JP2010241019A - ハードコートフィルム、及びハードコートフィルムの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基材の一面側にハードコート層を設けたハードコートフィルムであって、前記ハードコート層中に、平均1次粒径10〜100nmのシリカ微粒子の表面に反応性官能基aを有する反応性シリカ微粒子が相互に架橋結合した構造を含み、前記シリカ微粒子間の空隙にバインダー成分が充填され、当該シリカ微粒子の表面の反応性官能基aとバインダー成分が有する反応性官能基bとが一部架橋結合しており、且つ、当該ハードコート層の基材側とは反対側の界面近傍に前記シリカ微粒子よりも平均1次粒径が大きい機能性微粒子が分散していることを特徴とする、ハードコートフィルム。
【選択図】図1
Description
しかし、近年、更に硬度に優れたハードコートフィルムが要求されている。
しかしながら、上記方法では、易滑剤がハードコート層中に均一に分散されるため、十分な易滑性を得るためには、添加する易滑剤の量を多くしなければならず、高コストとなり、また、ハードコート層の透明性を損なうといった問題がある。
前記ハードコート層中に、平均1次粒径10〜100nmのシリカ微粒子の表面に反応性官能基aを有する反応性シリカ微粒子が相互に架橋結合した構造を含み、前記シリカ微粒子間の空隙にバインダー成分が充填され、当該シリカ微粒子の表面の反応性官能基aとバインダー成分が有する反応性官能基bとが一部架橋結合しており、且つ、当該ハードコート層の基材側とは反対側の界面近傍に前記シリカ微粒子よりも平均1次粒径が大きい機能性微粒子が分散していることを特徴とする。
前記基材の一面側に、平均1次粒径10〜100nmのシリカ微粒子の表面に反応性官能基aを有する反応性シリカ微粒子を全固形分に対して80〜100重量%の割合で含有する第一のハードコート層用硬化性樹脂組成物を塗布し、ハーフキュアーして骨格層を形成した後、反応性官能基bを有するバインダー成分中に前記反応性シリカ微粒子よりも平均1次粒径が大きい機能性微粒子を分散させた第二のハードコート層用硬化性樹脂組成物を、前記骨格層上に塗布し、当該骨格層と第二のハードコート層用硬化性樹脂組成物の塗膜をフルキュアーして、膜厚10〜20μmのハードコート層を設けることを特徴とする。
従って、本発明によれば、ハードコート層中に上記特定のシリカ微粒子を分散させ、且つ、当該ハードコート層の基材側とは反対側の界面近傍に上記特定の機能性微粒子を分散させることができ、当該ハードコート層の硬度及び密着性を向上させると共に易滑性、帯電防止性等の機能性を効果的に付与することができる。また、ハードコート層一層で、高硬度及びその他の機能を兼ね備えるため、互いに重なり合った屈折率差の大きい層の界面において生じる干渉縞の発生を防止することができる。
(i)平均1次粒径10〜100nmのシリカ微粒子の表面に反応性官能基aを有する反応性シリカ微粒子を全固形分に対して80〜100重量%の割合で含有する第一のハードコート層用硬化性樹脂組成物を準備する工程、
(ii)基材の一面側に、前記第一のハードコート層用硬化性樹脂組成物を塗布し、ハーフキュアーして骨格層を形成する工程、
(iii)反応性官能基bを有するバインダー成分中に前記反応性シリカ微粒子よりも平均1次粒径が大きい機能性微粒子を分散させた第二のハードコート層用硬化性樹脂組成物を準備する工程、及び
(iv)前記基材の一面側に形成した骨格層上に前記第二のハードコート層用硬化性樹脂組成物を塗布した後、当該骨格層と第二のハードコート層用硬化性樹脂組成物の塗膜をフルキュアーすることにより、膜厚10〜20μmのハードコート層を形成する工程を含むことを特徴とする。
従って、本発明によれば、ハードコート層一層で、優れた硬度及び密着性と共に易滑性、帯電防止性等の機能性を効果的に付与することができ、且つ、干渉縞の発生を防止することが可能なハードコートフィルムを提供することができる。
なお、本発明において、(メタ)アクリレートは、アクリレート及び/又はメタクリレートを表す。
本発明において、「ハードコート層」とは、一般にJIS K5600−5−4(1999)で規定される鉛筆硬度試験(500g荷重)で「H」以上の硬度を示すものである。
また、本発明の光には、可視及び非可視領域の波長の電磁波だけでなく、電子線のような粒子線、及び、電磁波と粒子線を総称する放射線又は電離放射線が含まれる。
本発明において、膜厚とは乾燥時の膜厚(乾燥膜厚)を意味する。
本発明において、分子量とは、分子量分布を有する場合には、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算値である重量平均分子量を意味し、分子量分布を有しない場合には、化合物そのものの分子量を意味する。
なお、フィルムとシートのJIS−K6900での定義では、シートとは薄く一般にその厚さが長さと幅の割りには小さい平らな製品をいい、フィルムとは長さ及び幅に比べて厚さが極めて小さく、最大厚さが任意に限定されている薄い平らな製品で、通例、ロールの形で供給されるものをいう。従って、シートの中でも厚さの特に薄いものがフィルムであるといえるが、シートとフィルムの境界は定かではなく、明確に区別しにくいので、本発明では、厚みの厚いもの、および薄いものの両方の意味を含めて、「シート」と定義する。
本発明に係るハードコートフィルムは、基材の一面側にハードコート層を設けたハードコートフィルムであって、前記ハードコート層中に、平均1次粒径10〜100nmのシリカ微粒子の表面に反応性官能基aを有する反応性シリカ微粒子が相互に架橋結合した構造を含み、前記シリカ微粒子間の空隙にバインダー成分が充填され、当該シリカ微粒子の表面の反応性官能基aとバインダー成分が有する反応性官能基bとが一部架橋結合しており、且つ、当該ハードコート層の基材側とは反対側の界面近傍に前記シリカ微粒子よりも平均1次粒径が大きい機能性微粒子が分散していることを特徴とする。
従って、本発明によれば、ハードコート層一層で、優れた硬度及び密着性と共に易滑性等の機能性を効果的に付与することができ、且つ、干渉縞の発生を防止することが可能なハードコートフィルムとすることができる。
ハードコートフィルム1は、基材10の一面側に、ハードコート層20が設けられている。当該ハードコート層20は、層中にシリカ微粒子5が分散し、且つ、当該ハードコート層20の基材10とは反対側の界面近傍に当該シリカ微粒子よりも平均1次粒径が大きい機能性微粒子6が分散している。
以下、本発明のハードコートフィルムを構成する各層について順に説明する。
本発明に用いられる基材は、ハードコートフィルムの用途によって適宜選択され、光透過性を有しない基材であっても、光透過性を有する基材であっても良い。例えば、反射スクリーン等に用いられるハードコートフィルムとしては、光透過性を有しない基材を用いることができる。液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ及び有機ELディスプレイ等の画像表示面の保護に用いられるハードコートフィルムとしては、光透過性を有する基材を用いる。
光透過性樹脂基材は、薄さ、軽さ、割れにくさ、フレキシブル性等の点で優れている。
シクロオレフィンポリマーとしては、例えば、ノルボルネン系重合体、単環の環状オレフィン系重合体、環状共役ジエン系重合体、ビニル脂環式炭化水素系重合体樹脂等が挙げられ、より具体的には、日本ゼオン(株)製のゼオネックスやゼオノア(ノルボルネン系樹脂)、住友ベークライト(株)製 スミライトFS−1700、JSR(株)製 アートン(変性ノルボルネン系樹脂)、三井化学(株)製 アペル(環状オレフィン共重合体)、Ticona社製の Topas(環状オレフィン共重合体)、日立化成(株)製 オプトレッツOZ−1000シリーズ(脂環式アクリル樹脂)等が挙げられる。
ポリカーボネートの具体例としては、ビスフェノール類(ビスフェノールA等)をベースとする芳香族ポリカーボネート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート等の脂肪族ポリカーボネート等が挙げられる。
アクリレート系ポリマーの具体例としては、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ブチル共重合体等が挙げられる。
ポリエステルの具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等が挙げられる。
トリアセチルセルロースフィルム(TACフィルム)は、可視光域380〜780nmにおいて、平均光透過率を50%以上とすることが可能な光透過性基材である。
TACフィルムは、光学的等方性を有するため、液晶ディスプレイ用途の場合においても好ましく用いることができる。
本発明のハードコート層は、平均1次粒径10〜100nmのシリカ微粒子の表面に反応性官能基aを有する反応性シリカ微粒子を必須成分とする第一のハードコート層用硬化性樹脂組成物と、反応性官能基bを有するバインダー成分、及び前記反応性シリカ微粒子よりも平均1次粒径が大きい機能性微粒子を必須成分とする第二のハードコート層用硬化性樹脂組成物の硬化物からなり、当該ハードコート層は、直接又は他の層を介して基材の一面側に設けられる。
本発明において「ハードコート層」とは、上述のように、JIS K5600−5−4(1999)で規定される鉛筆硬度試験(500g荷重)でH以上の硬度を示すものである。
本発明のハードコート層は、前記鉛筆硬度試験で更に5H以上であることが好ましい。
(i)第一のハードコート層用硬化性樹脂組成物
本発明で用いられる第一のハードコート層用硬化性樹脂組成物は、平均1次粒径10〜100nmのシリカ微粒子の表面に反応性官能基aを有する反応性シリカ微粒子を全固形分に対して80〜100重量%、好ましくは85〜100重量%の割合で含有する。当該反応性シリカ微粒子の含有量が、80重量%未満の場合、第一のハードコート層用硬化性樹脂組成物により形成された骨格層中のシリカ粒子間の空隙が少なくなり、第二のハードコート層用硬化性樹脂組成物に使用するバインダー成分が、空隙に入り込みにくくなり、さらには、第二のハードコート層用硬化性樹脂組成物のバインダー成分が基材にまで到達できないため、十分な硬度が得られないだけでなく、基材との密着性、並びに骨格層と第二のハードコート層用硬化性樹脂組成物の塗膜との密着性も悪化してしまう。
以下、各成分について説明する。
反応性シリカ微粒子は、ハードコート層に硬度を付与するための成分である。
ハードコート層用硬化性樹脂組成物に平均1次粒径10〜100nmの反応性シリカ微粒子を含有させることにより、ハードコート層に優れた硬度を付与しやすくなる。
反応性シリカ微粒子の平均1次粒径は12〜50nmであることが好ましい。反応性シリカ微粒子の平均1次粒径が1nm未満ではハードコート層の硬度向上には寄与できず、また、ハードコート層に隣接する基材や必要に応じてハードコート層の基材とは反対側に設けるその他の層とシリカ微粒子との接触面積が増えるために、基材との密着性が悪化する恐れがある。平均1次粒径が100nmを超えると、ハードコート層の透明性が低下し、透過率の悪化、ヘイズの上昇を招く恐れがある。
反応性シリカ微粒子は、ハードコート層に更に機能を付与するものであっても良く、目的に合わせて適宜選択して用いる。
なお、単位面積当りの有機成分量は、以下の方法により求めることができる。まず、示差熱重量分析(DTG)により、有機成分重量を無機成分重量で割った値(有機成分重量/無機成分重量)を測定する。次に、無機成分重量と用いたシリカ微粒子の比重から無機成分全体の体積を計算する。また、被覆前のシリカ微粒子が真球状であると仮定し、被覆前のシリカ微粒子の平均1次粒径から被覆前のシリカ微粒子1個当りの体積、及び表面積を計算する。次に、無機成分全体の体積を被覆前のシリカ微粒子1個当たりの体積で割ることにより、反応性シリカ微粒子の個数を求める。更に、有機成分重量を反応性シリカ微粒子の個数で割ることにより、反応性シリカ微粒子1個当たりの有機成分量を求める。最後に、反応性シリカ微粒子1個当りの有機成分重量を、被覆前のシリカ微粒子1個当りの表面積で割ることにより、単位面積当たりの有機成分量を求めることができる。
中でも、本発明においては、被覆している有機成分が反応性シリカ微粒子中に、被覆前のシリカ微粒子の単位面積当たり1.00×10−3g/m2以上含まれることが可能で、シリカ微粒子同士の凝集を抑制し、膜の硬度を向上させる点から、以下の(i)(ii)の反応性シリカ微粒子のいずれかを適宜選択して用いることが好ましい。
(i)飽和又は不飽和カルボン酸、当該カルボン酸に対応する酸無水物、酸塩化物、エステル及び酸アミド、アミノ酸、イミン、ニトリル、イソニトリル、エポキシ化合物、アミン、β−ジカルボニル化合物、シラン、及び官能基を有する金属化合物よりなる群から
選択される1種以上の分子量500以下の表面修飾化合物の存在下、分散媒としての水及び/又は有機溶媒の中にシリカ微粒子を分散させることにより得られる、表面に反応性官能基aを有するシリカ微粒子。
(ii)被覆前のシリカ微粒子に導入する反応性官能基a、下記化学式(1)に示す基、及びシラノール基又は加水分解によってシラノール基を生成する基を含む化合物と、金属酸化物微粒子とを結合することにより得られる、表面に反応性官能基aを有するシリカ微粒子。
化学式(1)
−Q1−C(=Q2)−Q3−
化学式(1)中、Q1は、NH、O(酸素原子)、又はS(硫黄原子)を示し、Q2はO又はSを示し、Q3は、NH又は2価以上の有機基を示す。
(i)飽和又は不飽和カルボン酸、当該カルボン酸に対応する酸無水物、酸塩化物、エステル及び酸アミド、アミノ酸、イミン、ニトリル、イソニトリル、エポキシ化合物、アミン、β−ジカルボニル化合物、シラン、及び官能基を有する金属化合物よりなる群から選択される1種以上の分子量500以下の表面修飾化合物の存在下、分散媒としての水及び/又は有機溶媒の中にシリカ微粒子を分散させることにより得られる、表面に反応性官能基aを有するシリカ微粒子。
上記(i)の反応性シリカ微粒子を用いる場合には、有機成分含量が少なくても膜強度
を向上できるというメリットがある。
例えば、疎水性分子残基としては、不活性化又は反発作用をもたらす、アルキル、アリール、アルカリル、アラルキル又はフッ素含有アルキル基等が挙げられる。親水性基としてはヒドロキシ基、アルコキシ基又はポリエステル基等が挙げられる。
アミノ酸の例としては、β−アラニン、グリシン、バリン、アミノカプロン酸、ロイシン及びイソロイシンが挙げられる。
分散媒は、蒸留(任意に減圧下)により容易に除去できる沸点を有することが好ましく、沸点が200℃以下、特に150℃以下の溶媒が好ましい。
化学式(1)
−Q1−C(=Q2)−Q3−
化学式(1)中、Q1は、NH、O(酸素原子)、又はS(硫黄原子)を示し、Q2はO又はSを示し、Q3は、NH又は2価以上の有機基を示す。
上記(ii)の反応性シリカ微粒子を用いる場合には、有機成分量が高まり、分散性、及び膜強度がより高まるという利点がある。
上記反応性官能基修飾加水分解性シランにおいて、当該シリカ微粒子に導入したい反応性官能基aは、後述するバインダー成分と反応可能なように適宜選択すれば特に限定されない。上述したような重合性不飽和基を導入するのに適している。
[(RaO)mRb 3ーmSi−]で示される基としては、例えば、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリフェノキシシリル基、メチルジメトキシシリル基、ジメチルメトキシシリル基等を挙げることができる。このような基のうち、トリメトキシシリル基又はトリエトキシシリル基等が好ましい。
なお、略球状とは、回転楕円体や、多面体等をも含めた球体に近似できる形状を意味し、真球状も包含する概念である。
異形シリカ微粒子が反応性シリカ微粒子の反応性官能基aにより3〜20個結合したものよりも硬度に優れる理由は定かではないが、異形シリカ微粒子の無機の化学結合は、有機成分である反応性官能基同士による結合よりも、結合に柔軟性や自由度が少なく、強固にシリカ微粒子同士が結合しているため、膜に牽引荷重がかかった場合でも、当該結合は破壊され難く、膜内でのネットワークを補強する形で働き、ハードコート層により優れた硬度を付与することができると推測される。
球状の反応性シリカ微粒子の反応性官能基aと反応性異形シリカ微粒子の反応性官能基aは同じであっても異なっていても良い。
本発明で用いられる第一のハードコート層用硬化性樹脂組成物は、必要に応じてバインダー成分を含む。当該バインダー成分は、後述するバインダー成分や前記反応性シリカ微粒子と架橋反応可能な反応性官能基b’を有し、後述する第二のハードコート層用硬化性樹脂組成物において説明するバインダー成分と同じものを用いることができる。当該バインダー成分は後述するバインダー成分と同じであっても異なっていても良い。
反応性官能基b’は、前記反応性官能基a及び後述する反応性官能基bと同じであっても異なっていても良い。
本発明で用いられる第二のハードコート層用硬化性樹脂組成物は、反応性官能基bを有するバインダー成分、前記反応性シリカ微粒子よりも平均1次粒径が大きい機能性微粒子を必須成分として含み、更に、重合開始剤や、溶剤等の他の成分を含んでいても良いものである。
第二のハードコート層用硬化性樹脂組成物に用いられるバインダー成分は、前記反応性シリカ微粒子の反応性官能基aと架橋反応性を有する反応性官能基bを有する。当該反応性官能基aと当該反応性官能基b、及び当該反応性官能基b同士が架橋結合し、網目構造が形成され、ハードコート層の硬度を更に高める。
反応性官能基bとしては、重合性不飽和基が好適に用いられ、好ましくは光硬化性不飽和基であり、特に好ましくは電離放射線硬化性不飽和基である。その具体例としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性不飽和結合及びエポキシ基等が挙げられる。
また、反応性官能基bは、前記反応性官能基aと同じであっても異なっていても良い。
バインダー成分としては、例えば、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンヘキサ(メタ)アクリレート、及びこれらの変性体が挙げられる。
尚、変性体としては、EO(エチレンオキサイド)変性体、PO(プロピレンオキサイド)変性体、CL(カプロラクトン)変性体、及びイソシアヌル酸変性体等が挙げられる。
前記ポリアルキレンオキシド鎖含有ポリマー(A)は、下記化学式(4)で表され、末端に3つ以上の反応性官能基bを有する分子量が1000以上のポリアルキレンオキシド鎖含有ポリマーである。
ハードコート層を形成した際の硬度を維持しつつクラックを抑制する点から、n1、n2・・・nkはそれぞれ2〜500の数であることが好ましく、更に2〜300の数であることが好ましい。
Y1〜Ykが反応性官能基bそのものである場合、Y1〜Ykとしては例えば、(メタ)アクリロイル基等の重合性不飽和基が挙げられる。
例えば、エチレン性不飽和基を有する化合物残基としては、具体的には例えば、以下の化合物のエチレン性不飽和基以外の反応性置換基又は反応性置換基の一部(水素等)を除いた残基が挙げられる。例えば、(メタ)アクリル酸、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートなどが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
2つ以上の反応性官能基bを有する分子量が10,000未満の化合物(B)は、前述の反応性シリカ微粒子と相俟って、ハードコート層の硬度を向上させ、十分な耐擦傷性を付与するものである。なお、上記ポリマー(A)の構造を有するものは、2つ以上の反応性官能基bを有する分子量が10,000未満の化合物(B)から除かれる。
本発明において当該化合物(B)は、上記ポリマー(A)と前述の反応性シリカ微粒子との組み合わせにおいて、互いに反応可能な反応性官能基bを有し、十分な耐擦傷性を有する広範な化合物から適宜選択して用いることができる。当該化合物(B)としては、1種単独で用いても良いが、2種以上を適宜混合して用いても良い。
2つ以上の反応性官能基bを有する分子量が10000未満の化合物(B)は、1分子中に含まれる反応性官能基bが3個以上であることが、硬化膜の架橋密度をあげて、硬度を付与する点から好ましい。ここで化合物(B)が分子量分布を有するオリゴマーの場合、反応性官能基b数は、平均の個数で表される。
また、化合物(B)の分子量は、硬度向上の点から、5,000未満であることが好ましい。
重合性不飽和基を有する具体例として、重合性不飽和基を1分子内に2つ以上有する多官能(メタ)アクリレート系モノマーとしては、例えば、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート等の2官能(メタ)アクリレート化合物;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、及びそのEO、PO、エピクロルヒドリン変性品、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、及びそのEO、PO、エピクロルヒドリン変性品、イソシアヌール酸EO変性トリ(メタ)アクリレート(東亞合成製アロニックスM−315等)、トリス(メタ)アクリロイルオキシエチルフォスフェート、フタル酸水素−(2,2,2−トリ−(メタ)アクリロイルオキシメチル)エチル、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、及びそのEO、PO、エピクロルヒドリン変性品等の3官能(メタ)アクリレート化合物;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、及びそのEO、PO、エピクロルヒドリン変性品、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等の4官能(メタ)アクリレート化合物;ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、及びそのEO、PO、エピクロルヒドリン、脂肪酸、アルキル、ウレタン変性品等の5官能(メタ)アクリレート化合物;ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、及びそのEO、PO、エピクロルヒドリン、脂肪酸、アルキル、ウレタン変性品、ソルビトールヘキサ(メタ)アクリレート、及びそのEO、PO、エピクロルヒドリン、脂肪酸、アルキル、ウレタン変性品等の6官能(メタ)アクリレート化合物が挙げられる。
また、上記ウレタン(メタ)アクリレート類に用いられるポリオールとしては、例えば、1,6−ヘキサンジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリカプロラクトンジオール、ポリカーボネートジオール、ポリブタジエンポリオール、ポリエステルジオール等が挙げられる。上記ウレタン(メタ)アクリレート類に用いられるポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフエニルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、ヘキサメレチンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等が挙げられる。上記ウレタン(メタ)アクリレート類に用いられる水酸基を含有する(メタ)アクリレートとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、上記ポリエステルアクリレート類に用いられるポリエステルポリオールを形成するためのポリオールとしては、例えばエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられ、多塩基酸としては、例えばコハク酸、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等が挙げられる。
本発明で用いられる機能性微粒子は、ハードコート層に易滑性や、防眩性等の機能を付与する微粒子である。当該機能性微粒子は、前記反応性シリカ微粒子よりも平均1次粒径が大きく、バインダー成分に分散可能な微粒子であれば、特に限定されない。
易滑剤としては、好ましくは平均1次粒径100〜1000nm、更に好ましくは120〜500nmの無機微粒子や有機微粒子が挙げられる。微粒子の平均1次粒径が100nm未満では、ハードコート層表面に十分な易滑性を付与することができず、平均1次粒径が1000nm超過では、ハードコート層の透明性が低下し、透過率の悪化、ヘイズの上昇を招く恐れがある。
無機微粒子としては、シリカ、酸化チタン、層状粘度化合物、カオリン、タルク、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸マグネシウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、及びアンチモン酸亜鉛(ATO)、リンドーブ酸化スズ(PTO)、酸化インジウム(ITO)等の帯電防止性を有する微粒子等が挙げられ、中でもシリカ、酸化アルミニウムが好ましい。尚、当該無機微粒子は、表面処理をしていてもしていなくてもよい。
有機微粒子としては、アクリル系ポリマー、スチレン系ポリマー、スチレン・アクリル共重合体ポリマー、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂の架橋物等が挙げられ、中でもアクリル系ポリマー、スチレン系ポリマー、スチレン・アクリル共重合体ポリマーが好ましい。
尚、これらは単独でもまた併用して用いても良い。
屈折率の測定は、特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。例えば、分光光度計で測定した反射率曲線からシミュレーションを用いて算出する方法、エリプソメータを用いて測定する方法及びアッベ法を挙げることができる。
上記炭化水素鎖に有していても良い置換基としては、具体的にはハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基、イソシアネート基、メルカプト基、シアノ基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、アセチル基、アセトキシ基、スルホン基等が挙げられるが特に限定されない。上記炭化水素鎖に有していても良い置換基には、上述のように直鎖や環状の炭化水素鎖に対して異種原子を介して分岐している炭化水素鎖も含まれ、例えば、アルコキシ基(RO−、ここでRは飽和又は不飽和の直鎖、分枝、又は環状の炭化水素鎖である。)、アルキルチオエーテル基(RS−、ここでRは飽和又は不飽和の直鎖、分枝、又は環状の炭化水素鎖である。)、アルキルエステル基(RCOO−、ここでRは飽和又は不飽和の直鎖、分枝、又は環状の炭化水素鎖である。)等が挙げられる。
本発明の第二のハードコート層用硬化性樹脂組成物には、上記必須成分のほかに、更に溶剤、重合開始剤を適宜添加することもできる。更に、反応性又は非反応性レベリング剤、各種増感剤等の各種添加剤が混合されていても良い。
溶剤の具体例としては、メタノール、エタノール、ノルマルプロパノール、イソプロパノール(IPA)、ノルマルブタノール、sec−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール、メチルグリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、メチルグリコールアセテート、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール等のケトン類;蟻酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、乳酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;ニトロメタン、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等の含窒素化合物;ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン等のエーテル類;塩化メチレン、クロロホルム、トリクロロエタン、テトラクロルエタン等のハロゲン化炭化水素;ジメチルスルホキシド、炭酸プロピレン等のその他の物;又はこれらの混合物が挙げられる。
ハードコートフィルムの硬度を向上できる点から、MIBK、PGME、ノルマルプロパノール、イソプロパノール、ノルマルブタノール、sec−ブタノール、イソブタノール、及びtert−ブタノールよりなる群から選ばれる1種以上の非浸透性溶剤であることが好ましい。非浸透性溶剤を用いることにより、上記バインダー成分が基材に浸透しなくなるため、ハードコート層の硬度を高めることができる。
なお、本発明において、浸透とは、樹脂基材を溶解又は膨潤させることをいう。
本発明においては、上記ラジカル重合性官能基やカチオン重合性官能基の開始又は促進させるために、必要に応じてラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤、ラジカル及びカチオン重合開始剤等を適宜選択して用いても良い。これらの重合開始剤は、光照射及び/又は加熱により分解されて、ラジカルもしくはカチオンを発生してラジカル重合とカチオン重合を進行させるものである。
重合開始剤が用いられる場合、上記第二のハードコート層用硬化性樹脂組成物の全固形分に対して1〜10重量%、より好ましくは3〜6重量%となるように含まれることが望ましい。
本発明の第二のハードコート層用硬化性樹脂組成物には、レベリング剤を添加することができ、中でも、フッ素系又はシリコーン系等のレベリング剤を添加することが好ましい。レベリング剤を添加した第二のハードコート層用硬化性樹脂組成物は、塗布又は乾燥時に塗膜表面に対して塗工安定性、滑り性、防汚染性、及び耐擦傷性を付与することができる。
レベリング剤の添加量としては、第二のハードコート層用硬化性樹脂組成物の全固形分に対して0〜0.5重量%が好ましく、0〜0.2重量%がさらに好ましい。
ハードコートフィルムは、上記したように基材、及びハードコート層より基本的には構成されてなる。しかしながら、ハードコートフィルムとしての機能又は用途を加味して、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記ハードコート層の基材側又は基材とは反対側の面に、更に下記のような一又は二以上の層を設けてもよい。
防眩層は、防眩剤と硬化性樹脂を含む防眩層用硬化性樹脂組成物の硬化物からなる。当該硬化性樹脂は、公知のものを適宜選択して、1種又は2種以上用いることができる。
防眩剤としては、上記ハードコート層の防眩剤で挙げたものと同様のものを用いることができる。
本発明の好ましい態様によれば、ハードコートフィルム最表面の汚れ防止を目的として防汚層を設けてもよい。防汚層は、ハードコートフィルムに対して防汚性と耐擦傷性のさらなる改善を図ることが可能となる。防汚層は、防汚剤と硬化性樹脂組成物を含む防汚層用硬化性樹脂組成物の硬化物からなる。
低屈折率層は、当該層の基材側に隣接する層よりも屈折率が低い層であり、低屈折率層用硬化性樹脂組成物の硬化物からなる。当該低屈折率層用硬化性樹脂組成物には、前記隣接する層よりも屈折率が低くなるように、適宜公知の低屈折率硬化性樹脂や微粒子を用いることができる。
本発明に係るハードコートフィルムの製造方法は、基材の一面側にハードコート層を設けたハードコートフィルムの製造方法において、
(i)平均1次粒径10〜100nmのシリカ微粒子の表面に反応性官能基aを有する反応性シリカ微粒子を全固形分に対して80〜100重量%の割合で含有する第一のハードコート層用硬化性樹脂組成物を準備する工程、
(ii)基材の一面側に、前記第一のハードコート層用硬化性樹脂組成物を塗布し、ハーフキュアーして骨格層を形成する工程、
(iii)反応性官能基bを有するバインダー成分中に前記反応性シリカ微粒子よりも平均1次粒径が大きい機能性微粒子を分散させた第二のハードコート層用硬化性樹脂組成物を準備する工程、及び
(iv)前記基材の一面側に形成した骨格層上に、前記第二のハードコート層用硬化性樹脂組成物を塗布した後、当該骨格層と第二のハードコート層用硬化性樹脂組成物の塗膜をフルキュアーすることにより、膜厚10〜20μmのハードコート層を形成する工程を含むことを特徴とする。
従って、本発明によれば、ハードコート層一層で、優れた硬度と共に易滑性等の機能性を効果的に付与することができ、且つ、干渉縞の発生を防止することが可能なハードコートフィルムを提供することができる。
(i)第一のハードコート層用硬化性樹脂組成物を準備する工程
本工程においては、第一のハードコート層用硬化性樹脂組成物を準備する。
上記第一のハードコート層用硬化性樹脂組成物は、平均1次粒径10〜100nmのシリカ微粒子の表面に反応性官能基aを有する反応性シリカ微粒子を全固形分に対して80〜100重量%の割合で含有し、必要に応じてバインダー成分を含む。上記反応性シリカ微粒子及びバインダー成分は、「I.ハードコートフィルム」において説明したものを用いることができる。
本工程においては、先ず基材を用意し、この基材の一面側に上記第一のハードコート層用硬化性樹脂組成物を塗布し、必要に応じて塗膜を乾燥させる。
上記基材は、「I.ハードコートフィルム」において説明したものを用いることができる。
塗布方法は、基材表面に上記第一のハードコート層用硬化性樹脂組成物を均一に塗布することができる方法であれば特に限定されるものではなく、スピンコート法、ディップ法、スプレー法、スライドコート法、バーコート法、ロールコーター法、メニスカスコーター法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、ピードコーター法等の各種方法を用いることができる。
また、基材上への上記第一のハードコート層用硬化性樹脂組成物の塗工量としては、得られるハードコートフィルムが要求される性能により異なるものであるが、当該第一のハードコート層用硬化性樹脂組成物を塗工した結果、乾燥後の膜厚が10〜20μmになるように適宜調節すればよく、当該第一のハードコート層用硬化性樹脂組成物の塗工量が3〜18μmの範囲内、特に5〜15μmの範囲内であることが好ましい。
上記第一のハードコート層用硬化性樹脂組成物は、反応性シリカ微粒子を全固形分に対して80〜100重量%と高濃度で含有するため、当該第一のハードコート層用硬化性樹脂組成物の塗膜をハーフキュアーすることで、シリカ微粒子間に空隙のある骨格層を形成することができる。
本工程においては、第二のハードコート層用硬化性樹脂組成物を準備する。
上記第二のハードコート層用硬化性樹脂組成物は、反応性官能基bを有するバインダー成分中に前記反応性シリカ微粒子よりも平均1次粒径が大きい機能性微粒子を分散させたものである。
当該第二のハードコート層用硬化性樹脂組成物は、通常、溶剤にバインダー成分、上記特定の機能性微粒子の他、重合開始剤等を一般的な調製法に従って、混合し分散処理することにより調製される。混合分散には、ペイントシェーカー又はビーズミル等を用いることができる。
また、基材との密着性を向上させる点から、当該第二のハードコート層用硬化性樹脂組成物の固形分濃度を50重量%以下として、当該第二のハードコート層用硬化性樹脂組成物の粘度を低くすることが好ましい。
尚、上記バインダー成分、及び機能性微粒子は、「I.ハードコートフィルム」において説明したものを用いることができる。
上記工程(ii)において形成された骨格層は、シリカ微粒子間に空隙のある構造を有するため、このままでは、基材との密着性が悪く、低硬度で、ヘイズが高い。
そこで、本工程においては、先ず、上記骨格層上に上記第二のハードコート層用硬化性樹脂組成物を塗布すると、当該シリカ微粒子よりも平均1次粒径の大きい機能性微粒子はシリカ微粒子間の空隙に入り込むことができず、当該第二のハードコート層用硬化性樹脂組成物中の当該機能性微粒子以外の成分のみがシリカ微粒子間の空隙に充填され、更に、当該第二のハードコート層用硬化性樹脂組成物の一部は、シリカ微粒子間の空隙を通って基材表面まで到達する。また、当該機能性微粒子を含む当該第二のハードコート層用硬化性樹脂組成物は当該骨格層のシリカ微粒子上に残る。そして、当該骨格層と当該第二のハードコート層用硬化性樹脂組成物の塗膜をフルキュアーすることで、得られるハードコート層は、基材との密着性及び硬度が高く、ヘイズが良好なものとなる。また、ハードコート層中に上記特定のシリカ微粒子を分散させ、且つ、当該ハードコート層の基材側とは反対側の界面近傍に上記特定の機能性微粒子を分散させることができ、当該ハードコート層に、優れた硬度と共に易滑性等の機能性を効果的に付与することができる。
また、基材上への上記第二のハードコート層用硬化性樹脂組成物の塗工量としては、得られるハードコートフィルムが要求される性能により異なるものであるが、上記骨格層と上記第二のハードコート層用硬化性樹脂組成物の塗膜の乾燥後の合計膜厚が10〜20μmになるように適宜調節すればよく、塗工量が2〜17μmの範囲内、特に5〜15μmの範囲内であることが好ましい。
また、加熱する場合は、通常40℃〜120℃の温度にて処理する。また、室温(25℃)で24時間以上放置することにより反応を行っても良い。
反応性シリカ微粒子(1)として、日産化学工業(株)製、MIBK−SDL(平均1次粒径44nm、固形分30%液(溶剤;MIBK)、反応性官能基はメタクリレート基)を用いた。
反応性シリカ微粒子(2)として、日産化学工業(株)製、MIBK−STD2L(平均1次粒径44nm、固形分30%液(溶剤;MIBK)、反応性官能基はアクリレート基)を用いた。
反応性シリカ微粒子(3)として、日産化学工業(株)製、MIBK−SDZL(平均1次粒径80nm、固形分30%液(溶剤;MIBK)、反応性官能基はメタクリレート基)を用いた。
反応性シリカ微粒子(4)として、日産化学工業(株)製、MIBK−SDML(平均1次粒径20nm、固形分30%液(溶剤;MIBK)、反応性官能基はメタクリレート基)を用いた。
反応性シリカ微粒子(5)として、日産化学工業(株)製、MIBK−SD(平均1次粒径12nm、固形分30%液(溶剤;MIBK)、反応性官能基はメタクリレート基)を用いた。
反応性異形シリカ微粒子(1)として、日揮触媒化成(株)製、日揮触媒化成(株)製、DP1039SIV(異形形状、平均1次粒径20nm、平均連結数3.5個、固形分40%液(溶剤;MIBK)、反応性官能基はメタクリレート基)を用いた。
反応性官能基をもたないシリカ粒子(1)として、日産化学工業(株)製、IPA−ST−L(平均1次粒径44nm、固形分30%液(溶剤;IPA))のシリカ微粒子を用いた。
バインダー成分(1)として、日本化薬製、DPHAを用いた。
易滑剤(1)として、日揮触媒化成(株)製、DP−1120SIV(平均1次粒径120nm、固形分20%液(溶剤;IPA))を用いた。
易滑剤剤(2)として、シーアイ化成(株)製、E03(平均1次粒径150nm、固形分15%液(溶剤;MEK))を用いた。
易滑剤剤(3)として、シーアイ化成(株)製E68(平均1次粒径250nm、固形分15%液(溶剤;MIBK))を用いた。
易滑剤剤(4)として、シーアイ化成(株)製、E65(平均1次粒径150nm、固形分15%液(溶剤;MIBK))を用いた。
易滑剤剤(5)として、アイカ工業(株)製、Z732(平均1次粒径200nm、固形分50%液(溶剤;酢酸エチル、MEK)易滑剤含有割合は固形分対比3〜10%)を用いた。
基材として、TACフィルム(厚み40μm、トリアセチルセルロース樹脂フィルム、商品名:KC4UY、コニカ(株)製)を用いた。
下記に示す組成の成分を配合して第一のハードコート層用硬化性樹脂組成物(硬化性樹脂組成物1−1〜1−11)、及び第二のハードコート層用硬化性樹脂組成物(硬化性樹脂組成物2−1〜2−7)をそれぞれ、調製した。
反応性シリカ微粒子(1):300重量部(固形分90重量部)
バインダー成分(1):10重量部
イルガキュア184:4重量部(固形分4重量部)
メガファックMCF350−5:4重量部(固形分0.2重量部)
反応性シリカ微粒子(1):333重量部(固形分100重量部)
イルガキュア184:4重量部(固形分4重量部)
メガファックMCF350−5:4重量部(固形分0.2重量部)
反応性シリカ微粒子(1):283重量部(固形分85重量部)
バインダー成分(1):15重量部
イルガキュア184:4重量部(固形分4重量部)
メガファックMCF350−5:4重量部(固形分0.2重量部)
反応性シリカ微粒子(2):300重量部(固形分90重量部)
バインダー成分(1):10重量部
イルガキュア184:4重量部(固形分4重量部)
メガファックMCF350−5:4重量部(固形分0.2重量部)
反応性シリカ微粒子(3):300重量部(固形分90重量部)
バインダー成分(1):10重量部
イルガキュア184:4重量部(固形分4重量部)
メガファックMCF350−5:4重量部(固形分0.2重量部)
反応性シリカ微粒子(4):300重量部(固形分90重量部)
バインダー成分(1):10重量部
イルガキュア184:4重量部(固形分4重量部)
メガファックMCF350−5:4重量部(固形分0.2重量部)
反応性シリカ微粒子(5):300重量部(固形分90重量部)
バインダー成分(1):10重量部
イルガキュア184:4重量部(固形分4重量部)
メガファックMCF350−5:4重量部(固形分0.2重量部)
反応性異形シリカ微粒子(1):225重量部(固形分90重量部)
バインダー成分(1):10重量部
イルガキュア184:4重量部(固形分4重量部)
メガファックMCF350−5:4重量部(固形分0.2重量部)
反応性シリカ微粒子(1):250重量部(固形分75重量部)
バインダー成分(1):25重量部
イルガキュア184:4重量部(固形分4重量部)
メガファックMCF350−5:4重量部(固形分0.2重量部)
シリカ微粒子(1):300重量部(固形分90重量部)
バインダー成分(1):10重量部
イルガキュア184:4重量部(固形分4重量部)
メガファックMCF350−5:4重量部(固形分0.2重量部)
シリカ微粒子(1):333重量部(固形分100重量部)
イルガキュア184:4重量部(固形分4重量部)
メガファックMCF350−5:4重量部(固形分0.2重量部)
易滑剤(1):25重量部(固形分5重量部)
バインダー成分(1):95重量部
イルガキュア184:4重量部
メガファックMCF350−5:4重量部(固形分0.2重量部)
MIBK:130重量部
易滑剤(2):33重量部(固形分5重量部)
バインダー成分(1):95重量部
イルガキュア184:4重量部
メガファックMCF350−5:4重量部(固形分0.2重量部)
MIBK:122重量部
易滑剤(3):33重量部(固形分5重量部)
バインダー成分(1):95重量部
イルガキュア184:4重量部
メガファックMCF350−5:4重量部(固形分0.2重量部)
MIBK:122重量部
易滑剤(4):33重量部(固形分5重量部)
バインダー成分(1):95重量部
イルガキュア184:4重量部
メガファックMCF350−5:4重量部(固形分0.2重量部)
MIBK:122重量部
易滑剤(5):60重量部(固形分30重量部)
バインダー成分(1):70重量部
イルガキュア184:4重量部
メガファックMCF350−5:4重量部(固形分0.2重量部)
MIBK:120重量部
易滑剤(1):50重量部(固形分10重量部)
バインダー成分(1):90重量部
イルガキュア184:4重量部
メガファックMCF350−5:4重量部(固形分0.2重量部)
MIBK:130重量部
易滑剤(1):0.5重量部(固形分0.1重量部)
バインダー成分(1):99.9重量部
イルガキュア184:4重量部
メガファックMCF350−5:4重量部(固形分0.2重量部)
MIBK:130重量部
TACフィルムの片面に、第一のハードコート層用硬化性樹脂組成物として、前記硬化性樹脂組成物1−1を塗布し、温度70℃の熱オーブン中で60秒間乾燥し、塗膜中の溶剤を蒸発させ、紫外線を積算光量が50mJ/cm2になるように照射しハーフキュアーして、骨格層を形成した。更に、当該骨格層上に、第二のハードコート層用硬化性樹脂組成物として、前記硬化性樹脂組成物2−1を塗布し、温度70℃の熱オーブン中で60秒間乾燥し、塗膜中の溶剤を蒸発させ、紫外線を積算光量が200mJ/cm2になるように照射しフルキュアーして、骨格層と第二のハードコート層用硬化性樹脂組成物の塗膜を完全に硬化させることにより、膜厚15μmのハードコート層を形成し、実施例1のハードコートフィルムを作製した。
実施例1において、第一のハードコート層用硬化性樹脂組成物及び第二のハードコート層用硬化性樹脂組成物を表1に示す組成物に代え、膜厚を表に示すように代えた以外は実施例1と同様にして、実施例2〜14、及び比較例1〜4の各ハードコートフィルムの作製を行った。尚、実施例1〜14及び比較例1〜4の各硬化性樹脂組成物の組成について表1に示す。
TACフィルムの片面に、第二のハードコート層用硬化性樹脂組成物として、前記硬化性樹脂組成物2−1を塗布し、温度70℃の熱オーブン中で60秒間乾燥し、塗膜中の溶剤を蒸発させ、紫外線を積算光量が50mJ/cm2になるように照射しハーフキュアーして半硬化状樹脂層を形成した。更に、当該半硬化状樹脂層上に、第一のハードコート層用硬化性樹脂組成物として、前記硬化性樹脂組成物1−1を塗布し、紫外線を積算光量が200mJ/cm2になるように照射しフルキュアーして、半硬化状樹脂層と第二のハードコート層用硬化性樹脂組成物の塗膜を完全に硬化させることにより、膜厚15μmのハードコート層を形成し、比較例5のハードコートフィルムを作製した。
TACフィルムの片面に、第二のハードコート層用硬化性樹脂組成物として、前記硬化性樹脂組成物2−1を塗布し、温度70℃の熱オーブン中で60秒間乾燥し、塗膜中の溶剤を蒸発させ、紫外線を積算光量が200mJ/cm2になるように照射して塗膜を硬化させることにより、膜厚10μmのハードコート層を形成し、比較例6のハードコートフィルムを作製した。
尚、上記比較例5及び6の各硬化性樹脂組成物の組成について表2に示す。
TACフィルムの片面に、ハードコート層用硬化性樹脂組成物として、前記硬化性樹脂組成物1−1、100重量部及び前記硬化性樹脂組成物2−1、100重量部を混合した硬化性樹脂組成物を塗布し、温度70℃の熱オーブン中で60秒間乾燥し、塗膜中の溶剤を蒸発させ、紫外線を積算光量が200mJ/cm2になるように照射して塗膜を硬化させることにより、膜厚15μmのハードコート層を形成し、比較例7のハードコートフィルムを作製した。
比較例7において、硬化性樹脂組成物2−1を表3に示す組成物に代えた以外は比較例7と同様にして、比較例8〜11のハードコートフィルムをそれぞれ作製した。
尚、上記比較例7〜11の各硬化性樹脂組成物の組成について表3に示す。
上記各実施例、及び比較例に対して、以下の点を評価した。その結果を表4に示す。
(1)鉛筆硬度
鉛筆硬度試験;鉛筆引っ掻き試験の硬度は、作製したハードコートフィルムを温度25℃、相対湿度60%の条件で2時間調湿した後、JIS−S−6006が規定する試験用鉛筆を用いて、JIS K5600−5−4(1999)に規定する鉛筆硬度試験(500g荷重)を行い、傷がつかなかった最も高い硬度を測定した。
(2)密着性
塗布密着性(JIS K 5600):1mm角で合計100目の碁盤目を入れ、ニチバン(株)製工業用24mmセロテープ(登録商標)を用いて5回連続剥離試験を行い、残っているマス目の数量を計測し、下記基準に基づいて密着度を測定することにより密着性を評価した。
密着度(%)=(剥がれなかったマス目の数/合計のマス目数100)×100
<評価基準>
○:90%以上
×:90%未満
(3)干渉縞
ハードコートフィルムのTACフィルム側の全面に(株)寺岡製作所製の黒テープを貼った後、干渉縞検査ランプ(フナテック(株)製、FNA18型)で干渉縞の発生の有無を評価した。
<評価基準>
○:全方位での目視観察にて干渉縞が発生しなかった
×:全方位での目視観察にて干渉縞が確認された
(4)ヘイズ
作製したハードコートフィルムのヘイズ値(%)を、ヘイズメーター(村上色彩技術研究所製、製品番号;HM−150)を用いてJIS K−7136に従って測定した。
<評価基準>
○:0.5%以下
×:0.5%より大きい
(5)易滑性効果
トリアセチルセルロースフィルム基材に各種ハードコート層を積層したフィルムを作成し、ロール上に巻取った。5日間常温で放置した後、空ロールへ巻き返し、貼りつきの有無を目視で確認した。
<評価基準>
○:貼り付きなし
×:貼り付きあり
表4より、TACフィルムの片面に、特定の反応性シリカ微粒子を含む第一のハードコート層用硬化性樹脂組成物を塗布しハーフキュアーして骨格層を形成した後、当該骨格層上にバインダー成分と易滑剤を含む第二のハードコート層用硬化性樹脂組成物を塗布しフルキュアーしてハードコート層を形成した実施例1〜14では、鉛筆硬度が5Hと優れた硬度が得られ、密着性、干渉縞、ヘイズ、及び易滑性の評価も良好であった。
一方、特定の反応性シリカ微粒子の含有量が本発明の下限値未満の比較例1では、密着性が低く、干渉縞が発生した。また、特定の反応性シリカ微粒子を含む硬化性樹脂組成物のみを用いてハードコート層を形成した比較例2では、鉛筆硬度が3Hと低く、密着性も低く、干渉縞が発生し、ヘイズ値が高かった。反応性官能基を持たないシリカ微粒子を用いた比較例3では、鉛筆硬度が3Hと低かった。また、反応性官能基を持たないシリカ微粒の含有量が全固形分に対して100重量%の比較例4では、製膜することができなかった。これは、当該シリカ微粒子の粒径が大きく粒子間の結合力が弱いため、粒子同士の接触点が少なく、膜として弱いためだと考えられる。また、TACフィルムの片面に、硬化性樹脂組成物2−1を塗布しハーフキュアーして半硬化状樹脂層を形成した後、当該半硬化状樹脂層上に、硬化性樹脂組成物1−1を塗布しフルキュアーしてハードコート層を形成した比較例5では、干渉縞が発生し、易滑性が不十分であった。バインダー成分と易滑剤を含む硬化性樹脂組成物のみを用いてハードコート層を形成した比較例6では、鉛筆硬度が3Hと低かった。また、特定の反応性シリカ微粒子を含む硬化性樹脂組成物とバインダー成分及び易滑剤を含む硬化性樹脂組成物を混合比1:1で混合した硬化性樹脂組成物を用いた比較例7〜11では、易滑性が不十分であった。
5 シリカ微粒子
6 機能性微粒子
10 基材
20 ハードコート層
Claims (5)
- 基材の一面側にハードコート層を設けたハードコートフィルムであって、
前記ハードコート層中に、平均1次粒径10〜100nmのシリカ微粒子の表面に反応性官能基aを有する反応性シリカ微粒子が相互に架橋結合した構造を含み、前記シリカ微粒子間の空隙にバインダー成分が充填され、当該シリカ微粒子の表面の反応性官能基aとバインダー成分が有する反応性官能基bとが一部架橋結合しており、且つ、当該ハードコート層の基材側とは反対側の界面近傍に前記シリカ微粒子よりも平均1次粒径が大きい機能性微粒子が分散していることを特徴とする、ハードコートフィルム。 - 基材の一面側にハードコート層を設けたハードコートフィルムであって、
前記基材の一面側に、平均1次粒径10〜100nmのシリカ微粒子の表面に反応性官能基aを有する反応性シリカ微粒子を全固形分に対して80〜100重量%の割合で含有する第一のハードコート層用硬化性樹脂組成物を塗布し、ハーフキュアーして骨格層を形成した後、反応性官能基bを有するバインダー成分中に前記反応性シリカ微粒子よりも平均1次粒径が大きい機能性微粒子を分散させた第二のハードコート層用硬化性樹脂組成物を、前記骨格層上に塗布し、当該骨格層と第二のハードコート層用硬化性樹脂組成物の塗膜をフルキュアーして、膜厚10〜20μmのハードコート層を設けることを特徴とする、ハードコートフィルム。 - 前記反応性シリカ微粒子として、平均1次粒径10〜100nmの略球状のシリカ微粒子3〜20個が無機の化学結合により結合し表面に反応性官能基aを有する反応性異形シリカ微粒子が含まれることを特徴とする、請求項2に記載のハードコートフィルム。
- 前記第二のハードコート層用硬化性樹脂組成物の全固形分に対する前記機能性微粒子の含有量の割合が、0.1〜10重量%であることを特徴とする、請求項2又は3に記載のハードコートフィルム。
- 基材の一面側にハードコート層を設けたハードコートフィルムの製造方法において、
(i)平均1次粒径10〜100nmのシリカ微粒子の表面に反応性官能基aを有する反応性シリカ微粒子を全固形分に対して80〜100重量%の割合で含有する第一のハードコート層用硬化性樹脂組成物を準備する工程、
(ii)基材の一面側に、前記第一のハードコート層用硬化性樹脂組成物を塗布し、ハーフキュアーして骨格層を形成する工程、
(iii)反応性官能基bを有するバインダー成分中に前記反応性シリカ微粒子よりも平均1次粒径が大きい機能性微粒子を分散させた第二のハードコート層用硬化性樹脂組成物を準備する工程、及び
(iv)前記基材の一面側に形成した骨格層上に前記第二のハードコート層用硬化性樹脂組成物を塗布した後、当該骨格層と第二のハードコート層用硬化性樹脂組成物の塗膜をフルキュアーすることにより、膜厚10〜20μmのハードコート層を形成する工程を含むことを特徴とするハードコートフィルムの製造方法。
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