JP2010254975A - 防振ゴム部材、架橋物、防振ゴム用組成物、ならびに防振ゴム用共役ジエンゴム組成物およびその製造方法 - Google Patents

防振ゴム部材、架橋物、防振ゴム用組成物、ならびに防振ゴム用共役ジエンゴム組成物およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】防振特性、特に静寂性の要求に対し、防音性の指標である動倍率に優れる防振ゴム部材および防振ゴム部材に用いる防振ゴム用組成物の架橋物、ならびに防振ゴム用組成物を提供することにある。さらに、防振ゴム部材として利用するのに取り扱い易い、保管安定性に優れる防振ゴム用共役ジエンゴム組成物およびその製造方法を提供する。
【解決手段】活性末端を有する共役ジエン重合体(A)に、特定のカップリング剤を反応させることで得られる、少なくとも前記共役ジエン重合体(A)の一部がカップリングされた共役ジエン重合体(B)を含有する、防振ゴム用共役ジエンゴム組成物であって、前記共役ジエン重合体(B)のゲルパーミエーションクロマトグラフィにより検出される分子量が特定の数値を満たす重合体を有してなる、防振ゴム用共役ジエンゴム組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、防振特性、特に動倍率に優れる防振ゴム部材および防振ゴム部材に用いる防振ゴム用組成物の架橋物、ならびに防振ゴム用組成物、防振ゴム用組成物を構成する保管安定性に優れる防振ゴム用共役ジエンゴム組成物およびその製造方法に関する。
自動車や車両のエンジン、動力伝達部、モーターの回転などの駆動部分から発生する振動や騒音の低減を目的に、防振ゴム部材が用いられている。防振ゴム部材に必要な防振特性としては、エンジン振動の車体への影響を抑制する防振性、エンジン高回転時に発生するこもり音などを抑制する防音性などがある。これらの防振ゴム部材には、従来より、天然ゴム、または天然ゴムと他の共役ジエンゴムとを原料ゴムとして用いてきた。しかし、近年、自動車の高出力化や高級化に伴い、乗り心地の向上や車室内の静粛性の要求が高まり、さらなる防振特性、特に、防音性の指標である動倍率に優れる防振ゴム部材が求められるようになってきている。
これらの要求に応えるため、末端変性共役ジエンゴムと、補強材としてのカーボンブラックまたはシリカとを含有する防振ゴム用組成物が検討されている。例えば、特許文献1には、分子末端をラクタムで変性した末端変性ブタジエンゴムと、特定のカーボンブラックとの併用による防振ゴム用組成物が開示されている。特許文献2には、活性末端を有する共役ジエン重合体に、1分子中に4個のエポキシ基および2個の窒素含有基を持つ多官能化合物を反応させ、カップリングされた重合体を60重量%を越えて含有する共役ジエン重合体と、シリカまたはカーボンブラックとを含有する防振ゴム用組成物が開示されている。しかし、これらの開示された防振ゴム用組成物を用いてなる防振ゴム部材は、近年のますます高まる静粛性の要求に対し、防振特性、特に防音性が不充分であった。
また、特許文献3には、タイヤのウェットグリップ性および耐摩耗性などの向上を目的とし、共役ジエン重合体に、四塩化スズなどのカップリング剤およびアミノ基含有アルコキシシラン化合物を反応させて得られる共役ジエン重合体が開示されている。特許文献4には、特許文献3と同様な目的として、3以上の共役ジエン重合体鎖が、特定のポリオルガノシロキサンを介して結合された構造を有する分岐状共役ジエン重合体と、四塩化スズなどの分子内に特定の官能基を有する化合物を反応せしめた共役ジエン重合体とを特定量含有する共役ジエンゴム組成物が開示されている。しかし、特許文献3に開示された共役ジエン重合体を防振ゴム部材に利用しようとすると、近年のますます高まる静粛性の要求に対し、防振特性、特に防音性が不充分であった。また、特許文献4に開示された共役ジエンゴム組成物は、保管安定性が悪く、防振ゴム部材に利用しにくいという問題があった。防振ゴムの分野では、一度に大量の原料ゴムを加工するタイヤとは異なり、部品の小ささから原料ゴムの使用量が少なく、余った原料ゴムのベールを保管することが一般的である。しかしながら、特許文献4に開示された共役ジエンゴム組成物は、ベールの保管中に形状を保持し難く、流動してしまうことから取り扱いが困難であった。
さらに、特許文献5には、タイヤの低発熱性、耐摩耗性などの向上を目的とし、活性末端を有する共役ジエン重合体に、特定のハロゲン原子またはアルコキシ基を5個以上有するケイ素化合物を用いたカップリング剤を反応させて得られる、特定の重量平均分子量を有する共役ジエン重合体が開示されている。しかし、この共役ジエン重合体を防振ゴム部材に利用しようとすると、近年のますます高まる静粛性の要求に対し、防振特性、特に防音性が不充分であった。
特開平8−269237号公報 特開2002−284932号公報 特開2004−18795号公報 国際公開第2005/021637号パンフレット 国際公開第2007/114203号パンフレット
本発明の目的は、防振特性、特に静寂性の要求に対し、防音性の指標である動倍率に優れる防振ゴム部材および防振ゴム部材に用いる防振ゴム用組成物の架橋物、ならびに防振ゴム用組成物を提供することにある。さらに、防振ゴム部材として利用するのに取り扱い易い、保管安定性に優れる防振ゴム用共役ジエンゴム組成物およびその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究した結果、活性末端を有する共役ジエン重合体(A)に、特定のカップリング剤を反応させることで得られる、少なくとも前記共役ジエン重合体(A)の一部がカップリングされた共役ジエン重合体(B)を含有する、防振ゴム用共役ジエンゴム組成物であって、前記共役ジエン重合体(B)のゲルパーミエーションクロマトグラフィにより検出される分子量が特定の数値を満たす重合体を有してなる、防振ゴム用共役ジエンゴム組成物を防振ゴム部材に利用することにより、上記目的を達成することを見出した。
かくして、本発明によれば、活性末端を有する共役ジエン重合体(A)に、1分子中に前記共役ジエン重合体(A)の活性末端と反応する反応性基を5以上有するカップリング剤を反応させることで得られる、少なくとも前記共役ジエン重合体(A)の一部がカップリングされた、共役ジエン重合体(B)を含有する、防振ゴム用共役ジエンゴム組成物であって、前記共役ジエン重合体(B)の、ゲルパーミエーションクロマトグラフィにより検出される分子量の最も大きいピーク(P−1)のピークトップ分子量(MP−1)と分子量の最も小さいピーク(P−2)のピークトップ分子量(MP−2)の比(MP−1/MP−2)が3.5以上であり、かつ、(P−1)の、全溶出面積に対する面積比が10〜55%になることを特徴とする、防振ゴム用共役ジエンゴム組成物が提供される。
上記防振ゴム用共役ジエンゴム組成物は、上記共役ジエン重合体(B)が、上記共役ジエン重合体(A)に、1分子中に前記共役ジエン重合体(A)の活性末端と反応する反応性基と、官能基とを有する変性剤を反応させることで得られる、分子末端に官能基が導入された共役ジエン重合体(C)を含有するものであることが好ましい。
また、本発明によれば、上記防振ゴム用共役ジエンゴム組成物、および上記防振ゴム用共役ジエンゴム組成物以外の共役ジエンゴム(D)を含有してなる防振ゴム用組成物が提供される。
上記防振ゴム用組成物は、そのゴム成分100重量部に対し、10〜150重量部のシリカを含有するものであることが好ましい。
また、上記防振ゴム用組成物は、架橋剤を含有するものであることが好ましい。
本発明によれば、上記防振ゴム用組成物を架橋してなる架橋物が提供される。
本発明によれば、上記架橋物を用いてなる防振ゴム部材が提供される。
本発明によれば、上記防振ゴム用共役ジエンゴム組成物の製造方法であって、活性末端を有する共役ジエン重合体(A)に、1分子中に前記共役ジエン重合体(A)の活性末端と反応する反応性基を5以上有するカップリング剤を反応させ、ゲルパーミエーションクロマトグラフィにより検出される分子量の最も大きいピーク(P−1)のピークトップ分子量(MP−1)と分子量の最も小さいピーク(P−2)のピークトップ分子量(MP−2)の比(MP−1/MP−2)が3.5以上であり、かつ、(P−1)の、全溶出面積に対する面積比が10〜55%になる、少なくとも前記共役ジエン重合体(A)の一部がカップリングされた、共役ジエン重合体(B)を含有する、防振ゴム用共役ジエンゴム組成物の製造方法が提供される。
上記防振ゴム用共役ジエンゴム組成物の製造方法においては、上記共役ジエン重合体(A)に、1分子中に前記共役ジエン重合体(A)の活性末端と反応する反応性基と、官能基とを有する変性剤を反応させ、上記共役ジエン重合体(B)が、分子末端に官能基が導入された共役ジエン重合体(C)を含有することが好ましい。
本発明によれば、取り扱い易く、保管安定性に優れる防振ゴム用共役ジエンゴム組成物が得られる。また、前記防振ゴム用共役ジエンゴム組成物を用いて、防振特性、特に静寂性の要求に対し、防音性の指標である動倍率に優れる防振ゴム用組成物の架橋物および前記架橋物を用いてなる防振ゴム部材が得られる。
本発明の防振ゴム用共役ジエンゴム組成物は、活性末端を有する共役ジエン重合体(A)に、1分子中に前記共役ジエン重合体(A)の活性末端と反応する反応性基を5以上有するカップリング剤を反応させることで得られる、少なくとも前記共役ジエン重合体(A)の一部がカップリングされた共役ジエン重合体(B)を含有し、かつ、前記共役ジエン重合体(B)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィにより検出される分子量の最も大きいピーク(P−1)のピークトップ分子量(MP−1)と分子量の最も小さいピーク(P−2)のピークトップ分子量(MP−2)の比(MP−1/MP−2)が3.5以上であり、かつ、(P−1)の、全溶出面積に対する面積比が10〜55%になることを特徴とする。
本発明において、活性末端を有する共役ジエン重合体(A)は、共役ジエン重合体の分子末端の少なくとも一つが活性を有しているものをいう。活性末端を有する共役ジエン重合体(A)は、1分子中に1個以上の活性末端を有することが好ましく、1分子中に1個の活性末端を有することがより好ましい。
本発明において、共役ジエン重合体とは、共役ジエン単量体のみからなる重合体の他、共役ジエン単量体およびそれと共重合可能な単量体の共重合体も含まれる。前記の共重合可能な単量体としては、芳香族ビニル単量体などが挙げられる。
共役ジエン単量体としては、特に限定されず、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン(2−メチル−1,3−ブタジエン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンなどを用いることができる。これらの中でも、1,3−ブタジエン、イソプレンを用いることが好ましく、1,3−ブタジエンを用いることがより好ましい。これらの共役ジエン単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
芳香族ビニル単量体としては、特に限定されず、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2−エチルスチレン、3−エチルスチレン、4−エチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,4−ジイソプロピルスチレン、5−t−ブチル−2−メチルスチレン、ビニルナフタレン、ジメチルアミノメチルスチレン、ジメチルアミノエチルスチレンなどを用いることができる。これらの中でも、スチレン、α−メチルスチレン、4−メチルスチレンを用いることが好ましく、スチレン、α−メチルスチレンを用いることがより好ましく、スチレンを用いることが特に好ましい。これらの芳香族ビニル単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
共役ジエン単量体と芳香族ビニル単量体との比率(共役ジエン単量体/芳香族ビニル単量体)は、(50〜100重量%)/(50〜0重量%)の範囲にあることが好ましく、(65〜100重量%)/(35〜0重量%)の範囲にあることがより好ましく、(80〜100重量%)/(20〜0%)の範囲にあることが特に好ましい。共役ジエン単量体と芳香族ビニル単量体との比率が前記範囲にあると、防振ゴム用共役ジエンゴム組成物を用いて得られる防振ゴム部材は、防振性の指標である損失係数が大きくなり、防振特性に優れるものとなる。一方、芳香族ビニル単量体の比率が前記範囲を超えると、防振ゴム用共役ジエンゴム組成物の製造が困難になり、最終的に得られる防振ゴム部材も動倍率が劣るものとなる。
共役ジエン重合体は、本発明の効果を損なわない範囲において、所望により、共役ジエン単量体および芳香族ビニル単量体以外の他の単量体単位を含有することができる。他の単量体としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのα,β−不飽和ニトリル;アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸または酸無水物;メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチルなどの不飽和カルボン酸エステル;1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、1,7−オクタジエン、ジシクロペンタジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネンなどの非共役ジエン;などを挙げることができる。これらの単量体の使用量は、全単量体中、10重量%以下とするのが好ましく、5重量%以下とするのがより好ましい。
共役ジエン単量体を含有する、または共役ジエン単量体と芳香族ビニル単量体とを含有する単量体(混合物)の重合には、塊状重合、乳化重合、懸濁重合、分散重合、溶液重合などの種々の重合方法を適宜選択することができるが、溶液重合が好ましい。溶液重合に用いられる不活性有機溶媒としては、溶液重合において通常使用され、重合反応が進行するものであれば、特に制限なく使用できる。例えば、ブタン、ペンタン、ヘキサン、2−ブテンなどの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロへキサン、シクロヘキセンなどの脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;などが挙げられる。不活性有機溶媒の使用量は、単量体濃度が、通常、1〜50重量%となるような量であり、好ましくは10〜40重量%となるような量である。
上記重合に際しては、重合開始剤を用いることが好ましい。重合開始剤としては、共役ジエン単量体を含有する、または共役ジエン単量体と芳香族ビニル単量体とを含有する単量体(混合物)を重合させて、活性末端を有する共役ジエン重合体(A)を与えることができるものであれば、特に制限なく使用できる。例えば、有機アルカリ金属化合物、有機アルカリ土類金属化合物、または主触媒としてランタノイドを用いる重合開始剤が好ましく使用される。有機アルカリ金属化合物の具体例としては、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、ヘキシルリチウム、フェニルリチウム、スチルベンリチウムなどの有機モノリチウム化合物;ジリチオメタン、1,4−ジリチオブタン、1,4−ジリチオ−2−エチルシクロヘキサン、1,3,5−トリリチオベンゼン、1,3,5−トリス(リチオメチル)ベンゼンなどの有機多価リチウム化合物;ナトリウムナフタレンなどの有機ナトリウム化合物;カリウムナフタレンなどの有機カリウム化合物;などが挙げられる。なお、有機アルカリ金属化合物は、予め、ジブチルアミン、ジヘキシルアミン、ジベンジルアミン、ピロリジン、ヘキサメチレンイミン、ヘプタメチレンイミン(好ましくは、ピロリジン、ヘキサメチレンイミン、ヘプタメチレンイミン)などの第2級アミンと反応させて、有機アルカリ金属アミド化合物として使用してもよい。これらの重合開始剤は、それぞれ単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。また、有機アルカリ土類金属化合物としては、ジ−n−ブチルマグネシウム、ジ−n−ヘキシルマグネシウム、ジエトキシカルシウム、ジステアリン酸カルシウム、ジ−t−ブトキシストロンチウム、ジエトキシバリウム、ジイソプロポキシバリウム、ジエチルメルカプトバリウム、ジ−t−ブトキシバリウム、ジフェノキシバリウム、ジエチルアミノバリウム、ジステアリン酸バリウム、ジケチルバリウムなどが挙げられる。主触媒としてランタノイドを用いる重合開始剤としては、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ガドリニウムなどのランタノイドと、カルボン酸、リン含有有機酸などとからなるランタノイドの塩を主触媒とし、これと、アルキルアルミニウム化合物、有機アルミニウムハイドライド化合物、有機アルミニウムハライド化合物などの助触媒とからなる重合開始剤が挙げられる。これらの中でも、有機モノリチウム化合物、有機多価リチウム化合物を用いることが好ましく、有機モノリチウム化合物を用いることがより好ましい。
重合開始剤の使用量は、単量体の全量1000g当り、通常、1〜50ミリモル、好ましくは2〜20ミリモル、より好ましくは4〜15ミリモルの範囲である。
共役ジエン単量体を含有する、または共役ジエン単量体と芳香族ビニル単量体とを含有する単量体(混合物)を重合するに際し、重合温度は、通常、−80〜+150℃、好ましくは0〜100℃、より好ましくは30〜90℃の範囲である。
重合様式としては、回分式、連続式などいずれの様式をも採用できるが、分子量分布(Mw/Mn)を小さく抑えることができる点、および最終的に得られる防振ゴム部材が動倍率に優れる点で回分式が好ましい。
活性末端を有する共役ジエン重合体(A)が、共役ジエン単量体単位と芳香族ビニル単量体単位とを有する場合、共役ジエン単量体単位と芳香族ビニル単量体単位との結合様式は、例えば、ブロック状、テーパー状、ランダム状など種々の結合様式とすることができる。また、共役ジエン単量体単位と芳香族ビニル単量体単位との結合様式をランダム状にする場合、重合系内において、共役ジエン単量体と芳香族ビニル単量体との合計量に対する芳香族ビニル単量体の比率が高くなりすぎないように、共役ジエン単量体または共役ジエン単量体と芳香族ビニル単量体とを含有する単量体混合物を、連続的または断続的に重合系内に供給して重合することが好ましい。
活性末端を有する共役ジエン重合体(A)における共役ジエン単量体単位中のビニル結合含有量を調節するために、重合に際し、不活性有機溶媒中に極性化合物を含有させることが好ましい。極性化合物を含有させることにより、共役ジエン単量体単位中のビニル結合含有量を高くすることができる。極性化合物としては、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、2,2−ジ(テトラヒドロフリル)プロパンなどのエーテル化合物;テトラメチルエチレンジアミンなどの第三級アミン;ホスフィン化合物;などが挙げられる。これらの中でも、エーテル化合物および第三級アミンが好ましく、2,2−ジ(テトラヒドロフリル)プロパンおよびテトラメチルエチレンジアミンがより好ましい。
極性化合物の使用量は、重合開始剤1モルに対し、通常、0.01〜100モル、好ましくは0.01〜30モル、より好ましくは0.01〜10モルの範囲である。極性化合物の使用量が前記範囲にあると、共役ジエン単量体単位中のビニル結合含有量の調節が容易であり、かつ、重合開始剤の失活による不具合も発生し難い。
活性末端を有する共役ジエン重合体(A)は、その共役ジエン単量体単位におけるビニル結合量が、5〜80重量%であることが好ましく、10〜60重量%であることがより好ましく、10〜40重量%であることが特に好ましい。ビニル結合量が前記範囲にあると、防振ゴム用共役ジエンゴム組成物を用いて得られる防振ゴム部材は、防振性の指標である損失係数が大きくなり、防振特性に優れるものとなる。一方、ビニル結合量が前記範囲外であると、防振ゴム用共役ジエンゴム組成物の製造が困難になり、最終的に得られる防振ゴム部材も動倍率が劣るものとなる。なお、1,3−ブタジエンを単量体として用いる場合、共役ジエン重合体の共役ジエン単量体単位部分におけるビニル結合含有量を10重量%以上にするためには、通常、上述したような極性化合物の使用が好ましい。
活性末端を有する共役ジエン重合体(A)のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは−110〜−10℃、より好ましくは−110〜−20℃、特に好ましくは−100〜−40℃である。前記共役ジエン重合体(A)のガラス転移温度が前記範囲にあると、防振ゴム用共役ジエンゴム組成物を用いて得られる防振ゴム部材は、防振性の指標である損失係数が大きくなり、防振特性に優れるものとなる。一方、ガラス転移温度が前記範囲外であると、防振ゴム用共役ジエンゴム組成物の製造が困難になり、最終的に得られる防振ゴム部材も動倍率が劣るものとなる。
本発明の共役ジエン重合体(B)は、少なくとも上記共役ジエン重合体(A)の一部がカップリングされたものであって、前記活性末端を有する共役ジエン重合体(A)に、1分子中に前記共役ジエン重合体(A)の活性末端と反応する反応性基を5以上有するカップリング剤を反応させることで得られる。
カップリング剤は、1分子中に、共役ジエン重合体(A)の活性末端と反応する反応性基を5以上有するものであれば特に限定されないが、反応性基が5〜10個であるものが好ましく、反応性基が6〜9個であるものがより好ましく、反応性基が6個であるものが特に好ましい。反応性基の数が前記範囲または前記数値であると、防振ゴム用共役ジエンゴム組成物の保管安定性および最終的に得られる防振ゴム部材の動倍率が優れる。
本発明で用いるカップリング剤は一般式(I)で表されるケイ素化合物であることが好ましい。
Figure 2010254975
一般式(I)中、XおよびXは、それぞれ、ハロゲン原子または炭素数1〜20のアルコキシ基であるが、特にXおよびXとも、ハロゲン原子であることが好ましい。一般式(I)で表わされる化合物において、ハロゲン原子の数および炭素数1〜20のアルコキシ基の数の合計は5以上である。pおよびqは、それぞれ、0〜3の整数である。nは、0〜20の整数であり、nが2以上の場合、−A−A−A−で表わされる複数の繰り返し単位は、相異なるものであってもよい。複数の、XまたはXが、存在するときは、それらは、それぞれ、同一であっても異なっていてもよいが、XおよびXが、いずれもハロゲン原子であるかまたはいずれも炭素数1〜20のアルコキシ基であることが好ましい。
ハロゲン原子は、特に限定されないが、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子を挙げることができる。これらの中でも、塩素原子が特に好ましい。
アルコキシ基の炭素数は、1〜10が好ましく、1〜6がより好ましい。アルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基、ヘキソキシ基などを挙げることができる。これらのうち、活性末端を有する重合体(A)との反応時間を短時間で終了させる観点から、メトキシ基およびエトキシ基が好ましい。
およびRは、それぞれ、炭素数1〜20の1価の炭化水素基である。RおよびRは、互いに同一であっても異なっていてもよい。複数の、RまたはRが、存在するときは、それらは、それぞれ、同一であっても異なっていてもよい。炭素数1〜20の1価の炭化水素基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−イコシル基などの炭素数1〜20のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基などの炭素数5または6のシクロアルキル基;ベンジル基、2−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基などの炭素数7〜20のアラルキル基;フェニル基、1−ナフチル基,2−ナフチル基などの炭素数6〜20のアリール基;などが挙げられる。これらの中でも、炭素数1〜20のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜10のアルキル基であることがより好ましく、メチル基またはエチル基であることが特に好ましい。なお、これらのアルキル基、アラルキル基およびアリール基は任意の位置に置換基を有していてもよい。
一般式(I)中、AおよびAは、それぞれ、単結合または炭素数1〜20の2価の炭化水素基である。AおよびAは、互いに同一であっても異なっていてもよい。複数の、AまたはAが、存在するときは、それらは、それぞれ、同一であっても異なっていてもよい。炭素数1〜20の2価の炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基などの炭素数1〜20の直鎖状アルキレン基;イソプロピレン基などの炭素数3〜20の分岐状アルキレン基;シクロヘキシレン基などの炭素数3〜6のシクロアルキレン基;エチリデン基、イソプロピリデン基、ビニリデン基などの炭素数2〜20のアルキリデン基;フェニレン基などの炭素数6〜20のアリーレン基;メチルフェニレンなどの炭素数7〜20のアルキルアリーレン基;フェニルメチレンなどの炭素数7〜20のアリールアルキレン基;などが挙げられる。AおよびAは、単結合または炭素数1〜20の直鎖状アルキレン基であることが好ましく、単結合または炭素数1〜6の直鎖状アルキレン基であることがより好ましい。
一般式(I)中、Aは、下記に示す一般式(II)、(III)もしくは(IV)で表わされる基である。複数のAが存在するときは、それらは、それぞれ、同一であっても異なっていてもよい。
−(SiX 2−r− (II)
(一般式(II)中、Xは、ハロゲン原子または炭素数1〜20のアルコキシ基である。ハロゲン原子および炭素数1〜20のアルコキシ基の具体例としては、XおよびXについて例示したものと同様のものを挙げることができる。Rは、炭素数1〜20の1価の炭化水素基である。炭素数1〜20の1価の炭化水素基としては、RおよびRについて例示したものと同様のものを挙げることができる。複数の、XまたはRが、存在するときは、それらは、それぞれ、同一であっても異なっていてもよい。rは0〜2の整数であり、mは0〜20の整数である。mは、0〜10の整数であることが好ましく、1〜3の整数であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。mが2以上の場合、−(SiX 2−r−)で表わされる複数の繰り返し単位は、相異なるものであってもよい。なお、Aが一般式(II)で表わされる場合、(p+n×m×r+q)は、5以上の整数である。)
−NR− (III)
(一般式(III)中、Rは、水素原子または炭素数1〜20の1価の炭化水素基である。炭素数1〜20の1価の炭化水素基としては、RおよびRについて例示したものと同様のものを挙げることができる。Aが一般式(III)で表わされるとき、(p+q)は、5または6である。)
−N(−A−SiX 3−s)− (IV)
(一般式(IV)中、Aは、単結合または炭素数1〜20の2価の炭化水素基である。炭素数1〜20の2価の炭化水素基の具体例としては、AおよびAについて例示したものと同様のものを挙げることができる。Xは、ハロゲン原子または炭素数1〜20のアルコキシ基である。ハロゲン原子および炭素数1〜20のアルコキシ基の具体例としては、XおよびXについて例示したものと同様のものを挙げることができる。Rは、炭素数1〜20の1価の炭化水素基である。炭素数1〜20の1価の炭化水素基としては、RおよびRについて例示したものと同様のものを挙げることができる。複数の、XまたはRが存在するときは、それらは、それぞれ、同一であっても異なっていてもよい。sは、0〜3の整数である。なお、Aが一般式(IV)で表わされる場合、(p+n×s+q)は、5以上の整数である。)
一般式(I)中のX、X、一般式(II)中のX、および一般式(IV)中のX(ハロゲン原子および炭素数1〜20のアルコキシ基)が、共役ジエン重合体(A)の活性末端と反応するカップリング剤分子中の反応性基である。
一般式(I)において、XおよびXの全てが、いずれもハロゲン原子である場合は、Aは、一般式(II)で表されるものであることが好ましい。このとき、一般式(II)において、Xは、全てがハロゲン原子であることが好ましい。この場合、一般式(I)で表されるカップリング剤は、ハロゲン化ケイ素化合物である。
一般式(I)で表される化合物に含まれるハロゲン原子は、同一であっても異なっていてもよいが、カップリング反応により副生する塩の処理を容易にする観点から、全てのハロゲン原子が塩素原子であることが特に好ましい。
本発明においてカップリング剤として好適に用いることができるケイ素化合物として、下記一般式(V)で表わされるハロゲン化ケイ素化合物を挙げることができる。
SiX 3−p−(CH−SiX (V)
一般式(V)中、XおよびXは、それぞれ、ハロゲン原子であり、複数の、XまたはXが存在するときは、それらは、それぞれ、異なるハロゲン原子であってもよい。Rは炭素数1〜20の1価の炭化水素基である。なかでも、炭素数1〜20のアルキル基であることが好ましく、メチル基またはエチル基であることが特に好ましい。kは0〜20の整数であり、0〜10の整数であることが好ましく、0〜6の整数であることがより好ましく、0〜2の整数であることが特に好ましい。pは、2または3であり、3であることがより好ましい。
一般式(V)で表されるハロゲン化ケイ素化合物の具体例としては、ヘキサクロロジシラン、ビス(トリクロロシリル)メタン、1,2−ビス(トリクロロシリル)エタン、1,3−ビス(トリクロロシリル)プロパン、1,4−ビス(トリクロロシリル)ブタン、1,5−ビス(トリクロロシリル)ペンタン、1,6−ビス(トリクロロシリル)ヘキサンなどが挙げられる。これらのなかでも、ヘキサクロロジシラン、1,2−ビス(トリクロロシリル)エタンまたは1,6−ビス(トリクロロシリル)ヘキサンを用いることが好ましく、1,6−ビス(トリクロロシリル)ヘキサンを用いることがより好ましい。これらのハロゲン化ケイ素化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、一般式(I)において、XおよびXが、いずれも炭素数1〜20のアルコキシ基である場合は、一般式(II)において、Xは、炭素数1〜20のアルコキシ基であることが好ましく、炭素数1〜10のアルコキシ基であることがより好ましい。また、一般式(IV)において、Xは、炭素数1〜20のアルコキシ基であることが好ましく、炭素数1〜10のアルコキシ基であることがより好ましく、炭素数1〜6のアルコキシ基であることが特に好ましい。この場合、一般式(I)で表されるカップリング剤は、アルコキシシラン化合物である。
一般式(III):−NR−で表される基の具体例としては、メチルイミノ基、エチルイミノ基、プロピルイミノ基、フェニルイミノ基、ベンジルイミノ基などを挙げることができる。
一般式(IV):−N(−A−SiX 3−s)−で表される基の具体例としては、トリメトキシシリルプロピルイミノ基、トリエトキシシリルプロピルイミノ基などを挙げることができる。
本発明でカップリング剤として用いることができるアルコキシシラン化合物は、下記一般式(VI)、(VII)、または(VIII)で表わされる化合物であることが好ましい。
SiX 3−p−A−SiX (VI)
SiX 3−p−A−NR−A−SiX (VII)
SiX p’ 3−p’−A−N(−A10−SiX 3−s)−A11−SiX (VIII)
一般式(VI)、(VII)および(VIII)中、X、XおよびXは、それぞれ、炭素数1〜20のアルコキシ基であり、複数の、X、XまたはXが存在するときは、それらは、それぞれ、同一であっても異なるものであってもよい。RおよびRは、それぞれ、炭素数1〜20の炭化水素基であり、炭素数1〜6の炭化水素基であることが好ましく、炭素数1〜3の炭化水素基であることがより好ましい。Rは炭素数1〜20の炭化水素基であり、炭素数1〜10の炭化水素基であることが好ましい。A〜A11は、それぞれ、単結合、炭素数1〜20のポリメチレン基((CH)、アリーレン基またはシクロアルキレン基である。A〜A11において、メチレン基の数kは、同一でも異なっていてもよい。kは、1〜8であることが好ましい。pは、2または3であり、p’およびsは、それぞれ、0〜3の整数であり、(p’+s)は、2〜6の整数である。
一般式(VI)で表されるアルコキシシラン化合物の具体例としては、ヘキサメトキシジシラン、ヘキサエトキシジシラン、ビス(トリメトキシシリル)メタン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、ビス(トリメトキシシリル)エタン、ビス(トリエトキシシリル)エタン、ビス(トリメトキシシリル)プロパン、ビス(トリエトキシシリル)プロパン、ビス(トリメトキシシリル)ブタン、ビス(トリエトキシシリル)ブタン、ビス(トリメトキシシリル)ヘプタン、ビス(トリエトキシシリル)ヘプタン、ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、ビス(トリエトキシシリル)ヘキサン、ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン、ビス(トリメトキシシリル)シクロヘキサン、ビス(トリエトキシシリル)シクロヘキサン、ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン、ビス(トリメトキシシリル)オクタン、ビス(トリエトキシシリル)オクタン、ビス(トリメトキシシリル)ノナン、ビス(トリエトキシシリル)ノナン、ビス(トリメトキシシリル)エチレン、ビス(トリエトキシシリル)エチレン、ビス(トリメトキシシリルエチル)ベンゼン、ビス(トリエトキシシリルエチル)ベンゼン、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)エタン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)エタンなどを示すことができる。
一般式(VII)で表されるアルコキシシラン化合物の具体例としては、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)メチルアミン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)メチルアミン、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)エチルアミン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)エチルアミン、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)プロピルアミン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)プロピルアミン、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)ブチルアミン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ブチルアミン、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)フェニルアミン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)フェニルアミン、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)ベンジルアミン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ベンジルアミン、ビス(トリメトキシシリルメチル)メチルアミン、ビス(トリエトキシシリルメチル)メチルアミン、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)メチルアミン、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)メチルアミン、ビス(トリエトキシシリルメチル)プロピルアミン、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)プロピルアミンなどを示すことができる。
一般式(VIII)で表されるアルコキシシラン化合物の具体例としては、トリス(トリメトキシシリルメチル)アミン、トリス(2−トリエトキシシリルエチル)アミン、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)アミン、トリス(3−トリエトキシシリルプロピル)アミンなどを示すことができる。
本発明において、活性末端を有する共役ジエン重合体(A)と反応させるカップリング剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
活性末端を有する共役ジエン重合体(A)と反応させるカップリング剤の量は、重合に使用した重合開始剤1モルに対し、前記重合体(A)の活性末端と反応するカップリング剤の反応性基のモル数が、通常、0.05〜0.60モル、好ましくは0.07〜0.35モル、より好ましくは0.12〜0.30モルとなるように設定する。カップリング剤の使用量が前記範囲にあると、少なくとも前記共役ジエン重合体(A)の一部がカップリングされた共役ジエン重合体(B)の全体量に対する、カップリング剤を介して結合された構造を有している共役ジエン重合体の割合が、防振ゴム用共役ジエンゴム組成物の保管安定性および最終的に得られる防振ゴム部材の動倍率に優れるものとなる。一方、カップリング剤の使用量が、前記下限未満である場合、カップリング剤と未反応であった前記重合体(A)に対する、カップリング剤を介して結合された構造を有している共役ジエン重合体の割合が低くなり、その結果、防振ゴム用共役ジエンゴム組成物は保管安定性に劣るものとなる。また、カップリング剤の使用量が、前記上限を超えている場合、カップリング剤と未反応であった前記重合体(A)に対する、カップリング剤を介して結合された構造を有している共役ジエン重合体の割合が高くなり、その結果、最終的に得られる防振ゴム部材は動倍率に劣るものとなる。
活性末端を有する共役ジエン重合体(A)とカップリング剤とを反応させる方法は、特に限定されないが、通常、活性末端を有する共役ジエン重合体(A)が溶解または分散した溶液に、カップリング剤を添加して行えばよい。
活性末端を有する共役ジエン重合体(A)が溶解または分散した溶液に、カップリング剤を添加する際には、カップリング反応を良好に制御する観点から、カップリング剤を不活性有機溶媒に溶解または分散して得られる溶液を、活性末端を有する共役ジエン重合体(A)が不活性有機溶媒に溶解または分散した溶液に添加することが好ましい。このカップリング剤の溶液の濃度は、1〜50重量%であることが好ましく、また、これに用いる不活有機溶媒としては、単量体混合物の重合に用いられるものと同様のものを用いることができる。
活性末端を有する共役ジエン重合体(A)とカップリング剤とを反応させる条件は、特に限定されないが、反応温度は、通常、−80〜+150℃、好ましくは0〜100℃、より好ましくは30〜90℃の範囲であり、反応時間は、通常、1〜120分、好ましくは2〜60分の範囲である。
活性末端を有する共役ジエン重合体(A)が溶解または分散した溶液に、カップリング剤を添加する時期は特に限定されないが、重合反応が完結しておらず活性末端を有する共役ジエン重合体(A)が溶解または分散した溶液が単量体をも含有している状態、より具体的には、活性末端を有する共役ジエン重合体(A)が溶解または分散した溶液が、100ppm以上(より好ましくは300〜50,000ppm)の単量体を含有している状態で、該溶液にカップリング剤を添加することが好ましい。カップリング剤の添加を前述のように行なうことにより、活性末端を有する共役ジエン重合体(A)と重合系中に含まれる不純物などとの副反応を抑制して、反応を良好に制御することが可能となる。
本発明において、少なくとも上記共役ジエン重合体(A)の一部がカップリングされた共役ジエン重合体(B)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィにより検出される、ポリスチレン換算での分子量の最も大きいピーク(P−1)のピークトップ分子量(MP−1)と分子量の最も小さいピーク(P−2)のピークトップ分子量(MP−2)の比(MP−1/MP−2)が3.5以上である必要があり、3.5〜9.0であることが好ましく、3.5〜6.0であることがより好ましく、4.0〜6.0であることが特に好ましい。(MP−1/MP−2)のピークトップ分子量比率が前記範囲にあると、防振ゴム用共役ジエンゴム組成物は保管安定性に優れ、最終的に得られる防振ゴム部材も、動倍率に優れるものとなる。
本発明は、活性末端を有する共役ジエン重合体(A)に、1分子中に前記共役ジエン重合体(A)の活性末端と反応する反応性基を5以上有するカップリング剤を反応させることにより、(MP−1/MP−2)のピークトップ分子量比率を3.5以上とすることができる。その結果、防振ゴム用共役ジエンゴム組成物は保管安定性に優れ、最終的に得られる防振ゴム部材も、動倍率に優れるものとなる。
本発明において、ゲルパーミエーションクロマトグラフィにより検出される分子量の最も大きいピーク(P−1)のピークトップ分子量(MP−1)とは、活性末端を有する共役ジエン重合体(A)に、1分子中に前記共役ジエン重合体(A)の活性末端と反応する反応性基を5以上有するカップリング剤を反応させることで得られる、カップリング剤を介して結合された構造を有している共役ジエン重合体に由来する、最も分子量の大きいピークのピークトップ分子量を指す。
(MP−1)は、20万〜300万であることが好ましく、50万〜200万であることがより好ましく、75万〜150万であることが特に好ましい。(MP−1)が前記範囲にあると、防振ゴム用共役ジエンゴム組成物は保管安定性に優れ、最終的に得られる防振ゴム部材も、動倍率に優れるものとなる。
本発明において、ゲルパーミエーションクロマトグラフィにより検出される分子量の最も小さいピーク(P−2)のピークトップ分子量(MP−2)とは、活性末端を有する共役ジエン重合体(A)に、1分子中に前記共役ジエン重合体(A)の活性末端と反応する反応性基を5以上有するカップリング剤を反応させた際に、カップリング剤と未反応であった活性末端を有する共役ジエン重合体(A)、またはカップリング剤を介して結合された構造を有している共役ジエン重合体に由来する、最も分子量の小さいピークのピークトップ分子量を指す。
(MP−2)は、5万〜60万であることが好ましく、10万〜45万であることがより好ましく、15万〜35万であることが特に好ましい。(MP−2)が前記範囲にあると、防振ゴム用共役ジエンゴム組成物は保管安定性に優れ、最終的に得られる防振ゴム部材も、動倍率に優れるものとなる。
本発明において、少なくとも上記共役ジエン重合体(A)の一部がカップリングされた共役ジエン重合体(B)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィにより検出される分子量の最も大きいピーク(P−1)の、全溶出面積に対する面積比が、通常、10〜55%、好ましくは10〜35%、より好ましくは15〜30%となるものである。(P−1)の、全溶出面積に対する面積比が前記範囲にあると、防振ゴム用共役ジエンゴム組成物は保管安定性に優れ、最終的に得られる防振ゴム部材も、動倍率に優れるものとなる。一方、(P−1)の、全溶出面積に対する面積比が前記下限未満である場合、防振ゴム用共役ジエンゴム組成物は保管安定性に劣る。また、(P−1)の、全溶出面積に対する面積比が前記上限を超えている場合、最終的に得られる防振ゴム部材は動倍率に劣るものとなる。
本発明は、重合に使用した重合開始剤1モルに対して、上記共役ジエン重合体(A)の活性末端と反応するカップリング剤の反応性基のモル数を上記範囲に調節することにより、少なくとも前記共役ジエン重合体(A)の一部がカップリングされた共役ジエン重合体(B)の全体量に対する、カップリング剤を介して結合された構造を有している共役ジエン重合体の割合を調節することができ、それによって、(P−1)の、全溶出面積に対する面積比を10〜55%の範囲とすることができる。その結果、防振ゴム用共役ジエンゴム組成物は保管安定性に優れ、最終的に得られる防振ゴム部材も、動倍率に優れるものとなる。
本発明において、上記共役ジエン重合体(B)は、活性末端を有する共役ジエン重合体(A)に、1分子中に前記共役ジエン重合体(A)の活性末端と反応する反応性基と、官能基とを有する変性剤を反応させることで得られる、分子末端に官能基が導入された共役ジエン重合体(C)を含有することが好ましい。
上記共役ジエン重合体(B)が、分子末端に官能基が導入された共役ジエン重合体(C)を含有することにより、防振ゴム用共役ジエンゴム組成物とシリカとの親和性を良好とすることができる。
本発明で用いる変性剤は、1分子中に、共役ジエン重合体(A)の活性末端と反応する反応性基と、官能基とを有するものであれば、特に限定されない。共役ジエン重合体(A)の活性末端と反応する反応性基としては、例えば、エポキシ基、アルコキシル基、ピロリドニル基、アリロキシ基、ビニル基、ハロゲン化シリル基、カルボニル基、チオカルボニル基、アジリジン基などが挙げられる。これらの中でも、エポキシ基、アルコキシル基、ピロリドニル基が好ましく、エポシキ基、アルコキシル基がより好ましい。また、前記官能基としては、シリカと親和性を有する官能基が好ましく、ケイ素含有官能基、アミノ基、水酸基などが挙げられる。これらの反応性基および官能基は、1分子中に1種でもよく、また2種以上あってもよい。
上記変性剤としては、ポリオルガノシロキサンまたはアルコキシシラン化合物が好ましい。
上記変性剤として、ポリオルガノシロキサンを用いる場合、反応性基の数は、好ましくはポリオルガノシロキサン1分子中に1〜200個、より好ましくは20〜150個、特に好ましくは30〜120個である。反応性基の数が前記範囲にあると、防振ゴム用共役ジエンゴム組成物の保管安定性および最終的に得られる防振ゴム部材の動倍率に優れる。
上記変性剤として好適に用いられるポリオルガノシロキサンとしては、一般式(IX)、(X)または(XI)で表されるポリオルガノシロキサンが挙げられる。
Figure 2010254975
Figure 2010254975
Figure 2010254975
(上記一般式(IX)のポリオルガノシロキサンにおいて、R〜Rは、炭素数1〜6のアルキル基または炭素数6〜12のアリール基であり、これらは互いに同一であっても相違していてもよい。XおよびXは、共役ジエン重合体(A)の活性末端と反応する反応性基、または、炭素数1〜6のアルキル基もしくは炭素数6〜12のアリール基であり、XおよびXは互いに同一であっても相違していてもよい。Xは、共役ジエン重合体(A)の活性末端と反応する反応性基である。Xは、2〜20のアルキレングリコールの繰返し単位を含有する基であり、Xの一部は2〜20のアルキレングリコールの繰返し単位を含有する基から導かれる基であってもよい。mは3〜200の整数、nは0〜200の整数、kは0〜200の整数である。)
(上記一般式(X)で表されるポリオルガノシロキサンにおいて、R〜R16は炭素数1〜6のアルキル基または炭素数6〜12のアリール基であり、これらは互いに同一であっても相違していてもよい。X〜Xは、共役ジエン重合体(A)の活性末端と反応する反応性基である。)
(上記一般式(XI)で表されるポリオルガノシロキサンにおいて、R17〜R19は炭素数1〜6のアルキル基または炭素数6〜12のアリール基であり、これらは互いに同一であっても相違していてもよい。X〜X11は、共役ジエン重合体(A)の活性末端と反応する反応性基である。sは1〜18の整数である。)
上記一般式(IX)のポリオルガノシロキサンにおいて、R〜R、XおよびXを構成する炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。炭素数6〜12のアリール基としては、例えば、フェニル基、メチルフェニル基などが挙げられる。これらのアルキル基およびアリール基の中では、メチル基が特に好ましい。
上記一般式(IX)のポリオルガノシロキサンにおいて、X、XおよびXを構成する、共役ジエン重合体(A)の活性末端と反応する反応性基としては、炭素数1〜5のアルコキシル基、2−ピロリドニル基を含有する炭化水素基、およびエポキシ基を含有する炭素数4〜12の基が好ましい。
炭素数1〜5のアルコキシル基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基などが挙げられる。なかでも、メトキシ基が好ましい。
2−ピロリドニル基を含有する炭化水素基としては、一般式(XII)で表される基が好ましく挙げられる。
Figure 2010254975
(式中、jは2〜10の整数である。特に、jは2であることが好ましい。)
エポキシ基を有する炭素数4〜12の基は、一般式(XIII)で表される。
一般式(XIII):Z−Y−E
(上記式(XIII)中、Zは炭素数1〜10のアルキレン基または炭素数7〜10のアルキルアリーレン基であり、Yはメチレン基、硫黄原子または酸素原子であり、Eはエポキシ基を有する炭素数2〜10の炭化水素基である。これらの中でも、Yが酸素原子であるものが好ましく、Yが酸素原子、かつ、Eがグリシジル基であるものがより好ましく、Zが炭素数3のアルキレン基、Yが酸素原子、かつ、Eがグリシジル基であるものが特に好ましい。)
一般式(IX)で表されるポリオルガノシロキサンにおいて、X、XおよびXの少なくとも一部が炭素数1〜5のアルコキシル基の場合、共役ジエン重合体(A)の活性末端にポリオルガノシロキサンを反応させると、ケイ素原子と該アルコキシル基の酸素原子との結合が開裂して、そのケイ素原子に重合体鎖が直接結合して単結合を形成する。
一般式(IX)で表されるポリオルガノシロキサンにおいて、X、XおよびXの少なくとも一部が2−ピロリドニル基を含有する炭化水素基の場合、共役ジエン重合体(A)の活性末端にポリオルガノシロキサンを反応させると、2−ピロリドニル基を構成するカルボニル基の炭素−酸素結合が開裂して、その炭素原子に重合体鎖が結合した構造を形成する。
一般式(IX)で表されるポリオルガノシロキサンにおいて、X、XおよびXの少なくとも一部がエポキシ基を含有する炭素数4〜12の基の場合、共役ジエン重合体(A)の活性末端にポリオルガノシロキサンを反応させると、エポキシ環を構成する炭素−酸素結合が開裂して、その炭素原子に重合体鎖が結合した構造を形成する。
一般式(IX)で表されるポリオルガノシロキサンにおいて、XおよびXとしては、上記の中でも、エポキシ基を含有する炭素数4〜12の基または炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、また、Xとしては、上記の中でも、エポキシ基を含有する炭素数4〜12の基が好ましい。
一般式(IX)で表されるポリオルガノシロキサンにおいて、X、すなわち2〜20のアルキレングリコールの繰返し単位を含有する基としては、下記一般式(XIV)で表される基が好ましい。
Figure 2010254975
(上記式(XIV)中、tは2〜20の整数であり、Pは炭素数2〜10のアルキレン基またはアルキルアリーレン基であり、Rは水素原子またはメチル基であり、Qは炭素数1〜10のアルコキシル基またはアリーロキシ基である。これらの中でも、tが2〜8の整数であり、Pが炭素数3のアルキレン基であり、Rが水素原子であり、かつ、Qがメトキシ基であるものが好ましい。)
一般式(IX)で表されるポリオルガノシロキサンにおいて、mは3〜200、好ましくは20〜150、より好ましくは30〜120の整数である。この数が多いとポリオルガノシロキサン自体の製造が困難になる。
一般式(IX)で表されるポリオルガノシロキサンにおいて、nは0〜200の整数、好ましくは0〜150の整数、より好ましくは0〜120の整数である。kは0〜200の整数、好ましくは0〜150の整数、より好ましくは0〜120の整数である。m、n、およびkの合計数は、400以下であることが好ましく、300以下であることがより好ましく、250以下であることが特に好ましい。この数が多いと、ポリオルガノシロキサン自体の製造が困難になる。
上記一般式(X)および上記一般式(XI)で表されるポリオルガノシロキサンにおいて、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、ならびに重合体(A)の活性末端と反応する反応性基は、一般式(IX)のポリオルガノシロキサンについて説明したものと同様である。
本発明で変性剤として用いることができるアルコキシシラン化合物としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラフェノキシシラン、テトラトルイロキシシランなどのテトラアルコキシシラン化合物;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、メチルトリフェノキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、エチルトリブトキシシラン、エチルトリフェノキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジプロポキシシラン、ジメチルジブトキシシラン、ジメチルジフェノキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジプロポキシシラン、ジエチルジブトキシシラン、ジエチルジフェノキシシランなどのアルキルアルコキシシラン化合物;N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルトリメトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルトリエトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチルトリメトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチルトリエトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチルメチルジメトキシシランおよびN,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチルメチルジエトキシシランなどのアミノアルキルアルコキシシラン化合物;ビニルトリメトキシシランン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、アリルトリメトキシシラン、オクテニルトリメトキシシラン、ジビニルジメトキシシラン、スチリルトシメトキシシランなどのアルケニルアルコシキシシラン化合物;フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリプロポキシシラン、フェニルトリブトキシシラン、フェニルトリフェノキシシランなどのアリールアルコキシシラン化合物;トリメトキシクロロシラン、トリエトキシクロロシラン、トリプロポキシクロロシラン、トリブトキシクロロシラン、トリフェノキシクロロシラン、ジメトキシジクロロシラン、ジプロポキシジクロロシラン、ジフェノキシジクロロシラン、メトキシトリクロロシラン、エトキシトリクロロシラン、プロポキシトリクロロシラン、フェノキシトリクロロシランなどのハロゲノアルコキシシラン化合物;β−クロロエチルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシランなどのハロゲノアルキルアルコキシシラン化合物;β−ニトロエチルメチルジメトキシシラン、γ−ニトロプロピルメチルジメトキシシランなどのニトロアルキルアルコキシシラン化合物;などが挙げられる。
上述のポリオルガノシロキサンとアルコキシシラン化合物の他に、本発明で用いることができる変性剤の具体例としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、N−フェニル−2−ピロリドン、N−メチル−ε−カプロラクタムなどのN−置換環状アミド類;1,3−ジメチルエチレン尿素、1,3−ジエチル−2−イミダゾリジノンなどのN−置換環状尿素類;4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンなどのN−置換アミノケトン類;ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートなどの芳香族イソシアネート類;N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドなどのN,N−ジ置換アミノアルキルメタクリルアミド類;4−N,N−ジメチルアミノベンズアルデヒドなどのN−置換アミノアルデヒド類;ジシクロヘキシルカルボジイミドなどのN−置換カルボジイミド類;N−エチルエチリデンイミン、N−メチルベンジリデンイミンなどのシッフ塩基類;プロピレンオキサイド、テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、エポキシ化ポリブタジエンなどのエポキシ基含有化合物;4−ビニルピリジンなどのピリジル基含有ビニル化合物;四塩化スズ、四塩化ケイ素、ヘキサクロロシラン、ビス(トリクロロシリル)メタン、ビス(トリクロロシリル)エタン、ビス(トリクロロシリル)プロパン、ビス(トリクロロシリル)ヘキサン、ビス(トリクロロシリル)ノナンなどのハロゲン化金属化合物;などが挙げられる。
変性剤の使用量は、少なくとも活性末端を有する共役ジエン重合体(A)の一部がカップリングされた共役ジエン重合体(B)のうち、カップリング剤と反応しなかった残余の活性末端の量から、適宜調整される。変性剤は、残余の活性末端のモル数に対し、前記活性末端と反応する変性剤の反応性基のモル数が、1.0倍モル以上になるように添加することが好ましく、より好ましくは1.0〜2.0倍モル、特に好ましくは1.0〜1.2倍モルとなるように設定する。変性剤の使用量が前記範囲にあると、前記共役ジエン重合体(B)のうち、カップリング剤と反応しなかった残余の活性末端を有する共役ジエン重合体(A)と変性剤とが反応することにより、シリカと親和性が高い、分子末端に官能基が導入された共役ジエン重合体(C)が得られる。その結果、防振ゴム用共役ジエンゴム組成物の保管安定性および最終的に得られる防振ゴム部材の動倍率をそれぞれ優れるものとすることができる。
分子末端に変性基が導入された共役ジエン重合体(C)は、その一部が変性剤を介してカップリングされていても良い。上述したように、ポリオルガノシロキサン1分子中の反応性基は、通常、多数存在するが、変性剤の使用量を上述のように調整することにより、変性剤としてポリオルガノシロキサンを用いる場合であっても、共役ジエン重合体(C)のゲルパーミエーションクロマトグラフィにより検出されるピーク(P−3)のピークトップ分子量(MP−3)を、分子量の最も大きいピーク(P−1)のピークトップ分子量(MP−1)と分子量の最も小さいピーク(P−2)のピークトップ分子量(MP−2)との間に認められるようにすることができる。(P−3)は、(P−1)と(P−2)との間に複数あってもよい。具体的には、(MP−3/MP−2)のピークトップ分子量比率が、1.1〜3.4の範囲内にあることが好ましい。(MP−3/MP−2)のピークトップ分子量比率が前記範囲にあると、防振ゴム用共役ジエンゴム組成物は保管安定性に優れ、最終的に得られる防振ゴム部材も、動倍率に優れるものとなる。
本発明において、変性剤を介してのカップリング反応は、添加する変性剤の種類および変性剤の添加量で制御が可能である。例えば、変性剤を、上記残余の活性末端のモル数に対し、前記活性末端と反応する変性剤の反応性基のモル数が等量以上になるように添加することにより、変性剤を介してのカップリング反応を生じにくくすることができる。
(MP−3)は、9万〜210万であることが好ましく、18万〜160万であることがより好ましく、25万〜120万であることが特に好ましい。(MP−3)が前記範囲にあると、防振ゴム用共役ジエンゴム組成物は保管安定性に優れ、最終的に得られる防振ゴム部材も、動倍率に優れるものとなる。
活性末端を有する共役ジエン重合体(A)と変性剤とを反応させる方法は、特に限定されないが、通常、活性末端を有する共役ジエン重合体(A)が溶解または分散した溶液に、変性剤を添加して行えばよい。また、活性末端を有する共役ジエン重合体(A)が溶解または分散した溶液に変性剤を添加する際には、反応を良好に制御する観点から、変性剤を不活性有機溶媒に溶解して得られる溶液を、活性末端を有する共役ジエン重合体(A)が不活性有機溶媒に溶解または分散した溶液に添加することが好ましい。この変性剤の溶液の濃度は、1〜50重量%であることが好ましい。また、これに用いる不活性有機溶媒としては、単量体混合物の重合に用いられるものと同様のものを用いることができる。
活性末端を有する共役ジエン重合体(A)に変性剤を反応させるときの条件は、特に限定されないが、反応温度は、通常、−80〜+150℃、好ましくは0〜100℃、より好ましくは30〜90℃の範囲であり、反応時間は、通常、1〜120分、好ましくは2〜60分の範囲である。
活性末端を有する共役ジエン重合体(A)に、カップリング剤および変性剤を添加する順序は特に限定されず、どちらか一方を先に添加しても良いし、カップリング剤と変性剤とが異なるものである場合は、同時に行っても良い。ただし、カップリング剤を先に添加し、少なくとも前記共役ジエン重合体(A)の一部がカップリングされた共役ジエン重合体(B)を生成させた後、変性剤を添加し、分子末端に変性基が導入された共役ジエン重合体(C)を生成させることが好ましい。このような順序で行うことにより、活性末端を有する共役ジエン重合体(A)の一部を、カップリング剤により確実にカップリングさせることが可能となり、目的とする防振ゴム用共役ジエンゴム組成物が得やすくなる。
一方、変性剤をカップリング剤よりも先に添加する場合、活性末端を有する共役ジエン重合体(A)の一部を、カップリング剤により確実にカップリングさせるために、変性剤の使用量を上記使用量よりも少なくすることが好ましい。具体的には、重合体(A)の活性末端のモル数に対し、前記活性末端と反応する変性剤の反応性基のモル数が、0.40〜0.95倍モルの範囲になるように添加することが好ましく、0.65〜0.93倍モルがより好ましく、0.70〜0.88倍モルが特に好ましい。
なお、本発明において、カップリング剤と変性剤とは、通常、異なる化合物であるが、それぞれの条件を満たすものであれば、同じ化合物を用いても良い。ただし、その場合、カップリング剤として、共役ジエン重合体(A)と反応する上記使用量をまず添加し、その後、変性剤として、共役ジエン重合体(A)と反応する上記使用量を、段階的に添加することが好ましい。
本発明の防振ゴム用共役ジエンゴム組成物において、カップリング剤を介して結合された構造を有している共役ジエン重合体と、変性剤を介して得られた分子末端に変性基が導入された共役ジエン重合体(C)との重量比は、0.10:1〜1.3:1であることが好ましく、0.10:1〜0.55:1であることがより好ましく、0.15:1〜0.45:1であることが特に好ましい。このような範囲であることによって、得られる防振ゴム用共役ジエンゴム組成物の機械的強度が、高分子量の、カップリング剤を介して結合された構造を有している共役ジエン重合体により担保され、さらに、比較的低分子量の、分子末端に官能基が導入された共役ジエン重合体(C)の単位重量あたりの官能基の含有割合が高くなり、防振ゴム用共役ジエンゴム組成物は保管安定性に優れ、最終的に得られる防振ゴム部材も、動倍率に優れるものとなる。
また、本発明の防振ゴム用共役ジエンゴム組成物は、カップリング剤と変性剤のどちらとも反応していない重合体を含んでいてもよいが、その割合は、防振ゴム用共役ジエンゴム組成物全体の30重量%以下であることが好ましく、15重量%以下であることがより好ましい。
活性末端を有する共役ジエン重合体(A)に、カップリング剤や変性剤を反応させた後、所望により、例えば、メタノール、イソプロパノールなどのアルコールや水を添加して、反応を停止させ、防振ゴム用共役ジエンゴム組成物を含有する溶液を得ることができる。次いで、所望により、老化防止剤、凝固クラム安定剤、スケール防止剤などを添加した後、直接乾燥やスチームストリッピングにより溶媒を分離して、目的とする防振ゴム用共役ジエンゴム組成物を回収する。なお、溶媒を分離する前に、溶液に伸展油を混合し、防振ゴム用共役ジエンゴム組成物を油展ゴムとして回収してもよい。
防振ゴム用共役ジエンゴム組成物を、油展ゴムとして回収する場合に用いる伸展油としては、ゴム分野において通常使用されるものが使用でき、パラフィン系、芳香族系、ナフテン系の石油系軟化剤、ひまし油、なたね油などの植物系軟化剤、パルミチン酸などの脂肪酸などが挙げられる。石油系軟化剤を用いる場合、多環芳香族の含有量が3重量%未満であることが好ましい。この含有量は、IP346の方法(英国のTHE INSTITUTE PETROLEUMの検査方法)により測定される。これらの伸展油は1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。伸展油を使用する場合、その含有量は、防振ゴム用共役ジエンゴム組成物100重量部に対し、通常、5〜60重量部、好ましくは10〜40重量部、より好ましくは15〜30重量部である。
上述のようにして得られる本発明の防振ゴム用共役ジエンゴム組成物の重量平均分子量は、25万〜150万であることが好ましく、30万〜100万であることがより好ましく、35万〜65万であることが特に好ましい。防振ゴム用共役ジエンゴム組成物の重量平均分子量が前記範囲にあると、防振ゴム用共役ジエンゴム組成物は保管安定性に優れ、最終的に得られる防振ゴム部材も、動倍率に優れるものとなる。
また、上述のようにして得られる本発明の防振ゴム用共役ジエンゴム組成物の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で表わされる分子量分布は、好ましくは1.2〜3.0、より好ましくは1.3〜2.2、特に好ましくは1.4〜1.8である。防振ゴム用共役ジエンゴム組成物の(Mw/Mn)が前記範囲にあると、防振ゴム用共役ジエンゴム組成物は保管安定性に優れ、最終的に得られる防振ゴム部材も、動倍率に優れるものとなる。
本発明の防振ゴム用組成物は、上記防振ゴム用共役ジエンゴム組成物、および上記防振ゴム用共役ジエンゴム組成物以外の共役ジエンゴム(D)を含有してなる。
上記共役ジエンゴム(D)としては、例えば、天然ゴム(NR)、ブタジエンゴム(BR、1,2−ポリブタジエン重合体からなる結晶繊維を含むポリブタジエンゴムであってもよい。)、イソプレンゴム(IR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、スチレン−イソプレンゴム、ブタジエン−イソプレンゴム、スチレン−イソプレン−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム(CR)などのうち、本発明の防振ゴム用共役ジエンゴム組成物以外のものをいう。これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、天然ゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴムが好ましく、天然ゴムがより好ましい。天然ゴムを含有することにより、本発明の防振ゴム用組成物を用いてなる防振ゴム部材は、動倍率に優れるため、防音性に優れる。
防振ゴム用組成物において、防振ゴム用共役ジエンゴム組成物と、上記共役ジエンゴム(D)との含有量の比率は、防振ゴム用共役ジエンゴム組成物/共役ジエンゴム(D)にて、(5〜90重量%)/(95〜10重量%)の範囲にあることが好ましく、(20〜70重量%)/(80〜30重量%)の範囲にあることがより好ましく、(30〜60重量%)/(70〜40重量%)の範囲にあることが特に好ましい。防振ゴム用共役ジエンゴム組成物と前記共役ジエンゴム(D)との比率が前記範囲にあると、最終的に得られる防振ゴム部材は、動倍率に優れるものとなる。
本発明の防振ゴム用組成物は、ゴム成分として、さらに、ブチルゴム(IIR)を含有することができ、特にハロゲン化ブチルゴムを含有することが好ましい。ブチルゴムを配合する防振ゴム用組成物を用いてなる防振ゴム部材は、動倍率に優れることに加えて、損失係数が大きくなるため、防音性と防振性に優れる。
ブチルゴムを含有する場合、防振ゴム用組成物に含まれるゴム成分全量中のブチルゴムの含有量は、5〜60重量%の範囲にあることが好ましく、10〜40重量%の範囲にあることがより好ましく、15〜30重量%の範囲にあることが特に好ましい。ブチルゴムの含有量が前記範囲にあると、最終的に得られる防振ゴム部材は、動倍率と損失係数に優れるものとなる。
本発明の防振ゴム用組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において、所望により、上記した以外の、その他のゴムを配合してもよい。その他のゴムとしては、例えば、エチレン−プロピレンゴム(EPM);エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM);ポリウレタンゴム;アクリルゴム;フッ素ゴム;シリコンゴム;などである。これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。その他のゴムの含有量は、防振ゴム用組成物に含まれるゴム成分全量中、50重量%未満とするのが好ましく、20重量%以下とするのがより好ましく、5重量%以下とするのが特に好ましい。
防振ゴム用組成物は、充填剤を含有することが好ましい。充填剤の含有量は、防振ゴム用組成物中の全ゴム成分100重量部に対し、5〜150重量部であることが好ましく、10〜90重量部であることがより好ましく、20〜60重量部であることが特に好ましい。充填剤の含有量が前記範囲にあると、最終的に得られる防振ゴム部材は、動倍率に優れるものとなる。
充填剤としては、特に限定されないが、例えば、シリカ、カーボンブラック、炭酸カルシウム、クレー、タルク、水酸化アルミニウム、各種金属酸化物などを挙げることができる。その中でも、特にシリカが好ましい。シリカを含有することにより、本発明の防振ゴム用組成物を用いてなる防振ゴム部材は、特に優れる動倍率を奏する。上記の充填剤は、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
シリカとしては、特に限定されないが、例えば、乾式法ホワイトカーボン、湿式法ホワイトカーボン、コロイダルシリカ、沈降シリカなどが挙げられる。これらの中でも、含水ケイ酸を主成分とする湿式法ホワイトカーボンが好ましい。また、カーボンブラック表面にシリカを担持させたカーボン−シリカデュアル・フェイズ・フィラーを用いてもよい。シリカの窒素吸着比表面積(ASTM D3037−81に準じBET法で測定される。)は、好ましくは50〜400m/g、より好ましくは80〜220m/g、特に好ましくは100〜180m/gである。シリカの窒素吸着比表面積が前記範囲にあると、最終的に得られる防振ゴム部材は、動倍率に優れるものとなる。
防振ゴム用組成物にシリカを含有させる場合、さらにシランカップリング剤を含有させることにより、最終的に得られる防振ゴム部材の防振特性を、さらに向上させることができる。シランカップリング剤としては、特に限定されないが、例えば、ビニルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−オクタチオ−1−プロピル−トリエトキシシラン、ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)ジスルフィド、ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)テトラスルフィド、γ−トリメトキシシリルプロピルジメチルチオカルバミルテトラスルフィド、γ−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアジルテトラスルフィドなどを挙げることができる。なかでも、混練時のスコーチを避ける観点より、1分子中に含有される硫黄原子が4個以下のものが好ましい。シランカップリング剤の含有量は、シリカ100重量部に対し、好ましくは0.1〜30重量部、より好ましくは1〜15重量部である。
カーボンブラックとしては、特に限定されないが、例えば、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、グラファイト、グラファイト繊維、フラーレンなどが挙げられる。これらの中でも、ファーネスブラックが好ましく、その具体例としては、SAF、ISAF、HAF、MAF、FEF、GPF、SRFなどが挙げられる。
カーボンブラックの窒素吸着比表面積は、好ましくは5〜200m/g、より好ましくは20〜100m/gであり、ジブチルフタレート(DBP)吸着量は、好ましくは5〜300ml/100g、より好ましくは50〜160ml/100gである。
本発明の防振ゴム用組成物は、架橋剤を含有することが好ましい。架橋剤を含有することで、防振ゴム用組成物は、防振ゴム部材に成形することができる。架橋剤としては、特に限定されないが、例えば、硫黄、ハロゲン化硫黄、有機過酸化物、キノンジオキシム類、有機多価アミン化合物、メチロール基を有するアルキルフェノール樹脂などが挙げられる。これらの中でも、硫黄が好ましく使用される。架橋剤の含有量は、防振ゴム用組成物中の全ゴム成分100重量部に対し、好ましくは0.1〜15重量部、より好ましくは0.5〜5重量部である。
防振ゴム用組成物は、上記成分以外に、常法に従って、架橋促進剤、スコーチ防止剤、架橋活性化剤、老化防止剤、活性剤、プロセス油、可塑剤、滑剤、粘着付与剤などの配合剤をそれぞれ含有することができる。
架橋促進剤としては、特に限定されないが、例えば、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N’−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミドなどのスルフェンアミド系架橋促進剤;ジフェニルグアニジン、ジオルトトリルグアニジン、オルトトリルビグアニジンなどのグアニジン系架橋促進剤;チオウレア系架橋促進剤;チアゾール系架橋促進剤;チウラム系架橋促進剤;ジチオカルバミン酸系架橋促進剤;キサントゲン酸系架橋促進剤;などが挙げられる。これらの中でも、スルフェンアミド系架橋促進剤およびグアニジン系架橋促進剤が好ましく、具体的には、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、およびジフェニルグアニジンがより好ましい。これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。架橋促進剤の含有量は、防振ゴム用組成物中の全ゴム成分100重量部に対し、好ましくは0.1〜15重量部、より好ましくは0.5〜5重量部である。
スコーチ防止剤としては、特に限定されないが、例えば、無水フタル酸、サリチル酸、安息香酸などの有機酸;N−(シクロヘキシチオ)フタルイミド;スルホンアミド誘導体;などが挙げられる。これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。スコーチ防止剤の含有量は、防振ゴム用組成物中の全ゴム成分100重量部に対し、好ましくは0.1〜5重量部、より好ましくは0.5〜2重量部である。
架橋活性化剤としては、特に限定されないが、例えば、ステアリン酸などの高級脂肪酸や酸化亜鉛などを用いることができる。これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。架橋活性化剤の含有量は適宜選択されるが、高級脂肪酸の含有量は、防振ゴム用組成物中の全ゴム成分100重量部に対し、好ましくは0.05〜15重量部、より好ましくは0.5〜5重量部であり、酸化亜鉛の含有量は、防振ゴム用組成物中の全ゴム成分100重量部に対し、好ましくは0.05〜10重量部、より好ましくは0.5〜5重量部である。
老化防止剤としては、特に限定されないが、例えば、4,4’−(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミンなどのジフェニルアミン系;N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミンなどのアミン系;2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体などのアミン−ケトン系;2,2−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノールなどのフェノール系;などを用いることができる。これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。老化防止剤の含有量は、防振ゴム用組成物中の全ゴム成分100重量部に対し、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.1〜5重量部である。
活性剤としては、特に限定されないが、例えば、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、レシチンなどを用いることができる。
プロセス油としては、上述した防振ゴム用共役ジエンゴム組成物に混合する伸展油と同様のものを用いることができる。これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。プロセス油の含有量は、防振ゴム用組成物中の全ゴム成分100重量部に対し、好ましくは1〜40重量部、より好ましくは、5〜30重量部である。
可塑剤としては、特に限定されないが、例えば、ジメチルフタレート、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレートなどのフタル酸誘導体;ジメチルイソフタレートなどのイソフタル酸誘導体;ジブチルアジペートなどのアジピン酸誘導体;などが挙げられる。
滑剤としては、特に限定されないが、例えば、パラフィンワックスなどのワックス;脂肪酸;脂肪酸金属塩;などが挙げられる。これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。滑剤の含有量は、防振ゴム用組成物中の全ゴム成分100重量部に対し、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.5〜5重量部である。
粘着付与剤としては、特に限定されないが、クマロン・インデン樹脂などのクマロン樹脂;テルペン・フエノール樹脂;石油系炭化水素樹脂;などが挙げられる。
防振ゴム用共役ジエンゴム組成物から、防振ゴム用組成物を得るためには、常法に従って各成分を混練すればよい。例えば、架橋剤および架橋促進剤を除く配合剤とゴム成分を混練後、その混練物に架橋剤および架橋促進剤を混合して防振ゴム用組成物を得ることができる。架橋剤および架橋促進剤を除く配合剤と、防振ゴム用共役ジエンゴム組成物のゴム成分との混練温度は、好ましくは80〜200℃、より好ましくは120〜180℃であり、その混練時間は、好ましくは30秒〜30分である。混練物と、架橋剤および架橋促進剤との混合は、通常100℃以下、好ましくは80℃以下で行われる。
本発明の防振ゴム用組成物を架橋することにより、架橋物が得られる。防振ゴム用組成物の架橋および成形の方法は、特に限定されず、架橋物の形状、大きさなどに応じて選択すればよい。架橋剤を含有する防振ゴム用組成物を金型中に充填し加熱することにより成形と同時に架橋してもよく、架橋剤を含有する防振ゴム用組成物を予め成形した後、それを加熱して架橋してもよい。架橋温度は、好ましくは120〜200℃、より好ましくは140〜180℃であり、架橋時間は、通常、1〜120分である。
本発明の架橋物は、優れた防振特性を有し、防振ゴム部材として好適に用いられる。防振ゴム部材としては、特に限定されないが、例えば、鉄道車両、発電機、電動機、自動車、住宅などに用いられ、特に、エンジンマウント、液体封入式マウントなどの各種マウント、各種ブッシュ、ダンパー、サポートゴム、軸受けなどの自動車用の防振ゴム部材に好適に用いられる。
以下に、実施例および比較例を挙げて、本発明についてより具体的に説明する。なお、各例中の部および%は、特に断りのない限り、重量基準である。
各種の物性については、以下の方法に従って評価した。
[重量平均分子量、ならびに(MP−1/MP−2)のピークトップ分子量比率および(P−1)の全溶出面積に対する面積比]
ゲルパーミエーションクロマトグラフィにより、ポリスチレン換算の分子量に基づくチャートを得て、そのチャートに基づいて防振ゴム用共役ジエンゴム組成物の重量平均分子量を求めた。また、分子量の最も大きいピーク(P−1)のピークトップ分子量(MP−1)と分子量の最も小さいピーク(P−2)のピークトップ分子量(MP−2)の比(MP−1/MP−2)、(P−1)の全溶出面積に対する面積比を求めた。なお、ゲルパーミエーションクロマトグラフィにより、具体的には以下の条件で測定した。
測定器 :HLC−8020(東ソー社製)
カラム :HM−H(東ソー社製)を四本を直列に連結した。
検出器 :示差屈折計RI−8020(東ソー社製)
溶離液 :テトラヒドロフラン
カラム温度:40℃
[スチレン単位含有量およびブタジエン単位部分のビニル結合含有量]
H−NMRにより測定した。
[ガラス転移温度]
示差走査型熱量計(パーキンエルマー社製)を用いて、23℃から120℃まで昇温(加熱速度100℃/分)、120℃を10分間保持、−120℃まで降温(冷却速度100℃/分)、−120℃を10分間保持、23℃まで昇温(加熱速度10℃/分)の順で測定試料の温度を変化させ、オンセット値の2回平均値をガラス転移温度の測定値とした。
[防振ゴム用共役ジエンゴム組成物の保管安定性]
プレス成型により、2mm厚の試験片とした防振ゴム用共役ジエンゴム組成物を、JIS3号ダンベルで打ち抜いた後、5.5gの重りをつけて、100℃の恒温ボックス内で、荷重をかけてから試験片が伸張し切断するまでの時間(秒)を測定し、3回平均値を測定値とした。測定値が、240秒未満のものを1点、240秒以上300秒未満のものを2点、300秒以上のものを3点とした。保管安定性は、1点が劣り、2点が良好、3点が優れる。
[防振特性(動倍率)]
GABO社製粘弾性測定装置EPLEXORを用い、初期歪み4.0%、動的歪み1.0%、1Hz、25℃の条件で動的弾性率(E´−1)を測定し、初期歪み4.0%、動的歪み0.5%、10Hz、0℃の条件で静的弾性率(E´−2)を測定し、(E´−2)/(E´−1)を動倍率として求めた。この特性については、実施例5〜7および比較例7〜9に対しては比較例7を、実施例8および比較例10〜12に対しては比較例10を、100とする指数で示した。この指数が小さいほど動倍率に優れ、防振特性、特に防音性に優れる。
[実施例1]
攪拌機付きオートクレーブに、窒素雰囲気下、シクロヘキサン4000g、1,3−ブタジエン600gおよびテトラメチルエチレンジアミン0.08ミリモルを仕込んだ後、n−ブチルリチウムを、シクロヘキサンと1,3−ブタジエンとに含まれる重合を阻害する不純物の不活性化に必要な量を添加し、さらに、n−ブチルリチウムを重合反応に用いる分として7.8ミリモル加え、50℃で重合を開始した。重合を開始してから20分経過後、1,3−ブタジエン400gを30分間かけて連続的に添加した。重合反応中の最高温度は75℃であった。連続添加終了後、さらに、15分間重合反応を継続し、重合転化率が95%から100%の範囲になったことを確認してから、カップリング剤I(1,6−ビス(トリクロロシリル)ヘキサン)0.35ミリモルを20%濃度のシクロヘキサン溶液の状態で添加し、70℃で20分間反応させた。次いで、変性剤II(N,N−ビス(トリメチルシリル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン)5.9ミリモルを20%濃度のキシレン溶液の状態で添加し、70℃で30分間反応させた後、重合停止剤として、使用したn−ブチルリチウムの2倍モルに相当する量のメタノールを添加して、防振ゴム用共役ジエンゴム組成物を含有する溶液を得た。この溶液に、老化防止剤として、(4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、商品名「イルガノックス1520L」、チバスペシャリティーケミカルズ社製)を、防振ゴム用共役ジエンゴム組成物のゴム成分100部に対し、0.15部を添加した後、スチームストリッピングにより、溶媒を除去し、60℃で24時間真空乾燥して、固形状の防振ゴム用共役ジエンゴム組成物(B−1)を得た。(B−1)について、重量平均分子量、スチレン単位含有量、ブタジエン単位部分のビニル結合含有量、ガラス転移温度(MP−1/MP−2)のピークトップ分子量比率、および(P−1)の全溶出面積に対する面積比を上記の方法により測定した。さらに、防振ゴム用共役ジエンゴム組成物(B−1)の保管安定性についても測定した。これらの測定結果を表1に示す。
Figure 2010254975
[実施例2〜4]
表1に示す重合処方成分について、表1に示すように、種類、量を変更する他は、実施例1と同様の操作を行い、固形状の防振ゴム用共役ジエンゴム組成物(B−2)〜(B−4)をそれぞれ得た。各種の測定結果を表1に示す。
[比較例1〜6]
表1に示す重合処方成分について、表1に示すように、種類、量を変更する他は、実施例1と同様の操作を行い、固形状の防振ゴム用共役ジエンゴム組成物(BC−1)〜(BC−6)をそれぞれ得た。各種の測定結果を表1に示す。
実施例2、4および比較例2、3において、変性剤IIIとして使用したポリオルガノシロキサンの構造は、下記一般式(XV)に示す通りである。なお、mとkの数値は平均値である。
Figure 2010254975
[実施例5]
バンバリーミキサーに、実施例1で得た防振ゴム用共役ジエンゴム組成物(B−1)50部および天然ゴム50部を投入して、80℃を開始温度として、30秒間素練りし、次いで、上記ゴム成分の合計100部に対し、シリカ(商品名「Zeosil 1115MP」、ローディア社製、窒素吸着比表面積(BET法):115m/g)35部、シランカップリング剤(ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)テトラスルフィド、商品名「Si69」、デグッサ社製)2.6部を添加して、80℃を開始温度として、1.5分間混練後、シリカ(商品名「Zeosil 1115MP」5部、カーボンブラック(商品名「シーストSO」、東海カーボン社製、窒素吸着比表面積(BET法):42m/g)5部、プロセスオイル(商品名「フッコール エラミック30」、新日本石油社製)5部、酸化亜鉛(亜鉛華1号)3部、ステアリン酸(商品名「SA−300」、旭電化工業社製)2部、老化防止剤(N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン、商品名「ノクラック6C」、大内新興化学工業社製)2部およびワックス(商品名「サンノック」、大内新興化学工業社製)2部を添加し、130℃を開始温度として、2.5分混練して、バンバリーミキサーから防振ゴム用組成物を排出させた。混錬終了時の防振ゴム用組成物の温度は150℃であった。この防振ゴム用組成物を、室温(30℃)まで冷却し、再度バンバリーミキサー中で、80℃を開始温度として、3分間混練した後、バンバリーミキサーから防振ゴム用組成物を排出させた。混錬終了時の防振ゴム用組成物の温度は140℃であった。この防振ゴム用組成物を、100℃以下に冷却されていることを確認後、50℃のオープンロールで、得られた防振ゴム用組成物と、架橋剤である硫黄1.8部と、架橋促進剤[N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(商品名「ノクセラーNS」、大内新興化学工業社製)2.5部とジフェニルグアニジン(商品名「ノクセラーD」、大内新興化学工業社製)1.2部との混合物]とを混練した後、シート状の防振ゴム用組成物を取り出した。この防振ゴム用組成物を、150℃で20分間プレス架橋して試験片を作製し、この試験片について、防振特性(動倍率)の評価を行なった。表2にその結果を示す。なお、この評価は、比較例7の防振ゴム用組成物の架橋物を基準サンプル(指数100)とする指数で表す。
Figure 2010254975
[実施例6、7]
使用する防振ゴム用共役ジエンゴム組成物の種類を、表2に示す通りに変更した以外は、実施例5と同様にして、試験片を作成し、この試験片について、防振特性(動倍率)の評価を行った。表2にその結果を示す。
[比較例7〜9]
使用する防振ゴム用共役ジエンゴム組成物の種類を、表2に示す通りに変更した以外は、実施例5と同様に、試験片を作成し、この試験片について、防振特性(動倍率)の評価を行った。表2にその結果を示す。
[実施例8]
バンバリーミキサーに、実施例4で得た防振ゴム用共役ジエンゴム組成物(B−4)40部、天然ゴム40部およびハロゲン化ブチルゴム(商品名「ブロモブチル2244」、日本ブチル社製)20部を投入して、80℃を開始温度として、30秒間素練りし、次いで、上記ゴム成分の合計100部に対し、シリカ(商品名「Zeosil 1165MP」、ローディア社製、窒素吸着比表面積(BET法):165m/g)35部、シランカップリング剤(ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)テトラスルフィド、商品名「Si69」、デグッサ社製)4部を添加して、80℃を開始温度として1.5分間混練後、シリカ(商品名「Zeosil 1165MP」5部、カーボンブラック(商品名「シーストSO」、東海カーボン社製、窒素吸着比表面積(BET法):42m/g)5部、プロセスオイル(商品名「フッコール エラミック30」、新日本石油社製)5部、酸化亜鉛(亜鉛華1号)3部、ステアリン酸(商品名「SA−300」、旭電化工業社製)2部、老化防止剤(N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン、商品名「ノクラック6C」、大内新興化学工業社製)2部およびワックス(商品名「サンノック」、大内新興化学工業社製)2部を添加し、130℃を開始温度として、2.5分混練して、バンバリーミキサーから防振ゴム用組成物を排出させた。混錬終了時の防振ゴム用組成物の温度は150℃であった。この防振ゴム用組成物を、室温(30℃)まで冷却し、再度バンバリーミキサー中で、80℃を開始温度として3分間混練した後、バンバリーミキサーから防振ゴム用組成物を排出させた。混錬終了時の防振ゴム用組成物の温度は140℃であった。この防振ゴム用組成物を、100℃以下に冷却されていることを確認後、50℃のオープンロールで、得られた防振ゴム用組成物と、架橋剤である硫黄1.7部と、架橋促進剤[N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(商品名「ノクセラーCZ」、大内新興化学工業社製)1.7部とジフェニルグアニジン(商品名「ノクセラーD」、大内新興化学工業社製)0.9部との混合物]とを混練した後、シート状の防振ゴム用組成物を取り出した。この防振ゴム用組成物を、160℃で20分間プレス架橋して試験片を作製し、この試験片について、防振特性(動倍率)の評価を行なった。表3にその結果を示す。なお、この評価は、比較例10の防振ゴム用組成物の架橋物を基準サンプル(指数100)とする指数で表す。
Figure 2010254975
[比較例10〜12]
使用する防振ゴム用共役ジエンゴム組成物の種類を、表3に示す通りに変更した以外は、実施例8と同様に、試験片を作成し、この試験片について、防振特性(動倍率)の評価を行った。表3にその結果を示す。
表1から、以下のことがわかる。すなわち、特定のカップリング剤を使用し、特定の変性剤を使用することにより得られた本発明の防振ゴム用共役ジエンゴム組成物(実施例1〜4)は、本発明で特定される、ゲルパーミエーションクロマトグラフィにより検出される分子量の最も大きいピーク(P−1)のピークトップ分子量(MP−1)と分子量の最も小さいピーク(P−2)のピークトップ分子量(MP−2)の比(MP−1/MP−2)が3.5以上であり、かつ、(P−1)の、全溶出面積に対する面積比が10〜55%の範囲内になっていた。その結果、防振ゴム用共役ジエンゴム組成物の保管安定性は、良好または優れており、取り扱い易いものとなっていた。それに対し、特定のカップリング剤を使用しておらず、(P−1)の全溶出面積に対する面積比が本発明の下限未満であった防振ゴム用共役ジエンゴム組成物(比較例2)、および特定のカップリング剤を使用しているが、(P−1)の、全溶出面積に対する面積比が本発明の下限未満であった防振ゴム用共役ジエンゴム組成物(比較例4)の保管安定性は劣っており、取り扱い難いものとなっていた。
表2から、以下のことが分かる。すなわち、本発明の防振ゴム用共役ジエンゴム組成物(実施例1〜3)を含む防振ゴム用組成物の架橋物は、防振特性(動倍率)に優れており、防振ゴム部材に用いることにより、防音性に優れるものとなっていた(実施例5〜7)。それに対し、特定のカップリング剤を使用しておらず、(P−1)の、全溶出面積に対する面積比が本発明の上限を超えていた防振ゴム用共役ジエンゴム組成物(比較例1)を含む防振ゴム用組成物の架橋物、および特定のカップリング剤を使用しているが、(P−1)の、全溶出面積に対する面積比が本発明の上限を超えていた防振ゴム用共役ジエンゴム組成物(比較例3)を含む防振ゴム用組成物の架橋物は、防振特性(動倍率)に劣っており、防振ゴム部材に用いるには不充分であった(比較例7、9)。
表3から、以下のことが分かる。すなわち、本発明の防振ゴム用共役ジエンゴム組成物(実施例4)を含む防振ゴム用組成物の架橋物は、防振特性(動倍率)に優れており、防振ゴム部材に用いることにより、防音性に優れるものとなっていた(実施例8)。それに対し、特定のカップリング剤を使用しているが、(P−1)の全溶出面積に対する面積比が本発明の下限未満であった防振ゴム用共役ジエンゴム組成物(比較例4)を含む防振ゴム用組成物の架橋物、および特定のカップリング剤を使用しておらず、(MP−1/MP−2)のピークトップ分子量比率が3.5未満であった防振ゴム用共役ジエンゴム組成物(比較例5、6)を含む防振ゴム用組成物の架橋物は、防振特性(動倍率)に劣っており、防振ゴム部材に用いるには不充分であった(比較例10〜12)。

Claims (9)

  1. 活性末端を有する共役ジエン重合体(A)に、1分子中に前記共役ジエン重合体(A)の活性末端と反応する反応性基を5以上有するカップリング剤を反応させることで得られる、少なくとも前記共役ジエン重合体(A)の一部がカップリングされた、共役ジエン重合体(B)を含有する、防振ゴム用共役ジエンゴム組成物であって、
    前記共役ジエン重合体(B)の、ゲルパーミエーションクロマトグラフィにより検出される分子量の最も大きいピーク(P−1)のピークトップ分子量(MP−1)と分子量の最も小さいピーク(P−2)のピークトップ分子量(MP−2)の比(MP−1/MP−2)が3.5以上であり、かつ、
    (P−1)の、全溶出面積に対する面積比が10〜55%になることを特徴とする、防振ゴム用共役ジエンゴム組成物。
  2. 上記共役ジエン重合体(B)が、上記共役ジエン重合体(A)に、1分子中に前記共役ジエン重合体(A)の活性末端と反応する反応性基と、官能基とを有する変性剤を反応させることで得られる、分子末端に官能基が導入された共役ジエン重合体(C)を含有する、請求項1記載の防振ゴム用共役ジエンゴム組成物。
  3. 請求項1または2記載の防振ゴム用共役ジエンゴム組成物、および上記防振ゴム用共役ジエンゴム組成物以外の共役ジエンゴム(D)を含有してなる防振ゴム用組成物。
  4. さらに、上記防振ゴム用組成物のゴム成分100重量部に対し、10〜150重量部のシリカを含有する請求項3記載の防振ゴム用組成物。
  5. さらに、架橋剤を含有する請求項3または4記載の防振ゴム用組成物。
  6. 請求項5記載の防振ゴム用組成物を架橋してなる架橋物。
  7. 請求項6記載の架橋物を用いてなる防振ゴム部材。
  8. 請求項1記載の防振ゴム用共役ジエンゴム組成物の製造方法であって、
    活性末端を有する共役ジエン重合体(A)に、1分子中に前記共役ジエン重合体(A)の活性末端と反応する反応性基を5以上有するカップリング剤を反応させ、
    ゲルパーミエーションクロマトグラフィにより検出される分子量の最も大きいピーク(P−1)のピークトップ分子量(MP−1)と分子量の最も小さいピーク(P−2)のピークトップ分子量(MP−2)の比(MP−1/MP−2)が3.5以上であり、かつ、
    (P−1)の、全溶出面積に対する面積比が10〜55%になる、少なくとも前記共役ジエン重合体(A)の一部がカップリングされた、共役ジエン重合体(B)を含有する、防振ゴム用共役ジエンゴム組成物の製造方法。
  9. 上記共役ジエン重合体(A)に、1分子中に前記共役ジエン重合体(A)の活性末端と反応する反応性基と、官能基とを有する変性剤を反応させ、上記共役ジエン重合体(B)が、分子末端に官能基が導入された共役ジエン重合体(C)を含有する、請求項8記載の防振ゴム用共役ジエンゴム組成物の製造方法。
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