JP2010248305A - 固形描画材およびそれを用いた描画方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ゲル形成剤と溶媒とでゲル状態の賦形材を形成し、描画する際にチクソトロピック現象が発現すること等により、該マイクロカプセルを破壊することなく低い描画圧で描画が可能なマイクロカプセルを含有する固形描画材およびそれを用いた描画方法。
【選択図】 なし
Description
すなわち、本発明は、
「1.少なくともマイクロカプセルとゲル形成剤と溶媒からなる固形描画材であって、少なくとも該ゲル形成剤と溶媒とでゲル状態の賦形材を形成し、前記マイクロカプセルが、前記賦形材中に分散され、かつ描画時の描画圧により破壊されることのない強度を有することを特徴とする固形描画材。
2.前記マイクロカプセルが、描画後、描画する際の描画圧より高い任意の圧力により破壊可能であることを特徴とする、第1項に記載の固形描画材。
3.ゲル形成剤が水性ゲル形成剤であり、溶媒が水であることを特徴とする、第1項または第2項のいずれかに記載の固形描画材。
4.マイクロカプセルとゲル形成剤と溶媒を含む固形描画材を用いた描画方法であって、少なくとも該ゲル形成剤と溶媒とでゲル状態の賦形材を形成し、該賦形材中にマイクロカプセルを分散した固形描画材を用いて描画する際に、固形描画材がチクソトロピック現象を発現することにより、前記マイクロカプセルが破壊を起こさずに描画可能となるよう、賦形材のゲル強度とマイクロカプセル強度を制御することを特徴とする、固形描画材を用いた描画方法。」に関する。
(マイクロカプセルの製造)
実施例1
製造例1で製造したマイクロカプセル 6質量部
パルミチン酸ナトリウム(ゲル形成剤) 20質量部
グリセリン(保湿剤) 23質量部
イオン交換水(溶媒) 37質量部
上記成分を85℃にて加熱混合し、得られたゾル状の液状物を内径8mmの型に流し込んだ後、室温まで冷却し、ゲル状態の固形物を得た。この円筒状のゲル状態の固形物を型より取り出し、外径8mmで長さ40mmのパルミチン酸ナトリウムとイオン交換水とでゲル状態の賦形材を形成し、該賦形材中にマイクロカプセルが分散された固形描画材を得た。この固形描画材をマイクロスコープ(250倍)にて観察したところ、固形描画材中にマイクロカプセルが破壊されることなく分散されていることが確認できた。
製造例2で製造したマイクロカプセル 6質量部
ステアリン酸ナトリウム(ゲル形成剤) 18質量部
グリセリン(保湿剤) 23質量部
イオン交換水 (溶媒) 37質量部
上記成分を90℃にて加熱混合し、得られたゾル状の液状物を内径8mmの型に流し込んだ後、室温まで冷却し、ゲル状態の固形物を得た。この円筒状のゲル状態の固形物を型より取り出し、外径8mmで長さ40mmのステアリン酸ナトリウムとイオン交換水とでゲル状態の賦形材を形成し、該賦形材中にマイクロカプセルが分散された固形描画材を得た。この固形描画材をマイクロスコープ(250倍)にて観察したところ、固形描画材中にマイクロカプセルが破壊されることなく分散されていることが確認できた。
製造例3で製造したマイクロカプセル 6質量部
12−ヒドロキシステアリン酸(ゲル形成剤) 15質量部
カルバナワックス 15質量部
ポリプロピレングリコール 15質量部
(旭硝子(株)社製 エクセノール1020 溶媒)
上記成分を95℃にて加熱混合し、得られたゾル状の液状物を内径8mmの型に流し込んだ後、室温まで冷却し、ゲル状態の固形物を得た。この円筒状のゲル状態の固形物を型より取り出し、外径8mmで長さ40mmの12−ヒドロキシステアリン酸とポリプロピレングリコールとでゲル状態の賦形材を形成し、該賦形材中にマイクロカプセルが分散された固形描画材を得た。この固形描画材をマイクロスコープ(250倍)にて観察したところ、固形描画材中にマイクロカプセルが破壊されることなく分散されていることが確認できた。
製造例4で製造したマイクロカプセル 6質量部
N−ヒドロキシエチル−12−ヒドロキシステアリン酸アミド 15質量部
(伊藤製油(株)社製 ITOHWAXJ−420 ゲル形成剤)
カルバナワックス 15質量部
ポリブテン(新日本石油(株)製 日石ポリブテンLV−50 溶媒)15質量部
上記成分を90℃にて加熱混合し、得られたゾル状の液状物を内径8mmの型に流し込んだ後、室温まで冷却し、ゲル状態の固形物を得た。この円筒状のゲル状態の固形物を型より取り出し、外径8mmで長さ40mmのN−ヒドロキシエチル−12−ヒドロキシステアリン酸アミドとポリブテンとでゲル状態の賦形材を形成し、該賦形材中にマイクロカプセルが分散された固形描画材を得た。この固形描画材をマイクロスコープ(250倍)にて観察したところ、固形描画材中にマイクロカプセルが破壊されることなく分散されていることが確認できた。
実施例1〜4で得た固形描画材を用い、上質紙に手書きによる描画を行った。その際、該固形描画材は、賦形材のゲル強度とマイクロカプセル強度を制御したものであり、固形描画材がチクソトロピック現象を発現し、マイクロカプセルを破壊しないように描画することができた。
また、描画後1週間経時した描画物に描画圧より高い擦過圧を指で加えてマイクロカプセルを破壊し、中の香料を出し、香料の香りを発現させることができた。
すなわち、ゲル形成剤と溶媒とでゲル状態の賦形材を形成し、該賦形材中にマイクロカプセルを分散した固形描画材を用いて描画する際に、固形描画材がチクソトロピック現象を発現することにより、前記マイクロカプセルが破壊を起こさずに描画可能となるよう、賦形材ゲル強度とマイクロカプセル強度を制御した、固形描画材を用いた描画方法を達成することができた。
比較例1
製造例1で製造したマイクロカプセル 6質量部
パラフィンワックス 15質量部
(日本精蝋(株)社製 パラフィンワックス135°F 賦形材)
流動パラフィン 25質量部
上記成分を90℃にて加熱混合し、得られた液状物を内径8mmの型に流し込み、冷却固化をした。この円筒状の固形物を型より取り出し、外径8mmで長さ40mmの固形描画材を得た。この固形描画材をマイクロスコープ(250倍)にて観察したところ、固形描画材中にマイクロカプセルが破壊されることなく分散されていることが確認できた。
製造例2で製造したマイクロカプセル 6質量部
パラフィンワックス 15質量部
(日本精蝋(株)社製 パラフィンワックス135°F 賦形材)
流動パラフィン 25質量部
上記成分を90℃にて加熱混合し、得られた液状物を内径8mmの型に流し込み、冷却固化をした。この円筒状の固形物を型より取り出し、外径8mmで長さ40mmの固形描画材を得た。この固形描画材をマイクロスコープ(250倍)にて観察したところ、固形描画材中でマイクロカプセルの形状を保っておらず、マイクロカプセル中の材料とパラフィンワックス、流動パラフィンが一部相溶状態にあり、マイクロカプセル材料がマイクロカプセル外に流出していることが確認された。
製造例3で製造したマイクロカプセル 6質量部
低密度ポリエチレン 10質量部
(住友化学(株)社製 スミカセンG801 賦形材)
パラフィンワックス 15質量部
(日本精蝋(株)社製 パラフィンワックス135°F 賦形材)
ポリエチレンワックス 15質量部
(三井化学(株)社製 ハイワックス420P 賦形材)
上記成分を100℃に加熱したニーダーで加熱混練をした後押出成形をし、外径8mmで長さ40mmの固形描画材を得た。この固形描画材をマイクロスコープ(250倍)にて観察したところ、マイクロカプセルの破壊が見られ、製造例3でマイクロカプセルに内包した香料の香りがしており、固形描画材中にマイクロカプセルの一部が破壊された状態で分散されていることが確認できた。
比較例1〜3で得た固形描画材を用い、上質紙に手書きによる描画を行った。その際、該固形描画材は、賦形材のゲル強度とマイクロカプセル強度を制御したものではなかったため、固形描画材がチクソトロピック現象を発現せず、描画圧が高くなり、描画時にマイクロカプセルが破壊されてしまった。
すなわち、固形描画材が実質的にチクソトロピック現象を発現しないので、前記マイクロカプセルが破壊を起こさずに描画可能となるような、賦形材のゲル強度とマイクロカプセル強度の関係を制御することができず、好適な固形描画材を用いた描画方法を達成することができなかった。
○:固形描画材がチクソトロピック現象を発現しており、書き味が滑らかであり、描画に強い力を必要としない。上質紙への描画性は良好。
×:固形描画材がチクソトロピック現象を発現しておらず、書き味が硬く、描画に強い力を必要とする。上質紙への描画性は悪く、かすれる。
初期性能評価2:徐放性により機能を発現し持続するマイクロカプセルを用いた描画物から、香料の香りがするか、直接臭いをかぐ官能試験で評価した。
○:初期同等に香る。
△:初期に比べ、香りが弱い。
×:香らない。
Claims (4)
- 少なくともマイクロカプセルとゲル形成剤と溶媒からなる固形描画材であって、少なくとも該ゲル形成剤と溶媒とでゲル状態の賦形材を形成し、前記マイクロカプセルが、前記賦形材中に分散され、かつ描画時の描画圧により破壊されることのない強度を有することを特徴とする固形描画材。
- 前記マイクロカプセルが、描画後、描画する際の描画圧より高い任意の圧力により破壊可能であることを特徴とする、請求項1に記載の固形描画材。
- ゲル形成剤が水性ゲル形成剤であり、溶媒が水であることを特徴とする、請求項1または2のいずれかに記載の固形描画材。
- マイクロカプセルとゲル形成剤と溶媒を含む固形描画材を用いた描画方法であって、少なくとも該ゲル形成剤と溶媒とでゲル状態の賦形材を形成し、該賦形材中にマイクロカプセルを分散した固形描画材を用いて描画する際に、固形描画材がチクソトロピック現象を発現することにより、前記マイクロカプセルが破壊を起こさずに描画可能となるよう、賦形材のゲル強度とマイクロカプセル強度を制御することを特徴とする、固形描画材を用いた描画方法。
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