JP2010237610A - 電子写真用転写紙 - Google Patents

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Abstract

【課題】原料パルプとして古紙パルプのみを用いながら、カール及びねじれの発生が抑制された電子写真用転写紙の提供を目的とするものである。
【解決手段】本発明は、原料パルプが古紙パルプ100質量%の電子写真用転写紙であって、前記古紙パルプが、新聞古紙及び/又は雑誌古紙を主原料とし、前記古紙パルプの構成比が、針葉樹パルプ10質量%以上30質量%以下、広葉樹パルプ50質量%以上70質量%以下、機械パルプ10質量%以上30質量%以下であり、上記古紙パルプのふるい分け度C1が5%以上15%以下、C5が30%以上40%以下であることを特徴とする電子写真用転写紙である。この電子写真用転写紙は、澱粉、エピクロロヒドリン系樹脂及び内添サイズ剤として中性ロジンサイズを含有し、外添サイズ剤が両面に塗布されていることが好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は、古紙100%の電子写真用転写紙に関するものである。
近年の資源の有効利用という観点から、電子写真用途においても、古紙パルプを高配合することが望ましいとされている。古紙パルプの原料となる市中回収古紙には、幾度となく繰り返し再生処理された古紙パルプを配合した古紙も多く含まれおり、こうした市中回収古紙を原料とした古紙パルプはパルプ繊維が疲労しており、電子写真用転写紙に必要な品質であるカール適性、コピー時の搬送性、作業性が低下する問題を有している。
電子写真用転写紙のカール減少に係る先行技術としては、以下のようなものがあげられる。
特許文献1は、従来のバージンケミカルパルプからなる上質紙グレードの電子写真用転写紙と同等の電子写真適性を有し、開封直後及び吸湿後においても従来の電子写真用転写紙と同等のコピー後カール性を有する電子写真用転写用紙を提案している。この用紙は、古紙パルプを100%含有し、包装開封時の含有水分率が所定の式に合致することを特徴とするものである。しかしながら、同文献においては、サイズ剤をコントロールすることによってカールを制御するという思想が開示されていない。
また、特許文献2には、カールの少ない記録用紙として、少なくともパルプを原料とする普通紙であって、分子内に三つ以上のカルボキシル基を持つ有機酸を含有し、且つ該用紙のCD伸縮率(%)が0.25から0.65%の範囲であることすることを特徴とする記録用紙が提案されている。しかしながら、同文献においては、古紙パルプを高配合とする場合のカール制御について何ら開示・示唆されていない。
さらに、特許文献3には、電子写真方式におけるトナー像の熱定着後のカールを低減することが可能で、両面印刷適性が高い電子写真用転写紙、及びそれを用いた電子写真記録方式の画像記録方法が提案されている。当該用紙は、全層の破断時伸びに対する破断時伸びの表裏差の比率が、MD方向及びCD方向のいずれにおいても、−10〜10%の範囲であることを特徴とするものである。しかしながら、同文献においても、古紙パルプを高配合とする場合のカール制御について何ら開示・示唆されていない。
さらに、特許文献4には、新聞古紙、雑誌古紙を多配合しても、カール性、走行性、および外観品質において、近年の電子写真方式の複写機やプリンター等の高画質化・高速化に満足に対応できる電子写真用転写紙が提案されている。この用紙は、新聞古紙と雑誌古紙の少なくともいずれか一方を主原料とする古紙パルプを50〜100質量%含有し、ISO白色度が75〜95%であり、且つ水分伸縮率が0.6%以下、且つクラークこわさ試験法により測定されたクロス方向(CD方向)の臨界長さを15cm以上にするものである。しかしながら、同文献による用紙は、古紙含有率が高いが、カールに対する解決策が示されていない。
特開平06‐295087号公報 特開2006−77356号公報 特開2007−121409号公報 特開2007−298620号公報
古紙パルプの原料となる市中回収古紙には、幾度となく繰り返し再生処理された古紙パルプを配合した古紙も多く含まれおり、こうした市中回収古紙を原料とした古紙パルプはパルプ繊維が疲労しており、電子写真用転写紙に必要な品質であるカール適性、コピー時の搬送性、作業性低下につながっており、本発明が解決しようとする主たる課題は、こうした市中回収古紙を原料とした古紙パルプ100%使用しても、カールの発生が抑制され、コピー時の用紙の搬送性、作業性のよい電子写真用転写紙を提供することにある。
上記課題を解決するためになされた発明は、
原料パルプが古紙パルプ100質量%の電子写真用転写紙であって、
前記古紙パルプが、新聞古紙及び/又は雑誌古紙を主原料とし、
前記古紙パルプの構成比が、針葉樹パルプ10質量%以上30質量%以下、広葉樹パルプ50質量%以上70質量%以下、機械パルプ10質量%以上30質量%以下であり、
上記古紙パルプのふるい分け度C1が5%以上15%以下、C5が30%以上40%以下であることを特徴とする電子写真用転写紙である。
なお、本発明におけるふるい分け度は、JIS−P8207(1976)に準拠して、第1槽の金網の呼び寸法を1190μm、第2槽の金網の呼び寸法を590μm、第3槽の金網の呼び寸法を297μm、第4槽の金網の呼び寸法を149μmとして測定するものとする。
当該電子写真用転写紙によれば、古紙パルプの構成比(針葉樹パルプ、広葉樹パルプ、機械パルプ)及び古紙パルプの繊維長比を上記範囲に調整していることにより、剛度を高め、かつ繊維配向性を低くすることが容易となるのでコピー後のカール及びねじれの発生を低減させることができる。
上記電子写真用転写紙は、澱粉及びエピクロロヒドリン系樹脂を含有するとよい。澱粉及びカチオン性のエピクロロヒドリン系樹脂を含有させることにより古紙パルプ由来のアニオントラッシュを低減させ、その結果、剛度を高め、カール及びねじれの発生を更に低減させることができる。
また、上記電子写真用転写紙は、繊維配向角の絶対値が1度以上3度以下であり、横方向のクラークこわさが30cm/100以上40cm/100以下であるとよい。繊維配向角を上記範囲の低い値とし、横剛度を上記範囲とすることによりカール及びねじれの発生は更に低減される。
上記電子写真用転写紙は、内添サイズ剤として中性ロジンサイズを含有し、外添サイズ剤が両面に塗布されていることが好ましい。中性ロジンサイズ及び外添サイズ剤を用いることで、当該電子写真用転写紙は、サイズ性が高まることに加え、紙全体の密度及び水分密度が均等化され、ねじれ及びカールの発生が低減される。
当該電子写真用転写紙は、ステキヒトサイズ度が10秒以上20秒以下であり、J.TAPPI No15−2(2000)に準拠して測定したコピー後のカール度が25以下であり、ねじれが30以下であることが好ましい。
なお、本発明における質量の単位(Kg/Pt)は、パルプ1トンあたりの質量(Kg)をいう。
本発明によると、パルプ繊維が疲労した市中回収古紙を原料とした古紙パルプ100%使用しても、カールの発生が抑制され、コピー時の用紙の搬送性、作業性のよい電子写真用転写紙を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る電子写真用転写紙の製造工程を示すフロー図 ねじれ度の測定方法を説明するための模式図
次に、本発明の実施の形態を説明する。
本発明の電子写真用転写紙は、原料パルプとして古紙パルプが用いられ、添加剤として澱粉、エピクロロヒドリン系樹脂及び内添サイズ剤を含有し、外添サイズ剤が両面に塗布されている。
(原料パルプ)
当該電子写真用転写紙の原料パルプは、古紙パルプが100質量%用いられている。即ち、当該電子写真用転写紙は、原料パルプとしては古紙パルプが100%である抄紙原料を抄紙して得られるものである。
原料古紙パルプとしては、回収率の高い新聞用紙からなる新聞古紙を用いることが好ましく、新聞古紙及び/又は雑誌古紙等からなる古紙パルプを100%配合することが、各種ある製紙メーカーにおける新聞用紙、色上模造用紙、雑誌用紙を構成する原料パルプ種が近似なことから、構成パルプ種による原料構成の変動を抑えることができると共に、含有される填料類の種類も近似であることから、最も好適である。
特に新聞用紙は、一般的には古紙パルプが既に50質量%以上いられており、バージンの機械パルプやクラフトパルプの含有量が少なく、また、バージンの各種パルプが用いられていても、一度抄紙され、古紙処理により古紙パルプ化されているため、その性状は均質化しており、所謂同種のパルプ原料を用いることに類似したほぼ一定の性状からなる利点を有する。
本形態において使用する古紙パルプは、新聞用紙及び/又は雑誌用紙からなる新聞古紙及び/又は雑誌古紙が好適に用いられるほか、製本、印刷工場、裁断所等において発生する裁落、損紙、幅落としした古紙である上白、特白、中白、白損等の未印刷古紙を解離した古紙パルプ、上質紙、上質コート紙、中質紙、中質コート紙、更紙等に平版、凸版、凹版印刷等、電子写真方式、感熱方式、熱転写方式、感圧記録方式、インクジェット記録方式、カーボン紙などにより印字された古紙、及び水性、油性インクや、鉛筆などで筆記した古紙を離解後脱墨、再利用可能に再生処理したパルプ(以下、DIPと略記する)等を使用してもよい。
本発明における原料パルプは、古紙から得る古紙パルプの調整において、選択、分級、叩解処理等によって、針葉樹パルプ(NKP)10質量%以上30質量%以下、広葉樹パルプ(LKP)50%質量以上70質量%以下、機械パルプ(MP)10質量%以上40質量%以下となるように配合されている。このような原料パルプの構成比とすることで、古紙パルプ繊維からなる当該電子写真用転写紙の製造において、澱粉、エピクロロヒドリン系樹脂、内添サイズ剤等との組み合わせにおいて、十分なステキヒドサイズの確保とカール防止を図ることができる。
NKP(針葉樹パルプ)は、本発明において製造される電子写真用転写紙において、古紙パルプのみを用いることによる紙力低下を補完するために必用であり、10質量%を下回ると電子写真転写機における熱定着により紙が脆くなり使用時における金具での保持やファイリング時に容易に破損しやすくなる問題が生じる。また、NKPが30質量%を上回ると、電子写真用転写紙の地合いが低下し、見た目が悪くなると共に、トナー定着性が低下し印刷適性の低下に繋がる。
LKP(広葉樹クラフトパルプ)は、本発明における電子写真用転写紙表面の平坦性とトナー定着性を維持する目的で必要であり、LKPが50質量%未満ではトナー定着性が低下し印刷適性が劣る問題が生じ、70質量%を上回ると、元来短繊維であることも起因し、カールの発生割合が高まると共に紙粉が発生しやすくなる。
MP(機械パルプ)は、本発明において製造される電子写真用転写紙において、古紙パルプのみを用いることによる嵩の低下を補完する効果を有する。MPが10質量%未満では、嵩が出ず腰のない電子写真用転写紙になるためカールは生じにくいものの、搬送性や作業性が劣る問題が生じる。MPが30質量%を超えると、元来強度向上効果が低いパルプであり、樹脂分を多く含みパルプ繊維自体が脆いため、使用時における金具での保持やファイリング時に容易に破損しやすくなる問題が生じる。
これら原料パルプの調整は、古紙由来の古紙パルプを100質量%とするにおいて通常は困難ながら、原料パルプの構成が紙製造会社ほぼ共通の新聞用紙古紙や雑誌古紙を主原料に、古紙再生促進センター古紙分類に準拠した選別古紙を用いることで調整できる。
なお、本発明においては、JIS−P8120(1998)に準拠して測定したC染色液の呈色表に基づいて、針葉樹パルプ、広葉樹パルプ及び機械パルプの構成比を計算することとする。
当該古紙パルプのパルプ繊維長は、本発明の電子写真用転写紙のJIS−P8220(1998)に準じて離解した離解パルプのJIS−P8207(1976)に準拠して、第1槽の金網の呼び寸法を1190μm、第2槽の金網の呼び寸法を590μm、第3槽の金網の呼び寸法を297μm、第4槽の金網の呼び寸法を149μmとして測定したふるい分け度が、C1が5%以上15%以下、C5が30%以上40%以下である分布を有している。このようなふるい分け度からなるパルプを備える当該電子用紙によれば、カール及びねじれ度を低下させることができる。すなわち、繊維長の長い繊維は紙の強度を高めるが、多過ぎると繊維の偏在が生じてしまうためカール及びねじれが生じやすくなる。又、繊維長の短い繊維は紙中のパルプの偏在を抑えることができるが、繊維長の短い繊維が多過ぎると紙の強度が低下するために、カール及びねじれが生じやすくなると考えられる。従ってふるい分け度によるパルプの繊維長分布を上記範囲とすることで、カール及びねじれの発生を低減することができる。
C1が5%未満であると長繊維のパルプ量が少なく、強度が低下するためカール及びねじれ度が増加する。また、C1が15%を超える場合は長繊維のパルプ量が多すぎるために、その繊維長の長い繊維の偏在が生じることによりカール及びねじれが生じるおそれがある。
C5が30%未満であると、短繊維のパルプ量が少なくなるため、長繊維のパルプの偏在が生じることによりカール及びねじれが生じやすくなる。C5が40%をこえると、長繊維のパルプ量が少なくなることにより紙強度が低下することによりカール及びねじれが生じやすくなる。
当該電子写真用転写紙によれば、古紙パルプの配合割合を100%配合することで、必然的に古紙由来の灰分の増加が生じる。古紙由来の灰分は、元来古紙から古紙パルプを再生する工程において殆どが系外に排出されるものの、繊維に物理的又は化学的に固着した微細な灰分成分が古紙パルプ中に残留し、再び抄紙原料として用いられることにより得られるものであり、バージンの填料と比べ、原料パルプとの密着性が高い故に、電子写真印刷を行った際にトナーの定着性を向上する相乗効果をもたらす。
本発明における電子写真用転写紙の灰分は、古紙由来の灰分を主成分とし、必要に応じ添加剤を添加する。その添加剤の主成分としては、炭酸カルシウム及び/またはホワイトカーボンを含有することが好ましく、本形態に供される古紙パルプを取捨選択し組み合わせることで古紙由来の灰分調整を行い、電子写真用転写紙を得ることが好ましい。
なお、新聞用紙及び/又は雑誌用紙は不透明度向上剤としてホワイトカーボンを多用するとともに、近年では、新聞用紙及び/又は雑誌用紙の中性抄紙化に伴い、炭酸カルシウムが填料として多用されているため、新聞用紙及び/又は雑誌用紙由来の古紙パルプを好適に用いることができる。
新聞用紙及び/又は雑誌用紙由来の古紙パルプには、前記ホワイトカーボンと炭酸カルシウム等の微細無機粒子が残留し、古紙由来の微細填料として古紙パルプ中に含有される特徴を有する。
本件発明においては、新聞用紙及び/又は雑誌古紙由来の填料を含め、灰分(JIS −P8251に準拠)を6質量%以上、好適には、好適には6〜12質量%、より好ましくは7〜10質量%になるように調整することが好ましい。
新聞用紙及び/又は雑誌用紙由来の古紙パルプに含有するホワイトカーボンが、電子写真印刷におけるトナーの転写性、熱定着性を向上させ得るため、本発明の課題であるカールを改善できるとともに、ホワイトカーボンは微細な一次粒子が凝集した二次粒子凝集体を形成し多孔質であるため、トナーが表面に付着しやすく、トナーの未定着による電子写真印刷面の汚れを来たしにくく、シリコーンオイルを用いている電子写真印刷機により、ノンインパクトプリンタ方式で印字した場合でも、ホワイトカーボンがシリコーンオイルを吸収するので、トナーの定着がシリコーンオイルに妨げられるおそれもない。
また、炭酸カルシウムは、新聞用紙及び/又は雑誌古紙由来の他の填料、例えば先のホワイトカーボンよりも古紙由来の填料として残留割合が比較的少ないものの、本件発明において好適に使用できるサイズ剤との相性が良く、特に中性ロジンサイズ剤の薬品歩留の向上に寄与し、サイズ性を発揮しやすくなると共に、炭酸カルシウムは表面電気抵抗が高く、ハイバックグランド(転写工程で感光体に付着した紙粉中の填料が現像部で現像剤に混入すると、トナーと填料が逆極性の場合、凝集体が形成され、この凝集体が非画線部に現像される)及びディリーション(感光体の暗所での電気抵抗の低下により、正常な静電潜像が得られない)と呼ばれる現象の発生も同時に解決しうる。
これらの古紙由来の残留する微細填料は、体積平均粒子径が0.01〜30μm、好ましくは1〜20μmの範囲にあるものが好適である。
一方、灰分(JIS−P8251に準拠)を6質量%未満にするには、古紙由来の微細繊維や灰分を原料調整段階で十分に洗浄する必要があり、多大な洗浄設備を要する。
他方、12質量%を超えると、電子写真印刷機で使用した場合、紙の放熱が悪くなり、熱がこもりやすくカールしやすい紙質となる。従って、得られた電子写真用転写紙をJIS−P8251に準拠して測定した灰分が6質量%以上、好適には6〜12質量%、より好ましくは、7〜10質量%になるように調整する。
(添加剤)
本形態の抄紙原料には、添加剤として、澱粉、エピクロロヒドリン系樹脂、内添サイズ剤、及びカチオン性凝集剤等が含有され、好ましくはこの順で添加されている。原料パルプが古紙パルプを大量に含有する場合は、古紙由来のアニオントラッシュにより、原料パルプ中のイオン性の変動幅が大きく、変動幅が大きいまま抄紙工程を進めると、イオン性の変動により抄紙工程における薬品の効果が安定せず、サイズ性の低下が生じると共に、過剰薬品添加やウエットエンドにおける濾水性の低下などにより操業が安定せず、品質変動が大きくなるため、結果として本発明の解決課題であるカール問題が発現し良好な品質を保持する電子写真用転写紙が得られない。
更に後工程で添加されるカチオン性凝集剤を、先に添加するエピクロロヒドリン系樹脂のカチオン性よりも低いカチオン性を有するものとすることで、中性ロジンサイズ剤の更なる歩留向上を図れ、効果的なカール防止効果を醸し出すことができる。
原料パルプ配合工程で、澱粉、エピクロロヒドリン系樹脂、後工程でサイズ剤、サイズ剤を添加後、先のエピクロロヒドリン系樹脂よりも荷電密度の低いカチオン性凝集剤を組み合わせ使用することで、各薬品の効果向上を図ることができると共に、抄紙系内のアニオントラッシュによる汚染を防止すると共に、抄紙機でのウエットエンドコントロールが容易なり、操業性が改善されるとともに、得られる電子写真用転写紙は、古紙パルプが100%であるにも拘わらず、カールの無い、電子写真印刷適性に優れた電子写真用転写紙を得ることができる。
以下、図1を参照にしながら、各添加剤及び各添加剤の添加順序について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る電子写真用転写紙の製造工程を示すフロー図である。原料パルプはスラリー状態で受入チェスト1に送られ、ダブルシックナー12を経て、配合チェスト2へ送られる。配合チェスト2の配合原料は、マシンチェスト3に供給された後種箱4に導かれる。ここで調節された配合原料は、第1ファンポンプ5、クリーナー6、スクリーン7、第2ファンポンプ8及びヘッドボックス9を介して図示していない抄紙機に供給される。また、第2ファンポンプ8へ供給される前の段階で、炭酸カルシウム受入タンク10から炭酸カルシウム添加タンク経由で炭酸カルシウムが、水和珪酸受入タンク30から水和珪酸添加タンク31経由で水和珪酸が添加される。
各添加剤は、原料パルプの配合調整段階(受入チェスト1、配合チェスト2及びマシンチェスト3まで)、好適には受け入れチェスト1で澱粉X0を、配合チェスト2でエピクロロヒドリン系樹脂X1を添加し、原料パルプのイオン性を安定化させたうえで、その後工程、好適には種箱4において内添サイズ剤X2を添加し、その後カチオン性凝集剤X3を添加する。
(澱粉)
当該電子写真用転写紙に含有される澱粉は、当該電子写真用転写紙の剛度を高め、カールを低下させることができる。当該澱粉としては、例えばコーンスターチ、酸化澱粉、酸化変性澱粉、ジアルデヒド澱粉、リン酸変性澱粉、カチオン化澱粉などがあげられ、これらは単独で又は2種以上を同時に用いることができる。この中でも特にカチオン化澱粉を用いることが好ましい。受入チェスト1で配合される澱粉X0、特にカチオン化澱粉は、後工程で添加される中性ロジンサイズ剤との相性が良い。従って、澱粉と中性ロジンサイズ剤との組み合わせは、他の中性サイズ剤と比べ薬品歩留が高く、ステキヒトサイズ度を低添加量で向上させることができるとともに、当該電子写真用転写紙の剛度を向上させることができる。
当該澱粉の配合量としては、18Kg/Pt以上25Kg/Pt以下であることが好ましい。配合量が18Kg/Pt未満の場合は、添加量が少なくアニオントラッシュの影響を抑えることができず、剛度が低下し、カールしやすくなる。また、配合量が25Kg/Ptを超えるとパルプ原料中の粘着微小異物を凝集させやすく、粘着異物として発生する傾向が多くなり、欠陥が生じやすくなるため好ましくない。
このように澱粉が配合された当該電子写真用転写紙のTappi T419om−85に準拠した熱水抽出澱粉量は、0.3g/m以上、さらには0.4g/m以上であることが好ましく、2g/m以下、さらには1.5g/m以下であることが好ましい。熱水抽出澱粉量は、配合段階の添加量と密接に関係し、熱水抽出澱粉量が上記範囲未満である場合は、アニオントラッシュの影響を抑えることができず、剛度が低下し、カールしやすくなる。また、熱水抽出澱粉量が上記範囲を超えると、配合段階で他薬品と反応し、欠陥が生じやすくなり、コピー機を使用する際の走行性が低下するおそれがある。
(エピクロロヒドリン系樹脂)
本発明におけるエピクロロヒドリン系樹脂X1の添加は、好適には原料パルプの配合調整段階で、より好適には配合チェスト2で添加される。配合調整段階における原料パルプは、各種異なる原料パルプの製造工程で生じたアニオントラッシュに加え、抄紙工程で生じた損紙からなる離解パルプ等が配合されるため、配合調整段階の原料パルプはイオン性の変動幅が大きく、後工程でのイオン性の安定化を図るためには、高い荷電密度を呈するエピクロロヒドリン系樹脂X1を原料パルプの配合調整段階で添加することが、イオン性の安定化と、後工程で添加する内添サイズ剤X2の定着およびパルプの繊維間結合を高めることに最も好適である。
ここで、配合チェスト2においては、各種原料パルプを受け入れた一又は二以上の受入チェスト1からダブルシックナー12を介して原料パルプが供給され、当該各種原料パルプが混合される。この混合された原料パルプは、マシンチェスト3を経て、種箱4に送られる。
このエピクロロヒドリン系樹脂は、アンモニア、第1級アミン、第2級アミン及び第3級アミンから選択された一種以上のアミン類と、エピクロロヒドリンとを反応させたポリカチオン物質及びこのポリカチオン物質とポリアルキレンイミンとを反応させたポリアルキレンイミン変性物等である。上記ポリアルキレンイミンはポリエチレンイミンであると好ましい。ポリエチレンイミンは、例えば分子量2×10以下、有利には2000〜1000000を有する。殊に有利には、分子量5000〜800000を有するポリエチレンイミンが使用される。
上記エピクロロヒドリン系樹脂は、Papier28.101(1974)に記載のテトラブロムフェノールフタレインエチルエステルカリウム塩(TBP)を用いた呈色試験にて青色に呈色させることができる。エピクロロヒドリン系樹脂としては、具体的には、スミレーズレジン650(30)(住友化学社製)、スミレーズレジン675A(住友化学社製)、スミレーズレジン6615(住友化学社製)、WS4002(星光PMC社製)、WS4020(星光PMC社製)、WS4024(星光PMC社製)、WS4046(星光PMC社製)、WS4010(星光PMC社製)、CP8970(星光PMC社製)などが挙げられる。
当該エピクロロヒドリン系樹脂の配合量としては、原料パルプの配合調整段階で、固形分で1〜5kg/Pt、好適には1.5〜3kg/Pt添加されている。
エピクロロヒドリン系樹脂の配合量が1kg/Pt未満では、十分なアニオントラッシュの凝結やイオン性の中和効果がみられず、横剛度が低下し、カールの問題が発現しやすくなる。エピクロロヒドリン系樹脂の配合量が5kg/Ptを超えると、原料パルプ系内のイオン性がカチオン性過度になり、水に離解しにくくなるため、欠陥が多発するなど操業性のトラブルが生じることとなる。
(内添サイズ剤)
本発明における内添サイズ剤X2は、原料パルプの配合調整段階以降であれば、抄紙工程何れでも添加できるが、最も好適には種箱4で添加することが好ましい。内添サイズ剤X2を種箱4で添加することで、原料パルプとの均一な混合が促進され、均一なサイズ性を得ることができる。
古紙由来の古紙パルプが100%である原料パルプ構成からなる本実施形態において使用することができる内添サイズ剤は、ロジン系サイズ剤、合成サイズ剤、石油樹脂系サイズ剤、中性サイズ剤等である。これらは硫酸バンド等適当なサイズ剤と繊維との定着剤を組み合せ、好適に使用することができるが、従来から中性抄紙系のサイズ剤として使用されているAKDやASAの使用は、サイズ度を高くする目的でサイズ剤の添加量を増すと紙の表面エネルギーが低下し、電子写真方式の複写機で転写したトナーの定着性が悪化する傾向が生じる。また、複写機の給紙部分で紙送りができなかったり、一度に複数枚の紙を給紙してしまうといった給紙トラブルが増加したりする傾向が発現する。
本形態において、望ましくは、電子写真方式の複写機、プリンター等における走行性及びコピー後の用紙保存性の観点から、中性サイズ剤、特に、中性ロジンサイズ剤を使用する。中性ロジンサイズ剤を内添サイズ剤として使用した場合には、古紙パルプが100%の当該電子写真用転写紙の抄造において、原料配合工程で添加されるエピクロロヒドリン系樹脂X1と組み合わせ、古紙由来のアニオントラッシュによるサイズ性低下の問題を軽減でき、効果的にサイズ性を確保することができる。従って当該電子写真用転写紙は、カールの防止を図ることができるとともにトナー定着性および複写機での給紙特性の優れたものとなる。
本形態における中性ロジンサイズ剤とは、例えば、紙パ技協誌第47巻第5号の31頁〜34頁に紹介されているような中性からアルカリ性のpH域においてサイズ剤のカルボン酸の解離やCaイオンなどとの塩形成を防止し、サイズ剤として有効な姿でパルプに歩留まるようにロジンに特殊な疎水化変性を施されたもの、各種界面活性剤もしくは水溶性高分子で乳化してなるエマルジョン型ロジンサイズ剤である。
ここで、ロジン物質としては、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン、水素化ロジン、不均化ロジン、重合ロジン、アルデヒド変成ロジン、ロジンエステルなどのロジン類、更には該ロジン類とアクリル酸、無水マレイン酸、フマール酸、イタコン酸などのα、β−不飽和カルボン酸との加熱反応物を例示できるが、中性領域でのロジン物質の溶出を抑える目的で重合、耐水化等の不溶化処理を行なうことができる。
中性ロジンサイズ剤のイオン性は、乳化時に用いる各種界面活性剤もしくは水溶性高分子によりアニオン性、カチオン性の選択は可能である。
中性ロジンサイズ剤の場合、サイズ剤の中の疎水化変性ロジン、強化ロジン、未変性ロジンの組成比率によってサイズの発現性が異なる。中性ロジンサイズ剤の添加量としては固形分で4〜8kg/Pt、より好適には5〜7kg/Ptであることが好ましい。
内添サイズ剤の添加量が対パルプ4kg/Pt未満では、後に述べるような表面サイズ剤の塗工処理を施しても、紙全体として充分なサイズ性を示すことができない。他方、中性ロジンサイズ剤の添加量を対パルプ8kg/Pt以上にするとサイズ性も飽和状態に達し、他薬品と反応して欠陥となったり、操業時において抄紙機の各部に汚れが発生したりする。
また、本形態における電子写真用転写紙を製造する際に、中性ロジンサイズ剤の使用に当っては、硫酸バンドの併用がサイズ性・操業性の点から必要である。硫酸バンドの添加量は、抄造時における抄紙pHによって異なるが、対パルプ3〜8kg/Pt質量%の範囲が望ましい。
本発明においては、先のエピクロロヒドリン系樹脂X1の後工程、特にヘッドボックス9の直前において、好ましくは種箱4で内添サイズ剤X2を添加する事で、特にアニオン性の高い古紙パルプ繊維上に、先のAlの多価金属化合物(例えば、硫酸バンド、ポリ塩化アルミニウム、ポリアルミニウムシリケートサルフェイト、アルミン酸ソーダなど)を介してアニオン性の中性ロジンサイズ剤が定着し、更に後述するカチオン性凝集剤X3の添加により、微細繊維に定着したサイズ剤、及び遊離のサイズ剤などを捕集する効果を発現し、ドライヤー上でアルミニウムイオンと反応することによりサイズ性が発現するものと推定される。
また、本発明では、中性ロジンサイズ剤の特徴として、紙中への配合量が増加するとともに、紙の摩擦係数が増加するため、AKDを使用した場合に問題になったようなサイズ性向上に伴うスベリは発生せず、これに伴い複写機上で転写用紙が複数枚給紙される、いわゆる重送問題も解決される。さらに、本発明では中性抄紙を行なうことにより、填料として炭酸カルシウムを配合できることから紙の摩擦係数、及びコントロール性の格段の向上とともに、従来、相反する特性であったハイバックグランド、及びディリーションと呼ばれる現象問題も同時に解決しうる。
(カチオン性凝集剤)
内添サイズ剤X2添加後に添加されるカチオン性凝集剤X3は、先の原料配合工程で使用されるエピクロロヒドリン系樹脂X1よりも荷電密度が低いものであるとよい。
カチオン性のエピクロロヒドリン系樹脂X1を添加し、アニオントラッシュを凝結させたものに、内添サイズ剤X2を添加し、更にカチオン性の凝集剤X3を添加することで、サイズ剤のパルプ繊維への定着を促進すると共に、凝結したアニオントラッシュが凝集して、フロックを形成するため、サイズ剤のパルプ繊維への定着を阻害する要因が少なくなる。かかるメカニズムの下では、更にスラリー中に存在するアニオントラッシュをパルプに吸着させ極小な状態で紙料と共に工程を通過させることができ、アニオントラッシュに起因する紙粉や粉落ちの低減を図ることができる。このことで汚れ、欠陥、断紙を減少させることができ、生産性の向上が可能となる。
内添サイズ剤X2添加後のカチオン性凝集剤X3としては、サイズ剤X2添加後の後工程で、図示例では第一ファンポンプ5及びスクリーン6,7を経た第二ファンポンプ8の直前で、分子量300万〜2000万、好適には500万〜2000万であり、かつカチオン性単量体のモル%が5〜100モル%、好適には10〜100モル%のカチオン性水溶性重合体または共重合体が固形分で0.1〜5.0kg/Pt、より好適には0.5〜4.0kg/Pt添加される。具体的には、カチオン性ポリアミン樹脂、カチオン性ポリアミンポリアミド樹脂、カチオン性ポリアクリルアマイド、カチオン変性澱粉、スチレンアクリル系樹脂、カチオン性熱硬化性樹脂等を挙げることができる。
カチオン性水溶性重合体または共重合体の分子量が300万未満であると効果が十分ではなく、2000万より多くても効果の向上が小さくコスト高となる。
カチオン性凝集剤X3は、先の内添サイズ剤X2の添加後に原料パルプ中に添加することで、サイズ性の向上を図ることが可能になり、結果として本発明の課題であるカールを改善できる。
前記カチオン性凝集剤X3の添加は抄紙原料を抄紙網に対して供給する直前、いわゆるヘッドボックス9の直前において添加することが好ましい。先のエピクロロヒドリン系樹脂X1の後工程、内添サイズ剤X2を添加する事で、特にアニオン性の高い古紙パルプ繊維上に、先のAlの多価金属化合物(例えば、硫酸バンド、ポリ塩化アルミニウム、ポリアルミニウムシリケートサルフェイト、アルミン酸ソーダなど)を介してアニオン性の中性ロジンサイズ剤が定着し、更にカチオン性凝集剤X3の添加により、微細繊維に定着したサイズ剤、及び遊離のサイズ剤などを捕集する効果を発現し、ドライヤー上でアルミニウムイオンと反応することによりサイズ性が発現する。
また、抄紙網においてパルプ繊維に吸着せずに欠損する微細填料(ホワイトカーボンや炭酸カルシウム)の量を格段に低減させ、紙中へ効率よく歩留らせることができる。
ここで、本発明においては、カチオン性凝集剤X3の添加量は純分で50〜400ppmとする。好適には、100〜100ppmとする。50ppm未満では、炭酸カルシウムの歩留まり向上の効果が得られづらい。また、400ppmを超えて添加すると地合いが悪化する。
本形態においては、澱粉X0及びエピクロロヒドリン系樹脂X1がこの順で原料パルプの配合調整段階で添加され、内添サイズ剤X2が、中性ロジンサイズ剤で、かつエピクロロヒドリン系樹脂X1とは異なる後工程で添加されると、より好ましいものとなる。つまり、配合チェスト2等で予めアニオン性の強い微細繊維、灰分をエピクロロヒドリン系樹脂X1で安定化させ、後工程の種箱4等にてサイズ剤X2とサイズ定着剤を添加し、さらにカチオン性凝集剤X3で、封鎖しておくと好ましい。
(外添サイズ剤)
当該電子写真用転写紙において、両面に外添サイズ剤を塗工することが好ましい。かかる外添サイズ剤としては、特に限定されず、アクリル系又はスチレン系等の、公知のものを用いることができる。外添サイズ剤の添加量としては、固形分質量で2Kg/Pt以上10Kg/Ptとするのが好ましい。このように、内添サイズ剤と同量程度の外添サイズ剤を両面に塗工することによって、サイズ性が高まることに加え、紙の表面と内部との密度の均一性が高まり、カール及びねじれを減少させることができる。従って上記範囲外の外添サイズ剤の塗装によっては、カール及びねじれが生じやすくなる。
外添サイズ剤の塗工量が2Kg/Pt未満又は10Kg/Ptを超える場合は、当該電子写真用転写紙の内部と外部の密度に差が生じ、更には水分密度にも差が生じるために、コピー後のカール及びねじれの発生が生じやすくなる。
当該電子写真用転写紙においては、さらに、印刷画像の乱れを防止し、適当なコピー画像濃度を維持するために導電剤を両面に塗布するとよい。当該導電剤としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、スチレン−マレイン酸コポリマー、第4級アンモニウム塩等を用いることができる。当該導電剤は、抄紙機のサイズプレス等で塗布することができる。この電導剤を塗布した電子写真用転写紙の表面電気抵抗(JIS−K6911に準拠する)が10Ω以上1013Ω以下(温度20℃、湿度65%RH)であるとよい。表面電気抵抗が10Ω未満であると静電気の耐電が大きくコピー後のカールが生じやすくなる。また、表面電気抵抗が1013Ωを超えると、コピーにおける印刷性能が低下する。
(荷電密度)
本発明において得られた電子写真用転写紙は、JIS−P8220に準拠して離解した離解パルプスラリー濾液の荷電密度が0.7〜1.4Meq/gであることが好ましい。
古紙パルプが原料パルプの大部分を占める場合は、古紙由来のアニオントラッシュにより、原料パルプ中のイオン性の変動幅が大きく、変動幅が大きいまま抄紙工程を進めると、イオン性の変動により抄紙工程における薬品の効果が安定せず、サイズ性の低下が生じると共に、過剰薬品添加やウエットエンドにおける濾水性の低下などにより操業が安定せず、品質変動が大きくなるため、結果として本発明の解決課題であるカール問題が発現し良好な品質を保持する電子写真用転写紙が得られない。
JIS−P8220に準拠して離解した、本発明に係る電子写真用転写紙の離解パルプスラリー濾液の荷電密度は、原料パルプ、原料パルプの配合調整段階で添加される澱粉X0、カチオン性凝結剤X1、サイズ剤X2、カチオン性凝集剤X3を調整主剤として用いることができるが、原料パルプの配合調整段階で添加されるカチオン性凝結剤X1は、原料パルプスラリーのイオン性を安定化させることが主目的であり、実質は、抄紙原料を抄紙網に対して供給する直前、いわゆるヘッドボックス9の直前において添加するカチオン性凝集剤X3の添加量に委ねるところが大きい。
古紙パルプ100%の原料パルプを有する電子写真用転写紙の製造については、古紙パルプ由来のアニオントラッシュを原料パルプの配合段階で多く含んでいても、好適には荷電密度が18Meq/g以上のエピクロロヒドリン系樹脂X1を添加して微細繊維などのアニオン性物質所謂アニオントラッシュの凝結を促進するとともに、更にコントロールし、荷電密度を+0.001〜+0.015meq/Lに制御し、更に後工程で内添サイズ剤X2を添加し、さらに原料調整工程で添加したエピクロロヒドリン系樹脂X1よりも荷電密度(強度)の低い凝集剤X3を添加することで、サイズ剤X2の定着促進と残留するアニオントラッシュなどによる欠陥の発生を抑制でき、得られた電子写真用転写紙をJIS−P8220に準拠して離解した離解パルプスラリー濾液の荷電密度が0.7〜1.4Meq/gであり、ステキヒトサイズ(JIS−P8122に準拠)が10〜20秒であることを特徴とする電子写真用転写紙を得ることができる。
JIS−P8220に準拠して離解した、本発明に係る電子写真用転写紙の離解パルプスラリー濾液の荷電密度が0.7Meq/g未満の場合は、サイズ剤の定着や微細繊維の適度なパルプ繊維への定着が得られないため、微細な凝集体や、凝集体が十分に形成されない。凝集が未形成のため、抄紙段階でサイズ剤の流失が生じ、サイズ性の発現が成されない。その結果、電子写真印刷機での印刷において、水分変動が生じやすくなり、カールの問題が発現しやすくなる。
逆に、荷電密度が1.4Meq/gを超えた場合、原料調整段階で添加薬品の凝集や、その凝集物を介在して、パルプスラリーを凝集する効果が強い状態で抄紙されることとなるため、電子写真用転写紙中でのアニオントラッシュや填料、微細繊維の凝集が大きくなり、こうした状態で製造された電子写真用転写紙は、地合い形成が不良に成りやすく、サイズ効果のムラが生じ、カールが生じやすくなる問題を発現する。
離解パルプスラリー濾液の荷電密度が0.7〜1.4Meq/gに成るように調整する手段は、本発明において、澱粉、エピクロロヒドリン系樹脂、内添サイズ剤、及びカチオン性凝集剤がこの順に添加されるように、原料パルプの配合調整段階での比較的高い荷電密度のカチオン性凝結剤を用い、サイズ剤添加後に先のカチオン性凝結剤よりも荷電密度の低いカチオン性凝集剤をもちいることで調整可能になる。
オンラインの荷電密度測定装置としては、代表的にPCT15もしくは20(mutek社製)を、携帯用の荷電密度測定装置としてはPCD03(mutek社製)を挙げることができる。この荷電密度測定装置は、試料を試験機のセルの中に導き入れ上下ピストンの稼動にてセルシリンダーとピストンの間にサンプル液の流れが生じることでコロイド粒子の表面電荷のひずみによって電気を生じさせる。パルプ懸濁液中のコロイド状溶解物質粒子はイオンにより電気を帯びており、これを利用することでチャージ要求量を高分子電解質測定によって測定させる装置である。
(繊維配向角)
当該電子写真用転写紙のパルプ繊維の繊維配向角は、絶対値が1度以上3度となっている。本発明における、繊維配向角の絶対値は、繊維の配向性を表す指標であり、MD方向(紙の流れ方向)軸に対する配向性のズレ角度の絶対値である。この繊維配向角は、超音波伝導式配向角計「SST−3000」(野村商事製)等で測定することができる。
繊維配向角の絶対値が1度未満の場合、インク吸収においてコックリングが悪化し、サイズ性が低下する。また、繊維配向角が3度を超えた場合は、繊維の配向性が顕著になるため、そのパルプ繊維方向にカール及びねじれが生じやすくなる。
この繊維配向角の調整は、抄紙工程のワイヤーパートにおいて、原料噴出速度(ジェットスピード)とワイヤー速度の比(J/W比)、ジェットの着地点、シェーキングの振幅の程度を変更することにより調整が可能である。
(ステキヒトサイズ度)
本発明における電子写真用転写紙は、ステキヒトサイズ度(JIS−P8122に準拠)が10秒以上20秒以下、好ましくは10秒以上16秒以下の範囲である。
ステキヒトサイズ度が20秒未満だと親水性が高く、平衡水分が上昇し、コピー機で使用した場合、紙の表面、裏面で水分率の差が発生し、又水を吸着しやすくなるためにカールしやすくなる問題を抱える。
ステキヒトサイズ度が30秒を超えると内添サイズ剤、外添サイズ剤を過剰に添加する必要があるため、マシン系内の汚れ、アフタードライヤーの汚れにつながり、さらには、水分の浸透が遅くなるため色間にじみが発生し、トナー定着が悪くなる。
(カール度・ねじれ)
本発明による電子写真用転写紙は、J.TAPPI No15−2(2000)に準拠して測定したコピー後のカール度が25以下であり、ねじれが30以下である。カール度及びねじれが上記範囲の当該電子写真用転写しによれば、カールの少ない用紙としてコピー機に好適に用いることができる。
カール度が25を超えるあるいはねじれが30を超える場合は、コピー機の搬送性が悪くなり、紙詰まり等が生じるおそれがある。
次に、本発明の実施例を説明する。
表1に示す種類及び割合で混合された原料パルプに、表2に示す種類、物性及び添加量(固形分)の澱粉、エピクロロヒドリン系樹脂、内添サイズ剤、及び凝集剤を添加して(添加場所も表2中に示す。)抄紙原料を得た。これを抄紙した後、両面に同じく表2に示す種類及び量の外添サイズ剤を塗布して実施例1〜22及び比較例1〜7の電子写真用転写紙を得た。また比較例8は市販品PPC用紙である。
表2中のアルファベットで表した各添加剤は以下の通りである。
(1)エピクロロヒドリン系樹脂
A:ポリアルキレンイミン変性物(i)(15.2Meq/g)
(エピクロロヒドリンとジメチルアミンとを反応させたポリカチオン物質に、日本触媒株式会社製ポリエチレンイミンP―200を反応させて得た、ポリアルキレンイミン変性物である。)
B:ポリアルキレンイミン変性物(ii)(18.6Meq/g)
(エピクロロヒドリンとジメチルアミンとを反応させたポリカチオン物質に、日本触媒株式会社製ポリエチレンイミンSP―1050を反応させて得た、ポリアルキレンイミン変性物である。)
C:ポリアミンエピクロロヒドリン樹脂(12.5Meq/g)
(エピクロロヒドリンとアミンとを反応させたポリカチオン物質である。)
D:ハイモ(株)製のNR−783(1.45Meq/g)
(2)内添サイズ剤
A:松谷化学工業社製のアミロファックス(中性ロジン)
B:ハリマ化成社製のハーサイズAK−720H(AKD)
(3)凝集剤
A:ハイモ(株)製のND−270(カチオン性、0.34〜0.51Meq/g)
B:ポリアルキレンイミン変性物(iii)(カチオン性、0.85Meq/g)
(ポリアルキレンイミン変性物(i)の反応において、ポリカチオン物質を調整し、荷電密度を変更した、ポリアルキレンイミン変性物である。)
C:ハイモ(株)製のFA−230(アニオン性、1.13〜1.38Meq/g)
(4)外添サイズ剤
A:荒川化学工業(株)製のサイズパインK−921
B:東邦化学工業(株)製のケイコートS−930
Figure 2010237610
Figure 2010237610
得られた各電子写真用転写紙について、物性(品質データ)を表3に示した。また、テストコピー前及びテストコピー後におけるカール及びねじれ、並びに走行性(ジャム、耳折れ、定着シワ、冊間重送)を評価し、結果を表4に示した。
(米坪)
JIS−P8124に基づいて測定した。
(紙厚)
JIS−P8118に基づいて測定した。
(繊維配向角)
超音波伝導式配向角計「SST−3000」(野村商事製)で測定した。
(剛度)
JIS−P8143に基づいて測定した。
(白色度)
JIS−P8148に基づいて測定した。
(電気抵抗)
23℃50%RHの条件下に24時間保存し、調湿された記録用紙を同環境下でJIS−K6911に準拠した方法で測定した。
(灰分)
JIS−P8251に基づいて測定した。
(ステキヒトサイズ度)
JIS−P8122に基づいて測定した。
(熱水抽出澱粉量)
Tappi T419om−85に基づいて測定した。
(荷電密度)
(1)測定試料を絶乾30g採取し、純水を使用して離解した。
離解条件 絶乾 :30g
純水量 :2000ml
離解濃度 :1.5%
離解時間 :10分
使用離解機:標準離解機(JIS P 8220に準拠)
(2)離解後試料を吸引ろ過(ADVANTEC社製 型番:5A 70mm)後、濾液を10ml採取した。
(3)(2)の試料の荷電密度をmutek社製の形式:PCD03にて測定した。
(カール適性)
<コピー前>
・カール度
得られた電子写真用転写紙をA4サイズに断裁し、25℃50%RHで24時間放置後、100mm×100mmの大きさに断裁し、フェルト面(巻き取りの表出面)を上にして4時間以上静置した後に評価した。カールの計測は、カール内側の面が上になるように各試料を平らな板の上に載せ、各試料の4隅の高さを測ることによって行った。表に示す値は、4隅の高さの平均値の絶対値である。
・ねじれ
得られた電子写真用転写紙をA4サイズに断裁し、図2に示すように、当該電子写真用転写紙Sを吊り下げ、距離L(絶対値)を計測し、ねじれ値とした。
<コピー後>
・カール度
リコー製複写機(imagio Neo1050Pro)を用い、A4横目でモノクロ印字を行い、J.TAPPI No15−2(2000)に準拠して測定したコピー後のカール度の値。
・ねじれ
リコー製複写機(imagio Neo1050Pro)を用い、A4横目でモノクロ印字を行い、10枚目の印字サンプルを用い、図2に示すように、当該電子写真用転写紙Sを吊り下げ、印字後10分後の距離L(絶対値)を計測し、ねじれ値とした。
(走行性データ)
リコー製複写機(imagio Neo1050Pro)を用い、A4横目でモノクロ印字を行い、1000枚印字した時のジャムトラブル、耳折れ、定着シワ、冊間重送について評価した。
○:ジャムトラブル、耳折れ、定着シワ、冊間重送が何れも無く、良好なもの。
△:ジャムトラブル、耳折れ、定着シワ、冊間重送の何れかが抑えられずやや不良なもの。
×:ジャムトラブル、耳折れ、定着シワ、冊間重送の何れか不良で、使用不能なもの。
Figure 2010237610
Figure 2010237610
実施例1〜22の電子写真用転写紙は、原料パルプとして古紙パルプのみを用いているにもかかわらず、コピー後のカール及びねじれが小さく、走行性にも優れ、電子写真用転写紙として好適であることがわかった。一方、比較例1〜7の電子写真用転写紙は、カール及びねじれが大きく、電子写真用転写紙として十分なものではなかった。
本発明は、電子写真用転写紙として適用可能である。
1 受入チェスト
2 配合チェスト
3 マシンチェスト
4 種箱
5 第1ファンポンプ
6 クリーナー
7 スクリーン
8 第2ファンポンプ
9 ヘッドボックス
10 炭酸カルシウム受入タンク
11 炭酸カルシウム添加タンク
12 ダブルシックナー
30 水和珪酸受入タンク
31 水和珪酸添加タンク
X0 澱粉
X1 エピクロロヒドリン系樹脂
X2 内添サイズ剤
X3 カチオン性凝集剤

Claims (5)

  1. 原料パルプが古紙パルプ100質量%の電子写真用転写紙であって、
    前記古紙パルプが、新聞古紙及び/又は雑誌古紙を主原料とし、
    前記古紙パルプの構成比が、針葉樹パルプ10質量%以上30質量%以下、広葉樹パルプ50質量%以上70質量%以下、機械パルプ10質量%以上30質量%以下であり、
    上記古紙パルプのふるい分け度C1が5%以上15%以下、C5が30%以上40%以下であることを特徴とする電子写真用転写紙。
  2. 澱粉及びエピクロロヒドリン系樹脂を含有する請求項1の電子写真用転写紙。
  3. 繊維配向角の絶対値が1度以上3度以下であり、横方向のクラークこわさが30cm/100以上40cm/100以下である請求項1又は請求項2に記載の電子写真用転写紙。
  4. 内添サイズ剤として中性ロジンサイズを含有し、外添サイズ剤が両面に塗布されている請求項1、請求項2又は請求項3に記載の電子写真用転写紙。
  5. ステキヒトサイズ度が10秒以上20秒以下であり、
    J.TAPPI No15−2(2000)に準拠して測定したコピー後のカール度が25以下であり、ねじれが30以下である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の電子写真用転写紙。
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