り防止する必要がある場合には、不活性ガス
(窒素、ヘリウム等)雰囲気下に加熱圧着する事が推奨
される。
【0037】本発明の透明ポリマーチップの製造におい
て、透明オレフィン基板どうしの接着強度を向上させる
ためには、接合される2層の透明ポリオレフィン基板の
内、少なくとも1層の透明ポリオレフィン基板を形成す
るオレフィン系ポリマーが環状構造単位を含有するコポ
リマーであることが好ましい。より具体的には、高分子
鎖中に含有されている環状構造単位が、ブロック、交
互、またはランダム状に配列されているオレフィン系コ
ポリマーを例示することができる。これらのオレフィン
系コポリマーの中では、高分子鎖中に炭素−炭素飽和結
合により形成される環状構造単位と鎖状構造単位の両方
を含有するコポリマーである事が更に好ましく、高分子
鎖中にブロック構造部分を含有するコポリマーである事
が特に好ましく、高分子鎖中に炭素−炭素飽和結合によ
り形成される鎖状構造単位からなるブロック構造部分を
含有するコポリマーである事が最も好ましい。
【0038】本発明の透明ポリマーチップにおいて、直
接接合される2層の透明オレフィン基板の表面に柔軟な
鎖状構造単位が存在している場合には、環状構造単位の
分子運動が拘束されているTgAおよびTgBのいずれ
よりも低い温度領域においても高分子鎖中の鎖状構造単
位は容易に分子運動を起こす。その結果として、2層の
透明オレフィン基板の表面に存在する高分子鎖が容易に
接近する事ができ、TgAおよびTgBのいずれよりも
低い温度条件で透明オレフィン基板どうしを加熱圧着し
て直接接合した場合においてさえも、良好な接着性を発
現しているものと考えられる。
【0039】なお、本発明の透明ポリマーチップにおい
ては、2層の透明オレフィン基板を直接接合する以前
に、少なくとも一方の基板表面を、光学特性に影響を及
ぼさない範囲内で、化学的あるいは物理的に修飾・変
性、コートなどの処理を施しておく事も特に制限される
ものではない。本発明の透明ポリマーチップの形状は、
その使用目的によって適時選択され、正方形、長方形、
円盤状、ロール状、あるいは他の材料から構成される支
持体に保持されている事も特に制限されるものではな
い。
【0040】
【発明の実施の形態】以下に実施例、比較例、製造例、
参考例等によって本発明を更に具体的に説明するが、本
発明はこれらの実施例に限定して解釈されるものではな
い。なお、本発明で使用したオレフィン系ポリマーのサ
ンプル(透明ポリオレフィン基板)は以下の通りであ
る。また、本発明に用いた試薬、サンプル類は入手しう
る最高純度のものを用いた。 (1)サンプルA 完全水素化ポリ(1,3−シクロヘキサジエン)の厚さ
50μmのフィルム。ガラス転移温度(Tg)の最高値
は230℃。 *WO94/29359に記載の方法によって合成され
た。 (2)サンプルB 完全水素化1,3−シクロヘキサジエン/ブタジエン/
1,3−シクロヘキサジエン(25/50/25:mo
l%)・ブロック共重合体の厚さ50μmフィルム。ガ
ラス転移温度(Tg)の最高値は220℃。 ** WO94/29359に記載の方法によって合成
された。 (3)サンプルC 完全水素化1,3−シクロヘキサジエン/イソプレン/
1,3−シクロヘキサジエン(25/50/25:mo
l%)・ブロック共重合体(1,3−シクロヘキサジエ
ンとイソプレンのランダム構造部分を含む)の厚さ50
μmフィルム。ガラス転移温度(Tg)の最高値は20
0℃。 ** WO94/29359に記載の方法によって合成
された。 (4)サンプルD 完全水素化ノルボルネン系ポリマーの厚さ50μmフィ
ルム。ガラス転移温度(Tg)の最高値は163℃。 *ZEONOR1600(日本ゼオン(株)社製):ノ
ルボルネン(誘導体)の開環重合によって得られたポリ
マーを水素化した重合体。 (5)サンプルE 完全水素化ノルボルネン系ポリマーの厚さ50μmフィ
ルム。ガラス転移温度(Tg)の最高値は140℃。 *ZEONEX480R(日本ゼオン(株)社製):ノ
ルボルネン(誘導体)の開環重合によって得られたポリ
マーを水素化した重合体。 (6)サンプルF 完全水素化スチレン/ブタジエン/スチレン(25/5
0/25:mol%)・ブロック共重合体(スチレン部
分も水素化されている)の厚さ50μmフィルム。ガラ
ス転移温度(Tg)の最高値は150℃。 ** WO94/29359に記載の方法によって合成
された。 (7)サンプルG LDPE(低密度ポリエチレン)の厚さ50μmフィル
ム。ガラス転移温度(Tg)の最高値は−100℃。 (8)サンプルH PMMA(ポリメタクリル酸メチル)の厚さ50μmの
フィルム。ガラス転移温度(Tg)の最高値は100
℃。
【0041】
【製造例】“透明ポリオレフィン基板の製造” (1)ベース基板の作成: サンプルA〜Hより、幅60mm×長さ100mmのフ
ィルム片を切り取った。フィルム片の中央部に、UVレ
ーザーにより長さ100mm、幅40μm、深さ40μ
mのマイクロチャネルを形成することによりベース基板
A〜Hを作成した。 (2)カバー基板の作成:サンプルA〜Hより、幅60
mm×長さ100mmのフィルム片を切り取り、カバー
基板A〜Hを作成した。
【0042】
【実施例1】ベース基板Aの上に、カバー基板Bを同一
の向きに乗せて基板対を準備した。基板対の先端40m
mを除いた部分を、190℃、0.3MPa(1kgf
/cm2=98.00665kPa)、2秒間の条件で
熱圧着した(東洋精機(株)製 熱傾斜試験機HG−1
00型を使用した)。熱圧着された基板対より、幅15
mm×長さ40mm(30mmは熱圧着された部分、1
0mmは熱圧着されていない部分)の試験片を切り取
り、ASTM D903−49に準拠した測定方法によ
って剥離強度(ヒートシール強度)を求めた(東洋ボー
ルドウィン社製UTM−III型テンシロンにて、20
0mm/分の引張速度で測定した)。また、光学顕微鏡
にてマイクロチャネルを断面方向より観察したところ、
マイクロチャネルの形状は熱圧着前後で正確に保持され
ていた。
【0043】
【実施例2〜15、比較例1〜6】実施例1と同様にし
て、ベース基板の上に、カバー基板を同一の向きに乗せ
て基板対を準備した。基板対の先端40mmを除いた部
分を、TgAおよびTgBのいずれよりも低い温度、
0.3MPa、2秒間の条件で熱圧着した(東洋精機
(株)製 熱傾斜試験機HG−100型を使用した)。
熱圧着された基板対より、幅15mm×長さ40mm
(30mmは熱圧着された部分、10mmは熱圧着され
ていない部分)の試験片を切り取り、ASTM D90
3−49に準拠した測定方法によって剥離強度(ヒート
シール強度)を求めた(東洋ボールドウィン社製 UT
M−III型テンシロンにて、200mm/分の引張速
度で測定した)。また、光学顕微鏡にてマイクロチャネ
ルを断面方向より観察して、マイクロチャネルの形状保
持状態を評価した(熱圧着前後でチャネルの形状が保持
されている場合は。ベース基板またはカバー基板が変形
して、チャネルの形状が保持されない場合は×で表
す。)。実施例1〜15、比較例1〜6の結果を第1表
に示す。
【0044】
【表1】
【0045】
【発明の効果】本発明の新規な透明ポリマーチップは、
2層の透明ポリオレフィン基板が直接接合されており、
さらにポリマーチップ内の微小なスペースの形状が正確
に保持されている。すなわち、“高精度な反応制御、流
量制御、分離、分析ができる”、“UVによる検出が可
能、UV検出でありながら高い感度が得られる”、“例
えば核酸断片の分析には、高価な蛍光試薬を用いること
なくそのまま検出できる”といった、好ましい特徴を有
している。また、製造が容易であり、かつ廃棄時の安全
性にも優れている。これらの特徴は、マイクロリアクタ
ー(無細胞系タンパク質合成反応、遺伝子増幅反応等に
使用)あるいはマイクロタス(キャピラリー電気泳動チ
ップ)(アミノ酸、タンパク質、RNA、DNA等の分
析に使用)などとして、好ましい結果を与える。すなわ
ち本発明の透明ポリマーチップは、医療分野(血液診
断、免疫反応等)、生命分野(ゲノム解析、プロテオー
ム解析等)、あるいは環境分野(水質分析、微生物分析
等)等における新しい研究技術として好適に用いる事が
できる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 31/22 121 G01N 37/00 101 37/00 101 102 102 27/26 331E 331K Fターム(参考) 2G042 AA01 CB03 HA02 2G057 AA01 AB01 AB03 AC01 BA01 BB06 BD06 2G059 AA01 BB04 BB12 CC16 EE01 FF11 FF12 HH02 HH03 HH06 PP01 4G075 AA01 AA39 BA10 BB03 BB06 BB10 DA18 EE12 FA01 FA12 FC04

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機化合物の微量試料を、混合、反応、
    合成、抽出、分離、分析する事を目的とした、少なくと
    も2層の透明ポリオレフィン基板から構成されているポ
    リマーチップであって、少なくとも2層の透明ポリオレ
    フィン基板を直接接合する事によって形成される試料の
    貯蔵、移動、反応、回収等を行う微小なスペースをポリ
    マーチップ内に有し、かつ試料と接触する積層された2
    層の透明ポリオレフィン基板における1層の基板を形成
    するオレフィン系ポリマーのガラス転移温度の最高値を
    TgA(℃)、他の1層の基板を形成するオレフィン系
    ポリマーのガラス転移温度の最高値をTgB(℃)とし
    たとき、|TgA−TgB|(絶対値)が、0〜150℃
    の範囲にある事を特徴とする透明ポリマーチップ。
  2. 【請求項2】 試料と接触する積層された2層の透明ポ
    リオレフィン基板が、TgAおよびTgBのいずれより
    も低い温度で接合表面を加熱処理して直接接合されてい
    る事を特徴とする請求項1に記載の透明ポリマーチッ
    プ。
  3. 【請求項3】 試料と接触する積層された2層の透明ポ
    リオレフィン基板が、TgAおよびTgBのいずれより
    も低い温度で加熱圧着して直接接合されている事を特徴
    とする請求項1または2に記載の透明ポリマーチップ。
  4. 【請求項4】 透明ポリオレフィン基板を形成するオレ
    フィン系ポリマーが、少なくとも80℃〜250℃の範
    囲にガラス転移温度の最高値を有する非晶性ポリマーで
    ある事を特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の透
    明ポリマーチップ。
  5. 【請求項5】 透明ポリオレフィン基板を形成するオレ
    フィン系ポリマーが、炭素−炭素飽和結合により形成さ
    れる環状構造単位を高分子鎖中に含有している事を特徴
    とする請求項1〜4のいずれかに記載の透明ポリマーチ
    ップ。
  6. 【請求項6】 透明ポリオレフィン基板を形成するオレ
    フィン系ポリマーが、炭素−炭素飽和結合により形成さ
    れる5〜8員環またはその縮合した環状構造単位を高分
    子鎖中に含有している事を特徴とする請求項1〜5のい
    ずれかに記載の透明ポリマーチップ。
  7. 【請求項7】 少なくとも1層の透明ポリオレフィン基
    板を形成するオレフィン系ポリマーに含有されている環
    状構造単位が、ブロック、交互、またはランダム状に配
    列されている事を特徴とする請求項1〜6のいずれかに
    記載の透明ポリマーチップ。
  8. 【請求項8】 少なくとも1層の透明ポリオレフィン基
    板を形成するオレフィン系ポリマーが、高分子鎖中に炭
    素−炭素飽和結合により形成される環状構造単位と鎖状
    構造単位の両方を含有するコポリマーである事を特徴と
    する請求項1〜7のいずれかに記載の透明ポリマーチッ
    プ。
  9. 【請求項9】 少なくとも1層の透明ポリオレフィン基
    板を形成するオレフィン系ポリマーが、高分子鎖中にブ
    ロック構造部分を含有するコポリマーである事を特徴と
    する請求項1〜8のいずれかに記載の透明ポリマーチッ
    プ。
  10. 【請求項10】 少なくとも1層の透明ポリオレフィン
    基板を形成するオレフィン系ポリマーが、高分子鎖中に
    炭素−炭素飽和結合により形成される鎖状構造単位から
    なるブロック構造部分を含有するコポリマーである事を
    特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の透明ポリマ
    ーチップ。
  11. 【請求項11】 試料と接触する少なくとも1層の透明
    ポリオレフィン基板の厚さ(t)が0.0001≦t≦
    5000(μm)の範囲にある事を特徴とする請求項1
    〜10のいずれかに記載の透明ポリマーチップ。
  12. 【請求項12】 透明ポリオレフィン基板の一部または
    全てが、溶媒キャスト法により作成されたものである事
    を特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の透明ポ
    リマーチップ。
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