JP2010242992A - 耐火物ライニング - Google Patents

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Masaaki Yamamoto
雅章 山本
Taijiro Matsui
泰次郎 松井
Masaaki Kondo
正章 近藤
Tokuo Taki
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Abstract

【課題】製鉄プロセスにおける溶融金属用容器に採用される耐火物ライニングにおいて、ライニングの信頼性を維持したまま、放熱量と蓄熱量の全体として熱損失を削減し、熱裕度向上を図る。
【解決手段】本発明に係る耐火物ライニング110は、溶融金属用容器100の鉄皮113の内面側に設けられ、溶融金属に直接接触する最内面に配置されるウェア耐火物111と、ウェア耐火物111よりも溶融金属容器100の外面側に配置されるパーマネント耐火物112と、ウェア耐火物111とパーマネント耐火物112との間に配置され、密度が1500kg/m以下の断熱耐火物114と、からなる。
【選択図】図3

Description

本発明は、製鉄プロセスにおける溶融金属用容器に採用される耐火物ライニングに関する。
従来から、製銑、製鋼等の熱プロセスに使用される溶融金属が収容される窯炉容器においては、熱放散の抑制及び熱裕度の向上の観点から、断熱構造を用いた耐火物ライニングが採用されている。この断熱構造を用いた耐火物ライニングとしては、パーマネント耐火物と容器の鉄皮(Shell)との間に断熱耐火物を配置したライニングが一般的である。この場合、断熱耐火物としては、高アルミナ質またはアルミナ−シリカ質の耐火物が使用されている(例えば、特許文献1及び特許文献2を参照)。
特開昭58−117813号公報 特開平4−071771号公報
しかしながら、高アルミナ質等の断熱耐火物をパーマネント耐火物と鉄皮との間に配置した断熱構造を有する耐火物ライニングは、熱放散の抑制という点からは優れているが、断熱構造を有しない一般的なライニングと比べて、窯炉容器全体の蓄熱量はむしろ大きくなる、という問題があった。このように、窯炉容器全体の蓄熱量が大きくなると、ウェア耐火物の損耗が大きくなってしまう。
そこで、本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであって、製鉄プロセスにおける溶融金属用容器に採用される耐火物ライニングにおいて、ライニングの信頼性を維持したまま、放熱量と蓄熱量の全体として熱損失を削減し、熱裕度向上を図ることを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、断熱耐火物をウェア耐火物とパーマネント耐火物との間に配置し、断熱耐火物の材料として密度(嵩比重)が小さな材料を使用することにより、放熱と蓄熱の双方が抑制され、放熱量と蓄熱量の全体として熱損失を削減することができるということを見出した。本発明は、このような知見に基づいて完成されたものである。
すなわち、本発明によれば、溶融金属用容器の鉄皮の内面側に設けられる耐火物ライニングであって、前記溶融金属に直接接触する最内面に配置されるウェア耐火物と、前記ウェア耐火物よりも前記溶融金属容器の外面側に配置されるパーマネント耐火物と、前記ウェア耐火物と前記パーマネント耐火物との間に配置され、密度が1500kg/m以下の断熱耐火物と、からなる耐火物ライニングが提供される。
ここで、前記断熱耐火物は、高温になるほど熱伝導率が低下する耐火物であることが好ましい。このような耐火物としては、例えば、アルミナスピネル質系耐火物、アルミナ質系耐火物、MgO質系耐火物、カーボン質系耐火物、炭化珪素質系耐火物、及びジルコン質系耐火物からなる群から選択される少なくとも1種以上の耐火物が挙げられる。
また、前記断熱耐火物の熱伝導率は、1800℃以下で1W/(m・K)以下であることが好ましい。
また、前記断熱耐火物は、見掛け気孔率が連続的または段階的に変化している傾斜断熱耐火物であってもよい。
本発明によれば、断熱耐火物をウェア耐火物とパーマネント耐火物との間に配置し、断熱耐火物の材料として密度(嵩比重)が小さな材料を使用することにより、製鉄プロセスにおける溶融金属用容器に採用される耐火物ライニングにおいて、放熱と蓄熱の双方を抑制することができる。従って、本発明によれば、ライニングの信頼性を維持したまま、放熱量と蓄熱量の全体として熱損失を削減し、熱裕度向上を図ることが可能となる。
一般的な耐火物ライニングを採用した溶鋼取鍋の構造を示す断面図である。 従来の断熱構造を用いた耐火物ライニングを採用した溶鋼取鍋の構造を示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る耐火物ライニングを採用した溶鋼取鍋の構造を示す断面図である。 本発明の実施例1〜6、比較例1〜3についての放熱量及び蓄熱量のトータル熱量を示すグラフである。 各種耐火物試片の耐食性試験結果の一例を示すグラフである。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
本発明の好適な実施の形態について説明する前に、その前提として、一般的な耐火物ライニング及び従来の断熱構造を用いた耐火物ライニングの構成について説明する。
初めに、図1を参照しながら、一般的な耐火物ライニング10の構成について説明する。図1は、一般的な耐火物ライニング10を採用した溶鋼取鍋1の構造を示す断面図である。
図1に示すように、一般的な耐火物ライニング10は、鉄皮13の内面側に設けられ、ウェア耐火物11及びパーマネント耐火物12から構成される。ウェア耐火物11は、溶鋼Mに直接接触する最内面に配置され、パーマネント耐火物12は、ウェア耐火物11の背面側(溶鋼取鍋1の外面側)、本実施形態では鉄皮13とウェア耐火物11との間に配置される。図1に示す耐火物ライニング10では、さらに、準パーマネント耐火物14がウェア耐火物11とパーマネント耐火物12との間に配置されている。
ウェア耐火物11としては、例えば、アルミナ炭化珪素カーボン(Al−SiC−C)れんが、マグネシアカーボン(MgO−C)れんが、マグネシアクロミアれんが、及びアルミナマグネシア質不定形耐火物等を使用することができ、パーマネント耐火物12としては、例えば、高アルミナれんが、シャモットれんが、ろう石れんが、及びアルミナ質不定形耐火物等を使用することができる。また、準パーマネント耐火物14としては、高アルミナれんが、シャモットれんが、ろう石れんが、及びマグネシアクロミアれんが等を使用することができる。
ところが、上記のような一般的な耐火物ライニング10においては、ウェア耐火物11として使用されるAl−SiC−CれんがやMgO−Cれんがの熱伝導率が、概ね20W/(m・K)前後(例えば、耐火物手帳(99年)を参照)と高く、溶鋼からの熱を鉄皮に伝えやすいため、放熱量が大きくなってしまう。一方、パーマネント耐火物12に使用される高アルミナれんがやシャモットれんがの熱伝導率は低いため、パーマネント耐火物12における蓄熱量が大きくなってしまう。このように、一般的な耐火物ライニング10では、放熱量及び蓄熱量が大きく、熱損失が大きい、という問題があった。
そのため、上述したように、熱放散の抑制及び熱裕度の向上の観点から、従来から、断熱構造を用いた耐火物ライニングが採用されている。以下、図2を参照しながら、従来の断熱構造を用いた耐火物ライニング20の構成について説明する。図2は、従来の断熱構造を用いた耐火物ライニング20を採用した溶鋼取鍋2の構造を示す断面図である。
図2に示すように、従来の断熱構造を用いた耐火物ライニング20は、鉄皮23の内面側に設けられ、ウェア耐火物21、パーマネント耐火物22及び断熱耐火物24から構成される。ウェア耐火物21、パーマネント耐火物22及び鉄皮23については、上述したウェア耐火物11、パーマネント耐火物12及び鉄皮13と同様であるので、その説明を省略する。
従来の耐火物ライニング20では、断熱耐火物24として、例えば、高アルミナ質やアルミナシリカ質等の断熱れんがや断熱ボードが使用され、パーマネント耐火物22と鉄皮23との間に配置される。このように、断熱耐火物24をパーマネント耐火物22と鉄皮23との間に配置することにより、鉄皮23への熱伝導が抑制され、鉄皮23から外部への熱放散を抑制し、熱裕度をある程度向上させることができる。
しかし、このような構造を有する耐火物ライニング20では、MgO−Cれんが等の熱伝導率の高い耐火物を使用したウェア耐火物21が溶鋼から受けた熱はパーマネント耐火物22に伝達されやすい一方で、パーマネント耐火物22が受けた熱は、断熱耐火物24により鉄皮23への伝達を抑制される。従って、耐火物ライニング20は、断熱構造を有しない一般的な耐火物ライニング10と比べて、溶鋼取鍋2等の窯炉容器全体の蓄熱量はむしろ大きくなってしまう、という問題があった。このように、溶鋼取鍋2全体の蓄熱量が大きくなると、ウェア耐火物21の損耗が大きくなってしまう。
そこで、本発明に係る耐火物ライニングにおいては、断熱耐火物をウェア耐火物とパーマネント耐火物との間に配置し、断熱耐火物の材料として密度(嵩比重)が小さな材料を使用することにより、放熱と蓄熱の双方を抑制し、放熱量と蓄熱量の全体として熱損失を削減している。
以下、図3を参照しながら、本発明の一実施形態に係る耐火物ライニング110の構成について説明する。図3は、本発明の一実施形態に係る耐火物ライニング110を採用した溶鋼取鍋100の構造を示す断面図である。なお、以下の説明では、本発明に係る耐火物ライニングを採用した溶融金属用容器の一例として溶鋼取鍋100を例に挙げて説明する。
図3に示すように、耐火物ライニング110は、鉄皮113の内面側に設けられ、ウェア耐火物111、パーマネント耐火物112及び断熱耐火物114から構成される。ウェア耐火物111、パーマネント耐火物112及び鉄皮113については、上述したウェア耐火物11、パーマネント耐火物12及び鉄皮13と同様であるので、その説明を省略する。
本実施形態に係る耐火物ライニング110では、断熱耐火物114としては、溶鋼取鍋100等の溶融金属用容器の使用温度域で十分な断熱性を有する密度が1500kg/m以下の耐火物を使用する。この断熱耐火物114の熱伝導率は、溶鋼取鍋100等の溶融金属用容器の使用温度域である1800℃以下において、1[W/(m・K)]以下であることが好ましい。なお、溶融金属用容器の使用温度域の下限値は特に規定しないが、好ましくは200℃以上で溶融金属用容器を使用する。
ここで、放熱量は、鉄皮113の温度と鉄皮113の周囲の雰囲気温度との間の輻射と対流で決まるため、鉄皮113の温度が低いほど溶鋼取鍋100からの放熱量は小さくなる。従って、放散熱の抑制の観点からは、耐火物ライニング110が断熱構造を有するようにすればよい。具体的には、溶鋼Mと直接接触するウェア耐火物111と鉄皮113との間に断熱耐火物114を配置すればよい。すなわち、耐火物ライニング110の溶鋼Mとの稼動面(溶鋼Mと直接接触している面)からの温度推移については、ウェア耐火物111の背面(ウェア耐火物111とパーマネント耐火物112との間)、パーマネント耐火物112の背面(パーマネント耐火物112と鉄皮113との間)のいずれに断熱耐火物114を配置した場合でも、断熱耐火物114の部分における温度の降下代が大きく、鉄皮113に熱が伝達されにくいため、放散熱の抑制が可能となる。
一方、蓄熱量は、耐火物ライニング110を構成する各耐火物(本実施形態では、ウェア耐火物111、パーマネント耐火物112、断熱耐火物114)の厚み、密度(嵩比重)、比熱及び平均温度の積の総和で表されることから、通常の耐火物(例えば、パーマネント耐火物112)に比べ密度(嵩比重)が1500kg/m以下と小さな断熱耐火物114をウェア耐火物111の背面に配置することで、ウェア耐火物111の背面の断熱耐火物114の蓄熱量を小さくすることができる。また、パーマネント耐火物112は、断熱耐火物114によりウェア耐火物111からの伝熱が抑制されるとともに、断熱耐火物114自体の蓄熱量が小さいため、平均温度が低くなる。従って、パーマネント耐火物112は、同じ位置に配置されている従来の耐火物ライニング20の断熱耐火物24より密度が大きくても平均温度が低いことから、蓄熱量は断熱耐火物24とほぼ同等となる。よって、耐火物ライニング全体の蓄熱量としては、従来の耐火物ライニング20よりも本実施形態に係る耐火物ライニング110の方が小さくすることができる。
以上のように、密度(嵩比重)が1500kg/m以下と小さな断熱耐火物114をウェア耐火物111とパーマネント耐火物112との間に配置することで、鉄皮113への伝熱が抑制されるとともに、耐火物ライニング110全体としての蓄熱も抑制されるため、放熱量と蓄熱量の全体として熱損失を削減することができ、熱裕度の向上を図ることが可能となる。なお、断熱耐火物114は、その密度が低いほど蓄熱量が小さくなるため、蓄熱を抑制するという観点から、断熱耐火物114の密度の下限値は特に規定されるものではない。ただし、一般的に、断熱耐火物114の密度が小さくなるにつれて、断熱耐火物114の強度も小さくなるという傾向がある。従って、このような観点からは、断熱耐火物114の密度は500kg/m以上が好ましく、780kg/m以上がより好ましく、900kg/m以上がさらにより好ましい。
このような断熱耐火物114の形態は、定形耐火物、不定形耐火物、ボード、シート、ファイバーの他、上述した機能を満足できるものであれば、その形態は問わない。
本実施形態に係る断熱耐火物114は、従来のように、パーマネント耐火物112の背面ではなく、ウェア耐火物111の背面に配置されており、従来よりもさらに高温側に配置されている。従って、断熱耐火物114は、高温になるほど熱伝導率が低下する材質の耐火物を使用することが好ましい。このような耐火物としては、例えば、アルミナスピネル質系耐火物、アルミナ質系耐火物、MgO質系耐火物、カーボン質系耐火物、炭化珪素質系耐火物、及びジルコン質系耐火物のうちの少なくとも1種以上の耐火物が挙げられる。より具体的には、断熱耐火物114に使用される耐火物の例として、アルミナスピネル断熱れんが、アルミナスピネルキャスタブル、高アルミナれんが(Al=90質量%)、マグネシアれんが、マグネシアカーボンれんが(MgO=20質量%)、炭化珪素れんが、アルミナ炭化珪素カーボンれんが、カーボンれんが、アルミナカーボンれんが、ジルコンれんが等がある。断熱耐火物114として、上記のような材質の耐火物を使用することにより、さらに放熱量及び蓄熱量を小さくすることができ、更なる熱裕度の向上を図ることができる。
また、一般に、溶鋼取鍋100等の窯炉容器のウェア耐火物(本実施形態では、ウェア耐火物111)は、使用とともに化学反応による侵食や磨耗損耗、もしくは熱衝撃などにより損耗が進行していき、ウェア耐火物111の損耗が進行するほど、ウェア耐火物111の背面は高温となる。そこで、断熱耐火物114として、高温になるほど熱伝導率が低下する材質の耐火物を使用すると、断熱耐火物114の熱伝導率は、ウェア耐火物111の損耗が進行するほど低下することになるため、さらに放熱量及び蓄熱量を小さくすることができ、更なる熱裕度の向上を図ることができる。
また、本実施形態に係る断熱耐火物114として、見掛け気孔率が連続的または段階的に変化しており、見掛け気孔率が変化している領域に継ぎ目がない傾斜断熱耐火物を使用してもよい。この傾斜断熱耐火物は、その構造を、例えば、断熱傾斜発泡体とし、稼動面側と背面側との密閉気泡を連続的または段階的に変化させることにより、形成することができる。この傾斜断熱耐火物は、稼動面側が緻密質で背面側に向かうに従って見掛け気孔率が増加した断熱質に変化するように形成されるのが好ましい。
傾斜断熱耐火物は、例えば、以下のように製造することができる。まず、耐火原料に、水硬性結合剤と、発泡剤と、製泡剤を添加して混練し、その後、鋳込み成形する。この鋳込み成形時に、鋳込み面から垂直方向に見掛け気孔率を連続的または段階的に変化させた後、熱処理を行う。
ここで、「水硬性結合剤」は、耐火原料を硬化させるための結合剤であって、例えば、アルミナセメント、珪酸ソーダ、燐酸アルミニウム等が挙げられる。また、「発泡剤」としては、例えば、過酸化物の水溶液を用いることができる。また、気孔形成材として、上述した成分に加え、おがくず、ポリスチレンなどの焼成時に消失する可燃性物質を配合することもできる。また、「製泡剤」としては、発泡する泡を微細なまま安定するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、ステアリン酸亜鉛などの脂肪酸金属塩、界面活性剤等を用いることができる。
上記の耐火原料に、水硬性結合剤、発泡剤、製泡剤を添加して混練し、発泡硬化することで、連続的または段階的に変化した微細かつ独立気泡を有する発泡体となり、傾斜断熱耐火物を形成することができる。
上述したようにして形成された傾斜断熱耐火物を本実施形態に係る断熱耐火物114として用いることにより、万が一、ウェア耐火物111が損耗や脱落等により消失した場合でも、従来の高アルミナ質系断熱材やろう石等の耐火物に比べ耐食性を確保することができるので、溶鋼取鍋100等の窯炉容器としての信頼性を確保することができる。
以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。本実施例では、溶鋼取鍋に、以下の表1(比較例)及び表2(実施例)に示すような構造の耐火物ライニングを施工した後に、この溶鋼取鍋に溶鋼を装入し、溶鋼の溶鋼取鍋内での滞留時間(hr)ごとに、放熱量Qと蓄熱量Hの合計の熱量(MJ/m)を計算した。
なお、表1及び表2で、ライニングの構成の欄における1層目〜4層目とは、溶鋼取鍋の稼動面側から背面側へ向かって1層目〜4層目としたものである。従って、1層目がウェア耐火物で、4層目が鉄皮となる。また、本来は、耐火物ライニングの熱伝導は非定常熱伝導であるが、本発明の実施例と比較例とについての放熱量Q及び蓄熱量Hの合計の差分としては、非定常熱伝導であっても定常熱伝導であっても変わらないため、計算の便宜上、本実施例においては、定常熱伝導として計算した。具体的には、n(n=1,2,3,4)層目の層の厚みをl[m]、熱伝導率をλ[W/(m・K)]、密度をρ[kg/m]、平均比熱をCpn[kJ/(kg・K)]とし、t[K]を1層目の内面温度、t[K]を1層目と2層目の境界面の温度、t[K]を2層目と3層目の境界面の温度、t[K]を3層目と4層目の境界面の温度、t[K]を4層目の外面温度としたとき、下記の式(1)及び式(2)に従って、放熱量Q及び蓄熱量Hを計算した。
Figure 2010242992
Figure 2010242992
さらに、溶鋼取鍋においては、受湯から鋳造完了(溶鋼が完全に排出)するまでの時間が通常1〜4時間程度であることから、滞留時間(hr)を最高5時間とした。また、本発明の実施例及び比較例で使用した耐火物の密度(kg/m)及び1800℃における熱伝導率[W/(m・K)]を以下の表3に示した。なお、本実施例における熱伝導率の測定は、測定機器として、英弘精機株式会社製の熱伝導率測定装置 HC−41を用いて、JIS R2616−2001に規定されている熱線法により行った。
Figure 2010242992
Figure 2010242992
Figure 2010242992
以上のようにして計算した放熱量Qと蓄熱量Hの合計の熱量(Mcal/m)について、図4に示す。図4は、本発明の実施例1〜6、比較例1〜3についての放熱量及び蓄熱量のトータル熱量を示すグラフである。
ここで、実施例1〜6は、本発明を適用し、密度が1500kg/m以下の断熱耐火物(2層目)をウェア耐火物(1層目)とパーマネント耐火物(3層目)との間に配置した構造を有する耐火物ライニングである。一方、比較例1は、断熱構造を有しない一般的な耐火物ライニングであり、比較例2及び3は、従来のように、パーマネント耐火物と鉄皮との間に断熱構造を有する耐火物ライニングである。
図4に示すように、密度が1500kg/m以下の断熱耐火物をウェア耐火物とパーマネント耐火物との間に配置した本発明の実施例1〜6の耐火物ライニングは、比較例1〜3の耐火物ライニングと比べ、放熱量Q及び蓄熱量Hの合計の熱量が顕著に低下していることがわかる。具体的には、実施例1〜6の耐火物ライニングは、断熱構造を有しない比較例1の耐火物ライニングと比べ、放熱量Qと蓄熱量Hの合計で約13%(滞留時間0時間の時点)以上の熱損失を削減できることがわかった。また、実施例1〜6の耐火物ライニングは、従来の断熱構造を有する比較例2及び3の耐火物ライニングと比べ、放熱量Qと蓄熱量Hの合計で約12%(滞留時間0時間の時点)以上の熱損失を削減できることがわかった。
なお、比較例1の耐火物ライニングは、断熱構造を有しないことから、滞留時間の増加に伴う放熱量と蓄熱量の合計の増加量(図4のグラフの傾き)が、他の比較例2、3及び実施例1〜6の耐火物ライニングよりも大きくなっている。
また、実施例5及び実施例6は、断熱耐火物としてアルミナスピネル質系の傾斜断熱材を使用したものであるが、実施例5及び実施例6の耐火物ライニングは、他の実施例1〜4の耐火物ライニングよりも耐食性に優れていることがわかった。
ここで、断熱耐火物としてアルミナスピネル質系の傾斜断熱材を使用した場合における耐食性の評価結果について説明する。本実施例における断熱耐火物の侵食性の評価には、誘導炉の内面に各種耐火物試片を張り分けて行う内張侵食試験法を用いた。耐火物試片としては、下記表4に示した5種類の試片を用いた。なお、表4に示す「C/S」とは、塩基度(=CaO/SiOの質量比)を示している。
溶鋼としては、普通鋼(JIS G 3101で規定されるSS400)を用い、表4に示した試片を内張りした誘導炉内に72kg投入した。また、下記表5に示した組成を有するスラグ2kgを30分ごとに(合計40kg)誘導炉内に投入した。このような条件で、1570℃で1時間溶解試験を行った。溶解試験終了後に誘導炉を解体し、各試片を回収した。さらに、回収した各試片について、スラグライン(SL)部の最大損耗部位における損耗厚さ(mm)を測定した。その結果を、下記表4及び図5に示す。
Figure 2010242992
Figure 2010242992
表4及び図5に示すように、上記実施例5及び実施例6で断熱耐火物として用いられているアルミナスピネル質系の断熱傾斜材は、他の耐火物と比較して顕著に損耗厚さが薄く、耐食性に優れていた。このような結果から、実施例5及び実施例6の耐火物ライニングが、他の実施例1〜4の耐火物ライニングよりも耐食性に優れていることがわかる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上述した実施形態においては、耐火物ライニングが溶鋼取鍋に採用された場合について説明したが、本発明に係る耐火物ライニングは、溶鋼取鍋に採用する場合には限られず、製鉄プロセスにおける溶融金属を収容するあらゆる容器、例えば、溶銑鍋、混銑車、転炉、脱ガス設備、取鍋、タンデッシュ等に採用することができる。
100 溶鋼取鍋
110 耐火物ライニング
111 ウェア耐火物
112 パーマネント耐火物
113 鉄皮
114 断熱耐火物
M 溶鋼

Claims (5)

  1. 溶融金属用容器の鉄皮の内面側に設けられる耐火物ライニングであって、
    前記溶融金属に直接接触する最内面に配置されるウェア耐火物と、
    前記ウェア耐火物よりも前記溶融金属容器の外面側に配置されるパーマネント耐火物と、
    前記ウェア耐火物と前記パーマネント耐火物との間に配置され、密度が1500kg/m以下の断熱耐火物と、
    からなることを特徴とする、耐火物ライニング。
  2. 前記断熱耐火物は、高温になるほど熱伝導率が低下する耐火物であることを特徴とする、請求項1に記載の耐火物ライニング。
  3. 前記断熱耐火物は、アルミナスピネル質系耐火物、アルミナ質系耐火物、MgO質系耐火物、カーボン質系耐火物、炭化珪素質系耐火物、及びジルコン質系耐火物からなる群から選択される少なくとも1種以上の耐火物であることを特徴とする、請求項2に記載の耐火物ライニング。
  4. 前記断熱耐火物の熱伝導率は、1800℃以下で1W/(m・K)以下であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の耐火物ライニング。
  5. 前記断熱耐火物は、見掛け気孔率が連続的または段階的に変化している傾斜断熱耐火物であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の耐火物ライニング。

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