JP2014051703A - ライニング構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】加熱炉等の工業炉及び製鉄用設備に採用される雰囲気が1000℃を超える窯炉のライニング構造において、耐FeO性に優れると共に放散熱量と蓄熱量の全体として熱損失の削減を可能にするライニング構造を提供する。
【解決手段】製鉄用の窯炉に使用され、耐火物層で構成されるライニング構造であって、前記耐火物層は、CaO・6Alを主たる鉱物組成とした多孔質な断熱性骨材が配合された表層材と、該表層材よりも窯炉使用時において低熱伝導率且つ低かさ比重の物性を有する背面材とで構成され、前記耐火物層の窯炉使用時における放散熱量及び蓄熱量のそれぞれが共に、前記耐火物層を全て前記表層材単独で構成したときよりも小さくなるような厚みの比率で表層材と背面材が構成され、前記表層材の厚みが10mm以上であることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、加熱炉等の工業炉及び製鉄用設備に採用される雰囲気が1000℃を超える窯炉の耐火物ライニング構造に関するものである。特には、耐火物がFeOと接触する環境下で使用される窯炉の耐火物ライニング構造に関するものである。
従来より、耐火性能を必要とする窯炉においては、耐火材として耐火キャスタブルと断熱材とを含むライニング構造が適用されている。例えば、加熱炉のスキッドポストにおけるライニング構造の場合、耐火材として耐火キャスタブルとCF(セラミックファイバー)とを含むライニング構造が適用されている。
しかしながら、従来のライニング構造の場合、かさ比重が約2程度(2.1〜2.5)の耐火キャスタブルを使用していたため、断熱性能が十分でなかった。このため、窯炉の炉外等(加熱炉のスキッドポストの場合は耐火キャスタブルを冷やす冷却水)に放散する熱量(放散熱量)及び耐火キャスタブルの蓄熱量を低減することが困難であった。例えば、間欠的に加熱操業を行う工業炉において、従来よりも低かさ比重の軽量キャスタブルを用いて放散熱量及び蓄熱量を低減することができれば、炉を加熱する際、加熱に要するためのエネルギーを低減することができる。また、製鉄設備において蓄熱量を低減することができれば、耐火材に吸収される熱量を低減でき、溶鉄の温度低下を防止することができる。
上述のように、加熱に要するためのエネルギーの低減及び溶鉄の温度低下の防止を実現するには、放散熱量及び蓄熱量の低減が必要である。放散熱量及び蓄熱量を低減するためには、低かさ比重の軽量キャスタブルをライニング構造に適用する技術が考えられる。このような低かさ比重の軽量キャスタブルを適用することにより、断熱性能が向上し、放散熱量及び蓄熱量の低減を図ることが可能となる。
ここで、低かさ比重の軽量キャスタブルとしては、CaO・6Al(カルシウムヘキサアルミネート、以下CA6という。)を主たる鉱物組成(化合物)とした断熱性骨材を使用した軽量キャスタブルやシリカ・アルミナ中空粒子及びシリカ質中空粒子を骨材とした軽量キャスタブルが知られている(特許文献1〜3参照)。
その他、CF(セラミックファイバー)を含有した軽量キャスタブル(例えば、特許文献4参照)や、珪酸カルシウム質からなる断熱ボード(例えば、特許文献5参照)についても断熱性能を向上させる技術として知られている。
特開2009−203090号公報 特許2005−314222号公報 特開2009−263145号公報 特開2000−203951号公報 特開平8−312939号公報 特開2011−32119号公報
例えば、上述の特許文献1、2に示されたCA6を主たる鉱物組成とした断熱性骨材を使用した軽量キャスタブル(以下「CA6軽量キャスタブル」という。)を耐火材に適用した場合、従来のライニング構造よりも断熱性能は向上すると考えられる。しかしこの場合、耐火材はCA6軽量キャスタブルのみで構成されるため、断熱性能はCA6軽量キャスタブルの性能に依存してしまう。このため、断熱性能には限界があった。すなわち、ライニング構造をCA6軽量キャスタブルのみで構成する場合、放散熱量及び蓄熱量の低減には限界があった。
断熱性能を向上させるためには、軽量キャスタブルの物性として低かさ比重である方が望ましい。このため、例えば、特許文献3に示すような、CA6軽量キャスタブルよりも低かさ比重の軽量キャスタブルを適用することも考えられ得る。
しかし、特許文献3に記載のような低かさ比重の軽量キャスタブルのみを耐火材に適用した場合、耐FeO性が劣るという問題もあった。これは、製鉄工程や廃棄物焼却時に発生するFeO及びFeが耐火物ライニング表面に付着し、高温雰囲気下で耐火材と反応し劣化する反応(劣化反応)が起こるためであると考えられる。この劣化反応は特許文献3に記載のようなSiOを多く含む耐火材に顕著に見られる。
また、CA6が耐FeO性に優れる特性を有することは知られており(例えば、特許文献6参照)、上述のCA6軽量キャスタブルは耐FeO性に優れる特性を有する。また、特許文献3に記載の軽量キャスタブル、特許文献4に記載のCF、特許文献5に記載の断熱ボードは断熱性能に優れる。
このため、炉内側の表層材にCA6軽量キャスタブルを構成し、かつ、表層材の背面側に形成される背面材に断熱性能の優れる材質(軽量キャスタブル、CF又は断熱ボード)を構成すれば、耐FeO性に優れ、且つ放散熱量及び蓄熱量を低減することが可能であると考えられる。
しかしながら、本発明者らが検討したところ、表層材にCA6軽量キャスタブルを構成し、背面材に断熱性能の優れた材質を構成した場合、ライニング構造をCA6軽量キャスタブル単独で構成した場合と比較して、蓄熱量が増加してしまう場合があるという問題が生じることが判った。
このため、単純に表層材と背面材を配置してライニング構造を構成した場合、蓄熱量が増えて熱損失の削減に対して逆効果になる場合があるという問題が生じることが判った。
そこで、本発明は、加熱炉等の工業炉及び製鉄用設備に採用される雰囲気が1000℃を超えるような、製鉄用の窯炉に使用され、耐火物層で構成されるライニング構造において、耐FeO性に優れると共に、蓄熱量単独、及び放散熱量と蓄熱量の全体として、熱損失の削減を可能にする耐火物のライニング構造を提供することを目的とする。
本発明者等は上記目的に鑑み、窯炉中のFeOと直接接触する表層側に、CaO・6Al(CA6)を主たる鉱物組成とした多孔質な断熱性骨材が配合された表面材を配置することで、耐FeO性に優れたものとし、且つ、その反対側(背面側)に、表層材よりも窯炉使用時において低熱伝導率且つ低かさ比重の物性を有する背面材を配置することで、放散熱量と蓄熱量の削減を図るべく、耐火物層のライニング構造について鋭意検討した。
その結果、背面材を配置することで、放散熱量は、表層材単独のときよりも削減でき、背面材の厚み割合が多くなるほど、より放散熱量が小さくなって削減が進むことが確認できた。ところが、蓄熱量は、背面材の厚み割合を0から少しずつ増やしていくと、途中までは表層材単独のときよりも増加していき、ある厚み割合でピークに達し、そこから減少に転じて、背面材の厚み割合が所定の割合以上になって、ようやく表層材単独のときよりも減少することが判明した。
また、特許文献6に記載のような、セラミックファイバーブロックの表面にCA6を含有するコーティング材を、数ミリ以下程度コーティングするような形態では、コーティング材は短期間で損耗又は消失してしまい、頻繁に再コーティングしなければならないという問題があった。
また、耐火物層の蓄熱量の削減は、放熱量の削減以上に重要な場合がある。例えば、大規模な設備になるほど、相対的に投入熱量に対する放熱量の割合が小さくなるため、蓄熱量が、窯炉の立ち上げ時の熱エネルギー消費の支配的因子となるケースや、加熱冷却を繰り返す窯炉において、耐火物層の温度が一旦低下する熱履歴を有する場合に、蓄熱量が、放熱量よりも熱エネルギー消費の支配的因子となるケースなどである。更にまた、加熱冷却を繰り返す窯炉において、窯炉内に溶鉄や鋼板を入れた際に、耐火物層の温度が低下していることで、溶鉄や鋼板の温度が低下するため、これを抑制して品質を安定的に保つ際に、蓄熱量の削減がより重要となる場合もある。
本発明は上記知見に基づいて為されたものであり、その要旨は以下の通りである。
(1)製鉄用の窯炉に使用され、耐火物層で構成されるライニング構造であって、前記耐火物層は、CaO・6Alを主たる鉱物組成とした多孔質な断熱性骨材が配合された表層材と、該表層材よりも窯炉使用時において低熱伝導率且つ低かさ比重の物性を有する背面材とで構成され、前記耐火物層の窯炉使用時における放散熱量及び蓄熱量のそれぞれが共に、前記耐火物層を全て前記表層材単独で構成したときよりも小さくなるような厚みの比率で表層材と背面材が構成され、前記表層材の厚みが10mm以上であることを特徴とするライニング構造。
(2)前記耐火物層は、ケーシングの内側に配置されることを特徴とする(1)に記載のライニング構造。
(3)前記背面材は、軽量キャスタブルからなり、多孔質粒、中空粒子、及び発泡粒の群から選ばれる少なくとも1種からなる軽量骨材を含み、該軽量骨材の含有量は、背面材を構成する粉体原料全体の50〜80質量%であることを特徴とする(1)又は(2)に記載のライニング構造。
(4)前記背面材が2層以上から構成されていることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載のライニング構造。
本発明の効果について以下に述べる。
一般的に、定常状態に近い条件で長期間稼働する連続操業の窯炉は、常時炉外へ放出される放散熱を抑制することがエネルギー損失の低減に効果的である。一方、加熱冷却を短期間に繰り返す間欠操業の窯炉や、溶鉄の運搬や処理に使用される設備は、定常状態(操業設定温度)に至るまでに耐火物へ吸収される熱、いわゆる蓄熱量を抑制することが設備立ち上げ時の熱エネルギー低減や溶鉄の温度低下抑制に多大な効果を生む。
本発明は、CA6を主たる鉱物組成とした多孔質な断熱性骨材が配合された表層材と、該表層材よりも低熱伝導率且つ低かさ比重の物性を有する背面材とで耐火物層が構成され、当該耐火物層の放散熱量及び蓄熱量が、耐火物層を全て前記表層材単独で構成したときよりも小さくなるように表層材と背面材の厚みの比率を構成することで、耐FeO性に優れると共に、蓄熱量単独、及び放散熱量と蓄熱量の全体として、熱損失の削減を可能とすることができる。また、表層材は10mm以上の厚みを有するため、表層コーティング材よりも大幅に、長期に亘って耐久性を確保できる。
本発明を窯炉の炉壁に適用したライニング構造を示す断面図である。 3層構造における伝熱と境界温度を模式した図である。 全厚みに対する表層材の厚み比率と蓄熱量指数及び放散熱量指数との関係を示す図である。 定常状態における耐火材ライニングの内部温度モデルの図である。 2層構造における背面材の熱伝導率と境界温度の関係を示した図である。 表層材を耐火材A、背面材を耐火材Bで構成したライニング構造において、全厚みを変化させた場合における、全厚みに対する表層材の厚み比率と蓄熱量指数との関係を示す図である。 表層材を耐火材A、背面材を耐火材Cで構成したライニング構造において、全厚みを変化させた場合における、全厚みに対する表層材の厚み比率と蓄熱量指数との関係を示す図である。 表層材を耐火材A、背面材を耐火材Dで構成したライニング構造において、全厚みを変化させた場合における、全厚みに対する表層材の厚み比率と蓄熱量指数との関係を示す図である。 表層材を耐火材A、背面材を耐火材Eで構成したライニング構造において、全厚みを変化させた場合における、全厚みに対する表層材の厚み比率と蓄熱量指数との関係を示す図である。
本実施の形態においては、製鉄用の窯炉に使用され、ケーシングの内側に配置される、耐火物層で構成される本発明のライニング構造について説明する。
図1は、窯炉の炉壁に本発明のライニング構造を適用した例の断面図である。図1に示すように、炉壁は、炉内側になる表層材1と、表層材1の背面に形成される背面材2と、ケーシング3と、で構成されている。ケーシングは例えば、金属製のものが用いられ、製鉄用に使用される窯炉においては、鉄皮が使用されることが多い。対象とする窯炉としては、特に限定されるものではないが、例えば、加熱炉や焼結炉などの炉壁に適用できる。
なお、表層材の背面とは、表層材が加熱される際に熱エネルギーが移動する方向側の面のことをいう。また、背面材2は1層に限られることなく、2層以上積層してもよい。
表層材は、耐FeOに優れたCA6を主たる鉱物組成とした、気孔率が60%以上の多孔質な断熱性骨材(例えば、アルマティス社のSLA−92)が配合された耐火材を使用する。CA6断熱性骨材は、かさ比重が0.65〜0.95程度、内部の平均気孔径が3〜4μm程度であることから、高断熱性を達成でき、また主鉱物の融点が約1830℃であるため高耐火性も達成できる。
表層材は耐火性粉体組成物と添加剤とで構成され、耐火性粉体組成物には、CA6断熱性骨材及びそれ以外の耐火原料(耐火性骨材とも言う)、並びに結合剤が含まれる。このうちCA6断熱性骨材は、耐火性粉体組成物の40〜80質量%が含まれることが好ましい。
その理由は、40質量%未満では、表層材の耐FeO性能及び断熱性能が低下し過ぎてしまう場合があり、期待されている断熱効果が得られず、80質量%を超えると、CA6断熱性骨材以外の耐火性骨材及び結合材(例えば、アルミナセメント)の割合が少なくなり、強度や耐損耗性能が不足する場合があるためである。
なお、断熱性骨材の気孔率は2mm以上の粗粒について粒度2〜3.36mmに破砕・粒度調整し、学振法2のマグネシアクリンカーの見掛け気孔率の測定方法に準じた方法で測定する。
表1及び表2は、表層材と背面材の耐火材に関するデータを示すものである。
Figure 2014051703
Figure 2014051703
表1及び表2に示す耐火材A〜Fのうち、耐火材AはCA6断熱性骨材を主骨材とするCA6軽量キャスタブルである。
表層材において、CA6断熱性骨材と混合する耐火原料は、電融アルミナ、仮焼アルミナ(以下、アルミナ質原料と記す)、マグネシア、スピネル、ジルコニア等である。さらに、これらに溶融シリカ、仮焼アルミナ、超微粉シリカ、炭化珪素、窒化珪素等を組み合わせて使用される。
結合剤としては、例えば、アルミナセメント、水硬性アルミナ、ポルトランドセメント等のセメント、水硬組成物等を使用できる。
添加剤としては、分散材、金属粉、炭化物、硼化物、ガラス成分、ファイバー類、増粘剤、凝結調整剤、消泡剤、起泡剤、等が挙げられ、1種又は2種以上が適宜添加される。
分散剤としては、例えば、縮合リン酸、ポリアクリル酸、ポリカルボン酸、ホスホン酸、フミン酸、アルキルスルホン酸、芳香族スルホン酸等、あるいはこれらと同様な効果が得られる物質から1種又は2種以上を選択して、適宜使用することができる。
また、耐火物組織の強度向上の目的で、アルミニウム、アルミニウム−シリコン合金、アルミニウム−マグネシウム合金、アルミニウム−シリコン−マグネシウム合金、シリコン、マグネシウム等の金属粉、炭化硼素等の炭化物、硼化ジルコニウム等の硼化物、あるいは硼珪酸ガラス等のガラス成分を添加することもできる。
さらに必要によっては、金属ファイバー、有機ファイバー、無機ファイバー等のファイバー類、あるいは粘土、ベントナイト、CMC等の増粘剤、さらには凝結調整剤、消泡剤、起泡剤(AE剤)、耐火粗大粒子等を添加してもよい。
これらの耐火材を構成する原料に、施工水分を外掛けで適量添加し、混練後成型して、表層材とする。
また、表層材の厚みは10mm以上とする。表3に耐火材Aを高さ100mm、幅(縦及び横)100mmの枠に、所定の厚みで流し込み、24時間後に脱枠し、1000℃まで電気炉で急加熱した試料の状況を示す。表3に示す通り、厚みが10mm未満の場合、流し込み施工時の充填不良並び急加熱時の熱衝撃による亀裂が生じることが判った。そのため、1000℃以上の高温下で用いられる製鉄用の窯炉に使用される表層材としての耐FeO特性を損なうことは明らかである。従って、表層材の厚みは10mm以上であることが必要である。
Figure 2014051703
背面材は、耐火性粉体組成物と添加剤とで構成され、耐火性粉体組成物には、耐火原料(耐火性骨材とも言う)、及び結合剤が含まれる。
また、背面材には、表2に示す耐火材B〜耐火材Eの様に、CA6軽量キャスタブルよりも低熱伝導率であって低かさ比重の物性を有する耐火性粉体組成物を使用する。
耐火材Bは、フライアッシュバルーンを70質量%、超微粉シリカ10質量%、アルミナセメント20質量%を配合し、前記の耐火性粉体組成物に対して外掛けで0.05質量%の起泡剤を添加した原料構成とした。また、耐火材Bは、施工水分を外掛けで添加し混練後成型した軽量キャスタブルであってかさ比重は0.42である。
耐火材Cは、微細多孔性断熱材(黒崎播磨(株) 商品名:Porex therm WDS:以下、WDSと記す)であってかさ比重は0.23である。
耐火材Dは、かさ比重が0.12の珪酸カルシウム質の断熱ボードである。
耐火材Eは、かさ比重が0.13のセラミックファイバーブランケットである。
耐火材Fは、超微粉シリカ、アルミナセメント、軽量シャモット質骨材及び粘土を含有する軽量キャスタブルである。
なお、背面材として軽量キャスタブル(耐火材B)を使用する場合は、多孔質粒、中空粒子及び発泡粒の少なくとも1種からなる軽量骨材を含み、軽量骨材の含有量は背面材を構成する粉体原料全体の50質量%以上80質量%以下であることが好ましい。軽量骨材の含有量が50質量%未満となると、かさ比重が重くなるため、断熱性能が低下するからである。また、軽量骨材の含有量が80質量%を超えると、結合剤(例えば、アルミナセメント)の添加量が制限されるため、背面材の強度が低下するためである。
例えば、多孔質粒の軽量骨材とは、軽量アルミナ、軽量シャモット、断熱レンガ屑、珪石レンガ屑、シャモットレンガ屑のことであり、中空粒子の軽量骨材とは、フライアッシュバルーン、シリカバルーン、ガラスバルーンのことであり、発泡粒の軽量骨材とは、パーミュライト、バーミキュライトのことである。
また、背面材の添加剤としては、表層材と同様に、分散材、金属粉、炭化物、硼化物、ガラス成分、ファイバー類、増粘剤、凝結調整剤、消泡剤、起泡剤、等が挙げられ、1種又は2種以上が適宜添加される。
分散剤としては、例えば、縮合リン酸、ポリアクリル酸、ポリカルボン酸、ホスホン酸、フミン酸、アルキルスルホン酸、芳香族スルホン酸等、あるいはこれらと同様な効果が得られる物質から1種又は2種以上を選択して、適宜使用することができ、耐火物組織の強度向上の目的で、アルミニウム、アルミニウム−シリコン合金、アルミニウム−マグネシウム合金、アルミニウム−シリコン−マグネシウム合金、シリコン、マグネシウム等の金属粉、炭化硼素等の炭化物、硼化ジルコニウム等の硼化物、あるいは硼珪酸ガラス等のガラス成分を添加することもできる。
さらに必要によっては、有機ファイバー、無機ファイバー等のファイバー類、あるいは粘土、べントナイト、CMC等の増粘剤、さらには凝結調整剤、消泡剤、起泡剤(AE剤)、を添加してもよい。
表層材及び背面材で構成される耐火物層からなるライニング構造を設計する上では、表層材と背面材との厚み比率は重要である。これは、表層材と背面材との厚み比率によっては、耐火物層をCA6軽量キャスタブル単独で構成した場合よりも蓄熱量が増加してしまい、熱損失の削減に対して逆効果になってしまうからである。
次に、本発明における放散熱量及び蓄熱量の算出方法について説明する。放散熱量及び蓄熱量は以下に示す式1〜式11(耐火物手帳(1971年度版)/耐火物技術協会/昭和46年5月31日第1印発行、77ページ〜81ページから引用)より求める。
炉壁3層構造(表層材1層、背面材1層の耐火物層2層、及びケーシング(鉄皮)1層を想定)における伝熱と境界温度を模式した図2を例に説明する。
炉壁1、2、3の熱伝導率をそれぞれλ1、λ、λ、厚みをそれぞれl、l、lとする。また、内壁(熱面)温度をt、第1境界温度をt、第2境界温度をt、外壁(冷面)温度をtとする。熱伝導率の値としては温度―熱伝導率曲線からその炉材の受ける温度範囲の平均熱伝導率を用いる。定常状態における各炉壁間の単位時間、単位面積当たりの移動伝熱量Qは式1で示される。
Figure 2014051703
また、定常状態での単位時間、単位面積当たりにおける、外壁面より静止空気への放散熱量Qは、自然対流伝熱量Qと放射伝熱量Qとの和で、式2で示される。
Figure 2014051703
黒度(熱輻射率)は外壁(鉄皮)の材料または塗布剤などによって数値を決める。
放散熱量及び炉壁各部の温度計算方法は炉壁を構成する各耐火材の移動伝熱量Qは外壁面より放散する熱量Qに等しいため、内壁温度tを与えて(例えば、想定される炉内溶鋼温度や炉内ガス温度)、外壁温度tならびに各境界温度t、tを種々仮定し、かつ各層の熱伝導率はt並びに仮定した温度の平均温度における熱伝導率を取り、上記各数値を式1、式2に代入して試算し、Q=Qを最も満足するまで仮定値を変えて試算を繰り返す。Q=Qを最も満足する値が正しい放散熱量である。なお、炉壁各部の温度は、Q=Qを最も満足するt、t、tが求める温度である。具体的には、例えば、Q及びQの値の差が0.1kcal/mh以内のとき、Q=Qを最も満足する値と判定する。なお、当該閾値は、精度及び収束のし易さを考慮して、適宜設定すればよい。
内壁温度tが解っている場合、まず外壁温度tを適当な値に仮定し、式8によって移動伝熱量Qを試算する。
Figure 2014051703
とQを式2と式8で求め、もし、Q>Qであれば、tを低く仮定しすぎたのであるから、tを少し高く取って試算し直す。これを繰り返し、Q=Qになった時の値が正しい放散熱量、tが正しい外壁温度である。
なお、境界温度t、tは式9、式10で示される。
Figure 2014051703
蓄熱量は炉壁が定常状態に達し、前述の計算によって炉壁各部の温度が解れば式11によって多層壁の蓄熱量を算出することができる。
Figure 2014051703
なお、背面材が2層構造の場合は、式1〜式11における第2層目が2つの層に分かれているものとして求める。すなわち、炉壁4層構造として求める。背面材が3層以上になった場合も同様に求めればよい。
本発明においては、上記の方法で、表層材と背面材からなる耐火物層の窯炉使用時(使用時の温度)における放散熱量及び蓄熱量を計算し、一方、式1〜式11における第2層目を削除して、耐火物層を全て表層材単独で構成したときの窯炉使用時(使用時の温度)における放散熱量及び蓄熱量を計算し、両者の計算値を比較して、前者の放散熱量及び蓄熱量がそれぞれ共に、後者の放散熱量及び蓄熱量よりも小さくなるような厚みの比率で、表層材と背面材が構成されていればよい。但し、表層材の厚みは10mm以上が必要である。
次に、具体例を挙げて、説明する。
図3は、図1に示すような、ケーシング3の内側に、耐火物層を配置し、ケーシング3に隣接して背面材2として耐火材B、表層材1として耐火材Aを採用し、耐火物層の全厚みを400mmとした場合における、表層材の厚み/全厚み(すなわち、全厚みに対する表層材の厚み比率)と、放散熱量指数及び蓄熱量指数との関係を示した図である。
ここで、放散熱量指数とは、耐火物層をCA6軽量キャスタブル単独で構成した場合(後述する比較例1)の放散熱量を100としたときの指数であり、蓄熱量指数とは、耐火物層をCA6軽量キャスタブル単独で構成した場合(後述する比較例1)の蓄熱量を100としたときの指数である。耐火材A、耐火材Bを任意の厚み比率で構成した場合の放散熱量と蓄熱量については、上述した式1〜式11を用いて算出した。
このときの、前提条件としては炉壁の加熱前温度及び外気温度を20℃、定常状態後の内壁温度を1300℃、完全黒体の放射定数を4.96、黒度を0.85として算出し、ケーシングとして鉄を用い、ケーシング厚み(鉄皮厚み)は4.5mmとしている。鉄の熱伝導率、かさ比重、比熱は代表的な値を用い、Q=Qになったときの最終的な温度分布時においては、熱伝導率は67(kcal/mh℃)、かさ比重は7.85、比熱は0.45(kcal/kg℃)として算出した。
なお、熱伝導率、かさ比重は後述する方法で測定した値を用いた。比熱は、耐火物技術協会から発刊されている耐火物手帳の「各種れんがの平均比熱及び実験式」より近似値を求めた。
熱伝導率は、JIS R 2616(熱線法)に準じて測定した値である。
また、かさ比重は、耐火材C、D、EにおいてはJIS R 2614に準じて測定したかさ比重であり、耐火材A、B、Fにおいては350℃で24時間乾燥した試験片をJIS R 2655に準じて測定したかさ比重である。耐火材A、B、Fの様な結合剤として水硬性のセメントを含む耐火材は水と反応して水和物を生成する。この水和物は110℃では完全に脱水反応しない。一方、1000℃を超える雰囲気炉における操業時の背面材内部温度は300℃〜1250℃となり、水和物が殆ど存在しない状態である。よって350℃まで温度を上げ、水和物を完全に脱水させた後のかさ比重を測定する必要がある。また、耐火材C、D、Eは水硬性セメントを使用しておらず水和物が生成しないため耐火材に含まれる水分が乾燥する110℃乾燥後のかさ比重を測定すればよい。かさ比重は、温度によって大きくは変化しないため、350℃で測定した一定値を、式11では、使用すればよい。
図3の横軸は、耐火物層の全厚みに対する表層材の厚み比率を示す。横軸が1の場合、全厚みの全てがCA6軽量キャスタブル単独で構成されることを示す。縦軸は蓄熱量指数及び放散熱量指数を示す。
図3に示すように、背面材の配置により、放散熱量は、表層材単独のときよりも削減でき、表層材の厚み比率が小さくなるほど(背面材の厚み比率が大きくなるほど)、より放散熱量が小さくなって削減が進む。これは熱伝導率が表層材よりも低い背面材の存在により、背面材の表面温度(表層材とは反対側の表面)が低下し、表層材の厚み比率が小さくなるほど背面材の厚み比率が大きくなって、より背面材の表面温度が低下するためである。
ところが、蓄熱量は、表層材の厚み比率を1から少しずつ減らしていくと(背面材の厚み比率を0から少しずつ増やしていくと)、途中までは表層材単独のときよりも増加していき、厚み比率が0.85付近でピークに達し、そこから減少に転じて、表面材の厚み比率が0.65付近になって、ようやく表層材単独のときと同等になる(蓄熱量指数は100となる)。すなわち、全厚みの全てをCA6軽量キャスタブル単独で構成した場合と同じ蓄熱量となる。また、蓄熱量指数は全厚みに対する表層材の厚み比率が約0.65以下の場合は、減少傾向を示す。すなわち、全厚みに対する表層材の厚み比率が約0.65以下の場合は、全厚みの全てをCA6軽量キャスタブルで構成した場合よりも蓄熱量が減少する。
表層材より熱伝導率の低い耐火材を背面材に用いた場合に厚み比率によっては表層材単独で構成した場合に比較し蓄熱量が高くなる理由を図4、図5を参照して説明する。
図4に示す定常状態における耐火材内部温度で考えた場合、かさ比重、比熱が一定と仮定すると、モデルの面積で蓄熱量を代用して表すことができる。例えば表層材単独で構成されたライニング構造の内部温度を線A−Cで表わしている場合、その蓄熱量は面ABDCの面積と考えられる。また、表層材と背面材との2層で構成されたライニング構造で境界線を線E−G、内部温度を線A−F−Dで表わしている場合、その蓄熱量は面ABDFの面積と考えられる。このとき、面ABDCの面積に対し面ABGFの面積が広い場合は2層構造にすることによって蓄熱量が増加することを示す。
図5は表層材に耐火材A、背面材に表層材より熱伝導率の低い耐火材を構成した場合における背面材の熱伝導率と境界温度の関係を表したものである。熱伝導率が低くなるに従い境界温度が高くなることがわかる。これを図4で示すと背面材の熱伝導率が低いほど点Fが点Eに近づくこと、すなわち面ABGFの面積が拡大することを指す。
その一方、表層材の厚み比率を小さくしていくと(背面材の厚み比率を大きくしていくと)、すなわち、境界線E−GをB側に近づけていくと、それに応じて点Dが低下していく。そのため、面ABDFの面積は、点Fの増加と点Dの低下のバランスによって定まり、表層材の厚み比率に対応するピーク値を有することになる。
実際に背面材に耐火材B、又は耐火材Cを用いて、全厚みに対する表層材の厚み比率を0.6、及び0.9としたときの境界温度、及び蓄熱量を算出して表4に示す。背面材に熱伝導率が0.155(kcal/mh℃)である耐火材Bを適用した構造と熱伝導率が0.019(kcal/mh℃)である耐火材Cを適用した構造とで同じ厚み比率の場合で比較すると、熱伝導率の低い耐火材Cを適用した構造の方が境界温度は高く、蓄熱量も高いことがわかる。また、背面材に耐火材Bを適用した構造で厚み比率と蓄熱量の関係をみると、厚み比率が1.0の場合の蓄熱量は68,392kcal/m、厚み比率が0.9の場合の蓄熱量は70,971kcal/mと増大し、厚み比率が0.6となると蓄熱量は66,654kcal/mと減少する。
これらから表層材より熱伝導率の低い耐火材を背面材に用いた場合に厚み比率によっては表層材単独で構成した場合に比較し蓄熱量が高くなることがわかる。
Figure 2014051703
本発明においては、放散熱量と蓄熱量の全体として、表層材単独の場合と比較して、熱損失の削減を可能にすることはもちろんのこと、蓄熱量単独においても、表層材のみの場合と比較して、熱損失の削減を可能にする耐火物のライニング構造とする。これは、上述したように、大規模な窯炉や、加熱冷却を繰り返す窯炉などにおいて、耐火物層の蓄熱量の削減は、放熱量の削減以上に重要で、熱エネルギー消費の支配的因子となる場合があるためである。
その際、放散熱量は、表層材の比率が低下するほど(背面材の割合が増加するほど)に低下していくため、蓄熱量単独において、表層材のみの場合よりも削減できれば、放散熱量と蓄熱量の合計においても、削減できることになる。
従って、以下の説明においては、主として蓄熱量の削減効果について述べる。
図6は、耐火物層として表層材を耐火材A、背面材を耐火材Bで構成したライニング構造において、全厚みを変化させた場合における、全厚みに対する表層材の厚み比率と蓄熱量指数との関係を示す図である。図6に示すように、全厚みが70mmのときは全厚みに対する表層材の厚み比率が約0.8以下のときに蓄熱量指数は100未満となり、全厚みが200mmのときは全厚みに対する表層材の厚み比率が約0.7以下のときに蓄熱量指数は100未満となり、全厚みが400mmのときは、上述の通り全厚みに対する表層材の厚み比率が約0.65以下のときに蓄熱量指数は100未満となる。
図7は、耐火物層として表層材を耐火材A、背面材を耐火材Cで構成したライニング構造において、全厚みを変化させた場合における、全厚みに対する表層材の厚み比率と蓄熱量指数との関係を示す図である。図7に示すように、全厚みが70mmの場合、全厚みに対する表層材の厚み比率が約0.57以下で蓄熱量指数は100未満となり、全厚みが200mmの場合、全厚みに対する表層材の厚み比率が約0.52以下で蓄熱量指数は100未満となり、全厚みが400mmの場合、全厚みに対する表層材の厚み比率が約0.5以下で蓄熱量指数は100未満となる。
図8は、耐火物層として表層材を耐火材A、背面材を耐火材Dで構成したライニング構造において、全厚みを変化させた場合における、全厚みに対する表層材の厚み比率と蓄熱量指数との関係を示す図である。図8に示すように、全厚みが70mmの場合、全厚みに対する表層材の厚み比率が約0.7以下で蓄熱量指数は100未満となり、全厚みが200mmの場合、全厚みに対する表層材の厚み比率が約0.63以下で蓄熱量指数は100未満となり、全厚みが400mmの場合、全厚みに対する表層材の厚み比率が約0.6以下で蓄熱量指数は100未満となる。
図9は、耐火物層として表層材を耐火材A、背面材を耐火材Eで構成したライニング構造において、全厚みを変化させた場合における、全厚みに対する表層材の厚み比率と蓄熱量指数との関係を示す図である。図9に示すように、全厚みが70mmのときは全厚みに対する表層材の厚み比率が約0.7以下のときに蓄熱量指数は100未満となり、全厚みが200mmのときは全厚みに対する表層材の厚み比率が約0.64以下のときに蓄熱量指数は100未満となり、全厚みが400mmのときは全厚みに対する表層材の厚み比率が約0.61以下のときに蓄熱量指数は100未満となる。
表5は本発明の実施例について、表6は比較例について、それぞれの放散熱量指数、蓄熱量指数、表層材の耐FeO性の評価を示したものである。
放散熱量指数及び蓄熱量指数の評価においては、比較例1と比較して低い値(すなわち、100より低い値)である方が好ましい。
表層材の耐FeO評価は以下の方法で行った。
先ず、85mm×85mm×80mmの上部中央部分にφ35mm×35mm深さの穴を開けたルツボ形状へ表層材の試料を鋳込んだ。そして、ルツボ形状に鋳込んだ試料を110℃×24時間乾燥後、酸化鉄を40g入れ、1500℃×5時間焼成し、酸化鉄に侵食された試料の寸法を測定した。測定により、侵食寸法が1mm以上認められたものを×、1mm未満を○とした。
また、総合評価は、上記表層材の耐FeO性の評価に加え、図1に示すようなケーシングの内側に耐火物層を配置したライニング構造にて、放散熱量指数、蓄熱量指数を評価し、総合的に評価したものである。評価は○、×の相対評価により行った。具体的には、放散熱量指数及び蓄熱量指数が共に100未満の場合、総合評価は○とした。また、放散熱量指数及び蓄熱量指数のいずれか1つが100以上の場合、総合評価は×とした。また、耐FeO性が×の場合も総合評価は×とした。
Figure 2014051703
Figure 2014051703
実施例1は、表層材にCA6軽量キャスタブル(耐火材A)を用い、背面材にフライアッシュバルーンを主原料とした軽量キャスタブル(耐火材B)を用いた例である。実施例1は全厚みに対する表層材の厚み比率を0.63としたものである。この場合、指数評価の基準となる背面材のない比較例1の100と比較して、蓄熱量指数は低下し、放散熱量指数は大幅に低下した。また、耐FeO性の評価は○であった。このため、総合評価は○となった。
実施例2〜4は、実施例1と同じ耐火材(表層材に耐火材A、背面材に耐火材B)を用い、全厚みに対する表層材の厚み比率を、実施例2は0.50、実施例3は0.25、実施例4は0.05としたものである。いずれも指数評価の基準となる背面材のない比較例1の100と比較して、蓄熱量指数及び放散熱量指数は大幅に低下した。また、耐FeO性の評価は○であった。このため、総合評価は○となった。
実施例5は、表層材にCA6軽量キャスタブル(耐火材A)を用い、背面材に珪酸カルシウム断熱ボード(耐火材D)を用いた例である。実施例5は全厚みに対する表層材の厚み比率を0.50とした。この場合、指数評価の基準となる背面材のない比較例1の100と比較して、蓄熱量指数は低下し、放散熱量指数は大幅に低下した。また、耐FeO性の評価は○であった。このため、総合評価は○となった。
実施例6は、表層材にCA6軽量キャスタブル(耐火材A)を用い、背面材にフライアッシュバルーンを主原料とした軽量キャスタブル(耐火材B)とWDS(耐火材C)を用いた3層構造の例である。実施例6は全厚みに対する表層材の厚み比率を0.45とした。この場合、指数評価の基準となる背面材のない比較例1の100と比較して、蓄熱量指数は低下し、放散熱量指数は大幅に低下した。また、耐FeO性の評価は○であった。このため、総合評価は○となった。
実施例7は、表層材にCA6軽量キャスタブル(耐火材A)を用い、背面材に断熱ボード(耐火材D)とWDS(耐火材C)とを用いた3層構造の例である。実施例7は全厚みに対する表層材の厚み比率を0.45とした。この場合、指数評価の基準となる背面材のない比較例1の100と比較して、蓄熱量指数は低下し、放散熱量指数は大幅に低下した。また、耐FeO性の評価は○であった。このため、総合評価は○となった。
実施例8は、表層材にCA6軽量キャスタブル(耐火材A)を用い、背面材にセラミックファイバーブランケット(耐火材E)とWDS(耐火材C)とを用いた3層構造の例である。実施例8は全厚みに対する表層材の厚み比率を0.45とした。この場合、指数評価の基準となる背面材のない比較例1の100と比較して、蓄熱量指数は低下し、放散熱量指数は大幅に低下した。また、耐FeO性の評価は○であった。このため、総合評価は○となった。
比較例1はCA6軽量キャスタブル(耐火材A)のみ用いた1層構造の例である。実施例1と比較して、低かさ比重の背面材がないため放散熱量指数で高い結果となった。比較例1を基準としているため、総合評価は対象外とした。
比較例2は、フライアッシュバルーンを主原料とした軽量キャスタブル(耐火材B)のみ用いた1層構造の例である。この場合、耐FeO性の評価が×である。このため、総合評価は×となった。
比較例3は、表層材に比較例1で用いたCA6軽量キャスタブル(耐火材A)を用い、背面材にフライアッシュバルーンを主原料とした軽量キャスタブル(耐火材B)を用いた例であるが、蓄熱量指数が100を上回る。このため、総合評価は×となった。
比較例4は、表層材に比較例1で用いたCA6軽量キャスタブル(耐火材A)を用い、背面材にフライアッシュバルーンを主原料とした軽量キャスタブル(耐火材B)及びWDS(耐火材C)を用いた3層構造の例であるが蓄熱量指数が100を上回る。このため、総合評価は×となった。
比較例5は、本発明の規定であるCA6軽量キャスタブルを表層材に使用せずに軽量シャモット質原料を主鉱物とした軽量キャスタブル(耐火材F)を表層材に用いた例である。この場合、耐FeO性の評価が×である。このため、総合評価は×となった。
上述の通り、本発明は背面材に耐火材B、C、D及びEの少なくとも1つが適用される。すなわち、背面材には異なる物性を有する材質が適用される。この場合において、背面材の物性範囲を規定し、規定した範囲内において蓄熱量指数が100未満となるような指標があれば、ライニング構造を設計する際の指標となり好ましい。
以上、本実施例のように、断熱性に優れ、且つSiO含有率の低いCA6軽量キャスタブルからなる表層材と、表層材よりも低熱伝導率であって低かさ比重の物性を有する1層又は2層以上の背面材とで耐火物層を構成し、かつ、表層材及び背面材で構成された耐火物層の蓄熱量が、耐火物層を表層材単独で構成したときの蓄熱量以下となるように、表層材及び背面材の全厚みに対する表層材の厚み比率を構成することで、耐FeO性に優れると共に、放散熱量と蓄熱量の全体としての熱損失の削減が可能となった。
なお、上記実施例においては、背面材が1層(実施例1〜5)又は2層構造(実施例6〜8)である場合を説明したがこれに限定されるものではない。例えば、表層材及び背面材で構成された耐火物層の蓄熱量が、耐火物層をCA6軽量キャスタブル単独で構成したときの蓄熱量未満となれば、背面材を3層以上の構造としてもよい。
1:表層材
2:背面材
3:ケーシング(鉄皮)

Claims (4)

  1. 製鉄用の窯炉に使用され、耐火物層で構成されるライニング構造であって、
    前記耐火物層は、CaO・6Alを主たる鉱物組成とした多孔質な断熱性骨材が配合された表層材と、該表層材よりも窯炉使用時において低熱伝導率且つ低かさ比重の物性を有する背面材とで構成され、
    前記耐火物層の窯炉使用時における放散熱量及び蓄熱量のそれぞれが共に、前記耐火物層を全て前記表層材単独で構成したときよりも小さくなるような厚みの比率で表層材と背面材が構成され、
    前記表層材の厚みが10mm以上であることを特徴とするライニング構造。
  2. 前記耐火物層は、ケーシングの内側に配置されることを特徴とする請求項1に記載のライニング構造。
  3. 前記背面材は、軽量キャスタブルからなり、多孔質粒、中空粒子、及び発泡粒の群から選ばれる少なくとも1種からなる軽量骨材を含み、該軽量骨材の含有量は、背面材を構成する粉体原料全体の50〜80質量%であることを特徴とする請求項1又は2に記載のライニング構造。
  4. 前記背面材が2層以上から構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のライニング構造。
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