JP3886490B2 - 感染対策用空気清浄陰圧化装置 - Google Patents

Description

本発明は、例えば病室、診察室等の感染対策室を陰圧化し、且つ清浄化して、例えば結核、インフルエンザ等の空気感染症の空気感染を防止する省スペースの感染対策用空気清浄陰圧化装置に関するものである。

結核、インフルエンザ等の空気感染症の空気感染を防止するには、病院の病室、診察室等の感染対策室を陰圧化し、且つ清浄化することが必要不可欠である。

従来、感染症患者を入院させる病院（指定病院）の感染症病室では、陰圧化を目的としたフィルタ、排気ファン、排気ダクト工事および清浄化を目的としたフィルタ、循環ファン、換気ダクト工事を実施することで陰圧化、清浄化を実現していた。また、感染症病室の内装の気密化や既存空調系統との切り離しなどの工事も必要であった。これには多大なコストと工期を必要とする。

しかしながら、感染症患者を入院させる病院以外の病院では、一時的に患者を隔離するための設備が求められているが、前述のような完全な感染症病室を整備する必要はない。そこで、床置型や天井内隠蔽型の陰圧化・清浄化装置が普及しつつあるが、次のような問題も抱えている。

床置型の陰圧化・清浄化装置については、病室内面積を占有してしまうので、十分な広さを有する病室、診察室以外では適用しにくい。また、排気ダクト工事が必要になる。

天井内隠蔽型の陰圧化・清浄化装置については、天井工事や排気ダクト工事が伴うので、コストと工期面で問題がある。

従来の床置型の陰圧化・清浄化装置としては特許文献１がある。
特開２００３−１８５２０４号公報

本発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、感染対策用室内の面積を占有せず、且つ排気ダクト工事が不要になる感染対策用空気清浄陰圧化装置を提供することを目的とする。

上記目的を達成するために本発明の感染対策用空気清浄陰圧化装置は、感染対策用室の室内と室外とを仕切る仕切部を開口して室外に突出して取り付けられ室内に開口した筐体と、前記筐体の開口部に開閉自在に取り付けられた扉と、前記筐体の室内側に設けられた空気吸込口及び空気吹出口と、前記筐体の室外側に設けられて前記筐体内からの排気を下方に排出する排気部材と、前記筐体内に設けられ前記空気吸込口から室内の空気を吸込み、前記空気吹出口から空気を室内に吹き出すと共に前記排気部材から空気を室外へ排出するファンと、前記筐体内の前記ファンと前記空気吸込口との間に設けられ、前記空気吸込口から入った空気を清浄化するメインフィルタと、前記筐体の室内側に設けられ、前記ファンの強運転と弱運転を切替えて風量切替えができる強弱運転切替スイッチと、前記筐体内に設けられ、強運転時及び弱運転時のいずれの時も前記空気吹出口から室内に吹出される空気が定風量流れる開口部及び強運転時のみ開いて前記空気吹出口から室内に吹出される空気が流れるモータダンパと、前記筐体内の前記メインフィルタと前記ファンの間に設けられる遮蔽板と、を具備することを特徴とするものである。

また本発明は、前記感染対策用空気清浄陰圧化装置において、前記筐体に設けられ前記筐体内の空気を前記排気部材から室外へ排出すると共に室外からの空気が前記排気部材から前記筐体内に入るのを阻止する逆流防止ダンパを有することを特徴とするものである。

また本発明は、前記感染対策用空気清浄陰圧化装置において、前記筐体の室外部分の上面が一枚板で勾配をつけて形成されたことを特徴とするものである。

また本発明は、前記感染対策用空気清浄陰圧化装置において、前記筐体内面に断熱材を設けたことを特徴とするものである。

本発明の感染対策用空気清浄陰圧化装置は、例えば病室、診察室等の感染対策用室の例えば窓や壁等の外部との仕切部を開口して取り付けられることより、感染対策用室内の面積を占有せず、また室外へ直接排気することより、排気ダクト工事が不要となる。

以下図面を参照して本発明の実施の形態例を詳細に説明する。

図１（ａ）は本発明の一実施形態例を示す上面図、図１（ｂ）は同じく側面図、図１（ｃ）は同じく正面図、図１（ｄ）は同じく下面図、図１（ｅ）は図１（ｄ）のＤ部拡大図である。

すなわち、本発明の一実施形態例に係る感染対策用空気清浄陰圧化装置は、感染対策用室例えば病室の室内と室外を仕切る仕切部である例えばアルミサッシュ窓１１の一部に開口部を設け、この窓１１の開口部には有底筒状の筐体１２が室外に突出すると共に病室内に開口して取り付けられる。この場合、外壁面にブラケット１９を設置し、前記ブラケット１９に筐体１２を固定する。前記筐体１２の開口部には、プレフィルタを有する空気吸込口１３及び空気吹出口１４が設けられた扉１５が開閉自在に取り付けられる。前記筐体１２の室外の下面には排気部材として排気口１６が設けられる。前記筐体１２の内部には前記空気吸込口１３から室内の空気を吸込み、前記空気吹出口１４から空気を室内に吹出すと共に前記排気口１６から空気を室外へ排出するファン１７が設けられる。前記筐体１２の内部には例えばＨＥＰＡフィルタ等のメインフィルタ１８が前記ファン１７と前記空気吸込口１３との間に設けられる。前記筐体１２内の前記ファン１７と前記空気吹出口１４の間には強運転時及び弱運転時のいずれの時も定風量流れる開口部２０及び強運転時のみ開くモータダンパ２１が設けられる。前記筐体１２内の前記メインフィルタ１８と前記ファン１７の間には遮音板２２が設けられる。前記筐体１２の内部には電装品２３が設けられ、前記扉１５の前面には運転スイッチ２４、強弱運転切替スイッチ２５、ブザーリセットスイッチ２６、運転ランプ（赤）２７、故障ランプ（緑）２８、メインフィルタ１８の上流側・下流側の間の差圧を計測・表示する差圧計２９、ファン１７の運転時間を計測・表示する運転時間計３０が設けられ、前記筐体１２の室内側下面には電線穴３１が設けられる。

前記筐体１２内の前記排気口１６近傍には逆流防止ダンパ３２が設けられ、前記逆流防止ダンパ３２は前記筐体１２内の空気を前記排気口１６から室外へ排出すると共に室外からの空気が前記排気口１６から前記筐体１２内に入るのを阻止する。

また前記筐体１２は室外部分の上面が一枚板で勾配をつけて形成される。

尚、前記筐体１２の内面に断熱材を設けてもよい。

次に本発明の一実施形態例に係る感染対策用空気清浄陰圧化装置の動作について説明する。運転スイッチ２４がオンして、ファン１７が駆動すると、矢印Ａに示すように、室内の汚染空気が空気吸込口１３から筐体１２内に入り、空気吸込口１３に設けられたプレフィルタで塵埃等が除去される。空気吸込口１３から入った空気はメインフィルタ１８で濾過、除菌されて清浄化されて後、遮音板２２を迂回してファン１７に流入される。ファン１７に流入された清浄空気は、矢印Ｂに示すように、空気吹出口１４から室内に吹出され空気を循環する。この場合、矢印Ｂ_１に示すように、強運転時及び弱運転時に定風量流れる開口部２０を通して流れる空気と、矢印Ｂ_２に示すように、強運転時のみ開くモータダンパ２１を通して流れる空気がある。一方、ファン１７に流入された清浄空気の一部は矢印Ｃに示すように、排気口１６から室外の下方に排出される。室内の空気の一部が室外に排出されるため、室内は陰圧化される。

前記強弱運転切替スイッチ２５により風量切替ができ、看護師による処置時等には感染を防止するため強運転にし、安静時には弱運転にする。また、室内騒音を抑えるため遮音板２２を設置する。

前記メインフィルタ１８を空気吸込口１３の近傍に設置することで、浮遊菌のリークリスクを低減する。また、メインフィルタ１８に抗菌、殺菌機能を付与してもよい。さらに、前記筐体１２内にＵＶランプを設置して空気殺菌を行うようにしてもよい。

前記ファン１７は１個で空気循環と排気が所望の風量確保できるようにする。

前記空気吹出口１４と空気吸込口１３でショートサーキットが生じないように、空気吹出口１４を上部に設けると共に空気吸込口１３を下部に設ける。

また、赤外線遠隔装置を設けて入退室時に病室出入口等の遠隔から各種スイッチを操作するようにしてもよい。

図２は本発明の実施形態例に係る病室近辺を示す平面配置図である。図において、２０１は病室、２０２は病室出入口ドア、２０３は操作パネル、２０４は給気ダクト、２０５は廊下、２０６はベッド、２０７は感染対策用空気清浄陰圧化装置、２０８は排気ダクトである。すなわち、病室２０１にはベッド２０６が設置され、給気ダクト２０４が設けられる。病室２０１の窓には感染対策用空気清浄陰圧化装置２０７が外部に突出して設けられる。病室２０１と廊下２０５の境界部分には病室出入口ドア２０２が設けられる。病室２０１の出入口には感染対策用空気清浄陰圧化装置２０７の運転制御を行うための操作パネル２０３が設けられる。前記操作パネル２０３は、看護師等が病室２０１へ入退室する際に、感染対策用空気清浄陰圧化装置２０７の運転を遠隔操作する目的で使用する。これにより、処置前および処置時における感染を防止することができる。

尚、前記操作パネルの代わりに、病室出入口ドア開閉状態と処置状況をドア部に設けられたリミットスイッチで検知して、看護師等が処置を行うために入室する際や処置中の場合に、自動で感染対策用空気清浄陰圧化装置のファンを強運転させ、それ以外の場合に、感染対策用空気清浄陰圧化装置のファンを弱運転させるようにしても良い。

本発明の実施形態例では、病室、診察室等の窓、壁等を開口し、病室、診察室等に面する形で室外側に感染対策用空気清浄陰圧化装置を設置して病室、診察室等を陰圧化、清浄化できるので、病室、診察室等の室内面積を占有しない。また、感染対策用空気清浄陰圧化装置から外部へ直接排気できるので排気ダクト工事も不要となる。

また、感染対策用空気清浄陰圧化装置は室外に突出して設置するので、風雨対策として、室外部分の上面が継目、ビス等がない一枚板で勾配をつけて形成されると共に排気口が下面に設けられる。また、風が強いとき排気口から室外の空気が逆流するのを防止するため逆流防止ダンパが設けられる。

また、感染対策用空気清浄陰圧化装置は室外に突出して設置するので、室外の気温が室内の気温に影響しないように、感染対策用空気清浄陰圧化装置を構成する筐体の内面に断熱材を設けてもよい。

なお、本発明は、上記実施形態例そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。例えば、筐体の室外側に設けられる排気部材は、室外側筐体下面の排気口の他に、室外側筐体側面に取り付けられて筐体内からの排気の気流方向を下向きに変化させるような気流ガイド部材など、筐体内からの排気を室外側下方に排出し得るものであれば、その形態を問わない。その場合、気流ガイド部材は、筐体側面に着脱可能に設けられるようにしても良い。

また、筐体の室内側に設けられる空気吸込口または空気吹出口は、筐体開口部に開閉自在に取り付けられた扉と一体に設ける他に、扉が筐体内のプレフィルタやメインフィルタの交換作業に支障がない程度の開口形状を有していれば、扉以外の室内側筐体と一体に設けることも可能である。

なお、本発明において、病室や診察室などの感染対策用室を陰圧に保つ手段として空気吸込口は必須の構成部材となるが、空気吹出口は、感染対策用室の要求仕様に応じて省略することもできる。空気吹出口が省略できる場合には、ファンは空気吸込口から吸い込んだ室内空気の全てを排気部材を介して室外へ排出する働きをし、一方、空気吹出口が省略できない場合には、ファンは空気吸込口から吸い込んだ室内空気の一部を排気部材を介して室外へ排出する働きをする。後者の場合において、前記ファンに加え、前記ファン下流側の排気流路中に排気ファン、または、定風量装置、または、開口面積を調整した部材もしくは調整可能な部材を設ければ、所定風量の排気量を確実に確保することが可能となる。

また、上記実施形態例に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態例に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態例に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。

は本発明の一実施形態例を示す構成図で、、（ａ）は上面図、（ｂ）は側面図、（ｃ）は正面図、（ｄ）は下面図、（ｅ）は（ｄ）のＤ部拡大図である。 は本発明の実施形態例に係る病室近辺を示す平面配置図である。

符号の説明

１２ 筐体
１３ 空気吸込口
１４ 空気吹出口
１５ 扉
１６ 排気口
１７ ファン
１８ メインフィルタ
１９ ブラケット

Claims (4)

1. 感染対策用室の室内と室外とを仕切る仕切部を開口して室外に突出して取り付けられ室内に開口した筐体と、
   前記筐体の開口部に開閉自在に取り付けられた扉と、
   前記筐体の室内側に設けられた空気吸込口及び空気吹出口と、
   前記筐体の室外側に設けられて前記筐体内からの排気を下方に排出する排気部材と、
   前記筐体内に設けられ前記空気吸込口から室内の空気を吸込み、前記空気吹出口から空気を室内に吹き出すと共に前記排気部材から空気を室外へ排出するファンと、
   前記筐体内の前記ファンと前記空気吸込口との間に設けられ、前記空気吸込口から入った空気を清浄化するメインフィルタと、
   前記筐体の室内側に設けられ、前記ファンの強運転と弱運転を切替えて風量切替えができる強弱運転切替スイッチと、
   前記筐体内に設けられ、強運転時及び弱運転時のいずれの時も前記空気吹出口から室内に吹出される空気が定風量流れる開口部及び強運転時のみ開いて前記空気吹出口から室内に吹出される空気が流れるモータダンパと、
   前記筐体内の前記メインフィルタと前記ファンの間に設けられる遮蔽板と、
   を具備することを特徴とする感染対策用空気清浄陰圧化装置。
2. 前記筐体に設けられ前記筐体内の空気を前記排気部材から室外へ排出すると共に室外からの空気が前記排気部材から前記筐体内に入るのを阻止する逆流防止ダンパを有することを特徴とする請求項１記載の感染対策用空気清浄陰圧化装置。
3. 前記筐体の室外部分の上面が一枚板で勾配をつけて形成されたことを特徴とする請求項１又は２記載の感染対策用空気清浄陰圧化装置。
4. 前記筐体内面に断熱材を設けたことを特徴とする請求項１、２又は３記載の感染対策用空気清浄陰圧化装置。

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