JP2010239093A - 電解コンデンサの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 電解コンデンサのインピーダンス特性、ESR特性の向上を図るとともに、コンデンサ素子の製造工程で巻きずれの発生しない電解コンデンサを提供する。
【解決手段】 セパレータとして叩解可能な再生セルロース繊維の叩解原料を使用して抄造した再生セルロース繊維層と、天然セルロース繊維を抄造し静摩擦係数が0.25以下および/または動摩擦係数が0.18以下とした天然繊維セルロース繊維層を有するセパレータを用い、巻軸に対してセパレータの天然セルロース繊維層を当接させて巻回してコンデンサ素子を作成する。
【選択図】 図1

Description

この発明は陽極箔と陰極箔をセパレータを介して巻回した電解コンデンサの製造方法に関する。
一般に巻回型のアルミニウム電解コンデンサは、陽極箔と陰極箔との間にセパレータを介在させて巻回してコンデンサ素子を作成し、このコンデンサ素子に電解液を含浸し、このコンデンサ素子を金属製の外装ケースに収納し、さらに開口端部を封口して製作している。図1は電解コンデンサの内部構造を示している。コンデンサ素子2の巻回端面からは陽極箔、陰極箔にそれぞれ接続された電極タブ7、7が導出され、封口板8に取付けられた外部端子9、9と電気的に接続した構成となる。コンデンサ素子2と封口板9はともに外装ケース3に収納され、外装ケース3の開口端部は、カーリング加工によって封口板に食い込むように加工され、電解コンデンサ1を密封した構造となっている。
電解液としては通常エチレングリコール又はγ−ブチロラクトン等を溶媒とし、これらの溶媒に硼酸やアジピン酸、アゼライン酸又はこれらのアンモニウム塩等の溶質を溶解したものを用いた電解液が多用されている。
これらアルミニウム電解コンデンサは、セパレータ中に電解液を含浸させ、この電解液が陽極箔の誘電体酸化皮膜と接触することで、電解液をコンデンサの真の陰極として機能させている。しかしながら、その真の陰極としての伝導経路は、電解液中のイオン伝導となる。このため、固体電解質を用いて伝導経路を電子伝導とした電解質と比較すると、コンデンサとしてのインピーダンス特性、特に等価直列抵抗(以下ESRと略する)が高くなり易い。又、電解液を用いた電解コンデンサは、その使用中にも経時劣化するおそれがある。電解コンデンサのインピーダンス特性を良くするためには電解液の抵抗値を下げること、セパレータの厚さを薄くする、あるいはセパレータの密度を低くすることが考えられる。しかしながら、電解液の抵抗値を下げると、アルミニウム箔に対して腐蝕性を与える原因となりやすく、電解コンデンサの経時劣化を引き起こしやすくなるという問題がある。さらに、セパレータの厚さを薄くする、あるいはセパレータの密度を低くすると、コンデンサ素子に巻き取る際にショート不良率が増大し、仮にショートしなかった場合でも製品化されて市場に出された後のショート不良率が高くなる難点がある。
そこで、インピーダンス特性を良くするために、セパレータについては構成する繊維の形状や配向性が検討され、セパレータの原料を通常の木材クラフトパルプからマニラ麻パルプ、エスパルトパルプに変更する手段が用いられている。このような原料によれば低密度のセパレータを簡単に抄紙することができるため、インピーダンス特性が良く、しかも低密度のセパレータであっても十分な引張強度を有しており、広く使用されている。
しかし、これらの低密度のセパレータは、中高圧用の電解コンデンサ用途としては不向きであった。即ち、中高圧用の電解コンデンサに使用するセパレータは、使用電圧が高くなるほど陽極箔と陰極箔の接触による短絡事故、箔バリや端子取付部でのショートの危険性が増大するため、低密度のセパレータを用いることは困難であった。そこで、高叩解原料により長網抄紙機で抄紙されたピンホールの存在しない密度0.70〜0.88g/cm3の高密度のセパレータ(以下長網一重紙と略する)や長網一重紙の2枚使用のものが使用されてきた。
これらの電解コンデンサの特性を向上するためにセパレータについては改善がなされ、特に中高圧用の電解コンデンサに使用されるセパレータとして、次の特許文献に開示された技術が知られている。
特開平5−267103号 特開平6−168848号
特許文献1には、セパレータの原料として叩解可能な再生セルロース繊維に着目し、セパレータは原料として少なくとも10重量%以上の叩解可能な再生セルロース繊維の叩解原料を使用して抄造されているセパレータが開示されている。また、再生セルロース繊維の叩解原料はCSF600cc〜0ccまで叩解されていること、更にセパレータは厚さが20〜60μm、密度が0.25〜0.70g/cm3であることが開示されている。
上記のようなセパレータでは、叩解可能な再生セルロース繊維は比重が天然繊維とほぼ同じであり、叩解することによりフィブリルが発生するとともに柔軟性が増すため、天然繊維との相性が良好で、比較的密度の高く、かつ、引張強度の良好なセパレータを製作することができる。また、叩解可能な再生セルロース繊維は高重合度で高度に発達したフィブリルの網状構造を有しているため、抄造工程に設置された叩解機で叩解処理を施すことにより均一なフィブリル化が可能である。得られたフィブリル化微細繊維は天然繊維のフィブリル化微細繊維のように、紙にしたときにフィルム状にはならず、互いに独立した微細繊維が無数の点接着により構成されるため、極めて緻密性の高いセパレータが得られるにもかかわらず、その構造上、微多孔質状の紙質となり、しかもフィブリル断面径は真円であるため電気の流れを阻害することがなく、これら再生セルロース繊維の叩解原料を配合したセパレータを用いて製作した電解コンデンサは、ESR及びショート不良率の両特性を改善することができるとされる。
また、特許文献2には、セパレータは長網抄紙機にて紙層形成された高密度層と、円網抄紙機にて紙層形成された低密度層とを抄紙機上で重ねて抄き合わせてなるセパレータが開示されている。そして、前記高密度層は天然繊維パルプを原料とし、又前記低密度層は硬質な天然繊維パルプ又は再生セルロース繊維の1種又は2種以上を原料とし、更に前記低密度層は硬質な繊維が少なくとも40%以上配合されている構成を提供する。更に前記高密度層は厚さが10〜50μm、密度が0.88〜1.00g/cm3であり、前記低密度層は厚さが10〜60μm,密度が0.20〜0.40g/cm3である構成及び前記セパレータは全体厚さ20〜110μm、全体密度0.50〜0.80g/cm3である構成が開示されている。
上記のようなセパレータでは、高密度層と低密度層の二層構造としたセパレータを使用したため、高密度層の存在によりセパレータ全体として耐電圧を高く維持することができると共に、低密度層の存在によりセパレータ全体としてインピーダンス特性を向上させることができ、更に素子巻取工程を簡素化することできる。特に低密度層の原料として抄紙時の圧力によって変形し難く断面が円形状である硬質な天然繊維パルプ又は再生セルロース繊維の1種又は2種以上を使用したため、繊維が層状に積層され密度が高くなる原料との混合であっても、硬質な繊維が不均一に積層され、繊維間隙が生じて低密度抄紙が可能となる。特に高密度層を厚さ10〜50μm、密度0.88〜1.00g/cm3とし、低密度層を厚さ10〜60μm、密度0.20〜0.40g/cm3の範囲とすることにより、電解液を含浸して繊維が膨潤しても液浸透に必要な繊維間隙を充分に保持することができて含浸性、保液性が向上されESRも良好となる。よって、これらのセパレータを使用して製作した中高圧用の電解コンデンサは、セパレータの含浸性、保液性が良好であるためエージングの際、酸化皮膜の欠陥部修復が円滑に行われ、ESRの低減化によりコンデンサの発熱が抑制されて、ガス発生を減少させることができると共に、セパレータ自体が充分な耐電圧を保有しているため、エージングショート不良を格段に減少させることができる。従って従来困難とされてきた中高圧用の電解コンデンサのESRとエージングショート不良率の双方を同時に向上できると共に、コンデンサ製作の生産性をも向上させることができるというものである。
上記のような文献に記載されたセパレータを用いた電解コンデンサは、電解コンデンサの電気的特性の向上が図れることが明らかにされた。しかしながら、実際に上記のようなセパレータを用いて電解コンデンサを作成する際には、別の不都合が発生することが判明した。
まず一般的な電解コンデンサに用いるコンデンサ素子の作成工程を説明するが、コンデンサ素子の作成工程としては、図2に示すように、先端にすり割り92を備えた巻軸91を用いて、この巻軸91のすり割り92に2枚のセパレータ6を挿入し、巻軸91を回転させてセパレータ6のみを数回空巻きした後、陽極箔4と陰極箔5をそれぞれセパレータ6の間に挿入して、さらに巻回していくことによりコンデンサ素子1を形成している。
そして、コンデンサ素子を巻軸91で巻き取った後、巻軸91からコンデンサ素子を抜き取って、コンデンサ素子を次の工程に搬送する。ここで、このコンデンサ素子を巻軸91から抜き取る工程で、巻き取ったコンデンサ素子のセパレータが巻軸91の表面に貼り付いてしまうことがある。そのためコンデンサ素子を巻軸からスムーズに抜き取ることができず、コンデンサ素子を抜き取った際にセパレータが巻軸91に引っ張られるようになり、巻きずれが発生してしまうことが判明した。
この原因について発明者らが検討した結果、叩解可能な再生セルロース繊維の叩解原料を使用して抄造したセパレータは、構成する繊維径が細く、セパレータの表面の平滑度も高いと推察された。このため、叩解可能な再生セルロース繊維の叩解原料を使用して抄造したセパレータを単独で用いた場合には、巻き軸にセパレータが密着して巻軸に対する滑り抵抗が増加し、巻軸からスムーズに抜き取ることができないものと推察された。
そこで、叩解可能な再生セルロース繊維の叩解原料を使用して抄造したセパレータや、従来から知られるクラフトパルプ、エスパルトパルプ、マニラ麻パルプを原料として抄造したセパレータとの摩擦係数について調査したところ、次の表に示す結果となった。なお、次の表のセパレータは全て同じ厚さであり、セパレータの密度については、同一面積かつ同一厚さのセパレータを用意し、その重量を測定して密度を計算した。そして、得られた密度の値について高、中、低と指標化したものである。
以上の結果から、叩解可能な再生セルロース繊維の叩解原料を使用して抄造したセパレータは、従来のクラフトパルプ、マニラ麻パルプ、エスパルトパルプを原料として抄造したセパレータとの摩擦係数は、その値が大きく異なることが判明した。そして、この摩擦係数の違いが、コンデンサ素子を巻軸で巻き取った後の、コンデンサ素子の巻軸からの抜けの違いに影響を及ぼしているものと結論付けた。
以上の知見より、コンデンサ素子の製造工程においては、巻軸に対しては、摩擦係数が小さいセパレータを接触させる必要があることが判明し、本願発明に至った。
この発明は、電解コンデンサのインピーダンス特性、ESR特性の向上を図るとともに、コンデンサ素子の製造工程において巻き芯部での巻きずれが発生しない電解コンデンサを提供することを目的とする。
本願の請求項1に係る発明は、陽極箔と陰極箔をセパレータを、巻軸に巻きつけて巻回したコンデンサ素子に駆動用の電解液を含浸してなる電解コンデンサの製造方法において、前記セパレータとして叩解可能な再生セルロース繊維の叩解原料を使用して抄造した再生セルロース繊維層と、天然セルロース繊維を抄造し静摩擦係数が0.25以下および/または動摩擦係数が0.18以下とした天然繊維セルロース繊維層を有するセパレータを用い、前記巻軸に対してセパレータの天然セルロース繊維層を当接させて巻回した電解コンデンサの製造方法を特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、電解コンデンサのセパレータとして、叩解可能な再生セルロース繊維の叩解原料を使用して抄造した再生セルロース繊維層と、天然セルロース繊維を抄造し静摩擦係数が0.25以下および/または動摩擦係数が0.18以下とした天然繊維セルロース繊維層を有するセパレータを用い、巻軸に対してセパレータの天然セルロース繊維層を当接させて巻回したことで、コンデンサ素子を巻回した際に巻軸と接するのは天然セルロース繊維層となり、巻軸にセパレータが貼り付いて巻きずれが発生することが防止できる。さらに、電解コンデンサのセパレータは、叩解可能な再生セルロース繊維の叩解原料を使用して抄造した再生セルロース繊維層を有するもので、極めて緻密性の高く、微多孔質状の紙質のセパレータとなるとともに、フィブリル断面径は真円であるため、セパレータ中での電気の流れを阻害することがない。このため、電解コンデンサのインピーダンス特性、ESR特性を良好なものとすることができる。
電解コンデンサの内部構造を示す断面図である。 コンデンサ素子の形成工程を示す斜視図である。
次にこの発明を実施するための形態について説明する。この発明の電解コンデンサは、陽極箔と陰極箔との間にセパレータとしてセパレータを介在させて巻回してコンデンサ素子を作成し、このコンデンサ素子に電解液を含浸させ、このコンデンサ素子を金属製の外装ケースに収納し、開口部を封口して製作している。
それぞれの構成部品について説明すると、まず、陽極箔4は、アルミニウム箔をエッチングして拡面処理を施し、さらに陽極酸化処理により誘電体酸化皮膜を形成したもので、その厚さは約80〜120μmのものを用いている。また、陰極箔5は、アルミニウム箔をエッチングして拡面処理を施したもので、その厚さは約20μmのものを用いている。なお、陽極箔としては、電解コンデンサの仕様に応じて、所定電圧で陽極酸化処理が行われて、誘電体酸化皮膜が形成されている。この陽極箔4、陰極箔5にはそれぞれ電極タブ7が接続されている。
セパレータは、原料として叩解可能な再生セルロース繊維を叩解原料として使用し、この叩解原料を叩解度がCSF600cc〜0ccとなるまで叩解した後に抄造したセパレータと、天然セルロース繊維を原料として抄造したセパレータを重ね合わせ、再生セルロース繊維層と天然セルロース繊維層の二層構造のセパレータを用いる。
再生セルロース繊維層を構成するセパレータとしては、叩解原料は2〜5mmに裁断した溶剤紡糸レーヨン、ポリノジックレーヨンを用いることができる。この叩解原料は、叩解することによりフィブリルが発生するとともに柔軟性が増すため、天然繊維との相性が良好で、比較的密度の高く、かつ、引張強度の良好なセパレータを製作することができる。また、叩解可能な再生セルロース繊維は高重合度で高度に発達したフィブリルの網状構造を有しているため、抄造工程に設置された叩解機で叩解処理を施すことにより均一なフィブリル化が可能である。得られたフィブリル化微細繊維は天然繊維のフィブリル化微細繊維のように、紙にしたときにフィルム状にはならず、互いに独立した微細繊維が無数の点接着により構成されるため、極めて緻密性の高いセパレータが得られるにもかかわらず、その構造上、微多孔質状の紙質となり、しかもフィブリル断面径は真円であるため電気の流れを阻害することがない。
このようにして抄造されたセパレータは厚さが20〜60μm、密度が0.25〜0.70g/cm3であり、さらに静摩擦係数が0.32〜0.36程度、動摩擦係数が0.29〜0.32程度となる。
また、天然セルロース層を構成するセパレータは、木材クラフト、マニラ麻、エスパルトを原料とし、これらのパルプ原料を洗浄、脱水、叩解等の公知の調整を施した後、所定の厚さに抄紙機にて抄造する。このようにして抄造されたセパレータは厚さが10〜60μm、密度が0.20〜0.40g/cm3となり、さらに静摩擦係数が0.16〜0.22程度、動摩擦係数が0.11〜0.18程度となる。
この再生セルロース層と天然セルロース層の摩擦係数の違いは、主に繊維径の違いにあると考えられる。天然セルロース繊維は機械的叩解によって、繊維径が細くなるが、その繊維径は再生セルロースほど細くすることができない。このために、セパレータの天然セルロース層の表面粗さは適度に粗いものとなり、摩擦係数が再生セルロース層よりも小さなものとなると考えられる。
なお、前述の静摩擦係数と動摩擦係数は、JIS規格 P−8147「紙及び板紙の摩擦係数試験方法」に準拠し、水平直線往復摺動方式にて測定した値である。
以上のような陽極箔と陰極箔をセパレータとともに、一方の端部より巻回してコンデンサ素子を作成する。コンデンサ素子は、図2に示すような巻軸91を用いて作成する。巻軸11は金属よりなり、中央部にすり割り92が形成されている。そして、図2に示すように、巻軸91のすり割り92に2枚のセパレータ6,6を挿入する。この際、巻軸91に接触するのはセパレータの天然セルロース繊維層が接触するように挿入する。さらに、巻軸11を回転させてセパレータ6,6を数回巻回する。その後に陽極箔4と陰極箔4をそれぞれセパレータ6,6の間に挿入する。そして、巻軸11を回転していくことにより、陽極箔4と陰極箔5とセパレータ6,6は、巻軸91に沿うように巻回されていき、コンデンサ素子の径が漸次径大となっていく。所定の回数だけ巻き軸を回転した後に、陽極箔と陰極箔とセパレータを切断して、巻き止めテープ等により端部を貼り付けて、コンデンサ素子を完成する。
そして、巻軸からコンデンサ素子を抜き取って、次の工程に移送する。この巻軸からコンデンサ素子を抜き取る工程においては、巻軸には摩擦係数の小さい天然セルロース層が接しているため、巻軸にセパレータが貼り付いてしまうことがなく、コンデンサ素子は巻きずれを起こすこと無く抜き取ることができる。
次に、このコンデンサ素子に、駆動用の電解液を含浸し、さらにアルミニウムからなる有底円筒状の外装ケースに収納し、外装ケースの開口端部を封口して図1に示すような電解コンデンサを完成する。
さらに具体的な実施例に基づいて本願発明について説明する。
(実施例1)
陽極箔として、厚さ100μmのアルミニウム箔をエッチングによりその表面を拡面処理した後に、530Vの電圧を印加して陽極酸化して陽極箔を得た。また、陰極箔として、厚さ20μmのアルミニウム箔をエッチングによりその表面を拡面処理したものを用いた。
セパレータとして、まず、2〜5mmに裁断した溶剤紡糸レーヨン繊維を所定の叩解機によって、CSFが500ccになるまで叩解した。その後に抄造することにより厚さ40μm、密度0.30g/cm3の再生セルロースからなるセパレータを得た。次に、木材クラフトパルプを叩解した後に、抄造することにより厚さが20μm、密度が0.25g/cm3の天然セルロース繊維からなるセパレータを得た。この二つのセパレータを重ね合わせて、実施例1で用いる天然セルロース層と再生セルロース層の二層からなるセパレータとした。
以上の陽極箔、陰極箔、セパレータを巻回してコンデンサ素子を得た。この巻回してコンデンサ素子を得る工程では、巻軸に対してセパレータの天然セルロース層が接触するように配置して、コンデンサ素子を巻回した。
このコンデンサ素子の製造工程で、コンデンサ素子を製造するための巻軸からコンデンサ素子を離脱させる際に、巻きずれが発生する個数を測定した。
巻きずれが発生せず良品となったコンデンサ素子に、エチレングリコールにホウ酸塩等を溶解した電解液を含浸し、その後にコンデンサ素子を外装ケースに収納し、開口端部を封口して電解コンデンサを得た。
この電解コンデンサの大きさは、径が30mmで、高さ寸法が30mmであり、定格電圧450WV、定格静電容量は220μFであった。
(実施例2)
セパレータとして、まず、2〜5mmに裁断したポリノジックレーヨン繊維を所定の叩解機によって、CSFが400ccになるまで叩解した。その後に抄造することにより厚さ40μm、密度0.50g/cm3の再生セルロースからなるセパレータを得た。次に、木材クラフトパルプを叩解した後に、抄造することにより厚さが20μm、密度が0.35g/cm3の天然セルロースからなるセパレータを得た。この二つのセパレータを重ね合わせて、実施例1で用いる天然セルロース層と再生セルロース層の二層からなるセパレータとした。
その他の構成は実施例1と同様である。
(従来例1)
セパレータとして、2〜5mmに裁断した溶剤紡糸レーヨン繊維で構成された叩解可能な再生セルロース繊維を所定の叩解機によってCSFが500ccになるまで叩解した。その後に抄造することにより厚さ60μm、密度0.30g/cm3のセパレータを得た。このセパレータを1枚のまま用いて電解コンデンサを作成した。その他の構成は実施例1と同様である。
(従来例2)
セパレータとして、木材クラフトパルプを叩解した後に、抄造することにより40μmの厚さと、20μmの厚さの2枚のセパレータを得、この2枚のセパレータを重ね合わせて1枚のセパレータとして使用した。
その他の構成は実施例1と同様である。
以上の実施例1,2と従来例1,2における(1)コンデンサ素子の巻回工程での巻きずれの発生頻度、(2)電解コンデンサのESRを測定した結果を、次の表2にまとめた。
上記の表2の結果のとおり、クラフトパルプを原料としたセパレータが巻軸に接した状態でコンデンサ素子の巻回を行った実施例1、実施例2、従来例2ではコンデンサ素子の巻回工程での巻きずれの発生は無かったが、再生セルロースを原料としたセパレータが巻軸に接した状態でコンデンサ素子の巻回を行った従来例2では、巻きずれが発生した。
また、本願発明のセパレータに比べ、クラフトパルプのみを原料としたセパレータ(従来例2)では、ESR特性が著しく悪化することが明らかとなった。
このように、本願発明では、セパレータが巻軸に接した状態でコンデンサ素子の巻回を行った際に巻きずれが発生せず、しかも電解コンデンサのESR特性を従来のクラフトパルプを原料としたセパレータを用いた場合よりも、大幅に低減できることが明らかとなった。
1 電解コンデンサ
2 コンデンサ素子
3 外装ケース
4 陽極箔
5 陰極箔
6 セパレータ
7 電極タブ
8 封口板
9 外部端子
91 巻軸
92 すり割り

Claims (1)

  1. 陽極箔と陰極箔をセパレータを、巻軸に巻きつけて巻回したコンデンサ素子に駆動用の電解液を含浸してなる電解コンデンサの製造方法において、前記セパレータとして叩解可能な再生セルロース繊維の叩解原料を使用して抄造した再生セルロース繊維層と、天然セルロース繊維を抄造し静摩擦係数が0.25以下および/または動摩擦係数が0.18以下とした天然繊維セルロース繊維層を有するセパレータを用い、前記巻軸に対してセパレータの天然セルロース繊維層を当接させて巻回した電解コンデンサの製造方法。
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