JP2010247936A - フリーボールベアリング、ベアリング装置、支持テーブル、搬送設備、ターンテーブル - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本体20の球受け部23の半球状凹面21と主球42との間に挿入して受け球42を押さえ込むことで前記主球42の回転抵抗を増大させるリング状の押さえ片55を有する受け球押さえリング50が、球受け部23とカバー部30との間に確保された内側空間11内に球受け部23の深さ方向に一致する方向に移動可能に設けられ、この受け球押さえリング50にエア吸引によって駆動力を発生するための駆動用リング部54が設けられているフリーボールベアリング10、ベアリング装置、支持テーブル、搬送設備、ターンテーブルを提供する。
【選択図】図1
Description
このような搬送設備にあっては、搬送中の物品の移動を停止あるいは減速させるために、フリーボールベアリングとは別に、物品を衝突させるストッパ、クッション、物品を接触させるガイド部材などを設けた構成のものがあるが、近年、フリーボールベアリング自体が搬送中の物品に制動力を与えることが可能な構成となっているものが提案されている(例えば特許文献1)。このようなフリーボールベアリングを用いた搬送設備は、ストッパ、クッション、ガイド部材等の設置を不要にできる利点がある。
また、特許文献1の図2(a)、(b)には、環状の副球接触部を有する加圧部材を駆動手段(具体的には電磁線輪によって構成した電磁石34)によって昇降させ、前記加圧部材の下降時に前記副球接触部を副球群の上縁部に接触させることで副球の転動を拘束して主球の回転に制動作用を与える構成のフリーボールベアリング(移送用球体支持装置)が開示されている。
特許文献1の図2(a)、(b)のように、昇降する加圧部材によって副球を押さえ込む構成の方が、物品に所望の移動抵抗を与える性能を長期にわたって安定に維持できる点で有利である。
上述の特許文献1の図1(a)、(b)記載のフリーボールベアリング(移送用球体支持装置)では蓋部材の主球との接触、特許文献1の図2(a)、(b)記載のフリーボールベアリング(移送用球体支持装置)では蓋部材(特許文献1において符号5a)の下側にて昇降する加圧部材と副球との接触、によって微量の粉塵が生じることがある。このため、クリールームの清浄度の維持のため、粉塵の飛散を防止したいという要求があった。 この点、例えば、フリーボールベアリングを取り付けるテーブルとして通気孔を多数形成したものを採用して、クリーンルーム内に前記テーブルの上方から前記通気孔を介して前記テーブルの下側へ流れる気流を形成し粉塵の飛散を防止する対策(ダウンブロー)も採用可能であるが、特許文献1の図2(a)、(b)記載のフリーボールベアリング(移送用球体支持装置)のように蓋部材の下側にて昇降する加圧部材によって副球を押さえ込む構成では、主球及び副球を回転自在に支持した凹球面部材と蓋部材との間にて発生した粉塵の回収が難しく、清浄度の安定維持の点で不利となっていた。
特許文献1の図1(a)、(b)記載の技術は、凹球面部材の外周面と筒状部との間のシール性を高めるために凹球面部材の外周にOリングを設けている。しかしながら、このように、Oリングを使用して、エア圧等の流体圧を駆動源として駆動する機構は、通常、可動部材(特許文献1の図1(a)、(b)にあっては流体圧シリンダ12)の移動抵抗の低減のためにグリスを用いる必要があるが、グリスの揮発成分がクリーンルーム内の汚染の原因となるといった問題がある。
請求項1記載の発明は、半球状凹面を内面とする球受け用凹所が形成された球受け部を有する本体と、この本体の前記半球状凹面に配された多数の受け球及び該受け球よりも大径に形成され前記受け球を介して回転自在に支持された主球と、前記本体の前記球受け部を取り囲むように設けられたハウジング状のカバー部と、前記本体の前記半球状凹面と前記主球との間に挿入して前記受け球を押さえ込むことで前記主球の回転抵抗を増大させるリング状の押さえ片を有し、前記球受け部と前記カバー部との間に確保された内側空間内に前記球受け用凹所の深さ方向に一致する方向である球受け部高さ方向に移動可能に設けられた受け球押さえリングと、この受け球押さえリングに前記球受け部高さ方向において前記押さえ片によって前記受け球を押さえ込む押さえ方向とは逆方向の変位力を与えて、受け球押さえリングを前記押さえ片によって前記受け球を押さえ込む受け球押さえ位置から離隔した待機位置に配置するための押さえ解除機構とを具備し、前記カバー部に形成された主球突出用開口部から前記主球の一部が突出されているとともに前記カバー部によって前記主球の飛び出しが防止され、前記本体及び/又は前記カバー部には、前記内側空間内のエア吸引用のエア孔が、前記内側空間の前記球受け部高さ方向において前記カバー部の主球突出用開口部とは反対側の基端側に開口して形成され、前記受け球押さえリングは、前記球受け部の外周面と前記内側空間を介して前記球受け部の外周面に対面する前記カバー部の内周面との間に配置された駆動用リング部を有し、前記駆動用リング部は、前記球受け部の外周面にエア流通可能な微小な隙間を介して接近配置された内周面と、前記カバー部の内周面にエア流通可能な微小な隙間を介して接近配置された外周面とを有し、さらに内周面及び/又は外周面にその周方向に延在する溝、あるいはウェアリングが設けられており、前記エア孔を介して前記内側空間内のエアが吸引されることで前記受け球押さえリングに前記内側空間の基端側への変位力が与えられて前記受け球押さえリングが前記待機位置から前記受け球押さえ位置へ移動され、前記内側空間内のエア吸引が行われていないときには前記押さえ解除機構によって前記受け球押さえリングが前記待機位置に配置されることを特徴とするフリーボールベアリングを提供する。
請求項2記載の発明は、前記押さえ解除機構として、該受け球押さえリングに前記吸引装置が作用させる変位力とは逆の方向に弾性付勢するためのスプリングが前記内側空間に組み込まれていることを特徴とする請求項1記載のフリーボールベアリングを提供する。
請求項3記載の発明は、前記本体は、前記球受け部と、この球受け部の基端側に突設されたねじ軸とを具備し、前記エア孔は前記本体に形成されており、前記ねじ軸をその軸心方向に貫通するとともに前記球受け部の外周面に開口していることを特徴とする請求項1又は2記載のフリーボールベアリングを提供する。
請求項4記載の発明は、前記カバー部が、前記本体の前記ねじ軸に螺着されたリング状の基端側カバー部材の外周部に、前記主球突出用開口部が形成されているリング状のキャップを螺着して一体化して構成されたものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のフリーボールベアリングを提供する。
請求項5記載の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載のフリーボールベアリングと、このフリーボールベアリングの前記エア孔を介して前記内側空間内のエアを吸引することにより、前記受け球押さえリングに前記内側空間の基端側への変位力を作用させて前記受け球押さえリングの前記押さえ片によって前記受け球を押さえ込むための吸引装置とを具備することを特徴とするベアリング装置を提供する。
請求項6記載の発明は、請求項5記載のベアリング装置が設けられた支持テーブルであって、前記ベアリング装置の前記フリーボールベアリングが水平の基台の複数箇所に取り付けられ、前記フリーボールベアリングの前記エア孔に前記吸引装置をエア吸引可能に接続するための配管が、前記基台の下側から前記エア孔に接続されていることを特徴とする支持テーブルを提供する。
請求項7記載の発明は、請求項6記載の支持テーブルを具備することを特徴とする搬送設備を提供する。
請求項8記載の発明は、ベース部材と、このベース部材上に回転可能に設置された回転テーブルと、この回転テーブルを回転させる回転駆動装置とを有し、前記ベース部材及び/又は前記回転テーブルに取り付けられた請求項1〜4のいずれかに記載のフリーボールベアリングによって前記回転テーブルが前記ベース部材に対して回転可能に支持され、各フリーボールベアリングに前記吸引装置が接続されていることを特徴とするターンテーブルを提供する。
グリスを使用していないことにより、グリスの揮発成分によってクリーンルーム内を汚染するといった不都合を回避できることは言うまでも無い。
まず、図1(a)、(b)を参照して、本発明に係る第1実施形態のフリーボールベアリングを説明する。
なお、図1(a)、(b)において、このフリーボールベアリング10について、上側を上、下側を下として説明する。
図5中矢印Gに示すように、前記一対の位置決め部材87は、位置決め装置に設けられている駆動装置によって移動されて互いの間隔方向の距離が可変になっており、基板1を両側から挟み込んで位置決めした後、互いに離隔するように移動されて、基板1の次の搬送動作の障害にならない位置に待避される。
但し、このフリーボールベアリング10は、球受け用凹所22の開口部が球受け部23の上部に位置するようにして本体軸線20aが傾斜する向きで使用することも可能であり、また、球受け部高さ方向が水平となる向きでも使用可能である。
例えば、受け部高さ方向が水平となる向きで使用した場合も、主球42は受け球41によって支持されて全方向に回転可能であり、後述のように受け球押さえリング60によって受け球41の押さえ込みを行わない限り、主球42の回転抵抗は小さく、主球42は軽い力で円滑に回転できる。
また、基板1が主球42に接触したときに基板1に帯電している静電気によるスパークの発生を防止する点で、主球42として103〜1010Ω/□の表面抵抗率を持つように導電性(狭義の導電性)ないし半導電性樹脂で構成したものを採用し、さらに、この主球42と接するグランド用通電部を有する構成とすることが好ましい。例えば、上述の103〜1010Ω/□の表面抵抗率を持つ主球42を採用し、ステンレス等の導電性金属で形成した受け球41を採用し、さらに、本体20としてステンレス等の導電性金属で形成したもの、あるいはプラスチック等の絶縁材料からなる母材内に電線等からなる通電回路(受け球41と接して電気導通を確保する接触部を含む)を具備した構成のものを採用することで、受け球41と本体20とからなるグランド用通電部を有する構成のフリーボールベアリングが得られる。グランド用通電部を、フリーボールベアリングの外部のグランド用回路と接続しておくことで、基板1が主球ボール42に接したときのスパークの発生を防ぐことができる。スパークの発生は、基板1の損傷の原因になるため、上述の構成のフリーボールベアリング10を採用することで、スパークに起因する基板1の損傷を防止でき、製品歩留まりの向上等を実現できる。
受け球41、本体20は、半導電性樹脂で構成することもできる。
本体20やカバー部30、受け球押さえリング50についても同様の導電性樹脂材料によって形成したものを採用可能である。
一般に体積抵抗率が1013Ωcm程度以下の合成樹脂は、絶縁性樹脂と対比させた広義には導電性樹脂ということができる。その中で体積抵抗率が105〜1013Ωcm程度のものは半導電性樹脂ということができ、さらに、体積抵抗率が105〜1010Ωcm程度のものは、静電気障害を制御するのに適した半導電性樹脂として制電性樹脂とも呼ばれる。この意味で、本発明のフリーボールベアリングにおいて主球等を構成する導電性樹脂(導電性樹脂成形品)は、導電性ないし制電性樹脂ということもできる。
また、本発明に係るフリーボールベアリングの本体20、カバー部30、受け球41及び主球42、受け球押さえリング50としては、導電性、半導電性を有していない材質(例えば、金属、プラスチック等)によって形成されたものを採用することも可能である。
換言すれば、前記本体20は、ねじ軸24の片端に、該ねじ軸24よりも太い外観円柱状の球受け部23を突設した構成になっている。
この受け球押さえリング50は、キャップ33の蓋板部33aと球受け部23の先端面23bとの間に配置されたリング状の天板部51及び該天板部51の外周の全周にわたって天板部51の片面側にリブ状に突設されキャップ33の球受け部23の外周面23cと該外周面23cに前記内側空間11を介して対面するカバー部30の内周面34との間に配置された円筒部52からなる本体リング53と、この本体リング53の円筒部52側の端部から延出されて球受け部23の外周面23cと該外周面23cに前記内側空間11を介して対面するカバー部30の内周面34との間に配置された駆動用リング部54と、前記本体リング53の天板部51の内周端の全周にわたってリブ状に突設され前記本体20の前記半球状凹面21と前記主球42との間に挿入して前記受け球41を押さえ込むためのリング状の押さえ片55とを具備して構成されている。
図1(a)、(b)に示すように、前記エア孔25は具体的には、球受け部23の底面23aから突出するねじ軸24の突出先端から球受け部23に達するように穿設された主孔25aと、この主孔25aの奥端(球受け部23側の端部)から該主孔25aに直交する方向に延在して球受け部23の外周面23cに開口し内側空間11に連通する枝孔25bとを具備して構成されている。したがって、ねじ軸24の先端(球受け部23からの突出先端)に開口するエア孔25の開口部である吸引口25cに吸引装置70を接続することで、フリーボールベアリング10の内側空間11に吸引装置70の吸引力を作用させることができる。
図4に示す基板位置決め用テーブル80は、基台81の複数箇所に前記フリーボールベアリング10が取り付けられており、また、各フリーボールベアリング10のねじ軸24の基台81の下側に突出された先端部に配管71を介して接続された吸引装置70を具備する構成となっている。フリーボールベアリング10のエア孔25に配管71を介して吸引装置70を接続したものが本発明に係るベアリング装置である。
図示例の基板位置決め用テーブル80は、基台81に取り付けられている複数のフリーボールベアリング10(その内側空間11)の全てが配管71を介してひとつの吸引装置70と接続されてなるベアリング装置を具備する構成を例示しているが、これに限定されず、基板位置決め用テーブルを複数の吸引装置70を設けた構成とし、基台81に取り付けられている複数のフリーボールベアリング10を互いに異なる吸引装置と接続した構成としても良い。
前記吸引装置70の吸引力を内側空間11に作用させていないときには、図1(a)に示すように、フリーボールベアリング10の受け球押さえリング50はスプリング60の弾性によって、押さえ片55が球受け部23の受け球41を押さえ込む位置(図1(b)に示す位置。以下、受け球押さえ位置とも言う)からキャップ33の蓋板部33aの側(内側空間11の開放端側)に離隔した位置(待機位置。図1(a)に示す位置)に配置されている。
図示例のフリーボールベアリング10にあっては、受け球押さえリング50の本体リング53と該本体リング53に対してその外周側に若干ずれて位置する駆動用リング部54との間の段差部分に形成された当接面56(駆動用リング部54の本体リング側の端面)が、キャップ33の側壁部33bの内周側に張り出されている突壁部35に、スプリング60の弾性によって内側空間11の基端側から当接された位置が、受け球押さえリング50の待機位置となっている。受け球押さえリング50が待機位置にあるとき、その天板部51はキャップ33の蓋板部33aに当接せず、キャップ33の蓋板部33aと天板部51との間に僅かな隙間が確保された位置となっている。
さらなる検証が必要であるが、溝54cの数を多くすると、吸引装置70の吸引力によって受け球押さえリング50に作用する変位力を増強できるものと考えられる。
このフリーボールベアリング10にあっては、受け球押さえリング50と球受け部23との間、受け球押さえリング50とカバー部30との間にグリスを設けなくても、上述のように駆動用リング部54の外周側及び内周側の隙間12a、12bを流れるエア流によって、球受け部23の外周面23c及びカバー部30の内周面34に対する非接触状態が安定に保たれることで、受け球押さえリング50の移動抵抗を低く抑えることができる。しかも、受け球押さえリング50の移動を円滑に行うことができる。
したがって、グリスを用いない構成でありながら、受け球押さえリング50の移動(待機位置から受け球押さえ位置への移動)に要する吸引装置70の吸引力を大幅に高める必要はなく、吸引力を大幅に高めることなく受け球押さえリング50の移動を実現できる。
また、グリスを用いない構成であるため、グリスから放出される揮発成分によるクリーンルーム内の汚染の問題が生じないことは言うまでも無い。
前記受け球押さえリング50の押さえ片55の外径は球受け用凹所22の開口部の内径よりも若干小さく、また、前記押さえ片55が受け球押さえ位置にあるとき、この押さえ片55の外周は球受け用凹所22の半球状凹面21に接触せず、押さえ片55と前記半球状凹面21との間にはエア流通可能な隙間が確保されるようになっている。このため、吸引装置70による球受け用凹所22内のエア吸引は、押さえ片55が受け球押さえ位置にあるときも継続して行われる。したがって、押さえ片55が受け球41に接触することにより微量の粉塵(発塵)が生じたとしても、吸引装置70による球受け用凹所22内のエア吸引によってこの粉塵を吸引装置70に回収でき、粉塵がカバー部30の主球突出用開口部31から外に放出されることを防止できる。
なお、押さえ片55が受け球押さえ位置にあるとき、この押さえ片55は主球42に接触しない。
従来、基板位置決め用テーブルに用いられるフリーボールベアリングとしては主球の回転抵抗が出来るだけ小さいものが求められていた。しかしながら、このように主球の回転抵抗が非常に小さいと、基板を挟み込んで位置決めした位置決め部材同士の間を離隔して基板1の挟み込みを解除したときに、基板1の撓みに起因する位置ずれが大きくなる傾向があることが判明した。
また、受け球押さえリング50によって受け球41を押さえ込むことによる受け球41及び主球42の回転抑制は、位置決め部材による基板1の挟み込みを解除した後に主球42が回転しないように固定するよりも、基板1の微動に対する主球42の追従回転を許容し、主球42の回転抵抗によって基板1の変位を抑えるようにすることが、位置決め部材による挟み込み解除後の基板1の位置ずれ抑制の点で好ましいことが判明した。
したがって、受け球41の押さえ込みに要する受け球押さえリング50に作用させる押圧力(換言すれば吸引装置70の吸引力)は、主球42を回転しないように固定できる強い力である必要はない。
アルミニウム板としては、その重量(ワーク重量)が300gのもの、500gのものの2種類を用いた。また、吸引装置によって作用させたフリーボールベアリング10の1個あたりの吸引力(大気圧に対する真空度)は−90kPa、フリーボールベアリング10の1個あたりの吸入流量(エア吸入量)は9.0L/minである。
受け球押さえリング50の内周側、外周側の微小クリアランス12a、12bはいずれも0.05mmである。
また、フリーボールベアリング10としては、本体、カバー部、主球、受け球押さえ部材がPOM製のもの、受け球としてステンレスボールを使用した構成のものを用いた。
また、ワーク重量が300gの場合は、解放時(解放状態)の摩擦係数が0.01であったのに対して、抑制時(抑制状態)の摩擦係数は0.06であり、解放時の6倍程度の摩擦係数が得られる。
ワーク重量が500gの場合は、解放時(解放状態)の摩擦係数が0.01であったのに対して、抑制時(抑制状態)の摩擦係数は0.08であり、解放時の8倍程度の摩擦係数が得られる。
次に、本発明の第2実施形態を説明する。
図7、図8に示すように、ここで説明する実施形態のフリーボールベアリングは、既述の第1実施形態のフリーボールベアリング10の受け球押さえリング50の駆動用リング部54の外周面54b側に、ウェアリング13を取り付けた構成のものである。
前記ウェアリング13は、駆動用リング部54の外周面54bから突出されており、カバー部30の内周面34に当接されている。そして、この実施形態のフリーボールベアリングは、ウェアリング13がカバー部30の内周面34に摺動することで、受け球押さえリング50が球受け部高さ方向に移動するようになっている。
フリーボールベアリングの内側空間11に吸引装置70の吸引力を作用させたときには、外周側微小クリアランス12bに作用する吸引力がウェアリング13によって受け球押さえリング50の変位力(基端側への変位力)に変換される。
フリーボールベアリングの内側空間11に吸引装置70の吸引力を作用させたときには、前記スリット13aを介して外周側微小クリアランス12bにエア流が形成される。
なお、内周側微小クリアランス12aにエア流が形成されることは第1実施形態と同様である。
また、この前記ウェアリング13は、受け球押さえリング50の中心軸線方向における両端部に面取り部13bを有しているため、この面取り部13bが摩擦抵抗(摺動抵抗)の低減に有効に寄与する。
これにより、この実施形態のフリーボールベアリングは、グリスを使用せず(ノングリス)に、受け球押さえリングの円滑な可動を実現できる構成となっている。
また、前記ウェアリング13は、駆動用リング部54の内周側及び/又は外周側において、駆動用リング部54の中心軸線方向の複数箇所に設けても良い。
また、本発明に係る受け球押さえリングとしては、溝54cが、駆動用リング部54の内周側及び外周側の一方のみに駆動用リング部54の中心軸線方向の1又は複数箇所に形成されている構成、駆動用リング部54の内周側及び外周側の両方にひとつずつ形成されている構成も採用であり、さらに、このような受け球押さえリングの内周側及び/又は外周側にウェアリング13を設けた構成も採用可能である。
次に本発明の第3実施形態を図9を参照して説明する。
図9は、本発明に係るフリーボールベアリング10、複数のフリーボールベアリング10のエア孔25に配管71を介して吸引装置70を接続してなるベアリング装置を用いて構成したターンテーブル90を示す。
このターンテーブル90は、板状のベース部材91と、このベース部材91に取り付けて該ベース部材91上に突設された複数(3以上)のフリーボールベアリング10によって回転可能に支持された回転テーブル93と、この回転テーブル93を回転させる回転駆動装置92(モータ)とを有している。既述のように、各フリーボールベアリング10は、配管71を介して吸引装置70に接続されているため、吸引装置70の吸引力を内側空間11に作用させることで回転テーブル93の回転の抑制、停止等を行うことができる。
なお、ターンテーブルとしては、フリーボールベアリング10を回転テーブルに取り付けた構成、回転テーブルとベース部材とに取り付けた構成も採用可能である。
本発明に係るフリーボールベアリング、支持テーブルとしては、例えば半導体基板やプリント配線基板に対する加工、電子部品の実装、フラットパネルの製造、半導体素子や半導体パッケージ等の電子部品の製造の他、食品や医薬品の製造等、クリーンルーム内での物品の搬送(例えば搬送装置の一部としての使用)、位置決め等に幅広く使用することができる。
Claims (8)
- 半球状凹面を内面とする球受け用凹所が形成された球受け部を有する本体と、
この本体の前記半球状凹面に配された多数の受け球及び該受け球よりも大径に形成され前記受け球を介して回転自在に支持された主球と、
前記本体の前記球受け部を取り囲むように設けられたハウジング状のカバー部と、
前記本体の前記半球状凹面と前記主球との間に挿入して前記受け球を押さえ込むことで前記主球の回転抵抗を増大させるリング状の押さえ片を有し、前記球受け部と前記カバー部との間に確保された内側空間内に前記球受け用凹所の深さ方向に一致する方向である球受け部高さ方向に移動可能に設けられた受け球押さえリングと、
この受け球押さえリングに前記球受け部高さ方向において前記押さえ片によって前記受け球を押さえ込む押さえ方向とは逆方向の変位力を与えて、受け球押さえリングを前記押さえ片によって前記受け球を押さえ込む受け球押さえ位置から離隔した待機位置に配置するための押さえ解除機構とを具備し、
前記カバー部に形成された主球突出用開口部から前記主球の一部が突出されているとともに前記カバー部によって前記主球の飛び出しが防止され、前記本体及び/又は前記カバー部には、前記内側空間内のエア吸引用のエア孔が、前記内側空間の前記球受け部高さ方向において前記カバー部の主球突出用開口部とは反対側の基端側に開口して形成され、
前記受け球押さえリングは、前記球受け部の外周面と前記内側空間を介して前記球受け部の外周面に対面する前記カバー部の内周面との間に配置された駆動用リング部を有し、前記駆動用リング部は、前記球受け部の外周面にエア流通可能な微小な隙間を介して接近配置された内周面と、前記カバー部の内周面にエア流通可能な微小な隙間を介して接近配置された外周面とを有し、さらに内周面及び/又は外周面にその周方向に延在する溝、あるいはウェアリングが設けられており、前記エア孔を介して前記内側空間内のエアが吸引されることで前記受け球押さえリングに前記内側空間の基端側への変位力が与えられて前記受け球押さえリングが前記待機位置から前記受け球押さえ位置へ移動され、前記内側空間内のエア吸引が行われていないときには前記押さえ解除機構によって前記受け球押さえリングが前記待機位置に配置されることを特徴とするフリーボールベアリング。 - 前記押さえ解除機構として、該受け球押さえリングに前記吸引装置が作用させる変位力とは逆の方向に弾性付勢するためのスプリングが前記内側空間に組み込まれていることを特徴とする請求項1記載のフリーボールベアリング。
- 前記本体は、前記球受け部と、この球受け部の基端側に突設されたねじ軸とを具備し、前記エア孔は前記本体に形成されており、前記ねじ軸をその軸心方向に貫通するとともに前記球受け部の外周面に開口していることを特徴とする請求項1又は2記載のフリーボールベアリング。
- 前記カバー部が、前記本体の前記ねじ軸に螺着されたリング状の基端側カバー部材の外周部に、前記主球突出用開口部が形成されているリング状のキャップを螺着して一体化して構成されたものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のフリーボールベアリング。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のフリーボールベアリングと、このフリーボールベアリングの前記エア孔を介して前記内側空間内のエアを吸引することにより、前記受け球押さえリングに前記内側空間の基端側への変位力を作用させて前記受け球押さえリングの前記押さえ片によって前記受け球を押さえ込むための吸引装置とを具備することを特徴とするベアリング装置。
- 請求項5記載のベアリング装置が設けられた支持テーブルであって、
前記ベアリング装置の前記フリーボールベアリングが水平の基台の複数箇所に取り付けられ、前記フリーボールベアリングの前記エア孔に前記吸引装置をエア吸引可能に接続するための配管が、前記基台の下側から前記エア孔に接続されていることを特徴とする支持テーブル。 - 請求項6記載の支持テーブルを具備することを特徴とする搬送設備。
- ベース部材と、このベース部材上に回転可能に設置された回転テーブルと、この回転テーブルを回転させる回転駆動装置とを有し、前記ベース部材及び/又は前記回転テーブルに取り付けられた請求項1〜4のいずれかに記載のフリーボールベアリングによって前記回転テーブルが前記ベース部材に対して回転可能に支持され、各フリーボールベアリングに前記吸引装置が接続されていることを特徴とするターンテーブル。
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