JP2010255515A - オイルパンの保護カバー取付構造 - Google Patents

オイルパンの保護カバー取付構造 Download PDF

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Abstract

【課題】オイルパンに加わる衝撃からオイルパンを有効に保護できるオイルパンの保護カバー取付構造とする。
【解決手段】シリンダブロックCbに取り付けるオイルパン2と、オイルパン2を保護するようにオイルパン2に取り付ける保護カバー1とを備える構成とする。保護カバー1には、オイルパン2を覆うように形成されたカバー本体部11と、該カバー本体部11から上記オイルパン2に向かって突出する前側衝撃吸収部12とが設けられている。前側衝撃吸収部12には、オイルパン2に固定される固定部12cが設けられている。
【選択図】図7

Description

本発明は、オイルパンを保護する保護カバーをオイルパンに取り付ける際の保護カバー取付構造に関する。
従来より、車両の動力装置に締結されるオイルパンは、車両の下部に位置することが多い。したがって、縁石等がオイルパンの下から接触してオイルパンの外形が変形したり、車両走行時に飛んできた小石がオイルパンに当たってオイルパンが破損するおそれがある。これを回避するために、例えば、特許文献1のオイルパンには保護カバーが設けられている。上記保護カバーは、オイルパンの底部及び前方の底部側を覆うように車両のフレームに取り付けられている。
また、特許文献2のオイルパンでは、オイルパンの底部及び前方の底部側を覆うように保護カバーが取り付けられ、オイルパンと保護カバーとの間に弾性部材が配設されている。
特開2004−255984号公報 実開昭62−105349号公報
ところで、特許文献1では、保護カバーで防ぐことができないほどの衝撃が保護カバーに加わると、保護カバーの変形や破壊を引き起こし、衝撃を吸収しないままオイルパンに衝撃が加わってしまう。
そこで、特許文献2のように、オイルパンと保護カバーとの間に弾性部材を配設することが考えられるが、動力装置の振動や弾性部材の経年変化等により、弾性部材がオイルパン及び保護カバーに当初取り付けられていた位置からずれた位置となってしまい、保護カバーに衝撃が加わったときに、狙い通りの衝撃吸収性能が得られないおそれがある。
本発明は斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、オイルパンに加わる衝撃からオイルパンを有効に保護できるオイルパンの保護カバー取付構造とすることにある。
上記目的を達成するために、第1の発明では、動力装置に取り付けられるオイルパンと、該オイルパンを保護するように構成された保護カバーとを備え、該保護カバーを上記オイルパンに取り付けるオイルパンの保護カバー取付構造であって、上記保護カバーは、上記オイルパンを覆うように形成されたカバー本体部と、該カバー本体部から上記オイルパンに向かって突出する衝撃吸収部とを備え、上記衝撃吸収部には、上記動力装置とオイルパンとの少なくとも一方に固定される固定部が設けられている構成とした。
第2の発明では、第1の発明において、オイルパンには、保護カバーの固定部と係合する係合部が形成されている構成とした。
第3の発明では、第1の発明において、固定部には、オイルパンに保護カバーを固定部材で取り付けるための取付孔が形成され、オイルパンには、動力装置に該オイルパンを固定部材で取り付けるための締結孔が形成され、上記締結孔と上記取付孔とを動力装置に共締めして上記オイルパンに上記保護カバーを取り付ける構成とした。
第4の発明では、第1から3のいずれか1つの発明において、衝撃吸収部は板状に形成され、オイルパンには、上記衝撃吸収部と交差するように保護カバーに向けて突出するリブが形成されている構成とした。
第5の発明では、第1から4のいずれか1つの発明において、衝撃吸収部がカバー本体部と一体成形されている構成とした。
第1の発明によれば、衝撃吸収部に設けられた固定部で、衝撃吸収部を動力装置とオイルパンとの少なくとも一方に固定するので、保護カバーに衝撃が加わる前において、衝撃吸収部のオイルパンに対する位置がずれない。したがって、保護カバーに衝撃が加わった時に、衝撃吸収部によって狙い通りの衝撃吸収性能を得ることができるようになる。
第2の発明によれば、衝撃吸収部に設けられた固定部をオイルパンに設けられた係合部に係合して保護カバーをオイルパンに固定するので、保護カバーをオイルパンに簡易に取り付けることができる。
第3の発明によれば、オイルパンの締結孔と保護カバーの取付孔とを動力装置に共締めして保護カバーをオイルパンに取り付けるので、部品点数を増やさずに保護カバーを取り付けることができる。
第4の発明によれば、保護カバーに衝撃が加わったときに、衝撃吸収部がオイルパンに形成された板状のリブと接触して、リブが変形するようになる。したがって、さらに衝撃が吸収される保護カバー取付構造とすることができる。
第5の発明によれば、衝撃吸収部がカバー本体部と一体に成形されるので、保護カバーに加わった衝撃によって衝撃吸収部のカバー本体部と繋がる位置がカバー本体部に対してずれることがない。したがって、保護カバーに衝撃が加わった時に、狙い通りの衝撃吸収性能を得ることができるようになる。
オイルパンに保護カバーを取り付けた状態を示した斜視図である。 保護カバーを示す斜視図であり、図2(a)は車両後方から見た斜視図であり、図2(b)は車両前方から見た斜視図である。 バッフルプレートを上側から見た斜視図である。 バッフルプレートを下側から見た斜視図である。 オイルパン本体部を上側から見た斜視図である。 オイルパン本体部を下側から見た斜視図である。 図1のA−A線における断面図である。 図1のA−A線における断面図であって、保護カバーに衝撃が加わったときの図である。 実施形態の変形例における図2相当図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎない。
図1は、本発明の保護カバー取付構造Aを示したものである。保護カバー取付構造Aは、オイルパン2と、オイルパン2を保護する保護カバー1とで構成されている。上記オイルパン2は、自動車の前部に設けられたエンジンルームに搭載されるエンジン(動力装置)用のものであり、図7に示すように、該エンジンのシリンダブロックCbの下面に取り付けられるようになっている。上記オイルパン2はエンジンの潤滑経路の一部に使用され、オイルパン2内に溜められたオイルは、オイルパン2内に配設されたストレーナ部43から吸入され、エンジン各部に供給されて循環した後、リターンパイプRtからオイルパン2内に戻るようになっている。尚、エンジンルームに搭載されたエンジンの向きは、クランク軸が車両左右方向に延びる向きとなっている。
この実施形態の説明では、説明の便宜を図るために、車両前側を単に「前」といい、車両後側を単に「後」といい、車両左側を単に「左」といい、車両右側を単に「右」というものとする。
図1に示すように、オイルパン2は、略直方体の形状をなしており、オイルパン本体部3と該オイルパン本体部3の内部に配設されるバッフルプレート4とを有している。
オイルパン本体部3は、図5に示すように、略直方体の形状をなす樹脂製の射出成形品であり、図5及び図6に示すように、略矩形の底壁部31と、該底壁部31の周縁から立ち上がる側壁部32とを有している。図5に示すように、底壁部31の右側の上面には上方に突出する突起31aが6つ形成されている。上記突起31aは、底壁部31の上面に円を描くように等間隔に並んで設けられている。図6に示すように、底壁部31の後方下面側には、前方に開放するコ字状の係合部31bが左右方向に等間隔に3つ形成されている。
側壁部32は、底壁部31の周縁から上方に真っ直ぐ立ち上がる下側側壁部32aと、該下側側壁部32aの上方周縁において下側側壁部32aと直交するように外方に突出する下側重合面部32bとを有している。また、上記下側重合面部32bの外周縁から上方に真っ直ぐ立ち上がる中央側壁部32cと、該中央側壁部32cの上端周縁において中央側壁部32cと直交するように外方に突出する上側重合面部32dとを有している。さらに、上側重合面部32dの外周縁から上方に真っ直ぐ立ち上がる上側側壁部32eと、該上側側壁部32eの上端周縁において該上側側壁部32eと直交するように外方に突出するフランジ部32fとを有している。つまり、側壁部32は段差が2つできるように成形されている。図7に示すように、下側重合面部32bは、下側重合面部32bの前側部分よりも後側部分の方が若干上方に位置するように形成されている。また、上記上側側壁部32e及びフランジ部32fは、中央側壁部32c及び下側側壁部32aよりも板厚が厚く成形されているので、オイルパン2の中で剛性の高い部分となっている。
図5に示すように、フランジ部32fには、オイルパン2をシリンダブロックCb(図7にのみ示す)に締結するための締結用ボルトB(図7にのみ示す)が挿通する締結孔H1〜H4が形成されている。上記締結孔H1は、フランジ部32fの前側のフランジ部分に3つ形成されている。上記締結孔H2は、フランジ部32fの後側のフランジ部分において左右方向に3つ等間隔に形成されている。また締結孔H3は、フランジ部32fの右側のフランジ部分において前後方向に2つ等間隔に形成され、締結孔H4は、フランジ部32fの左側のフランジ部分において前後方向に2つ等間隔に形成されている。
図7に示すように、下側重合面部32bの内周縁には上方に突出する環状突条部32gが形成され、該環状突条部32gと中央側壁部32cとによって下側環状凹部32iが形成されるようになっている。また、上側重合面部32dの内周縁には上方に突出する環状突条部32hが形成され、該環状突条部32hと上側側壁部32eとによって上側環状凹部32jが形成されるようになっている。また、中央側壁部32c及び下側側壁部32aの前壁部には、前方に突出し左右に延びるリブ32kがオイルパン2の前方から見て後述する保護カバー1の前側衝撃吸収部12と交差するように形成されている。また、底壁部31には、下方に突出し左右に延びるリブ31kがオイルパンの下方から見て後述する保護カバー1の下側衝撃吸収部16と交差するように形成されている。
バッフルプレート4は、略直方体の形状をなす樹脂製の射出成形品であり、図3及び図4に示すように、略矩形のプレート部41と、該プレート部41の周縁から上方に真っ直ぐ立ち上がる側壁部42と、オイルパン本体部3に溜まるオイルをエンジンの潤滑経路に送る前に濾過して不純物を取り除くストレーナ部43と、オイルが流れるように形成されたオイル通路形成部44とを有している。
プレート部41は、図7に示すように、前方に行くにしたがって下側に位置するように緩やかに傾斜している。上記プレート部41の外周縁には、図4に示すように、下方に突出する環状突条部41aが形成されている。また、側壁部42には、該側壁部42の上端周縁において該側壁部42と直交するように外方に突出するフランジ部42aが形成されている。該フランジ部42aの外周縁には、図4に示すように、下方に突出する環状突条部42bが形成されている。
ストレーナ部43は、バッフルプレート4の右側において前後方向中央に形成されている。図3、4に示すように、ストレーナ部43は、プレート部41の下面から下方に突出する円筒部43aと、該円筒部43aの下端周縁から該円筒部43aの内方に突出する環状突出部43bと、該環状突出部43bの内周縁から上方に延びる吐出管部43cとを有している。上記円筒部43aの下端は、バッフルプレート4をオイルパン本体部3に組み付けたときに、底壁部31の上面との間に隙間が形成されるように形成されている。上記環状突出部43bには、図4に示すように、下方に突出する突起43dが環状突出部43bの円周方向において等間隔に6つ形成されている。上記突起43dは、バッフルプレート4をオイルパン本体部3に取り付けたときに、底壁部31の突起31aと一致するように形成されている。
吐出管部43cは、図3に示すように、円筒部43aの内壁面と吐出管部43cの外壁面との間に一定の隙間が形成されるように環状突出部43bの内周縁から上方に突出しており、内部にフィルタ(図示せず)が設けられている。図7に示すように、吐出管部43cは、プレート部41より上方に突出し、先端部分がフランジ部42aより上方に位置するように形成され、オイルポンプ(図示せず)に繋がっている。
図3に示すように、オイル通路形成部44は、潤滑経路から戻ってくるオイルが流れるようになっており、プレート部41上において側壁部42に沿って後方右側から前方右側までコ字状に延びるように形成された傾斜面部44aと、該傾斜面部44aの外周を囲うように上方に突出する通路側壁部44bとを有している。図4に示すように、傾斜面部44aには、プレート部41の後側において右側に行くほど上方に位置するように傾斜するオイル受け部44cが形成され、プレート部41の前側において右側に行くほど下方に位置するように傾斜するオイル出口部44dが形成されている。これにより、リターンパイプRtを介してエンジンの潤滑経路から戻ってくるオイルが上記オイル受け部44cからオイル出口部44dに向かって流れるような構造となっている。図3に示すように、オイル通路形成部44の後方左側及び前方左側のそれぞれのコーナー部分には、上方に突出するとともにオイルの流れる方向に沿って延びる整流板44fがオイル通路形成部44の幅方向に4枚等間隔に形成されている。そして、オイル出口部44dには上下に貫通する出口孔44eが複数形成され、オイル通路形成部44を流れるオイルをオイルパン本体部3へと導けるようになっている。
図1に示すように、保護カバー1は、オイルパン2の底部及び前方の底部側を覆うように形成された樹脂製の射出成形品である。図1、2に示すように、保護カバー1の左右の長さは、オイルパン2の左右の長さよりも長くなるように形成されており、衝撃を受け止めるためのカバー本体部11と、該カバー本体部11に加わった衝撃を吸収する前側衝撃吸収部12及び下側衝撃吸収部16とを有している。そして、図7に示すように、保護カバー1はオイルパン2に取り付けたときに、カバー本体部11とオイルパン2との間に空間Sができるように形作られている。
図2に示すように、カバー本体部11は前後方向に延びる板状の下側カバー面部11aと、該下側カバー面部11aの前方から前方上側に向かって斜めに延びる板状の上側カバー面部11bとを有している。上記下側カバー面部11a及び上側カバー面部11bの左側端及び右側端には上方に突出するとともに左側端に沿って延びる補強リブ11cが形成されている。また、下側カバー面部11aの下部には、上下に貫通する円状の貫通孔h1が形成されており、該貫通孔h1は左右方向に3つ等間隔に並んで形成されている。
図2に示すように、下側衝撃吸収部16は、下側カバー面部11aの上面においてカバー本体部11と一体に成形されている。上記下側衝撃吸収部16は、衝撃を吸収する下側衝撃吸収板16aと、保護カバー1をオイルパン2の係合部31bに係合させる被係合部(固定部)16bとから構成されている。上記下側衝撃吸収部16は、前後方向において貫通孔h1と重複するように左右方向に3つ等間隔に並んで形成されており、保護カバー1をオイルパン2に取り付けた際に、各下側衝撃吸収部16の被係合部16bが、オイルパン2の係合部31bと係合する位置となっている。
下側衝撃吸収板16aは、下側カバー面部11aから上方へ突出するとともに貫通孔h1の後縁から後側に延びている。該下側衝撃吸収板16aの下縁は下側カバー面部11aの上面に沿って延びており、下側衝撃吸収板16aの上縁は、貫通孔h1の後縁から後方に向かって真っ直ぐ延びている。また、下側衝撃吸収板16aの後縁は上下に真っ直ぐ延びている。そして、図7に示すように、保護カバー1をオイルパン2に取り付けたときに、下側衝撃吸収板16aの上端とオイルパン2の底壁部31との間には隙間が形成されるようになっている。
被係合部16bは、下側衝撃吸収板16aの後端上部に形成されており、上方に突出するとともに突出方向先端から後方に向かって突出するL字状をなしている。この被係合部16bとオイルパン2の係合部31bとが係合することで、保護カバー1とオイルパン2の下部とが固定されるようになっている。
前側衝撃吸収部12は、上側カバー面部11bの後面においてカバー本体部11と一体に成形されている。上記前側衝撃吸収部12は、衝撃を吸収する前側衝撃吸収板12bと、保護カバー1をオイルパン2に固定するための固定部12cと、該固定部12cに向けて締結用ボルトBを案内するガイド板部12aとから構成されており、前後方向において被係合部16bと重複するように左右方向に3つ並んで形成されている。
前側衝撃吸収板12bは、上側カバー面部11bから上方へ突出するとともに該上側カバー面部11bの上縁から下縁に行くにしたがって上下の長さが長くなるような板状をなしている。該前側衝撃吸収板12bの前縁は上側カバー面部11bの傾きに沿って延びており、前側衝撃吸収板12bの後縁は貫通孔h1に隣接する位置から真っ直ぐ上向きに延びている。また、前側衝撃吸収板12bの上縁は前後方向中央部分が下向きに湾曲する形状となっている。そして、前側衝撃吸収板12bの上端は、カバー本体部11の上端より上方に位置するようになっている。
ガイド板部12aは、貫通孔h1の前側半分の縁部から上方に真っ直ぐ延びる断面が円弧状の板材である。つまり、ガイド板部12aは後側に開口している。図2に示すように、該ガイド板部12aの上端はカバー本体部11の上端よりも上方に突出し、上記ガイド板部12aの前側が前側衝撃吸収板12bの後縁と繋がっている。
固定部12cは、リング形状をなし、上下に貫通する円状の取付孔12dを有している。上記固定部12cはガイド板部12aの上方に設けられ、該ガイド板部12aの上端開放部分と取付孔12dとが連通するようになっている。したがって、締結用ボルトB(図7にのみ示す)を貫通孔h1の下方から貫通孔h1内へ挿入すると、ガイド板部12aの内面によって締結用ボルトB(図7にのみ示す)をスムーズに取付孔12dまで導けるようになっている。また、図7に示すように、取付孔12dは、オイルパン2に保護カバー1を取り付けた際に、オイルパン2の締結孔H1と一致するようになっている。
次に、オイルパン2の組み立てと、オイルパン2への保護カバー1の取り付けと、シリンダブロックCbへのオイルパン2及び保護カバー1の取り付けとについて説明する。
まず、図7に示すように、オイルパン本体部3の開口からバッフルプレート4を挿入する。このとき、バッフルプレート4の環状突条部41aがオイルパン本体部3の下側環状凹部32iに嵌合し、バッフルプレート4の環状突条部42bがオイルパン本体部3の上側環状凹部32jに嵌合する。またストレーナ部43の突起43dの先端と底壁部31の突起31aの先端とが接触する。そして、下側重合面部32bと環状突条部41aとを溶着し、上側重合面部32dと環状突条部42bとを溶着し、突起43dと突起31aとを溶着する。これにより、オイルパン本体部3にバッフルプレート4が取り付けられる。
次に、図7に示すように、オイルパン2の底壁部31下面に形成された係合部31bに保護カバー1の被係合部16bを係合させる。このとき、オイルパン2の締結孔H1の下側において、保護カバー1の取付孔12dが上記締結孔H1と一致するようになる。そして、取付孔12dと締結孔H1とに下側から締結用ボルトBを挿通し、シリンダブロックCbに保護カバー1とオイルパン2とを共締めする。また、締結孔H2〜H4に締結用ボルトBを挿通し、シリンダブロックCbにオイルパン2を取り付ける。したがって、オイルパン2の中で剛性の高いフランジ部32fに保護カバー1の固定部12cを固定することとなる。また、被係合部16bと係合部31bとを係合させるとともに取付孔12dと締結孔H1とをシリンダブロックCbに共締めすることで保護カバー1をオイルパン2に取り付けることができるので、部品点数を増やさず、しかも保護カバー1の取り付けを簡易に行うことができる。
次に、車両走行時に縁石等が保護カバー1に接触した場合について説明する。まず、車両の低速走行時に縁石等が保護カバー1に当たるような場合、すなわち、弱い衝撃が上側カバー面部11bに加わる場合、固定部12cが前側衝撃吸収部12の後方に位置するとともにオイルパン2の中で剛性の高いフランジ部32fに固定されているので、前側衝撃吸収部12が弾性変形するだけでオイルパン2に対してほとんど衝撃が加わらない。上側カバー面部11bに衝撃が加わった後、弾性変形していた前側衝撃吸収部12は、もとの形状に復元する。また、車両が縁石と接触して、弱い衝撃が下側カバー面部11aに加わるような場合、下側衝撃吸収部16が弾性変形するだけでオイルパン2に対してほとんど衝撃が加わらない。下側カバー面部11aに衝撃が加わった後、弾性変形していた下側衝撃吸収部16は、もとの形状に復元する。
次に、車両の中速走行時に縁石等が保護カバー1に当たるような場合、すなわち、やや大きめの衝撃が上側カバー面部11bに加わる場合、図8に示すように、固定部12cが前側衝撃吸収部12の後方に位置するとともにオイルパン2の中で剛性の高いフランジ部32fに固定されているので、まず上側カバー面部11bの前側衝撃吸収部12が変形して衝撃を吸収するようになる。このとき、前側衝撃吸収部12とオイルパン2との間には空間Sが形成されているので、前側衝撃吸収部12が変形しても直接にはオイルパン2に衝撃が加わらないようになっている。また、前側衝撃吸収部12とオイルパン2との間では、前側衝撃吸収部12に設けられた固定部12cで、前側衝撃吸収部12をオイルパン2に固定しているので、保護カバー1に衝撃が加わる前において、前側衝撃吸収部12のオイルパン2に対する位置がずれておらず、保護カバー1に衝撃が加わっても狙い通りの衝撃吸収性能が得られるようになっている。一方、前側衝撃吸収部12と保護カバー1との間では、前側衝撃吸収部12がカバー本体部11と一体に成形されているので、保護カバー1に加わった衝撃によって前側衝撃吸収部12のカバー本体部11と繋がる位置がカバー本体部11に対してずれることがなく、狙い通りの衝撃吸収性能が得られるようになっている。
また、車両が縁石に乗り上げて、やや大きめの衝撃が下側カバー面部11aに加わるような場合、まず下側カバー面部11aの下側衝撃吸収部16が変形して衝撃を吸収するようになる。このとき、下側衝撃吸収部16とオイルパン2との間には空間Sが形成されているので、下側衝撃吸収部16が変形しても直接にはオイルパン2に衝撃が加わらないようになっている。また、下側衝撃吸収部16とオイルパン2との間では、下側衝撃吸収部16に設けられた被係合部16bで、下側衝撃吸収部16をオイルパン2に固定しているので、保護カバー1に衝撃が加わる前において、下側衝撃吸収部16のオイルパン2に対する位置がずれておらず、保護カバー1に衝撃が加わっても狙い通りの衝撃吸収性能が得られるようになっている。一方、下側衝撃吸収部16と保護カバー1との間では、下側衝撃吸収部16がカバー本体部11と一体に成形されているので、保護カバー1に加わった衝撃によって下側衝撃吸収部16のカバー本体部11と繋がる位置がカバー本体部11に対してずれることがなく、狙い通りの衝撃吸収性能が得られるようになっている。
そして、車両の高速走行時に縁石等が上側カバー面部11bに当たるような場合、すなわち、大きな衝撃が加わる場合、固定部12cが前側衝撃吸収部12の後方に位置するとともにオイルパン2の中で剛性の高いフランジ部32fに固定されているので、まず前側衝撃吸収部12によって衝撃が吸収される。このとき、前側衝撃吸収部12とオイルパン2との間では、前側衝撃吸収部12に設けられた固定部12cで、前側衝撃吸収部12をオイルパン2に固定しているので、保護カバー1に衝撃が加わる前において、前側衝撃吸収部12のオイルパン2に対する位置がずれておらず、保護カバー1に衝撃が加わっても狙い通りの衝撃吸収性能が得られるようになっている。一方、前側衝撃吸収部12と保護カバー1との間では、前側衝撃吸収部12がカバー本体部11と一体に成形されているので、保護カバー1に加わった衝撃によって前側衝撃吸収部12のカバー本体部11と繋がる位置がカバー本体部11に対してずれることがなく、狙い通りの衝撃吸収性能が得られるようになっている。その後、前側衝撃吸収部12がオイルパン2に形成されたリブ32kと接触して、リブ32kが変形することでさらに衝撃が吸収される。また、車両が縁石に乗り上げて、大きな衝撃が下側カバー面部11aに加わるような場合、まず下側カバー面部11aの下側衝撃吸収部16によって衝撃が吸収される。このとき、下側衝撃吸収部16とオイルパン2との間では、下側衝撃吸収部16に設けられた被係合部16bで、下側衝撃吸収部16をオイルパン2に固定しているので、保護カバー1に衝撃が加わる前において、下側衝撃吸収部16のオイルパン2に対する位置がずれておらず、保護カバー1に衝撃が加わっても狙い通りの衝撃吸収性能が得られるようになっている。一方、下側衝撃吸収部16と保護カバー1との間では、下側衝撃吸収部16がカバー本体部11と一体に成形されているので、下側カバー面部11aに加わった衝撃によって下側衝撃吸収部16のカバー本体部11と繋がる位置がカバー本体部11に対してずれることがなく、狙い通りの衝撃吸収性能が得られるようになっている。その後、下側衝撃吸収部16がオイルパン2に形成されたリブ31kと接触して、リブ31kが変形することでさらに衝撃が吸収される。このように、十分に衝撃を吸収した後にオイルパン2に衝撃が加わるようになるので、オイルパン2の損傷を小さくすることができる。
以上説明したように、本発明の保護カバー取付構造Aによれば、前側衝撃吸収部12に設けられた固定部12cで、前側衝撃吸収部12をオイルパン2に固定するので、保護カバー1に衝撃が加わる前において、前側衝撃吸収部12のオイルパン2に対する位置がずれない。したがって、保護カバー1に衝撃が加わったときに、前側衝撃吸収部12によって狙い通りの衝撃吸収性能を得ることができるようになる。
また、下側衝撃吸収部16に設けられた被係合部16bをオイルパン2に設けられた係合部31bに係合して保護カバー1をオイルパン2に固定するので、保護カバー1をオイルパン2に簡易に取り付けることができる。
また、オイルパン2の締結孔H1と保護カバー1の取付孔12dとをシリンダブロックCbに共締めして保護カバー1をオイルパン2に取り付けるので、部品点数を増やさずに保護カバー1を取り付けることができる。
また、更に保護カバー1に強い衝撃が加わったときに、板状のリブ32kが前側衝撃吸収部12と接触して潰れたり変形したりするようになる。したがって、さらに衝撃を吸収する保護カバー取付構造Aとすることができる。
また、前側衝撃吸収部12及び下側衝撃吸収部16が保護カバー1と一体に成形されるので、保護カバー1に加わった衝撃によって前側衝撃吸収部12及び下側衝撃吸収部16のカバー本体部11と繋がる位置がカバー本体部11に対してずれない。したがって、保護カバー1に衝撃が加わった時に、狙い通りの衝撃吸収性能を得ることができるようになる。
図9は保護カバー1の変形例を示す。この変形例では、以下に述べる点が上記実施形態と異なっているほかは、上記実施形態と同様に構成されているので、同一構成箇所には同一の符号を付してその詳細な説明は省略する。すなわち、上記実施形態では、前側衝撃吸収部12を上下方向に延びる板状に形成したが、この変形例では、図9に示すように、衝撃吸収部13を上側カバー面部11bから後方へ膨出するように形成している。
衝撃吸収部13は上記実施形態のものと同様に幅方向に3つ並んで設けられており、中空状となっている。衝撃吸収部13は、衝撃を吸収する衝撃吸収部本体13aと、保護カバー1をオイルパン2に固定するための固定部13bとから構成されている。衝撃吸収部本体13aは、上下方向に延びる形状となっている。上記衝撃吸収部本体13aにおける上側カバー面部11bから後方への膨出量は、衝撃吸収部本体13aの上端に近づくほど大きくなっており、縦断面形状は、下側に頂点が位置するような略三角形状となっている。また、衝撃吸収部本体13aの膨出方向先端縁である後縁部分は、断面が後側に湾曲する円弧状で上下に真っ直ぐ延びている。また、衝撃吸収部本体13aの横断面形状は、後側に頂点が位置するような略三角形状をなしており、これにより、衝撃吸収部本体13aは後側へ向けて先細形状となる。
衝撃吸収部本体13aの上端面には、上端開口部14が形成されており、この上端開口部14により衝撃吸収部本体13aは上方に開放されている。また、上側カバー面部11bにおける衝撃吸収部本体13aに対応する部位には、衝撃吸収部本体13aの内部に通じる開口部15が形成されており、この開口部15により、衝撃吸収部本体13aは前方にも開放されている。
固定部13bは、衝撃吸収部本体13aの後方上端に設けられ、固定部13bに形成された取付孔13cの下端は、衝撃吸収部本体13aの内部に開口している。これにより、開口部15から取付孔13cの位置を視認可能となっている。したがって、取付孔13cを視認しながら締結用ボルトB(図7のみに示す)を取付孔13cに挿入できるので、オイルパン2への保護カバー1の取り付けを簡単に行うことができる。
また、衝撃吸収部本体13aの横断面は後側に頂点を持つ三角形状であり、その頂点近傍がオイルパン2のフランジ部32fに固定されるので、衝撃に強い構造となる。また、衝撃吸収部本体13aは中空構造であるので、衝撃が加わったときの衝撃吸収部本体13aの変形を調整し易く、これにより、衝撃吸収性能を高めることができる。
尚、本発明では、保護カバー1がオイルパン2の底部及び前方の底部側を覆うように形成されているが、オイルパン2の側壁部32の右側及び左側の側壁を覆うように形成してもよいし、側壁部32全部を覆うようにしてもよい。
また、前側衝撃吸収部12、下側衝撃吸収部16は3つに限らず、前側衝撃吸収部12、下側衝撃吸収部16の数はいくつであってもよい。
また、前側衝撃吸収部12、下側衝撃吸収部16は板状でなくてもよく、箱状等であってもよい。
また、前側衝撃吸収部12は上下に延びる板状であるが、左右に延びる板状であってもよい。また、下側衝撃吸収部16は前後に延びる板状であるが、左右に延びる板状であってもよい。
また、固定部12cはシリンダブロックCbに直接取り付けるような構成であってもよい。
また、固定部12cはシリンダブロックCbとフランジ部32fとに取り付けるような構成であってもよい。
尚、本発明は、オートマチックトランスミッション等の動力装置のオイルパンにも適用することができる。
本発明は、例えば、オイルパンを保護する保護カバーをオイルパンに取り付ける際の保護カバー取付構造に適している。
1 保護カバー
11 カバー本体部
12 前側衝撃吸収部
12b 前側衝撃吸収板
12c 固定部
12d 取付孔
16 下側衝撃吸収部
16a 下側衝撃吸収板
16b 被係合部(固定部)
2 オイルパン
3 オイルパン本体部
31 底壁部
31b 係合部
31k リブ
32 側壁部
32k リブ
H1 締結孔
B 締結用ボルト(固定部材)
S 空間

Claims (5)

  1. 動力装置に取り付けられるオイルパンと、該オイルパンを保護するように構成された保護カバーとを備え、該保護カバーを上記オイルパンに取り付けるオイルパンの保護カバー取付構造であって、
    上記保護カバーは、上記オイルパンを覆うように形成されたカバー本体部と、該カバー本体部から上記オイルパンに向かって突出する衝撃吸収部とを備え、
    上記衝撃吸収部には、上記動力装置とオイルパンとの少なくとも一方に固定される固定部が設けられていることを特徴とするオイルパンの保護カバー取付構造。
  2. 請求項1に記載のオイルパンの保護カバー取付構造であって、
    オイルパンには、保護カバーの固定部と係合する係合部が形成されていることを特徴とするオイルパンの保護カバー取付構造。
  3. 請求項1のオイルパンの保護カバー取付構造であって、
    固定部には、オイルパンに保護カバーを固定部材で取り付けるための取付孔が形成され、
    オイルパンには、動力装置に該オイルパンを固定部材で取り付けるための締結孔が形成され、
    上記締結孔と上記取付孔とを動力装置に共締めして上記オイルパンに上記保護カバーを取り付けることを特徴とするオイルパンの保護カバー取付構造。
  4. 請求項1から3に記載のいずれか1つのオイルパンの保護カバー取付構造であって、
    衝撃吸収部は板状に形成され、
    オイルパンには、上記衝撃吸収部と交差するように保護カバーに向けて突出するリブが形成されていることを特徴とするオイルパンの保護カバー取付構造。
  5. 請求項1から4に記載のいずれか1つのオイルパンの保護カバー取付構造であって、
    衝撃吸収部がカバー本体部と一体成形されていることを特徴とするオイルパンの保護カバー取付構造。
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