JP2010239917A - 緑化構造体 - Google Patents

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Abstract

【課題】下地の傾斜を考慮することなく、容易に給水可能な緑化構造体を提供する。
【解決手段】周壁に囲まれた底面部を有して貯水可能な箱形で、当該周壁部の開口側に少なくとも2箇所以上の吸排水管を保持するための凹部を有するトレー部11と、トレー部11の開口部全体を覆い、多数の開口を有するように形成される蓋部15と、トレー部11の底面部の上面と蓋部15の下面との間に配置され蓋部15を支持する支持部と、蓋部15の開口部を覆うように配置される不織布17と、弾性を有し、液体が中を流動可能な管形状で、トレー部11の凹部に保持可能な直径であり、放出孔が開口される管状体13とを有し、平地に設置する場合でも管状体13を水道等に接続することにより容易に且つ短時間で給水可能な緑化構造体。
【選択図】図1

Description

本発明は、公園、校庭、又は、平坦な屋上等を緑化するために、植物への給水又は灌水可能に土中に埋設される構造体に関するものである。
公園、校庭、又は、平坦な屋上等を緑化するためには、一般的に大量の土壌が必要である。大量の土壌に灌水するため土壌の下に埋設される雨水利用の自然給水型の緑化構造体は、少なくとも雨水は通過できるが土壌が侵入できないように網又は多孔質材料等の層でカバーされ、雨水の蓄積量も多いので大型になりがちである。その下に、雨水を通過させるが大量の土壌を支持できる屈強な構造、例えば大きな積載荷重に耐える壁厚で、雨水通過用の穴の空いた蓋と、雨水を貯めるための貯水容器が設けられる。
蓋は、例えば、透水性のポーラスコンクリート等で形成され、貯水容器は、例えば、プレキャストコンクリートで形成される。また、土壌に植えられた植物を貯蔵された雨水のみによって灌水できるようにするためには、灌水用構造体の深さを増加させて、蓄積可能な雨水の量を増加させる必要がある。貯水容器は小容器を並列に配置させることも可能である。(例えば、特許文献1参照)
屋上緑化の場合には、建造物の屋上には設計上の耐加重強度に基づく重量の限度が法律に規定されているため、土壌の層厚、及び、構造体の重量を減らす必要があることから、雨水利用で水の蓄積量が多いことから大型で重量も大きい自然給水型ではなく、人による散水等が必要で水の蓄積量が少ない人口給水型の緑化構造体が用いられる。
また、土壌の層の厚みを減らしたい場合には、深く根を張る必要がない芝生、草花、地被類、低木等を選んで緑化する場合がある。そのような状況下で屋上緑化用として、給排水孔が形成された複数個のパレット(プランター)を連結し、土壌はパレット内に入れて非埋設の状態で屋上緑化に利用する。その給水についてはねじ込み式の管を各パレットの間に貫通させて取り付ける方法が公開されている(例えば、特許文献2参照)。
また、パレットの上面から複数のピン状の支持部をパレットの上面を歩く人の靴の下面を受けることができる間隔で設けることと、植栽部に付加される外力を支持するために支持部が、パレットの蓋の上面と下面の同じ位置に設けられる構成と、貯水部から上部に蓋を突き抜けるように設けられる構成が公開されている(例えば、特許文献3参照)。
また、傾斜屋根の上に緑化構造体を置く場合で、例えば、発泡樹脂等で、周壁に囲まれた保水用凹部と共に、周壁の一部に溢流凹部を有する瓦状の保水排水基盤材を形成したものが公開されている。この保水排水基盤材を傾斜した屋根の上に、その下端と上端の一部を重ねて瓦のように並べて配置していくことで、一番上の保水排水機材に給水するのみで、順次上流から下流の保水排水基盤材に向けて給水することができる(例えば、特許文献4参照)。
特開2008−289497号公報 特開2004−57052号公報 特開2004−261016号公報 特開2008−212124号公報
埋設される形式の緑化構造体を利用する場合で、緑化に芝生、草花、地被類、低木等を使用する場合には、土壌の層厚を薄くできる。土壌の層厚を減らすことは、土壌の重量を減らすことができるので、土壌を支持する緑化構造体の筐体も薄型化して軽量化することができる。ところが、緑化構造体の筐体を薄型化した場合、土壌の層厚も少ないことから、例えば上を歩行する人間の体重に基づく応力が、足の踵等を介して、分散しないまま直接に近い形で構造体の一部に印加される。
緑化構造体を人間の体重により陥没したり損壊しないようにするには、例えば、特許文献1のように緑化構造体の厚みを厚くして強固な構造にしたり、特許文献3のように貯水ケースの底面に、靴の下面を支持することができる間隔で多数のピンを立設しなければならない。しかし、特許文献1のように緑化構造体の厚みを増加させて重量を増加させたり大型化させる方法は、運搬が容易ではなくなり公園や校庭に設置する場合における掘削量を増加させ、また、屋上に設置する場合には重量増加による耐加重強度の規制値を超える可能性があり好ましくない。また、特許文献3のようにピンを土壌表面まで延伸させる方法は、土壌を踏み固めさせない点では有効であるが、逆に、土壌が流出してやせた場合には、ピンのみが露出して障害物になってしまい、歩きづらくなる可能性がある。
また、特許文献1のように大型で比較的深く掘削して埋設する緑化構造体は、土壌の上から散水した水又は降雨による雨水を蓄積することで土壌に植えられた植物の水切れを防いでいた。しかし、根が大型の埋設型貯水容器に浸かったままの場合には、根の周囲の水に変化が乏しくなりやすいことから根腐れを発生させる場合があった。また、雨量が少ない時期の散水の工数を減少させる場合には例えば散水栓が設置されるが、散水栓は、金属製の筐体又は蓋が公園や校庭に設置されることになり、歩行時に障害となり歩行者を躓かせる可能性と、歩行者が転倒した時に金属製の栓や蓋により怪我をする可能性もあるので好ましくない。
また、特許文献2のように隣り合うプランター型構造体の下部に貫通孔を設けてねじ込み式の管で結合して給水する場合は、設置工数が多く必要であり、傾斜地に設置する場合には各プランターに順次水が流れるが平地に設置された場合にはプランター毎に貯まった水が次のプランターに流れるには、プランターが水の流れのバッファになってしまうため時間がかかり、給水に時間が多くかかってしまう。また、特許文献4の屋根置型の場合には、給水が重力による自然落下にたよるものであり、平地に設置する場合には各保水排水基盤材に給水することは不可能である。
そこで本発明は、上記の課題を解決するため、下地の傾斜を考慮することなく、容易に給水可能な緑化構造体を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る緑化構造体は、周壁に囲まれた底面部を有し上面が開口して貯水可能な箱形で、当該周壁部の開口側に少なくとも2箇所以上の吸排水管を保持するための凹部を有するように形成される箱形トレー部と、前記箱形トレー部の開口部全体を覆い、多数の開口を有するように形成される蓋部と、前記箱形トレー部の底面部の上面と蓋部の下面との間に配置され、当該両者の間隔と略同等な高さ寸法を有して前記蓋部を支持する支持部と、前記蓋部の少なくとも開口部を覆うように配置される不織布と、弾性を有し、液体が中を流動可能な管形状で、前記箱形トレー部の凹部に保持可能な直径であり、少なくとも1個の放出孔が開口される管状体と、を有する。
本態様によれば、平地に設置する場合でも管状体を水道等に接続することにより容易に給水可能な緑化構造体を提供することができる。また、土壌の層厚が薄い場合であっても、人の体重で蓋部が壊れる事態を減少させることができる。また、土壌表面に緑化構造体の土壌保持手段が露出する場合にもマット状の立体構造網状体が露出するので、従来のピン等が露出する場合に比べて安全に歩行することができる。特に緑化構造体を薄型にしたい場合には、水切れを発生させないためには頻繁な人口給水が必要なことから、容易に給水できることが有効である。
好ましくは、前記管状体は、前記放出孔が複数であり、各放出孔が所定の間隔毎に配置されるようにしてもよい。
本実施態様では、複数の放出孔を所定間隔に設けることで、箱形トレー部内の広範囲に短時間で給水することができる。
好ましくは、前記蓋部は、各開口の最大寸法が足の踵部を模した仮想円の直径よりも小さくなるように形成されるようにしてもよい。
本実施態様では、蓋部の強度が十分にある場合、開口の最大寸法を踵部の仮想円の寸法よりも小さくすることにより、踵部がトレー内に陥没する事態を無くすことができる。
好ましくは、前記支持部は、足の踵部が土壌を押圧する範囲内に、複数の支持ポイント、又は、線状あるいは面状に連続する部分を有するように配置されるようにしてもよい。
本実施態様では、蓋部の強度が十分でない場合でも、支持部により、踵部がトレー内に陥没する事態を無くすことができる。
好ましくは、前記支持部は、線上に連続する部分を有する場合、上面から見た形状が円管柱形状、矩形管柱形状、十字柱形状又はH字柱形状の何れか、あるいは、組み合わせて用いられるようにしてもよい。
本実施態様では、支持部を上面から見て円管柱形状、矩形管柱形状、十字形状又はH字形状にすることにより、効果的に足の踵部及び土壌を支持することができる。
好ましくは、前記支持部は、側面又は解放端面に前記管状体を保持するための凹部を有して形成されるようにしてもよい。
本実施態様では、管状体を、箱形トレー部内で、より確実に、給水に適切な設計上の所定位置に保持することができる。
好ましくは、前記箱形トレー部、蓋部及び支持部は、高分子樹脂材料により形成され、
前記支持部は、前記箱形トレー部と蓋部との何れかと一体に接合されるように形成されるようにしてもよい。
本実施態様では、高分子材料で箱形トレー部と蓋部のいずれかと一体に成形することで、個別に製造する工数と、支持部を箱形トレーと蓋部に対して位置出しする工数を減らすことができる。
好ましくは、前記不織布は、前記蓋部の開口からの土壌の構成物の侵入を防ぐと共に、上部からの水の通過と植物の根の侵入が可能である材質及び構造であるようにしてもよい。
本実施態様では、土壌の構成物が箱形トレー内に侵入することを防ぎ、雨水や散水が土壌を浸透した水を通過させて箱形トレー内に蓄積でき、植物の根は不織布を突き破って箱形トレー内に侵入が可能になる。
好ましくは、前記不織布は、土壌側に立体構造網状体が接合されるようにしてもよい。
本実施態様では、立体構造網状体を接合することにより、不織布の平面を維持する強度が増加して蓋部の開口に陥没しにくくなり、土壌が流出してやせたり踏み固められる事態を減少させることができ、植物の根をより強固に保持することができる。
本発明の緑化構造体によれば、下地の傾斜を考慮することなく、管状体を水道等に接続することにより容易に給水可能な緑化構造体を提供することができる。
本発明の緑化構造体の一実施形態の全体構成を示す斜視図である。 図1の一部の構成を拡大して示した斜視図である。 図2の有孔蓋部及び各支持部の配置を示した上面図である。 第1実施形態における図2の各支持部に管状体を保持させた場合の管状体の引き回しの一例を示した斜視図である。 第1実施形態における図2の各支持部に管状体を保持させた場合の管状体の引き回しの他の例を示した斜視図である。 複数個の緑化構造体を配列したところへ管状体を配管する場合の一例を示した斜視図である。 本発明の緑化構造体の第2実施形態における一部の構成を示した斜視図である。 本発明の緑化構造体の第3実施形態における一部の構成を示した斜視図である。
以下、本発明の緑化構造体の実施の形態について、以下に図面を用いながら詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の緑化構造体の一実施形態の全体構成を示す斜視図である。
図1におけるトレー部11は、給水された水を、比較的浅い深度で貯水できるように底面と全周囲(四方)を囲む壁面部を有する箱形のトレー形状に、プラスチック(高分子樹脂材料)で形成される。トレー部の形状及び各寸法は、設置時の取り扱いが容易でプラスチックの成型が容易であれば任意の範囲で決めることができるが、本実施形態のトレー部11は、略正方形の箱形に形成された四方の片の内側寸法が170mm程度のものを横に2個連結した形状で、5mm〜10mmの深度に貯水が可能であるように構成とした。壁面部の厚みは1mm〜2mmとし、必要に応じて40mm程度の所定間隔毎にリブ形状を形成するか、又は、ボス形状を壁面部の途中に含むように肉厚部を設けて強度を強化してもよい。
トレー部11のプラスチックは、例えば、金型を用いたインジェクション・モールド成形により形成される。プラスチックの種類としては、公園や運動場等の土中に埋設する用途では、使用温度が比較的低いので、例えば、安価であるが耐熱温度の低いABS樹脂、ポリエチレン樹脂、又は、ポリスチレン樹脂等を使用することができる。一方、屋上緑化等の夏の日中に摂氏100度以上になる可能性がある場所に使用する用途では、耐熱温度が摂氏100度以上のポリカーボネート、又は、ポリアミド等のエンジニアリングプラスチック、耐熱温度が摂氏150度以上のポリイミド、又は、フッ素樹脂等スーパーエンジニアリングプラスチックを使用することができる。トレー部11のさらなる詳細は、図2を用いて後述する。
管状体13は、弾力性を有する素材を用いて内部に液体が流動可能なチューブ形状に形成される。また、チューブの途中には、例えば5cm又は10cm等の等間隔でトレー内に水を供給する給水穴が開口される。チューブの材質としては、公園や運動場等の土中に埋設する用途では、例えば、天然ゴムチューブ、合成ゴム(ネオプレンゴム)チューブ、ブチルゴムチューブが使用することができる。屋上緑化等の夏の日中に摂氏100度以上になる可能性がある場所に使用する用途では、耐熱、耐寒、耐候性に優れるシリコーンチューブ、又は、耐熱、耐薬品性に優れたフッソゴムチューブを使用することができる。本実施形態では、複数の管状体13の両端部が図6に示した給水本管14に並列に接続されて、給水本管14から水の供給を受ける。
有孔蓋部15は、トレー部11の開口側の全面を覆う外形寸法であるが、後述する複数の通水孔81が設けられる。有孔蓋部15は、トレー部11上の正しい位置に固定できるように、トレー部11の各壁面部の内側に嵌め込み可能なリブ、及び、トレー部11から突出するボスと嵌合可能な凹部を有する。本実施形態では、後述する様々な形状の支持部をトレー部11又は有孔蓋部15と一体化させて、プラスチックで同時に成型できるようにしている。有孔蓋部15のさらなる詳細も、図2を用いて後述する。
不織布17は、有孔蓋部15の開口部からの土壌の構成物の侵入を防ぐと共に、上部からの水の通過と植物の根の侵入が可能である材質及び構造である。不織布17は、例えば、比較的短いナイロン繊維、ビニロン繊維又はアラミド繊維等を、熱、機械的結合又は接着剤等によりマット状に形成したものであり、通気性及び通水性を有しているが、土壌を構成する土は通過させずに止めることができる。
不織布17は、有孔蓋部15の上に配置され、不織布17の強度は、例えば、土壌の構成物の重みでは破れないが、植物の根が成長時に不織布17を突き破ることができる強度である。なお、不織布17の土壌の構成物の重みに対する強度については、後述する立体構造網状体19を接着又は融着されて一体化させることで増強することができる。
従って、不織布17を突き破って成長した植物の根は、有孔蓋部15の通水孔81からトレー部11の中に侵入して貯まっている水を吸い上げることができる。これにより土壌の構成物がトレー部11内に侵入することを防ぎ、雨水や散水が土壌を浸透した水を通過させてトレー部11内に蓄積でき、植物の根は不織布17を突き破ってトレー部11内に侵入が可能になる。
立体構造網状体19は、合成樹脂製の三次元に盛り上がった網目状の樹脂繊維からなるマット状構造体であり、不織布17上に接着又は融着されて一体化され、有孔蓋部15の上に配置される。立体構造網状体は、一般的には、土手等の法面保護・擁壁裏面排水・防草シートとして利用されることが多く、上に土壌21の構成物が載せられる。この立体構造網状体19を不織布17上に接合することにより、不織布17の平面を維持する強度が増加して有孔蓋部15の開口(通水孔)に陥没しにくくなり、土壌が立体構造網状体19により保持されることから流出してやせたり踏み固められる事態を減少させることができ、植物の根も立体構造網状体19により保持されることからより強固に保持することができる。
土壌21は、低草木23等が植えられる土壌であり、保水力が大きく大気中への水分の蒸発が少なく、軽量な土壌が好ましい。土壌21の構成物としては、例えば、炭、木材チップ、ヤシ繊維、バーライト、バーミキュライト、ピートモス、赤玉土、黒土、貝殻、腐葉土、多孔質火山岩、吸湿剤、保水剤、人口軽量土壌等の粗粒土を混合して使用することができる。
低草木23は、例えば、根が張るのに土壌の厚みを必要としないような芝生又は通常1m以下等までしか成長しない背が低い草木である。
図2は、図1の一部の構成を拡大して示した斜視図であり、図3は、図2の有孔蓋部及び各支持部の配置を示した上面図である。
トレー部11の四方(周囲)の壁面部の外側面には、他のトレー部11と接続するための接続爪31と、接続穴35を有する接続片33が設けられる。接続爪31と接続穴35の設けられる位置は、2個のトレー部11を上から見て上下左右の何れかの位置に隣り合わせて置いた場合に、一方のトレー部11の接続爪31が、他方の接続穴35に係合させることができる位置である。
係合される爪と穴の数は、トレー部11の一つの向き合う面について各々1箇所以上が形成される。但し、緑化領域の端部に使用されるトレー部11では、その端部に面した壁面部については、接続爪31と接続穴35を設ける必要はない。さらに、トレー部11の四方の壁面部には、他のトレー11と結合された場合にお互いに干渉しないようにフリンジ部を設けてもよい。
また、トレー部11の四方の周囲の壁面部のうち、1対の壁面部における給水側と排水側の2箇所に、上側から管状体13を嵌め込んで保持できる管状体保持凹部41が設けられ、内側を略正方形の箱形に2分割する壁面部にも、同様に管状体13を上から嵌め込んで保持できる管状体保持凹部43が設けられる。
また、トレー部11の四方の周囲の壁面部のうち、少なくとも1つの壁面部には、貯水する所定の水量以上の水を溢れさせて排水するために壁面部を矩形等に欠損させた溢水凹部51が設けられる。貯水する所定の水量は、植物の種類、降雨量の最低値及び周囲温度の最高値(蒸発量)等を勘案して、植物に生育に適した値に決められる。溢水凹部51は、トレー部11の開口側の面積により、面積が大きい場合には、溢水凹部51の欠損させる面積を大きくする。溢水凹部51の形状は矩形に限らず、円形、楕円形、又は、他の形状であってもよい。
本実施形態のトレー部11の底面における中心部近辺には、有孔蓋部15を支持するための直径D1が比較的大きい円管形状の支持部である大型円管形状支持部61が、トレー部11と一体に接合されるように高分子樹脂材料によりモールド成形で形成されている。大型円管形状支持部61の周壁の一部は、内部に貯まった水を外側のトレー部11の底面に排水できるように切り欠かれた排水切り欠き部63が形成されている。
これにより、大型円管形状支持部61の中の水を流動させることができる。本実施形態のようにトレー部11の略正方形の一辺の寸法が略170mmである場合、大型円管形状支持部61の直径D1は60mm〜70mmとなる。大型円管形状支持部61を高分子材料でトレー部11と一体に成形することで、個別に製造する工数と、大型円管形状支持部61をトレー部11に対して位置出しする工数を減らすことができる。
管状体13は、少なくともトレー部11の壁面部の管状体保持凹部41と管状体保持凹部43に嵌め込まれて保持される。給水穴71は、管状体13が嵌め込まれた管状体保持凹部41と管状体保持凹部43の間に少なくとも1個以上が配置されるような所定の間隔毎に開口される。複数の放出孔を所定間隔に設けることで、各トレー部11部内にもれなく給水することができる。
また、管状体13の強度と供給する水量が十分に多く、管状体13の全体の長さが比較的短い場合には、管状体保持凹部41と管状体保持凹部43の間の給水穴71の数を増加させることで、給水時間を短縮させることができる。管状体13は、図6の給水本管14を介して水道等の給水源に直接に接続するか、あるいは、バルブ等を介して常時、給水源に接続される。また、手作業で給水時のみに水源に接続したり、バルブ等の使用時には、そのバルブ等をタイマーシステム化することにより、自動給水することが可能になる。
有孔蓋部15は、土壌の上から散水された水や雨水が通過できる孔である複数の通水孔81を有している。通水孔81の形状寸法は、その最大開口寸法(例えば、開口が矩形の場合は対角線、開口が円形の場合は直径)L2が裸足の踵の踏地面積を想定した円101の直径L3、及び、靴底の踵部の踏地面積を想定した円111の直径L4よりも大きくならないように設定する。例えば、円101の直径L3を略60mmとすると、円111の直径L4は、それよりも大きく略80mm等になるので、L2は略50mm程度以下であればよい。
有孔蓋部15の下面側には、小型円管形状支持部83及び十字柱形状支持部85が高分子樹脂材料により有孔蓋部15と一体に接合されるようにモールド成形で形成されている。小型円管形状支持部83及び十字柱形状支持部85を高分子材料で有孔蓋部15と一体に成形することで、個別に製造する工数と、小型円管形状支持部83及び十字柱形状支持部85を有孔蓋部15に対して位置出しする工数を減らすことができる。この構成により、有孔蓋部15の強度が十分にある場合、開口の最大寸法L2を踵部の仮想円の寸法L3よりも小さくすることにより、踵部がトレー部11内に陥没する事態を無くすことができる。
小型円管形状支持部83は、大型円管形状支持部61の直径D1と比較して直径D2が小さい小型の円管形状の支持部であり、本実施形態では有孔蓋部15と一体にモールド成形されている。例えば、直径D1が略60mmの場合、直径D2は略30mm等でよい。小型円管形状支持部83は、管状体13がトレー部11における管状体保持凹部41と管状体保持凹部43の間で引き回される経路が、小型円管形状支持部83の中心部を通過する位置に配置される。
また、小型円管形状支持部83には、壁面部の管状体保持凹部41又は管状体保持凹部43に類似する形状の管状体保持凹部91が形成されている。この管状体保持凹部91により、管状体13を、トレー部11内で、より確実に、給水に適切な設計上の所定位置に保持することができる。本実施形態では、小型円管形状支持部83は有孔蓋部15と一体にモールド成形されるため、管状体保持凹部91の開口側はトレー部11の底面に面するように形成される。従って小型円管形状支持部83は、側面又は解放端面に管状体13を保持するための管状体保持凹部91を有して形成される。
これにより管状体13を、トレー部11内で、より確実に、給水に適切な所定位置に保持することができる。給水に適切な設計上の所定位置は、例えば、トレー部11内を1本の管状体13のみが配管される場合には、トレー部11の上面から見た場合の矩形における配管される2辺の中間位置の近辺であり、2本の管状体13が配管される場合には、配管される2辺の端部から1/4位置の近辺である。
十字柱形状支持部85は、上側から見た断面が十字形状で有孔蓋部15の下面からトレー部11の底面まで突出する支持部であり、本実施形態では有孔蓋部15と一体にモールド成形されている。十字の一片の突出寸法は10mm程度であってよい。
また、十字柱形状支持部85の配置は、トレー部11の壁面部及び各支持部61、83、85の各部を含めて最大の間隔L1が、円101の直径L3及び円111の直径L4よりも大きくならないようにする。本実施形態の場合の間隔L1は、例えば、トレー部11の壁面部及び各支持部61、83、85の任意の一点から全周囲に半径を拡大しながら円状に距離を計測する場合に、計測する円が最初に接触する他の一点までの距離である。例えば、円101の直径L3を略60mmとすると、間隔L1が、略50mm以下になるようにする。本実施形態では、各支持部61、83、85を上面から見て円管柱形状、矩形管柱形状、十字形状又はH字形状にすることにより、効果的に足の踵部及び土壌を支持することができる。
また、各支持部61、83、85は、線上に連続する部分を有する場合、その形状が円管柱形状、断面矩形管柱形状、断面十字柱形状又は断面H字柱形状、及び、それらの組み合わせの何れかのものが用いられることになる。これにより各支持部61、83、85は、足の踵部が土壌を押圧する範囲内に、複数の支持ポイント、又は、線状あるいは面状に連続する部分を有するように配置されることになる。従って、有孔蓋部15の強度が十分でない場合でも、各支持部61、83、85により、踵部がトレー部11内に陥没する事態を無くすことができる。
図4は、第1実施形態における図2の各支持部に管状体を保持させた場合の管状体の引き回しの一例を示した斜視図である。
図4においては、管状体13の配管経路を見やすくするために有孔蓋部15については表示しないで各小型円管形状支持部83を単独で示した。本実施形態の管状体13は、トレー部11の対向する壁面部の対向位置に設けられた2個の管状体保持凹部41の間に直線的に配管される。
この場合、まず、上記直線的な位置に配置された各小型円管形状支持部83の管状体保持凹部91に、管状体13を直線的に嵌め込んで保持させる。次に、図示しない有孔蓋部15をトレー部11に被せる際に、両端の各小型円管形状支持部83の管状体保持凹部91から突出する管状体13を、両側の管状体保持凹部41に嵌め込んで保持させる。その後、配管された管状体13の両端を、図6の給水本管14に接続する。このようにして、容易に給水用の管状体13を直線的に配管することができる。
図5は、第1実施形態における図2の各支持部に管状体を保持させた場合の管状体の引き回しの他の例を示した斜視図である。
管状体13の配管経路を、図4とは異なり、トレー部11内で蛇行させる場合の実施形態である。この場合も、まず、図5に示したような蛇行させた位置に配置された各小型円管形状支持部83の管状体保持凹部91に、管状体13を90度折り曲げながら嵌め込んで保持させる。
次に、図示しない有孔蓋部15をトレー部11に被せる際に、両端の各小型円管形状支持部83の管状体保持凹部91から突出する管状体13を、両側の管状体保持凹部41に嵌め込んで保持させる。その後、配管された管状体13の両端を、図6の給水本管14に接続する。なお、管状体13の長さが比較的短い場合には、管状体13の一方の端部のみを給水本管14に接続して、他端は閉じるようにしてもよいが、各トレー部11内に均等に給水するためには、両端を給水本管14に接続することが望ましい。
このようにして、容易に給水用の管状体13を蛇行させて配管することができる。この場合、図4の場合と比較して、トレー部11内の管状体13の給水穴71の位置を給水に適切な最適位置に配置させることができる。また、管状体13の供給する水量が十分に多く、管状体13の全体の長さが比較的短い場合には、給水穴71の数を増加させることで、給水時間を短縮させることができる。
図6は、複数個の緑化構造体を配列したところへ管状体を配管する場合の一例を示した斜視図である。
図6に示された給水本管14は、各管状体13に給水するための管である。給水本管14には、各管状体13の一方の端部が各々並列に接続される。給水本管14は、各管状体13との接続部に、T字管を用いてもよい。
図6に示された複数の各トレー部11は、各々の接続爪31が他のトレー部11の接続穴35に嵌め込まれて一体に結合されている。管状体13を配管する場合には、例えば、まず図における左下のトレー部11に対応する有孔蓋部15の管状体保持凹部91に対して、図4で説明した方法により嵌め込んで配管する。この時点では、配管された有孔蓋部15を、対応するトレー部11には被せない。次に、図におけるその右隣のトレー部11に対応する有孔蓋部15の管状体保持凹部91に対して、同様に嵌め込んで配管し、さらに、その右隣のトレー部11に対応する有孔蓋部15の管状体保持凹部91に対しても同様に嵌め込んで配管する。
このように隣接する各有孔蓋部15の管状体保持凹部91に順次、配管する。この作業を繰り返すことにより全ての有孔蓋部15の管状体保持凹部91に対して管状体13を配管し終えたら、配管された各有孔蓋部15を、配管と同様な順序により、対応するトレー部11に被せていく。配管を図5のように蛇行させる場合も、同様に先に全ての有孔蓋部15の管状体保持凹部91に対して管状体13を配管し終えたら、配管された各有孔蓋部15を、配管と同様な順序により、対応するトレー部11に被せる。
配管した各有孔蓋部15を対応するトレー部11に被せ終えたら、例えば、管状体13の両端部にT字管の中央の突出部を接続し、そのT字管の両端に給水本管14を接続し、さらに給水本管14を水道管等の給水源又は給水用のバルブ等に接続する。
このように本発明の第1実施形態に示された緑化構造体は、平地に設置する場合でも管状体を水道等に接続することにより容易に給水可能な緑化構造体を提供することができる。また、土壌の層厚が薄い場合であっても、人の体重で蓋部が壊れる事態を減少させることができる。また、土壌表面に緑化構造体の土壌保持手段が露出する場合にもマット状の立体構造網状体が露出するだけであるので、従来のピン等が露出する場合に比べて安全に歩行することができる。特に緑化構造体を薄型にしたい場合には、水切れを発生させないためには頻繁な人口給水が必要なことから、容易に給水できることが有効である。
<第2実施形態>
図7は、本発明の緑化構造体の第2実施形態における一部の構成を示した斜視図である。
図7は、図2に示した有孔蓋部15に一体成型された各支持部83及び85を、トレー部11に一体成型させて、全ての支持部61、83及び85がトレー部11側に設けられた場合の実施形態である。この場合は、小型円管形状支持部83に形成される管状体保持凹部91は、開口側が有孔蓋部15の下面に面するように形成される。
また、管状体13を配管する場合には、先に有孔蓋部15に配管されないで、図6における各トレー部11に、例えば左下のトレー部11から順に管状体13が配管され、配管が終了したら、有孔蓋部15が被せられる。
従って、第2実施形態の場合も、第1実施形態と同様な効果を得ることができる。
<第3実施形態>
図8は、本発明の緑化構造体のさらに第3実施形態における一部の構成を示した斜視図である。
図8は、図2に示したトレー部11に一体成型された各支持部83及び85を、有孔蓋部15に一体成型させて、全ての支持部61、83及び85が有孔蓋部15側に設けられた場合の実施形態である。この場合の管状体13を配管する場合は、図4又は図5に示した場合と同様である。
このように本発明の各実施形態に示された緑化構造体は、平地に設置する場合でも管状体を水道等に接続することにより容易に給水可能な緑化構造体を提供することができる。また、土壌の層厚が薄い場合であっても、人の体重で蓋部が壊れる事態を減少させることができる。また、土壌表面に緑化構造体の土壌保持手段が露出する場合にもマット状の立体構造網状体が露出するので、従来のピン等が露出する場合に比べて安全に歩行することができる。特に緑化構造体を薄型にしたい場合には、水切れを発生させないためには頻繁な人口給水が必要なことから、容易に給水できることが有効である。
従って、第2実施形態の場合も、第1実施形態と同様な効果を得ることができる。
上記各実施形態では、緑化構造体が薄型である場合について説明してきたが、本発明の緑化構造体における給水方法はこれに限らず、例えば、緑化構造体が厚型の場合にも適用することができ、容易な給水が可能である。又、本発明の緑化構造体における給水方法は、土壌の層厚が厚い場合でも、容易な給水が可能である。さらに、本発明の緑化構造体における給水方法は、トレー部の形状を変えることで、平地に設置する場合のみでなく、傾斜地の植物にも素早く給水することができる。
11 トレー部、
13 管状体、
14 給水本管、
15 有孔蓋部、
17 不織布、
19 立体構造網状体、
21 土壌、
23 低草木、
31 接続爪、
33 接続片、
35 接続穴、
41 管状体保持凹部、
43 管状体保持凹部、
51 溢水凹部、
61 大型円管形状支持部、
63 排水切り欠き部、
71 給水穴、
81 通水孔、
83 小型円管形状支持部、
85 十字柱形状支持部、
91 管状体保持凹部、
D1 トレー部深さ方向寸法、
D2 溢水凹部深さ方向寸法、
L1 トレー部内部最大支持部間寸法、
L2 通水孔対角線寸法。

Claims (9)

  1. 周壁に囲まれた底面部を有し上面が開口して貯水可能な箱形で、当該周壁部の開口側に少なくとも2箇所以上の吸排水管を保持するための凹部を有するように形成される箱形トレー部と、
    前記箱形トレー部の開口部全体を覆い、多数の開口を有するように形成される蓋部と、
    前記箱形トレー部の底面部の上面と蓋部の下面との間に配置され、当該両者の間隔と略同等な高さ寸法を有して前記蓋部を支持する支持部と、
    前記蓋部の少なくとも開口部を覆うように配置される不織布と、
    弾性を有し、液体が中を流動可能な管形状で、前記箱形トレー部の凹部に保持可能な直径であり、少なくとも1個の放出孔が開口される管状体と、
    を有することを特徴とする緑化構造体。
  2. 前記管状体は、前記放出孔が複数であり、各放出孔が所定の間隔毎に配置される
    ことを特徴とする請求項1に記載の緑化構造体。
  3. 前記蓋部は、各開口の最大寸法が足の踵部を模した仮想円の直径よりも小さくなるように形成される
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の緑化構造体。
  4. 前記支持部は、足の踵部が土壌を押圧する範囲内に、複数の支持ポイント、又は、線状あるいは面状に連続する部分を有するように配置される
    ことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の緑化構造体。
  5. 前記支持部は、線上に連続する部分を有する場合、その形状が円管柱形状、断面矩形管柱形状、断面十字柱形状又は断面H字柱形状、及び、それらの組み合わせの何れかのものが用いられる
    ことを特徴とする請求項4に記載の緑化構造体。
  6. 前記支持部は、側面又は解放端面に前記管状体を保持するための凹部を有して形成される
    ことを特徴とする請求項4又は5に記載の緑化構造体。
  7. 前記箱形トレー部、蓋部及び支持部は、高分子樹脂材料により形成され、
    前記支持部は、前記箱形トレー部と蓋部との何れかと一体に接合されるように形成される、
    ことを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の緑化構造体。
  8. 前記不織布は、前記蓋部の開口からの土壌の構成物の侵入を防ぐと共に、上部からの水の通過と植物の根の侵入が可能である材質及び構造である
    ことを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の緑化構造体。
  9. 前記不織布は、土壌側に立体構造網状体が接合される
    ことを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の緑化構造体。
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