JP2010261553A - 車両の変速制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】自動変速機のマニュアルダウンシフト時の変速応答性と変速ショック抑制とを両立する。
【解決手段】自動変速機のマニュアルダウンシフトの際の変速後半において、AT入力回転数と変速後ギヤ段の同期回転数との差回転nts4xに応じてスイープ制御のスイープ率を上昇させることにより、エンジントルクのばらつきによって係合油圧(定圧待機圧Pt)が低下しても、その低下分をスイープ油圧の増圧にて吸収できるようにする。このような制御により、変速応答性を確保することができる。しかも、差回転nts4xが小さくなるにしたがってスイープ率を上昇させているので、変速ショックを十分に抑制することができる。
【選択図】図12
【解決手段】自動変速機のマニュアルダウンシフトの際の変速後半において、AT入力回転数と変速後ギヤ段の同期回転数との差回転nts4xに応じてスイープ制御のスイープ率を上昇させることにより、エンジントルクのばらつきによって係合油圧(定圧待機圧Pt)が低下しても、その低下分をスイープ油圧の増圧にて吸収できるようにする。このような制御により、変速応答性を確保することができる。しかも、差回転nts4xが小さくなるにしたがってスイープ率を上昇させているので、変速ショックを十分に抑制することができる。
【選択図】図12
Description
本発明は、内燃機関(以下、エンジンともいう)及び自動変速機が搭載された車両の変速制御装置に関する。
エンジンを搭載した車両において、エンジンが発生するトルク及び回転速度を車両の走行状態に応じて適切に駆動輪に伝達する変速機として、エンジンと駆動輪との間の変速比を自動的に最適設定する自動変速機が知られている。
車両に搭載される自動変速機としては、例えば、クラッチ及びブレーキ等の摩擦係合要素(以下、単に「係合要素」ともいう)と遊星歯車装置とを用いてギヤ段を設定する有段式自動変速機や、変速比を無段階に調整するベルト式無段変速機(CVT:Continuously Variable Transmission)がある。
有段式自動変速機が搭載された車両においては、車速とアクセル開度(またはスロットル開度)に応じた最適なギヤ段を得るための変速線(ギヤ段の切り替えライン)を有する変速マップがECU(Electronic Control Unit)等に記憶されており、車速及びアクセル開度に基づいて変速マップを参照して目標ギヤ段を算出し、その目標ギヤ段に基づいて、摩擦係合要素であるクラッチ、ブレーキ及びワンウェイクラッチなどを、所定の状態に係合または解放することによってギヤ段(変速比)を自動的に設定している。こうした有段式自動変速機の変速制御では、変速ショックの発生等によるドライバビリティの低下を抑制するために、変速機の変速時にその変速に係る係合要素のトルク容量を漸減(解放側係合要素)または漸増(係合側係合要素)させるスイープ制御が実行されている。
自動変速機が搭載された車両においては、運転者(ユーザ)により操作されるシフトレバーが設けられており、そのシフトレバーを操作することにより、自動変速機のシフトポジションを、例えばP位置(パーキングレンジ)、R位置(リバースレンジ)、N位置(ニュートラルレンジ)、D位置(ドライブレンジ)などに切り替えることが可能となっている。また、近年では、マニュアル変速モード(シーケンシャルモード)の選択が可能な自動変速機も実用化されており、運転者によるシフトレバーやパドルスイッチなどの操作によって自動変速機の変速比(ギヤ段)を任意に切り替えることも可能になっている(例えば、特許文献1及び2参照)。
そして、自動変速機が搭載された車両においては、例えば下り坂の走行時などにおいてアクセルをOFF(全閉)しても十分なエンジンブレーキ力が得られない場合、自動変速機のマニュアルダウンシフトを行うことにより、エンジンブレーキ力を増大させるようにしている。
このようなマニュアルダウンシフト時の制御として、自動変速機の入力回転数(タービン回転数)に応じて、その入力回転数の実際の変化量が目標変化量に収束するように自動変速機の係合要素油圧の定圧待機圧を学習制御する油圧学習制御を行っている。また、マニュアルダウンシフトの際に、変速時間の短縮(変速初期の変速応答性の向上)及び変速フィーリングの向上(変速ショック抑制)を目的として、エンジントルクを増大させて自動変速機の入力回転数(以下、AT入力回転数ともいう)を一時的に上昇させるブリッピング制御(吹き上げ制御)を併用している。
ところで、自動変速機の変速制御においては、上述したように、マニュアルダウンシフトの際に係合要素油圧の油圧学習制御とブリッピング制御とを併用しているが、エンジントルクのばらつきによっては、ブリッピング制御によるトルクアップ量が必要以上(もしくは不足)となる場合がある。こうした状況になると、係合要素油圧の油圧学習制御を実施しても変速応答性と変速ショック抑制とを両立することができない場合がある。つまり、変速応答性を上げるためにはトルク変化及び回転変化が必要となり、その変化をトルクアップと油圧制御でバランスをとることが困難となるので、ショックを抑えることができない。
本発明はそのような実情を考慮してなされたもので、自動変速機のマニュアルダウンシフトの際の変速応答性と変速ショック抑制とを両立することが可能な車両の変速制御装置の提供を目的とする。
本発明は、内燃機関と自動変速機とが搭載されており、運転者による手動操作にて前記自動変速機を変速するマニュアル変速モードの選択が可能な車両に適用され、前記自動変速機の変速の際に係合側係合要素のトルク容量のスイープ制御を実行する変速制御装置を前提としている。そして、このような変速制御装置において、マニュアルダウンシフトの際に、前記自動変速機の入力回転数と変速後の同期回転数との差回転に応じて前記係合側係合要素のスイープ制御のスイープ率を制御することを技術的特徴としている。具体的には、自動変速機の入力回転数と変速後の同期回転数との差回転(絶対値)が小さい場合は大きい場合と比較して前記スイープ制御のスイープ率を大きく設定することを特徴としている。
本発明の具体的な構成として、マニュアルダウンシフトの際に、自動変速機の入力回転数と変速後の同期回転数との差回転(絶対値)が判定閾値よりも小さくなったときに前記スイープ率制御を実行するという構成を挙げることができる。
本発明によれば、自動変速機のマニュアルダウンシフトの際の変速応答性と変速ショック抑制とを両立することができる。この点について説明する。
まず、本発明では、マニュアルダウンシフトの変速前半において、AT入力回転数の変化量に応じて係合要素油圧の油圧学習制御及びブリッピング制御(トルクアップ制御)を実行することにより、目標の変速応答性を損なわないように制御する。
次に、変速後半(特に、変速終盤)において、AT入力回転数と変速後ギヤ段の同期回転数との差回転に応じてスイープ制御のスイープ率を制御する。具体的には、AT入力回転数と同期回転数との差回転に応じてスイープ率を上昇させることにより、例えば、エンジントルクのばらつきによって係合油圧(定圧待機圧)が低下しても、その低下分をスイープ油圧の増圧にて吸収できるようにする。このような制御によって、変速応答性を確保しながら、変速ショックを抑制することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明を適用する車両の一例を示す概略構成図である。
この例の車両は、FR(フロントエンジン・リアドライブ)型車両であって、エンジン1、トルクコンバータ2を有する自動変速機3、及び、ECU100などを備えており、そのECU100により実行されるプログラムによって本発明の車両の変速制御装置が実現される。これらエンジン1、トルクコンバータ2、自動変速機3、及び、ECU100等の各部について以下に説明する。
−エンジン−
エンジン1は、例えば4気筒ガソリンエンジンであって、図2に示すように、各気筒を構成するシリンダブロック1a内に、上下方向に往復運動するピストン1bが設けられている。ピストン1bはコネクティングロッド17を介してクランクシャフト11に連結されており、ピストン1bの往復運動がコネクティングロッド17によってクランクシャフト11の回転へと変換される。クランクシャフト11はトルクコンバータ2の入力軸に接続される。
エンジン1は、例えば4気筒ガソリンエンジンであって、図2に示すように、各気筒を構成するシリンダブロック1a内に、上下方向に往復運動するピストン1bが設けられている。ピストン1bはコネクティングロッド17を介してクランクシャフト11に連結されており、ピストン1bの往復運動がコネクティングロッド17によってクランクシャフト11の回転へと変換される。クランクシャフト11はトルクコンバータ2の入力軸に接続される。
クランクシャフト11の回転数(エンジン回転数Ne)は、エンジン回転数センサ201によって検出される。エンジン回転数センサ201は、例えば電磁ピックアップであって、クランクシャフト11が回転する際にシグナルロータ18の突起18aに対応するパルス状の信号(出力パルス)を発生する。
エンジン1のシリンダブロック1aには、エンジン水温(冷却水温)を検出する水温センサ207が配置されている。エンジン1の燃焼室1cには点火プラグ15が配置されている。点火プラグ15の点火タイミングはイグナイタ16によって調整される。イグナイタ16はECU100によって制御される。
エンジン1の燃焼室1cには吸気通路1dと排気通路1eとが接続されている。吸気通路1dと燃焼室1cとの間に吸気バルブ1fが設けられており、この吸気バルブ1fを開閉駆動することにより、吸気通路1dと燃焼室1cとが連通または遮断される。また、燃焼室1cと排気通路1eとの間に排気バルブ1gが設けられており、この排気バルブ1gを開閉駆動することにより、燃焼室1cと排気通路1eとが連通または遮断される。これら吸気バルブ1f及び排気バルブ1gの開閉駆動は、クランクシャフト11の回転が伝達される吸気カムシャフト及び排気カムシャフトの各回転によって行われる。
吸気通路1dには、熱線式のエアフロメータ(吸入空気量センサ)208、吸気温センサ209(エアフロメータ208に内蔵)、及び、エンジン1の吸入空気量を調整する電子制御式のスロットルバルブ12が配置されている。スロットルバルブ12はスロットルモータ13によって駆動される。スロットルバルブ12は、運転者のアクセルペダル操作とは独立してスロットル開度を電子的に制御することが可能であり、その開度(スロットル開度)はスロットル開度センサ202によって検出される。また、スロットルモータ13はECU100によって駆動制御される。
具体的には、エンジン回転数センサ201によって検出されるエンジン回転数Neと運転者のアクセルペダル踏み込み量(アクセル開度)等のエンジン1の運転状態に応じた最適な吸入空気量(目標吸気量)が得られるようにスロットルバルブ12のスロットル開度を制御している。より詳細には、スロットル開度センサ202を用いてスロットルバルブ12の実際のスロットル開度を検出し、その実スロットル開度が、上記目標吸気量が得られるスロットル開度(目標スロットル開度)に一致するようにスロットルバルブ12のスロットルモータ13をフィードバック制御している。
そして、吸気通路1dには燃料噴射用のインジェクタ(燃料噴射弁)14が配置されている。インジェクタ14には、燃料タンクから燃料ポンプによって所定圧力の燃料が供給され、吸気通路1dに燃料が噴射される。この噴射燃料は吸入空気と混合されて混合気となってエンジン1の燃焼室1cに導入される。燃焼室1cに導入された混合気(燃料+空気)は点火プラグ15にて点火されて燃焼・爆発する。この混合気の燃焼室1c内での燃焼・爆発によりピストン1bが往復運動してクランクシャフト11が回転する。以上のエンジン1の運転状態はECU100によって制御される。
−トルクコンバータ−
トルクコンバータ2は、図3に示すように、入力軸側のポンプインペラ21と、出力軸側のタービンランナ22と、トルク増幅機能を発現するステータ23と、ワンウェイクラッチ24とを備え、ポンプインペラ21とタービンランナ22との間で流体を介して動力伝達を行う。
トルクコンバータ2は、図3に示すように、入力軸側のポンプインペラ21と、出力軸側のタービンランナ22と、トルク増幅機能を発現するステータ23と、ワンウェイクラッチ24とを備え、ポンプインペラ21とタービンランナ22との間で流体を介して動力伝達を行う。
トルクコンバータ2には、入力側と出力側とを直結状態にするロックアップクラッチ25が設けられており、このロックアップクラッチ25を完全係合させることにより、ポンプインペラ21とタービンランナ22とが一体回転する。また、ロックアップクラッチ25を所定のスリップ状態で係合させることにより、駆動時には所定のスリップ量でタービンランナ22がポンプインペラ21に追随して回転する。トルクコンバータ2と自動変速機3とは回転軸によって接続される。トルクコンバータ2のタービン回転数Ntは、タービン回転数センサ203によって検出される。トルクコンバータ2のロックアップクラッチ25の係合または解放は、油圧制御回路300及びECU100によって制御される。
なお、タービン回転数センサ203は、例えば自動変速機3の入力軸30と同回転するクラッチドラム(図示せず)のパルス数(例えば上記したシグナルロータ18と同様な手法で検出されるパルス数)からタービン回転数Ntを検出している。
−自動変速機−
自動変速機3は、図3に示すように、ダブルピニオン型の第1遊星歯車装置31、シングルピニオン型の第2遊星歯車装置32、及び、シングルピニオン型の第3遊星歯車装置33を備えた遊星歯車式の変速機である。自動変速機3の出力軸34から出力される動力は、プロペラシャフト、デファレンシャルギヤ及びドライブシャフト等を介して駆動輪に伝達される。
自動変速機3は、図3に示すように、ダブルピニオン型の第1遊星歯車装置31、シングルピニオン型の第2遊星歯車装置32、及び、シングルピニオン型の第3遊星歯車装置33を備えた遊星歯車式の変速機である。自動変速機3の出力軸34から出力される動力は、プロペラシャフト、デファレンシャルギヤ及びドライブシャフト等を介して駆動輪に伝達される。
自動変速機3の第1遊星歯車装置31のサンギヤS1はクラッチC3を介して入力軸30に選択的に連結される。また、サンギヤS1は、ワンウェイクラッチF2及びブレーキB3を介してハウジングに選択的に連結され、逆方向(入力軸30の回転と反対方向)の回転が阻止される。第1遊星歯車装置31のキャリアCA1は、ブレーキB1を介してハウジングに選択的に連結されるとともに、そのブレーキB1と並列に設けられたワンウェイクラッチF1により、常に逆方向の回転が阻止される。第1遊星歯車装置31のリングギヤR1は、第2遊星歯車装置32のリングギヤR2と一体的に連結されており、ブレーキB2を介してハウジングに選択的に連結される。
第2遊星歯車装置32のサンギヤS2は、第3遊星歯車装置33のサンギヤS3と一体的に連結されており、クラッチC4を介して入力軸30に選択的に連結される。また、サンギヤS2は、ワンウェイクラッチF0及びクラッチC1を介して入力軸30に選択的に連結され、その入力軸30に対して相対的に逆方向へ回転することが阻止される。
第2遊星歯車装置32のキャリアCA2は、第3遊星歯車装置33のリングギヤR3と一体的に連結されており、クラッチC2を介して入力軸30に選択的に連結されるとともに、ブレーキB4を介してハウジングに選択的に連結される。また、キャリアCA2は、ブレーキB4と並列に設けられたワンウェイクラッチF3によって、常に逆方向の回転が阻止される。そして、第3遊星歯車装置33のキャリアCA3は出力軸34に一体的に連結されている。自動変速機3の出力軸34の回転数は、出力回転数センサ204によって検出される。
なお、出力回転数センサ204は、例えば、出力軸34とギヤにて結合されているカウンタギヤ(図示せず)のパルス数(例えば上記したシグナルロータ18と同様な手法で検出されるパルス数)を検出しており、その検出したパルス数から自動変速機3の出力回転数(出力回転数=[パルス数]×[カウンタギヤ比])を算出している。
以上の自動変速機3のクラッチC1〜C4、ブレーキB1〜B4、及び、ワンウェイクラッチF0〜F3の係合・解放状態を図4の作動表に示す。図4の作動表において「○」は「係合」を表し、「空欄」は「解放」を表している。また、「◎」は「エンジンブレーキ時の係合」を表し、「△」は「動力伝達に関係しない係合」を表している。
図4に示すように、この例の自動変速機3において、前進ギヤ段の1速(1st)では、クラッチC1が係合され、ワンウェイクラッチF0,F3が作動する。前進ギヤ段の2速(2nd)では、クラッチC1及び第3ブレーキB3が係合され、ワンウェイクラッチF0,F1,F2が作動する。
前進ギヤ段の3速(3rd)では、クラッチC1,C3が係合されるとともに、ブレーキB3が係合され、ワンウェイクラッチF0,F1が作動する。前進ギヤ段の4速(4th)では、クラッチC1,C2,C3が係合されるとともに、ブレーキB3が係合され、ワンウェイクラッチF0が作動する。
前進ギヤ段の5速(5th)では、クラッチC1,C2,C3が係合されるとともに、ブレーキB1,B3が係合される。前進ギヤ段の6速(6th)では、クラッチC1,C2が係合されるとともに、ブレーキB1,B2,B3が係合される。また、後進ギヤ段(R)では、クラッチC3が係合されるとともに、ブレーキB4が係合され、ワンウェイクラッチF1が作動する。
以上のように、この例の自動変速機3では、摩擦係合要素であるクラッチC1〜C4、ブレーキB1〜B4、及び、ワンウェイクラッチF0〜F3などが、所定の状態に係合または解放されることによってギヤ段(変速比)が設定される。これらクラッチC1〜C4及びブレーキB1〜B4の係合または解放は油圧制御回路300及びECU100(図1参照)によって制御される。
−シフト操作装置−
一方、車両の運転席の近傍には図5に示すようなシフト装置5が配置されている。シフト装置5にはシフトレバー51が変位可能に設けられている。
一方、車両の運転席の近傍には図5に示すようなシフト装置5が配置されている。シフト装置5にはシフトレバー51が変位可能に設けられている。
この例のシフト操作装置5には、P(パーキング)ポジション、R(リバース)ポジション、N(ニュートラル)ポジション、及び、D(ドライブ)ポジションが設定されており、ドライバが所望のポジションへシフトレバー51を変位させることが可能となっている。これらPポジション、Rポジション、Nポジション、Mポジション(下記のMポジションのアップシフト(+)位置及びダウンシフト位置(−)位置も含む)の各位置は、シフトポジションセンサ206(図7参照)によって検出される。シフトポジションセンサ206の出力信号はECU100に入力される。なお、ECU100は、シフトポジションセンサ206の出力信号、後述するアップシフトスイッチ511及びダウンシフトスイッチ512の操作信号に基づいて、自動変速モードまたは手動変速モードのいずれのモードが選択されているのかを判別することができる。
Pポジション及びNポジションは、車両を走行させないときに選択される非走行ポジションであり、Rポジション及びDポジションは、車両を走行させるときに選択される走行ポジションである。
シフトレバー51にてPポジションが選択されると、図4に示すように、自動変速機3のクラッチC1〜C4、ブレーキB1〜B4、及び、ワンウェイクラッチF0〜F3の全てが解放されるとともに、パーキング機構(図示せず)によって出力軸34がロックされる。Nポジションが選択されると、自動変速機3のクラッチC1〜C4、ブレーキB1〜B4、及び、ワンウェイクラッチF0〜F3の全てが解放される。
Dポジションが選択されると、車両の運転状態などに応じて自動変速機3を自動的に変速する自動変速モードが設定され、自動変速機3の複数の前進ギヤ段(前進6速)が自動的に変速制御される。Rポジションが選択されると、自動変速機3は後進ギヤ段に切り替えられる。
また、シフト操作装置5には、図5(b)に示すように、M(マニュアル)ポジション52が設けられており、シフトレバー51がMポジション52に操作されたときに、手動にて変速操作を行うマニュアル変速モード(シーケンシャルモード)が設定される。このマニュアル変速モードにおいてシフトレバー51がアップシフト(+)またはダウンシフト(−)に操作されると、自動変速機3の前進ギヤ段がアップまたはダウンされる。具体的には、アップシフト(+)への1回操作ごとにギヤ段が1段ずつアップ(例えば1st→2nd→・・→6th)される。一方、ダウンシフト(−)への1回操作ごとにギヤ段が1段ずつダウン(例えば6th→5th→・・→1st)される。
また、この例においては、図6に示すように、車両の運転席の前方に配設されるステアリングホイール500に、アップシフトスイッチ511及びダウンシフトスイッチ512が設けられている。アップシフトスイッチ511及びダウンシフトスイッチ512は、例えばパドルスイッチ(モーメンタリスイッチ(自動復帰型スイッチ))であって、これらアップシフトスイッチ511及びダウンシフトスイッチ512の各操作信号はECU100に入力される。
そして、上記シフトレバー51が例えばDポジションに操作されている場合に、ダウンシフトスイッチ512が操作されると、そのダウンシフトスイッチ512の1回操作ごとに、変速機3のギヤ段が1段ずつダウン(例えば6th→5th→4th→・・→1st)される。一方、アップシフトスイッチ511が1回操作されるごとに、変速機3のギヤ段がアップ(例えば1st→2nd→3rd→・・→6th)される。
−ECU−
ECU100は、図7に示すように、CPU101、ROM102、RAM103及びバックアップRAM104などを備えている。
ECU100は、図7に示すように、CPU101、ROM102、RAM103及びバックアップRAM104などを備えている。
ROM102には、車両の基本的な運転に関する制御の他、車両の走行状態に応じて自動変速機3のギヤ段を設定する変速制御を実行するためのプログラムを含む各種プログラムなどが記憶されている。この変速制御の具体的な内容については後述する。
CPU101は、ROM102内に記憶された各種制御プログラムやマップに基づいて演算処理を実行する。また、RAM103はCPU101での演算結果や各センサから入力されたデータ等を一時的に記憶するメモリであり、バックアップRAM104はエンジン1の停止時にその保存すべきデータ等を記憶する不揮発性のメモリである。
これらCPU101、ROM102、RAM103、及び、バックアップRAM104はバス107を介して互いに接続されるとともに、入力インターフェース105及び出力インターフェース106と接続されている。
入力インターフェース105には、エンジン回転数センサ201、スロットル開度センサ202、タービン回転数センサ203、出力回転数センサ204、アクセルペダル4の開度を検出するアクセル開度センサ205、シフトポジションセンサ206、水温センサ207、エアフロメータ208、吸気温センサ209、及び、車両の速度を検出する車速センサ210、並びに、アップシフトスイッチ511及びダウンシフトスイッチ512などが接続されており、これらの各種センサ類からの信号がECU100に入力される。
出力インターフェース106には、スロットルバルブ12のスロットルモータ13、インジェクタ14、点火プラグ15のイグナイタ16、及び、油圧制御回路300などが接続されている。
ECU100は、上記した各種センサの出力信号に基づいて、エンジン1のスロットルバルブ12の開度制御、点火時期制御(イグナイタ16の駆動制御)、燃料噴射量制御(インジェクタ14の開閉制御)などを含むエンジン1の各種制御を実行する。
また、ECU100は、自動変速機3のギヤ段を設定するソレノイド制御信号(油圧指示信号)を油圧制御回路300に出力する。このソレノイド制御信号に基づいて、油圧制御回路300のリニアソレノイドバルブやON−OFFソレノイドバルブの励磁・非励磁などが制御され、所定の変速ギヤ段(1速〜6速)を構成するように、自動変速3のクラッチC1〜C4、ブレーキB1〜B4、及び、ワンウェイクラッチF0〜F3などが、所定の状態に係合または解放される。
さらに、ECU100は、油圧制御回路300にロックアップクラッチ制御信号(油圧指示信号)を出力する。このロックアップクラッチ制御信号に基づいて、油圧制御回路300のロックアップコントロールバルブなどが制御されてトルクコンバータ2のロックアップクラッチ25が係合、半係合または解放される。
次に、以上のECU100が実行する[変速制御]、[ロックアップ制御]、[油圧学習制御・ブリッピング制御]、及び、[マニュアルダウンシフト時のスイープ制御]などについて以下に説明する。
−変速制御−
まず、この例の変速制御に用いる変速マップについて図8を参照して説明する。
まず、この例の変速制御に用いる変速マップについて図8を参照して説明する。
図8に示す変速マップは、車速V及びアクセル開度Accをパラメータとし、それら車速V及びアクセル開度Accに応じて、適正なギヤ段(最適な燃費となるギヤ段)を求めるための複数の領域が設定されたマップであって、ECU100のROM102内に記憶されている。変速マップの各領域は複数の変速線(ギヤ段の切り替えライン)によって区画されている。
なお、図8に示す変速マップにおいて、シフトアップ線(変速線)を実線で示し、ダウンシフト線(変速線)を破線で示している。また、シフトアップ及びダウンシフトの各切り替え方向を図中に数字と矢印とを用いて示している。
次に、変速制御の基本動作について説明する。
ECU100は、車速センサ210の出力信号から車速Vを算出するとともに、アクセル開度センサ205の出力信号からアクセル開度Accを算出し、それら車速V及びアクセル開度Accに基づいて図8の変速マップを参照して目標ギヤ段を算出し、その目標ギヤ段と現状ギヤ段とを比較して変速操作が必要であるか否かを判定する。
その判定結果により、変速の必要がない場合(目標ギヤ段と現状ギヤ段とが同じで、ギヤ段が適切に設定されている場合)には、現状ギヤ段を維持するソレノイド制御信号(油圧指示信号)を油圧制御回路300に出力する。
一方、目標ギヤ段と現状ギヤ段とが異なる場合には変速制御を行う。例えば、自動変速機3のギヤ段が「5速」の状態で走行している状況から、車両の走行状態が変化して、例えば図8に示す点Xaから点Xbに変化した場合、ダウンシフト変速線[5→4]を跨ぐ変化となるので、変速マップから算出される目標ギヤ段が「4速」となり、その4速のギヤ段を設定するソレノイド制御信号(油圧指示信号)を油圧制御回路300に出力して、5速のギヤ段から4速のギヤ段への変速(5→4ダウンシフト変速)を行う。なお、車速Vは、出力回転数センサ204の出力信号から算出するようにしてもよい。
また、ECU100は、マニュアル変速モードにおいてシフトレバー51がアップシフト(+)またはダウンシフト(−)に操作された場合や、アップシフトスイッチ511またはダウンシフトスイッチ512が操作された場合、そのマニュアル変速要求に応じて、ソレノイド制御信号(油圧指示信号)を油圧制御回路300に出力して自動変速機3のギヤ段を設定する。
−ロックアップ制御−
この例のロックアップ制御に用いる係合マップについて図9を参照して説明する。
この例のロックアップ制御に用いる係合マップについて図9を参照して説明する。
図9に示す係合マップは、車速V及びアクセル開度Accをパラメータとし、それら車速V及びアクセル開度Accに応じて、ロックアップクラッチ25の係合または解放を判定するための領域(ON領域、OFF領域)が設定されたマップであって、ECU100のROM102内に記憶されている。
図9に示す係合マップにおいて、ロックアップON線を実線で示し、ロックアップOFF線を破線で示している。これらロックアップON線(実線)とロックアップOFF線(破線)とは所定のヒステリシスを有して設定されている。このようにヒステリシスを設ける理由はハンチングを防止するためである。また、図9に示す係合マップにおいて、ロックアップON線及びロックアップOFF線は、車速V及びアクセル開度Accに応じて燃費が最適となるように設定されている。
そして、ECU100は、車速センサ210及びアクセル開度センサ205の各センサの出力信号から得られる車速V及びアクセル開度Accに基づいて、図9の係合マップを参照してロックアップクラッチ25の係合または解放を行う。
具体的には、ロックアップクラッチ25が解放(OFF)状態にあるときから、車速Vが高車速側に変化したり、アクセル開度Accが低アクセル開度側に変化してロックアップON線(実線)を横切った場合(例えば図9に示すXcからXdに変化(ロックアップOFF→ON)した場合)には、ロックアップオンと判断してロックアップクラッチ25を係合する。
一方、ロックアップクラッチ25が係合(ON)状態にあるときから、車速が低車速側に変化したり、アクセル開度が高アクセル開度側に変化してロックアップOFF線(破線)を横切った場合(ロックアップON→OFF)には、ロックアップオフと判断してロックアップクラッチ25を解放する。
−油圧学習制御・ブリッピング制御−
ECU100が実行する油圧学習制御及びブリッピング制御について説明する。
ECU100が実行する油圧学習制御及びブリッピング制御について説明する。
[油圧学習制御]
この例においては、マニュアルダウンシフトの際に、自動変速機3の入力回転数(AT入力回転数(タービン回転数Nt))に応じて、そのAT入力回転数の実際の変化量(単位時間当たりの変化量)ΔNtf(図12参照)が目標変化量ΔNtt(図12参照)に収束するように(実際の変化量ΔNtfと目標変化量ΔNttとの偏差が所定値以内(許容範囲内)に収束に収束するように)、自動変速機3の係合要素油圧の定圧待機圧を学習制御する油圧学習制御を行っている。
この例においては、マニュアルダウンシフトの際に、自動変速機3の入力回転数(AT入力回転数(タービン回転数Nt))に応じて、そのAT入力回転数の実際の変化量(単位時間当たりの変化量)ΔNtf(図12参照)が目標変化量ΔNtt(図12参照)に収束するように(実際の変化量ΔNtfと目標変化量ΔNttとの偏差が所定値以内(許容範囲内)に収束に収束するように)、自動変速機3の係合要素油圧の定圧待機圧を学習制御する油圧学習制御を行っている。
具体的には、変速初期におけるAT入力回転数の実際の変化量ΔNtfが目標変化量ΔNttよりも大きい場合には、AT入力回転数の実際の変化量ΔNtfが目標変化量ΔNttに収束するように係合側係合要素の係合油圧(定圧待機圧)を下げる側に学習制御する。一方、変速初期におけるAT入力回転数の実際の変化量ΔNtfが目標変化量ΔNttよりも小さい場合には、AT入力回転数の実際の変化量ΔNtfが目標変化量ΔNttに収束するように係合側係合要素の係合油圧(定圧待機圧)を上げる側に学習制御する。
そして、このような油圧学習制御は、マニュアルダウンシフトの要求がある毎に実施され、その油圧学習値(定圧待機圧値)が順次記憶・更新されていく。
[ブリッピング制御]
この例では、マニュアルダウンシフトの際に、変速時間短縮及び変速フィーリングの向上を目的として、エンジントルクを増大させて自動変速機3の入力回転数(AT入力回転数)を一時的に上昇させるブリッピング制御を併用している。この例のブリッピング制御では、マニュアルダウンシフトの際に、車速センサ210からの出力信号から得られる車速Vに基づいて図10のマップを参照してトルクアップ量を求め、そのトルクアップ量を通常制御時のエンジントルク(目標トルク)に加算してエンジン1の運転を制御する。
この例では、マニュアルダウンシフトの際に、変速時間短縮及び変速フィーリングの向上を目的として、エンジントルクを増大させて自動変速機3の入力回転数(AT入力回転数)を一時的に上昇させるブリッピング制御を併用している。この例のブリッピング制御では、マニュアルダウンシフトの際に、車速センサ210からの出力信号から得られる車速Vに基づいて図10のマップを参照してトルクアップ量を求め、そのトルクアップ量を通常制御時のエンジントルク(目標トルク)に加算してエンジン1の運転を制御する。
図10のマップは、車速Vをパラメータとし、実験・計算等によってトルクアップ量(ブリッピング量)を適合をした値をマップ化したものであって、ECU100のROM102内に記憶されている。図10に示すマップにおいて、車速Vが大きくなるほどトルクアップ量が小さい値になるように設定されている。
−マニュアルダウンシフト時のスイープ制御−
まず、上述したように、マニュアルダウンシフトの際には自動変速機3の係合要素油圧の定圧待機圧を油圧学習制御により上下させることによって、AT入力回転数(タービン回転数Nt)の実際の変化量ΔNtfが目標変化量ΔNttに収束するように制御している。しかし、エンジントルクのばらつきによっては、ブリッピング制御によるトルクアップ量が必要以上(または不足)となる場合がある。こうした状況になると、係合要素油圧の油圧学習制御を実施しても変速応答性と変速ショック抑制とを両立することができない場合がある。
まず、上述したように、マニュアルダウンシフトの際には自動変速機3の係合要素油圧の定圧待機圧を油圧学習制御により上下させることによって、AT入力回転数(タービン回転数Nt)の実際の変化量ΔNtfが目標変化量ΔNttに収束するように制御している。しかし、エンジントルクのばらつきによっては、ブリッピング制御によるトルクアップ量が必要以上(または不足)となる場合がある。こうした状況になると、係合要素油圧の油圧学習制御を実施しても変速応答性と変速ショック抑制とを両立することができない場合がある。
具体的には、マニュアルダウンシフトの際に、例えばAT入力回転数の実際の変化量ΔNtfが目標変化量ΔNttに対して大きい場合、油圧学習制御により定圧待機圧を下げる側に制御するが、この下げ側への油圧学習制御により定圧待機圧が低くなった場合、従来制御では、変速後半(特に変速終盤)において十分な油圧を得ることができず、このため、図14に示すように、変速時間が長くなって変速応答性を確保できなくなる。一方、変速時間短縮のために、タービン回転数Nt(nts4x)が変速後ギヤ段の同期回転数(目標ギヤ段のnts4x=0)に達する前のタイミングtupで係合要素油圧を一気に上昇させると(図14の二点鎖線で示す油圧アップ)、タービン回転数Ntと目標ギヤ段の同期回転数との差回転nts4xが大きい状態での係合油圧アップとなるので変速ショックが発生する。
このような点を考慮し、この例では、マニュアルダウンシフトの変速前半においては、AT入力回転数の変化量ΔNtfに応じて係合要素油圧の油圧学習制御及びブリッピング制御(トルクアップ制御)を実行することにより、目標の変速応答性を損なわないように制御する。さらに、変速後半(特に、変速終盤)において、係合側係合要素の係合油圧のスイープ率(単位時間当たりのスイープ油圧変化量)を効果的に制御することによって、変速応答性を確保しながら、変速ショックを抑制する点に特徴がある。
そのスイープ率制御の一例について図11のフローチャートを参照して説明する。図11の制御ルーチンはECU100において所定周期(例えば数msec(4msec)〜数十msec程度)毎に繰り返して実行される。
まず、ステップST101では、シフトポジションセンサ206の出力信号及びダウンシフトスイッチ512の操作信号に基づいて、運転者によるマニュアルダウンシフト要求(N速→[N−1]速)が発生したか否かを判定し、その判定結果が否定判定である場合はリターンする。
ステップST101の判定結果が肯定判定である場合(マニュアルダウンシフト要求があった場合)は制御を開始する(ステップST102)。制御を開始すると、上記した油圧学習制御及びブリッピング制御により、AT入力回転数の実際の変化量ΔNtf(図12参照)が目標変化量ΔNtt(図12参照)に収束するように、係合側係合要素の係合油圧(定圧待機圧)を学習制御する。
次に、ステップST103では、ダウンシフト変速過程において、図12に示す差回転nts4x[rpm]の絶対値が判定閾値Th[rpm]よりも小さくなったか否かを判定し、その判定結果が否定判定である場合(Th≦|nts4x|)は待機状態を維持する(ステップST110)。そして、ステップST103の判定結果が肯定判定(|nts4x|<Th)になった時点でステップST104に進んで可変スイープ制御を開始する。
ここで、差回転nts4xはタービン吹き回転数であって、現在ギヤ段でのタービン回転数Nt(AT入力回転数)と各ギヤ段(目標ギヤ段)における同期回転数との差([タービン回転数Nt]−[目標ギヤ段の同期回転数])である。差回転nts4x[rpm]は、タービン回転数Ntが目標ギヤ段の同期回転数よりも小さい状態のときは負の値であり、タービン回転数Ntが目標ギヤ段の同期回転数に一致したときに「0」になる。差回転nts4xは、例えば4msec毎の周期で算出される。また、タービン回転数Ntも例えば4msec毎の周期で算出される。
また、ステップST103の判定処理に用いる判定閾値Th[rpm]は、ダウンシフト変速の終盤であるか否かを判定するための閾値であって、この例では、判定閾値Thを例えば100rpmとしている。
そして、ステップST104において可変スイープ制御を開始すると、例えば4msec毎の周期で算出される差回転nts4x「rpm」に応じてスイープ制御のスイープ率を上昇させていく。具体的には、例えば図13に示すマップを用いて、現在の差回転nts4x[rpm]からスイープ率[kPa/時間]を算出し、そのスイープ率に基づいて係合側係合要素のスイープ油圧を制御する。このスイープ制御により、タービン回転数Ntが変速後ギヤ段の同期回転数に到達した時点(目標ギヤ段のnts4x=0)でMAX圧(ライン圧)まで一気に上昇させて制御を終了する(ステップST106)。
次に、上記したスイープ率制御を含むマニュアルダウンシフト時の変速制御について、図12のタイミングチャートを参照して具体的に説明する。
まず、基本的な変速制御(油圧制御)について説明する。運転者によってシフトレバー51がダウンシフト位置(−)に操作されるか、または、ダウンシフトスイッチ512が操作されて、マニュアルダウンシフト要求(N速→[N−1]速)が発生すると、解放側係合要素の油圧指示値(図示せず)は速やかに0まで低下させられる一方、係合側係合要素の油圧指示は予め定められた変化パターンで変化させられる。
具体的には、図12に示すように、まずは所定のファーストフィル圧Pfで作動油を急速充填した後、所定の定圧待機圧Ptに保持する。このとき、係合油圧でタービン回転数Ntを上昇させてダウンシフトを進行させ、タービン回転数Ntが変速後ギヤ段の同期回転数付近(変速終盤)に達した時点でスイープ制御によりスイープ率を制御して係合要素油圧を上昇させる。さらに、タービン回転数Ntが変速後ギヤ段の同期回転数に到達した時点(目標ギヤ段のnts4x=0)でMAX圧(ライン圧)まで一気に上昇させて油圧制御を終了する。
そして、この例では、マニュアルダウンシフトの際の変速前半と後半とにフェーズを分けて油圧制御を行っている点に特徴がある。
その変速前半においては、図12に示すように、AT入力回転数の実際の変化量ΔNtfが目標変化量ΔNtfに一致するように係合要素油圧(定圧待機圧Pt)の油圧学習制御及びブリッピング制御(トルクアップ制御)を実行することにより、目標の変速応答性を損なわないように制御する。
次に、変速後半(変速終盤)において、AT入力回転数と変速後ギヤ段の同期回転数との差回転nts4x(絶対値)が判定閾値Thよりも小さくなった時点t1(図11のフローチャートのステップST103の判定結果が肯定判定となった時点)で可変スイープ制御を実行する。具体的には、例えば4msec毎の周期で算出される差回転nts4x「rpm」に応じて、図13のマップに基づいてスイープ制御のスイープ率[kPa/時間]を上昇させていく。
このようにしてマニュアルダウンシフトの変速後半において、AT入力回転数と変速後ギヤ段の同期回転数との差回転nts4xに応じてスイープ制御のスイープ率を上昇させることにより、エンジントルクのばらつきに応じて係合油圧(定圧待機圧)を下げる側に学習制御して、係合油圧が低下した状態となっても、その低下分をスイープ油圧の増圧にて吸収することができる。これによって変速応答性を確保することができる。しかも、差回転nts4x(絶対値)が小さくなるにしたがってスイープ率を上昇させているので、適正なスイープ油圧を設定することができ、スイープ油圧を一気に上昇させる場合と比較して、変速ショックを十分に抑制することができる。
以上のように、この例の制御によれば、マニュアルダウンシフトの際の変速応答性と変速ショック抑制とを両立することができる。
なお、以上の制御において、係合側係合要素の係合油圧(定圧待機圧)を上げる側に学習制御する場合であっても、AT入力回転数と変速後ギヤ段の同期回転数との差回転nts4xに応じてスイープ率を変更することにより、適正なスイープ油圧を設定することができ、変速ショックを抑制することができる。
ここで、図13のマップは、現在ギヤ段のAT入力回転数と変速後ギヤ段の同期回転数との差回転nts4xをパラメータとし、係合要素の係合時の変速ショックを考慮して、スイープ率(単位時間当たりのスイープ油圧の変化量)を実験・計算等によって適合をした値をマップ化したものであって、ECU100のROM102内に記憶されている。図13に示すマップにおいて、差回転nts4xが小さくなるほどスイープ率[kPa/時間]が大きい値になるように設定されている。
なお、スイープ率[kPa/時間]は図13に示すような数値に限定されない。例えばエンジン1及び自動変速機3の機種などを考慮して、実験・計算等によって適合した他の数値のスイープ率を設定したマップを用いてもよい。
また、以上の例では、スイープ率を単位時間当たりのスイープ油圧の変化量[kPa/時間]としているが、これに替えて、図11に示す制御ルーチンの1周期当たりのスイープ油圧の変化量[kPa/周期]をスイープ率としてもよい。
−他の実施形態−
以上の例では、前進6段変速の自動変速機が搭載された車両の変速制御に本発明を適用した例を示したが、本発明はこれに限られることなく、他の任意の変速段の有段式自動変速機が搭載された車両の変速制御にも適用可能である。
以上の例では、前進6段変速の自動変速機が搭載された車両の変速制御に本発明を適用した例を示したが、本発明はこれに限られることなく、他の任意の変速段の有段式自動変速機が搭載された車両の変速制御にも適用可能である。
以上の例では、ポート噴射型ガソリンエンジンを搭載した車両の変速制御に本発明を適用した例を示したが、本発明はこれに限られることなく、筒内直噴型ガソリンエンジンを搭載した車両の変速制御にも適用可能である。また、本発明は、ガソリンエンジンを搭載した車両の変速制御に限られることなく、ディーゼルエンジン等の他のエンジンを搭載した車両の変速制御にも適用可能である。
さらに、本発明は、FR(フロントエンジン・リアドライブ)型車両に限れられることなく、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)型車両や、4輪駆動車の変速制御にも適用できる。
本発明は、内燃機関(エンジン)及び自動変速機が搭載された車両の変速制御装置に利用可能であり、さらに詳しくは、運転者による手動操作によって自動変速機を変速するマニュアル変速モードの選択が可能な車両の変速制御装置に利用することができる。
1 エンジン
2 トルクコンバータ
3 自動変速機
100 ECU
201 エンジン回転数センサ
202 スロットル開度センサ
203 タービン回転数センサ
204 出力回転数センサ
205 アクセル開度センサ
206 シフトポジションセンサ
210 車速センサ
300 油圧制御回路
511 アップシフトスイッチ
512 ダウンシフトスイッチ
2 トルクコンバータ
3 自動変速機
100 ECU
201 エンジン回転数センサ
202 スロットル開度センサ
203 タービン回転数センサ
204 出力回転数センサ
205 アクセル開度センサ
206 シフトポジションセンサ
210 車速センサ
300 油圧制御回路
511 アップシフトスイッチ
512 ダウンシフトスイッチ
Claims (3)
- 内燃機関と自動変速機とが搭載されており、運転者による手動操作にて前記自動変速機を変速するマニュアル変速モードの選択が可能な車両に適用され、前記自動変速機の変速の際に係合側係合要素のトルク容量のスイープ制御を実行する変速制御装置において、
マニュアルダウンシフトの際に、前記自動変速機の入力回転数と変速後の同期回転数との差回転に応じて前記係合側係合要素のスイープ制御のスイープ率を制御することを特徴とする車両の変速制御装置。 - 請求項1記載の車両の変速制御装置において、
前記自動変速機の入力回転数と変速後の同期回転数との差回転が小さい場合は大きい場合と比較して前記スイープ制御のスイープ率を大きく設定することを特徴とする車両の変速制御装置。 - 請求項1または2記載の車両の変速制御装置において、
前記自動変速機の入力回転数と変速後の同期回転数との差回転が判定閾値よりも小さくなったときに、前記スイープ率制御を実行することを特徴とする車両の変速制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009114522A JP2010261553A (ja) | 2009-05-11 | 2009-05-11 | 車両の変速制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2009114522A JP2010261553A (ja) | 2009-05-11 | 2009-05-11 | 車両の変速制御装置 |
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JP2010261553A true JP2010261553A (ja) | 2010-11-18 |
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Family Applications (1)
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JP2009114522A Pending JP2010261553A (ja) | 2009-05-11 | 2009-05-11 | 車両の変速制御装置 |
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JP (1) | JP2010261553A (ja) |
-
2009
- 2009-05-11 JP JP2009114522A patent/JP2010261553A/ja active Pending
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