JP2010250351A - フレネル光学素子及び投写型表示装置 - Google Patents

フレネル光学素子及び投写型表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】屈折面を透過せずに反射された光線が不要光として、観測者の視野方向に出射される状況を回避することができるフレネル光学素子を得る。
【解決手段】フレネルプリズム12の屈折面12aのうち、他のフレネルプリズム12に遮断されてプロジェクタ1から光線が直接照射されない非入射面12cの反射面12bに対する角度τ’が、プリズム先端角τと異なるように構成する。これにより、例えば、屈折面12aを透過せずに反射された光線が不要光として、観測者の視野方向に出射される状況を回避することができる。
【選択図】図4

Description

この発明は、プロジェクタなどの発光体から照射された光線を所定の方向に反射させるフレネル光学素子と、そのフレネル光学素子により反射された光線を結像して表示する投写型表示装置とに関するものである。
フレネル光学素子は、プロジェクタなどの発光体から照射された光線を屈折させる屈折面と、その屈折面で屈折された光線を反射させる反射面とを有するフレネルプリズムが基盤面に鋸歯状に複数配置されている。
そのフレネルプリズムにおいて、面の前後で屈折率が異なる屈折面と、面の前後で屈折率が異なる基盤の出射面では、フレネル反射の法則により、各々の面を透過しきれない光線が一部発生する。各々の面の屈折率に依存するが、約5%程度の光線が透過しない。
例えば、発光体から照射された光線のうち、屈折面を透過せずに反射された光線や基盤の出射面で反射された光線(以下、不要光という)は、複数のフレネルプリズムにおいて屈折や反射を繰り返しながら異なる場所へ伝搬されることにより、フレネルプリズムの反射面で反射された光線(以下、信号光という)と異なる位置で出射されることがある。
このような不要光が観測者の視野方向に出射された場合、信号光と同じ映像を現すゴースト像が観測者に認識されるため、投写型表示装置のコントラスト比が著しく劣化することになる。
そこで、従来のフレネル光学素子は、フレネルプリズムの反射面の角度を適切な条件に調整することで、ゴースト像の起源となる基盤の出射面で反射された光線の角度を、発光体から照射された光線の角度より大きくなるように制御し、不要光が観測者の視野方向に出射されないようにしている(例えば、特許文献1参照)。
なお、このようなフレネル光学素子は、大型旋盤で加工した金型に対して樹脂材料を流し込むことにより、レプリカ成形することが公知である。
特開2002−196413号公報(段落番号[0011]から[0019]、図1)
従来のフレネル光学素子は以上のように構成されているので、基盤の出射面で反射された光線が不要光として、観測者の視野方向に出射される状況を回避することができるが、屈折面を透過せずに反射された光線が不要光として、観測者の視野方向に出射されることがあるなどの課題があった。
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、屈折面を透過せずに反射された光線が不要光として、観測者の視野方向に出射される状況を回避することができるフレネル光学素子を得ることを目的とする。
また、この発明は、ゴースト像の表示を防止することができる投写型表示装置を得ることを目的とする。
この発明に係るフレネル光学素子は、フレネルプリズムの屈折面のうち、他のフレネルプリズムに遮断されて発光体から光線が直接照射されない非入射面の反射面に対する角度が、その屈折面と反射面がなすプリズム先端角と異なるようにしたものである。
このことによって、屈折面を透過せずに反射された光線が不要光として、観測者の視野方向に出射される状況を回避することができるなどの効果がある。
この発明の実施の形態1による投写型表示装置を示す構成図である。 この発明の実施の形態1による投写型表示装置を示す斜視図である。 この発明の実施の形態1によるフレネル光学素子を示す構成図である。 この発明の実施の形態1によるフレネル光学素子を示す模式図である。 フレネルプリズム12に対する光線の入射角を示す説明図である。 この発明の実施の形態1による他の投写型表示装置を示す構成図である。 この発明の実施の形態2によるフレネル光学素子を示す構成図である。 この発明の実施の形態3によるフレネル光学素子を示す構成図である。 フレネルプリズム12に対する光線の入射角を示す説明図である。 ゴースト低減効果(光線追跡数値計算結果)を示す説明図である。 ゴースト低減効果(光線追跡数値計算結果)を示す説明図である。 光線の光路を示す説明図である。 光線の光路を示す説明図である。 この発明の実施の形態4によるフレネル光学素子を示す構成図である。 この発明の実施の形態5によるフレネル光学素子を示す構成図である。 この発明の実施の形態6によるフレネル光学素子を示す構成図である。 フレネルプリズム12のプリズム先端角を示す説明図である。 ゴースト低減効果(光線追跡数値計算結果)を示す説明図である。 この発明の実施の形態7によるフレネル光学素子を示す構成図である。 この発明の実施の形態8によるフレネル光学素子を示す構成図である。 この発明の実施の形態9によるフレネル光学素子を示す構成図である。 この発明の実施の形態10によるフレネル光学素子を示す構成図である。 この発明の実施の形態11によるフレネル光学素子を示す構成図である。 この発明の実施の形態11による他のフレネル光学素子を示す構成図である。 この発明の実施の形態11による他のフレネル光学素子を示す構成図である。 この発明の実施の形態12によるフレネル光学素子を示す構成図である。 この発明の実施の形態13によるフレネル光学素子を示す構成図である。 この発明の実施の形態14によるフレネル光学素子を示す構成図である。 全反射プリズムを相似縮小して、非入射面をスクリーン面と平行にしている例を示す説明図である。 光線の入射角θと全反射プリズムの入射面の角度ξとの関係を示す説明図である。 光線の入射角θと限界プリズム頂角τmaxとの関係を示す説明図である。 光線の入射角θと全反射プリズムの効率との関係を示す説明図である。 光線の入射角θと全反射プリズムの相似縮小比率lとの関係を示す説明図である。 光線の入射角θと全反射プリズムの相似縮小比率lとの関係を示す説明図である。 観測結果等を示す説明図である。 スクリーン法線からの観測結果を示す説明図である。 斜め下約60度からの観測結果を示す説明図である。 (a)と(c)の方策を組み合わせた例を示す説明図である。 (a)と(c)の方策を組み合わせた例を示す説明図である。 (a)と(b)の方策を組み合わせた例を示す説明図である。 (a)と(d)の方策を組み合わせた例を示す説明図である。 入射角がθ=75度のときの観測結果を示す説明図である。 (a)と(c)と(d)の方策を組み合わせた例を示す説明図である。 (a)と(b)と(c)の方策を組み合わせた例を示す説明図である。 (a)と(b)と(c)と(d)の方策を組み合わせた例を示す説明図である。 折り返し平面ミラー4による折り返し例を示す説明図である。 折り返し平面ミラー4により斜めに折り返した例を示す説明図である。 結像表示板3の形成例を示す説明図である。 結像表示板3の形成例を示す説明図である。 この発明の実施の形態18による投写型表示装置を示す斜視図である。 調整機構29を示す斜視図である。 この発明の実施の形態18による投写型表示装置の光路を示す説明図である。 スクリーンのたわみと、それに伴う画像の変化を説明する説明図である。 たわんだスクリーン26’に格子模様を表示させた状態を示す説明図である。 スクリーンが補強板により補強されている状態を示す説明図である。 この発明の実施の形態20による投写型表示装置を示す斜視図である。 ごみの影響を示す説明図である。 スクリーン26が内部応力を有する部材41を介して筐体27に取り付けられている状態を示す説明図である。 この発明の実施の形態22による投写型表示装置の光路を示す説明図である。 この発明の実施の形態23による投写型表示装置の内部回路を示す構成図である。 この発明の実施の形態24による投写型表示装置を示す斜視図である。 図61の要部拡大図である。 この発明の実施の形態24による他の投写型表示装置を示す斜視図である。 この発明の実施の形態24による他の投写型表示装置を示す斜視図である。
以下、この発明をより詳細に説明するために、この発明を実施するための形態について、添付の図面に従って説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1による投写型表示装置を示す構成図であり、図2はこの発明の実施の形態1による投写型表示装置を示す斜視図である。
図において、発光体であるプロジェクタ1は画像投影用の光線をフレネル光学素子2に照射する。
フレネル光学素子2はプロジェクタ1から照射される光線を結像表示板3に導く機能を有しており、フレネル光学素子2はプロジェクタ1から照射される光線を屈折させる屈折面と、その屈折面で屈折された光線を反射させる反射面とを有するフレネルプリズムが基盤面に鋸歯状に複数配置された構成である。
結像表示板3はフレネル光学素子2の反射面で反射された光線を結像する結像手段を構成し、結像表示板3は例えばフレネル光学素子2の反射面で反射された光線の広がりを制御するレンチキュラーレンズと光線を散乱させる透過型拡散板とから構成されている。
図3はこの発明の実施の形態1によるフレネル光学素子を示す構成図であり、図において、基盤11は光線を透過させるシート状の薄板であり、基盤11の基盤面11aには複数のフレネルプリズム12が鋸歯状に配置されている。
フレネルプリズム12の屈折面12aはプロジェクタ1から照射される光線を屈折させ、フレネルプリズム12の反射面12bは屈折面12aで屈折された光線を反射させる。フレネルプリズム12の反射面12bで反射された光線が基盤11の出射面11bから結像表示板3に出射される。
フレネルプリズム12の非入射面12cは他のフレネルプリズム12に遮断されてプロジェクタ1から光線が直接照射されない屈折面12aの一部であり、反射面12bに対する非入射面12cの角度が、屈折面12aと反射面12bがなすプリズム先端角と異なるように形成されている。
図4はこの発明の実施の形態1によるフレネル光学素子を示す模式図である。
次に動作について説明する。
通常、鋸歯形状プリズムは、三角形PEGが周期(間隔)mで連続して並んでいるが、ここでは説明の簡単化のため、プリズムの相似縮小比率をl(ただし、l≦1)として説明する(l=1の場合、プリズムは連続状に連なる)。
プロジェクタ1から照射された光線L1,L2は、図4に示すように、図中左側から入射され、反射面12bで反射された光線(以下、信号光という)が図中右側から出射されている。ただし、光線L1はフレネルプリズム12の先端Eに入射され、光線L2は図中下側のフレネルプリズム12の先端E’をかすめて屈折面12aの右端Uに入射されているものとする。
ここで、フレネルプリズム12のプリズム先端角PEGがτ、反射面12bの傾き角GPEがα、フレネルプリズム12の内部の屈折率がn、フレネルプリズム12の外部の屈折率がnであるとすると、信号光の出射角度θreflは以下の関係式で表される。
θrefl(θ;α,τ,n,n
=sin−1[(n/n)sin{τ−α+sin−1((n/n)sin(τ+α+θ))}] (1)
式(1)において、角度αについて解くと、関係式は以下のようになる。
α(θ;θrefl,τ,n,n
=tan−1[{sin(θ+τ)+(n/n)sin(τ−sin−1((n/n)sinθrefl))}
/{−cos(θ+τ)+(n/n)cos(τ−sin−1((n/n)sinθrefl))} (2)
フレネルプリズム12の屈折面12aにおける屈折率nは媒質で決まり、場所毎に媒質を変えることは現実的に不可能であるため、屈折率nが一定であるとする。一方、外部の屈折率nは通常空気であり、これを変えることができないのは言うまでもない。以上より反射面12bの傾きを表す関数αは、出射光線θreflと先端角τの二つの自由度で関数形が決まる入射角の関数となる。
しかしながら、信号光の出射角度θreflは、スクリーン法線方向(観測者の視野方向)と一致しないと、観測者が画像を見ることができず、スクリーンの意味を持たないため、実際にはほとんど自由度がない(自由度はせいぜい数度)。
同様に、プリズム先端角τは、通常、フレネルプリズム12の母型となる金型加工に用いる、切削用のバイトの先端角度と等しいことから、スクリーンを構成する複数のフレネルプリズムにおいて一定であることが多い。
図5はフレネルプリズム12に対する光線の入射角を3通り示しており、上記理由により先端角PEGであるτと、信号光の出射角度θreflを一定とすると、角度αは式(2)より、入射角の関数となり一意に決まる。
以上より、フレネルプリズム12を構成する三角形の二つの角度α,τが決まるので、三角形の内角の和から残りの角度も決定される。
したがって、フレネルプリズム12の形状は一意に決定される(相似変形の大きさを除く)。
以上を総合すると、反射面12bの傾きを表す関数αの二つの自由度はほとんどないに等しく、プリズム先端角τも通常一定であるため、「面の傾き」を制御することで、ゴースト像の起源となる不要光の角度を制御するのは現実的には難しい。
ここで、図3の光路に着目すると、フレネルプリズム12を構成する各面のうち、プロジェクタ1から出射する光線が入射してから出射するまで、光路に寄与する部分(屈折面12aと反射面12bは光路に寄与する)と、光路に寄与しない部分(非入射面12cは他のフレネルプリズム12の陰になるため、プロジェクタ1から光線が直接入射せず、光路に寄与しない。また、反射面12bの一部である面VPも、非入射面12cで屈折された光線が照射されることがないので、光路に寄与しない。)が存在することが分かる。
この寄与する部分を有効面、寄与しない部分を無効面と定義すると、有効面部分は必ず必要だが、無効面部分はあってもなくても問題ない。
したがって、「面の角度」に設計上の自由度がほとんどないことから、この実施の形態1では、「プリズムの形状」に自由度を付加することで不要光の方向を制御する。
具体的には、フレネルプリズム12の屈折面12aの一部を非入射面12cのように形成せず、その屈折面12aを図4のEUGのように形成した場合(図3の点線を参照)、例えば、上から2番目のフレネルプリズム12の屈折面12aに照射された光線の一部が、その屈折面12aで反射されると、その反射光である不要光は、下側のフレネルプリズム12の反射面12bと屈折面12aで屈折を繰り返しながら伝播され、例えば、上から4番目のフレネルプリズム12の屈折面12aの点線部分(面UG)で反射されて観測者が見る方向に出射されることがある。
しかし、この実施の形態1では、フレネルプリズム12の屈折面12aの右端Uと、無効部分である面V’P’の左端V’とをつなげることにより、反射面12bに対する非入射面12cの角度τ’がプリズム先端角τより大きくなるように形成すると、上記のような不要光は、上から4番目のフレネルプリズム12では屈折面12aや非入射面12cに当ることなく、そのまま透過して上から5番目のフレネルプリズム12に入るので、上から4番目のフレネルプリズム12の屈折面12aや非入射面12cで不要光が反射されることはなく、不要光は観測者が見ない方向に出射される(図3の例では、右下方向に出射される)。
以上で明らかなように、この実施の形態1では、フレネルプリズム12の屈折面12aのうち、他のフレネルプリズム12に遮断されてプロジェクタ1から光線を直接入射しない非入射面12cの反射面12bに対する角度τ’が、プリズム先端角τと異なるように構成したので、例えば、屈折面12aを透過せずに反射された光線が不要光として、観測者の視野方向に出射される状況を回避することができる効果を奏する。
したがって、上記のフレネル光学素子2を搭載している投写型表示装置では、ゴースト像の表示を防止することができる効果を奏する。
なお、この実施の形態1では、プロジェクタ1から出射された光線がフレネル光学素子2に入射されるものについて示したが、投写型表示装置の奥行きを小さくするため、図6に示すように、プロジェクタ1から出射された光線を反射する折り返し平面ミラー4を搭載し、折り返し平面ミラー4で反射された光線がフレネル光学素子2に入射されるようにしてもよい。この場合、プロジェクタ1と折り返し平面ミラー4が発光体を構成する。
実施の形態2.
上記実施の形態1では、フレネルプリズム12の屈折面12aの右端Uと、無効部分である面V’P’の左端V’とをつなげることにより、反射面12bに対する非入射面12cの角度τ’がプリズム先端角τより大きくなるように形成するものについて示したが、図7に示すように、複数のフレネルプリズム12が配置されている基盤面11aと平行に非入射面12cを形成するようにしてもよい。
フレネルプリズム12の屈折面12aの一部を非入射面12cのように形成せず、その屈折面12aを図4のEUGのように形成した場合(図7の点線を参照)、例えば、上から4番目のフレネルプリズム12の屈折面12aに入射した光線の一部が、その屈折面12aで反射されると、その反射光である不要光は、下側のフレネルプリズム12の反射面12bと屈折面12aで屈折を繰り返しながら伝播され、例えば、上から6番目のフレネルプリズム12の屈折面12aの点線部分(面UG)で反射されて観測者が見る方向に出射されることがある。
しかし、この実施の形態2では、複数のフレネルプリズム12が配置されている基盤面11aと平行に非入射面12cを形成することにより、反射面12bに対する非入射面12cの角度τ’がプリズム先端角τより大きくなるように形成すると、上記のような不要光は、上から6番目のフレネルプリズム12では屈折面12aや非入射面12cに当ることなく、そのまま透過して上から7番目のフレネルプリズム12に入るので、上から6番目のフレネルプリズム12の屈折面12aや非入射面12cで不要光が反射されることはなく、不要光は観測者が見ない方向に出射される(図7の例では、右下方向に出射される)。
以上で明らかなように、この実施の形態2によれば、複数のフレネルプリズム12が配置されている基盤面11aと平行に非入射面12cを形成するように構成したので、例えば、屈折面12aを透過せずに反射された光線が不要光として、観測者の視野方向に出射される状況を回避することができる効果を奏する。
実施の形態3.
上記実施の形態2では、複数のフレネルプリズム12が配置されている基盤面11aと平行に非入射面12cを形成するものについて示したが、図8に示すように、フレネルプリズム12(点線部分)を全て作成しなくても、実線部分のみを作成することで、図7のフレネルプリズム12と相似のフレネルプリズム12を形成することができる。
図9は複数のフレネルプリズム12の周期(間隔)を変えずにプリズムの比率を相似に縮小(比率l<1)した場合(先端角τを45度で一定、光線出射角θreflを0度で一定の場合)の光線の入射角を3通り示しており、プリズムの比率を相似に縮小しても図5と等価の機能を有することがわかる。
ここで、図10及び図11はゴースト低減効果(光線追跡数値計算結果)を示す説明図であり、特に、図10は非入射面12cが形成されていない場合(図8の点線のように形成されている場合)を示し、図11は非入射面12cが形成されている場合を示している。
ゴースト像は観測者の見る方向に出射する不要光であり、ゴースト像の出射位置は、基盤11の厚みや、背面の折り返し平面ミラー4など(図6を参照)、光路となる媒質の厚みでほぼ決まる。フレネルプリズム12の信号光の光路はINから入った光線がOUT1に出射するものである。
しかしながら、出射面で透過できなかった残りのフレネル反射成分や、入射面で透過できなかった残りのフレネル反射成分は、光路に吸収体が存在しなければ、エネルギー保存則から必ず発生する。
ゴースト像Aは、スクリーン基盤の厚みに対応する厚みAに比例して、離れた位置(距離A)から見る方向OUT2に出射する(図10を参照)。
また、ゴースト像Bは、背面の折り返し平面ミラー4までの厚みBに比例して、離れた位置(距離B)から見る方向OUT3’に出射する(図10を参照)。
これに対して、非入射面12cが形成されている場合、図11に示すように、信号光は変化せずにOUT1に出射されるが、不要光の出射位置が変化して、不要光は観測者が見ない方向OUT4に出射する。
具体的には次の通りである。
向かい合った平面に入射された光線は、図12に示すように、スネルの法則にしたがって媒質中で屈折して角度を変えるが、出射平面で再度屈折して、結局元の角度を保存したまま出射するという特徴を有している。
これは、入射した光線が並行移動して出射すると考えることができるので、入射面で透過できなかった残りのフレネル反射成分で平面に入射した成分は、並行移動してスクリーン面から出射する(図11のOUT4に相当)。
また、出射面で透過できなかった残りのフレネル反射成分や、入射面で透過できなかった残りのフレネル反射成分が、複数のフレネルプリズム12を伝搬してスクリーン面に入射した場合を考えると、図13に示すように、向かい合った平面で全反射条件を満足した場合、その光束は媒質内に閉じこめられる(図11のOUT5に相当)。
なお、全反射プリズムの相似比率lは、製造公差等のため、手前のプリズムが欠如した場合に備えて、手前のプリズムに入射すべき信号光を救済できるように、すこし余裕を持たせて大きめに設定してもよい。
また、全反射プリズムの相似比率lを小さくすると、プリズムの高さが小さくなるため、金型加工の時間が短縮される効果を奏する。
全反射プリズムの相似比率lを小さくすると、プリズムの高さが小さくなるため、フレネルプリズムの母型となる金型の加工に用いる、切削用のバイトの先端部の摩耗が少なくなり、金型加工の精度が向上する効果を奏する。
製造公差の関係から加工時に金型の山(プリズムの谷)の部分が曲がることがある。これがあると、フレネルプリズムを金型から離型するときに筋状の不具合を及ぼすことがある。
しかしながら、全反射プリズムの相似比率lを小さくすると、プリズムとプリズムが平面で連なっているため、金型の山の部分が存在せず、筋状の不具合を生じない効果を奏する。
全反射プリズムの相似比率lを小さくすると、プリズムの高さが小さくなるため、金型から離れやすく、歩留まりがよくなる効果を奏する。
以上より、加工時間、不具合、歩留まり等が改善されるため、コストを削減する効果を奏する。
実施の形態4.
上記実施の形態1では、フレネルプリズム12の屈折面12aの右端Uと、無効部分である面V’P’の左端V’とをつなげることにより、反射面12bに対する非入射面12cの角度τ’がプリズム先端角τより大きくなるように形成するものについて示したが、図14に示すように、反射面12bに対する非入射面12cの角度τ’がプリズム先端角τより小さくなるように形成してもよい。
具体的には、フレネルプリズム12の下面である屈折面12aと非入射面12cが、図4の面EUTとなるように形成する。
フレネルプリズム12の屈折面12aの一部を非入射面12cのように形成せず、その屈折面12aを図4のEUGのように形成した場合(図14の点線を参照)、例えば、上から2番目のフレネルプリズム12の屈折面12aに照射された光線の一部が、その屈折面12aで反射されると、その反射光である不要光は、下側のフレネルプリズム12の反射面12bと屈折面12aで屈折を繰り返しながら伝播され、例えば、上から4番目のフレネルプリズム12の屈折面12aの点線部分(面UG)で反射されて観測者が見る方向に出射されることがある。
しかし、この実施の形態4では、フレネルプリズム12の下面が図4の面EUTとなるように形成することにより、反射面12bに対する非入射面12cの角度τ’がプリズム先端角τより小さくなるように形成すると、上記のような不要光は、上から4番目のフレネルプリズム12の非入射面12cで反射されて観測者が見ない方向に出射される(図14の例では、右上方向に出射される)。よって、この実施の形態4では、反射面12bに対する非入射面12cの角度τ’を小さくするほど、より上の方向に出射させることができる。
以上で明らかなように、この実施の形態4によれば、反射面12bに対する非入射面12cの角度τ’がプリズム先端角τより小さくなるように形成したので、例えば、屈折面12aを透過せずに反射された光線が不要光として、観測者の視野方向に出射される状況を回避することができる効果を奏する。
実施の形態5.
上記実施の形態1では、フレネルプリズム12の屈折面12aの右端Uと、無効部分である面V’P’の左端V’とをつなげることにより、反射面12bに対する非入射面12cの角度τ’がプリズム先端角τより大きくなるように形成するものについて示したが、図15に示すように、プロジェクタ1や折り返し平面ミラー4から光線が直接入射しない非入射面に補助プリズム12dを形成するようにしてもよい。
具体的には、フレネルプリズム12の無効面部分(図4のUGP’V’)に、信号光E’Uを妨げることがないように新しい補助的なプリズムを付加する。図15ではスクリーン基盤11に垂直に切り立った形状例を示している。
このようにして、フレネルプリズム12の無効面部分に新しい補助プリズム12dを付加すると、フレネルプリズム12の形状に自由度を付加することができるので、例えば、フレネルプリズム12の屈折面12aにおけるフレネル反射成分が手前のフレネルプリズム12の反射面12bに入射し、屈折を繰り返しながら離れた場所へ伝搬されても、観測者の見る方向からそらすことができる。
ただし、補助プリズム12dを付加するためには金型を二回加工する必要がある。例えば、すべてのフレネルプリズム12を掘り終わった後に、補助プリズム12dを掘るようにすると、製造公差のために位置ずれが起こりやすいので、フレネルプリズム12と補助プリズム12dを交互に掘るのが望ましい。また、交互に掘ることで、フレネルプリズム12の谷の加工時に発生するバリを削り取ることが可能となり、樹脂による金型転写が容易になる。
以上で明らかなように、この実施の形態5によれば、プロジェクタ1や折り返し平面ミラー4から光線が直接入射しない非入射面に補助プリズム12dを形成するように構成したので、例えば、屈折面12aを透過せずに反射された光線が不要光として、観測者の視野方向に出射される状況を回避することができる効果を奏する。
実施の形態6.
上記実施の形態1では、反射面12bに対する非入射面12cの角度τ’がプリズム先端角τより大きくなるように形成するものについて示したが、図16に示すように、基盤面11aの領域1には、プリズム先端角がτのフレネルプリズム12を配置し、基盤面11aの領域2には、プリズム先端角がτのフレネルプリズム12を配置するようにしてもよい。
プリズム先端角τは、通常、フレネルプリズム12の母型となる金型加工のバイトの先端角度で決定されることから、スクリーン全面において一定であることが多いが、金型の掘り方を工夫し、例えば、2回掘ったり、行きと帰りでバイトの傾きを変えて掘ったりすることで、プリズム先端角τを場所毎に変えることは可能である。
図17は同じ入射角・出射角で、周期を変えずにプリズム先端角τを45〜51度にしている例であり、同じ入射角においても先端角を変えることで、フレネルプリズム12の面の傾きや大きさが変わることがわかる。
したがって、図16に示すように、基盤面11aの領域1には、プリズム先端角がτのフレネルプリズム12を配置し、基盤面11aの領域2には、プリズム先端角がτのフレネルプリズム12を配置すると、不要光の光路が変化する。図16ではフレネルプリズム12の先端角をτに変えることで不要光が図左下の見えない方向に制御されている。
このようにプリズム先端角τを場所毎に他の領域と異なる角度に変えることで、フレネルプリズム12の形状に自由度を付加することができるので、信号光に影響を与えることなく不要光の方向を制御することができる。
図18はゴースト低減効果を示す光線追跡数値計算結果であって、プリズム先端角τを53度に変更した計算例である。
図18に示すように、不要光は観測者が見ない方向OUT6に出射される。また、不要光はOUT7からも出射されるが、この不要光は入射光線より急な角度で折り返し平面ミラー4に戻される。したがって、ゴースト像の発生が抑制される。
以上で明らかなように、この実施の形態6によれば、屈折面12aと反射面12bがなすプリズム先端角τが相互に異なるフレネルプリズム12が基盤面11aに混在するように構成したので、例えば、屈折面12aを透過せずに反射された光線が不要光として、観測者の視野方向に出射される状況を回避することができる効果を奏する。
なお、この実施の形態6のように、プリズム先端角τが相互に異なるフレネルプリズム12を基盤面11aに混在させると同時に、上記実施の形態1のように、反射面12bに対する非入射面12cの角度τ’がプリズム先端角τより大きくなるように形成してもよい。
実施の形態7.
上記実施の形態6では、屈折面12aと反射面12bがなすプリズム先端角τが相互に異なるフレネルプリズム12が基盤面11aに混在しているものについて示したが、図19に示すように、先端部分の一部が欠けているフレネルプリズム(歯欠けのフレネルプリズム)と、先端部分が欠けていないフレネルプリズム12を基盤面11aに交互に配置するようにしてもよい。
先端部分が欠けていないフレネルプリズム12のみを全面に配置する場合(図19の点線を参照)、例えば、上から3番目のフレネルプリズム12の屈折面12aに照射された光線の一部が、その屈折面12aで反射されると、その反射光である不要光は、下側のフレネルプリズム12の反射面12bと屈折面12aで屈折を繰り返しながら伝播され、例えば、上から5番目のフレネルプリズム12の屈折面12aで反射されて観測者が見る方向に出射されることがある。
しかし、この実施の形態7では、歯欠けのフレネルプリズム12と、先端部分が欠けていないフレネルプリズム12を基盤面11aに交互に配置するようにしているので、上記のような不要光は、上から4番目に配置されている歯欠けのフレネルプリズム12には入射されず、そのまま観測者が見ない方向に出射される(図19の例では、左下方向に出射される)。
なお、フレネルプリズム12の先端部分は信号光の光路上にあり、歯欠けであるために、信号光が歯欠けのフレネルプリズム12に入射されないことがあるが、そのような信号光は、一つ上のフレネルプリズム12に入射されて救済される。したがって、先端部分の削除は、信号光を救済できる範囲で行うようにするとよい。
また、図19では、歯欠けのフレネルプリズム12が1つおきに形成されているが、前述の信号光の救済ができる範囲であれば、二つおきや三つおき、もしくは、それ以上おきに歯欠けのフレネルプリズム12が形成されていてもよい。
以上で明らかなように、この実施の形態7によれば、先端部分の一部が欠けているフレネルプリズム(歯欠けのフレネルプリズム)と、先端部分が欠けていないフレネルプリズム12を基盤面11aに混在するように構成したので、例えば、屈折面12aを透過せずに反射された光線が不要光として、観測者の視野方向に出射される状況を回避することができる効果を奏する。
実施の形態8.
上記実施の形態7では、先端部分の一部が欠けている歯欠けのフレネルプリズム12と、先端部分が欠けていないフレネルプリズム12を基盤面11aに交互に配置するものについて示したが、図20に示すように、先端部分の全部が欠けているフレネルプリズム12と、先端部分が欠けていないフレネルプリズム12を基盤面11aに交互に配置するようにしてもよい。即ち、フレネルプリズム12を1個おきに間引いて、先端部分が欠けていないフレネルプリズム12を飛び飛びに配置するようにしてもよい。
先端部分が欠けていないフレネルプリズム12のみを連続的に配置する場合(図20の点線を参照)、例えば、上から3番目のフレネルプリズム12(点線のフレネルプリズム12も含めて上から3番目)の屈折面12aに入射した光線の一部が、その屈折面12aで反射されると、その反射光である不要光は、下側のフレネルプリズム12の反射面12bと屈折面12aで屈折を繰り返しながら伝播され、例えば、上から5番目のフレネルプリズム12の屈折面12aで反射されて観測者が見る方向に出射されることがある。
しかし、この実施の形態8では、フレネルプリズム12を1個おきに間引いているので、上記のような不要光は、上から4番目に配置されている歯欠けのフレネルプリズム12(点線のフレネルプリズム12)には入射されず、そのまま観測者が見ない方向に出射される(図20の例では、左下方向に出射される)。
なお、フレネルプリズム12の先端部分は信号光の光路上にあり、フレネルプリズム12が間引かれていなければ、当該フレネルプリズム12に入射される信号光は、プリズム先端角τが入射角θに対して十分小さい場合、一つ上のフレネルプリズム12に入射されて救済される。したがって、先端部分の削除は、信号光を救済できる範囲で行うようにするとよい。
また、図20では、フレネルプリズム12が1つおきに間引かれているが、前述の信号光の救済ができる範囲であれば、二つおきや三つおき、もしくは、それ以上おきにフレネルプリズム12が間引かれていてもよい。
なお、図20の形状は、プリズムの相似倍率を除いて(周期mが異なることを除いて)、図7や図8の形状に含まれる。
以上で明らかなように、この実施の形態8によれば、先端部分の全部が欠けている歯欠けのフレネルプリズム12と、先端部分が欠けていないフレネルプリズム12を基盤面11aに交互に配置するように構成したので、例えば、屈折面12aを透過せずに反射された光線が不要光として、観測者の視野方向に出射される状況を回避することができる効果を奏する。
実施の形態9.
上記実施の形態7では、先端部分の一部が欠けている歯欠けのフレネルプリズム12と、先端部分が欠けていないフレネルプリズム12を基盤面11aに交互に配置するものについて示したが、図21に示すように、基盤面11aに対するプリズム高がH1(第1の高さ)であるフレネルプリズム12と、プリズム高がH1より低いH2(第2の高さ)であるフレネルプリズム12を基盤面11aに交互に配置するようにしてもよい。
プリズム高H1のフレネルプリズム12のみを連続的に配置する場合(図21の点線を参照)、例えば、上から2番目のフレネルプリズム12の屈折面12aに入射した光線の一部が、その屈折面12aで反射されると、その反射光である不要光は、下側のフレネルプリズム12の反射面12bと屈折面12aで屈折を繰り返しながら伝播され、例えば、上から4番目のフレネルプリズム12の屈折面12aで反射されて観測者が見る方向に出射されることがある。
しかし、この実施の形態9では、プリズム高H1のフレネルプリズム12とプリズム高H2のフレネルプリズム12を基盤面11aに交互に配置するようにしているので、上記のような不要光は、上から3番目に配置されているプリズム高H2のフレネルプリズム12には入射されず、そのまま観測者が見ない方向に出射される(図21の例では、左下方向に出射される)。
以上で明らかなように、この実施の形態9によれば、プリズム高H1のフレネルプリズム12とプリズム高H2のフレネルプリズム12を基盤面11aに交互に配置するように構成しているので、例えば、屈折面12aを透過せずに反射された光線が不要光として、観測者の視野方向に出射される状況を回避することができる効果を奏する。
実施の形態10.
上記実施の形態9では、プリズム高H1のフレネルプリズム12とプリズム高H2のフレネルプリズム12を基盤面11aに交互に配置するものについて示したが、図22に示すように、基盤面11aに対する傾きが相互に異なるフレネルプリズム12を基盤面11aに混在して配置するようにしてもよい。
即ち、信号光と不要光は、図10に示すように、光線の経由する媒質中の光路長が異なり、信号光の光路に比べて、不要光の光路が長いという特徴を有している。
したがって、光路が長ければ長いほど、光線は面のバラツキの影響を受ける。さらに、反射は反射面の角度変化Δθに対し、反射光の方向変化は2×θとなる関係があるので、不要光のバラツキは倍の影響を受ける。この光路長差を利用し、光路長の短い信号光に比べて、光路長の長い不要光の光束を広げることで、信号光の拡散以上に不要光を拡散すれば、表示画像のコントラスト比を向上させることができる。
図22の例では、基盤面11aの法線に対する傾きがφ1のフレネルプリズム12、傾きがφ2のフレネルプリズム12、傾きがφ3のフレネルプリズム12が順番に配置されている。ただし、図22の例では、φ3<φ1<φ2である。
傾きφ1のフレネルプリズム12のみを連続的に配置する場合(図22の点線を参照)、例えば、上から2番目のフレネルプリズム12の屈折面12aに照射された光線の一部が、その屈折面12aで反射されると、その反射光である不要光は、下側のフレネルプリズム12の反射面12bと屈折面12aで屈折を繰り返しながら伝播され、例えば、上から4番目のフレネルプリズム12の屈折面12aで反射されて観測者が見る方向に出射されることがある。
しかし、この実施の形態10では、傾きが相互に異なるフレネルプリズム12を基盤面11aに混在して配置するようにしているので、上記のような不要光は、上から4番目のフレネルプリズム12の屈折面12aで反射されても、観測者が見ない方向に出射させることができる(図22の例では、右上方向に出射される)。なお、基盤面11aに対する傾きφ3が小さいほど、より上の方向に出射させることができる。
以上で明らかなように、この実施の形態10によれば、傾きが相互に異なるフレネルプリズム12を基盤面11aに混在して配置するように構成しているので、例えば、屈折面12aを透過せずに反射された光線が不要光として、観測者の視野方向に出射される状況を回避することができる効果を奏する。
実施の形態11.
上記実施の形態1において、フレネルプリズム12には光路に寄与する有効面部分と、光路に寄与しない無効面部分(例えば、図4の面VP、非入射面12cなど)が存在することを示したが、図23に示すように、光路に寄与しない無効面部分や、反射面12bに光線を吸収する光吸収層13を付加するようにしてもよい。例えば、光吸収部材としては、黒色の染料(VALIFAST BLACK 3810、アジン系含金染料)や、クレヨンなどの材料となる顔料を利用して付加する。
このように、光路に寄与しない無効面部分に光吸収層13を付加した場合、図23に示すように、不要光が屈折面12aに当っても、その屈折面12aの光吸収層13に吸収されて、観測者の見る方向に出射されなくなる。
なお、光が透過する屈折面12aに光吸収層13があると、光強度が減少するが、反射面12bに光吸収層13があっても、反射面12bの全反射は、境界面の屈折率差にのみ依存するため、光吸収の影響がなく、そのため反射面12bに光吸収層13を付加してもよい。因みに、不要光が反射面12bを透過する際には、光吸収層13により光強度が減少するので、ゴースト像の抑制に寄与する。
ここで、光吸収層13の付加方法であるが、例えば、フレネルプリズム12の斜面全体に、光を当てると乾く糊を塗布し、その後、信号光をフレネルプリズム12に照射して、光路に寄与する有効面部分の糊を乾燥させる。
そして、光吸収層13を塗布することにより、糊が乾燥していない無効面部分のみに光吸収層13を定着させるようにする。
その他の光吸収層13の付加方法としては、例えば、フレネルプリズム12の谷間部分に光吸収層13を付加すればよいことから、遮光層の形成はフレネルプリズム端部を光吸収材料中に浸漬し、毛管作用により充填した後、乾燥・硬化して作製してもよい。
また、フレネルプリズム12の入射面部分である屈折面12aのみ光吸収層13が無ければよいことから、フレネルプリズム12の斜面全体に光吸収層13を塗布した後、へら状の治具で斜面をこすり、光吸収層13をふき取るようにしてもよい。
この実施の形態11における光吸収層13を付加する技術は、上記実施の形態1〜10のいずれに適用しても、ゴースト像の抑制効果を高めることができるが、図24は上記実施の形態1(図3)に適用した場合を示している。
図24の例では、非入射面12cに光吸収層13を付加することによって、例えば、基盤11の出射面11bで反射された戻り光や、反射面12bで反射された戻り光などが、非入射面12cの光吸収層13に吸収され、ゴースト像の抑制効果が高められる。
また、図25は上記実施の形態2,3(図7、図8)に適用した場合を示している。
図25の例では、基盤面11aと水平な非入射面12cに光吸収層13を付加することによって、例えば、基盤11の出射面11bで反射された戻り光や、屈折面12aで反射された光線などが、非入射面12cの光吸収層13に吸収され、ゴースト像の抑制効果が高められる。
実施の形態12.
上記実施の形態11では、光路に寄与しない無効面部分に光線を吸収する光吸収層13を付加するものについて示したが、図26に示すように、光路に寄与しない無効面部分(例えば、図4の面VP、非入射面12cなど)に、光線を拡散させる光拡散層14を付加するようにしてもよい。例えば、公知のサンドブラスト法などにより、粗面加工を施すことにより、光拡散層14を付加する。
光路に寄与しない無効面部分に光吸収層13を付加する代わりに、光拡散層14を付加する場合、不要光が光拡散層14で拡散されるため、単位方向当りの光強度が低減され(観測者が見る方向の光強度が低減される)、ゴースト像の抑制効果が高められる。
なお、光路に寄与しない無効面部分に光線を吸収する光吸収層13を付加する技術は、上記実施の形態1〜11のいずれに適用してもよい。
実施の形態13.
上記実施の形態11では、光路に寄与しない無効面部分に光線を吸収する光吸収層13を付加するものについて示したが、図27に示すように、フレネルプリズム12の媒体に光線を吸収する光吸収物質を添加するようにしてもよい。例えば、プラスチックなどの半透明部材を用いて、フレネルプリズム12を形成する。
信号光と不要光は、図10に示すように、光線の経由する媒質中の光路長が異なり、信号光の光路に比べて、不要光の光路が長いという特徴を有している。
したがって、フレネルプリズム12の媒体に光線を吸収する光吸収物質を添加すると、信号光の強度の低減以上に不要光の強度が低減するため、コントラスト比を向上させることが可能となる。
なお、フレネルプリズム12の媒体に光吸収物質を添加する技術は、上記実施の形態1〜12のいずれに適用してもよい。
実施の形態14.
上記実施の形態12では、光路に寄与しない無効面部分に光線を拡散させる光拡散層14を付加するものについて示したが、図28に示すように、フレネルプリズム12の媒体に光線を拡散する光拡散物質を添加するようにしてもよい。拡散材としては、例えば、ポリエチレンテレフタラート(PET)等のポリエステル樹脂系粒子、スチレン系又はアクリル系架橋粒子、あるいは、シリコン樹脂系粒子などを用いてもよい。
信号光と不要光は、図10に示すように、光線の経由する媒質中の光路長が異なり、信号光の光路に比べて、不要光の光路が長いという特徴を有している。
したがって、フレネルプリズム12の媒体に光線を拡散する光拡散物質を添加すると、信号光の拡散以上に不要光が拡散するため、コントラスト比を向上させることが可能となる。
なお、フレネルプリズム12の媒体に光拡散物質を添加する技術は、上記実施の形態1〜12のいずれに適用してもよい。
実施の形態15.
上記実施の形態11では、光路に寄与しない無効面部分に光線を吸収する光吸収層13を付加するものについて示したが、屈折面12a又は出射面11bの少なくとも一方にAR(Anti−Reflection)コーティング処理を施すようにしてもよい。
即ち、光線は入射面と出射面において、フレネル反射の法則を満足するため、各々の面を透過しきれない一部の光線が存在することは上述したが、この反射光線がゴースト像の起源となることから、界面での透過率を向上させることで、信号光の効率が向上して、ゴースト像が低減する。
そこで、この実施の形態15では、屈折面12a、出射面11b、若しくは、その両面に単層又は多層のARコーティング処理を施すことにより、光線の位相を制御して反射光線の量を減らすことで、透過光線を増やし、ゴーストの起源となる不要光を減らすようにしている。
なお、ARコーティング処理は、コーティング溶液の満ちている水槽にスクリーンを浸し、引き上げ速度を制御することで膜厚の制御を行う液漬け式や、真空層で蒸着する方式などで行う。
なお、この実施の形態15におけるARコーティング処理を施す技術は、上記実施の形態1〜14のいずれに適用してもよい。
実施の形態16.
既に上述したように、ゴースト像の出射位置は、経由する光路の光学厚みに比例する。
スクリーン基盤のみの光路においては、スクリーン基盤の厚み、背面にある折り返し平面ミラー4を経由する光路においては、スクリーンと折り返し平面ミラー4の距離に比例する。
少なくとも前者においては、基盤11を極限まで薄く(d→0)すれば、出射位置ずれは2d・tanθに比例するため、出射位置ずれ→0となる。
実際には、スクリーン上に拡大されたライトバルブ(画素)の半分、もしくは、それより薄くすれば、ゴースト像は画素と重なって表示されるため、観測者にはゴースト像とは認識されず、信号として再利用が可能となる。
なお、この実施の形態16における基盤11の厚みを画素の半分以下にする技術は、上記実施の形態1〜15のいずれに適用してもよい。
実施の形態17.
上記実施の形態では、不要光を低減するために工夫しているものについて示している。
具体的には、下記の(a),(b),(c)又は(d)の方策を施すことにより不要光の低減を図っているが、(a)の方策を基本にして、(b),(c),(d)の方策のいずれか、もしくは、全部を組み合わせてもよいことは言うまでもない。
(a)全反射プリズムを相似縮小して、非入射面12cをスクリーン面と平行にする(図29を参照)。
(b)非入射面12cを粗面にする。または、非入射面12cに光拡散機能を付加する。
(c)プリズム先端角τをスクリーン面上の位置に応じて変える。
(d)プリズムの先端部分の一部を欠けさせる。
最初に、組み合わせの基本となる(a)の方策について言及する。
図30は光線の入射角θと全反射プリズムの入射面の角度ξ(フレネルプリズム12の屈折面12bの角度ξ)との関係を示す説明図である。
即ち、図30は出射角度がθrefl=0(スクリーン法線方向)、空気の屈折率がn=1.0、媒質の屈折率がn=1.55の場合の計算例であり、横軸に入射角θ、縦軸に入射面の角度ξ(=π−τ−α)を表している。
全反射フレネルプリズムの自由度は、式(2)から明らかなように、プリズム先端角τのみであり、図30にはプリズム先端角がτ=38〜65度の例を示している。
図30より、入射面の角度ξと入射角θは、プリズム先端角τと関係なく、比例関係にあることがわかる。つまり、入射面の角度ξはプリズム先端角τが一定の条件下では、入射角θの小さい中心に近い側(図2の例では、フレネル光学素子2の中央下側)から、入射角θの大きい遠い側(図2の例では、フレネル光学素子2の四隅側)に向かって大きくなることがわかる。
なお、フレネルプリズム12の製法の都合上、フレネルプリズム12が反り返った形になると、上記の金型に紫外線などに代表される光硬化樹脂等を流し込み、紫外線照射等で固めた樹脂を抜き取ることができない。
例えば、全反射フレネルプリズムの場合、入射面の角度ξがπ/2より大きくなると、金型に流し込んだ光硬化樹脂を型から離型するのが難しくなる。
一般に全反射プリズムでは、入射面ξの角度が入射角θに比例することから(図30を参照)、入射角θの最大値から限界プリズム頂角τmaxが求まる。
下記の式(3)はこの条件を示している。現実的にはプリズムが離型できる条件として、式(3)を満足する必要がある。
τmax(θ,θrefl
≧[sin−1((n/n)sinrefl)+cos−1((n/n)cosθ)]/2 (3)
図31は光線の入射角θと限界プリズム頂角τmaxとの関係を示す説明図である。
即ち、図31は出射角度がθrefl=0(スクリーン法線方向)±5度、空気の屈折率がn=1.0、媒質の屈折率がn=1.55の場合の計算例であり、横軸に入射角θ、縦軸に限界プリズム頂角τmaxを表している。
例えば、入射角θが最大60度の場合、出射角度θrefl=0度で限界プリズム頂角τmax=35.6度、同様の条件で70度の場合、限界プリズム頂角τmax=38.6度になる。
図32は光線の入射角θと全反射プリズムの効率との関係を示す説明図である。
即ち、図32は出射角度がθrefl=0(スクリーン法線方向)、空気の屈折率がn=1.0、媒質の屈折率がn=1.55の場合の計算例であり、横軸に入射角θ、縦軸に全反射フレネルプリズムの理想的な効率(入射光エネルギーに対するスクリーン法線方向に出射する光エネルギー)を表している。
この場合、全反射フレネルプリズムの自由度は、式(2)から明らかなように、プリズム先端角τのみであり、図32ではプリズム先端角がτ=38〜65度の例を示している。
入射角θが小さい位置に配置されているフレネルプリズム12では、プリズム先端角τが小さい程、効率が良いことがわかる。
また、プリズム先端角τ=38度の例では、入射角θ=68度以上でプリズムが離型できる条件である式(3)を満足しない。
即ち、製法上の難度が高く、現実的には作り難いため、ここではあえて効率を0と表現している。
つまり、逆に、入射角θが大きい位置に配置されているフレネルプリズム12ではプリズム先端角τが大きい程、効率が良いことがわかる。
以上より、全反射フレネルプリズムは、全反射フレネルプリズムの効率(図32)とプリズムが離型できる条件である式(3)を満足する範囲で、プリズム先端角τの自由度を有する。プリズムの先端角τは使用する入射角θに応じて38〜65度の範囲で任意に選択することができる。
入射角使用範囲が例えば45度<θ<60度であれば、プリズム先端角τ=38度、60度<θ<80度であれば、プリズム先端角τ=42〜65度の任意の値を選択することができる。
通常、プリズム先端角τを一定のまま加工することが多いが、上記の範囲内で任意の入射角θでプリズム先端角τを変えてもよい。
例えば、スクリーン下部とスクリーン上部でプリズム先端角τを変えたり、スクリーン中間部のみプリズム先端角τを変えたりしてもよい。
全反射プリズムは入射角θが大きくなると、そのプリズムの先端部分のみ使用する。そこで、プリズムを使用する領域のみ作ることを考える。
図33は光線の入射角θと全反射プリズムの相似縮小比率lとの関係を示す説明図である。
即ち、図33は出射角度がθrefl=0(スクリーン法線方向)、空気の屈折率がn=1.0、媒質の屈折率がn=1.55の場合の計算例であり、横軸に入射角θ、縦軸に全反射プリズムの相似縮小比率lを表している。ただし、lの意味であるが、プリズムをすべて作る(相似縮小しない)場合は、l=1.0、半分だけ作る場合は、l=0.5となる。図33ではプリズム先端角がτ=38〜65度の例を示している。
図33より、プリズム先端角がτ=45度、入射角がθ=70度では、全反射プリズムの相似縮小比率がl=0.4となる。
入射角θが小さい位置の全反射プリズムの相似縮小比率lが大きく、入射角θが大きい位置の全反射プリズムの相似縮小比率lが小さくなる。
つまり、全反射プリズムの相似縮小比率lは、プリズム先端角τが一定の条件下では、入射角θの小さい中心に近い側(図2の例では、フレネル光学素子2の中央下側)から、入射角θの大きい遠い側(図2の例では、フレネル光学素子2の四隅側)に向かって小さくなることがわかる。
実際には製法上の都合により設計値通りのものはできないため、加工公差が必要となる。
そこで、プリズムを使用する領域に加えて加工の公差分のマージンを含めて、全反射プリズムを大きく作ることを考える。
図34は光線の入射角θと全反射プリズムの相似縮小比率lとの関係を示す説明図である。
即ち、図34は出射角度がθrefl=0(スクリーン法線方向)、空気の屈折率がn=1.0、媒質の屈折率がn=1.55、プリズム先端角がτ=45度の場合の計算例であり、横軸に入射角θ、縦軸に全反射プリズムの相似縮小比率lを表している。
また、Ex.0はマージン無し、Ex.1はマージン小、Ex.2はマージン大を表している。
実際には、入射角θがおよそ75度で、上記の全反射フレネルプリズムを試作しており、具体的には、プリズムの周期(ピッチm)を112μmと156μmの二種類で試作している。
プリズムの実際の高さはプリズムのピッチに比例するため、ピッチで規格化した値(全反射プリズム比率l)で示している。今回はl=1.0〜0.2の範囲で試作している。
ここで、全反射プリズムは、スクリーン位置で入射角θが異なることから、各位置でプリズムの角度、全反射プリズム比率が異なる。
測定は投写光学系と全反射フレネルプリズムとレンチキュラーレンズスクリーンを用いて、目視と輝度計で行っている。図35はその結果を示している。
相似縮小しない(l=1.0)公知の全反射フレネルプリズムでは、法線方向からの観測で、黒背景に対する白窓表示において、像がスクリーンの厚みの約2倍離れた位置に不要光が発生している(図10の不要光OUT2に相当)。
マージン無し(Ex.0)では、全反射プリズムを使用する領域が十分作られていなかったため、全反射フレネルプリズムとしての機能が不十分となり、その結果として、スクリーン法線方向からの観測で、全白表示において白黒の縞が見られている。
また、スクリーン法線方向からの観測で、黒背景に対する白窓表示において、入射光の一部がそのまま上に付き抜けて観測される不要光が発生している(図10の不要光OUT2とは異なる不具合)。
マージン小(Ex.1)、マージン大(Ex.2)においては、上記の不具合は観測できず、いずれも良好な結果が得られている。
なお、全反射プリズムの相似縮小比率lの関係式は、全反射フレネルプリズムの周期mで規格化しているため、プリズムの周期(ピッチm)には依存しない。
実際に、ピッチmは、m=112μmと、m=156μmで試作しているが、いずれも良好な結果が得られている。
特に言及していないが、フレネルプリズムのピッチmを画面上の画素よりも細かくすれば、解像度の高い画像を表示することができるのは言うまでもない。
特に、図10の不要光OUT2に注目して測定しており(図35の黒背景、白表示に相当)、図36及び図37は入射角がθ=75度の結果を示している。
図36はスクリーン法線からの観測結果であり、図37は斜め下約60度からの観測結果である。
従来例の全反射フレネルプリズムでは、フレネル光学素子2と基盤11の総厚みの約2倍(図10、距離A)ほど離れた位置に不要光(図10のOUT2)が、コントラスト比で155:1ほどの強さで見られるが、全反射プリズムを小さく作る(Ex.0〜2)ことにより、図11の不要光OUT4のように光路が変わり、正面から不要光が認識できなくなる(>673:1)。
光路が変わったため、斜め下方向から見ると不要光が認識できるが、スクリーン正面より斜め下60度方向には、通常、観測者がいないため問題とならない。
以上で基本の(a)の方策について説明したので、以下、(a)〜(d)の方策の組み合わせについて言及する。
図38は(a)と(c)の方策を組み合わせた例であり、スクリーンの位置、つまり入射角θに応じてプリズム先端角τを変えつつ、全反射プリズムを相似縮小したものである。
例えば、出射角度がθrefl=0(スクリーン法線方向)、空気の屈折率がn=1.0、媒質の屈折率がn=1.55、入射角がθ=70度である場合、プリズム先端角がτ=45度のとき、図10の不要光OUT2が発生するが、プリズム先端角をτ=53度に変えることで、図10の不要光OUT2が図18の不要光OUT6のように光路が変化する。
一方で、全反射プリズムの相似縮小比率lを小さくする(約l=0.4)と、図10の不要光OUT2が図11の不要光OUT4のように光路が変化する。
例えば、製法上の都合により相似縮小比率lを不要光の完全除去に至るまで十分に小さくできない場合、このような組み合わせで正面方向に出る不要光OUT2の低減を行うことが可能となる。
図39は(a)と(c)の方策を組み合わせた例であり、スクリーンの位置、つまり入射角θに応じてプリズム先端角τを変えつつ、全反射プリズムを相似縮小したものである。
ただし、出射角度をθrefl=0(スクリーン法線方向)としているが、目的に応じてスクリーン中心方向に若干傾けてもよい。例えば、光軸に近い側で出射角度θrefl>0、中心付近でθrefl=0、遠い側で出射角度θrefl<0としてもよい。
図39では、光線の出射角度θreflをスクリーン上部で略平行下向き、スクリーン下部で略平行上向きに設定している。
図40は(a)と(d)の方策を組み合わせた例であり、非入射面12cに粗面が施され、もしくは、非入射面12cが光拡散機能を備えているものである。
全反射プリズムを相似縮小すると、図10の不要光OUT2が図11の不要光OUT4のように観測者の見ない方向へ光路が変化する。
さらに、この不要光OUT4は、フレネル光学素子2と基盤11の総厚みAに比例して拡散して広がるため、不要光をより目立ち難くすることが可能となる。
実際に、出射角度がθrefl=0(スクリーン法線方向)、空気の屈折率がn=1.0、媒質の屈折率がn=1.53、プリズム先端角がτ=45度、ピッチがm=112μmの場合で、非入射面12cに粗面を施したものを試作している。これをEx.3として、その観測結果を図36及び図37に示している。
全反射プリズムを小さく作っているため、光路が下向きに変化して不要光が出ることから、スクリーン法線方向からは不要光が見えなくなっているが(図36を参照)、斜め下方向から見ると不要光が認識できる(図37を参照)。
スクリーン正面より斜め下60度方向には、通常、観測者がいないため問題にはならないが、非入射面を粗面としたものでは(Ex.3)では、不要光が拡散して広がるため、斜め下方向から見ても不要光が認識できなくなっている。
図41は(a)と(d)の方策を組み合わせた例であり、例えば、出射角度がθrefl=0(スクリーン法線方向)、空気の屈折率がn=1.0、媒質の屈折率がn=1.55、入射角がθ=70度、プリズム先端角がτ=45度の場合において、全反射プリズムの相似縮小比率lに余裕を持たせて、少し大きめ(約l=0.5)に設定しておき、余裕の分だけプリズムの先端部分を約l=0.1で与えられる形状だけ削除することで不要光を低減することが可能となる。
先端カットによる信号光の効率は、先端カット部分12eの角度に依存し、入射光線から見た先端カット部分12eの見込む面積分だけ低減する。
そこで、先端カットは、先端カット部分12eの角度が入射角θと略平行になるようにするとなおよい。
実際には、先端カット部分12eは、金型を加工するバイトの先端をカットすると簡単にできるので、カット量はスクリーン上部及び下部で一定であることが多い。
また、意図的に先端部をカットしなくても、先端部分がこすれて摩耗したり、製法の都合上、金型に樹脂を流し込み成形する段階で丸まったりすることが多い。
実際に、出射角度がθrefl=0(スクリーン法線方向)、空気の屈折率がn=1.0、媒質の屈折率がn=1.53、プリズム先端角がτ=45度、ピッチがm=156μmの場合で、全反射プリズムの先端をカットしたものを試作している。
その測定は投写光学系と全反射フレネルプリズムとレンチキュラーレンズスクリーンを用いて、目視と輝度計で行っている。図42はその観測結果を示している。
全反射プリズム比率のマージン小(Ex.1)において、全反射プリズム比率でl=0.02(=2%)だけ、全反射プリズムの先端を削除しているが、信号光への悪影響は見られず、良好な結果が得られている。
図43は(a)と(c)と(d)の方策を組み合わせた例であり、スクリーンの位置、つまり、入射角θに応じてプリズム先端角τを変えつつ、先端部分をカットしたものである。
図44は(a)と(b)と(c)の方策を組み合わせた例であり、スクリーンの位置、つまり、入射角θに応じてプリズム先端角τを変えつつ、非入射面12cに粗面を施している。
図45は(a)と(b)と(c)と(d)の方策を組み合わせた例であり、スクリーンの位置、つまり、入射角θに応じてプリズム先端角τを変えつつ、先端部分をカットし、非入射面12cに粗面を施している。
図39、図43〜図45において、小さい入射角θのスクリーン下部では、全反射プリズム比率lが相対的に大きく、反対に大きい入射角θのスクリーン上部では、全反射プリズム比率lが相対的に小さくなっている(l<l)。
なお、入射面の角度ξは、出射角度がθrefl=0(スクリーン法線方向)で一定、かつ、プリズム先端角τが一定の条件下では、小さい入射角θの中心に近い側から、大きい入射角θの遠い側に向かって大きくなる(ξ>ξ)。
図39、図43〜図45の途中の光路を折り返し平面ミラー4で折り返してもよい。
図46は図45を折り返したものを示している。
このように、光路を折り曲げることで奥行きを小さくすることが可能となる。
図46では、スクリーン面に略平行に折り返し平面ミラー4を配置しているが、斜めに折り返してもよい。
図47は斜めに折り返したものを示している。
この明細書では、フレネルプリズム2を同心円状に配置しているものについて示しているが、フレネルプリズム2を線状に配置していてもよい。
また、同心円の中心は画面の外に配置されていてもよい。
全反射フレネルプリズムの観測面側には、全反射フレネルプリズムを透過した信号光の配光を制御、具体的には、観測者の見やすいように光を広げる機能を持つ結像表示板3(例えば、レンチキュラーレンズスクリーン)を備えることが望ましい。
レンチキュラーレンズスクリーンは配光を制御する光学素子であり、拡散板、ビーズスクリーン、断面が半円、半楕円、もしくは2次以上の非球面形状を備えた一次元方向に長いレンズ、縦横で曲率の異なる断面が半円、半楕円、もしくは2次以上の非球面形状を備えた二次元に配置されたレンズ、もしくは断面が台形状の反射型光学素子が複数配置されたものでよい。
また、レンチキュラーレンズスクリーンは、例えば、光源側にレンズ、観測者側に拡散板といった、上記光学要素の組み合わせで構成されていてもよい。
また、外光の影響を低減するために、上記光学要素に加えて、光吸収層を非レンズ部に形成してもよい。また、同目的のため表面に光の反射を低減させるAnti−Reflection層を備えていてもよい。
また、見た目のぎらつきを押さえるためのアンチグレア層や、静電気によるほこりの付着を防止するための帯電防止層、表面を保護するためのハードコート層を設けてもよい。
なお、全反射フレネルレンズ及びレンチキュラーレンズスクリーンを分かり易くするため、各々独立の構成を示しているが、これらを一つの要素として構成してもよい。
図48には結像表示板3として、光源側にレンズ3aを設け、非レンズ部に光吸収層3bを形成し、観測者側に拡散板3cを設けた構成を示している。本構成において、破線で示す不要光は最終的に光吸収層3bで吸収されるため、観測者には見えない。つまり、不要光のない良質な画像が表示できると言える。
図49では、結像表示板3として、断面が台形状の反射型光学素子3d、光吸収部3e及び拡散板3fを設けている。本構成も破線で示した不要光を効率よく除去することができる。
これに加えて、筐体、保持機構、スクリーン補強材、空調、光源、照明光学系、投射光学系、光路折り曲げミラー、光学系保持・調整機構、スピーカ、テレビ台、リモコン、制御回路、電源、色補正、幾何学補正のいずれかを構成要素に持っていてもよい。
実施の形態18.
図50はこの発明の実施の形態18による投写型表示装置を示す斜視図であり、図において、光源であるランプ21は光を出射する。光学系である光学部22はランプ21より出射された光を均一にする照明光学系と、その照明光学系により均一にされた光を着色するカラーホイールと、そのカラーホイールにより着色された光を強度変調して画像を生成するライトバルブと、そのライトバルブにより生成された画像を反射部23に投影するレンズとが一体化されている。反射部23は光学部22により投影された画像を反射する。
電気回路24はシステムの制御情報や画像情報にしたがって光学部22のライトバルブ等を制御するとともに、音声信号をスピーカに出力するなどの処理を実施する。
なお、ランプ21、光学部22、反射部23及び電気回路24から発光体であるプロジェクタ1が構成されている。
本構成では単板式ライトバルブで構成しているが、3板式ライトバルブを使用する場合は、カラーホイールの代わりに色分離合成光学系を用いて構成すればよい。また、本構成では光源にランプ21を用いているが、ランプ21の代わりにLEDやレーザを光源として用いてもよい。
反射ミラー25は反射部23により反射された画像(光線)をスクリーン26の方向に反射させる。
スクリーン26はフレネル光学素子2(上記実施の形態1〜17で示している何れかのフレネル光学素子)と結像表示板3から構成されている。ただし、スクリーン26は平面度や保護の強化のため、補強板で補強されていることがある。
筐体27はスクリーン26を固定するとともに、光学部22などからなるプロジェクタ1を収納する。ただし、筐体27はスクリーン26を平面に固定しなければ画像がひずむため、精度の高い高剛性の部材で成型されている。
また、筐体27の内部はランプ21、光学部22及び反射部23から漏れ出す光(迷光)を吸収するべく、光吸収材(黒色塗料など)が施されている。特に、迷光の拡散を防止するにはプロジェクタ1の全体を遮光するカバーを施すことが大きな効果を奏する。
光学プレート28は光学部22及び反射部23がスクリーン26の下部の略中央部分に位置するように載置し、ランプ21がスクリーン26の下部の右端に位置するように載置している。
調整機構29はスクリーン26と光学プレート28の相対的な位置関係や傾き関係を調整する。
投写型表示装置の薄型化を図るには、光学系の光路設計以外に、電気回路24やランプ21などの配置を適切にする必要がある。
この実施の形態18では、図50に示すように、スクリーン26の下部の中心付近に反射部23を配置している。
これにより、光学部22により投影された画像が、中心付近に位置している反射部23で反射され、その画像が反射ミラー25に反射されて、上方のスクリーン26の方向に向かう光路をとるため、スクリーン26の下部の左端や右端には光路が存在しない。よって、比較的まとまった空間がスクリーン26の下部の左右端付近に存在する。
そこで、この実施の形態18では、スクリーン26の正面から見て左端に電気回路24を配置するとともに、右端にランプ21を配置することにより、装置の薄型化を図っている。
また、ひずみやボケのない画像を表示するには、ランプ21、光学部22及び反射部23の位置を極めて正確に設置する必要があり、ランプ21、光学部22及び反射部23を光学プレート28の上に固着している。
この光学プレート28には、位置及び傾きを調整する調整機構29が付加されており、調整機構29が光学プレート28とスクリーン26の相対的な位置関係や傾き関係を調整する。
調整機構29としては、例えば、図51に示すような6軸調整機構からなり、光学プレート28のX軸及びY軸方向の移動、光学プレート28の回転、光学プレート28の高さを調整することができる。
ここで、薄型の投写型表示装置を構成するため、図52に示すように、光学部22及び反射部23から出射された光がスクリーン26に対して斜めに急角度で入射するようにしている。
図52において、実線は所望の画像を得るために、調整機構29が光学プレート28の位置や傾きを調整した後の状態を示し、破線は調整前の状態を示している。
破線の矢印の示す光路の通り、光学プレート28の位置や傾きがわずかに調整されていない場合でも、スクリーン26への入射角がきついスクリーン26の上端部では大きな位置ずれが発生する。このため、薄型の投写型表示装置では、高精度の調整機構29が必要になる。
以上で明らかなように、この実施の形態18によれば、スクリーン26の下部の略中央部分に光学部22及び反射部23を配置し、スクリーン26の下部の右端又は左端にランプ21及び電気回路24を配置するように構成したので、投写型表示装置の薄型化を図ることができる効果を奏する。
また、この実施の形態18によれば、スクリーン26に対する光学プレート28の相対的な位置及び角度を調整する調整機構29を備えるように構成したので、ひずみやボケのない画像を表示することができる効果を奏する。
実施の形態19.
この実施の形態19では、スクリーン26の平面度を確保するために工夫している点について説明する。
図53はスクリーン26のたわみと、それに伴う画像の変化を説明する説明図である。図において、26’はたわんだスクリーンを示している。
図53の実線は、たわみのない平面度の高いスクリーン26の場合の光路を示し、図53の破線は、たわんだスクリーン26’の場合の光路を示している。
図から明らかなように、たわんだスクリーン26’の場合、観測者は正規の位置と異なる位置に絵(この場合、図中の黒丸)が見えることになる。
図54はたわんだスクリーン26’で生じる画像のひずみの状態を理解し易くするため、たわんだスクリーン26’に格子模様を表示させた状態を示している。
仮にスクリーン26’が1mmたわみ、スクリーン26’への入射角が70度である場合、画面上のずれは1mm×tan(70度)=2.74mmとなり、たわみに対する感度が約3倍になる。
例えば、1画素が1mmに投影されているディスプレイの場合、たわみの影響を1画素以内に抑えるには、感度が3倍の場合、0.33mm程度にたわみを押さえる必要がある。大画面のたわみを上記の範囲に抑えるには、ガラスなどの平面度の高い高剛性の基盤11にフレネルプリズム12を配置すればよい。あるいは、ガラス板又は合成樹脂板を補強材として、図55に示すように、スクリーン26のフレネルプリズム12に沿わせるようにすれば、平面度を確保することができる。
実施の形態20.
図56はこの発明の実施の形態20による投写型表示装置を示す斜視図であり、図において、図50と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
換気ファン31は吸気口32から筐体27の内部に空気を吸い込む一方、筐体27の内部の空気を排気する。吸気口32には防塵フィルタが取り付けられている。なお、換気ファン31及び吸気口32から換気手段が構成されている。
筐体27の内部の温度変化や湿度変化が激しい場合、スクリーン26も温度変化や湿度変化に伴って伸縮する量が大きくなる。
温度又は湿度が高くなり、スクリーン26の伸びが著しくなると、筐体27が高精度や高剛性であってもスクリーン26のたわみが生じ、先に述べた画像のひずみが発生してしまう。
そこで、この実施の形態20では、筐体27の内部の温度変化や湿度変化を抑制するため、換気ファン31が筐体27の内部を換気するようにしている。
なお、更に高い乾燥状態にするため、乾燥材を挿入してもよい。輸送時のように極度に変化する環境に対しては、輸送用外箱と筐体間に乾燥材を入れると、輸送後の開梱時のたわみ残留を抑制することができる。
または、輸送中に外気と触れないように、気密のとれる密封カバーを筐体に施すことで、乾燥材を挿入することなく、たわみを抑制することができる。
また、換気ファン31が吸気口32から空気を吸い込む際、細かいほこりを吸い込まないようにするために、吸気口32には防塵フィルタを取り付けている。
これにより、スクリーン26へのほこりの付着を防ぎ、ごみの付着による画像の欠落を防止することができる。
上述したように、スクリーン26への入射角がきついため、小さいほこりでもスクリーン26に付着すると大きく拡大される。
図57はごみの影響を示す説明図であり、33はスクリーン26に垂直に入射する光束を示し、34はスクリーン26に急角度で入射する光束を示している。
また、33sは光束33がスクリーン26に付着したごみ35で生じる影を示し、34sは光束34がスクリーン26に付着したごみ35で生じる影を示している。
図から明らかなように、影34sは影33sより数倍大きくなる。このように、薄型の投写型表示装置では、スクリーン26にごみが付着しないよう、防塵機能を持たせることは重要であるといえる。
実施の形態21.
上記実施の形態18では、筐体27が精度の高い高剛性の部材で成型し、スクリーン26が筐体27に取り付けられているものについて示したが、図58に示すように、スクリーン26が内部応力を有する部材41を介して筐体27に取り付けられていてもよい。
このように、内部応力を有する部材41を介して、スクリーン26を筐体27に取り付ける場合、スクリーン26の前面にテンションを与えて、たわみを抑制することができる。
テンション機構として、スクリーン26の端に固着した部材41に応力を与えながら、スクリーン26を筐体27に固着する方法がある。
また、部材41として、ゴムなどの弾性体を用いることにより、テンションを与えることができる。
テンション機構を用いる際には、スクリーン26が単体で剛体である必要がないため、スクリーン26を薄いシート状に構成することも可能になる。
実施の形態22.
上記実施の形態18では、光学部22及び反射部23が光学プレート28に載置されているものについて示したが、図59に示すように、光学部22の隣にリモコンの受光素子42を配置するようにしてもよい。
即ち、光学部22により投影された画像(光線)は、図の破線が示すように、反射部23で反射されたのち、反射ミラー25に反射されてスクリーン26に至る。
これにより、観測者はスクリーン26に到達した画像(光線)を見ることができるが、観測者の持つリモコンから発せられる光(赤外線)をスクリーン26の方向に向けると、図の実線が示すように、観測者に到達した光路とまったく逆の光路をたどる。
このため、光学部22の付近にリモコンの受光素子42を設置すれば、高感度でリモコンの発する光を受光できる。
実施の形態23.
図60はこの発明の実施の形態23による投写型表示装置の内部回路を示す構成図であり、図において、図50と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
電気回路24のRF回路50はアンテナにより受信された電波から音声信号とビデオ信号を抽出する。
電気回路24の音声信号処理部51はRF回路50により抽出された音声信号に対する公知の音声信号処理を実施し、スピーカ52から音声を出力させる。
電気回路24のビデオ信号処理部53はRF回路50により抽出されたビデオ信号に対する公知のビデオ信号処理を実施する。ただし、ビデオ信号処理部53はスクリーン26(結像表示板3)の結像面のひずみを補正する幾何学的補正回路(幾何学的補正手段)や、その結像面の色を補正する色補正回路(色補正手段)を備えている。
ランプ制御部54はビデオ信号処理部53の指示の下、ランプ21から出射される光を制御する。
カラー制御部55はビデオ信号処理部53における色補正回路の指示の下、光学部22のカラーホイールを制御する。ただし、3板式ライトバルブで構成した装置では、色制御が各ライトバルブにより行われるためカラーホイールを必要としない。
ライトバルブ制御部56はビデオ信号処理部53における幾何学的補正回路の指示の下、光学部22のライトバルブを制御する。
次に動作について説明する。
アンテナ又は外部から入力された電波はRF回路50に出力され、RF回路50が当該電波から音声信号とビデオ信号を抽出する。
音声信号処理部51は、RF回路50により抽出された音声信号に対する公知の音声信号処理を実施する。
これにより、スピーカ52から音声が出力され、音声が観測者の耳に到達する。
ビデオ信号処理部53は、RF回路50により抽出されたビデオ信号に対する公知のビデオ信号処理を実施して、ランプ制御部54、カラー制御部55及びライトバルブ制御部56を制御する。
ランプ制御部54は、ビデオ信号処理部53の指示の下、ランプ21から出射される光を制御する。
ランプ21から出射された光は、光学部22の照明光学系により均一化されたのち、カラー制御部55の指示の下、カラーホイールにより必要に応じて着色される。ただし、三板式ライトバルブが用いられている場合、カラーホイールの代わりに色分離光学系が用いられる。
また、カラーホイールにより着色された光は、ライトバルブ制御部56の指示の下、ライトバルブにより強度変調されて画像が生成される。
ライトバルブにより生成された画像は、レンズにより反射部23に投影される。
反射部23は、光学部22から画像の投影を受けると、その画像を反射する。
反射ミラー25は、反射部23により反射された画像(光線)をスクリーン26の方向に反射させる。
スクリーン26は、フレネル光学素子2と結像表示板3から構成されているので、フレネル光学素子2が反射ミラー25から反射された光線を法線方向に曲げて、その光線を結像表示板3に結像する。
これにより、観測者の目に画像が到達する。
ただし、スクリーン26には、僅かな色づきや光の透過効率分布などがあるため、カラー制御部55及びライトバルブ制御部56が、ビデオ信号処理部53内の色補正回路の指示の下、規格に適合するように適切に色補正を実施して、適切な色で均一に表示できるようにしている。
なお、設置場所によっては、明るい場所、暗い場所、色のついた照明のある場所など、様々な条件が想定されるため、リモコン又は操作ボタンによって補正の度合いを調節することができれば、様々な環境に対応できる適応性の高い装置を実現することができる。
また、厳しい温度・湿度環境では、スクリーン26のたるみも生じる可能性があり、この場合は、ライトバブルブ制御部56が、ビデオ信号処理部53内の幾何学的補正回路の指示の下、電気的に画像のひずみを補正するようにしている。
なお、上記の色補正や幾何学的補正は、例えば、下記の文献に開示されている公知の補正方法を使用すればよく、ここでは、補正方法の具体的な内容は省略する。
・色補正の補正方法 → 国際公開99/55074
・幾何学的補正の補正方法 → 特開2004−153322号公報
以上で明らかなように、この実施の形態23によれば、スクリーン26の結像面のひずみを補正する幾何学的補正回路を備えるように構成したので、スクリーン26の結像面のひずみを解消することができる効果を奏する。
また、この実施の形態23によれば、スクリーン26の結像面の色を補正する色補正回路を備えるように構成したので、均一の色表示を実現することができる効果を奏する。
実施の形態24.
上記実施の形態18では、スクリーン26に対する光学プレート28の相対的な位置及び角度を調整する調整機構29を備えているものについて示したが、図61及び図62に示すように、スクリーン26を固定している筐体27の角度を調整する調整機構(電動あおり機構61、電動回転機構62)を備えるようにしてもよい。
図61及び図62に示すように、ディスプレイの台60に電動あおり機構61及び電動回転機構62を設けると、視野特性を最大限に活用することができる。
即ち、通常、ディスプレイの明るさは、スクリーン26の法線方向が最も明るいように設計されている。このため、法線方向から外れた位置で視聴する場合は、明るさの落ちた状態で視聴することになる。特に、ディスプレイの上下方向の光の出射角度に対する光の出射強度分布(以後指向性分布)は、左右方向の指向性分布より狭く設定されるのが一般的である。
この実施の形態24では、電動あおり機構61が設けられているので、電動あおり機構61を用いてあおり調節を実施することにより、法線方向から外れた位置で視聴する場合でも、画面の明るさが確保された画像を見ることができるようになる。
特に、リモコンの信号を受けて、電動あおり機構61や電動回転機構62が動作する構成では、観測者の利便性が格段に向上する。
上記実施の形態18〜24では、反射ミラー25が設けられている薄型の投写型表示装置について説明したが、図63及び図64に示すように、反射ミラー25が設けられていない薄型の投写型表示装置についても同様に適用することができる。
また、上記実施の形態18〜24では、光学プレート28に反射部23が設置されているものについて示したが、反射部23が筐体27に固着されていてもよい。同様に、図63の反射部23も筐体27に固着されていてもよい。

Claims (9)

  1. 発光体から照射される光線を屈折させる屈折面と、上記屈折面で屈折された光線を基盤面の略法線方向に向けて反射させる反射面とを有するフレネルプリズムが基盤面の発光体側に鋸歯状に複数配置されたフレネル光学素子において、上記フレネルプリズムの屈折面のうち、他のフレネルプリズムに遮断されて上記発光体から光線が直接照射されない部分の全部もしくは一部と、隣接する上記反射面のうち上記屈折面で屈折された光線に直接照射されない部分の全部もしくは一部を連結した非入射面を設けると共に、各フレネルプリズムへの上記光線の入射角度が大きいほど、上記フレネルプリズムの反射面を一辺とする断面形状の相似比率が小さくなるように形成したことを特徴とするフレネル光学素子。
  2. 複数のフレネルプリズムのそれぞれは、屈折面と反射面が交わって成る先端部分の一部が入射光線と略平行に欠けていることを特徴とする請求項1記載のフレネル光学素子。
  3. 先端部分の一部が、フレネルプリズムの反射面を一辺とする断面形状の相似比率で0から0.1の範囲で欠けていることを特徴とする請求項2記載のフレネル光学素子。
  4. フレネルプリズムが同心円状に配置されていることを特徴とする請求項2記載のフレネル光学素子。
  5. 非入射面が複数のフレネルプリズムが配置されている基盤面と略平行に形成されていることを特徴とする請求項2記載のフレネル光学素子。
  6. フレネルプリズムの屈折面、または、反射面で反射された光線を出射するフレネルプリズムの出射面の少なくとも一方がARコーティング処理を施されていることを特徴とする請求項2記載のフレネル光学素子。
  7. フレネルプリズムの反射面を一辺とする断面形状の相似比率が0.1以上1以下であることを特徴とする請求項2記載のフレネル光学素子。
  8. フレネルプリズムのプリズム先端角が38度以上65度以下の範囲であることを特徴とする請求項2記載のフレネル光学素子。
  9. 光線を照射する発光体と、上記発光体から照射される光線を屈折させる屈折面を有するとともに、その屈折面で屈折された光線を基盤面の略法線方向に向けて反射させる反射面とを有するフレネルプリズムが基盤面の発光体側に鋸歯状に複数配置されたフレネル光学素子と、上記フレネルプリズムの反射面で反射された光線を結像する結像手段とを備えた投写型表示装置において、上記フレネルプリズムの屈折面のうち、他のフレネルプリズムに遮断されて上記発光体から光線が直接照射されない部分の全部もしくは一部と、隣接する上記反射面のうち上記屈折面で屈折された光線に直接照射されない部分の全部もしくは一部を連結した非入射面を設けると共に、各フレネルプリズムへの上記光線の入射角度が大きいほど、上記フレネルプリズムの反射面を一辺とする断面形状の相似比率が小さくなるように形成したフレネル光学素子を用いることを特徴とする投写型表示装置。
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