JP2010241167A - 車両の操舵装置 - Google Patents

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一平 山崎
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Abstract

【課題】 転舵輪を転舵させる転舵アクチュエータに対する負荷を適切に低減する車両の操舵装置を提供すること。
【解決手段】 転舵アクチュエータ作動制御部46bは、車両が停止しているときにVGRSモータ21の作動状態を判定し、状態に応じてモータ21の出力を低下させる。すなわち、制御部46bは、転舵角センサ45による左右前輪FW1,FW2の検出転舵角δの変化に基づき、モータ21が停滞状態にあるときに駆動回路47を介してモータ21の出力を低下させる。一方で、制御部46bは、制駆動制御部46aに対して、モータ21の作動を補助するために前輪FW1,FW2を制駆動制御するように指示する。これにより、制御部46aは、一方の輪に対して駆動力を付与するとともに他方の輪に対して制動力を付与することにより、前輪FW1,FW2間で転がり量の差を生じさせてモータ21の作動を補助する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、車両を操舵するために操作される操舵ハンドルと、車両の左右転舵輪の転舵動作に関連して駆動する転舵アクチュエータと、操舵ハンドルの操作に基づいて転舵アクチュエータの駆動を制御する作動制御手段とを備えた車両の操舵装置に関する。
従来から、例えば、下記特許文献1に示すように、車両停止時の操舵トルクの軽減を図るパワーステアリング装置は知られている。この従来のパワーステアリング装置は、車両が停止した状態で、運転者がステアリングホイールを操舵する際に、左後輪と右後輪とに正逆反対の駆動トルクを与えることにより、車両を回頭させるモーメントを発生させ、ステアリングホイールを操舵するための補助トルクを発生させるようになっている。
また、従来から、例えば、下記特許文献2に示すように、それぞれ独立して駆動する一対の左右輪を転舵するときに、左右の駆動力の差異に基づいて発生する操舵反力を解消する車両の操舵装置も知られている。この従来の車両の操舵装置は、左右輪の駆動力差に起因して発生する操舵反力を算出し、この算出した操舵反力を解消するためにパワーステアリング機構による助力を増減補正するようになっている。
さらに、従来から、例えば、下記特許文献3に示すように、左右の操舵輪を互いに独立して回転駆動することが可能な左右のモータを備えており、操舵安定性および操舵フィーリングを向上させる車両のパワーステアリング制御装置も知られている。この従来の車両のパワーステアリング制御装置は、少なくとも操舵トルクおよび車両速度に基づいて操舵アシスト力を設定するとともに、車両速度、操舵角速度および操舵トルクの少なくとも1つに基づいてステアリング系に付加する付加減衰力を設定するようになっている。そして、この従来の車両のパワーステアリング制御装置は、設定した付加減衰力を発生するために左右のモータの駆動力を制御するようになっている。
特開2007−137151号公報 特開2004−345592号公報 特開2005−145141号公報
ところで、上記特許文献1に示されたパワーステアリング装置においては、左右後輪に対して正逆反対の駆動トルクを発生させることによって車両を回頭させるモーメントを発生させる。すなわち、車両を回頭させるモーメントは、幾何学的に、左右の後輪間の中央を中心として発生する車体全体を回転させるモーメントであり、これにより、前輪(転舵輪)を転舵させるモーメントが発生する。その結果、ステアリングホイールを操舵するための、言い換えれば、転舵輪を転舵させるための補助トルクを発生させることができる。
しかしながら、この場合、図13に示すように、一般的に、転舵輪においては、転舵中心軸と接地点中心位置との間にて、前後方向(すなわちトレール)と左右方向(キングピンオフセット)にずれがある。これにより、図14に示すように、転舵輪が転舵することにより、転舵中心軸と接地点中心位置との車両に対する相対位置が変化するため、転舵輪の転舵量が増加することに伴ってモーメントアーム長が短くなる。このため、左右後輪の駆動トルクを制御して回頭させるモーメントを発生させ、このモーメントに起因して転舵輪に左右方向の力を作用させても、モーメントアーム長が短くなることにより、転舵輪を転舵させるモーメントが小さくなる。したがって、転舵輪の転舵量が大きくなるほど、左右後輪に対して正逆反対の駆動トルクを制御して回頭させるモーメントを発生させても補助トルクが小さくなり、補助効果が低下する可能性がある。これにより、転舵輪の転舵量を増大させる場合には、転舵輪を転舵させるために電気的に作動するアクチュエータの負荷が増大することが懸念される。
また、上記特許文献2および特許文献3に示された各装置においては、電気的に制御されるパワーステアリング機構(アクチュエータ)や操舵輪を駆動するモータを駆動させて操舵反力や減衰力を制御する。この場合、発生すべき助力の大きさや付加減衰力の大きさが大きいときには、アクチュエータやモータに対して供給する電力が増大し、また、アクチュエータやモータの作動に伴う発熱量が増大して、負荷(負担)が大きくなることが懸念される。特に、上述したように転舵輪の転舵量が大きくなる状況においては、アクチュエータやモータへの負荷がより大きくなることが懸念される。
一方、路面状況等によっては、転舵輪の転舵量が大きくなる状況において、アクチュエータやモータの出力が不足する場合もある。この場合には、発生すべき助力や付加減衰力を出力できないにもかかわらず、アクチュエータやモータに対して最大の電力を供給し続けなければならない。したがって、無駄に電力を消費することに加えて、例えば、発熱量の増大に伴う負荷が大きくなることが懸念される。
本発明は、上記問題に対処するためになされたものであり、その目的は、転舵輪を転舵させる転舵アクチュエータに対する負荷を適切に低減することができる車両の操舵装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の特徴は、車両を操舵するために操作される操舵ハンドルと、車両の左右転舵輪の転舵動作に関連して駆動する転舵アクチュエータと、前記操舵ハンドルの操作に基づいて前記転舵アクチュエータの駆動を制御する作動制御手段とを備えた車両の操舵装置において、前記作動制御手段が、前記車両の左右転舵輪の駆動力または制動力をそれぞれ制御して前記転舵アクチュエータの駆動を補助する駆動補助手段と、前記転舵アクチュエータの駆動状態が停滞状態であるか否かを判定する状態判定手段と、前記状態判定手段によって前記転舵アクチュエータが停滞状態であるときに、前記転舵アクチュエータの出力を低下させる出力低下手段とを備えたことにある。この場合、前記転舵アクチュエータは、例えば、前記操舵ハンドルの操作に応じて前記左右転舵輪を転舵させるアクチュエータおよび前記操舵ハンドルの操作に伴って入力される操作力を変更するアクチュエータのうちの少なくとも一方であるとよい。
そして、この場合、さらに、車両の車速を検出する車速検出手段を備え、前記状態判定手段は、前記車速検出手段によって検出された車速が「0」のときに、前記転舵アクチュエータの駆動状態が停滞状態であるか否かを判定するとよい。また、この場合、さらに、前記操舵ハンドルに対する操作量を検出する操作量検出手段を備え、前記状態判定手段は、前記操作量検出手段によって検出された操作量に基づいて決定される前記転舵アクチュエータの目標駆動量と実駆動量との偏差量が予め設定された判定基準量よりも大きい状態が一定時間以上継続しているときに、前記転舵アクチュエータの駆動状態が停滞状態であると判定するとよい。
また、前記駆動補助手段は、前記左右転舵輪の駆動力または制動力を制御することによって前記左右転舵輪に回転量差を与えて前記転舵アクチュエータの駆動を補助するとよい。そして、この場合、前記駆動補助手段は、例えば、前記左右転舵輪のそれぞれの駆動力が互いに反対となるように制御したり、前記左右転舵輪のうちの一方の制動力を制御したりするとよい。
これらによれば、転舵アクチュエータの駆動状態が停滞状態となって負荷が増大した状況を判定することができ、特に、車両が停止して転舵アクチュエータへの負荷が増大しやすい状況下で停滞状態となっているときには、転舵アクチュエータの出力(具体的には、駆動電流)を低減することができる。これにより、転舵アクチュエータの負荷を確実に低減することができるとともに、無駄に電力が消費されることを防止することができる。
また、転舵輪の制動力または駆動力を制御することによって、転舵アクチュエータの駆動を補助することもできる。これによっても、転舵アクチュエータの負荷を確実に低減することができ、また、供給される電力を効率よく消費することができる。さらに、転舵アクチュエータの駆動が補助されることによって、転舵輪を速やかに転舵させることもできる。
本発明の実施形態に係る車両の操舵装置の全体システム構成図である。 車速と伝達比との関係を示すグラフである。 図1の転舵アクチュエータ作動制御部によって実行される転舵作動制御プログラムのフローチャートである。 フィードバック駆動電流の低減を説明するためのグラフである。 転舵動作による接地点中心位置の移動に伴って前輪が転がることを説明するための図である。 転舵動作に伴う左右前輪の転がり量の差が実転舵角の増加によって吸収されることを説明するための図である。 左右前輪の一方に駆動力を付与し、他方に制動力を付与することによって転舵を補助するモーメントが発生することを説明するための図である。 図1の制駆動制御部によって実行される転舵補助制御ルーチン(プログラム)のフローチャートである。 目標転舵角と実転舵角との偏差と左右前輪に付与する制御制駆動力との関係を示すグラフである。 車速と制御ゲインとの関係を示すグラフである。 左右前輪に制駆動力を付与したときの旋回外側前輪の軌跡を説明するための図である。 左右前輪に制駆動力を付与したときの実転舵角の時間変化を説明するための図である。 一般的な車両におけるトレールとキングピンオフセットを説明するための図である。 一般的な車両における転舵中心軸回りに発生するモーメントを説明するための図である。
以下、本発明の実施形態に係る車両の操舵装置について図面を用いて説明する。図1は、本実施形態に係る車両の操舵装置のシステム構成を概略的に示している。
この車両の操舵装置は、転舵輪としての左右前輪FW1,FW2が制駆動される車両(前輪駆動車または四輪駆動車)に適用される。なお、左右前輪FW1,FW2を制動または駆動する制御に関しては、周知の構造および制御方法を採用することができる。すなわち、左右前輪FW1,FW2は、図示しないブレーキ装置が作動制御されることによってそれぞれ制動され、図示しないエンジンの駆動力が伝達されることによって駆動される。これにより、左右前輪FW1,FW2のうちの一方のみを制動し、他方を駆動させることができるようになっている。
そして、この車両の操舵装置は、図1に示すように、左右前輪FW1,FW2を転舵させるために、運転者によって回動操作される操舵ハンドル11を備えている。操舵ハンドル11は、操舵入力軸12の上端に固定されており、操舵入力軸12の下端は、伝達比可変アクチュエータ20に接続されている。伝達比可変アクチュエータ20は、電動モータ21(以下、この電動モータをVGRSモータ21という)および減速機22を備えており、操舵入力軸12の回転量(または回転角)に対して、減速機22に接続された転舵出力軸13の回転量(または回転角)を適宜変更するものである。
VGRSモータ21は、例えば、モータハウジングが操舵入力軸12と一体的に接続されており、運転者による操舵ハンドル11の回動操作に従って一体的に回転するようになっている。また、VGRSモータ21の駆動シャフト21aは減速機22に接続されており、VGRSモータ21の回転力が駆動シャフト21aを介して減速機22に伝達されるようになっている。減速機22は、所定のギア機構(例えば、ハーモニックドライブ(登録商標)や遊星ギア機構など)によって構成されており、転舵出力軸13がこのギア機構に接続されている。
これにより、減速機22は、VGRSモータ21の回転力が駆動シャフト21aを介して伝達されると、所定のギア機構によって駆動シャフト21aの回転を適宜減速して転舵出力軸13に回転を伝達することができる。したがって、伝達比可変アクチュエータ20は、VGRSモータ21の駆動シャフト21aを介して、操舵入力軸12と転舵出力軸13とを相対回転可能に連結し、減速機22によって操舵入力軸12の回転量(回転角)に対する転舵出力軸13の回転量(回転角)の比、すなわち、操舵入力軸12から転舵出力軸13への回転の伝達比(ギア比)を適宜変更することができる。
また、車両の操舵装置は、転舵出力軸13の下端に接続された転舵ギアユニット30を備えている。転舵ギアユニット30は、例えば、ラックアンドピニオン式を採用したギアユニットであり、転舵出力軸13の下端に一体的に組み付けられたピニオンギア31の回転がラックバー32に伝達されるようになっている。また、転舵ギアユニット30には、運転者によって操舵ハンドル11に入力される操作力(より具体的には、操舵トルク)を軽減するための電動モータ33(以下、この電動モータをEPSモータ33という)が設けられており、EPSモータ33の発生するトルク(所謂、アシストトルク)がラックバー32に伝達されるようになっている。
この構成により、転舵出力軸13の回転力がピニオンギア31を介してラックバー32に伝達されるとともに、EPSモータ33のアシストトルクがラックバー32に伝達される。これにより、ラックバー32は、ピニオンギア31からの回転力およびEPSモータ33のアシストトルクによって軸方向に変位する。したがって、ラックバー32の両端に接続された左右前輪FW1,FW2は、左右に転舵されるようになっている。
次に、上述した左右前輪FW1,FW2の制動および駆動を協調して制御する(以下、この制御を単に制駆動制御ともいう)とともに、伝達比可変アクチュエータ20(詳しくは、VGRSモータ21)および転舵ギアユニット30(詳しくは、EPSモータ33)の作動を制御する電気制御装置について説明する。電気制御装置は、車速センサ41、操舵角センサ42、回転角センサ43、操舵トルクセンサ44および転舵角センサ45を備えている。
車速センサ41は、車両の車速を検出して車速Vを表す信号を出力する。なお、車速Vは、車両が前進しているときに正の値で表し、車両が後進しているときに負の値で表す。操舵角センサ42は、操舵入力軸12に組み付けられて、操舵ハンドル11の中立位置からの回転角を検出して操舵角θを表す信号を出力する。回転角センサ43は、VGRSモータ21に組み付けられて、駆動シャフト21aの回転角を検出して回転角Θを表す信号を出力する。操舵トルクセンサ44は、転舵出力軸13に組み付けられて、運転者によって操舵ハンドル11を介して入力されるトルクを検出して操舵トルクTを表す信号を出力する。転舵角センサ45は、例えば、転舵ギアユニット30に組み付けられて、左右前輪FW1,FW2の転舵量を検出して転舵角δ(実転舵角に相当)を表す信号を出力する。
なお、操舵角θ、回転角Θ、操舵トルクTおよび実転舵角δは、車両の直進状態を維持する中立位置を「0」とし、例えば、右方向の変化を正の値で表すとともに、左方向への変化を負の値で表す。また、本明細書においては、方向を区別せずに検出値の大小関係について論じる場合には、その絶対値の大きさについて論じることとする。
これらの各センサ41〜45は、電子制御ユニット46に接続されている。電子制御ユニット46は、CPU、ROM、RAM、タイマなどからなるマイクロコンピュータを主要構成部品とするものある。そして、電子制御ユニット46は、後述するプログラムを含む各種プログラムの実行により、左右前輪FW1,FW2の駆動力または制動力を制駆動制御するとともに、VGRSモータ21およびEPSモータ33(以下、これらモータをまとめて転舵アクチュエータともいう)の作動をそれぞれ制御する。このため、電子制御ユニット46は、制駆動制御部46aと転舵アクチュエータ作動制御部46bとから構成される。
また、電子制御ユニット46の出力側には、特に、VGRSモータ21およびEPSモータ33を駆動するための駆動回路47,48がそれぞれ接続されている。駆動回路47,48内には、VGRSモータ21およびEPSモータ33に流れる駆動電流を検出するための電流検出器47a,48aが設けられている。電流検出器47a,48aによって検出された駆動電流は、両モータ21,33を制御するために、電子制御ユニット46にフィードバックされている。
次に、上記のように構成された車両の操舵装置の作動について説明する。まず、車両の操舵装置の基本的な作動を簡単に説明しておく。運転者によって、図示しないイグニッションスイッチがオン状態とされると、電子制御ユニット46の転舵アクチュエータ作動制御部46bが作動を開始し、伝達比可変アクチュエータ20のVGRSモータ21および転舵ギアユニット30のEPSモータ33の駆動を制御する。すなわち、転舵アクチュエータ作動制御部46bは、VGRSモータ21を駆動させて伝達比Gを連続的に変更する伝達比可変制御を開始するとともに、EPSモータ33を駆動させて運転者による操舵ハンドル11の操舵トルクTを軽減するトルクアシスト制御を開始する。
伝達比可変制御においては、転舵アクチュエータ作動制御部46bは、車速センサ41から現在の車速Vを入力するとともに、例えば、図2に示すようなマップを参照して、検出された車速Vに応じた伝達比Gを決定する。なお、伝達比Gは、車速Vの増大に伴って非線形的にかつ連続的に小さくなる特性を有しているとよい。そして、伝達比Gが決定された状態において、運転者が操舵ハンドル11の回動操作を開始すると、操舵入力軸12、伝達比可変アクチュエータ20、転舵出力軸13およびピニオンギア31も回転を開始する。この運転者による操舵ハンドル11の回動操作に伴い、転舵アクチュエータ作動制御部46bは、操舵角センサ42によって検出された操舵入力軸12の操舵角θ(実操舵角に対応)を入力する。そして、転舵アクチュエータ作動制御部46bは、入力した操舵角θと決定した伝達比Gとを、例えば、乗算することにより、操舵入力軸12(すなわち操舵ハンドル11)の操舵角θに対するピニオンギア31の目標回転角δh(すなわち、左右前輪FW1,FW2の目標転舵角δ*に対応)を計算する。
次に、転舵アクチュエータ作動制御部46bは、計算したピニオンギア31の目標回転角δhを実現するために必要なVGRSモータ21の作動量すなわち駆動シャフト21aの目標回転角Θhを計算する。具体的には、運転者による操舵ハンドル11の回動操作に伴って操舵入力軸12と一体的に接続されたVGRSモータ21のモータハウジングが回転する。このとき、転舵アクチュエータ作動制御部46bは、モータハウジングの回転に応じて転舵出力軸13に一体的に接続されたピニオンギア31を回転させるために、駆動回路47を制御してVGRSモータ21を駆動させる。このVGRSモータ21の駆動制御において、転舵アクチュエータ作動制御部46bは、操舵入力軸12の操舵角θに対してピニオンギア31が目標回転角δhになるように、駆動シャフト21aの目標回転角Θhを計算する。すなわち、転舵アクチュエータ作動制御部46bは、操舵入力軸12に対する駆動シャフト21aの目標回転角δhを、例えば、下記式1に従って計算する。
Θh=δh−θ=(G−1)・θ …式1
そして、転舵アクチュエータ作動制御部46bは、前記式1に従って目標回転角Θhを計算すると、回転角センサ43によって検出される回転角Θが目標回転角Θhとなるまでオーバーシュートさせることなく駆動回路47を制御して、VGRSモータ21の駆動シャフト21aを回転させる。これにより、転舵出力軸13に接続されたピニオンギア31は、操舵入力軸12(操舵ハンドル11)の操舵角θに対して駆動シャフト21aの目標回転角Θh分だけ加算または減算された、言い換えれば、操舵入力軸12(操舵ハンドル11)の操舵角θに対して伝達比Gとなる目標回転角δhに回転される。したがって、このピニオンギア31の回転に応じてラックバー32が軸方向に変位することにより、左右前輪FW1,FW2は、目標回転角δhに対応する目標転舵角δ*に転舵される。
このように、左右前輪FW1,FW2が目標転舵角δ*に転舵されることによって、運転者は車速Vに応じて良好な操舵操作性(操舵フィーリング)を得ることができる。具体的には、図2に示したマップに基づけば、検出車速Vが増大すると伝達比Gが小さく決定されることから、操舵入力軸12の回転方向に対してピニオンギア31は相対的に逆方向に回転する。すなわち、この場合には、ピニオンギア31の目標回転角δhは、操舵入力軸12(操舵ハンドル11)の操舵角θから駆動シャフト21aの目標回転角Θhを減算することによって計算される。このため、運転者による操舵ハンドル11の回動操作量に対して左右前輪FW1,FW2が小さく、言い換えれば、操舵ハンドル11の回動操作に対して左右前輪FW1,FW2が穏やかに転舵されるようになる。これにより、運転者は容易に操舵ハンドル11を操作することができるとともに、高速走行時における車両の挙動を安定させることができる。
一方、検出車速Vが減少すると伝達比Gが大きく設定されることから、操舵入力軸12の回転方向にて転舵出力軸13は相対的に多く回転する。すなわち、この場合には、ピニオンギア31の目標回転角δhは、操舵入力軸12(操舵ハンドル11)の操舵角θに駆動シャフト21aの目標回転角Θhを加算することによって計算される。このため、運転者による操舵ハンドル11の回動操作量に対して左右前輪FW1,FW2が大きく、言い換えれば、操舵ハンドル11の回動操作に対して左右前輪FW1,FW2が速やかに転舵される。これにより、例えば、低速での車庫入れなどにおいては、運転者による操舵ハンドル11の回動操作量を少なくして左右前輪FW1,FW2を大きな目標転舵角δ*まで(例えば、機械的に転舵動作が規制される最大転舵角まで)転舵させることができて、運転者の操作負担を軽減することができる。
次に、トルクアシスト制御を説明する。転舵アクチュエータ作動制御部46bは、運転者によって操舵ハンドル11に入力される操舵角θおよび操舵トルクTの大きさと車速Vに応じて、EPSモータ33を駆動させてラックバー32にアシストトルクを伝達させる。すなわち、転舵アクチュエータ作動制御部46bは、車速センサ41から車速Vを入力するとともに、操舵角センサ42および操舵トルクセンサ44から操舵角θおよび操舵トルクTを入力し、これら入力した車速V、操舵角θおよび操舵トルクTの大きさに応じてEPSモータ33を駆動させてラックバー32に伝達するアシストトルクの大きさを設定する。なお、転舵アクチュエータ作動制御部46bは、EPSモータ33によるアシストトルクの大きさを設定するにあたり、検出車速Vの増大に伴ってアシストトルクの大きさを小さく設定し、検出車速Vの減少に伴ってアシストトルクの大きさを大きく設定する。
そして、転舵アクチュエータ作動制御部46bは、設定したアシストトルクの大きさに対応してEPSモータ33を駆動させるための駆動量(具体的には、駆動電流)に基づいて、オーバーシュートさせることなく、駆動回路48を制御して、EPSモータ33を駆動させる。これにより、検出車速Vの増大に伴ってEPSモータ33からラックバー32に伝達されるアシストトルクが小さくなることから、運転者は中・高速域にてしっかりとした反力を知覚しながら操舵ハンドル11を回動操作することができて、車両の直進安定性等の挙動安定性を良好に確保することができる。一方で、検出車速Vの減少に伴ってEPSモータ33からラックバー32に伝達されるアシストトルクが大きくなることから、運転者は低速域にて軽快に操舵ハンドル11を回動操作することができて、車両の取り回し性を良好に確保することができる。
ところで、上述したように、特に、検出車速Vの小さい低速域においては、VGRSモータ21およびEPSモータ33すなわち転舵アクチュエータの作動量が増大する。これにより、例えば、VGRSモータ21およびEPSモータ33を駆動させるための電力量が増大するとともに、作動に伴う発熱量が増大する。特に、左右前輪FW1,FW2を最大転舵角付近まで転舵させる場合、路面状況によっては、ラックバー32の軸力が増大してVGRSモータ21の出力が不足する可能性があり、VGRSモータ21に対する負荷が増大して、電力量および発熱量の増大が懸念される。
このため、電子制御ユニット46の転舵アクチュエータ作動制御部46bは、制駆動制御部46aと協調して、図3に示す転舵作動制御プログラムを実行する。以下、この転舵作動制御プログラムを詳細に説明する。なお、以下の説明においては、VGRSモータ21を代表してに説明するが、EPSモータ33を作動制御するようにしてもよい。
転舵アクチュエータ作動制御部46bは、ステップS10にて転舵作動制御プログラムの実行を開始する。そして、転舵アクチュエータ作動制御部46bは、続くステップS11にて左右前輪FW1,FW2の目標転舵角δ*と実転舵角δとの偏差Δδを計算する。すなわち、転舵アクチュエータ作動制御部46bは、転舵角センサ45から検出された左右前輪FW1,FW2の実転舵角δを入力し、上述したようにピニオンギア31の目標回転角δhに対応して決定される左右前輪FW1,FW2の目標転舵角δ*と比較する。そして、転舵アクチュエータ作動制御部46bは、目標転舵角δ*から実転舵角δを減算して偏差Δδを計算し、ステップS12に進む。
ステップS12においては、転舵アクチュエータ作動制御部46bは、前記ステップS11にて計算した偏差Δδが「0」よりも大きいか否かを判定する。すなわち、転舵アクチュエータ作動制御部46bは、偏差Δδが「0」よりも大きければ、言い換えれば、左右前輪FW1,FW2の実転舵角δが目標転舵角δ*に一致していなければ、「Yes」と判定してステップS13に進む。一方、偏差Δδが「0」であれば、言い換えれば、左右前輪FW1,FW2の実転舵角δが目標転舵角δ*に一致していれば、転舵アクチュエータ作動制御部46bは「No」と判定してステップS18に進み、転舵作動制御プログラムの実行を一旦終了する。そして、所定の短い時間の経過後、転舵アクチュエータ作動制御部46bは、ふたたびステップS10にて転舵作動制御プログラムの実行を開始する。
ステップS13においては、転舵アクチュエータ作動制御部46bは、左右前輪FW1,FW2を目標転舵角δ*まで転舵させるためにVGRSモータ21に通電するフィードバック駆動電流I_fbを計算する。すなわち、転舵アクチュエータ作動制御部46bは、前記ステップS11にて計算した偏差Δδに比例するフィードバック駆動電流I_fbを計算する。なお、このフィードバック駆動電流I_fbは、VGRSモータ21に通電する目標電流値である。このように、VGRSモータ21に通電するフィードバック駆動電流I_fbを計算すると、転舵アクチュエータ作動制御部46bはステップS14に進む。
ステップS14においては、転舵アクチュエータ作動制御部46bは、車速センサ41から検出車速Vを入力し、車両が停止中であるか否かを判定する。すなわち、転舵アクチュエータ作動制御部46bは、検出車速Vが「0」であれば、「Yes」と判定してステップS15に進む。一方、検出車速Vが「0」でなければ、転舵アクチュエータ作動制御部46bは「No」と判定してステップS17に進む。
ステップS15においては、転舵アクチュエータ作動制御部46bは、VGRSモータ21による左右前輪FW1,FW2の転舵動作が停滞(停止)しているか否かを判定する。すなわち、転舵アクチュエータ作動制御部46bは、前記ステップS13にて計算したフィードバック駆動電流I_fbをVGRSモータ21に通電しているにもかかわらず、前記ステップS11にて計算した偏差Δδが予め設定された所定値Δδoよりも大きい状態で一定時間t以上継続していれば、「Yes」と判定してステップS16に進む。一方、前記ステップS13にて計算したフィードバック駆動電流I_fbをVGRSモータ21に通電することにより、偏差Δδが所定値Δδoよりも大きい状態で一定時間t以上継続していなければ、転舵アクチュエータ作動制御部46bは「No」と判定してステップS17に進む。
ステップS16においては、転舵アクチュエータ作動制御部46bは、VGRSモータ21に通電するフィードバック駆動電流I_fbを低減する。具体的に説明すると、このステップS16は、偏差Δδが一定時間t以上継続して所定値Δδoよりも大きい状況のときに実行される。すなわち、この状況においては、VGRSモータ21が最大駆動力を出力しても左右前輪FW1,FW2の転舵動作が停滞(停止)しており、VGRSモータ21の負荷が極めて大きくなっている状況である。そして、この状況においては、無駄な電力がVGRSモータ21に供給されており、この電力供給に伴ってVGRSモータ21の発熱量が増大する。
このため、転舵アクチュエータ作動制御部46bは、図4に示すように、一定時間tが経過するまでは、前記ステップS13にて計算したフィードバック駆動電流I_fbをVGRSモータ21に通電する。一方、ステップS16を実行する一定時間tの経過後は、VGRSモータ21に通電するフィードバック駆動電流I_fbを予め設定された下限値まで一様に低減(または低減比を大きく設定して低減)する。なお、フィードバック駆動電流I_fbの低減に際しては、例えば、図4に示すように、時間勾配を設定して緩やかに低減させたり、あるいは、急激に低減させたりすることができる。
そして、転舵アクチュエータ作動制御部46bは、VGRSモータ21に通電するフィードバック駆動電流I_fbを低減して設定すると、駆動回路47を介して、VGRSモータ21に低減したフィードバック駆動電流I_fbが通電されるように制御する。これにより、VGRSモータ21は低減されたフィードバック駆動電流I_fbにより作動するために左右前輪FW1,FW2を無理に転舵させることなく、無駄な電力の供給を防止することができるとともに無用な発熱を防止することができる。
このように、VGRSモータ21に通電するフィードバック駆動電流I_fbを低減して設定すると、転舵アクチュエータ作動制御部46bは、ステップS18に進み、転舵作動制御プログラムの実行を一旦終了する。そして、所定の短い時間の経過後、転舵アクチュエータ作動制御部46bは、ふたたび、ステップS10にて転舵作動制御プログラムの実行を開始する。
一方、転舵アクチュエータ作動制御部46bは、前記ステップS14にて「No」と判定、または、前記ステップS14にて「Yes」と判定した後、前記ステップS15にて「No」と判定すると、ステップS17に進む。そして、ステップS17においては、転舵アクチュエータ作動制御部46bの指示により、制駆動制御部46aが転舵補助制御ルーチンを実行する。以下、この転舵補助制御ルーチンを詳細に説明する。
この転舵補助制御ルーチンは、左右前輪FW1,FW2の実転舵角δを目標転舵角δ*まで素早く変化させるために実行される。ここで、左右前輪FW1,FW2は、上述したように、転舵中心軸回りに転舵する。このとき、車両が停止している状態で、左右前輪FW1,FW2を転舵中心軸回りに右方向に転舵させる場合を想定すると、接地点中心位置は、図5に示すように移動する。この場合、接地点中心位置の移動に伴って左右前輪FW1,FW2が引きずられることがなければ、右方向に転舵するときには、左前輪FW1は相対的に車両前方に向けて転がり、右前輪FW2は相対的に車両後方に向けて転がることになる。すなわち、左右前輪FW1,FW2は、転舵動作に伴って、左右輪で転がり量(または回転方向における回転角)に差が生じる。
一方、例えば、車両が微低速で旋回移動しているとき、左右前輪FW1,FW2が進む距離すなわち転がり量(回転角)は実転舵角δで決まる。具体的には、例えば、左右前輪FW1,FW2が右方向に転舵されると、図6に示すように、実転舵角δに基づいて、左前輪FW1が進む距離は、右前輪FW2が進む距離よりも大きくなるように決定される。このように、旋回移動時の左右前輪FW1,FW2の転がり量(回転角)が決定されるため、上述した転舵動作に伴う転がり量(回転角)の差は、実転舵角δが変化(具体的には実転舵角δが増加)することによって吸収されることになる。すなわち、左右前輪FW1,FW2の転がり量(回転角)を積極的に異ならせて、転がり量(回転角)の差を適宜設定することによって、実転舵角δを速やかに増加させることができる。
そして、このように左右前輪FW1,FW2の転がり量(回転角)の差を積極的に生じさせるために、本実施形態においては、制駆動制御部46aが制駆動制御によって旋回外側輪に車両の進行方向前方に作用する力(具体的には駆動力)を付与し、旋回内側輪に車両の進行方向後方に作用する力(具体的には制動力)を付与する。このように、転舵輪としての左右前輪FW1,FW2に対してそれぞれ駆動力または制動力を付与することにより、図7に示すように、キングピンオフセットが車両中央側に設定されている場合には左右前輪FW1,FW2に対してモーメントが発生する。この場合、駆動力または制動力は車輪に向きと常に平行となるため、上述したモーメントアーム長は、左右前輪FW1,FW2の転舵量(転舵角δ)に依存して変化することがない。そして、この発生したモーメントは、左右前輪FW1,FW2の転舵動作を補助する方向に作用するため、これによっても左右前輪FW1,FW2の実転舵角δを速やかに増加させることができる。
これらのことを踏まえ、転舵アクチュエータ作動制御部46bは、ステップS17にて、制駆動制御部46aに転舵補助制御ルーチンを実行させる。すなわち、制駆動制御部46aは、図8に示す転舵補助制御ルーチンの実行をステップS50にて開始する。
制駆動制御部46aは、続くステップS51にて、前記ステップS11にて転舵アクチュエータ作動制御部46bによって計算された偏差Δδに応じて左右前輪FW1,FW2に付与する駆動力または制動力を計算する。なお、このステップS51の実行に際しては、偏差Δδが正の値であるときに目標転舵角δ*まで左右前輪FW1,FW2を右方向に転舵させ、偏差Δδが負の値であるときに目標転舵角δ*まで左右前輪FW1,FW2を左方向に転舵させものとする。そして、制駆動制御部46aは、図9に示す参照マップを参照して、前記ステップS11にて計算された偏差Δδの大きさに対応する制御制駆動力Fを計算する。このように制御制駆動力Fを計算すると、制駆動制御部46aは、ステップS52に進む。
ステップS52においては、制駆動制御部46aは、現在の車両の車速Vに基づいて、制御ゲインKを決定する。具体的には、制駆動制御部46aは、車速センサ41から現在の車速Vを入力する。そして、制駆動制御部46aは、図10に示す参照マップを参照し、車両が前進しているときには正の値で表された車速Vの大きさに対応する正の制御ゲインKを決定し、車両が後進しているときには負の値で表された車速Vの大きさに対応する負の制御ゲインKを決定する。なお、制御ゲインKは、検出車速Vが小さいとき(車速Vが「0」のときも含む)に「1」または「−1」に決定され、検出車速Vの増大に伴って「0」まで変化する特性を有する。そして、制駆動制御部46aは、制御ゲインKを決定すると、ステップS53に進む。
ステップS53においては、制駆動制御部46aは、左右前輪FW1,FW2のうち、例えば、左前輪FW1の制御制駆動力FLを下記式2に従って計算する。
FL=F・K …式2
そして、制駆動制御部46aは、左前輪FW1の制御制駆動力FLを計算すると、ステップS54に進む。
ステップS54においては、制駆動制御部46aは、左右前輪FW1,FW2のうち、例えば、右前輪FW2の制御制駆動力Fを下記式3に従って計算する。
FR=−F・K …式3
ただし、前記式2,3中のFは前記ステップS51にて計算された制御制駆動力を表し、Kは前記ステップS52にて決定された制御ゲインを表す。また、前記式2,3に従って計算される制御制駆動力FL,FRは、車両前方に作用するときに正の値で表し、車両後方に作用するときに負の値で表す。そして、制駆動制御部46aは、左前輪FW1の制御制駆動力FRを計算すると、ステップS55に進む。
ステップS55においては、制駆動制御部46aは、図示しないエンジンおよびブレーキ装置の作動を制御して、前記ステップS53およびステップS54にて計算した左右前輪FW1,FW2の制御制駆動力FL,FRを発生させる。具体的には、制駆動制御部46aは、例えば、車両が右方向に旋回している場合には、スロットルアクチュエータを駆動制御してエンジンによる駆動力を調整し、まず左右前輪FW1,FW2において制御制駆動力FLに相当する駆動力が発生するようにする。一方、制駆動制御部46aは、ブレーキアクチュエータを駆動制御して右前輪FW2のブレーキ装置による制動力を調整し、右前輪FW2において制御制駆動力FRに相当する制動力が発生するようにする。これにより、車両が右方向に旋回する場合には、左前輪FW1に制御制駆動力FLに相当する駆動力が発生し、右前輪FW2に制御制駆動力FRに相当する制動力が発生する。このように、左右前輪FW1,FW2における制駆動力を制御すると、制駆動制御部46aは、ステップS56に進み、転舵補助制御ルーチンの実行を終了し、転舵作動制御プログラムに戻る。
ここで、左右前輪FW1,FW2の転舵動作に関し、転舵補助制御ルーチンの実行による効果を説明しておく。図11は、旋回状態にある車両の旋回外側前輪の軌跡を測定した結果を示している。これによれば、車両が微低速で走行(例えば、クリープ現象による走行)して左右前輪FW1,FW2を転舵させた場合、図11にて一点鎖線で示すように、左右前輪FW1,FW2の制御制駆動力FL,FRを発生させないときには、旋回外側前輪の移動距離(転がり量)の増加に対して左右前輪FW1,FW2の実転舵角δが緩やかに増加していることがわかる。
これに対して、図11にて破線で示すように、左右前輪FW1,FW2の制御制駆動力FL,FRを発生させたときには、旋回外側前輪の移動距離(転がり量)の増加に対して、左右前輪FW1,FW2の実転舵角δが制御制駆動力FL,FRを発生させないときよりも増加量(変化量)が大きくなる。すなわち、この場合には、左右前輪FW1,FW2の制御制駆動力FL,FRを発生させることにより、左右前輪FW1,FW2の実転舵角δが速やかに増加していることがわかる。
さらに、停車時に左右前輪FW1,FW2を転舵させる据え切りによって左右前輪FW1,FW2を転舵させた状態で車両が微低速で走行するときには、図11にて実線で示すように、左右前輪FW1,FW2に制御制駆動力FL,FRを発生させることにより、旋回外側前輪の移動距離(転がり量)の増加に対して、左右前輪FW1,FW2の実転舵角δがより速やかに増加していることがわかる。すなわち、この場合には、まず、車両が停止している状態で左右前輪FW1,FW2の制御制駆動力FL,FRが発生する。このとき、左右前輪FW1,FW2には、転舵動作に伴う転がり量(回転角)の差が積極的に生じるが、車両が停止しているため、生じた転がり量(回転角)の差は実転舵角δの増加として吸収される。また、制御制駆動力FL,FRが発生することにより、転舵動作を補助するモーメントが作用する。
したがって、図12に実線で示すように、左右前輪FW1,FW2に制御制駆動力FL,FRを発生させた状態で据え切りにより左右前輪FW1,FW2を転舵させた場合には、図12に一点鎖線で示すように、左右前輪FW1,FW2に制御制駆動力FL,FRを発生させない場合に比して、より速やかに左右前輪FW1,FW2が最大転舵角まで転舵することになる。これにより、図11にて実線で示したように、左右前輪FW1,FW2に制御制駆動力FL,FRを発生させた場合には、旋回外側前輪の移動距離(転がり量)の増加に対して、左右前輪FW1,FW2の実転舵角δがより速やかに増加する。
ふたたび、転舵作動制御プログラムに戻り、転舵アクチュエータ作動制御部46bは、制駆動制御部46aによって転舵補助制御ルーチンが実行されると、ステップS18に進み、同プログラムの実行を一旦終了する。そして、転舵アクチュエータ作動制御部46bは、所定の短い時間の経過後、ステップS10にて転舵作動制御プログラムの実行を開始する。
以上の説明からも理解できるように、この実施形態によれば、転舵アクチュエータ作動制御部46bは、転舵アクチュエータとしてのVGRSモータ21の作動状態が停滞状態となって負荷が増大した状況を判定することができる。特に、車両が停止してVGRSモータ21への負荷が増大しやすい(言い換えれば、VGRSモータ21の出力が不足しやすい)状況下で停滞状態となっているときには、VGRSモータ21に通電するフィードバック駆動電流I_fbを低減して出力を低下させることができる。これにより、VGRSモータ21の負荷を確実に低減することができるとともに、無駄に電力が消費されることを防止することができる。
また、制駆動制御部46aが左右前輪FW1,FW2の制動力または駆動力を制御することによって、VGRSモータ21の作動を補助することもできる。これによっても、VGRSモータ21の負荷を確実に低減することができ、また、供給される電力を効率よく消費することができる。さらに、VGRSモータ21の駆動が補助されることによって、左右前輪FW1,FW2を速やかに目標転舵角δ*まで転舵させることもできる。
本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。
例えば、上記実施形態においては、転舵補助制御ルーチンを実行することにより、制駆動制御部46aが制御制駆動力Fを計算するとともに制御ゲインKを計算し、左右前輪FW1,FW2に対して絶対値の等しい制御制駆動力FL,FRを発生させるように実施した。この場合、制御制駆動力FL,FRは、必ずしも絶対値が等しくなくてもよく、例えば、一方の輪に制動力を付与するときには他方の輪にこの制動力の半分の駆動力を付与して実施することも可能である。また、左右前輪FW1,FW2の両輪に駆動力または制動力を付与することに限定されず、例えば、一方の輪にのみ制動力を付与するように実施することも可能である。さらに、上記実施形態においては、一方の輪に駆動力を付与し、他方の輪に制動力を付与するように実施した。この場合、左右の転舵輪がそれぞれ独立して駆動される場合には、それぞれの輪に対して互いに反対となる駆動力を付与するようにして実施することも可能である。
また、上記実施形態においては、一方の輪に駆動力を付与し他方の輪に制動力を付与して実施した。この場合、付与する制動力によっては、車両が発進するときの加速力が低下する場合がある。このため、車両が四輪駆動車である場合には、転舵輪である左右前輪FW1,FW2に制駆動制御を実行するとともに、後輪側の駆動力を若干増加させるようにする。これにより、例えば、クリープ現象によって車両を走行させることが可能となり、発進時の加速力を確保することができる。
さらに、上記実施形態においては、伝達比可変アクチュエータ20を備えた車両の操舵装置について実施した。この場合、車両の操舵装置として、操舵ハンドル11と左右前輪FW1,FW2との機械的な連結が解除された、所謂、ステアバイワイヤ方式を採用した車両の操舵装置を採用して実施することも可能である。このようにステアバイワイヤ方式の操舵装置を採用した場合においても、伝達比可変アクチュエータ20に相当して左右前輪FW1,FW2を転舵させるアクチュエータが設けられ、また、EPSモータ33に相当して運転者による操舵トルクTを調整するアクチュエータが設けられるため、上述した転舵作動制御プログラムおよび転舵補助制御ルーチンを実行することにより、上記実施形態と同様の効果が期待できる。
11…操舵ハンドル、20…伝達比可変アクチュエータ、21…VGRSモータ21(転舵アクチュエータ)、30…転舵ギアユニット、33…EPSモータ(転舵アクチュエータ)、46…電子制御ユニット、46a…制駆動制御部、46b…転舵アクチュエータ作動制御部、FW1,FW2…左右前輪

Claims (7)

  1. 車両を操舵するために操作される操舵ハンドルと、車両の左右転舵輪の転舵動作に関連して駆動する転舵アクチュエータと、前記操舵ハンドルの操作に基づいて前記転舵アクチュエータの駆動を制御する作動制御手段とを備えた車両の操舵装置において、
    前記作動制御手段が、
    前記車両の左右転舵輪の駆動力または制動力をそれぞれ制御して前記転舵アクチュエータの駆動を補助する駆動補助手段と、
    前記転舵アクチュエータの駆動状態が停滞状態であるか否かを判定する状態判定手段と、
    前記状態判定手段によって前記転舵アクチュエータが停滞状態であるときに、前記転舵アクチュエータの出力を低下させる出力低下手段とを備えたことを特徴とする車両の操舵装置。
  2. 請求項1に記載した車両の操舵装置において、
    さらに、車両の車速を検出する車速検出手段を備え、
    前記状態判定手段は、前記車速検出手段によって検出された車速が「0」のときに、前記転舵アクチュエータの駆動状態が停滞状態であるか否かを判定することを特徴とする車両の操舵装置。
  3. 請求項1に記載した車両の操舵装置において、
    さらに、前記操舵ハンドルに対する操作量を検出する操作量検出手段を備え、
    前記状態判定手段は、前記操作量検出手段によって検出された操作量に基づいて決定される前記転舵アクチュエータの目標駆動量と実駆動量との偏差量が予め設定された判定基準量よりも大きい状態が一定時間以上継続しているときに、前記転舵アクチュエータの駆動状態が停滞状態であると判定することを特徴とする車両の操舵装置。
  4. 請求項1に記載した車両の操舵装置において、
    前記転舵アクチュエータは、
    前記操舵ハンドルの操作に応じて前記左右転舵輪を転舵させるアクチュエータおよび前記操舵ハンドルの操作に伴って入力される操作力を変更するアクチュエータのうちの少なくとも一方であることを特徴とする車両の操舵装置。
  5. 請求項1に記載した車両の操舵装置において、
    前記駆動補助手段は、
    前記左右転舵輪の駆動力または制動力を制御することによって前記左右転舵輪に回転量差を与えて前記転舵アクチュエータの駆動を補助することを特徴とする車両の操舵装置。
  6. 請求項5に記載した車両の操舵装置において、
    前記駆動補助手段は、
    前記左右転舵輪のそれぞれの駆動力が互いに反対となるように制御することを特徴とする車両の操舵装置。
  7. 請求項5に記載した車両の操舵装置において、
    前記駆動補助手段は、
    前記左右転舵輪のうちの一方の制動力を制御することを特徴とする車両の操舵装置。
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