JP2010241700A - アクリル酸の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】
プロピレンの二段接触気相酸化よりアクリル酸を製造する方法において、工業的な規模でより長期間、安定してアクリル酸を製造する。
【解決手段】
固定床多管式反応器の各反応管の下部および上部に、プロピレンを酸化して主としてアクロレインを製造するに適した前段触媒およびアクロレインを酸化してアクリル酸を製造するに適した後段触媒を充填して前段触媒層と後段触媒層とを設け、またこれら前段触媒層と後段触媒層との間には不活性物質を充填して不活性物質層を設け、プロピレンを前段触媒により気相酸化して主としてアクロレインを生成させ、引き続きこのアクロレインを後段触媒により気相酸化してアクリル酸を製造する方法において、前段触媒層または後段触媒層の一方のみを交換する際に前記不活性層の少なくとも一部をも交換する。
【選択図】 なし
プロピレンの二段接触気相酸化よりアクリル酸を製造する方法において、工業的な規模でより長期間、安定してアクリル酸を製造する。
【解決手段】
固定床多管式反応器の各反応管の下部および上部に、プロピレンを酸化して主としてアクロレインを製造するに適した前段触媒およびアクロレインを酸化してアクリル酸を製造するに適した後段触媒を充填して前段触媒層と後段触媒層とを設け、またこれら前段触媒層と後段触媒層との間には不活性物質を充填して不活性物質層を設け、プロピレンを前段触媒により気相酸化して主としてアクロレインを生成させ、引き続きこのアクロレインを後段触媒により気相酸化してアクリル酸を製造する方法において、前段触媒層または後段触媒層の一方のみを交換する際に前記不活性層の少なくとも一部をも交換する。
【選択図】 なし
Description
本発明は、一つの固定床反応器を用いて、プロピレンの二段接触気相酸化によりアクリル酸を製造する方法に関する。
アクリル酸の製造方法として、プロピレンの二段接触気相酸化法が最も一般的であり、広く工業的に行われている。この方法は、プロピレンをアクロレインに接触気相酸化する前段反応およびアクロレインをアクリル酸に接触気相酸化する後段反応とからなる。このような反応を行うにあたり、従来、前段反応に好適な触媒(以下「前段触媒」という)を充填した前段反応器と後段反応に好適な触媒(以下「後段触媒」という)を充填した後段反応器の2つの反応器を用いる方法と、一本の反応管内に前段触媒を充填した前段反応帯と後段触媒を充填した後段反応帯を設けた一つの反応器(以下「シングルリアクター」という)を用いる方法の大きく分けて2つの方法が提案されている。また、このような1つの反応器を用いる場合、前段触媒層と後段触媒層との間に不活性物質を充填した不活性物質層を設ける方法も提案されている。(特開平11−130722号公報)
二段接触酸化法によりプロピレンからアクリル酸を製造する方法では、通常、接触酸化反応は長期間継続して行われ、その間、徐々に触媒性能は劣化していく。また、反応条件の異常等による急激な発熱等により予期せぬ触媒の性能低下を引き起こす場合もある。このように触媒性能が劣化した場合、通常、性能劣化した触媒を抜出しフレッシュ触媒に交換することが必要となるが、二段接触酸化法では前段触媒と後段触媒とで必ずしも同時に性能劣化が起こるものではなく、通常は一方の触媒のみが性能劣化し、性能劣化した触媒のみをフレッシュ触媒に交換することになる。
二段接触酸化法によりプロピレンからアクリル酸を製造する方法では、通常、接触酸化反応は長期間継続して行われ、その間、徐々に触媒性能は劣化していく。また、反応条件の異常等による急激な発熱等により予期せぬ触媒の性能低下を引き起こす場合もある。このように触媒性能が劣化した場合、通常、性能劣化した触媒を抜出しフレッシュ触媒に交換することが必要となるが、二段接触酸化法では前段触媒と後段触媒とで必ずしも同時に性能劣化が起こるものではなく、通常は一方の触媒のみが性能劣化し、性能劣化した触媒のみをフレッシュ触媒に交換することになる。
しかしながら、前記した1本の反応管内に前段触媒層と後段触媒層およびこれらの間に不活性物質層を設けた反応器を用いる方法においては、単に性能劣化した触媒を抜き出し、フレッシュ触媒と交換しただけでは、圧力損失が高すぎたり、フレッシュ触媒の性能が充分に発揮できなかったりして、長期間安定して目標とするアクリル酸収率を維持できない場合が多く、より有効な方法が望まれている。
かくして、本発明の目的は、プロピレンの二段接触気相酸化によりアクリル酸を製造する方法において、工業的な規模で触媒を交換した後も安定して長期間にわたってアクリル酸を製造するための方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、一本の反応管内にプロピレンを酸化して主としてアクロレインを製造するに適した前段触媒およびアクロレインを酸化してアクリル酸を製造するに適した後段触媒を充填して前段触媒層と後段触媒層とを設け、これら前段触媒層と後段触媒層との間に不活性物質を充填した不活性物質層を設けた固定床反応器を用い、プロピレンの二段接触気相酸化によるアクリル酸を製造する方法において、前段触媒または後段触媒の一方のみを交換する際に前記不活性物質層の少なくとも一部をも交換することにより、単に性能劣化した触媒のみを交換する場合に比べ、飛躍的に圧力損失の増加を防ぐことが可能となるとともに、より安定して長期間にわたり高い収率でアクリル酸の製造が可能となることを見出した。
本発明によれば、上記課題の解決により、プロピレンの二段接触気相酸化よりアクリル酸を製造する方法において、単に触媒のみを交換する方法に対し、より安定して長期間にわたり高い収率でアクリル酸の製造が可能となる。
以下、本発明にかかる二段接触気相酸化法によるアクリル酸の製造方法について詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更し、実施することができる。
本発明の方法は、反応管内にプロピレンを酸化して主としてアクロレインを製造するに適した前段触媒を充填した前段触媒層とアクロレインを酸化してアクリル酸を製造するに適した後段触媒を充填し後段触媒層、およびこれら前段触媒層と後段触媒層との間に不活性物質を充填した不活性物質層を設けた固定床反応器を用い、プロピレンを前段触媒により気相酸化して主としてアクロレインを生成させ、引き続きこのアクロレインを後段触媒により気相酸化してアクリル酸を製造する方法において、一つの触媒層のみを交換するに際し、前記不活性層の少なくとも一部をも交換すればよい。
通常、前記不活性物質層は、前段触媒からのアクロレインを含有するガスを後段触媒へ導入する際にそのガス温度を後段反応に適した温度に冷却することが目的である。一方、原料ガスに含まれる不純物や前段触媒から昇華したモリブデン成分あるいは前段反応によって副生する高沸点物など(以下、「阻害物」という)が付着する場合があり、従来は、特開平6−263689号公報に記載のように、定期的に反応を停止し触媒を反応管に充填したままで、分子状酸素と水蒸気とを含有する混合ガスを流通させながら所定の温度で熱処理することにより、それら阻害物を除去する方法がなされている。しかし、この方法では、阻害物を完全には除去しきれないため、不活性物質の表面などに残った阻害物が核となり新たな阻害物が付着し、圧損上昇さらには後段触媒への汚染等が進行しやすくなる。それ故、反応管上部に充填された触媒を交換する際に、単に触媒のみを交換しただけでは、フレッシュな触媒に交換した効果が低下してしまう。
本発明における不活性物質層の交換量としては、不活性物質層全体に対し、50%以上が好ましい。また、反応管下部に充填されている触媒を誤って抜き出すことを防止する面から90%以下が好ましい。なお、反応管から触媒や不活性物質を抜き出す方法としては特に限定はなく、例えば前記特開2002−301355号公報に記載の公知の方法を用いることができる。
また、不活性物質および触媒を抜き出した後、新たに充填する際においても、例えば特開2002−306953号公報や特開2003−340267号公報などに記載の公知の方法を用いることができる。
本発明で用いられるプロピレンを接触気相酸化してアクロレインに変換するための触媒(前段触媒)としては、特に制限はなく、公知の一般に用いられている酸化物触媒を用いることができる。具体的には、前段触媒としては、下記一般式(I):
MoaBibFecX1dX2eX3fX4gOx (I)
(ここで、Moはモリブデン、Biはビスマス、Feは鉄、X1はコバルトおよびニッケルから選ばれる少なくとも1種の元素、X2はアルカリ金属、アルカリ土類金属、ホウ素およびタリウムから選ばれる少なくとも1種の元素、X3はタングステン、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウムおよびチタンから選ばれる少なくとも1種の元素、X4はリン、テルル、アンチモン、スズ、セリウム、鉛、ニオブ、マンガン、砒素および亜鉛から選ばれる少なくとも1種の元素、Oは酸素を表し、またa、b、c、d、e、f、gおよびxはそれぞれMo、Bi、Fe、A、B、C、DおよびOの原子比を表し、a=12のとき、b=0.1〜10、c=0.1〜20、d=2〜20、e=0.001〜10、f=0〜30、g=0〜4であり、xは各元素の酸化状態によって定まる数値である)で示される酸化物触媒が好適に使用できる。
MoaBibFecX1dX2eX3fX4gOx (I)
(ここで、Moはモリブデン、Biはビスマス、Feは鉄、X1はコバルトおよびニッケルから選ばれる少なくとも1種の元素、X2はアルカリ金属、アルカリ土類金属、ホウ素およびタリウムから選ばれる少なくとも1種の元素、X3はタングステン、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウムおよびチタンから選ばれる少なくとも1種の元素、X4はリン、テルル、アンチモン、スズ、セリウム、鉛、ニオブ、マンガン、砒素および亜鉛から選ばれる少なくとも1種の元素、Oは酸素を表し、またa、b、c、d、e、f、gおよびxはそれぞれMo、Bi、Fe、A、B、C、DおよびOの原子比を表し、a=12のとき、b=0.1〜10、c=0.1〜20、d=2〜20、e=0.001〜10、f=0〜30、g=0〜4であり、xは各元素の酸化状態によって定まる数値である)で示される酸化物触媒が好適に使用できる。
同様に、アクロレインを接触気相酸化してアクリル酸に変換するための触媒(後段触媒)についても特に制限はなく、公知の一般に用いられている酸化触媒を用いることができる。具体的には、後段触媒としては、下記一般式(II):
MohViWjY1kY2lY3mY4nOy (II)
(ここで、Moはモリブデン、Vはバナジウム、Wはタングステン、Y1はアンチモン、ビスマス、クロム、ニオブ、リン、鉛、亜鉛、コバルト、ニッケルおよびスズから選ばれる少なくとも1種の元素、Y2は銅および鉄から選ばれる少なくとも1種の元素、Y3はアルカリ金属、アルカリ土類金属およびタリウムから選ばれる少なくとも1種の元素、Y4はケイ素、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、イットリウム、ロジウムおよびセリウムから選ばれる少なくとも1種の元素、Oは酸素を表し、またh、i、j、k、l、m、nおよびyはそれぞれMo、V、W、Y1、Y2、Y3、Y4およびOの原子比を表し、h=12のとき、i=2〜14、j=0〜12、k=0〜5、l=0.01〜6、m=0〜5、n=0〜10であり、yは各元素の酸化状態によって定まる数値である)で示される酸化物触媒が好適に使用できる。
MohViWjY1kY2lY3mY4nOy (II)
(ここで、Moはモリブデン、Vはバナジウム、Wはタングステン、Y1はアンチモン、ビスマス、クロム、ニオブ、リン、鉛、亜鉛、コバルト、ニッケルおよびスズから選ばれる少なくとも1種の元素、Y2は銅および鉄から選ばれる少なくとも1種の元素、Y3はアルカリ金属、アルカリ土類金属およびタリウムから選ばれる少なくとも1種の元素、Y4はケイ素、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、イットリウム、ロジウムおよびセリウムから選ばれる少なくとも1種の元素、Oは酸素を表し、またh、i、j、k、l、m、nおよびyはそれぞれMo、V、W、Y1、Y2、Y3、Y4およびOの原子比を表し、h=12のとき、i=2〜14、j=0〜12、k=0〜5、l=0.01〜6、m=0〜5、n=0〜10であり、yは各元素の酸化状態によって定まる数値である)で示される酸化物触媒が好適に使用できる。
これら触媒の成形方法としては、従来からよく知られている活性成分を一定の形状に成形する押し出し成形法や打錠成形法等、あるいは活性成分を一定の形状を有する任意の不活性担体に担持させる担持法によって製造することができ、その形状についても特に制限はなく、球状、円柱状、リング状、不定形などのいずれの形状でもよい。もちろん球状の場合、真球である必要はなく実質的に球状であればよく、円柱状およびリング状についても同様である。
なお、前段触媒および後段触媒の反応器への充填に際しては、それぞれ単一な触媒である必要はなく、例えば前段触媒を充填した前段触媒層において、活性や形状の異なる複数種の触媒を用い、それぞれ層を成すようにあるいは混合して充填したり、触媒の一部を不活性担体などで希釈したりしてもよい。後段触媒についても同様である。
また、前段触媒と後段触媒との間に充填される不活性物質の材質については、実質的に反応に関与しない物質であれば特に制限はない。例えば、α−アルミナ、アランダム、ムライト、カーボランダム、炭化ケイ素、ステアタイト、陶器、磁器、SUS、鉄および各種セラミックスなどを挙げることができる。不活性物質の形状については、特に限定されるものではなく、任意の形状を選択すればよいが、具体的には、球状、円柱状、リング状、星形状、タブレット状、などが挙げられる。また、その寸法は、反応管に実質的に充填できる大きさであれば特に限定されるものではなく、適宜選択すればよいが、通常1mm〜15mm程度である。これら不活性物質は不活性物質層全体にわたり必ずしも均一に充填されている必要はないが、実質的に均一に充填するのが好ましい。また、不活性物質は、2種類以上の寸法、形状あるいは材質のものを、複数の層に積層、あるいは、混合して使用することもできる。このように2種以上の不活性物質を使用する際には、積層した場合には各層でそれぞれが実質的に均一になるように、また、混合する場合には、混合層全体に実質的に均一になるように充填することが好ましい。
前段反応や後段反応の好適な反応温度は、反応条件などによって適宜選択されるが、前段反応では、通常、300〜380℃であり、また、後段反応では、通常、250〜350℃である。さらに、前段反応の反応温度と後段反応の反応温度との差は10〜110℃、好ましくは30〜80℃とするのがよい。
なお、前段反応の反応温度および後段反応の反応温度とは、それぞれの反応器もしくは反応帯における熱媒体入口温度に実質的に相当するものであり、熱媒体入口温度は、上記の範囲内で設定された前段反応および後段反応のそれぞれの設定温度に応じて決定される。
本発明で用いられるプロピレンを接触気相酸化してアクロレインに変換するための固定床式多管熱交換型反応器は、公知の一般に用いられている固定床式多管熱交換型反応器を用いることができる。また、触媒および不活性材料の充填仕様および反応条件においても、公知の方法、例えば特開昭54−21966号公報や特開平11−130722号公報に記載の方法を用いることができる。
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例により制限を受けるものではなく、本発明の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。なお、以下では、便宜上、「質量部」を単に「部」、と記すことがある。なお、プロピレン転化率およびアクリル酸収率は次式によって求めた。
プロピレン転化率(モル%)=(反応したプロピレンのモル数/供給したプロピレンのモル数)×100
アクリル酸収率(モル%)=(生成したアクリル酸のモル数/供給したプロピレンのモル数)×100
<参考例1>
[前段触媒1および2の調製]
蒸留水2000部を加熱攪拌しつつモリブデン酸アンモニウム500部を溶解した(A液)。別に500部の蒸留水に硝酸コバルト343部および硝酸ニッケル137部を溶解させ(B液)、さらに別途、350部の蒸留水に濃硝酸(65wt%)35部を加えた溶液に硝酸第二鉄162部および硝酸ビスマス149部を溶解させた(C液)。A液にこれらの硝酸塩溶液(B液、C液)を滴下した。引き続き、硝酸カリウム1.19部およびシリカゾル(20wt%)70.9部を加えた。このようにして得られた懸濁液を加熱、攪拌、蒸発せしめて固形物を得た。得られた固形物を200℃で乾燥後に250μm以下に粉砕し、触媒前駆体粉体を得た。転動造粒機に平均粒径4.0mmのシリカ−アルミナ球状担体550部を投入し、次いで結合剤として20質量%の硝酸アンモニウム水溶液と共に触媒前駆体粉体を投入し、担持体を得た。得られた担持体を470℃で6時間焼成して前段触媒1を得た。この前段触媒1の担持率は約100質量%であり、担体を除いた酸素以外の金属元素の組成は原子比で次のとおりであった。
Mo12Bi1.5Fe2Co6Ni1.8K0.05Al4B0.9
なお、担持率は、下記式により求めた。
担持率[質量%]=(触媒質量[g]−担体質量[g])/担体質量[g]×100
同様にして、平均粒径7.0mmのシリカ−アルミナ球状担体を用い、前段触媒2を得た。前段触媒2の担持率は約100質量%であった。
[後段触媒1および2の調製]
蒸留水3000部を加熱攪拌しながら、パラモリブデン酸アンモニウム500部、メタバナジン酸アンモニウム110部、パラタングステン酸アンモニウム44.6部を溶解した。別に蒸留水200部を加熱攪拌しながら、硝酸銅103部を溶解した。得られた2つの水溶液を混合し、さらに三酸化アンチモン17.2部および酸化アルミニウム61.4部を添加し、懸濁液を得た。このようにして得られた懸濁液を加熱、攪拌、蒸発せしめて固形物を得た。得られた固形物を250μm以下に粉砕し、触媒前駆体粉体を得た。遠心流動コーティング装置に平均粒径5mmのシリカ−アルミナ球形担体1700部を投入し、次いで結合剤として10重量%の硝酸アンモニウム水溶液と共に触媒前駆体粉体を90℃の熱風を通しながら投入して担体に担持させた後、空気雰囲気下400℃で6時間焼成して後段触媒1を得た。この後段触媒1の担持率は、約30質量%であり、担体および酸素を除く金属元素の組成は原子比で以下のとおりであった。
Mo12V4W0.7Cu1.8Sb0.5Al5.1
同様にして、平均粒径8.0mmのシリカ−アルミナ球状担体を用い、後段触媒2を得た。前段触媒2の担持率は約30質量%であった。
〔反応器〕
全長6000mm、内径25mmの鋼鉄製反応管およびこれを覆う熱媒体を流すためのシェルからなる反応器3器(A、B、C)を鉛直方向に用意した。なお、シェルの下から3000mmの位置にシェルを上下に分割する厚さ50mmの仕切り板を設け、上方および下方の空間部のそれぞれに熱媒体を下方から上方に流した。
プロピレン転化率(モル%)=(反応したプロピレンのモル数/供給したプロピレンのモル数)×100
アクリル酸収率(モル%)=(生成したアクリル酸のモル数/供給したプロピレンのモル数)×100
<参考例1>
[前段触媒1および2の調製]
蒸留水2000部を加熱攪拌しつつモリブデン酸アンモニウム500部を溶解した(A液)。別に500部の蒸留水に硝酸コバルト343部および硝酸ニッケル137部を溶解させ(B液)、さらに別途、350部の蒸留水に濃硝酸(65wt%)35部を加えた溶液に硝酸第二鉄162部および硝酸ビスマス149部を溶解させた(C液)。A液にこれらの硝酸塩溶液(B液、C液)を滴下した。引き続き、硝酸カリウム1.19部およびシリカゾル(20wt%)70.9部を加えた。このようにして得られた懸濁液を加熱、攪拌、蒸発せしめて固形物を得た。得られた固形物を200℃で乾燥後に250μm以下に粉砕し、触媒前駆体粉体を得た。転動造粒機に平均粒径4.0mmのシリカ−アルミナ球状担体550部を投入し、次いで結合剤として20質量%の硝酸アンモニウム水溶液と共に触媒前駆体粉体を投入し、担持体を得た。得られた担持体を470℃で6時間焼成して前段触媒1を得た。この前段触媒1の担持率は約100質量%であり、担体を除いた酸素以外の金属元素の組成は原子比で次のとおりであった。
Mo12Bi1.5Fe2Co6Ni1.8K0.05Al4B0.9
なお、担持率は、下記式により求めた。
担持率[質量%]=(触媒質量[g]−担体質量[g])/担体質量[g]×100
同様にして、平均粒径7.0mmのシリカ−アルミナ球状担体を用い、前段触媒2を得た。前段触媒2の担持率は約100質量%であった。
[後段触媒1および2の調製]
蒸留水3000部を加熱攪拌しながら、パラモリブデン酸アンモニウム500部、メタバナジン酸アンモニウム110部、パラタングステン酸アンモニウム44.6部を溶解した。別に蒸留水200部を加熱攪拌しながら、硝酸銅103部を溶解した。得られた2つの水溶液を混合し、さらに三酸化アンチモン17.2部および酸化アルミニウム61.4部を添加し、懸濁液を得た。このようにして得られた懸濁液を加熱、攪拌、蒸発せしめて固形物を得た。得られた固形物を250μm以下に粉砕し、触媒前駆体粉体を得た。遠心流動コーティング装置に平均粒径5mmのシリカ−アルミナ球形担体1700部を投入し、次いで結合剤として10重量%の硝酸アンモニウム水溶液と共に触媒前駆体粉体を90℃の熱風を通しながら投入して担体に担持させた後、空気雰囲気下400℃で6時間焼成して後段触媒1を得た。この後段触媒1の担持率は、約30質量%であり、担体および酸素を除く金属元素の組成は原子比で以下のとおりであった。
Mo12V4W0.7Cu1.8Sb0.5Al5.1
同様にして、平均粒径8.0mmのシリカ−アルミナ球状担体を用い、後段触媒2を得た。前段触媒2の担持率は約30質量%であった。
〔反応器〕
全長6000mm、内径25mmの鋼鉄製反応管およびこれを覆う熱媒体を流すためのシェルからなる反応器3器(A、B、C)を鉛直方向に用意した。なお、シェルの下から3000mmの位置にシェルを上下に分割する厚さ50mmの仕切り板を設け、上方および下方の空間部のそれぞれに熱媒体を下方から上方に流した。
その反応管上部から前段触媒2、前段触媒1、不活性物質、後段触媒2、後段触媒1の順に落下させ、反応管に下から順に前段触媒2の層長1000mm、前段触媒1の層長1800mm、不活性物質層の層長500mmおよび後段触媒2の層長900mm、後段触媒1の層長1800mmとなるように充填し、反応器3器(A、B、C)の触媒充填仕様は実質的に同一とした。このとき、不活性物質には外径7mm、長さ7mmのSUS製のラシヒリングを用いた。
〔酸化反応〕
触媒を充填した上記3器の反応器各々の下部から、プロピレン7.2体積%、酸素13.5体積%、水蒸気7.0体積%および残部が窒素等の不活性ガスからなる混合ガスを原料ガスとして、前段触媒に対する空間速度1730hr−1(標準状態)で導入し、気相接触酸化を行った。
〔酸化反応〕
触媒を充填した上記3器の反応器各々の下部から、プロピレン7.2体積%、酸素13.5体積%、水蒸気7.0体積%および残部が窒素等の不活性ガスからなる混合ガスを原料ガスとして、前段触媒に対する空間速度1730hr−1(標準状態)で導入し、気相接触酸化を行った。
反応初期(48時間後)および16000時間後の反応温度、プロピレン転化率、アクリル酸収率、および圧力損失の増加を表1に示す。3器ともほぼ同じ性能であった。
<実施例1>
参考例1の反応器Aにおいて、後段触媒1および後段触媒2を抜き出し、それぞれフレッシュな触媒に交換した。その際、不活性物質層のSUS製のラシヒリングも層長で150mm分を抜き出し、新しいものに交換した。後段触媒および不活性物質の交換後、参考例1と同様にして反応を再開した。交換後の初期(48時間後)および8000時間後の反応温度、プロピレン転化率、アクリル酸収率、および圧力損失の増加を表1に示す。
<比較例1>
参考例1の反応器Bにおいて、後段触媒1および後段触媒2を抜き出し、それぞれフレッシュな触媒に交換した。その際、不活性物質層のSUS製のラシヒリングは交換しなかった。後段触媒の交換後、参考例1と同様にして反応を再開した。交換後の初期(48時間後)および8000時間後の反応温度、プロピレン転化率、アクリル酸収率、および圧力損失の増加を表1に示す。
<実施例2>
参考例1の反応器Cにおいて、後段触媒1および後段触媒2を抜き出し、それぞれフレッシュな触媒に交換した。その際、不活性物質層のSUS製のラシヒリングも層長で250mm分を抜き出し、新しいものに交換した。後段触媒および不活性物質の交換後、参考例1と同様にして反応を再開した。交換後(48時間後)の初期および8000時間後の反応温度、プロピレン転化率、アクリル酸収率、および圧力損失の増加を表1に示す。
<実施例1>
参考例1の反応器Aにおいて、後段触媒1および後段触媒2を抜き出し、それぞれフレッシュな触媒に交換した。その際、不活性物質層のSUS製のラシヒリングも層長で150mm分を抜き出し、新しいものに交換した。後段触媒および不活性物質の交換後、参考例1と同様にして反応を再開した。交換後の初期(48時間後)および8000時間後の反応温度、プロピレン転化率、アクリル酸収率、および圧力損失の増加を表1に示す。
<比較例1>
参考例1の反応器Bにおいて、後段触媒1および後段触媒2を抜き出し、それぞれフレッシュな触媒に交換した。その際、不活性物質層のSUS製のラシヒリングは交換しなかった。後段触媒の交換後、参考例1と同様にして反応を再開した。交換後の初期(48時間後)および8000時間後の反応温度、プロピレン転化率、アクリル酸収率、および圧力損失の増加を表1に示す。
<実施例2>
参考例1の反応器Cにおいて、後段触媒1および後段触媒2を抜き出し、それぞれフレッシュな触媒に交換した。その際、不活性物質層のSUS製のラシヒリングも層長で250mm分を抜き出し、新しいものに交換した。後段触媒および不活性物質の交換後、参考例1と同様にして反応を再開した。交換後(48時間後)の初期および8000時間後の反応温度、プロピレン転化率、アクリル酸収率、および圧力損失の増加を表1に示す。
Claims (3)
- 固定床反応器の各反応管に、プロピレンを酸化して主としてアクロレインを製造するに適した前段触媒を充填した前段触媒層とアクロレインを酸化してアクリル酸を製造するに適した後段触媒を充填した後段触媒層を設け、更にこれら前段触媒層と後段触媒層との間に不活性物質を充填して不活性物質層を設けた固定床反応器を用いて、プロピレンを前段触媒により気相酸化して主としてアクロレインを生成させ、引き続きこのアクロレインを後段触媒により気相酸化してアクリル酸を製造する方法において、前段触媒層または後段触媒層の一方のみを交換する際に前記不活性物質層の少なくとも一部をも交換することを特徴とするアクリル酸の製造方法。
- 前記不活性物質層の交換量が、不活性物質層全体に対し50%以上である請求項1に記載の方法。
- 前記不活性物質層の交換量が、不活性物質層全体に対し90%以下である請求項1または2に記載の方法。
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2009
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