JP2010255914A - 調剤用クリーンルームユニット - Google Patents
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Abstract
【解決手段】開き戸60を装備した作業ユニット30と、作業台41を有するクリーンベンチ40と、作業ルーム34に清浄な空気を送給しつつクリーンベンチ40から排気する圧力調整可能な給排気系(71,72等)と、作業ルーム34の気圧を陰圧か他の圧力に切り替えて異質な調剤作業の遂行を可能にする制御装置22とを備え、開き戸60の開閉時には、ダンパ操作部材の手動操作に応じて又は開き戸60の開閉や操作を検出して自動で、給気側ダンパ18,排気側ダンパ15,常閉ダンパ90を開かせる。
【選択図】 図1
Description
調剤作業に適するよう改良された従来のクリーンルームユニットは(例えば特許文献1参照)、外部から隔離される作業ルームと、作業用開口を有しその作業用開口が前記作業ルームに臨むように設けられたクリーンベンチユニットとを備え、建物の内部に独立に設置されるものであって、前記作業ルームとクリーンベンチユニット内の空気の清浄化と圧力調整を行うことが可能であり而も作業ルームにエアシャワーを発生可能な空気調整システムと、前記空気調整システムの動作制御を行うに際して作業ルームにエアシャワーを発生させるエアシャワーモードと作業ルームを陽圧又は陰圧にして調剤作業を可能にする作業モードとに切り換え可能な空気調整制御手段とを備えている。
なお、前記作業ルームには作業者用の出入口を開閉する開閉ドア(開き戸)が設けられており、前記クリーンベンチユニットには前記作業用開口を開閉する開閉シャッタが装備されており、前記空気調整システムはユニット外から空気を取り入れつつフィルタと作業ルームとクリーンベンチユニットとの間で空気を循環させるようになっている。
しかしながら、このような従来の言わばパーソナルな調剤用クリーンルームユニットでは、作業ルームが小形化されても、作業者出入用の開き戸は小さくならない。作業者出入口の開閉には、密閉に適さないうえ移動幅の広い引き戸でなく、密閉に適した開き戸が採用され、そのなかでも小形化のためには片開き扉が採用されるが、作業者の出入りを容易にするには或る程度以上の大きさの開き戸が必要とされるからである。そして、開き戸を開けるとき、短時間とは言え、密閉が解消されるまでの間は、開き具合に応じて密閉空間の容積が増加して、その分だけ内部の気圧が低下する。このため、作業ルームの容積に占める開時流入量の割合が、すなわち開き戸を開けたとき作業ルームに流れ込む空気の量と作業ルームの容積との比が、作業ルームを小さくするほど大きくなって、流入空気による作業ルームやクリーンベンチの汚染もひどくなる。
また、先に述べた従来の調剤用クリーンルームユニットでは、空気調整システムで作業ルームにエアシャワーを発生させることにより、作業者の除塵の機能を損なうことなく小型化・低コスト化を実現するとともに、抗ガン剤などの劇薬を調剤するときには作業ルームを陰圧にして薬剤の外部漏れを防止することができるようになっている。
しかしながら、実用化に際しては更なる改良の要請が生じた。具体的には、ユニットが小形になるほど開き戸の開閉による作業ルーム内の気圧変化が急激になって、それが作業者の不安感や不快感を煽ることもあるため、開き戸の開閉時の作業ルーム内の気圧変化を緩和することが求められる。
そこで、開き戸開閉時の作業ルーム気圧変化が穏やかな調剤用クリーンルームユニットを実現することが技術的な課題となる。
したがって、この発明によれば、開き戸開閉時の作業ルーム気圧変化が穏やかな調剤用クリーンルームユニットを実現することができる。
さらに、本発明の調剤用クリーンルームユニットにあっては(解決手段4)、気圧変化の緩和が開き戸の開閉状態に応じた自動制御で具現化される。
また、本発明の調剤用クリーンルームユニットにあっては(解決手段5)、開き戸を開けようとした準備段階で気圧変化緩和の自動制御が素早く開始されるので、気圧変化の緩和がより的確になされる。
この場合、給排気系の給気側と排気側とが完全に分離されていて、屋外から取り入れられた空気が作業ルームに送り込まれ、それが総てクリーンベンチを経て屋外に出されるので、作業ルームの清浄化に供する空気は、ユニット内で循環再使用されることなく、ユニットの小形化とも相まって迅速に入れ替えられる。
この場合、給排気のうち排気系によるユニットからの屋外排気に向けた吸気が作業台の上方からなされるのに加えて作業台の下方からもなされる。そのため、開き戸の開閉後の清浄化完了待ち中に作業ルーム内を舞い降りた塵や埃が効率良く除去される。また、散薬等が作業台上から作業ルームへ不所望に入り込んで舞い落ちたようなときでも、その薬剤等は作業台の下を通って作業ルームから速やかに排出されることから、それが例え劇薬であっても被爆の可能性や量が小さくて済むので、調剤作業者の危険性も小さい。
この場合、開き戸の開閉に係る案内表示が作業ルームの内部の表示器になされる。しかも、その案内表示は開き戸の開閉状態と給排気の実行状態とに応じて行われる。そのため、作業者が作業ルームから出るとき、作業者は案内表示の内容と退室の緊急性とを勘案して適切な時期に開き戸を開けることとなる。調剤作業者の緊急避難を優先する観点から開き戸に施錠するのは好ましくなく少なくとも外側から施錠することはないが、適切な開閉案内表示を見た作業者は、非常時は別としても、大抵は、開き戸の開放による汚染が少ないときに退室する。
この場合、開き戸を開けようとした準備段階で早期に、而も自動で、クリーンベンチの作業台上の調剤作業空間と作業ルームとがシャッタで仕切られる。これにより、開き戸が開き始めて作業ルームの気圧が低下しても、そのときには既に調剤作業空間と作業ルームとが仕切られているため、調剤作業空間から作業ルームへ散薬等の汚染物質が流れ込むという不所望な事態の発生を回避・低減することができる。
この場合、開き戸が開き始めたり開いたりしたときには、排気が強化される。これにより、シャッタの隙間を通って調剤作業空間から作業ルームへ流れ込もうとする汚染物質まで減らして僅少にすることができる。
これにより、例え開き戸を開けたときに開き戸に追従する気流に運ばれて散薬等が作業ルームから室外へ舞い降りたような場合でも、その散薬等は大部分が速やかに吸い込まれてうえで排気側に運ばれるので、ユニット外の汚染まで回避・抑制することができる。
図1に示した実施例1は、上述した解決手段1〜3(出願当初の請求項1〜3)と実施形態1〜2を具現化したものであり、図2に示した実施例2は、上述した解決手段4〜5(出願当初の請求項4〜5)と実施形態3〜6を具現化したものである。
なお、それらの図示に際しては、簡明化等のため、ボルト等の締結具,ヒンジ等の連結具,電気回路や電子回路の詳細などは図示を割愛し、発明の説明に必要なものや関連するものを中心に図示した。
給気系について詳述すると、外気を外気取入口11から建物10内に取り入れ、その空気を給気ダクト12で天井裏31へ送り込みフィルタ71で清浄化してから、送風機72を作動させれば消音器73と送気口32を介して清浄な空気を穏やかに作業ルーム34に送給し、送風機74を作動させれば消音器75と噴気口33を介して清浄な空気を勢い良く作業ルーム34に送給するので、定常運転時の清浄空気供給に加えて、入室後の除塵のためのエアシャワーまで、作業ルーム34で行えるものとなっている。この給気ダクト12には、開き具合(開度)を可変しうる給気側ダンパ18が、介挿接続されている。
そして、このような給気系と排気系とを具えた給排気系は、外気を取り込んで清浄化した空気だけを作業ルーム34に送給しつつ、その総てをユニット内で循環させることなくクリーンベンチ40やパスユニット50経由で屋外へ放出するものとなっている。
しかも、ダンパ操作部材を一押しするだけで容易に開き戸60の開閉による作業ルーム34の急激な気圧変化を回避することができる。
また、劇薬が作業台41上から作業ルーム34へ不所望に入り込んでしまったときでも、その薬剤は作業台41の上下から速やかに排出されるので、作業者の被爆の危険性が小さい。
すなわち、微差圧計81〜86にて検出された差圧が正常範囲にあれば、それぞれの検出結果が差圧表示器80で青く表示されるが、検出差圧が注意すべき範囲に入ると差圧表示器80で黄色く表示されるとともに弱い警報音も発せられるため、作業ルーム34内の作業者は注意を促されるので心構えができる。さらに、微差圧計81〜86の検出差圧が異常レベルに達すると、差圧表示器80で、目立つよう赤い表示がなされるとともに、聞き逃さないよう強い警報音が発せられるため、作業ルーム34内の作業者は対策実行を促されるので必要な対処をとることができる。
開き戸60自体は既述品と同じままでも良く、図示した開き戸60には、密閉性に優れ安価で壁面占有面積が少なくて済む片開き扉が採用され、作業ユニット30の正面の出入口枠材35に装着されている。この開き戸60は、回転ハンドルからなる開閉操作部材61が内外(裏表)に出ており、スライドロッド等の係止部材62が内装されている。
操作検出器64は、例えばフォトセンサやプッシュスイッチからなり、開閉操作部材61の状態を検出するものであるが、検出結果を制御装置22に信号等で通知するには開き戸60側でなく作業ルーム34本体側に置いた方が簡便かつ安価なので被係止部36に臨んで出入口枠材35に設けられ、開閉操作部材61に連動する係止部材62の進退状態を検出することで間接的に開閉操作部材61の状態検出を行うようになっている。
扉下吸気口23は、上述した台上吸気口43等と同じでも良く、例えばパンチングメタルに形成された多数の小穴のようなもので良く、作業ルーム34を囲う外面のうち開き戸60の下方に位置する底部21の部分に形成されている。
扉下吸気口23は開閉ダンパ24を介在させて底部21の連通路に繋がっており、開閉ダンパ24が制御装置22の制御に従って開閉することにより、給排気系が扉下吸気口23からの吸気を選択的に行うようになっている。
また、制御装置22は、上述したように開閉検出器65や操作検出器64の検出結果に基づいて開き戸60の開閉状態が分かるので、開き戸60の開閉時に常閉ダンパ90と給気側ダンパ18と排気側ダンパ15を開かせるようになっている。
作業者が作業ルーム34に入るときに、ダンパ操作部材を押し忘れたとしても、開き戸60を開けると、それに応じて自動で常閉ダンパ90と給気側ダンパ18と排気側ダンパ15が開らき、作業者が作業ルーム34に入って開き戸60を閉め開閉操作部材61から手を離すまでは、それらのダンパ90,18,16が閉まらないので、開き戸60を開閉しても作業ルーム34内の気圧変化は穏やかで、作業者に不快感は生じない。
また、開き戸60が閉まっていれば戸開閉表示器63に「給排気が開始できます」との案内が表示されるので、作業者は安心して給排気を開始させることができる。
上記実施例では、操作検出器64の検出結果に基づいて制御装置22が給排気中の開き戸60の開操作を検知したときに制御装置22が給排気系に扉下吸気口23からの吸気を開始させるようになっていたが、それは行わずに、開閉検出器65の検出結果に基づいて制御装置22が給排気中の開き戸60の開動作を検知したときに初めて制御装置22が給排気系に扉下吸気口23からの吸気を開始させるようにしても良い。
また、上記実施例では、開閉操作部材61が回転ハンドルであったが、開閉操作部材61は、手動操作にて開き戸60を開閉できるものであれば他の形状でも良く、例えば回転式のノブや押し引き式の把手でも良い。
上記実施例では言及しなかったが、消毒機能のあるパスボックスを作業ユニット30やパスユニット50に連結しても良く、運転表示灯やインターホンを装備しても良く、椅子を入れておいても良く、人感センサーを取り付けても良く、覗き窓を設けても良く、照明は複数でも良く、シャッタ42の開閉状態を検出するセンサを設けても良く、調剤指示や薬剤情報などを表示するディスプレイを設けても良い。
12…給気ダクト、13,14…排気ダクト、
15…排気側ダンパ、16…送風機、17…屋外排気口、18…給気側ダンパ、
20…クリーンルームユニット、
21…底部、22…制御装置、23…扉下吸気口、24…開閉ダンパ、
30…作業ユニット、31…天井裏、32…送気口、
33…噴気口、34…作業ルーム、35…出入口枠材、36…被係止部、
40…クリーンベンチ、41…作業台、42…シャッタ、
43…台上吸気口、44…連通路、45…天井裏、46…台下吸気口、47…連通路、
50…パスユニット、51…パスボックス、52…箱上吸気口、
53…連通路、54…天井裏、55…箱下吸気口、56…連通路、
60…開き戸(片開き扉)、61…開閉操作部材、
62…係止部材、63…戸開閉表示器、64…操作検出器、65…開閉検出器、
71…フィルタ、72…送風機、73…消音器、
74…送風機、75…消音器、76,77…送風機、
80…差圧表示器、81〜86…微差圧計、90…常閉ダンパ
Claims (5)
- 作業者出入用の開き戸を有しそれを閉めると外部から隔離される作業ルームと、作業台の一端とその上の作業用開口とを前記作業ルームに臨ませたクリーンベンチと、前記作業ルームに清浄な空気を送給しつつ前記クリーンベンチから排気する圧力調整可能な給排気系と、前記給排気系に対する動作制御を行うに際して前記作業ルームの気圧を陰圧か他の圧力に切り替えて異質な調剤作業の遂行を可能にする制御装置とを備えており、建物の内部に独立に設置される調剤用クリーンルームユニットにおいて、前記制御装置の制御に従って前記給排気系の給排気経路の開度を可変することにより前記作業ルームの気圧の切り替えを実行するダンパが前記給排気系に装備されており、前記制御装置が前記開き戸の開閉時には前記ダンパを全開させるようになっていることを特徴とする調剤用クリーンルームユニット。
- 作業者出入用の開き戸を有しそれを閉めると外部から隔離される作業ルームと、作業台の一端とその上の作業用開口とを前記作業ルームに臨ませたクリーンベンチと、前記作業ルームに清浄な空気を送給しつつ前記クリーンベンチから排気する圧力調整可能な給排気系と、前記給排気系に対する動作制御を行うに際して前記作業ルームの気圧を陰圧か他の圧力に切り替えて異質な調剤作業の遂行を可能にする制御装置とを備えており、建物の内部に独立に設置される調剤用クリーンルームユニットにおいて、常態では閉じているが開時は前記作業ユニットの内外を連通させるダンパが前記作業ユニットに装備されており、前記開き戸の開閉時には前記ダンパを開かせるようになっていることを特徴とする調剤用クリーンルームユニット。
- 前記ダンパの開動作を指示するダンパ操作部材が設けられており、前記ダンパ操作部材の操作に応じて前記開き戸の開閉操作所要時間より長く前記ダンパを開かせることにより、前記開き戸の開閉時に前記ダンパを開かせるようになっていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載された調剤用クリーンルームユニット。
- 前記開き戸の開閉を検出する開閉検出器が設けられており、前記開閉検出器の検出結果に基づき前記開き戸が閉まっているときには前記ダンパを閉じさせるが前記開き戸が開きかけたとき及び開いているときには前記ダンパを開かせることにより、前記開き戸の開閉時に前記ダンパを開かせるようになっていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載された調剤用クリーンルームユニット。
- 前記開き戸の開閉操作部材の状態を検出する操作検出器が設けられており、前記操作検出器の検出結果に基づき前記開き戸の開閉操作を検知したときにも前記ダンパを開かせるようになっていることを特徴とする請求項4記載の調剤用クリーンルームユニット。
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