JP2010240230A - 車両用シートのクッション - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的は、車両走行時の振動を吸収して乗員に伝え難く、着座時の姿勢の安定性が得られる車両用シートのクッションを提供することにある。
【解決手段】車両用シートのクッション1の表面1aに複数の穴2を凹設した。その表面1aからの深さが穴2の深さH1に10mmを合算した深さと同一の深さH2となる部分を境界Kとして、表面1aから境界Kに至る手前5mmまでの範囲の表面側領域HRの密度が、境界Kよりも5mm以上深く、且つ裏面に至る手前10mmまでの範囲の内側領域URの密度の1.06倍以上であるようにしたクッション1を得た。
【選択図】図1

Description

本発明は、自動車等の車両用シートの着座部又は背もたれ部として用いられるクッションに関し、特に、柔らかな座り心地が得られると共に着座の安定性が得られるクッションに関する。
近年、自動車等の車両用シートのクッションとしてポリウレタン発泡体の成形品が多用されている。このポリウレタン発泡体は、ポリウレタン原料の配合を調節することにより、座り心地等に関わる様々な物性を有するものが得られる。そのため、例えば、金属製のスプリングを用いずにフレームの支持部に直接取り付けられるものもあり、車両の軽量化に寄与している。
ところが、車両用シートのクッションには、相反する機能が求められることがある。例えば、車両の走行時の振動を吸収して乗員に振動を伝えないようにする振動吸収性と、乗員の姿勢の安定させる姿勢安定性とのように、前者には比較的柔らかな物性が求められ、後者には比較的硬めの物性が求められるが、その両者を満足するポリウレタン発泡体を得ることは難しい。そこで、ポリウレタン原料の配合により所定の物性を得ると共に、例えばクッションの表面を凹凸面とする等して、配合で得られた物性とは異なる物性を付加するようにした提案がなされている。
特許文献1に開示されている「自動車用座席」は、単一硬度のクッション材の表皮で被覆される側の表面に多数の小穴を設けている。この小穴の深さの範囲の層は他の層よりも軟質化されるようになっている。また、小穴の深さや径を変化させて、着座荷重の大きい部位の穴密度を増大させている。
特許文献2に開示されている「車両用シート構造」は、車両用シートのシートクッションの表皮側表面に、下方へ向けて小径穴と大径穴とを形成し、大径穴の深さを一定の浅いものとし、小径穴の深さを、乗員のヒップポイント位置の中央部が最も深く、車幅方向周辺に向かって浅くなるようにしている。このため、シートクッションの座面では、ばね定数が、乗員のヒップポイント位置の中央部で最も低く、車幅方向周辺及び車両前後方向周辺に向かって徐々に高くなっているので、乗員の疲労を低減できると共に、優れたホールド性能が得られるセルフセンターリング作用を有している。
特許文献3に開示されている「車両用シートパッド」は、軽量でしかも乗り心地が良好なものを得るために、着座部の上面に多数の凹穴が設けられている。そして、この凹穴の深さは、シートパッドの厚みの30〜60%が好ましいとされている。
実開昭63−163654号公報(明細書1、4頁を参照) 特開平8−238141号公報([要約]、明細書[0054]を参照) 特開2009−23596号公報([要約]、明細書[0022]を参照)
特許文献1の座席は、表面側の軟質化を実現するものであり、表面のソフト感は得られるとしても、そのソフト感は、着座者の姿勢の安定性のためには、好ましいものとは言い難い。
特許文献2には、疲労を低減できると共に優れたホールド性能を有するシートが開示されているが、それらを実現するための小径穴と大径穴との製造方法が開示されていない。そこで、推測すれば二つの方法が考えられる。一つの方法は、成形型の下型に小径穴と大径穴とを形成するための複数のピンを細かなピッチで配置し、ポリウレタン原料を注入してシートを成形する際に、小径穴と大径穴とを一体成形するものである。他の方法は、成形されたシートに対する機械加工により、小径穴と大径穴とを得るものである。しかし、成形型の下型に細かなピッチで複数のピンが配置されている場合、下型に注入されたポリウレタン原料の流れ及び発泡膨張がピンの存在により一様とはならず、ボイド等の発生の虞が強い。そのボイド等の発生を抑える適切な成形条件が得られるか否かは疑問である。また、機械加工では、加工工数そのもの及び加工により生じたウレタンの粉末等の処理工数の増大を伴う。従って、機械加工は実用的とは言い難い。
特許文献3のシートパッドは、軽量化の実現のために、シートパッドの厚みの30〜60%の深さの凹穴を得ることが必要とされているが、100mm前後の厚みを有する通常のシートパッドにおいては、その深さは30〜60mmとなる。そして、発明の詳細な説明に開示されている製造方法に従いシートパッドを成形するとすれば、成形型の下型のキャビティ面に直径が5〜20mm且つ深さが30〜60mmの凹穴形成のための凸部を突設することになる。ところが、一般に、下型からシートパッド等の成形品を脱型する際、直ちに上方へ持ち上げて脱型することは難しく、成形品の隅々をそれぞれ持ち上げるようにして、成形品とキャビティ面との擬似接着状態を解消してから、初めて脱型が可能となる。従って、上記のような複数の凸部が突設されたキャビティ面から成形品を脱型することは、凹穴に裂け目等の傷を付けないようにするための慎重な作業が必要となり、工数の増大が避け難く製造ラインとしては実用的とは言い難い。
本発明は、このような問題に着目してなされたものであり、その目的とするところは、車両走行時の振動を吸収して乗員に伝え難く、着座時の姿勢の安定性が得られる車両用シートのクッションを提供することにある。
上記問題を解決するために請求項1に記載の車両用シートのクッションの発明は、成形型を用いて成形され、表面から凹設された複数の穴によって硬度調整されたポリウレタン発泡体製の車両用シートのクッションにおいて、前記クッションの表面からの深さが前記穴の深さに10mmを合算した深さとなる部分を境界として、前記クッションの表面から前記境界に至る手前5mmまでの範囲の表面側領域の密度が、前記境界よりも5mm以上深く、且つ裏面に至る手前10mmまでの範囲の内側領域の密度の1.06倍以上であることを特徴とするものである。
請求項1に記載の発明によれば、複数の穴をクッションの表面に凹設し、クッションの表面からの深さが穴の深さに10mmを合算した深さとなる部分を境界とした時、クッションの表面から境界に至る手前5mmまでの範囲の表面側領域の密度が、境界よりも5mm以上深く、且つ裏面に至る手前10mmまでの範囲の内側領域の密度の1.06倍以上であるようにした。言い換えれば、内側領域と表面側領域との対比において、内側領域を柔らかくし、表面側領域を硬くした。ポリウレタン原料は、成形型による発泡成形において、キャビティ面に接する表面から一定の範囲(成形条件により異なる)の密度が高くなる性質を持っているが、発明者は、この性質を有効に用いて発明を完成した。即ち、発明者は、複数の穴を適切に配置することにより、比較的硬い表面側領域と柔らかい内側領域とを設けることが可能なことを見出すに至ったのである。
このため、クッションに乗員が着座した時、乗員の臀部等で押圧されたクッションは、表面側領域よりも内側領域の方が圧縮されてより多く歪む。従って、このクッションは、内側領域で車両走行時の振動を吸収することができると共に、表面側領域で乗員の姿勢を保持することができる。
なお、表面側領域及び内側領域のそれぞれの密度は、それぞれの領域の深さ方向における複数箇所の測定値を平均した密度を指すものとする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両用シートのクッションにおいて、前記穴は、円筒状又は円錐台状に形成され、その内径が5〜15mmの範囲にあり、その深さが10〜20mmの範囲にあることを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明によれば、穴を、円筒状又は円錐台状に形成し、その内径が5〜15mmの範囲にあり、その深さが10〜20mmの範囲にあるようにした。このため、クッションを成形するための成形型の下型に、穴を形成するための突状部を複数設けるようにしても、成形されたクッションの下型からの脱型を容易に行うことができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の車両用シートのクッションにおいて、前記穴の隣合うどうしの中心間の距離が、前記穴の内径の2〜3倍の範囲内であることを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明によれば、隣合うどうしの穴の中心間の距離を、穴の内径の2〜3倍の範囲内にあるようにした。このため、穴と穴との間における密度が高められない部分の出現が防止され、表面側領域は、内側領域よりもより確実に密度が高くなり、着座者の姿勢を安定して保つことができる。
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のうちいずれか一項に記載の車両用シートのクッションにおいて、前記穴の中心は、互いに隣合う3個が正三角形を形成するように配置されていることを特徴とするものである。
請求項4に記載の発明によれば、互いに隣合う3個の穴の中心が正三角形を形成するようにした。このため、全ての穴が等間隔に配置されることになり、クッションの表面側領域の密度分布を一様なものとすることができる。
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のうちいずれか一項に記載の車両用シートのクッションにおいて、前記内側領域の密度が、0.04〜0.07g/cmの範囲にあることを特徴とするものである。
請求項5に記載の発明によれば、ポリウレタン原料の配合により内側領域の密度が、0.04〜0.07g/cmの範囲にあるようにした。このため、車両走行時の振動を内側領域のポリウレタン発泡体が吸収するので、着座者に振動を伝え難い振動吸収性を得ることができる。
本発明によれば、表面から凹設された複数の穴によって、表面側領域と内側領域との密度の比を1.06以上としたので、内側領域で車両走行時の振動を吸収することができると共に、表面側領域で乗員の姿勢を安定して保つことができる車両用のクッションを提供することができる。
本発明の穴を模式的に示す一部断面図であり、(a)は穴の中心間距離が短い場合、(b)は穴の中心間距離が長い場合を示す。 第1実施形態の穴の配置を模式的に示す部分平面図。 第2実施形態の穴の配置を模式的に示す部分平面図。 本発明の作用を模式的に示す一部断面図であり、(a)はクッションを示し、(b)は圧縮荷重を受けて歪んだクッションを示す。 図4に示す作用の比較例を模式的に示す一部断面図であり、(a)はクッションを示し、(b)は圧縮荷重を受けて歪んだクッションを示す。 図4に示す作用のその他の比較例を模式的に示す一部断面図であり、(a)はクッションを示し、(b)は圧縮荷重を受けて歪んだクッションを示す。 表面側の密度の分布状態を示すグラフ。
(第1の実施形態)
以下、本発明を具体化した第1実施形態を図1及び図2を用いて説明する。
図1(a)に示すように、本実施形態のポリウレタン発泡体製のクッション1には、表面1aから裏面へ向かって、角部2aがR面取りされた円筒状の穴2が、着座部に複数凹設されている。この複数の穴2は、図2に示すように、格子状に配置されており、その格子状の正方形の位置関係にある一枡において、一辺の両端に位置する穴21と穴22との中心C間の距離L1は20mmである。また、この穴2の寸法は、直径D1=10mm、深さH1=15mmである。なお、穴2の形状を、円筒状以外の円錐台状或いは角筒状とすることもできる。
図1に示すように、このように配置された複数の穴2の壁面を、壁面から10mmの距離を保った等間隔に囲む第1領域3においては、図示しない成形型のキャビティ面と穴2を形成するためにキャビティ面に立設された棒状体との影響を受けて、発泡体の密度がその他の部分に比べて高くなっている。この第1領域3の表面1aからの深さH2は、穴2の深さH1に対して10mmを合算した25mmとなっており、本実施形態では、深さH2の仮想面を境界Kとしている。
そして、複数の第1領域3の集合体としての領域であり、境界Kの手前(表面1a側)5mmまでの境界KHと表面1aとの間の表面側領域HRは、その密度が、その境界Kから5mm深い境界KUから、図示しないクッション1の裏面に至る手前10mmとの間の内側領域URの密度に比べ、1.06倍となっている。
また、ポリウレタン原料の配合及びその成形条件等により、密度の高い部分が、第1領域3より裏面側へ広がった第2領域4にまで及ぶことがある。この第1領域3は、穴2の壁面から10mmの距離にある部分であり、第2領域4は、穴2の壁面から15mmの距離にある部分である。
即ち、本発明は、ポリウレタン原料を、成形型を用いて発泡成形した発泡体において、キャビティ面に接していた表面から10〜15mmの範囲の発泡体の密度は、その範囲外の密度よりも高くなる現象(当該技術者にとって公知)を利用している。そして、複数の穴を凹設するに当たり、その大きさ及び配置を好適なものとすることにより、表面1aからの距離が15mmを超えても、高密度の表面側領域HRを設けることが可能である発明が完成されたものである。
図1(b)に示すように、隣合う2個の穴2のそれぞれの中心C間の距離L2を略28mmとすることもできる。この距離L2は、図2に示すように、格子状に配置された穴2のうち、対角状の位置関係にある穴21と穴23との中心C間の距離である。
この時、深さH2の第1領域3及び第1領域3よりも5mm外方へ広がった第2領域4は、図1(a)に示したものと同様となるが、境界Kと隣合う第1領域3どうしとの間の間隙部7は、第1領域3における密度よりもやや低い密度となる。しかし、ポリウレタン原料の配合或いは成形条件により第2領域4を形成することができれば、間隙部7は解消し、表面側領域HR内の平均密度は、内側領域UR内の密度よりも高い値を維持することができる。
本実施形態のように直径D1が10mmの穴2が配置される場合は、隣合う穴2どうしの中心C間の距離が20mmよりも短くなれば、穴2の周囲の発泡体の体積が減ずることになり、クッション1に加えられた荷重により、その体積が減少した発泡体には、許容範囲を越えた圧縮歪が生じることになる。中心C間の距離が30mmよりも長くなれば、隣合う第1領域3どうしの間の間隙部7は、境界Kから表面1aに亘る大きさとなり、その間隙部7を第2領域4でカバーすることができたとしても、そのカバー部分が深さH2の全高に亘ることになり好ましいとは言えない。
従って、穴2は、隣合う2個の穴2のそれぞれの中心C間の距離が、穴2の直径D1の2〜3倍の範囲にあるように配置されることが好ましい。
穴2の直径D1は5〜15mmの範囲にあることが好ましい。直径D1を5mmより小さくすることは、穴2を形成するための突状部を成形型と共に鋳造により形成することが難しいため、また、鋳造に替わってピンを立設することになれば工数が増大するため、好ましくない。また、穴2の直径D1を15mmより大きくすることは、着座者にとって、表皮材を介した穴2の手触り感が不快なものとなり、好ましいものではない。
穴2の深さH1は10〜20mmの範囲にあることが好ましい。深さH1を10mmより浅くすることは、表面側領域HRの厚さが薄くなって乗員の姿勢安定性が悪くなるので、好ましくない。また、深さH1を20mmより深くすることは、穴2を形成するために複数設けられた突状部からクッション1を脱型することが難しくなり、好ましくない。
なお、本実施形態に用いられたポリウレタン原料は、内側領域URの密度が、0.04〜0.07g/cmの範囲にあるように配合されたものが用いられている。以下に、そのポリウレタン原料を用いた実施例を図7を用いて説明する。
図7に示す横軸の数値は、表面からの深さを10mmごとに区切った層を示し、縦軸の数値は、内側領域URの密度と各層の平均密度との密度の比を示している。図中□で示す数値は、本実施形態のクッション1のものであり、○で示す数値は、穴を凹設しない従来のクッション10(図5)のものである。なお、表面側領域HRに当たる部分の密度は、隣合う穴2どうしの中間位置付近の複数箇所で測定したものである。図7に示すように、内側領域URに対する表面側領域HRに当たる1層目と2層目との密度比は、1.06以上となっている。
次に、図4〜図6を用いてクッション1の作用を説明する。
なお、クッション1とクッション11とを成形したポリウレタン原料は同一であり、クッション10を成形したポリウレタン原料は異なるが、それぞれのポリウレタン原料は、同一荷重で同一撓み量(30mm)が得られるように硬度のみを調整して配合されたものである。また、クッション1、10、11の圧縮歪の状態を目視できるように、10mm刻みで等幅線5が描かれている。
図4(a)に示すクッション1は試験用に成形型を用いて成形したブロック体であり、ポリウレタン原料は、図7に結果を示す試験に用いたものと同一のものを用いている。複数の穴2は、図1及び図2を用いて説明した形状、寸法及び配置により、押圧子6の被押圧範囲に形成されている。
図4(b)に示すように、直径150mmの押圧子6により、クッション1の表面が深さ30mmの位置となるまで押圧した。この時、表面側領域HRの発泡体には殆ど圧縮歪が現れないが、内側領域URの発泡体には圧縮歪が現れ、等幅線5の幅が狭まっていることが視認できる。このことは、表面側領域HRにより、着座者の姿勢を安定的に保つことができると共に、内側領域URの歪により、車両走行時の振動が吸収されるので、着座者を不快にさせる振動を減衰させることができることを示す。
一方、図5(a)に示すように、穴2を設けない比較例としてのクッション10は、図5(b)に示すように、押圧子6により30mm圧縮を受けた時、圧縮されて全ての等幅線5が略等しい幅となっている。このクッション10を成形したポリウレタン原料の密度は、クッション1を成形したポリウレタン原料の密度よりも高い。言い換えれば、クッション10の内側領域URはクッション1の内側領域URよりも硬い。従って、着座者の姿勢安定性及び振動吸収性については、クッション10の方が劣る。
また、図6(a)に示すように、その他の比較例としてのクッション11は、クッション1に形成された穴2と形状、寸法及び配置が同一の複数の穴12が切削により形成されている。ポリウレタン原料は、クッション10の成形に用いたものと同じものを用いている。図6(b)に示すように、クッション10の場合と同様に、押圧子6により30mm圧縮を受けた時、圧縮されて全ての等幅線5が略等しい幅となっている。この穴12の周囲の密度は、クッション1における第1領域3のように、その他の部位と比較して高くはなっていない。従って、クッション1における表面側領域HRが有する効果を発現できない。
なお、本実施形態においては、車両用シートのクッションとして、乗員が着座する部分であるシートクッションについて説明したが、本発明のクッションは背もたれ部であるシートバックに用いることもできる。
従って、上記第1実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)上記実施形態では、複数の穴2をクッション1の表面1aに凹設した。そして、クッション1の表面1aからの深さが穴2の深さH1に10mmを合算した深さと同一の深さH2の部分を境界Kとした時、クッション1の表面1aから境界Kに至る手前5mmまでの範囲の表面側領域HRの密度が、境界Kよりも5mm以上深く、且つ裏面に至る手前10mmまでの範囲の内側領域URの密度の1.06倍以上であるようにした。
このため、クッション1に乗員が着座した時、乗員の臀部等で押圧されたクッション1は、表面側領域HRよりも内側領域URの方がより多く歪む。従って、このクッション1は、内側領域URで車両走行時の振動を吸収することができると共に、表面側領域HRで乗員の姿勢を保持することができる。
(2)上記実施形態では、穴2を、直径D1が5〜15mmの範囲内の10mmであり、深さH1が10〜20mmの範囲内の15mmである円筒状とした。このため、クッション1を成形するための成形型の下型に、穴2を形成するための突状部を複数設けるようにしても、成形されたクッション1の下型からの脱型を容易に行うことができる。また、穴2の存在が着座者の手触り感を不快なものとすることを防止できる。
(3)上記実施形態では、隣合うどうしの穴2の中心C間の距離が、穴2の直径D1の2〜3倍の範囲内であるようにした。このため、隣合う穴2どうしの間において間隙部7の出現を小さなものとして抑えることができる。従って、表面側領域HRの密度を、内側領域URの密度よりもより確実に高くすることができ、着座者の姿勢を安定して保つクッション1を提供することができる。
(4)上記実施形態では、内側領域URの密度が、0.04〜0.07g/cmの範囲にある0.06g/cmとなるような配合のポリウレタン原料を用いるようにした。このため、車両走行時の振動を内側領域URにおいて吸収することができるので、着座者に振動を伝え難い振動吸収性に優れたクッション1を提供することができる。
(第2の実施形態)
次に、本発明を具体化した第2実施形態を、第1実施形態と異なる部分を中心に図3を用いて説明する。
図3に示すように、複数の穴2は、互いに隣合う3個の穴2の中心が正三角形を形成するように配置されている。即ち、穴24と穴25とのそれぞれの中心を結ぶ線と、穴24と穴26とのそれぞれの中心を結ぶ線とのなす角度K1が60度であり、穴24と穴25とのそれぞれの中心を結ぶ線と、穴25と穴26とのそれぞれの中心を結ぶ線とのなす角度K2が60度である。
このような配置とすることで、図2に示すように、隣合う穴2どうしの距離が、距離L1と距離L2のように異なることがない。従って、図1(b)に示すような、境界Kと隣合うどうしの第1領域3との間の間隙部7を最小限の大きさとし、常に図1(a)で示す状態を選択することができる。
そして、この第2実施形態においては、第1実施形態における効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
(6)上記実施形態では、互いに隣合う穴24、穴25及び穴26の3個の中心が正三角形を形成するように配置した。このため、全て等間隔に配置された穴2により、表面側領域HRの密度分布が一様なものとなったクッション1を提供することができる。
(変更例)
なお、上記実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 穴2をクッション1の着座部に凹設したが、着座部以外の部分にも穴2を凹設すること。
・ 穴2の角部2aをR面取りしたが、C面取りとすること、或いは面取りを施さないこと。
・ 穴2を正方形よりなる格子状に配置したり、隣合う3個の穴2の位置関係が正三角形状となるように配置したりしたが、その他の配置、例えば、長方形よりなる格子状或いは斜め格子状に配置すること。
C…中心、K,KH,KU…境界、H1,H2…深さ、HR…表面側領域、L1,L2…距離、UR…内側領域、1,10,11…クッション、1a…表面、2,12,21,22,23,24,25,26…穴。

Claims (5)

  1. 成形型を用いて成形され、表面から凹設された複数の穴によって硬度調整されたポリウレタン発泡体製の車両用シートのクッションにおいて、前記クッションの表面からの深さが前記穴の深さに10mmを合算した深さとなる部分を境界として、前記クッションの表面から前記境界に至る手前5mmまでの範囲の表面側領域の密度が、前記境界よりも5mm以上深く、且つ裏面に至る手前10mmまでの範囲の内側領域の密度の1.06倍以上であることを特徴とする車両用シートのクッション。
  2. 前記穴は、円筒状又は円錐台状に形成され、その内径が5〜15mmの範囲にあり、その深さが10〜20mmの範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の車両用シートのクッション。
  3. 前記穴の隣合うどうしの中心間の距離が、前記穴の内径の2〜3倍の範囲内であることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用シートのクッション。
  4. 前記穴の中心は、互いに隣合う3個が正三角形を形成するように配置されていることを特徴とする請求項1ないし3のうちいずれか一項に記載の車両用シートのクッション。
  5. 前記内側領域の密度が、0.04〜0.07g/cmの範囲にあることを特徴とする請求項1ないし4のうちいずれか一項に記載の車両用シートのクッション。
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