JP6079064B2 - 液体噴射装置、圧電アクチュエータ、及び、液体噴射装置の製造方法 - Google Patents

液体噴射装置、圧電アクチュエータ、及び、液体噴射装置の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、液体噴射装置、圧電アクチュエータ、及び、液体噴射装置の製造方法に関する。
従来から、圧電アクチュエータとして、圧電素子の表面電極に、圧電素子を駆動するための信号を供給する配線基板が接合された構成のものが知られている。例えば、特許文献1には、インクジェットヘッドにおける液滴噴射用の圧電アクチュエータが開示されている。特許文献1のインクジェットヘッドは、複数のノズルを含むインク流路が形成された流路ユニット(流路構造体)と、この流路ユニットに設けられた圧電アクチュエータとを備えている。また、圧電アクチュエータは、圧電層と、複数のノズルにそれぞれ対応して圧電層の表面に形成された複数の個別電極を有する。
上記の圧電アクチュエータの複数の個別電極には、可撓性を有する配線基板(COF)が接続される。配線基板にはドライバICが実装されるとともに、このドライバICに接続された複数の配線が形成されている。また、配線基板には、複数の個別電極にそれぞれ対応する複数の電極(基板側接点)が設けられ、これら複数の電極は、上記配線を介してドライバICと接続されている。そして、圧電層の表面の複数の個別電極と、配線基板の前記複数の電極とが、金属材料と熱硬化性樹脂とを含む導電性樹脂のバンプによってそれぞれ接続される。これにより、配線基板に実装されたドライバICから、複数の個別電極にそれぞれ駆動電圧が印加される。
特開2012−69548号公報
前記特許文献1では、圧電層の表面に電極(個別電極)が形成される一方で、配線基板にも電極(基板側接点)が形成され、その上で、双方の電極が導電性樹脂のバンプで接合された構成となっている。そのため、配線基板と圧電層との接続構造が複雑なものとなっていた。また、圧電層と配線基板の双方に電極を形成する必要があり、その分、製造工程が増えるため、コスト面でも不利であった。
本発明の目的は、圧電アクチュエータにおいて、圧電層と配線基板との接続構造を簡素化することである。
第1の発明の液体噴射装置は、液体を噴射するノズルを含む液体流路が形成された流路構造体と、前記流路構造体に設けられて前記液体流路内の液体に噴射エネルギーを付与する圧電アクチュエータとを備え、前記圧電アクチュエータは、圧電層と、前記圧電層の一表面に配置される第1電極と、前記第1電極と導通する配線が形成され、且つ、前記圧電層の前記一表面に接合される配線基板を有し、前記配線基板の前記圧電層との接合面に複数の充填溝が形成されて、前記複数の充填溝内に充填された導電性材料によって、前記圧電層と前記配線基板の両方に接する前記第1電極が形成され、前記配線基板には、前記配線基板が前記圧電層に接触した状態で前記複数の充填溝に繋がった連通路が形成されていることを特徴とするものである。
本発明では、配線基板が圧電層の一表面に接触した状態で、配線基板に形成された複数の充填溝に液状の導電性材料が充填されることで、圧電層と配線基板の両方に接するように、第1電極が形成される。この構成は、従来構成における、圧電層と配線基板にそれぞれ形成されていた2つの電極のうちの一方が省略された構成であることから、圧電層と配線基板の接続構造が簡素化される。また、配線基板を圧電層に接触させてから複数の充填溝に液状の導電性材料を充填するだけで、圧電層と配線基板の両方に接する第1電極を形成でき、電極形成が容易である。さらに、複数の充填溝に導電性材料が充填されてなる第1電極は、平坦な面に印刷等の他の方法で形成された場合と比べて、電極材料の配線基板に対する接触面積が大きくなるために配線基板に対する密着性が高い。また、液状の導電性材料が、配線基板と圧電層の両方に接触した状態のまま硬化するため、この点からも、第1電極の、圧電層及び配線基板に対する密着性は高い。従って、第1電極の剥離が生じにくい。
第2の発明の液体噴射装置は、前記第1の発明において、前記配線基板の前記第1電極と接する部分は、それ以外の部分よりも薄く形成されていることを特徴とするものである。
本発明によれば、配線基板の第1電極と接する部分が局所的に薄く形成されていることから、圧電層の変形が、この圧電層に接合される配線基板によって阻害されにくくなる。
第3の発明の液体噴射装置は、前記第1又は第2の発明において、前記配線基板の前記圧電層の接合面と反対側の面には、前記充填溝よりも溝幅の大きい供給溝が形成され、前記供給溝は、前記配線基板を厚み方向に貫通する貫通孔を介して前記複数の充填溝と連通し、前記供給溝から前記貫通孔を介して前記複数の充填溝に充填された前記導電性材料によって、前記配線基板の接合面に前記第1電極が形成されるとともに、前記接合面と反対側の面に、前記第1電極に導通する前記配線が形成されていることを特徴とするものである。
本発明では、配線基板の接合面と反対側の面に、溝幅の広い供給溝が形成されている。そして、供給溝に液状の導電性材料を供給し、この供給溝から、貫通孔を介して複数の充填溝へ液状の導電性材料を浸透させる。これによれば、溝幅の小さい複数の充填溝への導電性材料の充填が容易である。また、供給溝にも導電性材料を充填することで、第1電極に導通する配線も同時に形成することができる。
第4の発明の液体噴射装置は、前記第3の発明において、前記複数の充填溝は、それぞれ、前記貫通孔との連通部分から前記通路との連通部分に向けて延びていることを特徴とするものである。
本発明によれば、供給溝から複数の充填溝に流れ込んだ液状の導電性材料が、通路に向けて流れやすくなり、充填溝から空気が抜けやすくなる。
第5の発明の液体噴射装置は、前記第又は第の発明において、前記通路内には、複数のリブが通路長さ方向に沿って配置されていることを特徴とするものである。
本発明では、通路の内部形状が複雑なものとなって流動抵抗が大きくなるため、充填溝に充填された導電性材料の一部が通路に流れ出したとしても、その導電性材料が通路から外部へ流出しにくい。
第6の発明の液体噴射装置は、前記第1〜第5の何れかの発明において、前記通路は、大気と連通していることを特徴とするものである。
本発明によれば、配線基板が圧電層に接触した状態では、配線基板の複数の充填溝は圧電層によって塞がれることになるが、本発明では、配線基板に、複数の充填溝を大気に連通させる大気連通路が形成されている。そのため、配線基板が圧電層に接触した状態で、液状の導電性材料を複数の充填溝に充填させる際に、複数の充填溝内の空気が大気連通路から外部へ抜けやすくなるため、複数の充填溝の隅々まで導電性材料を充填しやすくなる。
の発明の液体噴射装置は、前記第1〜第5の何れかの発明において、前記圧電アクチュエータは、前記第1電極との間で前記圧電層を挟むように、前記圧電層の前記一表面と反対側の面に配置される第2電極を有し、前記圧電層の前記一表面には、前記第2電極に導通する引出電極が設けられ、前記配線基板の前記通路は、前記配線基板の前記接合面に形成されて前記複数の充填溝と接続された溝と、前記配線基板を厚み方向に貫通するとともに前記溝と接続された孔とを有し、前記引出電極は、前記孔内に充填された前記導電性材料と導通していることを特徴とするものである。
路は、複数の充填溝に接続された溝と、配線基板を貫通し、且つ、溝に連通した孔を有する。孔は、配線基板の前記接合面と反対側の面に開口しているため、第1電極の形成時に、配線基板の複数の充填溝に液状の導電性材料を充填する際に、充填溝内の空気を、圧電層によって塞がれている前記接合面とは反対側に抜くことができる。また、孔は、配線基板の前記接合面にも開口しているため、第1電極形成後に、この孔にも導電性材料を充填することで、この孔内の導電性材料を、圧電層の一表面に引き出された第2電極の引出電極と導通させることができる。従って、第2電極の引出電極を、配線基板を貫通する孔を利用して、配線基板の接合面とは反対側の面に形成された、第2電極用の配線と接続することができる。
の発明の圧電アクチュエータは、圧電層と、前記圧電層の一表面に配置される第1電極と、前記第1電極と導通する配線が形成され、且つ、前記圧電層の前記一表面に接合される配線基板を有し、前記配線基板の前記圧電層との接合面に複数の充填溝が形成されて、前記複数の充填溝内に充填された導電性材料によって、前記圧電層と前記配線基板の両方に接する前記第1電極が形成され、前記配線基板には、前記配線基板が前記圧電層に接触した状態で前記複数の充填溝に繋がった通路が形成されていることを特徴とするものである。
この第の発明の圧電アクチュエータは、前記第1の発明の圧電アクチュエータと同様の構成を有し、同様の作用効果を奏することから、その説明は省略する。
の発明の液体噴射装置の製造方法は、液体を噴射するノズルを含む液体流路が形成された流路構造体と、前記流路構造体に設けられて前記液体流路内の液体に噴射エネルギーを付与する圧電アクチュエータとを備え、前記圧電アクチュエータが、圧電層と、前記圧電層の一表面に配置される第1電極と、前記第1電極と導通する配線が形成され、且つ、前記圧電層の前記一表面に接合される配線基板を有する、液体噴射装置の製造方法であって、
前記配線基板の前記圧電層との接合面に複数の充填溝を形成する溝形成工程と、前記配線基板に、前記配線基板が前記圧電層に接合されたときに前記複数の充填溝を大気に連通させる大気連通路を形成する大気連通路形成工程と、前記配線基板を前記圧電層の前記一表面に接触させてから、前記複数の充填溝に液状の導電性材料を充填することにより、前記接合面に前記第1電極を形成する電極形成工程と、前記配線基板の前記接合面を前記圧電層に接合する接合工程と、を備えていることを特徴とするものである。
本発明では、配線基板を圧電層の一表面に接触させてから複数の充填溝に液状の導電性材料を充填するだけで、圧電層と配線基板の間に第1電極を簡単に形成することができる。また、第1電極が圧電層と配線基板の両方に接した構成となり、圧電層と配線基板の接続構造が簡素化される。さらに、上記の方法で形成された第1電極は、圧電層及び配線基板に対する密着性が高く、剥離が生じにくい。これに加えて、配線基板が圧電層に接触した状態で、液状の導電性材料を複数の充填溝に充填する際に、複数の充填溝内の空気が大気連通路から外部へ抜けやすくなるため、複数の充填溝の隅々まで導電性材料を充填しやすくなる。
10の発明の液体噴射装置の製造方法は、前記第の発明において、前記溝形成工程において、前記配線基板の前記接合面と反対側の面に、前記複数の充填溝に連通する供給溝を形成し、前記電極形成工程において、インクジェットヘッドにより前記供給溝に導電性インクを吐出して、前記供給溝から前記複数の充填溝に前記導電性インクを充填させることを特徴とするものである。
本発明では、配線基板の接合面と反対側の面に形成された、溝幅の大きい供給溝に、インクジェットヘッドから導電性インクを吐出し、着弾した導電性インクを供給溝から複数の充填溝へ毛管力の作用で浸透させる。これによれば、溝幅の小さい複数の充填溝への導電性材料の充填が容易である。
11の発明の液体噴射装置の製造方法は、前記第10の発明において、前記電極形成工程において、前記供給溝の、前記複数の充填溝と連通する側の端部に向けて、前記インクジェットヘッドから前記導電性インクを吐出させることを特徴とするものである。
本発明では、供給溝の、充填溝に近い部分に導電性インクを着弾させることで、溝幅の小さい複数の充填溝に、導電性インクを浸透させやすくなる。
12の発明の液体噴射装置の製造方法は、前記第〜第11の何れかの発明において、前記圧電アクチュエータは、前記第1電極との間で前記圧電層を挟むように、前記圧電層の前記一表面と反対側の面に配置された第2電極と、前記圧電層の前記一表面に設けられ、前記第2電極に導通する引出電極と、をさらに有するものであり、
前記大気連通路形成工程において、前記配線基板の前記接合面に前記複数の充填溝と接続された大気連通溝を形成するとともに、前記配線基板を厚み方向に貫通し、且つ、前記大気連通溝と接続された大気連通孔とを形成し、前記電極形成工程において、前記複数の充填溝に液状の導電性材料を充填して前記第1電極を形成した後に、前記大気連通孔内にも前記引出電極と導通するように前記液状の導電性材料を充填することを特徴とするものである。
本発明では、大気連通路形成工程において、大気連通路として、配線基板の接合面において複数の充填溝と接続された大気連通溝と、配線基板を貫通し、大気連通溝に接続された大気連通孔を形成する。大気連通孔は、配線基板の前記接合面と反対側の面に開口しているため、配線基板の複数の充填溝に液状の導電性材料を充填して第1電極を形成する際に、充填溝内の空気を、圧電層によって塞がれている前記接合面とは反対側に抜くことができる。また、大気連通孔は、配線基板の前記接合面にも開口しているため、第1電極を形成した後に、前記大気連通孔にも導電性材料を充填することで、この大気連孔内の導電性材料を、圧電層の一表面に引き出された第2電極の引出電極と導通させることができる。
13の発明の圧電アクチュエータは、圧電層と、前記圧電層の一表面に配置される第1電極と、前記第1電極と導通する配線が形成され、且つ、前記圧電層の前記一表面に接合される配線基板を有し、さらに、前記配線基板の前記圧電層との接合面に形成された溝内に、前記圧電層と前記配線基板の両方に接する前記第1電極が位置しており、前記配線基板には、前記第1電極が位置する前記溝に繋がった通路が形成されていることを特徴とするものである。
本発明では、配線基板が圧電層の一表面に接触した状態で、配線基板に形成された溝に、圧電層と配線基板の両方に接する第1電極が位置している。この構成は、従来構成における、圧電層と配線基板にそれぞれ形成されていた2つの電極のうちの一方が省略された構成であることから、圧電層と配線基板の接続構造が簡素化される。
14の発明の圧電アクチュエータは、前記第13の発明において、前記通路は、大気と連通していることを特徴とするものである。
15の発明の液体噴射装置は、液体を噴射するノズルを含む液体流路が形成された流路構造体と、前記流路構造体に設けられた前記液体流路内の液体に噴射エネルギーを付与する前記第13又は第14の発明の圧電アクチュエータと、を備えることを特徴とするものである。
本発明では、配線基板に形成された複数の充填溝に液状の導電性材料が充填されることで、圧電層と配線基板の両方に接する第1電極が形成される。この構成は、従来構成における、圧電層と配線基板にそれぞれ形成されていた2つの電極のうちの一方が省略された構成であることから、圧電層と配線基板の接続構造が簡素化される。また、配線基板を圧電層に接触させてから複数の充填溝に液状の導電性材料を充填するだけで、圧電層と配線基板の両方に接する第1電極を形成でき、電極形成が容易である。さらに、第1電極の、圧電層及び配線基板に対する密着性が高く、剥離が生じにくい。また、液状の導電性材料を複数の充填溝に充填させる際に、複数の充填溝内の空気が大気連通路から外部へ抜けやすくなるため、複数の充填溝の隅々まで導電性材料を充填しやすくなる。
本実施形態のインクジェットプリンタの概略平面図である。 インクジェットヘッドの平面図である。 図2のA部拡大図である。 図3のIV-IV線断面図である。 図3のV-V線断面図である。 配線基板の一部拡大平面図であり、(a)は上面図、(b)は下面図である。 図6(b)のB部の大気連通溝の拡大図である。 第1電極の形成に関する工程の説明図である。 変更形態に係る配線基板の一部拡大下面図である。 別の変更形態に係るインクジェットヘッドの断面図である。 さらに別の変更形態に係る大気連通溝の拡大図である。
次に、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本実施形態のインクジェットプリンタの概略平面図である。まず、図1を参照してインクジェットプリンタ1の概略構成について説明する。尚、以下では、図1の紙面手前側を上方、紙面向こう側を下方と定義して、適宜、「上」「下」の方向語を使用して説明する。図1に示すように、インクジェットプリンタ1は、プラテン2と、キャリッジ3と、インクジェットヘッド4と、搬送機構5等を備えている。
プラテン2の上面には、被記録媒体である記録用紙100が載置される。また、プラテン2の上方には、図1の左右方向(走査方向)に平行に延びる2本のガイドレール10,11が設けられる。キャリッジ3は、プラテン2と対向する領域において2本のガイドレール10,11に沿って走査方向に往復移動可能に構成されている。また、キャリッジ3には、2つのプーリ12,13間に巻き掛けられた無端ベルト14が連結されており、キャリッジ駆動モータ15によって無端ベルト14が走行駆動されたときに、キャリッジ3は、無端ベルト14の走行に伴って走査方向に移動する。
インクジェットヘッド4(液体噴射装置)は、キャリッジ3に取り付けられており、キャリッジ3とともに走査方向に移動する。インクジェットヘッド4の下面(図1の紙面向こう側の面)には、複数のノズル16が形成されている。また、図1に示すように、プリンタ1のプリンタ本体1aにはホルダ9が設けられている。ホルダ9には4色のインク(ブラック、イエロー、シアン、マゼンタ)がそれぞれ貯留された4つのインクカートリッジ17が装着される。図示は省略するが、キャリッジ3に搭載されたインクジェットヘッド4とホルダ9とが4本のチューブ(図示省略)で接続されている。4つのインクカートリッジ17の4色のインクが、4本のチューブを介してインクジェットヘッド4にそれぞれ供給される。インクジェットヘッド4は、インクカートリッジ17から供給されたインクを、複数のノズル16からプラテン2に載置された記録用紙100に対して噴射する。
搬送機構5は、搬送方向にプラテン2を挟むように配置された2つの搬送ローラ18,19を有し、これら2つの搬送ローラ18,19は、図示しないモータによって回転駆動される。搬送機構5は、2つの搬送ローラ18,19によって、プラテン2に載置された記録用紙100を搬送方向に搬送する。
インクジェットプリンタ1は、プラテン2上に載置された記録用紙100に対して、キャリッジ3とともに走査方向(図1の左右方向)に往復移動するインクジェットヘッド4からインクを噴射させる。これとともに、2つの搬送ローラ18,19によって記録用紙100を搬送方向(図1の下方)に搬送する。以上の動作によって記録用紙100に画像や文字等が記録される。
次に、インクジェットヘッド4について説明する。図2はインクジェットヘッドの平面図、図3は図2のA部拡大図、図4は、図3のIV-IV線断面図、図5は図3のV-V線断面図である。尚、図2、図3においては、図面の簡単のため、図4、図5には詳細に示されているCOF50が二点鎖線で簡易的に示されている。また、図5では、図3には図示が省略されているドライバIC(図2参照)も示されている。図2〜図4に示すように、インクジェットヘッド4は、流路ユニット20(流路構造体)と、圧電アクチュエータ21を備えている。
図4に示すように、流路ユニット20は、それぞれ多数の流路形成孔が形成された5枚のプレート30〜34が積層された構造を有する。これら5枚のプレート30〜34が積層されたときに多数の流路形成孔が連通することによって、流路ユニット20には、以下に述べるようなインク流路が形成されている。5枚のプレート30〜34の材質は特に限定はされないが、本実施形態においては、ステンレス鋼やニッケル合金鋼等の金属材料で形成されている。また、図4、図5では、インク流路内に充填されているインクを符号“I”で示している。
図2に示すように、流路ユニット20の上面(最上層に位置するプレートである振動板30の上面)には、4つのインクカートリッジ17(図1参照)とそれぞれ接続される4つのインク供給孔26が形成されている。流路ユニット20の内部には、それぞれ搬送方向に延在する4本のマニホールド25が形成されている。4本のマニホールド25は4つのインク供給孔26にそれぞれ接続されており、4本のマニホールド25には、4つのインクカートリッジ17にそれぞれ貯留された4色(ブラック、イエロー、シアン、マゼンタ)のインクが供給される。
また、図2〜図5に示すように、流路ユニット20は、複数のノズル16と、複数のノズル16にそれぞれ連通した複数の圧力室24を有する。複数のノズル16は、流路ユニット20の下面(ノズルプレート34)に形成されている。複数の圧力室24は、走査方向に長い略楕円形の平面形状を有し、5枚のプレート30〜34のうちの最上層に位置する振動板30によって覆われている。図2に示すように、複数のノズル16及び複数の圧力室24は、4色のインクがそれぞれ供給される4本のマニホールド25に対応して4列に配列されている。
図4に示すように、複数の圧力室24の各々は、圧力室24の長手方向に延びる絞り流路28を介して、対応するマニホールド25に連通している。また、1つの圧力室24に1つのノズル16が連通している。これにより、図4に示すように、流路ユニット20には、マニホールド25から分岐し、絞り流路28、圧力室24を経てノズル16に至る、個別インク流路27が複数形成されている。
次に、圧電アクチュエータ21について説明する。圧電アクチュエータ21は、流路ユニット20の振動板30の上面に配置されている。図2〜図5に示すように、圧電アクチュエータ21は、圧電層40と、圧電層40に接合された配線基板41とを有する。
圧電層40は、チタン酸鉛とジルコン酸鉛との固溶体である、強誘電性のチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を主成分とする圧電材料からなる。圧電層40は、振動板30の上面において複数の圧力室24を共通に覆うように配置されている。また、この圧電層40は、厚み方向に分極されている。
圧電層40の上面(振動板30と反対側の面)には後述の配線基板41が接合されるが、圧電層40と配線基板41との間には、複数の圧力室24にそれぞれ対応する複数の第1電極42が設けられている。即ち、複数の第1電極42は、圧電層40の上面と配線基板41の下面の両方に接して配置されている。図3に示すように、各第1電極42は、圧力室24よりも一回り小さい略楕円の平面形状を有し、対応する圧力室24の略中央部と対向するように配置されている。また、各第1電極42には、配線基板41に実装されたドライバIC45から駆動電圧が印加される。第1電極42の詳細については後述する。
圧電層40の下面には、複数の第1電極42と、圧電層40を挟んでそれぞれ対向する複数の第2電極43が配置されている。第2電極43は、第1電極42と同様に略楕円の平面形状を有する。図4、図5に示すように、金属製の振動板30の上面には、合成樹脂材料などからなる絶縁膜44がほぼ全面的に形成されている。この絶縁膜44によって、圧電層40の下面の複数の第2電極43と、金属製の振動板30との間が絶縁されている。
圧電層40の、各第2電極43の長手方向一端部と重なる部分には貫通孔46が形成されている。貫通孔46には導電性材料が充填され、さらに、圧電層40の上面には、貫通孔46内の導電性材料と導通する引出電極49が形成されている。これにより、圧電層40の下面に形成された第2電極43が、圧電層40の上面に形成された引出電極49と導通した構成となっている。さらに、引出電極49が、後述する配線基板41に形成されたグランド配線48と接続されることで、各第2電極43は常にグランド電位に保持される。第2電極43及びこれに導通する引出電極49は、スクリーン印刷やスパッタリング等の公知の方法で形成することができる。
ドライバIC45から第1電極42に駆動電圧が印加されると、この第1電極42と、グランド電位の第2電極43の間に電位差が生じて、これら2つの電極42,43の間の圧電層40に厚み方向の電界が作用する。この電界の方向は、圧電層40の分極方向と平行であるから、圧電層40は厚み方向に伸長するとともに面方向に収縮する。この圧電層40の収縮によって、圧力室24を覆っている振動板30が圧力室24側に凸となるように撓み、圧力室24の容積が減少する。その際に圧力室24内のインクに圧力(噴射エネルギー)が付与され、ノズル16からインクの液滴が噴射される。
次に、配線基板41について説明する。配線基板41は、ポリイミド等の合成樹脂材料からなる可撓性を有する基板である。この配線基板41は、ドライバIC45と、ドライバIC45に接続された複数の配線47とを有する。図2〜図5に示すように、配線基板41は圧電層40を上から覆うように配置され、圧電層40の上面に接合されている。
ドライバIC45は、インクジェットヘッド4の動作を制御する、図示しない制御基板と接続されている。また、ドライバIC45は、複数の配線47を介して複数の第1電極42とそれぞれ接続されている。ドライバIC45は、制御基板からの指令に基づき、所望のノズル16からインクが噴射されるように、複数の第1電極42に対して個別に駆動電圧を印加する。
先にも述べたように、配線基板41の、圧電層40と接合される下面(以下、接合面ともいう)と、圧電層40の上面との間に、複数の第1電極42がそれぞれ設けられており、各第1電極42が配線基板41と圧電層40の両方に接した構造となっている。この構成は、従来では圧電層40と配線基板41にそれぞれ形成されていた2つの電極のうちの一方が省略された構成となっており、圧電層40と配線基板41の接続構造が簡素化されている。
また、図4、図5に示すように、配線基板41の、圧力室24と対向する部分51(第1電極42と接する部分)の上面には凹部50が形成され、この部分51ではそれ以外の部分と比べて厚さが薄くなっている。このように、第1電極42と接する部分において配線基板41が局所的に薄くなっていることから、第1電極42に駆動電圧が印加されたときの圧電層40の変形が、配線基板41によって阻害されにくくなる。
次に、第1電極42と、この第1電極42に導通する配線47の構造について詳細に説明する。図6は、配線基板の一部拡大平面図であり、(a)は上面図、(b)は下面図である。図4、図5、図6に示すように、配線基板41の下面(接合面)の、各圧力室24と対向する領域には、複数の充填溝52が形成されている。複数の充填溝52は、溝幅が数μm程度の、非常に幅の狭い溝である。複数の充填溝52は、圧力室24の長手方向に沿って互いに平行に延びている。
図4、図6(a)、(b)に示すように、複数の充填溝52は、それらの一端部において、配線基板41を厚み方向に貫通する貫通孔54と連通している。また、配線基板41の上面(圧電層40との接合面とは反対側の面)には、複数の第1電極42にそれぞれ対応した複数の供給溝55が形成されている。1つの第1電極42に対応した供給溝55は、凹部50の側面に形成された縦溝55aを介して貫通孔54と連通している。一方で、供給溝55は、配線基板41の上面において、ドライバIC45が設置される領域まで延びている。また、供給溝55の充填溝52に近い側の端部には、局所的に溝幅(及び溝深さ)が大きくなった液溜め部55bが形成されている。さらに、供給溝55(液溜め部55bを含む)は、前述の充填溝52と比べると、溝幅及び溝の深さ(即ち、溝の、長さ方向と直交する面における断面積)がかなり大きくなっている。例えば、前記の充填溝52の溝幅が数μmであるのに対して、供給溝55の溝幅は数十μmである。
また、複数の充填溝52は、貫通孔54とは反対側の端部において、配線基板41の接合面に形成された大気連通溝56に接続されている。大気連通溝56は、複数の充填溝52との連通部分からさらに圧力室24の長手方向に沿って延びている。図7は、図6(b)のB部の大気連通溝の拡大図である。図7に示すように、大気連通溝56は、この溝の側面から互いに反対方向に突出する2種類のリブ56a,56bを有し、これら2種類のリブ56a,56bが溝の長さ方向に沿って交互に配置されている。これにより、大気連通溝56の内部形状が複雑な形状(ラビリンス状)となっており、大気連通溝56内を流体が通過する際の流動抵抗が高くなっている。
さらに、大気連通溝56は、配線基板41を厚み方向に貫通し、上下両面に開口する大気連通孔57に接続されている。これにより、配線基板41が圧電層40の上面に接触して複数の充填溝52が圧電層40によって塞がれている状態でも、複数の充填溝52は、大気連通溝56及び大気連通孔57を介して、大気に連通することになる。即ち、本実施形態では、大気連通溝56と大気連通孔57とで、複数の充填溝52を大気に連通させる大気連通路58が構成されている。
上記の溝構成を有する配線基板41が圧電層40に接触した状態で、各供給溝55に液状の導電性インク(導電性材料)が供給されると、供給溝55から、これよりも溝幅(溝断面積)が小さい複数の充填溝52へ、毛管力の作用によって導電性インクが流れ込む。尚、充填溝52の断面積が小さいほど導電性インクに強い毛管力が作用し、充填溝52に導電性インクが浸透しやすい。また、複数の充填溝52が大気連通路58に連通していることから、導電性インクの充填時に複数の充填溝52内の空気は、大気連通路58から外部へ放出される。尚、図4、図5、及び、図6においては、充填溝52や供給溝55に導電性材料(導電性インク)が充填されている状態を、これらの溝にハッチングをかけることによって示してある。
このようにして、配線基板41の下面の複数の充填溝52に導電性インクが充填されることで、配線基板41と圧電層40の間に第1電極42が形成される。また、配線基板41の上面の供給溝55にも導電性インクが充填されることで、第1電極42に導通する配線47が形成される。
尚、図4、図6に示すように、本実施形態では、複数の充填溝52に接続された大気連通路58は、配線基板41の、圧力室24よりも外側の領域に設けられている。しかしながら、図4に示すように、この大気連通路58は、圧力室24からその長手方向に延びる絞り流路28と重なるように配置されている。従って、配線基板41に大気連通路58を形成するために、流路ユニット20側の圧力室24の配置間隔を広げるといった必要はなく、流路ユニット20が大型化することもない。
また、複数の充填溝52に導電性インクが充填された後、大気連通路58はそのままにしておいてもよいのだが、本実施形態では、この大気連通路58(特に、配線基板41を貫通する大気連通溝56)を、第2電極43のグランド接続に使用する。配線基板41を上下に貫通する大気連通孔57は、配線基板41の上面と下面の両方に開口している。配線基板41の上面には、大気連通孔57に接続された供給溝59が形成されている。そして、供給溝59から大気連通孔57に導電性材料(導電性インク)が充填されることで、この大気連通孔57内の導電性材料が、圧電層40の一表面に引き出された第2電極43の引出電極49と導通する。また、供給溝59内に導電性材料が充填されることで、配線基板41の上面にグランド配線48が形成される。これにより、第2電極43の引出電極49を、配線基板41を貫通する大気連通孔57を利用して、配線基板41の上面に形成されたグランド配線48と接続することができる。
以下、上記の第1電極42を形成する具体的な方法について説明する。図8は、第1電極の形成に関する工程の説明図である。
(溝形成工程)
まず、配線基板41の、複数の圧力室24とそれぞれ対向することとなる複数の部分51に、プレス加工やレーザー加工等によって複数の凹部50を形成しておく。その上で、図8(a)に示すように、配線基板41の、前記複数の部分51の各々の下面に、複数の充填溝52を形成する。また、配線基板41に、複数の充填溝52に連通する貫通孔54を形成する。さらに、配線基板41の圧電層40との接合面とは反対側の面に、供給溝55(縦溝55a、液溜め部55bを含む)と、供給溝59とを形成する。尚、これらの溝は、レーザー加工で形成することができる。
(大気連通路形成工程)
また、図8(a)に示すように、配線基板41の下面に、複数の充填溝52に連通する大気連通溝56を形成する。さらに、配線基板41を貫通し、且つ、大気連通溝56に連通する大気連通孔57を形成する。前記の溝形成工程と同様に、大気連通溝56と大気連通孔57もレーザー加工で形成することができる。
(接合工程及び電極形成工程)
次に、図8(b)に示すように、配線基板41を圧電層40の上面に接触するように配置する。また、配線部材41を上から押さえる、あるいは、配線部材41を接着剤や適宜の固定手段を用いて仮止めするなどして、配線部材41が複数の圧電素子40に接触した状態を維持し、また、複数の圧電素子40に対する位置がずれないようにしておく。
次に、図8(c)に示すように、導電性インク61を吐出するインクジェットヘッド60を、配線基板41の上方に設置する。そして、インクジェットヘッド60から、供給溝55の液溜め部55bに導電性インク61を吐出させる。導電性インクは、不飽和ポリエステル樹脂、二液混合型ポリオレフィン樹脂、エポキシ系樹脂等の熱硬化性樹脂に、Ag等の金属粒子が配合されたものを使用できる。液溜め部55dに供給された導電性インク61は、毛管力による浸透作用によって、供給溝55から貫通孔54を介して、溝幅(溝断面積)が小さい複数の充填溝52にそれぞれ流れ込み、配線基板41と圧電層40の間に第1電極42が形成される。また、供給溝55にも導電性インクが充填されることで、配線基板41の上面に、第1電極42とドライバIC45とを接続する配線47が形成される。
ここで、複数の充填溝52は大気連通溝56に連通しており、導電性インクが充填される際に、充填溝52内の空気が大気連通溝56から大気連通孔57を経由して上方へ抜ける。従って、複数の充填溝52の隅々まで導電性インクが充填される。尚、図7に示すように、大気連通溝56は2種類のリブが交互に並んだ複雑なラビリンス形状となっているため、充填溝52に充填された導電性インクの一部が大気連通溝56に流れ出したとしても、導電性インクが大気連通溝56全体に充填されてしまうには至らず、導電性インクが外部へ流出することが防止される。
第1電極42を形成した後、図8(d)に示すように、インクジェットヘッド60から、供給溝59に導電性インク61を吐出させる。すると、図8(e)に示すように、供給溝59から大気連通孔57内に導電性インクが充填され、この充填された導電性インクは、圧電層40の上面に形成されている引出電極49に接触して導通する。また、供給溝59に導電性インクが充填されることによって配線基板41の上面にグランド配線48が形成される。これにより、圧電層40の上面に形成された第2電極43の引出電極49を、大気連通孔57を利用して、配線基板41の上面のグランド配線48に接続することができる。尚、上述したように、第1電極42となる複数の充填溝52と大気連通孔57との間の、大気連通溝56は、ラビリンス形状に形成されていることから、大気連通孔57に充填された導電性インクが、複数の充填溝52まで到達して第1電極42と導通してしまうことも防止される。
その後、充填された導電性インクを硬化させることによって、配線部材41と複数の圧電素子40とを接合する。例えば、熱硬化性樹脂を主成分とする導電性インクを使用した場合は、充填後に加熱工程を行う。
以上説明した本実施形態では、配線基板41が圧電層40に接触した状態で、配線基板41に形成された複数の充填溝52に、毛管力による浸透作用を利用して液状の導電性インクを充填することで、配線基板41と圧電層40の両方に接する第1電極42を簡単に形成することができる。また、複数の充填溝52に導電性インクが充填されてなる第1電極42は、凹凸の少ない平坦な面に印刷等の他の方法で形成された場合と比べて、電極材料の配線基板41に対する接触面積が大きくなるために密着性が高く、剥離しにくいという利点もある。
また、図8(c)に示すように、配線基板41を圧電層40に接触させて、配線基板41の充填溝52と圧電層40の上面との間に微小な隙間を形成してから、この隙間に導電性インク61を充填している。この場合、配線基板41が圧電層40に接触する前の充填溝52が開放されている状態と比べて、導電性インク61に強い毛管力が作用するため、複数の充填溝52の隅々まで導電性インク61が充填されやすくなる。また、液状の導電性インク61が、配線基板41と圧電層40の両方に接触した状態のまま硬化することから、この点からも、第1電極42の、圧電層40及び配線基板41に対する密着性が高くなる。従って、第1電極42の剥離が生じにくい。
さらに、配線基板41の複数の充填溝52は、配線基板41が圧電層40に接触した状態では、この圧電層40によって塞がれることになるが、本実施形態では、配線基板41に、複数の充填溝52を大気に連通させる大気連通路58が形成されている。そのため、配線基板41が圧電層40に接触した状態で、導電性インクを複数の充填溝52に充填させる際に、複数の充填溝52内の空気が大気連通路58から外部へ抜けやすくなるため、複数の充填溝52の隅々まで導電性インクを充填しやすくなる。さらに、図6に示すように、複数の充填溝52は、供給溝55側の貫通孔54との連通部分から、大気連通路58との連通部分に向けて延びている。そのため、供給溝55から複数の充填溝52に流れ込んだ導電性インクが大気連通路58に向けて流れるため、一層充填溝52から空気が抜けやすくなる。
本実施形態では、配線基板41の接合面と反対側に、複数の充填溝52よりも溝幅の大きい供給溝55が形成されている。そして、この溝幅の大きい供給溝55に向けて、インクジェットヘッド60から導電性インク61を吐出することで、供給溝55から複数の充填溝52へ、導電性インク61を毛管力の作用で浸透させる。これによれば、溝幅の小さい複数の充填溝52への導電性材料の充填が容易である。また、供給溝55にも導電性インクを充填させることで、第1電極42に導通する配線47も同時に形成することができる。
また、供給溝55は、局所的に溝幅が大きくなった液溜め部55bを含んでいることから、この液溜め部55bに導電性インク61を吐出させることで、供給溝55への導電性インク61の供給が容易である。さらに、液溜め部55bは、供給溝55の、複数の充填溝52と連通する側の端部に位置している。このように、供給溝55の、充填溝52に近い側の端部に導電性インク61を着弾させることで、溝幅の小さい複数の充填溝52に導電性インクを浸透させやすくなる。
次に、前記実施形態に種々の変更を加えた変更形態について説明する。但し、前記実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。
1]第1電極42を形成するための充填溝52の形状は、前記実施形態のものには限られない。例えば、全ての充填溝52が、導電性インクの供給先である貫通孔54に接続され、貫通孔54から放射状に延びていてもよい。あるいは、図9に示すように、複数の充填溝52が交差して網目状に形成されてもよい。
2]複数の充填溝52に連通する大気連通路58は、前記実施形態の構成には限定されない。例えば、大気連通路58が、配線基板41の上面(接合面と反対側の面)で開口している必要はなく、図10に示すように、配線基板41の上面に開口する大気連通孔57の代わりに、複数の充填溝52に接続された大気連通溝56が、配線基板41の下面に沿って配線基板41の端(縁)まで延びて開口していてもよい。
3]大気連通路58(前記実施形態では大気連通溝56)は、複数の充填溝52に充填された液状の導電性材料が流れ出さないように、流動抵抗が高いことが好ましいが、その形状等は図7のような前記実施形態のものには限定されない。例えば、図11に示すように、大気連通溝56の一方の側面のみから複数のリブ56cが突出して形成されていてもよい。また、リブがなくとも、溝幅を細くする、長さを長くする、あるいは、蛇行させて曲がり部を多くする等の工夫によって、大気連通溝56の流動抵抗を高めることは可能である。
4]複数の充填溝52へ導電性インクを充填するための供給溝55の構成も、前記実施形態に対して適宜変更が可能である。例えば、インクジェットヘッド60から吐出された導電性インク61が着弾する液溜め部55bの位置や形状を適宜変更できる。また、供給溝55が、インクジェットヘッド60から吐出された導電性インク61を着弾させることができる程度に、十分大きな溝幅を有するのであれば、液溜め部55bを省略することも可能である。
5]前記実施形態では、充填溝52に充填した導電性インクを硬化させることで、配線基板41と圧電素子40とを接合していたが、導電性インクとは別の接着剤を用い、導電性インクの充填(第1電極の形成)とは別の工程で、配線基板41を圧電素子40に接合してもよい。
6]複数の充填溝52への液状の導電性材料の充填は、インクジェットヘッド60による導電性インク61の吐出には限られない。例えば、液体注入用ニードルを備えたディスペンサーで所定量の液状導電性材料を注入する方法を採用することも可能である。
以上説明した実施形態及びその変更形態は、液体噴射装置であるインクジェットヘッドに本発明を適用した一例であるが、本発明の圧電アクチュエータは、液体に圧力を付与する用途で使用されるものには限られない。例えば、固体物に変位や振動等を生じさせる用途に使用するものであってもよい。
4 インクジェットヘッド
20 流路ユニット
21 圧電アクチュエータ
40 圧電層
41 配線基板
42 第1電極
43 第2電極
47 配線
48 グランド配線
49 引出電極
50 凹部
52 充填溝
54 貫通孔
55 供給溝
56a,56b リブ
56 大気連通溝
57 大気連通孔
58 大気連通路
60 インクジェットヘッド
61 導電性インク

Claims (15)

  1. 液体を噴射するノズルを含む液体流路が形成された流路構造体と、前記流路構造体に設けられて前記液体流路内の液体に噴射エネルギーを付与する圧電アクチュエータとを備え、
    前記圧電アクチュエータは、
    圧電層と、
    前記圧電層の一表面に配置される第1電極と、
    前記第1電極と導通する配線が形成され、且つ、前記圧電層の前記一表面に接合される配線基板を有し、
    前記配線基板の前記圧電層との接合面に複数の充填溝が形成されて、前記複数の充填溝内に充填された導電性材料によって、前記圧電層と前記配線基板の両方に接する前記第1電極が形成され、
    前記配線基板には、前記配線基板が前記圧電層に接触した状態で前記複数の充填溝に繋がった通路が形成されていることを特徴とする液体噴射装置。
  2. 前記配線基板の前記第1電極と接する部分は、それ以外の部分よりも薄く形成されていることを特徴とする請求項1に記載の液体噴射装置。
  3. 前記配線基板の前記圧電層の接合面と反対側の面には、前記充填溝よりも溝幅の大きい供給溝が形成され、
    前記供給溝は、前記配線基板を厚み方向に貫通する貫通孔を介して前記複数の充填溝と連通し、
    前記供給溝から前記貫通孔を介して前記複数の充填溝に充填された前記導電性材料によって、前記配線基板の接合面に前記第1電極が形成されるとともに、前記接合面と反対側の面に、前記第1電極に導通する前記配線が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の液体噴射装置。
  4. 前記複数の充填溝は、それぞれ、前記貫通孔との連通部分から前記通路との連通部分に向けて延びていることを特徴とする請求項3に記載の液体噴射装置。
  5. 記通路内には、複数のリブが通路長さ方向に沿って配置されていることを特徴とする請求項3又は4に記載の液体噴射装置。
  6. 前記通路は、大気と連通していることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の液体噴射装置。
  7. 前記圧電アクチュエータは、前記第1電極との間で前記圧電層を挟むように、前記圧電層の前記一表面と反対側の面に配置される第2電極を有し、
    前記圧電層の前記一表面には、前記第2電極に導通する引出電極が設けられ、
    前記配線基板の前記通路は、前記配線基板の前記接合面に形成されて前記複数の充填溝と接続された溝と、前記配線基板を厚み方向に貫通するとともに前記溝と接続された孔とを有し、
    前記引出電極は、前記孔内に充填された前記導電性材料と導通していることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の液体噴射装置。
  8. 圧電層と、
    前記圧電層の一表面に配置される第1電極と、
    前記第1電極と導通する配線が形成され、且つ、前記圧電層の前記一表面に接合される配線基板を有し、
    前記配線基板の前記圧電層との接合面に複数の充填溝が形成されて、前記複数の充填溝内に充填された導電性材料によって、前記圧電層と前記配線基板の両方に接する前記第1電極が形成され、
    前記配線基板には、前記配線基板が前記圧電層に接触した状態で前記複数の充填溝に繋がった通路が形成されていることを特徴とする圧電アクチュエータ。
  9. 液体を噴射するノズルを含む液体流路が形成された流路構造体と、前記流路構造体に設けられて前記液体流路内の液体に噴射エネルギーを付与する圧電アクチュエータとを備え、
    前記圧電アクチュエータが、圧電層と、前記圧電層の一表面に配置される第1電極と、前記第1電極と導通する配線が形成され、且つ、前記圧電層の前記一表面に接合される配線基板を有する、液体噴射装置の製造方法であって、
    前記配線基板の前記圧電層との接合面に複数の充填溝を形成する溝形成工程と、
    前記配線基板に、前記配線基板が前記圧電層に接触した状態で前記複数の充填溝を大気に連通させる大気連通路を形成する大気連通路形成工程と、
    前記配線基板を前記圧電層の前記一表面に接触させてから、前記複数の充填溝に液状の導電性材料を充填することにより、前記接合面に前記第1電極を形成する電極形成工程と、
    前記配線基板の前記接合面を前記圧電層に接合する接合工程と、
    を備えていることを特徴とする液体噴射装置の製造方法。
  10. 前記溝形成工程において、前記配線基板の前記接合面と反対側の面に、前記複数の充填溝に連通する供給溝を形成し、
    前記電極形成工程において、インクジェットヘッドにより前記供給溝に導電性インクを吐出して、前記供給溝から前記複数の充填溝に前記導電性インクを充填させることを特徴とする請求項に記載の液体噴射装置の製造方法。
  11. 前記電極形成工程において、前記供給溝の、前記複数の充填溝と連通する側の端部に向けて、前記インクジェットヘッドから前記導電性インクを吐出させることを特徴とする請求項10に記載の液体噴射装置の製造方法。
  12. 前記圧電アクチュエータは、前記第1電極との間で前記圧電層を挟むように、前記圧電層の前記一表面と反対側の面に配置された第2電極と、前記圧電層の前記一表面に設けられ、前記第2電極に導通する引出電極と、をさらに有するものであり、
    前記大気連通路形成工程において、前記配線基板の前記接合面に前記複数の充填溝と接続された大気連通溝を形成するとともに、前記配線基板を厚み方向に貫通し、且つ、前記大気連通溝と接続された大気連通孔とを形成し、
    前記電極形成工程において、前記複数の充填溝に液状の導電性材料を充填して前記第1電極を形成した後に、前記大気連通孔内にも前記引出電極と導通するように前記液状の導電性材料を充填することを特徴とする請求項11の何れかに記載の液体噴射装置の製造方法。
  13. 圧電層と、
    前記圧電層の一表面に配置される第1電極と、
    前記第1電極と導通する配線が形成され、且つ、前記圧電層の前記一表面に接合される配線基板を有し、
    さらに、前記配線基板の前記圧電層との接合面に形成された溝内に、前記圧電層と前記配線基板の両方に接する前記第1電極が位置しており、
    前記配線基板には、前記第1電極が位置する前記溝に繋がった通路が形成されていることを特徴とする圧電アクチュエータ。
  14. 記通路は、大気と連通していることを特徴とする請求項13に記載の圧電アクチュエータ。
  15. 液体を噴射するノズルを含む液体流路が形成された流路構造体と、前記流路構造体に設けられた前記液体流路内の液体に噴射エネルギーを付与する請求項13又は14に記載の圧電アクチュエータと、を備えることを特徴とする液体噴射装置。
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