JP2010240921A - インクジェットヘッドの製造装置、およびその製造方法 - Google Patents

インクジェットヘッドの製造装置、およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】この発明は、駆動電極の表面に均一な絶縁膜を成膜できるインクジェットヘッドの製造装置、およびその製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】電着装置50は、インクジェットヘッド11へ電着塗料を流通させるための流通管61を有する。電着塗料を流通させる前に、供給側の流通管61を介してエタノールを流通させて流通管73から排出させ、電着塗料を流通させて絶縁層を修復した後、流通管61を介して純水を流通させて流通管73から排出させる。そして、この後、給気管75を介してインクジェットヘッド11のインク流路に温風を送り込んで複数の流通管61、61、73から排出させる。
【選択図】 図8

Description

この発明は、微小インク滴を吐出させて印刷するインクジェットヘッドの製造装置、およびその製造方法に関する。
インクジェットヘッドとして、PZT基板にインク流路となる複数の溝を形成し、各溝の内面に駆動電極となる電極膜を形成し、電極膜の表面に絶縁膜等を被覆して、電極膜を保護するようにしたインクジェットヘッドが知られている(例えば、特許文献1参照)。
電極膜表面に絶縁膜を被覆する場合、電極膜を形成した組み上げ後のヘッドを電着塗料に浸漬し、同様に電着塗料に浸漬させた陽極側の導電部材とヘッドの電極膜との間に直流電圧を印加する。これにより、電着塗料が電極膜表面に堆積して絶縁膜が成膜される。
しかし、電極膜を形成した溝の幅および深さは、例えば、それぞれ、80[μm]、300[μm]程度であるため、このような微細な溝の内面に均一な薄い膜を形成することは難しい。例えば、上述したディッピング法によると、成膜後、ヘッドを電着塗料から引き上げた際に、液垂れが生じ、膜厚が不均一になる可能性が高い。また、ヘッドを電着塗料に浸漬する前の状態で、ヘッドにゴミが付着している場合、その部位で膜厚が不均一になる。
また、成膜後に余剰の電着塗料を溝から除去する必要があるが、上記のように微細な溝内に残った電着塗料を除去するのは難しく、残った電着塗料がインク流路に固着してインクの流れが悪くなる可能性がある。最悪の場合、隣接する電極同士が架橋してショートする可能性もある。
この発明の目的は、駆動電極の表面に均一な絶縁膜を成膜できるインクジェットヘッドの製造装置、およびその製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明のインクジェットヘッドの製造装置は、インクを流通させる互いに平行に並んだ細長い複数の圧力室、これら複数の圧力室の一端側からインクを供給する供給口、上記複数の圧力室の他端側からインクを排出する排出口、上記供給口から上記複数の圧力室を介して上記排出口に至るインク流路を通してインクを流通させるための空間を規定するインク室、上記各圧力室の内面にそれぞれ独立して形成した薄膜状の複数の駆動電極、および、上記複数の圧力室それぞれに対応して上記インク室の壁を貫通して設けられた複数のインク吐出口を有するインクジェットヘッドの製造装置であって、上記インク流路を通して電着液を流通させるポンプと、このポンプで上記インク流路を通して電着液を流通させた状態で上記複数の駆動電極にバイアス電圧を印加して各駆動電極の表面に上記電着液による絶縁膜を成膜する電源装置と、を有し、上記ポンプは、上記複数の駆動電極の全表面を上記電着液で濡らすことができる最小の流量以上で且つ上記インク流路のうち上記電着液が最も滞留し易い箇所に上記電着液が付着しない最大の流量以下の流量で上記電着液を流通させる。
また、本発明のインクジェットヘッドの製造方法は、インクを流通させる互いに平行に並んだ細長い複数の圧力室、これら複数の圧力室の一端側からインクを供給する供給口、上記複数の圧力室の他端側からインクを排出する排出口、上記供給口から上記複数の圧力室を介して上記排出口に至るインク流路を通してインクを流通させるための空間を規定するインク室、上記各圧力室の内面にそれぞれ独立して形成した薄膜状の複数の駆動電極、および、上記複数の圧力室それぞれに対応して上記インク室の壁を貫通して設けられた複数のインク吐出口を有するインクジェットヘッドの製造方法であって、上記インク流路を通して電着液を流通させる流通工程と、この流通工程で上記インク流路を通して電着液を流通させた状態で上記複数の駆動電極にバイアス電圧を印加して各駆動電極の表面に上記電着液による絶縁膜を成膜する成膜工程と、を有し、上記流通工程では、上記複数の駆動電極の全表面を上記電着液で濡らすことができる最小の流量以上で且つ上記インク流路のうち上記電着液が最も滞留し易い箇所に上記電着液が付着しない最大の流量以下の流量で上記電着液を流通させる。
上記発明によると、インクジェットヘッドのインク流路に流す電着液の流量を適正化したため、駆動電極の全表面を確実に濡らすことができ、インク流路内の滞留し易い箇所に電着液が付着することもなく、均一な膜厚の絶縁層を形成できる。
この発明のインクジェットヘッドの製造装置は、上記のような構成および作用を有しているので、駆動電極の表面に均一な絶縁膜を成膜できる。
図1は、この発明の実施の形態に係るインクジェットヘッドを示す外観斜視図である。 図2は、図1のインクジェットヘッドをII-IIで切断した断面図である。 図3は、図1のインクジェットヘッドの製造方法を説明するためのフローチャートである。 図4は、基板に圧電部材を接着した状態を示す断面図である。 図5は、圧電部材の側面を切削加工した状態を示す断面図である。 図6は、電極および配線を形成して枠部材を接着した状態を示す断面図である。 図7は、枠部材の端部および壁の端部にカバー部材を接着した状態を示す断面図である。 図8は、図7の状態のインクジェットヘッドをセットして駆動電極表面の絶縁層を修復するための電着装置の概略構造を示す外観斜視図である。 図9は、図3の修復工程S8をより詳細に説明するためのフローチャートである。 図10は、図8の電着装置の治具を示す分解斜視図である。 図11は、図8の電着装置の機能を説明するための模式図である。
以下、図面を参照しながらこの発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1には、この発明の実施の形態に係る製造装置を用いて製造されるインクジェットヘッド11の外観斜視図を示してある。図1では、インクジェットヘッド11の内部構造を説明するため、ヘッドの一部を部分的に破断して図示してある。また、図2には、図1のインクジェットヘッド11をII-IIで切断した断面図を示してある。図2では、後述する圧力室24に沿ってヘッドを切断した断面図を示してある。ここでは、本発明の実施の形態に係る製造装置について説明する前に、まず、インクジェットヘッド11について詳細に説明する。
図1および図2に示すように、インクジェットヘッド11は、略矩形板状の基板12と、この基板12の表面上に接着された枠部材13と、この枠部材13の基板12から離間した端部に接着された略矩形板状のカバー部材14と、枠部材13の内側で基板12の表面上に接着された一対の圧電部材15と、これら一対の圧電部材15を駆動するためのヘッド駆動用の複数個のIC16と、を有している。IC16は、図2のみに図示してある。このインクジェットヘッド11は、いわゆるインク循環式のサイドシュータ型のインクジェットヘッドである。
基板12は、アルミナやPZTなどのセラミック材料により形成されている。この基板12には、複数の供給口31と複数の排出口32が基板12を貫通して形成されている。複数の供給口31は、基板12の長手方向に沿って略中央に並べて形成され、複数の排出口32は、基板12の長手方向に沿ってエッジ寄りに並べて形成されている。
枠部材13は、セラミック材料或いは金属材料によって形成され、表面が絶縁材料によって被覆されている。枠部材13の内周壁は、図1に示すように、基板12に形成した複数の排出口32を基板12のエッジ側(外側)から囲むように波状に湾曲している。
カバー部材14は、矩形のポリイミド製の板状部材によって形成されている。カバー部材14には、一対のノズル列21が形成されている。各ノズル列21には、それぞれがインク滴の吐出孔(インク吐出口)として機能する複数のノズル22が等間隔でカバー部材14を貫通して形成されている。
このカバー部材14は、他の樹脂フィルムで形成しても良く、後述するようにレーザーを用いてノズル22を形成容易な材料であれば良い。また、このカバー部材14のインク滴吐出側の表面には、フッ素樹脂などにより撥水膜43が形成されている。なお、カバー部材14は、図2に示すように表面側の樹脂フィルム層42と裏面側の金属箔層44の2層構造として、面方向の強度を高めることが望ましい。
一対の圧電部材15は、それぞれ、例えばPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)製の2枚の圧電板23を互いの分極方向を対向させるように張り合わせて形成されている。各圧電部材15は、断面台形状で、主走査方向に延びた棒状に形成されている。なお、上述した複数の供給口31は2本の圧電部材15の間で主走査方向に並んで設けられ、複数の排出口32は各圧電部材15を供給口31との間に挟む位置で主走査方向に沿って並んで形成されている。
また、各圧電部材15には、基板12から離間した側から、その長手方向(主走査方向)と交差する方向(副走査方向)に延びた複数本の微細な溝が切削形成され、主走査方向に等間隔で並んだ複数の細長い圧力室24が形成されている。このように、主走査方向に並べて複数本の圧力室24を形成することで、各圧電部材15には、主走査方向に隣接する圧力室24を区画するように、各圧力室24の両側部に設けられる複数の壁25が形成される。これら複数の壁25は、この発明の駆動素子として機能する。
そして、それぞれ、隣接する2つの壁25が圧力室24に対面する側面およびその間の圧力室24の底部を連続して(すなわち、各圧力室24の内面に)駆動電極26が形成されている。言い換えると、各駆動電極26は、各壁25の端部で電気的に分断されている。つまり、駆動電極26は、各圧力室24毎に設けられている。
各圧電部材15は、カバー部材14に形成されたノズル列21に対応するよう位置決めされて基板12の表面上に接着される。このとき、各ノズル列21の複数のノズル22と各圧電部材15の複数の圧力室24が対向するよう、カバー部材14が圧電部材15に対して位置決めされる。つまり、圧力室24および壁25は、ノズル22と同じピッチで形成されている。
このとき、カバー部材14の周縁部が枠部材13の基板12から離間した端部に接着され、基板12、枠部材13、およびカバー部材14によって囲まれたインク室40が形成される。また、このとき、カバー部材14が、圧電部材15の複数の壁25の基板12から離間した端部に接着される。
この他に、基板12上には、複数の電気配線27が設けられている。各電気配線27は、その一端で上述した駆動電極26に接続されるとともに、他端でヘッド駆動用のIC16に接続されている。つまり、この電気配線27も上述したノズル22、圧力室24、および壁25と同じピッチで形成されている。
上記構造のインクジェットヘッド11を搭載したプリンタ(図示せず)で印刷処理を実行する場合、まず、プリンタの図示しないインクタンクからインクジェットヘッド11にインクが供給される。このとき、インクは、基板12に形成された複数の供給口31を介してインクジェットヘッド11へ供給される。
複数の供給口31を介してヘッド11へ供給されたインクは、基板12、枠部材13、およびカバー部材14によって概ね密閉されたチャンバー40内に流入される。このとき、供給口31を介して流入されたインクは、2つの圧電部材15にそれぞれ形成された複数本の圧力室24を通って基板12の外方に向けて流通し、基板12のエッジ近くに形成された複数の排出口32を介してヘッド11から排出される。
このとき、インクジェットヘッド11に供給されるインクの供給圧力および排出量は、チャンバー40の内壁に付着する気泡を押し流すことができ且つカバー部材14の複数のノズル22からインクが押し出されることのない適当な値に設定される。つまり、ヘッド11に供給されるインクは、チャンバー40を概ね満たすとともに滞留することのないよう流通される。なお、ヘッド11で使用されなかったインクは、排出口32を介して排出されて図示しないインクタンクに回収される。
この状態で、ユーザーがプリンタに対して印刷を指示すると、プリンタの図示しない制御部は、インクジェットヘッド11のヘッド駆動用のIC16に対して印刷信号を出力する。印刷信号を受けたヘッド駆動用のIC16は、電気配線27を介して駆動パルス電圧を駆動電極26に印加する。これにより、インク滴を吐出させることが選択された圧力室24の両側にある左右一対の壁25は、シェアモード変形を行って湾曲するように離反する。そして、これらを初期位置に復帰させて当該圧力室24内の圧力を高くすることで、対向するノズル22からインク滴が勢い良く吐出され、印刷信号に基づく画像が印刷される。
このインクジェットヘッド11を介して斑のない良好な画像を印刷するためには、インク滴の吐出状態を全ての圧力室24で均一にすることが重要である。このため、本実施の形態では、この対策の1つとして、枠部材13の内側面を波形にした。つまり、本実施の形態のインクジェットヘッド11は、複数の円形の供給口31をその長手方向に沿って互いに離間せしめて有するとともに、複数の円形の排出口32をその長手方向に沿って互いに離間せしめて有するため、供給口31や排出口32に対向する位置の圧力室24と供給口31や排出口32に対向しない位置の圧力室24とでは、インクの流れ方に僅かな違いが出る。よって、この流れ方の違いを緩和するため、枠部材13の内側壁を波形に形成している。
次に、上述したインクジェットヘッド11の製造方法について、図3に示すフローチャートとともに図4乃至図8を参照して説明する。
まず、焼成前のセラミックスシートで構成される基板12に対して、機械加工によって上述した複数の供給口31および排出口32を形成する(図3、ステップ1)。これら供給口31および排出口32の位置精度は低くて良い。なお、基板12は焼成しておく。
続いて、基板12の表面に一対の圧電部材15を接着する(ステップ2)。各圧電部材15は、上述した供給口31の両側で排出口32との間に接着される。このとき、一対の圧電部材15は、図示しない治具によって保持されて、互いに高精度に位置決めされる。一対の圧電部材15を基板12に接着した状態を図4に示す。
圧電部材15は、図4に示すように、2枚の圧電板23を分極方向が逆向きになるように接着剤18を挟んで貼り合せて形成されている。2枚の圧電板23を貼り合せる接着剤18、および圧電部材15を基板12に貼り合せる接着剤18は、加熱により硬化するエポキシ系の接着剤であり、本実施の形態では、120[℃]で2[h]加熱して硬化させるようにしている。なお、接着剤18は、接着の対象となる部材との間に気泡が残らないようにすることが望ましい。
圧電部材15を基板12に接着した後、図5に示すように、各圧電部材15の長手方向に沿った両側面15aを斜めに切削加工する。このとき、各側面15aに連続するように基板12の表面も少し削り取る。これにより、基板12と圧電部材15を接着した接着剤18の余剰部分を削り取ることができる。または、基板12と圧電部材15との間に接着剤18が不足した場合、この不足した空洞部分を削り取ることができる。
さらにこの後、図5に示すように断面台形状にした圧電部材15の基板12から離間した図示上方から複数の溝24(圧力室24)を形成する(ステップ3)。この溝加工は、例えば、ICウェハーの切断等に用いられているダイシングソーのダイヤモンドホイールを用いる。複数の圧力室24は、図1に示すように、圧電部材15の長手方向に沿って等間隔で並べて形成される。この結果、隣接する圧力室24の間には、それぞれ、壁25が形成される。
そして、図6に示すように、複数の圧力室24の内面に駆動電極26を形成するとともに、基板12上に電気配線27を形成する(ステップ4)。駆動電極26および電気配線27は、無電解メッキによって形成された例えばニッケル薄膜で構成されている。駆動電極26および電気配線27を形成する際には、まずニッケル薄膜を基板12および圧電部材15の全表面にメッキし、レーザーでパターニングして駆動電極26および電気配線27以外の部位のニッケル薄膜を除去する。なお、このとき、駆動電極26および電気配線27の表面には、絶縁膜を被膜しておく。
この後、図6に示すように、一対の圧電部材15を囲むように、基板12の表面に枠部材13を接着し(ステップ5)、図7に示すように、枠部材13および圧電部材15を覆うようにカバー部材14を接着する(ステップ6)。カバー部材14は、上述したように、枠部材13の端部13a(図6)および圧電部材15の複数の壁25の端部25a(図6)に接着される。
さらにこの後、カバー部材14にレーザーを照射して複数のノズル22を形成する(ステップ7)。各ノズル22は、カバー部材14の表面に円形の吐出口を形成し、複数の圧力室24にそれぞれ連通するよう形成される。
このとき、レーザー照射によってカバー部材14を通過したレーザーによって駆動電極26の表面に被覆した絶縁層が部分的に破壊されることがある。このままにしておくと、絶縁層が破壊された部位でインクの流れに乱れを生じたり、放電を生じたりしてしまうため、基板12の配線27にIC16を取り付ける前に、この部分的に破壊された絶縁層の部位を補修する必要がある。
つまり、ステップ7でノズル22を形成した後、IC16を搭載していない図1に示す状態のインクジェットヘッド11を、図8に示す電着装置50にセットする。そして、インクジェットヘッド11の供給口31を介してチャンバー40内に電着塗料(電着液)を流し入れ、排出口32を介して電着塗料を排出し、ヘッド11内に電着塗料を流通させる。この状態で、電気配線27を介して複数の駆動電極26にバイアス電圧を印加し、駆動電極26の表面に電着塗料を付着させ、レーザー照射によって破壊された絶縁層の部位を修復する(ステップ8)。このステップ8の修復工程については後で詳細に説明する。
そして、絶縁層の修復を終えたインクジェットヘッド11を電着装置50から取り出して、基板12上の電気配線27に接続するように駆動回路(ヘッド駆動用のIC16)を取り付ける(ステップ9)。さらに、基板12に対して図示しないインクケースを接着して(ステップ10)、インクジェットヘッド11の製造工程が終了する。
以下、上述したステップ8の修復工程について、修復工程を実施するための電着装置50の構造とともに、図8乃至図11を参照してより詳細に説明する。図8には、この発明の製造装置として機能する電着装置50の外観斜視図を示してあり、図9には、修復工程を説明するためのフローチャートを示してあり、図10には、電着装置50にインクジェットヘッド11をセットするための冶具について説明するための分解斜視図を示してあり、図11には、電着装置50の機能について説明するための概略図を示してある。なお、図11では、説明を分かり易くするため、一対の圧電部材15のうち片方のみを図示してある。
図9に示すように、上述したステップ8の修復工程は、前洗浄工程(ステップ81)、電着工程(ステップ82)、後洗浄工程(ステップ83)、およびエアパージ工程(ステップ84)を有する。前洗浄工程S81では、インクジェットヘッド11のインク流路に存在するゴミを予め除去する。電着工程S82では、駆動電極26表面のレーザーによって破壊された絶縁層の部位に電着塗料を付着させて修復する。後洗浄工程S83では、電着工程S82の後、インク流路に残っている余分な電着塗料を水で流して洗浄する。そして、エアパージ工程では、図示しないエアパージ装置を介してインク流路に温風を吹き込んでゴミや水分を吹き飛ばして除去する。修復工程S8の各工程S81〜S84については、電着装置50の構造を説明した後に、再度、詳細に説明する。
図8および図10に示すように、電着装置50は、位置決めのための複数本のピン51(図8にのみ図示)を立設したベース部材52、修復の対象となるインクジェットヘッド11を上下両面から挟む位置に配置される下側弾性部材53および上側弾性部材54、ベース部材52の上に重ねてセットされた下側弾性部材53、インクジェットヘッド11、および上側弾性部材54をベース部材52との間で挟む位置にセットされる押さえブロック55、および、この押さえブロック55を上方から押圧して上述した冶具52、53、54、55をインクジェットヘッド11とともに圧接させるためのトグル機構56を有する。
ベース部材52の上面には、図10に示すように複数本(本実施の形態では6本)のピン51を圧入するための複数の穴52aが形成されている。また、下側弾性部材53および上側弾性部材54は、弾性変形可能なゴム材料によって形成されている。
図11に示すように、電着装置50は、電着装置50にセットしたインクジェットヘッド11に洗浄液、電着塗料、空気などの流体を流通させるための流通管61、この流通管61の途中に取り付けられたポンプ62、このポンプ62を作動させて流通管61を通して流通させた流体を排出させるためのバルブ64、流通管61を流れる電着塗料に含まれる気泡を除去する脱気装置66、インクジェットヘッド11の基板12の表面に導出された電気配線27を介して複数の駆動電極26にバイアス電圧を印加するための電源装置68を有する。
図11には、ステップ82の電着工程で電着装置50に電着塗料を流通させて絶縁層を修復するために必要な構成を図示してあるが、この他に、電着装置50は、ステップ81、83で洗浄液としてのエタノールや純水を電着装置50に流通させるための構成(73、74)、およびステップ84のエアパージ工程で電着装置50に空気を流すための構成(75〜77)を有している。これら図11に図示していない構成73〜77については、他の図面を参照しつつ後で説明する。
少なくとも電着塗料を流通させるための流通管61は、導電性の材料によって形成されており、接地されている。そして、電源装置68は、治具52、53、54、55に形成されたそれぞれ2つの切り欠き部分に露出したインクジェットヘッド11の基板12の部位に通電のための図示しないクリップを挟んでバイアス電圧を印加する。
上記構造の電着装置50にインクジェットヘッド11をセットする場合、まず、図8に示すように、ベース部材52に立設された複数本のピン51の間に、下側弾性部材53をセットする。そして、インクジェットヘッド11、上側弾性部材54、押さえブロック55の順に下側弾性部材53に重ねてピン51の間にセットする。さらに、ベース部材52と押さえブロック55との間に、下側弾性部材53、インクジェットヘッド11、および上側弾性部材54を挟むように、トグル機構56によって全ての部材52、53、11、54、55を密着させる。このとき、各治具52、53、54、55、およびインクジェットヘッド11の面方向の位置決めは適当でよく、6本のピン51の案内によってただ単に重ねれば良い。
下側弾性部材53は、図10に示すように、インクジェットヘッド11の複数の供給口31に連通するよう長手方向に延びた細長いスリット53a、および、インクジェットヘッド11の複数の排出口32に連通するよう長手方向に延び且つスリット53aの両側に配置された2本のスリット53bを、下側弾性部材53を貫通して有する。
一方、ベース部材52の下側弾性部材53が載置される上面には、図10に示すように、下側弾性部材53の中央のスリット53aと略一致する形状の細長い溝52b、および、下側弾性部材53の排出用の2本のスリット53bと略一致する形状の細長い2本の溝52cが形成されている。つまり、複数本のピン51によって案内されて下側弾性部材53がベース部材52の上面に載置されると、下側弾性部材53の中央のスリット53aとベース部材52の中央の溝52bが対向し、且つ下側弾性部材53の両側のスリット53bとベース部材52の両側の溝52cがそれぞれ対向するようになっている。
図10に示すように、ベース部材52の図中前面には、電着塗料を流通させるための流通管61を接続するための排出側の孔71が形成されている。また、ベース部材52の図中右側面には、流通管61を接続するための供給側の孔72が形成されている。そして、供給側の孔72は、ベース部材52の中を通って上述した中央の溝52bに連通し、排出側の孔71は、ベース部材52の中を通って上述した2本の溝52cに連通している。
また、ベース部材52の図中前面には、上述した電着塗料を排出するための孔71に並べて、エタノールや純水などの洗浄液を流通させるための流通管73を接続するための排出側の孔74が形成されている。そして、この孔74も、ベース部材52の中を通って上述した2本の溝52cに連通している。
さらに、押さえブロック55の図中右側側面には、図示しないヒーターで熱した空気を送り込むための給気孔76が形成されている。給気孔76は、押さえブロック55内部を通って押さえブロック55の図中下面に露出するよう連通されている。そして、この給気孔76には、図8に示すように、途中にバルブ77を有する給気管75が接続される。
例えば、ポンプ62を作動することで流通管61を通して孔72からベース部材52に流入された電着塗料は、ベース部材52の上面にある中央の溝52bおよび下側弾性部材53の中央のスリット53aを順次満たして、インクジェットヘッド11の複数の供給口31を介してチャンバー40内へ流入される。また、インクジェットヘッド11の複数の排出口32を介してチャンバー40から排出された電着塗料は、下側弾性部材53の2つのスリット53bおよびベース部材52の2つの溝52cを順次満たして、ベース部材52の孔71に接続された流通管61へ流出される。このように、電着塗料は、インクジェットヘッド11内を流通される。
電着工程では、上述したように電着塗料を流通させた状態で、電源装置68を介して複数の駆動電極26にバイアス電圧を印加し、電着塗料を駆動電極26に付着せしめて堆積させ、レーザー照射によって破壊された絶縁層の部位を修復する。
同様に、エタノールや純水などの洗浄液は、図示しないポンプを作動することで、流通管61を通して孔72からベース部材52に流入されて、インクジェットヘッド11のチャンバー40内へ流入され、電着塗料と略同じ経路を通って、ベース部材52の孔74に接続された流通管73へ流出される。このように、洗浄液は、電着塗料と略同じ経路を通って電着装置50内を流通され、電着塗料とは異なる流通管73を介して流出される。つまり、電着塗料と洗浄液を別系統に分けて排出することで、回収した電着塗料を再利用できる。
このとき、チャンバー40内を流通される電着塗料や洗浄液が、複数の圧力室24に対応して形成された複数のノズル22を介して、僅かに流出することが考えられる。しかし、ノズル22からインクジェットヘッド11の外へ流出した電着塗料や洗浄液は、上側弾性部材54の比較的大きな開口部54aと押さえブロック55とカバー部材14との間で規定された空間Sに溜まり、外部へ流出する心配は無い。
また、この空間Sに溜まった電着塗料や洗浄液は、その流通の過程で、チャンバー40内に再び戻ることも考えられる。つまり、この空間Sを設けることで、ノズル22を通して電着塗料や洗浄液を流通させることもできる。
電着塗料は、上述したようにインクジェットヘッド11をセットした電着装置50内を流通され、適当なタイミングでバルブ64を開くことで排出される。また、洗浄液は、電着塗料と略同じ経路を流通されて図示しないバルブを介して図示しない別の回収容器に排出される。
一方、押さえブロック55の給気孔76を介して図示しないエアパージ装置から送り込まれた高温の空気は、押さえブロック55の下面側の空間Sを満たしてこの空間Sを加圧する。そして、この加圧された空気は、空間Sの下面側を規定したインクジェットヘッド11のカバー部材14に形成された複数のノズル22を介してチャンバー40内に吹き込まれる。このようにしてチャンバー40内に吹き込まれた空気は、複数の圧力室24を通ってベース部材52の排出側の2つの孔71、74、および供給側の孔72を介して排出される。
空気は、これ以外に、例えば、供給側の孔72を介してインクジェットヘッド11内に送り込んでも良い。この場合、ベース部材52の排出側の2つの孔71、74に接続された流通管61、73、および押さえブロック55の給気孔76に接続した給気管75を介して空気を排気する。或いは、複数のノズル22に積極的に空気を通したい場合には、排出側の流通管61のバルブを閉じるとともに、排出側の流通管73の図示しないバルブを閉じた状態で、空気を流しても良い。
ここで、図8のフローチャートにある各工程について、詳細に説明する。なお、修復工程S8は、修復の対象となるインクジェットヘッド11を電着装置50に装着した状態で実施される。
ステップ81の前洗浄工程では、洗浄液として、揮発性を有する液体の一例であるエタノールをインクジェットヘッド11内に流通させ、インク流路にあるゴミを洗い流す。このとき、図8の給気管75に設けたバルブ77も開けて複数のノズル22にもエタノールを積極的に流通させることが望ましい。つまり、エタノールは、図8の供給側の流通管61を介してインクジェットヘッド11のチャンバー40内へ流入され、複数の圧力室24を流通する途中で複数のノズル22を介して押さえブロック55との間の空間Sに流入するとともに、複数の圧力室24を通過した後、排出側の流通管73を介してインクジェットヘッド11から排出される。
このように、電着塗料で絶縁層を修復する電着工程S82の前処理として、揮発性の洗浄液を流してインク流路を洗浄することにより、インク流路に付着したゴミを効果的に除去することができ、電着塗料による被膜に凸部を形成してしまう不具合を防止でき、インクの安定した流れを阻害する要因を排除できる。また、このとき、洗浄液として揮発性の液体を使用することで、電着工程S82の際にインク流路に洗浄液が残る不具合を防止できるとともに、洗浄液を乾燥させる工程を省略することもできる。
ステップ82の電着工程では、インクジェットヘッド11のインク流路に電着塗料を流通させるとともに、複数の駆動電極26にバイアス電圧を印加し、駆動電極26の表面に電着塗料を付着させて、ノズル22形成時におけるレーザー照射によって破壊された絶縁層の部位を修復する。このとき、給気管75に設けたバルブ77は閉じておく。また、このとき、電着塗料の流量を以下に説明する範囲に調整することで、結果的に、絶縁層の膜厚を均一にすることができ、この後説明する種々の不具合を防止することができる。
理想的には、電着塗料は、インク流路のうち、レーザー照射によって絶縁層が破壊された部位にだけ付着させることが望ましい。具体的には、複数の圧力室24の駆動電極26を被覆した絶縁層の極僅かな部位にだけ電着塗料を付着させれば良い。言い換えると、この必要箇所以外には、電着塗料を付着させたくない。特に、この後の後洗浄工程S83で洗浄できない部位には電着塗料を付着しないようにする必要がある。電着塗料がインク流路に残ったままのインクジェットヘッド11を使用に供した場合、インクの流れを乱すとともに、この残った電着塗料がインクに混入して異物となる可能性がある。
このため、本願発明者等は、電着塗料の流量を種々変更してステップ82の電着工程を実施した場合における、インク流路に残る電着塗料の状態を観察し、電着塗料が殆ど残らない適切な電着塗料の流量を調べた。その結果、本実施の形態では、インクジェットヘッド11のインク流路に流通させる電着塗料の流量を1cc/sec〜3cc/secの範囲内に調整することで、インク流路内に電着塗料が殆ど残ることなく修復を確実に実施できた。
インクジェットヘッド11内に形成されたインク流路のうち、電着塗料が最も滞留し易い箇所は、基板12に形成した複数の排出口32の縁と枠部材13の波状に湾曲した内周壁との間の角部C(図1および図11参照)であるものと考えられる。つまり、この角部Cに電着塗料が残らない流量で電着塗料を流通させれば他の部位にも電着塗料が残る心配は無い。
これに対し、電着塗料の流量が1cc/secを下回ると、修復すべき複数の駆動電極26の全表面を電着塗料で濡らすことができなくなり、電着塗料が斑になり、修復が不十分になる。また、電着塗料の流量が3cc/secを越えると、インクジェットヘッド11内を流れる電着塗料の液圧が高くなって、上述した角部Cに電着塗料が付着してこの部位に塗料が滞留してしまう。
このため、本実施の形態では、電着塗料の流量を1cc/sec〜3cc/secの範囲内に設定するようにした。しかし、この適切な流量の範囲は、インク流路の構造や電着塗料の粘度などによって変化する。つまり、この適切な流量の範囲を一般化すると、インク流路のうち最も電着塗料が滞留し易い箇所に電着塗料が付着することが無く、且つ修復対象物(駆動電極26)の全表面を電着塗料で十分に濡らすことができる程度の流量とすることができる。
ステップ83の後洗浄工程では、基本的に、上述した電着工程S82における電着塗料と同じ流量で洗浄液を流通させるようにした。言い換えると、電着塗料と同じ経路を通って洗浄液が流れるようにした。つまり、本実施の形態では、給気管75のバルブ77を閉じて、1cc/sec〜3cc/secの流量で洗浄液を流通させた。なお、本実施の形態では、この工程S83で使用する洗浄液として純水を用いた。
これに対し、この工程S83で、試しに純水を1cc/sec未満の流量で流通させて電着塗料の洗浄状態を観察したところ、純水の流れが悪くなって流れが不均一になったことに起因して、インク流路内に付着して残留した余剰の電着塗料を十分に洗浄することができなかった。また、試しに純水を3cc/secより多い流量で流通させたところ、一度洗浄した電着塗料をインク流路内の他の部位に押し広げてしまう現象が見られた。つまり、純水の流量を多くし過ぎると、電着塗料が付着してほしくない上述した角部Cなどにも電着塗料が広がって付着してしまう可能性がある。
この洗浄液の適切な流量も、インク流路の形状や洗浄液の種類によって異なる。電着塗料の場合と同様に、この後洗浄工程S83における洗浄液の適切な流量の範囲を一般化すると、修復対象物(駆動電極26)の全表面を洗浄液で十分に洗い流すことができ、且つ電着塗料が付着していなかった他の部位に電着塗料が押し広げられることのない流量とすることができる。より分かり易く一般化すると、電着塗料と同じ位置を通って洗浄液が流れるように洗浄液を流通させれば良いことになる。
ステップ84のエアパージ工程では、上述した後洗浄工程S83で使用した洗浄液(純水)をインク流路から完全に除去するとともに、万が一残った電着塗料やゴミをインク流路から除去すべく、図示しないエアパージ装置を介してインク流路に温風を吹き込むようにした。本実施の形態では、図示しないバルブを含む全てのバルブ64、77を開いて、給気管75からインクジェットヘッド11へ温風を吹き込んで、ベース部材52の2つの排出側の孔71、74に接続した2本の流通管61、73を介して排気するようにした。
このように、温風をインク流路に吹き込むことで、インク流路に残留した洗浄液やゴミを吹き飛ばすことができるとともに、洗浄液を気化させて完全に排出することができ、このインクジェットヘッド11を使用に供した場合に、インクの流れをスムーズにでき、インク突出特性を安定させることができる。なお、本実施の形態では、エアパージ工程S84で、給気管75を介して温風を送り込んだが、例えば、排出側の一方の流通管61のバルブを閉じて、供給側の流通管61から温風を送り込んでも良く、給気管75を介してエアーを排出しても良い。
以上のように、本実施の形態によると、インクジェットヘッド11の複数の圧力室24に形成した複数の駆動電極26を被覆した絶縁層を修復する修復工程S8において、インク流路に電着塗料を流す電着工程S82の前に、エタノールなどの揮発性を有する洗浄液を流通させてインク流路を前もって洗浄するようにしたため、インク流路に付着したゴミが電着塗料に混ざってインク流路内面に凸部が形成されてしまう不具合を防止でき、均一な膜厚の絶縁膜を形成できる。
また、本実施の形態によると、電着工程S82において、インク流路に流通させる電着塗料の流量を適正化したため、インク流路内の電着塗料が最も滞留し易い部位Cに電着塗料が不所望に付着してしまう不具合を防止でき、不要な電着塗料がインク流路に残ることが無い。このように、電着塗料がインク流路内に残らないようにすることで、インクジェットヘッド11の使用時に、残った電着塗料がインクに混ざるような不具合を防止でき、良好な印刷が可能となる。
また、本実施の形態によると、後洗浄工程S83において、電着塗料と略同じ経路を通して流量を適正化した洗浄液をインク流路に流通させるようにしたため、インク流路に残った電着塗料を確実に洗い流すことができ、インク流路内に残った電着塗料を滞留し易い部位Cに押し広げてしまうことも無い。
また、本実施の形態によると、エアパージ工程S84において、インク流路に温風を流し込んで、インク流路に残った洗浄液を吹き飛ばすようにしたため、万が一、インク流路にゴミなどの異物が残っていたとしても、この異物を確実に除去することができ、良好な印刷が可能なインクジェットヘッド11を提供することができる。また、温風を用いることで、洗浄液を効果的に気化させることができ、より確実に洗浄液を除去することができる。
また、本実施の形態によると、電着工程S82において、インクジェットヘッド11の複数の圧力室24を通して電着塗料を流通させながら複数の駆動電極26にバイアス電圧を印加するようにしたため、幅80[μm]程度の微細な圧力室24の隅々まで電着塗料を行き渡らせることができ、駆動電極26表面の部分的に破壊された絶縁層の部位を確実に修復することができる。特に、本実施の形態によると、電着塗料を流動させながら電着させるため、電着塗料に含まれる気泡が圧力室24内に滞留することがなく、駆動電極26表面の修復部位で気泡の存在によって絶縁層にピンホールが形成されることも無い。なお、圧力室24内を流通する電着塗料の一部がノズル22を介して流出するため、圧力室24内の気泡をノズル22を介して排出することもできる。
さらに、本実施の形態の電着装置50は、電着塗料を流通させる流通管61の途中に脱気装置66を有するため、脱気装置66で気泡を除去した電着塗料を流通管61を介してインクジェットヘッド11へ供給することができ、電着塗料に含まれる気泡をより効果的に除去することができる。さらに、本実施の形態の電着装置50は、流通管61の途中にバルブ64を有し、気泡を含む電着塗料を排出することもできる。
なお、この発明は、上述した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上述した実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、上述した実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良い。
例えば、上述した実施の形態では、インク流路内で電着塗料が最も滞留し易い部位Cを基板12と枠部材13の波形の側壁部との間の角部に想定したが、これに限らず、この滞留し易い部位は、インク流路の形状に応じて種々異なるものである。つまり、本発明は、この滞留し易い部位Cを基準に、洗浄液および電着塗料の流量を適正化すれば良く、他のいかなる形状のインク流路に対しても適用可能である。
11…インクジェットヘッド、12…基板、13…枠部材、14…カバー部材、15…圧電部材、16…IC、21…ノズル列、22…ノズル、24…圧力室、25…壁、26…駆動電極、27…電気配線、31…供給口、32…排出口、40…インク室、50…電着装置、51…ピン、52…ベース部材、52b、52c…溝、53…下側弾性部材、53a、53b…スリット、54…上側弾性部材、54a…開口、55…押さえブロック、61、73…流通管、62…ポンプ、64、77…バルブ、66…脱気装置、68…電源装置、75…給気管、C…角部、S…空間。
特開2004−122684号公報([0034]、[0045]段落、図3)

Claims (8)

  1. インクを流通させる互いに平行に並んだ細長い複数の圧力室、これら複数の圧力室の一端側からインクを供給する供給口、上記複数の圧力室の他端側からインクを排出する排出口、上記供給口から上記複数の圧力室を介して上記排出口に至るインク流路を通してインクを流通させるための空間を規定するインク室、上記各圧力室の内面にそれぞれ独立して形成した薄膜状の複数の駆動電極、および、上記複数の圧力室それぞれに対応して上記インク室の壁を貫通して設けられた複数のインク吐出口を有するインクジェットヘッドの製造装置であって、
    上記インク流路を通して電着液を流通させるポンプと、
    このポンプで上記インク流路を通して電着液を流通させた状態で上記複数の駆動電極にバイアス電圧を印加して各駆動電極の表面に上記電着液による絶縁膜を成膜する電源装置と、を有し、
    上記ポンプは、上記複数の駆動電極の全表面を上記電着液で濡らすことができる最小の流量以上で且つ上記インク流路のうち上記電着液が最も滞留し易い箇所に上記電着液が付着しない最大の流量以下の流量で上記電着液を流通させることを特徴とするインクジェットヘッドの製造装置。
  2. 上記電着液を流通させて上記絶縁膜を成膜した後、上記インク流路を通して洗浄液を流通させる別のポンプをさらに有し、
    この別のポンプは、上記複数の駆動電極の全表面を上記洗浄液で洗い流すことができる最小の流量以上で且つ上記電着塗料が付着していなかった他の部位に電着塗料が押し広げられることのない最大の流量以下の流量で上記洗浄液を流通させることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットヘッドの製造装置。
  3. 上記洗浄液を流通させた後、上記インク流路を通して温風を吹き込むエアパージ装置をさらに有することを特徴とする請求項2に記載のインクジェットヘッドの製造装置。
  4. 上記電着液を流通させる前に、上記インク流路を通して揮発性を有する別の洗浄液を流通させる別のポンプをさらに有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のうちいずれか1項に記載のインクジェットヘッドの製造装置。
  5. インクを流通させる互いに平行に並んだ細長い複数の圧力室、これら複数の圧力室の一端側からインクを供給する供給口、上記複数の圧力室の他端側からインクを排出する排出口、上記供給口から上記複数の圧力室を介して上記排出口に至るインク流路を通してインクを流通させるための空間を規定するインク室、上記各圧力室の内面にそれぞれ独立して形成した薄膜状の複数の駆動電極、および、上記複数の圧力室それぞれに対応して上記インク室の壁を貫通して設けられた複数のインク吐出口を有するインクジェットヘッドの製造方法であって、
    上記インク流路を通して電着液を流通させる流通工程と、
    この流通工程で上記インク流路を通して電着液を流通させた状態で上記複数の駆動電極にバイアス電圧を印加して各駆動電極の表面に上記電着液による絶縁膜を成膜する成膜工程と、を有し、
    上記流通工程では、上記複数の駆動電極の全表面を上記電着液で濡らすことができる最小の流量以上で且つ上記インク流路のうち上記電着液が最も滞留し易い箇所に上記電着液が付着しない最大の流量以下の流量で上記電着液を流通させることを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
  6. 上記流通工程で電着液を流通させて上記成膜工程で絶縁膜を成膜した後、上記インク流路を通して洗浄液を流通させてインク流路を洗浄する後洗浄工程をさらに有し、
    この後洗浄工程では、上記複数の駆動電極の全表面を上記洗浄液で洗い流すことができる最小の流量以上で且つ上記電着塗料が付着していなかった他の部位に電着塗料が押し広げられることのない最大の流量以下の流量で上記洗浄液を流通させることを特徴とする請求項5に記載のインクジェットヘッドの製造方法。
  7. 上記後洗浄工程で上記インク流と内に洗浄液を流通させた後、上記インク流路を通して温風を吹き込むエアパージ工程をさらに有することを特徴とする請求項6に記載のインクジェットヘッドの製造方法。
  8. 上記流通工程で上記電着液を流通させる前に、上記インク流路を通して揮発性を有する別の洗浄液を流通させる前洗浄工程をさらに有することを特徴とする請求項5乃至請求項7のうちいずれか1項に記載のインクジェットヘッドの製造方法。
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