JP2007001194A - ヘッドモジュール、液体吐出ヘッド、及び液体吐出装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】製造コストを低減し、ノズル面を平滑化する。
【解決手段】ノズルシート25は、モジュールフレーム11の一方側の面において、各ヘッドチップ配置孔に対し、ヘッドチップ配置孔内にノズル25aが位置し、ヘッドチップ配置孔の領域の一部を覆うようにそれぞれ配置されるとともに、ヘッドチップ配置孔の領域の一部を覆う大きさに形成されている。フレキシブル配線基板3は、その電極とヘッドチップ20の電極23とが電気的に接続されるとともに、モジュールフレーム11のノズルシート25が設けられた面側において、ヘッドチップ20の露出している電極23を覆うように配置される。そして、モジュールフレーム11に配置されたノズルシート25及びフレキシブル配線基板3の端部は、保護カバー30によって覆われている。
【選択図】図2
【解決手段】ノズルシート25は、モジュールフレーム11の一方側の面において、各ヘッドチップ配置孔に対し、ヘッドチップ配置孔内にノズル25aが位置し、ヘッドチップ配置孔の領域の一部を覆うようにそれぞれ配置されるとともに、ヘッドチップ配置孔の領域の一部を覆う大きさに形成されている。フレキシブル配線基板3は、その電極とヘッドチップ20の電極23とが電気的に接続されるとともに、モジュールフレーム11のノズルシート25が設けられた面側において、ヘッドチップ20の露出している電極23を覆うように配置される。そして、モジュールフレーム11に配置されたノズルシート25及びフレキシブル配線基板3の端部は、保護カバー30によって覆われている。
【選択図】図2
Description
本発明は、液体を吐出するためのヘッドの一部を構成するヘッドモジュール、並びにこのヘッドモジュールを用いた液体吐出ヘッド及び液体吐出装置に関する。詳しくは、ヘッドモジュールにおけるノズル面の平滑化に係る技術に関するものである。
従来より、液体吐出装置の一例として、インクジェットプリンタが知られており、そのインクジェットプリンタ等に用いられるヘッド(液体吐出ヘッド)は、剛性のあるヘッドフレームに、インクを吐出するためのノズルが複数配列されたノズルシートを支持し、さらにそのノズルシート上に、液室を形成するためのバリア層とエネルギー発生素子(例えば発熱素子)とを有するヘッドチップを配置することによって構成されている。そして、ヘッドチップに配線基板を接続し、プリンタの制御部からの指令によってエネルギー発生素子を駆動して液室内のインクに吐出力を与えることにより、液室内のインクをノズルから吐出させて印画を行うようになっている。
このようなヘッドに関する技術は、種々のものが開示されており、例えば特許文献1や特許文献2は、その一例である。
特開2003−175609号公報
特開2004−223878号公報
上記の特許文献1や特許文献2のヘッドは、ヘッドチップ側の電極と配線基板側の端子とが金線(ボンディングワイヤ)によって接続された構造になっており、ノズルシートに形成された開口窓からボンディング装置によって配線されるようになっている。開口窓は、この電気的接続の作業のために設けられたもので、ノズルシートの表面側から裏面側の配線基板に金線を通すことができるように配置されている。そして、開口窓を開口したままにしておくと、インクの吐出やクリーニングの際に大量のインクやごみが侵入する可能性があり、電気回路のショートや機器内部の汚損等によりトラブルを発生するおそれがあるので、配線終了後は、この開口窓を塞いで異物が内部に浸入しないように、樹脂封止剤で開口窓から露出した金線を包み込むようにして封止する方法が採られている。なお、樹脂封止剤で開口窓を塞ぐと、金線やその接続部が樹脂封止剤で固められるため、異物の侵入が防止されるだけでなく、振動や衝撃で金線が取れないように保護される。
しかし、このような電気的接続を達成するために、開口窓を形成し、ワイヤボンディングを行った後に封止するという方法では、製造工程が増加し、製造コストが高くなるという問題がある。また、樹脂封止剤がノズルシートのインク吐出側の表面(ノズル面)に不均一に盛り上がってしまうことも問題であり、ノズル面をクリーニングする際の障害になる。
このように、上記の特許文献1や特許文献2のヘッドは、ワイヤボンディング工程とともに、配線された金線の固定及び保護に伴う樹脂封止工程が必要になり、製造工程が増える結果、コスト高になっている。また、インクジェットプリンタでは、吐出回復の一環としてノズル面のワイピングを実施するものが主流である。ワイピングは、ローラやブレード等のクリーニング部材によってノズル面を摺擦し、ノズル面に付着した汚れを除去するものであるため、クリーニング部材の接触圧が均一となるように、ノズル面はできるだけ平坦であることが望ましい。しかし、上記の特許文献1や特許文献2のヘッドでは、樹脂封止剤がノズル面に局部的に盛り上がり、クリーニング機能を低下させる要因になっている。
したがって、本発明が解決しようとする課題は、製造コストを低減するとともに、ノズル面を平滑化することである。
したがって、本発明が解決しようとする課題は、製造コストを低減するとともに、ノズル面を平滑化することである。
本発明は、以下の解決手段によって、上述の課題を解決する。
本発明の1つである請求項1の発明は、半導体基板上に複数のエネルギー発生素子が一定間隔で略直線状に配置されるとともに、前記エネルギー発生素子が設けられた面に、前記エネルギー発生素子の周囲に液室を形成するためのバリア層及び外部と電気的に接続するための電極を設けたヘッドチップと、ノズルが形成されたノズルシートと、前記ヘッドチップの前記電極と電気的に接続される配線基板と、前記ヘッドチップを内部に配置するための孔であって前記ヘッドチップの外形より大きいヘッドチップ配置孔が複数形成されたモジュールフレームとを備え、前記エネルギー発生素子により前記液室内の液体に吐出力を与えることにより、前記液室内の液体を前記ノズルから吐出するヘッドモジュールであって、前記ノズルシートは、前記モジュールフレームの一方側の面において、各前記ヘッドチップ配置孔に対し、前記ヘッドチップ配置孔内に前記ノズルが位置し、前記ヘッドチップ配置孔の領域の一部を覆うようにそれぞれ配置されるとともに、前記ヘッドチップ配置孔の領域の一部を覆う大きさに形成され、前記ヘッドチップは、前記ヘッドチップの前記エネルギー発生素子と前記ノズルとが対向する位置に配置されるように、前記モジュールフレームの他方側の面から、各前記ヘッドチップ配置孔にそれぞれ配置され、前記ヘッドチップ配置孔に配置された前記ヘッドチップの前記電極は、前記ヘッドチップ配置孔の前記ノズルシートにより覆われていない領域から露出し、前記配線基板は、前記配線基板の電極と前記ヘッドチップの前記電極とが電気的に接続されるとともに、前記モジュールフレームの前記ノズルシートが設けられた面側において、前記ヘッドチップの露出している前記電極を覆うように配置され、前記モジュールフレームに配置された前記ノズルシート及び前記配線基板の端部は、保護カバーによって覆われていることを特徴とする。
本発明の1つである請求項1の発明は、半導体基板上に複数のエネルギー発生素子が一定間隔で略直線状に配置されるとともに、前記エネルギー発生素子が設けられた面に、前記エネルギー発生素子の周囲に液室を形成するためのバリア層及び外部と電気的に接続するための電極を設けたヘッドチップと、ノズルが形成されたノズルシートと、前記ヘッドチップの前記電極と電気的に接続される配線基板と、前記ヘッドチップを内部に配置するための孔であって前記ヘッドチップの外形より大きいヘッドチップ配置孔が複数形成されたモジュールフレームとを備え、前記エネルギー発生素子により前記液室内の液体に吐出力を与えることにより、前記液室内の液体を前記ノズルから吐出するヘッドモジュールであって、前記ノズルシートは、前記モジュールフレームの一方側の面において、各前記ヘッドチップ配置孔に対し、前記ヘッドチップ配置孔内に前記ノズルが位置し、前記ヘッドチップ配置孔の領域の一部を覆うようにそれぞれ配置されるとともに、前記ヘッドチップ配置孔の領域の一部を覆う大きさに形成され、前記ヘッドチップは、前記ヘッドチップの前記エネルギー発生素子と前記ノズルとが対向する位置に配置されるように、前記モジュールフレームの他方側の面から、各前記ヘッドチップ配置孔にそれぞれ配置され、前記ヘッドチップ配置孔に配置された前記ヘッドチップの前記電極は、前記ヘッドチップ配置孔の前記ノズルシートにより覆われていない領域から露出し、前記配線基板は、前記配線基板の電極と前記ヘッドチップの前記電極とが電気的に接続されるとともに、前記モジュールフレームの前記ノズルシートが設けられた面側において、前記ヘッドチップの露出している前記電極を覆うように配置され、前記モジュールフレームに配置された前記ノズルシート及び前記配線基板の端部は、保護カバーによって覆われていることを特徴とする。
上記発明においては、モジュールフレームにはヘッドチップ配置孔が形成されており、各ヘッドチップ配置孔内の一部を覆うようにノズルシートが配置される。そして、ノズルシートが設けられた面と反対側の面から、ヘッドチップがヘッドチップ配置孔内に配置され、ヘッドチップのエネルギー発生素子とノズルシートのノズルとが対向し、ヘッドチップの電極がノズルシートにより覆われていない領域から露出する。この状態において、配線基板がヘッドチップの露出している電極を覆うように、ノズルシート側に配置される。したがって、ヘッドチップと配線基板との電気的接続に際し、ワイヤボンディング工程及び樹脂封止工程が不要になる。
また、モジュールフレームに配置されたノズルシート及び配線基板の端部は、保護カバーによって覆われている。したがって、ノズル面の表面を、盛り上がりのない平滑なものとすることができる。
また、モジュールフレームに配置されたノズルシート及び配線基板の端部は、保護カバーによって覆われている。したがって、ノズル面の表面を、盛り上がりのない平滑なものとすることができる。
なお、本発明のエネルギー発生素子は、ヒータ等の発熱抵抗体(発熱素子)、ピエゾ素子等の圧電素子、MEMS等を用いることが可能であるが、以下の実施形態では、サーマル方式の発熱抵抗体22が相当する。また、実施形態では、モジュールフレーム11には8つのヘッドチップ配置孔11bが形成され、1つのヘッドモジュール10には8つのヘッドチップ20が設けられる。そして、このヘッドモジュール10を直列に2個接続してラインヘッド(A4版の長さ)にするとともに、それを4列設けて、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、及びK(ブラック)の4色のカラーラインヘッドである液体吐出ヘッド1を形成している。
本発明のヘッドモジュールによれば、ヘッドチップと配線基板との電気的接続に際し、ワイヤボンディング工程及び樹脂封止工程が不要になるので、製造コストを低減することができる。また、ノズル面の表面を、局部的な盛り上がりのない平滑なものとすることができるので、ローラやブレード等のクリーニング部材の損傷が防止され、ヘッドキャップのシール性が向上し、ヘッドの性能維持機能が向上する。さらにまた、配線基板の配線パターン切断面が保護され、ノズル面の濡れ性の不均一に起因する記録品位の低下やクリーニング性能の悪化も防止できる。
以下、図面等を参照して、本発明の一実施形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態である液体吐出ヘッド1を示す平面図であり、液体の吐出面側から見た図である。
液体吐出ヘッド1は、液体吐出装置(本実施形態では、カラーラインインクジェットプリンタ)に搭載されるヘッドとして用いられるものである。図1に示すように、液体吐出ヘッド1は、ヘッドフレーム2と、フレキシブル配線基板3が接続された複数のヘッドモジュール10とから構成されている。ヘッドモジュール10は、図1の平面図において、ヘッドモジュール配置孔2a内に、長手方向に2個、直列に接続されており、その2個のヘッドモジュール10でA4横幅の長さをカバーして1色を印画するものである。そして、その直列に接続された2個のヘッドモジュール10が4列設けられ、4色(Y、M、C、及びK)の液体吐出ヘッド1を構成している。
液体吐出ヘッド1は、液体吐出装置(本実施形態では、カラーラインインクジェットプリンタ)に搭載されるヘッドとして用いられるものである。図1に示すように、液体吐出ヘッド1は、ヘッドフレーム2と、フレキシブル配線基板3が接続された複数のヘッドモジュール10とから構成されている。ヘッドモジュール10は、図1の平面図において、ヘッドモジュール配置孔2a内に、長手方向に2個、直列に接続されており、その2個のヘッドモジュール10でA4横幅の長さをカバーして1色を印画するものである。そして、その直列に接続された2個のヘッドモジュール10が4列設けられ、4色(Y、M、C、及びK)の液体吐出ヘッド1を構成している。
また、各ヘッドモジュール10内には、8個のヘッドチップ20が設けられている。図2は、本発明の一実施形態の液体吐出ヘッド1における1つのヘッドチップ20の周囲を示す断面図である。
ヘッドチップ20は、シリコン等からなる半導体基板21と、この半導体基板21の一方の面に析出形成された発熱抵抗体22(本発明におけるエネルギー発生素子に相当するもの)とを備えている。半導体基板21の発熱抵抗体22が形成された面と同一面側であって発熱抵抗体22が形成された縁部と反対側の縁部には、電極23が形成されている。そして、発熱抵抗体22と電極23とは、半導体基板21上に形成された導体部(図示せず)を介して接続されている。
ヘッドチップ20は、シリコン等からなる半導体基板21と、この半導体基板21の一方の面に析出形成された発熱抵抗体22(本発明におけるエネルギー発生素子に相当するもの)とを備えている。半導体基板21の発熱抵抗体22が形成された面と同一面側であって発熱抵抗体22が形成された縁部と反対側の縁部には、電極23が形成されている。そして、発熱抵抗体22と電極23とは、半導体基板21上に形成された導体部(図示せず)を介して接続されている。
ヘッドチップ20の発熱抵抗体22が形成された面には、バリア層24、及びノズルシート25が積層されている。バリア層24は、インク液室(加圧室)26の側壁を形成するとともに、後述するヘッドチップ20とノズルシート25とを接着させる役目を果たすものである。バリア層24は、例えば感光性環化ゴムレジストや露光硬化型のドライフィルムレジストからなり、ヘッドチップ20の半導体基板21の発熱抵抗体22が形成された面の全体に積層された後、フォトリソプロセスによって不要な部分が除去されることにより形成されている。また、バリア層24は、発熱抵抗体22の3辺の近傍を囲むように、平面的に見たときに略凹状に形成される。
さらにまた、ノズルシート25は、複数のノズル25aが形成されたものであり、例えば、ニッケルによる電鋳技術により形成されたものである。そして、ノズルシート25は、ノズル25aの位置が発熱抵抗体22の位置と合うように、すなわちノズル25aが発熱抵抗体22に対向するように、より具体的には、ノズル25aの中心軸と発熱抵抗体22の中心とが平面的に見たときに一致するように、バリア層24と貼り合わされている。
インク液室26は、発熱抵抗体22を囲むように、半導体基板21とバリア層24とノズルシート25とから構成されたものであり、吐出するインクが満たされるとともに、インクの吐出時にはインクの加圧室となるものである。半導体基板21の発熱抵抗体22が形成された面がインク液室26の底壁を構成し、バリア層24の発熱抵抗体22を略凹状に囲む部分がインク液室26の側壁を構成し、ノズルシート25がインク液室26の天壁を構成している。そして、インク液室26は、図2に示すように、ヘッドチップ20と、モジュールフレーム11との間の流路27に連通している。
上記の1個のヘッドチップ20には、通常、100個単位の発熱抵抗体22を備え、プリンタの制御部(図示せず)からの指令によってこれら発熱抵抗体22のそれぞれを一意に選択して発熱抵抗体22に対応するインク液室26内のインクを、インク液室26に対向するノズル25aから吐出させることができる。
すなわち、インク液室26にインクが満たされた状態で、発熱抵抗体22に短時間、例えば、1〜3μsecの間パルス電流を流すことにより、発熱抵抗体22が急速に加熱される。その結果、発熱抵抗体22と接する部分に気相のインク気泡が発生し、そのインク気泡の膨張によってある体積のインクが押しのけられる(インクが沸騰する)。これによって、ノズル25aに接する部分の上記押しのけられたインクと同等の体積のインクがインク液滴としてノズル25aから吐出される。そして、この液滴が印画紙上に着弾されることで、ドット(画素)が形成される。
続いて、ヘッドモジュール10のより詳細な構造及び製造過程について説明する。
図3(a)は、1つのモジュールフレーム11を示す平面図である。本実施形態のヘッドモジュール10は、モジュールフレーム11と、8つのヘッドチップ20及びノズルシート25と、バッファタンク12とから構成されている。
図3(a)は、1つのモジュールフレーム11を示す平面図である。本実施形態のヘッドモジュール10は、モジュールフレーム11と、8つのヘッドチップ20及びノズルシート25と、バッファタンク12とから構成されている。
モジュールフレーム11は、平面的に見たときに略長方形状に形成されるとともに、左右両端側には、略L形に切り欠かれた係合部11aを有する。
モジュールフレーム11は、例えばステンレス鋼から形成され、厚みが約0.5mm程度のものであり、本実施形態では、8箇所に、略長方形状のヘッドチップ配置孔11bが形成されている。ヘッドチップ配置孔11bは、ヘッドチップ20の外形よりわずかに大きな孔形を有し、ヘッドチップ20を内部に完全に配置できるようになっている。
モジュールフレーム11は、例えばステンレス鋼から形成され、厚みが約0.5mm程度のものであり、本実施形態では、8箇所に、略長方形状のヘッドチップ配置孔11bが形成されている。ヘッドチップ配置孔11bは、ヘッドチップ20の外形よりわずかに大きな孔形を有し、ヘッドチップ20を内部に完全に配置できるようになっている。
また、モジュールフレーム11には、ヘッドフレーム2に固定するための2つの取付穴11dが形成されている。取付穴11dは、ヘッドフレーム2にヘッドモジュール10を取り付けるときに用いられるものである。さらにまた、各ヘッドチップ配置孔11bの外縁部の一部を囲むように、溝11c(図3(a)中、ハッチング部)が形成されている。
図3は、モジュールフレーム11にノズルシート25を貼付する工程を示している。図3に示すように、ヘッドチップ配置孔11bの周囲と溝11cとで囲まれた領域に、接着剤14を塗布(印刷)する(図中、(b))。この接着剤14の領域は、ノズルシート25が貼付されたときにノズルシート25の外縁部とほぼ一致する大きさに形成されている。なお、この接着剤14には、図2に示すように、導電性粒子が配合されている。
そして、接着剤14の塗布後は、ノズルシート25をモジュールフレーム11に貼着する(図中、(c))。このとき、余分な接着剤14は、溝11c内に入り込み、溝11cによって吸収される。
そして、接着剤14の塗布後は、ノズルシート25をモジュールフレーム11に貼着する(図中、(c))。このとき、余分な接着剤14は、溝11c内に入り込み、溝11cによって吸収される。
また、ノズルシート25によって、ヘッドチップ配置孔11bの領域の一部が覆われるように貼着される。さらにまた、ノズルシート25は、モジュールフレーム11に支持されるための必要最小限の大きさに形成されており、ノズルシート25がヘッドチップ配置孔11b上に貼着されたときは、ノズルシート25は、ヘッドチップ配置孔11b及び接着剤14の塗布範囲にのみ存在する大きさに形成されている。すなわち、ノズルシート25は、ヘッドチップ配置孔11bの領域の必要な一部を覆うとともに、最小限の接着面積を有するように、必要最小限の大きさに形成されている。
さらに、本実施形態では、ホットプレスによってノズルシート25をモジュールフレーム11に熱圧着することで接合する。この接合は、ヘッドモジュール10及び液体吐出ヘッド1の製造過程における最高温度(例えば約150℃;第1温度環境下)で行われる。モジュールフレーム11とノズルシート25とを比較すると、ノズルシート25の方が線膨張係数が大きい(温度変化によって伸縮しやすい)ので、製造過程における最高温度で両者を接合すれば、常温等の接合時の温度以下では、ノズルシート25は、モジュールフレーム11により張られた状態となる。
すなわち、ノズルシート25の温度変化による伸縮は、ノズルシート25とモジュールフレーム11との接合後は、モジュールフレーム11に支配されることとなる。
したがって、モジュールフレーム11の剛性をできる限り確保するためには、モジュールフレーム11のヘッドチップ配置孔11bの開口面積は、必要最小限とすることが好ましい。したがって、ヘッドチップ配置孔11bは、ヘッドチップ20よりわずかに大きい外形をなしている。
したがって、モジュールフレーム11の剛性をできる限り確保するためには、モジュールフレーム11のヘッドチップ配置孔11bの開口面積は、必要最小限とすることが好ましい。したがって、ヘッドチップ配置孔11bは、ヘッドチップ20よりわずかに大きい外形をなしている。
なお、ノズル25aは、1つのヘッドチップ20における発熱抵抗体22の数に対向する数の貫通穴を一方向に整列させたものである。
ノズル25aの形成は、エキシマレーザーにより行う。また、レーザー光により形成されたノズル25aには、テーパーが付くため、モジュールフレーム11側からレーザー光を照射してノズル25aを形成する。これにより、ノズル25aは、インクの吐出面(ノズルシート25の外表面)に近づくに従って開口径が次第に小さくなるようにテーパーが付いた孔となる。
ノズル25aの形成は、エキシマレーザーにより行う。また、レーザー光により形成されたノズル25aには、テーパーが付くため、モジュールフレーム11側からレーザー光を照射してノズル25aを形成する。これにより、ノズル25aは、インクの吐出面(ノズルシート25の外表面)に近づくに従って開口径が次第に小さくなるようにテーパーが付いた孔となる。
また、各ヘッドチップ配置孔11b内に位置するノズル25a列のノズル25a間ピッチは、ヘッドチップ20の発熱抵抗体22の配列ピッチと同一(解像度が600dpiのヘッドモジュール10を形成する場合には、約42.3μm)となるように形成する。
さらにまた、図3において、各ヘッドチップ配置孔11b内のノズル25a列は、各ヘッドチップ配置孔11b内のノズル25a列を結ぶライン(各ノズル25aの中心を通るライン)を考えたときに、そのラインがモジュールフレーム11の長手方向に平行に引いたモジュールフレーム11の中心線側に形成される。また、各ヘッドチップ配置孔11bを左側から順に、「N1」、「N2」、「N3」、・・、「N8」番目とすると、「N1」番目と「N3」、「N5」及び「N7」番目のヘッドチップ配置孔11b内のノズル25a列は、上記中心線に平行な一直線上に整列するように形成される。「N2」、「N4」、「N6」及び「N8」番目の関係も同様である。
したがって、隣接するヘッドチップ配置孔11b内のノズル25a列、例えば「N1」番目と「N2」番目のヘッドチップ配置孔11b内のノズル25a列は、上記中心線に対して平行な2直線上に整列する。
なお、本実施形態では、1つのモジュールフレーム11に対して8つのヘッドチップ配置孔11bを形成したが、これより多い又は少ないヘッドチップ配置孔11bを形成したときであっても、上記関係を満たすようにする。
なお、本実施形態では、1つのモジュールフレーム11に対して8つのヘッドチップ配置孔11bを形成したが、これより多い又は少ないヘッドチップ配置孔11bを形成したときであっても、上記関係を満たすようにする。
次に、各ヘッドチップ配置孔11b内に、バリア層24を積層したヘッドチップ20を配置・固定する。これは、上記第1温度環境下よりも低い第2温度環境下で(例えば常温(25℃前後)で)行われる。これにより、バリア層24とノズルシート25とが接着される。ここで、ヘッドチップ20は、チップマウンターを用いてアライメントされながら熱圧着される。さらにこの場合には、ヘッドチップ20の発熱抵抗体22の真下に、ノズル25aが位置するように、例えば±1μm程度の精度で熱圧着される。
ところで、ヘッドチップ20とノズルシート25とを比較すると、ノズルシート25の方が線膨張係数が大きい。また、ヘッドチップ20の熱圧着温度は、モジュールフレーム11とノズルシート25との接合温度よりも低い。したがって、ヘッドチップ20の熱圧着の際は、モジュールフレーム11と接合されたノズルシート25がピンと張られた状態となっているので、ノズルシート25の撓みを防止でき、平坦性が確保できる。
このように、バリア層24が形成されたヘッドチップ20がヘッドチップ配置孔11b内に配置され、ノズルシート25とヘッドチップ20とが接着されると、ノズルシート25のヘッドチップ20側の面、バリア層24、及びヘッドチップ20の発熱抵抗体22が形成された面とによって、上記のようにインク液室26が形成される。
さらにまた、ヘッドチップ20がノズルシート25に貼着されると、ヘッドチップ20の電極23は、ノズルシート25により隠蔽されることなく、外部に露出する(図2参照)。したがって、ヘッドチップ20がヘッドチップ配置孔11b内に配置された後も、ヘッドチップ20との電気的接続が可能となるように形成されている。
続いて、ヘッドチップ20側に設けられた電極23と、フレキシブル配線基板3との接合(電気的接続)を行う。この工程もまた、上記第1温度環境下よりも低い第3温度環境下で(例えば常温(25℃前後)で)行われる。図4は、モジュールフレーム11に、ノズルシート25及びヘッドチップ20が貼着された後、フレキシブル配線基板3を接合した状態を示す平面図である。なお、図4中、前面側がノズルシート25の貼着面側であるが、図面の理解しやすさのために、反対側の面から貼着したヘッドチップ20を、実線(ハッチング部)で図示している。また、図5は、ヘッドチップ20、ノズルシート25、及びフレキシブル配線基板3を示す斜視図である。
フレキシブル配線基板3は、図5に示すように、ポリイミド等の可撓性を有するフィルム状の基板に銅箔の配線パターン3aを施したものであり、銅箔をポリイミド等で両面側から挟み込んだ、いわゆるサンドイッチ構造をなすものであって、所望の形状に切断して形成したものである。そして、図4に示すように、1つのヘッドモジュール10に対し、2枚のフレキシブル配線基板3が取り付けられる。すなわち、ヘッドチップ20は、4個ずつ2列に並んで配置されているが、各列で1枚のフレキシブル配線基板3が取り付けられ、各配線パターン3aがヘッドチップ20の電極23に接合される。
この際、ノズルシート25とフレキシブル配線基板3とは、隣り合ってモジュールフレーム11上に接着固定され、安易に電極23の接合が外れないようになっているが、フレキシブル配線基板3の先端部は、その製造工程上、各配線パターン3aの断面が露出しているので、ノズルシート25に接触すると、各配線パターン3a間でショートするおそれがある。そのため、フレキシブル配線基板3の外縁である配線パターン露出面(断面)は、ノズルシート25の外縁と近接させるが、両者の間にわずかに隙間を有するようにして、導電性接着剤(図2参照)でモジュールフレーム11に固定される。
このような状態で、図2に示すように、ヘッドチップ20の電極23と、フレキシブル配線基板3とが、異方性導電膜28を介して接続される(ACF接続)。このACF接続の採用により、これまで必要であったワイヤボンディング工程とともに、配線された金線の固定・保護に伴う樹脂封止工程をなくすことが可能になる。また、ワイヤボンディングの樹脂封止部分の盛り上がりがなくなる。
したがって、ACF接続の採用の効果によって製造コストが低減され、封止樹脂の盛り上がりのないノズル面とすることができるが、モジュールフレーム11の一面にノズルシート25及びフレキシブル配線基板3を接合して形成したノズル面は、図5に示すように、厳密には、ノズルシート25及びフレキシブル配線基板3の端部に、材厚分である十数μmの段差を生じている。この段差は、ワイヤボンディングの樹脂封止部分ほど高さのある盛り上がりではないものの、端部の稜線がエッジとなっており、クリーニングの際のワイピング時にそこを通過するローラやブレードに引っ掛かりやすい形態となっている。そのため、ローラやブレードに引っ掛かったノズルシート25やフレキシブル配線基板3がモジュールフレーム11から剥離されるだけでなく、通過したローラやブレードを損傷させるおそれが生じる。
また、ヘッドが動作しない時は通常、ノズル面がヘッドキャップ(図示せず)によって覆われている。ヘッドキャップは、ノズル面を保護し、インクの乾燥を防ぐためのものであり、ヘッドキャップにインク吸引機構を設け、インクを吸引してノズル25aの目詰まりを防止する機能を付加したものもある。これらの機能を効果的に引き出すため、ヘッドキャップはゴム等の弾性部材で形成され、ノズル面を覆った際に気密性を保つように設計されているが、ヘッドキャップがノズル面上の段差に乗り上げるようになると、気密性を損なう要因となる。
さらに、フレキシブル配線基板3がモジュールフレーム11上に接着固定される構造においては、ヘッドチップ20の電極23に接続される側の配線パターン3aがノズルシート25との隙間によって外部に露出することになり、そこに導電性のインクやごみが付着するとショートするおそれがある。
さらにまた、ステンレスのモジュールフレーム11、ニッケルのノズルシート25、ポリイミドのフレキシブル配線基板3といった具合に、異なる材質のものを接合してノズル面を構成すると、各部分の材質の相違によって濡れ性が異なるので、同じノズル面上でありながらその表面状態が各部分で変わってしまう。そして、ノズル面の濡れ性の大小の差が大きいと、付着するインクの量に偏りが発生し、部分的にインクの液溜りが残留する結果となる。ノズル25aの周辺にインクの液溜りが存在すると、インクの飛翔方向が安定せず、印刷された文字が歪んだり画像に乱れが起きたりする等、記録品位や画質に著しい悪影響を与えることになる。加えて、付着するインクの分布が一様でないために汚れ具合がばらつき、クリーニング性能が安定しない等の問題も生じる。
このように、ノズルシート25及びフレキシブル配線基板3の端部(ノズル面上の段差)は、クリーニング時やキャッピング時に弊害となる。また、フレキシブル配線基板3の配線パターン露出面(断面)の隙間は、ショートを生じさせるおそれがある。さらに、異材質によってノズル面を構成すると、濡れ性が一様とならず、インクの吐出機能やクリーニング機能を低下させる要因にもなる。
そこで、このようなノズル面の構成に伴う弊害を解消するため、ノズル面には保護カバー30が貼り付けられる。図6は、モジュールフレーム11、ノズルシート25、及びフレキシブル配線基板3に保護カバー30を貼り付けた状態を示す平面図である。図6に示すように、保護カバー30は、窓部30aによってノズル25aの周囲を除いた部分のノズルシート25と、取付穴11dの周囲を除いた部分のモジュールフレーム11と、モジュールフレーム11に重なる部分のフレキシブル配線基板3とを覆うものであり、本実施形態では、耐熱、耐絶縁、可撓性等に富むポリイミドフィルムの貼着面に熱硬化性接着剤を塗布(印刷)したもの(図2参照)を使用し、ノズル面上に貼り合わせた後、加熱硬化させて接合している。なお、窓部30aは、ワイピング時にノズル面の汚れを除去できる大きさで、ローラやブレードが乗り上げやすい略長円形状となっている。
保護カバー30(貼着したポリイミドフィルム)により、ノズルシート25及びフレキシブル配線基板3の端部が覆われて保護され、エッジが覆い隠されるとともに、ノズル面上の段差が緩和され、フレキシブル配線基板3の外縁とノズルシート25の外縁との間の隙間も覆われる。したがって、ノズルシート25及びフレキシブル配線基板3がクリーニング時にそこを通過するローラやブレードに引っ掛かって剥離したり、逆に、通過したローラやブレードを損傷させるおそれが解消され、フレキシブル配線基板3の配線パターン露出面(断面)のショートも解消される。また、段差が緩やかな勾配に緩和されるため、ヘッドキャップ(図示せず)の弾性が追従できる範囲の凹凸となり、キャッピング時の気密性が確保される。さらにまた、ノズル25aの周囲以外の表面を同一材質(ポリイミド樹脂)とすることができるため、ノズル面の濡れ性をほぼ均一にすることが可能となり、記録品位が向上するとともに、クリーニング性能が安定する。
なお、インクには、インク残量の検出等に有効なように、インク組成物として導電剤となるイオン性物質が含まれたものを使用する。そのため、図2に示すように、ヘッドチップ20とモジュールフレーム11との間の隙間(流路27の反対側)は、インクによって活電部がショートしないように、エポキシ樹脂等の樹脂29によって封止される。
次に、図2に示すように、ヘッドチップ20の上部を覆うように、バッファタンク12が接着される。バッファタンク12は、インクを一時貯留するためのタンクであり、1つのヘッドモジュール10に対して1つ設けられる。また、バッファタンク12は、平面図で見たときに、モジュールフレーム11とほぼ同等の形状をなす。そして、図2に示すように、バッファタンク12の内部は、空洞となった液体流路(図2中、網点部)が形成される。特に本実施形態のバッファタンク12は、下面側(モジュールフレーム11との接着面側)が開口されるとともに、側壁及び天壁が同一厚みに形成され、断面が略逆凹形となるように形成されている。
バッファタンク12は、全てのヘッドチップ20に共通する液体流路を形成し、インク液室26に供給するインクを一時貯留するが、本実施形態では特に、モジュールフレーム11を固定するための剛性のある支持部材ともなっている。
バッファタンク12は、全てのヘッドチップ20に共通する液体流路を形成し、インク液室26に供給するインクを一時貯留するが、本実施形態では特に、モジュールフレーム11を固定するための剛性のある支持部材ともなっている。
バッファタンク12がモジュールフレーム11上に取り付けられると、全てのヘッドチップ配置孔11bを覆うようになる。また、図2に示すように、バッファタンク12内と、各ヘッドチップ20のインク液室26とは、ヘッドチップ配置孔11bとヘッドチップ20との間の流路27を介して連通される。これにより、バッファタンク12は、ヘッドモジュール10における全てのヘッドチップ20に共通する液体流路を形成する。
なお、図示を省略するが、バッファタンク12の天壁には、孔が形成されており、この孔を介してインクタンク(図示せず)からバッファタンク12内にインクが供給される。
なお、図示を省略するが、バッファタンク12の天壁には、孔が形成されており、この孔を介してインクタンク(図示せず)からバッファタンク12内にインクが供給される。
なお、モジュールフレーム11と、各ヘッドチップ20と、バッファタンク12とは、同等の線膨張係数を有している。これは、線膨張係数の差が大きいと、熱応力の作用によって接着剤が剥がれたりする等のトラブルの原因となるため、それを回避したものである。
さらに本実施形態では、このヘッドモジュール10を複数用いて、1つの液体吐出ヘッド1を形成する。
図1に示すように、剛性のあるヘッドフレーム2には、ヘッドモジュール配置孔2aが形成されており、このヘッドモジュール配置孔2a内に、本実施形態では8つのヘッドモジュール10を並べて配置している(2つのヘッドモジュール10を直列に接続するとともに、その直列に接続されたヘッドモジュール10を4段に並べている。)。また、各ヘッドモジュール10は、ネジ止めされ、位置決めされている。
図1に示すように、剛性のあるヘッドフレーム2には、ヘッドモジュール配置孔2aが形成されており、このヘッドモジュール配置孔2a内に、本実施形態では8つのヘッドモジュール10を並べて配置している(2つのヘッドモジュール10を直列に接続するとともに、その直列に接続されたヘッドモジュール10を4段に並べている。)。また、各ヘッドモジュール10は、ネジ止めされ、位置決めされている。
また、図示を省略するが、図1と反対側の面では、8つのヘッドモジュール10の各バッファタンク12が見えている。そして、直列に接続されたバッファタンク12間は、U字管で接続されている。また、1つのヘッドモジュール10に対して2つのフレキシブル配線基板3の接続側端部が、紙面に対して垂直に延びている。
次に、バッファタンク12が設けられた面側に、液体の吐出等を制御するための制御基板がネジによってネジ止めされる。制御基板上には、各種コンデンサの他、フレキシブル配線基板3と接続するためのコネクタが設けられている。そして、このコネクタの近傍には、切欠き部が形成されており、フレキシブル配線基板3の先端部は、この切欠き部を通って制御基板の下側から上側に抜け、制御基板のコネクタに接続されている。
このようにしてヘッドモジュール10を2つ直列接続して、A4対応のラインヘッドを形成する。さらに、このヘッドモジュール10列(2個のヘッドモジュール10からなるもの)を4列並べてY、M、C、及びKの4色(カラー)対応のカラーラインヘッドを形成する。
図7は、本発明の他の実施形態の液体吐出ヘッド1における1つのヘッドチップ20の周囲を示す断面図である。また、図8は、モジュールフレーム11、ノズルシート25、及びフレキシブル配線基板3に保護カバー30を形成した状態を示す平面図である。
図7及び図8に示す実施形態では、ノズル25aの周囲を除いた部分のノズルシート25と、露出した部分のモジュールフレーム11と、モジュールフレーム11に重なる部分のフレキシブル配線基板3とを樹脂層で覆うことにより、保護カバー30としたものである。
図7及び図8に示す実施形態では、ノズル25aの周囲を除いた部分のノズルシート25と、露出した部分のモジュールフレーム11と、モジュールフレーム11に重なる部分のフレキシブル配線基板3とを樹脂層で覆うことにより、保護カバー30としたものである。
保護カバー30には、接着性、強靱性、耐熱性、電気絶縁性、耐食性等に優れた特性を有する熱硬化性のエポキシ樹脂を使用し、ノズル25aの周囲を除いて吐出面全体を覆うように、スクリーン印刷(シルク印刷)によってノズル面上に塗布している(図8中、斜線部)。スクリーン印刷により、ノズル25aの周囲が窓部30aとなるように正確に塗布できる。塗布されたエポキシ樹脂は加熱硬化され、硬化したエポキシ樹脂層が保護カバー30になる。
保護カバー30(硬化したエポキシ樹脂層)により、ノズルシート25及びフレキシブル配線基板3の端部が覆われて保護され、エッジが覆い隠されるとともに、ノズル面上の段差が緩和され、フレキシブル配線基板3の外縁とノズルシート25の外縁との間の隙間も覆われる。したがって、ノズルシート25及びフレキシブル配線基板3がクリーニング時にそこを通過するローラやブレードに引っ掛かって剥離したり、逆に、通過したローラやブレードを損傷させるおそれが解消され、フレキシブル配線基板3の配線パターン露出面(断面)のショートも解消される。また、段差が緩やかな勾配に緩和されるため、ヘッドキャップ(図示せず)の弾性が追従できる範囲の凹凸となり、キャッピング時の気密性が確保される。さらにまた、ノズル25aの周囲以外の表面を同一材質(エポキシ樹脂)とすることができるため、ノズル面の濡れ性をほぼ均一にすることが可能となり、記録品位が向上するとともに、クリーニング性能が安定する。
なお、保護カバー30を形成する樹脂は、ポリイミド樹脂やエポキシ樹脂の他、シリコン樹脂、アクリル樹脂等の耐熱性、耐インク性等を有するものが使用できる。また、熱硬化性樹脂の他、UV硬化性のものも使用できる。
以上説明したように、本実施形態では、ヘッドチップ20とフレキシブル配線基板3との電気的接続に際し、ワイヤボンディング工程及び樹脂封止工程が不要になるので、製造コストを低減することができる。また、ノズル面を保護カバー30で覆うことにより、ノズル面に接合されているノズルシート25やフレキシブル配線基板3の端部を保護することができるとともに、その段差を緩和することができる。そのため、ローラやブレード等のクリーニング部材の損傷が防止され、ヘッドキャップのシール性が向上し、ヘッドの性能維持機能が向上する。
さらにまた、フレキシブル配線基板3の配線パターン3aが露出した端部が保護されるため、樹脂封止等の後処理を行うことなく、ショートを防止できる。しかも、保護カバー30によってノズル面の濡れ性がほぼ均一となるため、インクの飛翔方向が安定し、文字の歪や画像の乱れを低減できるだけでなく、ノズル面に付着するインクの汚れの分布が一様となり、クリーニング性能が安定する。
1 液体吐出ヘッド
2 ヘッドフレーム
2a ヘッドモジュール配置孔
3 フレキシブル配線基板(配線基板)
10 ヘッドモジュール
11 モジュールフレーム
11b ヘッドチップ配置孔
20 ヘッドチップ
21 半導体基板
22 発熱抵抗体(エネルギー発生素子)
23 電極
24 バリア層
25 ノズルシート
25a ノズル
26 インク液室
30 保護カバー
30a 窓部
2 ヘッドフレーム
2a ヘッドモジュール配置孔
3 フレキシブル配線基板(配線基板)
10 ヘッドモジュール
11 モジュールフレーム
11b ヘッドチップ配置孔
20 ヘッドチップ
21 半導体基板
22 発熱抵抗体(エネルギー発生素子)
23 電極
24 バリア層
25 ノズルシート
25a ノズル
26 インク液室
30 保護カバー
30a 窓部
Claims (7)
- 半導体基板上に複数のエネルギー発生素子が一定間隔で略直線状に配置されるとともに、前記エネルギー発生素子が設けられた面に、前記エネルギー発生素子の周囲に液室を形成するためのバリア層及び外部と電気的に接続するための電極を設けたヘッドチップと、
ノズルが形成されたノズルシートと、
前記ヘッドチップの前記電極と電気的に接続される配線基板と、
前記ヘッドチップを内部に配置するための孔であって前記ヘッドチップの外形より大きいヘッドチップ配置孔が複数形成されたモジュールフレームと
を備え、
前記エネルギー発生素子により前記液室内の液体に吐出力を与えることにより、前記液室内の液体を前記ノズルから吐出するヘッドモジュールであって、
前記ノズルシートは、前記モジュールフレームの一方側の面において、各前記ヘッドチップ配置孔に対し、前記ヘッドチップ配置孔内に前記ノズルが位置し、前記ヘッドチップ配置孔の領域の一部を覆うようにそれぞれ配置されるとともに、前記ヘッドチップ配置孔の領域の一部を覆う大きさに形成され、
前記ヘッドチップは、前記ヘッドチップの前記エネルギー発生素子と前記ノズルとが対向する位置に配置されるように、前記モジュールフレームの他方側の面から、各前記ヘッドチップ配置孔にそれぞれ配置され、
前記ヘッドチップ配置孔に配置された前記ヘッドチップの前記電極は、前記ヘッドチップ配置孔の前記ノズルシートにより覆われていない領域から露出し、
前記配線基板は、前記配線基板の電極と前記ヘッドチップの前記電極とが電気的に接続されるとともに、前記モジュールフレームの前記ノズルシートが設けられた面側において、前記ヘッドチップの露出している前記電極を覆うように配置され、
前記モジュールフレームに配置された前記ノズルシート及び前記配線基板の端部は、保護カバーによって覆われている
ことを特徴とするヘッドモジュール。 - 請求項1に記載のヘッドモジュールにおいて、
前記保護カバーは、前記モジュールフレームに配置された前記ノズルシート及び前記配線基板の段差を緩和する
ことを特徴とするヘッドモジュール。 - 請求項1に記載のヘッドモジュールにおいて、
前記保護カバーは、前記ノズルの周囲を除いた部分の前記ノズルシートと、前記ノズルシートが配置された面側の前記モジュールフレームと、前記モジュールフレームに重なる部分の前記配線基板とを覆う
ことを特徴とするヘッドモジュール。 - 請求項1に記載のヘッドモジュールにおいて、
前記保護カバーは、一方側の面に接着剤が塗布された樹脂フィルムである
ことを特徴とするヘッドモジュール。 - 請求項1に記載のヘッドモジュールにおいて、
前記保護カバーは、硬化した樹脂層からなる
ことを特徴とするヘッドモジュール。 - 複数のヘッドモジュールと、
複数の前記ヘッドモジュールを収容したヘッドモジュール配置孔が形成されたヘッドフレームと
を備えるとともに、
前記ヘッドモジュールは、
半導体基板上に複数のエネルギー発生素子が一定間隔で略直線状に配置されるとともに、前記エネルギー発生素子が設けられた面に、前記エネルギー発生素子の周囲に液室を形成するためのバリア層及び外部と電気的に接続するための電極を設けたヘッドチップと、
ノズルが形成されたノズルシートと、
前記ヘッドチップの前記電極と電気的に接続される配線基板と、
前記ヘッドチップを内部に配置するための孔であって前記ヘッドチップの外形より大きいヘッドチップ配置孔が複数形成されたモジュールフレームと
を備え、
前記エネルギー発生素子により前記液室内の液体に吐出力を与えることにより、前記液室内の液体を前記ノズルから吐出する液体吐出ヘッドであって、
前記ノズルシートは、前記モジュールフレームの一方側の面において、各前記ヘッドチップ配置孔に対し、前記ヘッドチップ配置孔内に前記ノズルが位置し、前記ヘッドチップ配置孔の領域の一部を覆うようにそれぞれ配置されるとともに、前記ヘッドチップ配置孔の領域の一部を覆う大きさに形成され、
前記ヘッドチップは、前記ヘッドチップの前記エネルギー発生素子と前記ノズルとが対向する位置に配置されるように、前記モジュールフレームの他方側の面から、各前記ヘッドチップ配置孔にそれぞれ配置され、
前記ヘッドチップ配置孔に配置された前記ヘッドチップの前記電極は、前記ヘッドチップ配置孔の前記ノズルシートにより覆われていない領域から露出し、
前記配線基板は、前記配線基板の電極と前記ヘッドチップの前記電極とが電気的に接続されるとともに、前記モジュールフレームの前記ノズルシートが設けられた面側において、前記ヘッドチップの露出している前記電極を覆うように配置され、
前記モジュールフレームに配置された前記ノズルシート及び前記配線基板の端部は、保護カバーによって覆われている
ことを特徴とする液体吐出ヘッド。 - 複数のヘッドモジュールと、
複数の前記ヘッドモジュールを収容したヘッドモジュール配置孔が形成されたヘッドフレームと
を備えるとともに、
前記ヘッドモジュールは、
半導体基板上に複数のエネルギー発生素子が一定間隔で略直線状に配置されるとともに、前記エネルギー発生素子が設けられた面に、前記エネルギー発生素子の周囲に液室を形成するためのバリア層及び外部と電気的に接続するための電極を設けたヘッドチップと、
ノズルが形成されたノズルシートと、
前記ヘッドチップの前記電極と電気的に接続される配線基板と、
前記ヘッドチップを内部に配置するための孔であって前記ヘッドチップの外形より大きいヘッドチップ配置孔が複数形成されたモジュールフレームと
を備え、
前記エネルギー発生素子により前記液室内の液体に吐出力を与えることにより、前記液室内の液体を前記ノズルから吐出する液体吐出装置であって、
前記ノズルシートは、前記モジュールフレームの一方側の面において、各前記ヘッドチップ配置孔に対し、前記ヘッドチップ配置孔内に前記ノズルが位置し、前記ヘッドチップ配置孔の領域の一部を覆うようにそれぞれ配置されるとともに、前記ヘッドチップ配置孔の領域の一部を覆う大きさに形成され、
前記ヘッドチップは、前記ヘッドチップの前記エネルギー発生素子と前記ノズルとが対向する位置に配置されるように、前記モジュールフレームの他方側の面から、各前記ヘッドチップ配置孔にそれぞれ配置され、
前記ヘッドチップ配置孔に配置された前記ヘッドチップの前記電極は、前記ヘッドチップ配置孔の前記ノズルシートにより覆われていない領域から露出し、
前記配線基板は、前記配線基板の電極と前記ヘッドチップの前記電極とが電気的に接続されるとともに、前記モジュールフレームの前記ノズルシートが設けられた面側において、前記ヘッドチップの露出している前記電極を覆うように配置され、
前記モジュールフレームに配置された前記ノズルシート及び前記配線基板の端部は、保護カバーによって覆われている
ことを特徴とする液体吐出装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005185286A JP2007001194A (ja) | 2005-06-24 | 2005-06-24 | ヘッドモジュール、液体吐出ヘッド、及び液体吐出装置 |
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Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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ID=37687214
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Country | Link |
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JP (1) | JP2007001194A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008246841A (ja) * | 2007-03-30 | 2008-10-16 | Sony Corp | ヘッドモジュール、液体吐出ヘッド、液体吐出装置、及びヘッドモジュールの製造方法 |
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CN110654116A (zh) * | 2018-06-29 | 2020-01-07 | 精工爱普生株式会社 | 液体喷出头、液体喷出装置以及液体喷出头的制造方法 |
-
2005
- 2005-06-24 JP JP2005185286A patent/JP2007001194A/ja active Pending
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EP3590718A1 (en) * | 2018-06-29 | 2020-01-08 | Seiko Epson Corporation | Liquid ejection head, liquid ejection apparatus, and method of manufacturing liquid ejection head |
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