JP2013241719A - 新聞用紙 - Google Patents

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Abstract

【課題】古紙パルプの配合率が高く、低坪量であるにもかかわらず、嵩高で引張強度、白紙不透明度及び印刷不透明度が高く、印刷適性に優れ、高速でのオフセット印刷に好適に使用し得る新聞用紙を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、全パルプに対する古紙パルプの含有量が90質量%以上、坪量が35g/m以上43g/m以下の新聞用紙であって、JIS−P8220(1998)「パルプ−離解方法」に準拠して離解した離解パルプを、JIS−P8207(2009)「パルプ−ふるい分け試験方法」に準拠し、第1槽のふるい網の目開きを710μm、第2槽のふるい網の目開きを355μm、第3槽のふるい網の目開きを180μm、第4槽のふるい網の目開きを106μmとして測定したふるい分け度(%)において、第1槽残(C)の割合が20%以下、第2槽残(C)の割合が20%以上であることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、新聞用紙に関する。
資源の有効利用及び環境保護の観点から古紙の再資源化が進んでおり、特に新聞用紙は古紙パルプの配合率を100質量%に近づけることが要望されている。しかし、新聞用紙は幾度となくリサイクルされた新聞古紙パルプを主原料としているため、パルプ繊維が脆くなっており、古紙パルプの配合率が高くなる程、高速輪転印刷において求められる引張強度が低下するという不都合がある。
一方、近年、省資源化や輸送コスト低減の観点から新聞用紙の軽量化が促進され、坪量が43g/mの超軽量紙が新聞用紙国内生産の約85%を占め主流となっている。最近では省資源化のため更なる減斤化が要望されているが、古紙パルプを多用した場合、パルプ繊維同士の絡み合いに必要なフィブリルが少なくなるため十分な嵩を得ることができず、新聞用紙の減斤化に対応することができないという不都合を有する。
このような中、古紙パルプとしては分級処理により長繊維分のみを用い、篩い分け試験における42メッシュ残の成分の割合を50%未満とした原料パルプを用いた新聞用紙が提案されている(特開2005−9057号公報及び特開2005−42265号公報参照)。これらの新聞用紙によれば、長繊維分のみの古紙パルプを用いることで引張強度の低下を抑え、高速輪転機に耐え得る強度と印刷適性とを発揮することができ、また、42メッシュ残の成分の割合を50%未満とした原料パルプを用いることで白紙不透明度を高めることができるとされている。しかし、これらの新聞用紙は、古紙パルプとしては長繊維分のみを用いているとしている一方で、42メッシュ残の成分の割合が50%未満と上限を設けているためか、低坪量とした際に十分な嵩を得ることができない。また、短繊維分を除去するため、古紙パルプの有効活用の点などからも改善の余地がある。
特開2005−9057号公報 特開2005−42265号公報
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、全パルプ中の古紙パルプが90質量%以上と高配合で、低坪量であるにもかかわらず、嵩高でかつ引張強度、白紙不透明度及び印刷不透明度が高く、印刷適性に優れ、特に高速でのオフセット印刷に好適に使用し得る新聞用紙を提供することを目的とする。
本発明者らは、嵩高で、且つ引張強度に優れる紙を得るためには比較的長繊維の古紙パルプを一定量用いる必要があり、一方、白紙不透明度や引張強度を下げる要因は特に長い繊維成分の存在にあることを見出し、本発明に至った。
すなわち、上記課題を解決するための発明は、
全パルプに対する古紙パルプの含有量が90質量%以上、坪量が35g/m以上43g/m以下の新聞用紙であって、
JIS−P8220(1998)「パルプ−離解方法」に準拠して離解した離解パルプを、JIS−P8207(2009)「パルプ−ふるい分け試験方法」に準拠し、第1槽のふるい網の目開きを710μm、第2槽のふるい網の目開きを355μm、第3槽のふるい網の目開きを180μm、第4槽のふるい網の目開きを106μmとして測定したふるい分け度(%)において、第1槽残(C)の割合が20%以下、第2槽残(C)の割合が20%以上であることを特徴とする。
当該新聞用紙においては、特に長い繊維成分の含有量、具体的には、上記離解パルプのふるい分け試験における第1槽残(C)の割合を20%以下に下げている。当該新聞用紙によれば、このような繊維成分の含有量を下げることで高い白紙不透明度及び引張強度を備えることができる。なお、このように特に長い繊維成分の含有量を下げることで、白紙不透明度及び引張強度が高まる理由は定かではないが、例えば、このような特に長い繊維は基紙中に不均一に大きな空隙を発生させ、この空隙の存在が不透明度や強度を低下させていることなどが推測される。また、当該新聞用紙は、離解パルプの第2槽残(C)の割合を20%以上とすることで、嵩及び引張強度を高めることができる。さらに当該新聞用紙は、特段の分級処理を経ることなく古紙パルプを用いることができるため、生産性やリサイクル性にも優れる。
上記ふるい分け度(%)における第4槽通過分(C)の割合が20%以上であることが好ましい。このように短繊維成分の含有量を高めることにより、この短繊維が基紙中の空隙を埋め、白紙不透明度をより高めることができる。
上記離解パルプにおいて機械パルプの呈色を示すパルプの含有量が40質量%以上70質量%以下であることが好ましい。このように機械パルプ由来の古紙パルプ含有量を高めることで、嵩や引張強度等をより高めることができる。
当該新聞用紙においては紙厚が65μm以上70μm以下、引張強度が2.1kN/m以上3.1kN/m以下、白紙不透明度が92%以上96%以下であることが好ましい。当該新聞用紙は、このように低坪量かつ古紙パルプ含有量が高いにもかかわらず嵩高で、引張強度及び白紙不透明度に優れる。
以上説明したように、本発明の新聞用紙は、全パルプ中の古紙パルプが90質量%以上と高配合であり、低坪量であるにもかかわらず、パルプの分級処理をすることなく嵩高でかつ引張強度、白紙不透明度、印刷不透明度及び印刷適性に優れ、特に高速でのオフセット印刷に好適に使用し得るものである。
以下、本発明の新聞用紙の実施の形態を詳説する。
<新聞用紙>
本発明の新聞用紙は、通常、パルプ及び填料等を含むパルプスラリーを抄紙して得られる。
(パルプ)
本発明では、上記パルプの主原料として古紙パルプを用いる。当該新聞用紙における全パルプ中の古紙パルプの含有量としては、90質量%以上であり、95質量%以上が好ましく、100質量%がさらに好ましい。全パルプ中の古紙パルプの含有量を上記範囲とすることによりインキ着肉性等の印刷適性を向上することができると共に、資源の有効利用等のリサイクル性を向上することができる。
古紙パルプとしては、例えば茶古紙、クラフト封筒古紙、雑誌古紙、新聞古紙、チラシ古紙、オフィス古紙、段ボール古紙、上白古紙、ケント古紙、模造古紙、地券古紙等から製造される離解古紙パルプ、離解・脱墨古紙パルプ(DIP)又は離解・脱墨・漂白古紙パルプ等が挙げられる。
これらの古紙パルプの中でも、新聞古紙由来の新聞古紙パルプ、雑誌古紙由来の雑誌古紙パルプが好ましく、新聞古紙パルプ及び雑誌古紙パルプを混合して用いることがより好ましい。新聞及び雑誌は古紙の回収率が高く、新聞用紙及び雑誌用紙を構成する原料パルプ種や填料類が各製紙メーカーで近似していることから、新聞古紙パルプ及び雑誌古紙パルプは成分が安定している。特に、新聞古紙パルプの原料となる新聞用紙には一般的に古紙パルプが既に50%以上配合されており、バージンの機械パルプやクラフトパルプの含有量が少なく、また、バージンの各種パルプが用いられていても、一度抄紙され、古紙処理により古紙パルプ化されているため、新聞古紙パルプはその性状が均質化されている。また、雑誌古紙には疲弊の少ない機械パルプが多く含まれている上、比較的灰分の含有量が少ないため、嵩や引張強度に優れる新聞用紙を得ることができる。
バージンパルプとしては、例えば広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)、針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)、広葉樹半晒クラフトパルプ(LSBKP)、針葉樹半晒クラフトパルプ(NSBKP)、広葉樹亜硫酸パルプ、針葉樹亜硫酸パルプ等の化学パルプ;ストーングランドパルプ(SGP)、加圧ストーングランドパルプ(TGP)、ケミグランドパルプ(CGP)、砕木パルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)等の機械パルプ(MP);ケナフ、麻、葦等の非木材繊維から化学的又は機械的に製造されたパルプ等が挙げられる。
これらのバージンパルプの中でも、古紙パルプを用いる場合の嵩の低下を補完する効果の高い機械パルプ(MP)が好ましく、古紙パルプの調整に好適なサーモメカニカルパルプ(TMP)が特に好ましい。
また、上記古紙パルプ中の雑誌古紙パルプの含有量としては10質量%以上40質量%以下が好ましく、15質量%以上30質量%以下がより好ましい。上記古紙パルプ中の雑誌古紙パルプの含有量が上記上限を超えると、雑誌古紙は印刷面が多いため脱墨効率が低下することにより当該新聞用紙の白色度及び引張強度が低下するおそれがある。一方、上記古紙パルプ中の雑誌古紙パルプの含有量が上記下限未満の場合、当該新聞用紙の嵩や引張強度が低下するおそれがある。さらに、残りの古紙パルプが全て新聞古紙パルプであることが最も好ましい。なお、上記雑誌古紙とは、(公益財団法人)古紙再生促進センター「古紙の統計分類と主要銘柄」に準拠する家庭、会社及び官公庁等より発生する雑誌等の返本や残本を意味し、具体的には、例えば週刊誌、月刊誌、単行本、電話帳等が挙げられる。近年の古紙の集荷精度の向上により必要とする条件の古紙を選択的に集荷することが可能になっている。特に上記週刊誌、月刊誌、単行本、電話帳等の雑誌古紙の中でも当該古紙をJIS−P8220(1998)「パルプ−離解方法」に準拠して離解した離解パルプのうち、JIS−P8120(1998)「紙、板紙及びパルプ−繊維組成試験方法」に準拠して測定した機械パルプの呈色を示すパルプの含有量が85質量%以上と高く、また、当該古紙をJIS−P8220(1998)「パルプ−離解方法」に準拠して離解した離解パルプをNo.2濾紙(アドバンテック東洋株式会社製)で濾過し乾燥させたパルプをJIS−P8251(2003)に記載の「紙、板紙及びパルプ−灰分試験方法−525℃燃焼法」に準拠して測定した灰分率が18%以下と低い上記雑誌古紙を選択的に集荷することが可能になっており、これらを用いることが特に好ましい。
当該新聞用紙は、JIS−P8220(1998)「パルプ−離解方法」に準拠して当該新聞用紙を離解した離解パルプのJIS−P8207(2009)「パルプ−ふるい分け試験方法」に準拠し、第1槽のふるい網の目開きを710μm、第2槽のふるい網の目開きを355μm、第3槽のふるい網の目開きを180μm、第4槽のふるい網の目開きを106μmの場合におけるふるい分け度(%)の第1槽残(C)の割合が20%以下であり、且つ第2槽残(C)の割合が20%以上であり、なかでも第1槽残(C)の割合が5%以上20%以下、且つ第2槽残(C)の割合が25%以上50%以下であることが好ましく、第1槽残(C)の割合が7%以上15%以下、第2槽残(C)の割合が30%以上45%以下であることがより好ましい。上記離解パルプのふるい分け試験における第1槽残(C)の割合が上記上限を超えると新聞用紙に大きな空隙が発生しやすくなり当該新聞用紙の白紙不透明度及び引張強度が低下するおそれがある。また、上記離解パルプのふるい分け試験における第2槽残(C)の割合が上記下限未満の場合、当該新聞用紙の嵩及び引張強度が低下するおそれがある。上記ふるい分け度は、例えば古紙パルプの原料である古紙の種類、配合量やパルプの叩解の程度等により調節することができる。特に、上記古紙パルプ中の雑誌古紙パルプの含有量を10質量%以上40質量%以下とすることにより、上記ふるい分け度の数値範囲とすることができ、好ましい。
当該新聞用紙は、上記離解パルプにおけるふるい分け度(%)の第4槽通過分(C)の割合が20%以上30%以下であることが好ましく、22%以上28%以下であることがより好ましく、24%以上26%以下であることがさらに好ましい。上記離解パルプにおけるふるい分け度(%)の第4槽通過分(C)の割合が上記下限未満の場合、短繊維パルプの含有量が低下することにより当該新聞用紙の白紙不透明度が低下するおそれがある。上記ふるい分け度は、例えば古紙パルプの原料である古紙の種類、配合量やパルプの叩解の程度等により調節することができる。特に、上記古紙パルプ中の雑誌古紙パルプの含有量を10質量%以上40質量%以下とすることにより上記ふるい分け度とすることができ、好ましい。
また、当該新聞用紙のパルプに含まれる機械パルプの割合としては、当該新聞用紙をJIS−P8220(1998)「パルプ−離解方法」に準拠して離解した離解パルプのうち、JIS−P8120(1998)「紙、板紙及びパルプ−繊維組成試験方法」に準拠して測定した機械パルプの呈色を示すパルプの含有量が40質量%以上70質量%以下であることが好ましく、43質量%以上60質量%以下であることがより好ましい。機械パルプの呈色を示すパルプの含有量が上記上限を超えると、当該新聞用紙の表面強度が低下するおそれがある。一方、機械パルプの呈色を示すパルプの含有量が上記下限未満の場合は、当該新聞用紙の嵩や引張強度が低下するおそれがある。上記機械パルプの割合は、例えば古紙パルプの原料である古紙の種類、配合量や機械パルプの配合量で調節することができる。特に、上記古紙パルプ中の雑誌古紙パルプの含有量を10質量%以上40質量%以下とすることにより上記機械パルプ配合量とすることができ、好ましい。
当該新聞用紙をJIS−P8220(1998)「パルプ−離解方法」に準拠して離解した離解パルプのJIS−P8121(1995)「パルプのろ水度試験方法」に準拠して測定したフリーネスとしては、200ml以上370ml以下が好ましく、230ml以上350ml以下がより好ましく、250ml以上330ml以下がさらに好ましい。上記フリーネスが上記上限を超えると、繊維同士の絡み合いが少なくなり、当該新聞用紙の引張強度が低下するおそれがある。一方、上記フリーネスが上記下限未満では、嵩の低下により手肉感が低下するおそれがある。なお、上記フリーネスは、例えば原料パルプの種類や配合量、パルプの叩解の程度等を変更することにより調節することができる。
(填料)
上記パルプスラリーには填料を配合することができる。填料としては特に限定されず、例えば二酸化チタン、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、水和ケイ素、ホワイトカーボン、再生粒子等を挙げることができる。
これらの中でも、パルプスラリーに配合する填料としてはホワイトカーボン及び再生粒子が好ましく、新聞脱墨フロス由来の再生粒子がより好ましい。このように填料としてホワイトカーボンや新聞脱墨フロス由来の再生粒子を用いることで、古紙パルプの含有率が高く白色度が低下しやすい当該新聞用紙の白色度及び印刷不透明度を向上することができる。
特に、JIS−P8220(1998)「パルプ−離解方法」に準拠して離解した離解パルプをJIS−P8207(2009)「パルプ−ふるい分け試験方法」に準拠し、第1槽のふるい網の目開きを710μm、第2槽のふるい網の目開きを355μm、第3槽のふるい網の目開きを180μm、第4槽のふるい網の目開きを106μmとして測定したふるい分け度(%)において、第1槽残(C)の割合が20%以下、第2槽残(C)の割合が20%以上とすることに加え、填料として新聞脱墨フロス由来の再生粒子を用いることで、全パルプ中の古紙パルプが90質量%以上と高配合で、低坪量であるにもかかわらず、さらに嵩高でかつ引張強度及び白紙不透明度が高く、印刷適性に優れた新聞用紙が得られ好ましい。以下、新聞脱墨フロス由来の再生粒子について説明する。
[新聞脱墨フロス由来の再生粒子]
新聞脱墨フロス由来の再生粒子とは、新聞脱墨フロスを主原料とする製紙スラッジを脱水及び熱処理等することで得られるものである。このような新聞脱墨フロス由来の再生粒子は粒子径がホワイトカーボン等と比べて比較的小さいため、填料として内添した場合、繊維間に留まりやすく新聞用紙の不透明度を向上することができる。また、このように粒子径が小さく不定形である再生粒子は、繰り返しの使用により脆くなった古紙パルプ繊維に対して絡み合いやすく歩留まりが高い。また、このように粒子径が小さく不定形である再生粒子は、パルプ繊維同士の絡み合いを阻害し難いため、引張強度の低下を抑制することができる。また、新聞脱墨フロス由来の再生粒子は多孔質であるため填料として用いることにより嵩高の新聞用紙となるため好ましい。
上記新聞脱墨フロス由来の再生粒子は、メタカオリン及び含水珪酸マグネシウムを主成分とする粒子を核として、この核の表面の少なくとも一部が炭酸カルシウムで被覆されていることが好ましい。
新聞脱墨フロス由来の再生粒子における炭酸カルシウムの含有量は、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましい。新聞脱墨フロス由来の再生粒子における炭酸カルシウムの含有量が上記数値未満の場合、新聞脱墨フロス由来の再生粒子の吸油量及び白色度が低下することにより、当該新聞用紙の不透明度及び白色度が低下するおそれがある。なお、新聞脱墨フロス由来の再生粒子における炭酸カルシウムの含有量は原料となる新聞脱墨フロスの含有量や後述する新聞脱墨フロス由来の再生粒子の製造方法における二酸化炭素吹き込み工程の条件によって調節することができる。
新聞脱墨フロス由来の再生粒子における炭酸カルシウムの含有量は、例えば堀場製作所製のX線マイクロアナライザー(型番:E−MAX・S−2150)を用いて、15KVの加速電圧にて再生粒子に含まれる各種元素の酸化物換算質量割合を求め、この結果と、炭酸カルシウム、カオリン、タルク及び二酸化珪素の分子量とに基づいて比例計算を行うことで算出することができる。
新聞脱墨フロス由来の再生粒子の白色度は、80%以上が好ましく、84%以上がより好ましく、86%以上がさらに好ましい。新聞脱墨フロス由来の再生粒子の白色度が上記数値未満の場合、当該新聞用紙の白色度が低下するおそれがある。
新聞脱墨フロス由来の再生粒子の吸油量は60mL/100g以上150mL/100g以下が好ましく、70mL/100g以上130mL/100g以下がより好ましい。新聞脱墨フロス由来の再生粒子の吸油量が上記上限を超えると、インクが沈み込みいわゆる発色性が低下するおそれがある。一方、新聞脱墨フロス由来の再生粒子の吸油量が上記下限未満の場合、インクのビヒクル分や有機溶剤等を十分に吸収することができず、インクの乾燥性やニジミ防止効果が低下するおそれがある。
新聞脱墨フロス由来の再生粒子の平均粒子径(体積平均粒子径)は2μm以上15μm以下が好ましく、3μm以上10μm以下がより好ましい。新聞脱墨フロス由来の再生粒子の平均粒子径が上記上限を超えると、パルプ繊維間の結合強度が低下し紙力が低下するおそれがあると共に、抄紙後に脱落しやすく紙粉増加の原因となるおそれがある。一方、上記下限未満の場合は、炭酸カルシウムによる被覆の効果が十分に発現できないおそれがある。
新聞脱墨フロス由来の再生粒子の摩耗度は、150mg以下が好ましく、125mg以下がより好ましく、100mg以下がさらに好ましい。新聞脱墨フロス由来の再生粒子の摩耗度が上記数値を超えると、操業性が低下するおそれがある。
[新聞脱墨フロス由来の再生粒子の製造方法]
(原料)
新聞脱墨フロス由来の再生粒子の原料としては製紙スラッジが用いられ、この製紙スラッジの主原料は新聞脱墨フロスである。新聞脱墨フロスとは、新聞古紙由来のパルプを脱墨処理する際に分離されるフロスであり、新聞古紙由来以外のパルプを脱墨処理する際に分離されるフロスは含まない。近年では、新聞用紙を製造する際の抄紙が中性抄紙化していること等から、新聞脱墨フロスは炭酸カルシウムが相対的に多く、カオリンが相対的に少なくなる傾向にあり、特に炭酸カルシウムの比率が70質量%を超え、カオリンの比率が30質量%未満で推移するようになっている。したがって、製紙スラッジの主原料を新聞脱墨フロスとすれば、酸化カルシウム及びカオリンから生成されるセメント状物質の量が減り、得られる再生粒子の低白色度化の問題や硬質化、スラリー化した際に増粘・固化する問題が改善される。また、新聞脱墨パルプの製造においては、安定した品質の新聞脱墨パルプを連続的に得るために、選別を行った一定品質の新聞が原料とされる傾向にあり新聞脱墨フロスの成分も安定する傾向にある。したがって、新聞脱墨フロスを主原料とすれば、吸油量及び白色度の高い再生粒子を安定的に得ることができる。その結果、この新聞脱墨フロス由来の再生粒子を填料として内添する当該新聞用紙の品質を安定させることができると同時に当該新聞用紙の不透明度及び白色度を向上することができる。また、上記新聞脱墨フロスは灰分率が低くインキ由来の油脂やカーボンブラックを含有するため、自燃する程の発熱量を有する。そのため後述する熱処理工程での燃料を減らすことができる。
製紙スラッジ中の無機粒子における炭酸カルシウムの含有量は、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましい。製紙スラッジ中の無機粒子における炭酸カルシウムの含有量が上記数値未満の場合、後述の二酸化炭素吹き込み工程での炭酸カルシウムの析出(被覆)が不十分になり、得られる再生粒子の白色度及び吸油量が低下することによって当該新聞用紙の白色度及び不透明度が低下するおそれがある。
製紙スラッジ中の無機粒子における炭酸カルシウムの含有量は、製紙スラッジを525℃で燃焼して燃焼物を作製し、例えば堀場製作所製のX線マイクロアナライザー(型番:E−MAX・S−2150)を用いて、15KVの加速電圧にて燃焼物に含まれる各種元素の酸化物換算質量割合を求め、この結果と、炭酸カルシウム、カオリン、タルク及び二酸化ケイ素の分子量とに基づいて比例計算を行うことで算出することができる。
製紙スラッジ全体における新聞脱墨フロスの含有量は、固形分換算で50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましい。製紙スラッジ全体における新聞脱墨フロスの含有量が上記数値未満の場合、製紙スラッジに含まれる酸化カルシウムの含有量が減ることにより、得られる再生粒子の白色度及び吸油量が低下するおそれがある。また、新聞古紙のリサイクル率が低下してしまう。
新聞脱墨フロス中の無機粒子全体におけるカオリンの含有量が20質量%未満であり、他の無機粒子の比率が80質量%以上であることが好ましく、新聞脱墨フロス中の無機粒子全体におけるカオリンの含有量が20質量%未満であり、且つ炭酸カルシウムの含有量が80質量%以上であることがより好ましい。新聞脱墨フロス中のカオリン及び炭酸カルシウムの含有量を上記範囲とすることにより、得られる再生粒子の硬質化を防ぎ、白色度に優れる再生粒子を得ることができる。なお、無機粒子のうちタルクはカオリンと同様に珪酸塩鉱物・粘土鉱物に分類されるが、後述する熱処理工程の燃焼温度では分解せず再生粒子の硬質化には影響しないため、タルクの含有量はカオリン以外の無機粒子の含有量として扱うものとする。また、新聞脱墨フロス中のカオリン及び炭酸カルシウムの含有量を上記範囲とするには、カオリンが多く含有される塗工紙を原料となる新聞古紙から選別除去して調整すればよい。
製紙スラッジには、上述の新聞脱墨フロス以外にも本発明の効果を損なわない範囲において、その他の原料を含有することができる。その他の原料としては、例えば工場排水(洗浄水、白水、余剰排水汚泥等)や製紙原料調製工程において排出されるスラッジ、雑誌脱墨フロス等が挙げられる。ただし、上記雑誌脱墨フロスは原料(古紙)の主体が塗工紙であり、カオリンが多く混入しているため、雑誌脱墨フロスを製紙スラッジの原料として使用すると、セメント状物質が生成され易くなる。したがって、雑誌脱墨フロスは製紙スラッジの原料として使用しない方が好ましい。なお、雑誌脱墨フロスを使用する場合は上記炭酸カルシウムの比率やカオリンの比率に特に留意を要する。具体的には、例えば炭酸カルシウムを使用する中性抄紙工程等から発生する製紙スラッジを配合して、又は炭酸カルシウム貯槽の洗浄水やスクリーン粕等の製紙スラッジを配合して、炭酸カルシウムの比率を相対的に上昇させるとよい。
(脱水工程)
脱水工程は、製紙スラッジの水分を所定割合まで除去する工程である。脱水は公知の脱水機等を用いればよい。脱水後の製紙スラッジの水分率は30質量%以上60質量%以下が好ましく、30質量%以上50質量%以下がより好ましく、35質量%以上45質量%以下がさらに好ましい。脱水後の製紙スラッジの水分率が上記上限を超えると後述する熱処理工程で燃焼ムラが生じやすくなるとともに、熱処理工程で必要となる燃料が増加し、コスト高となるおそれがある。一方、脱水後の製紙スラッジの水分率が上記下限未満の場合、脱水後のフロックが固くなり再生粒子の粒径にバラツキが生じやすくなるおそれがある。
脱水工程は、多段階に行うことが好ましい。多段階の脱水工程としては、例えばスクリーンを用いて製紙スラッジの水分率を65質量%以上90質量%以下とした後、スクリュープレスを用いて目的とする上記水分率まで脱水する方法が挙げられる。このように脱水工程を多段階とすることにより、製紙スラッジに含まれる填料等の無機粒子の流失を抑制し、脱水後のフロックが固くなることを防止することができる。
製紙スラッジの上記水分率は、定温乾燥機を用いて、試料を105℃で6時間以上保持し質量の変動が認められなくなった時点の質量を乾燥後質量とし、下記式にて算出した値である。
水分率(%)=[(乾燥前質量−乾燥後質量)÷乾燥前質量]×100
(破砕工程)
脱水後の製紙スラッジは、熱処理工程において熱処理するに先立って、粉砕機(又は解砕機)により破砕することができる。この破砕工程後の製紙スラッジの平均粒子径としては2.5mm以上12.5mm以下が好ましく、2.5mm以上7.0mm以下がより好ましく、2.5mm以上4.0mm以下がさらに好ましい。製紙スラッジの平均粒子径が上記上限を超えると、製紙スラッジを表面部から芯部まで均一に熱処理するのが困難になる。一方、製紙スラッジの平均粒子径が上記下限未満の場合、後段の熱処理工程において過剰な熱処理が行われ易くなる。
なお、上記製紙スラッジの平均粒子径は、目穴の異なる篩で分級して得られた各試料の質量を測定し、この測定値の合計が全体の50質量%に相当する段階における篩の目穴の大きさであり、JIS−Z8801−2:2000に基づき、金属製の板ふるいを用いて測定した値である。
(熱処理工程)
製紙スラッジは、次いで熱処理工程に付される。この熱処理工程は一つの装置で連続的に行うこともできるが、乾燥工程と燃焼工程とに分けて行うことが好ましい。以下、乾燥工程と燃焼工程とに分けて詳説する。
(乾燥工程)
乾燥工程で用いる乾燥装置としては公知の装置を用いれば良く、例えばストーカー炉、流動床炉、サイクロン炉、キルン炉、気流乾燥装置等が挙げられる。
乾燥温度としては200℃以上600℃以下が好ましく、200℃以上450℃以下がより好ましく、200℃以上300℃以下がさらに好ましい。乾燥温度が上記上限を超えると過燃焼が生じ、意図しない有機物等の熱分解が生じるおそれがある。一方、乾燥温度が上記下限未満の場合、製紙スラッジの乾燥が不十分となり製紙スラッジに含まれる炭酸カルシウムの酸化カルシウムへの分解が低下するおそれがある。
乾燥後の製紙スラッジの水分率は5質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましく、1質量%以下がさらに好ましい。乾燥後の製紙スラッジの水分率が上記数値を超えると後述する燃焼工程で燃焼ムラが生じやすくなり、製紙スラッジに含まれる炭酸カルシウムの酸化カルシウムへの分解が低下するおそれがある。
このように予め乾燥工程を設けておくことにより、製紙スラッジに含まれる有機分の燃焼が緩やかに行われ、製紙スラッジの微粉化が抑制されることにより得られる再生粒子の粒度が揃いやすくなる。その結果、後述する燃焼工程での製紙スラッジに含まれる炭酸カルシウムの酸化カルシウムへの分解を均一に促進することができ、また、得られる再生粒子をスラリー化した際の増粘を抑制することができる。
(燃焼工程)
燃焼工程で用いる燃焼装置としては公知の装置を用いれば良く、例えばストーカー炉、流動床炉、サイクロン炉、キルン炉等が挙げられる。これらのなかでも横型回転式キルン炉が好ましく、熱効率の高い内熱式キルン炉がより好ましい。
燃焼温度としては、750℃以上900℃以下が好ましく、800℃以上900℃以下がより好ましく、800℃以上850℃以下がさらに好ましい。燃焼温度が上記上限を超えると燃料が過剰に必要となり不経済となるおそれがある。一方、燃焼温度が上記下限未満の場合、製紙スラッジの燃焼が不十分となり製紙スラッジに含まれる炭酸カルシウムの酸化カルシウムへの分解が低下し、後述する二酸化炭素吹き込み工程で炭酸カルシウムの析出が低下するおそれがある。
燃焼工程の際の酸素濃度としては、3容量%以上18容量%以下が好ましく、4容量%以上15容量%以下がより好ましく、5容量%以上12容量%以下がさらに好ましい。燃焼工程の際の酸素濃度が上記上限を超えると、必要以上に酸素を供給することとなり不経済となるおそれがある。一方、燃焼工程の際の酸素濃度が上記下限未満の場合、製紙スラッジの燃焼が不十分となり製紙スラッジに含まれる炭酸カルシウムの酸化カルシウムへの分解が低下するおそれがある。
燃焼工程において製紙スラッジに含有される炭酸カルシウムの酸化カルシウムへの分解率は80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましい。製紙スラッジに含有される炭酸カルシウムの酸化カルシウムへの分解率が上記数値未満の場合、後述する二酸化炭素吹き込み工程で炭酸カルシウムによる再生粒子表面の被覆が低下するおそれがある。製紙スラッジの主原料となる新聞脱墨フロスはカオリンの含有量が少ないため、燃焼してもカオリン由来のセメント状物質の生成が少ない。そのため、このように炭酸カルシウムの分解を可及的に進めることができる。燃焼工程において炭酸カルシウムを酸化カルシウムへ分解しておくことにより、後述する二酸化炭素吹き込み工程での再生粒子表面の炭酸カルシウムでの被覆を促進することができる。
炭酸カルシウムの酸化カルシウムへの分解率は、エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製の測定器(型式TG/DTA6200)を用い、昇温速度:20℃/分、供給ガス:空気(酸素濃度約5容量%)、供給ガス流量:48ml/分の測定条件にて測定した値である。
燃焼工程後の製紙スラッジ(以下、「燃焼物」ともいう)は粉砕して粒子径を揃えることが好ましい。燃焼物を粉砕して粒子径を揃えることにより、後述するスラリー化工程でのスラリー化を均一に行うことができる。粉砕後の燃焼物の平均粒子径としては1μm以上50μm以下が好ましく、1.5μm以上30μm以下がより好ましく、2μm以上20μm以下がさらに好ましい。粉砕後の燃焼物の平均粒子径が上記上限を超えると、後述するスラリー化工程でのスラリー化が不均一となりスラリーの粘度調整が困難となるおそれがある。一方、燃焼物の平均粒子径が上記下限未満の場合、粒子が小さすぎて取り扱いが困難となるおそれがある。
粉砕装置としては、公知の粉砕装置を用いればよく、例えばジェットミル、高速回転式ミル等の乾式粉砕機:アトライター、サンドグラインダー、ボールミル等の湿式粉砕機等が挙げられる。
燃焼物の平均粒子径は、レーザー回折方式の粒度分布計(型番:マイクロトラックMT−3000II、日機装製)を用いて測定した体積平均粒子径(D50)である。
(スラリー化工程)
燃焼物は、次いでスラリー化工程に付される。スラリー化工程とは、燃焼物を水と混合してスラリー化する工程である。このスラリー化により燃焼物中の酸化カルシウムが水に溶出し水酸化カルシウム水溶液となる。なお、このスラリー化を行う前の燃焼物は、好適には凝集体である。
スラリーに含有される燃焼物の濃度は固形分換算で2質量%以上25質量%以下が好ましく、3質量%以上20質量%以下がより好ましく、5質量%以上15質量%以下がより好ましい。スラリーに含有される燃焼物の濃度が上記上限を超えるとスラリーの粘度が高くなり過ぎ、スラリーが固化したり、後述する二酸化炭素吹き込み工程の効率が低下するおそれがある。一方、スラリーに含有される燃焼物の濃度が上記下限未満の場合、後述する二酸化炭素吹き込み工程での炭酸カルシウムの析出が低下するとともに、二酸化炭素吹き込み工程後の脱水効率が低下し、生産性が低下するおそれがある。
(二酸化炭素吹き込み工程)
二酸化炭素吹き込み工程とは、燃焼物のスラリーに二酸化炭素を吹き込み、燃焼物(再生粒子)表面に炭酸カルシウムを析出させる工程である。以下、このメカニズムについて説明する。
炭酸カルシウム及びカオリンを高温燃焼すると、炭酸カルシウムが酸化カルシウムに分解されるとともに、カオリンが酸化カルシウムや珪酸と反応し、種々の水和硬質物質が生成される。しかるに、新聞脱墨フロスを利用して炭酸カルシウムの比率を相対的に高め、カオリンの比率を相対的に下げると、水和硬質物質の由来とならない(カオリンと反応しない)酸化カルシウムの割合が増え、この酸化カルシウム(CaO)が燃焼物のスラリー化によって水酸化カルシウム(Ca(OH))となる。したがって、燃焼物のスラリーは、下記式(1)のように強アルカリ性を示すOHを含むことになる。
Ca(OH) → Ca2++2OH ・・・(1)
このスラリーに二酸化炭素(CO)を吹き込むと、下記式(2)のように炭酸カルシウム(CaCO)が析出されるとともに、pHの低下が生じる。
Ca2++2OH+CO → CaCO+HO ・・・(2)
このようにしてメタカオリン及び含水珪酸マグネシウムを主成分とする製紙スラッジの表面が炭酸カルシウムによって被覆され、得られる再生粒子の白色度を向上することができる。
吹き込む二酸化炭素の濃度は、5容量%以上30容量%以下が好ましく、10容量%以上30容量%以下がより好ましく、20容量%以上30容量%以下がさらに好ましい。吹き込む二酸化炭素の濃度が上記上限を超えると、柱状や針状の結晶構造を有する炭酸カルシウムが析出することにより粒子径が過大となるおそれがある。一方、吹き込む二酸化炭素の濃度が上記下限未満の場合、炭酸カルシウムが十分に析出されず十分な白色度を有する再生粒子が得られないおそれがある。
上記工程により、新聞脱墨フロス由来の再生粒子が得られる。この新聞脱墨フロス由来の再生粒子は、メタカオリン及び含水珪酸マグネシウムを主成分とする粒子を核とし、この核の表面の少なくとも一部が炭酸カルシウムで被覆されているため、炭酸カルシウムやカオリン等が単に凝集した従来の再生粒子とは異なり、優れた白色度を有する。また、再生粒子の表面を被覆する炭酸カルシウムは吸油性の高い軽質炭酸カルシウムであるため高い吸油量を有する。また、この新聞脱墨フロス由来の再生粒子は、ナイフエッジが少なくワイヤー磨耗性に優れる。
当該新聞用紙における上記新聞脱墨フロス由来の再生粒子の添加量としては、原料パルプに対して固形分換算で1質量%以上9質量%以下が好ましく、2質量%以上7質量%以下がより好ましい。上記新聞脱墨フロス由来の再生粒子の添加量が上記上限を超えると上記再生粒子が過剰となり、製造工程又は印刷工程において脱落する填料が増え、紙粉が発生するおそれや強度が低下するおそれがある。一方、上記新聞脱墨フロス由来の再生粒子の添加量が上記下限未満の場合、上記再生粒子が不足し、充分な不透明度及び吸油量が得られないおそれや白色度の向上が得られないおそれがある。
填料の体積平均粒子径としては、0.1μm以上20μm以下が好ましく、1μm以上15μm以下がさらに好ましい。填料の体積平均粒子径が上記上限を超えるとパルプ繊維間の絡み合いが弱まり、紙力が低下するおそれがある。一方、填料の体積平均粒子径が上記下限未満の場合歩留りが低下して灰分が減少することにより当該新聞用紙の印刷不透明度が低下するおそれがある。また、パルプ繊維の空隙を十分に埋めきれず、表面強度が低下するおそれがある。
填料の含有量としては、原料パルプに対して固形分換算で1質量%以上9質量%以下が好ましく、3質量%以上7質量%以下がより好ましい。填料の含有量が上記上限を超えると填料が過剰となり、紙粉の発生が増加したり、当該新聞用紙の表面強度が低下するおそれがある。一方、填料の含有量が上記下限未満の場合、当該新聞用紙の白色度及び不透明度が低下するおそれがある。
<その他の添加剤>
上記パルプスラリーには、上記パルプ及び填料の他に、例えば澱粉類、ポリアクリルアミド、エピクロルヒドリン等の紙力増強剤、ロジン、アルキルケテンダイマー、ASA(アルケニル無水コハク酸)、中性ロジン等の内添サイズ剤、硫酸バンド、ポリエチレンイミン等の凝結剤、ポリアクリルアミドやその共重合体等の凝集剤などを添加することができる。
<品質等>
当該新聞用紙の坪量は35g/m以上43g/m以下であり、37g/m以上42g/m以下が好ましい。当該新聞用紙の坪量が上記上限を超えると、近年の軽量化、省資源に逆行することとなる。一方、当該新聞用紙の坪量が上記下限未満の場合、十分な不透明度及び強度が得られず、高速オフセット輪転印刷機における印刷が困難となるおそれがある。
当該新聞用紙の紙厚は65μm以上70μm以下が好ましく、66μm以上69μm以下がより好ましい。紙厚が上記上限を超えると、軽量化の要請に反するおそれがある。一方、紙厚が上記下限未満の場合、引張強度が低下するおそれがある。
当該新聞用紙の引張強度は2.1kN/m以上3.1kN/m以下が好ましく、2.3kN/m以上2.7kN/m以下がより好ましい。引張強度が上記上限を超えると、紙厚が高まり、軽量化の要請に反するおそれがある。一方、引張強度が上記下限未満の場合、断紙等の発生が増加し、オフセット印刷等の印刷条件に対応できなくなるおそれがある。
当該新聞用紙の白紙不透明度は92%以上96%以下が好ましく、94%以上96%以下がより好ましい。白紙不透明度が上記上限を超えると、必要となる填料等が増え、経済性が低下するおそれがある。一方、白紙不透明度が上記数値未満の場合、裏抜けが生じやすくなるおそれがある。
当該新聞用紙の密度は0.60g/cm以上0.70g/cm以下が好ましく、0.61g/cm以上0.68g/cm以下がより好ましい。密度が上記上限を超えると、剛度が低下することにより作業性が低下するおそれがある。一方、密度が上記数値未満の場合、裏抜けが生じやすくなるおそれがある。
当該新聞用紙の灰分は、5%以上15%以下が好ましく、7%以上13%以下がより好ましい。灰分が上記上限を超えると表面強度が低下するおそれがある。一方、灰分が上記下限未満の場合、十分な引張強度が得られないおそれがある。
当該新聞用紙の印刷不透明度は91.0%以上95.0%以下が好ましく、91.5%以上94.0%以下がより好ましい。印刷不透明度が上記下限未満の場合、印刷時の裏抜けが発生するおそれがある。
当該新聞用紙の白色度は53%以上が好ましく、54%以上がより好ましい。白色度が上記下限未満の場合、印刷された文字等が識別しにくくなり購読者の眼精疲労をきたすおそれがある。
<新聞用紙の製造方法>
(脱墨処理)
本発明の新聞用紙は、全パルプ中の古紙パルプが90質量%以上であり、この古紙パルプには雑誌古紙パルプが多く含まれている。この雑誌古紙パルプの由来となる週刊誌や月刊誌は印刷面が多いため古紙パルプ製造工程の脱墨処理における脱墨性が低下しやすい。そのため、当該新聞用紙の製造方法では、フローテーション法で古紙の脱墨処理を行うことが好ましい。フローテーション法とは、パルパー等でアルカリ等と共に脱墨剤を作用させて古紙を離解し、パルプ繊維からインキを剥離させてパルプスラリーを製造し、このパルプスラリー中に空気を吹き込んで泡を形成し、この泡に剥離したインキを付着させて、泡とともにインキを除去する方法である。
脱墨処理で用いられる脱墨剤としては、特に限定されず公知の脱墨剤を用いることができ、このような脱墨剤としては、例えば脂肪酸系脱墨剤や高級アルコール系脱墨剤が挙げられる。
脂肪酸系脱墨剤としては、例えばミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マリガリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレイン酸、ステアロール酸、リシノール酸、リシノエライジン酸、ノナデカン酸、アラキジン酸、ヘンエイコサン酸、ベヘン酸、ブラシジン酸、エルカ酸、トリコサン酸、テトラコサン酸、牛脂脂肪酸、なたね油脂肪酸、魚油脂肪酸等が挙げられ、これらは単独で用いてもよく、複数を混合して用いてもよい。
高級アルコール系脱墨剤に用いられる高級アルコールとしては、例えばイソステアリルアルコール、オレイルアルコール、オクチルドデカノール、キミルアルコール(グリセリルモノセチルエーテル)、コレステリール(コレステリン)、シトステロール(シトステリン)、ステアリルアルコール、セタノール(セチルアルコール、パルミチルアルコール)、セトステアリルアルコール、セラキルアルコール(モノオレイルグリセリルエーテル)、デシルテトラデカノール、バチルアルコール(グリセリルモノステアリルエーテル)、フィトステロール(フィトステリン)、ヘキシルデカノール、ベヘニルアルコール、ラウリルアルコール、ラノリンアルコール、水素添加ラノリンアルコール等が挙げられ、これらは単独で用いてもよく、複数を混合して用いてもよい。
上記脱墨剤の添加量としては、絶乾パルプに対し固形分で2.1kg/t以上3.3kg/t以下が好ましく、2.3kg/t以上3.1kg/t以下がより好ましい。脱墨剤の添加量が上記上限を超えると、発泡過剰となることにより歩留りが低下するおそれがあり、また製造コストも高くなってしまうおそれがある。一方、脱墨剤の添加量が上記下限未満の場合、十分な脱墨効果が得られず、古紙パルプの白色度が低下するおそれがあり、また雑誌等の背表紙に塗工される糊等の粘着異物を除去することができず、パルプの品質が低下するおそれがある。
上記脱墨剤に含まれる脂肪酸系脱墨剤の割合としては15質量%以上30質量%以下が好ましく、20質量%以上25質量%以下がより好ましい。脱墨剤に含まれる脂肪酸系脱墨剤の割合が上記上限を超えると、添加量に対して得られる効果が低下しコスト高となるおそれがある。一方、脱墨剤に含まれる脂肪酸系脱墨剤の割合が上記下限未満の場合、高級アルコール系脱墨剤による発泡を抑える効果が低下することにより、歩留まりが悪化するおそれがある。
上記脱墨処理における離解パルプスラリーのpHとしては8.0以上9.5以下が好ましく、8.3以上9.2以下がより好ましい。離解パルプスラリーのpHが上記上限を超えると歩留りが低下すると共に、パルプに黄変が発生し、パルプの品質が低下するおそれがある。一方、離解パルプスラリーのpHが上記下限未満の場合、発泡性が低下することにより、インキが系外に排出されず、脱墨剤効果が低下し、古紙パルプの白色度が低下するおそれがある。
上記脱墨処理における離解パルプスラリーの濃度としては13質量%以上18質量%以下が好ましい。離解パルプスラリーの濃度が上記上限を超えると、インキ除去能力が低下することにより、白色度の高い古紙パルプを得ようとすると歩留りが低下するおそれがある。一方、離解パルプスラリーの濃度が上記下限未満の場合、インキと脱墨剤との反応性が低下することにより、生産性が低下するおそれがある。
上記脱墨処理における離解パルプスラリーの温度としては43℃以上47℃以下が好ましい。離解パルプスラリーの温度が上記上限を超えると、粘着性の異物が軟化し、粘着性異物の除去効率が低下するため、古紙パルプの品質が低下するおそれがある。一方、離解パルプスラリーの温度が上記下限未満の場合、発泡性が低下することにより脱墨効果が低下し、古紙パルプの白色度が低下するおそれがある。
上記脱墨処理では、離解パルプスラリーに上記脱墨剤の他に、例えば、苛性ソーダやケイ酸ソーダ等の公知のアルカリ薬剤;過酸化水素、次亜塩素酸塩、次亜硫酸塩等の漂白剤;アルキルベンゼンスルホン酸塩、硫酸エステル塩等の起泡剤;シリコーン油、鉱物油等の消泡剤;ピッチコントロール剤;EDTA、DTPA等の金属封鎖剤等を配合してもよい。
また、上記脱墨処理に使用される装置は、特に限定されず公知の装置を使用することができるが、特にタブ型の高濃度パルパーを使用すると、離解効率を高くすることができるため好ましい。
(抄紙工程)
上記脱墨処理を経た後のパルプスラリーを、一般に製紙に用いられるシステムで抄紙することにより当該新聞用紙を得ることができる。具体的には、例えばワイヤーパート、プレスパート、プレドライヤーパート、コーターパート、カレンダーパート、リールパートを含む製紙システム等を用いることができる。また、これ以外にも抄紙機とコーターパートとを分離したオフマシンコーターからなる製紙システムを用いても良く、抄紙機とソフトカレンダーを分離したオフマシンカレンダーからなる製紙システムを用いても良い。
上記抄紙工程では、紙の表面に表面処理剤を塗布することができる。このような表面処理剤としては、例えば酸化澱粉、ヒドロキシエチル化澱粉、エーテル化澱粉、エステル化澱粉、酵素変性澱粉、カチオン化澱粉、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルアルコール(PVA)、スチレン/アクリル酸共重合体、スチレン/(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン/(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン/マレイン酸共重合体、スチレン/マレイン酸半エステル共重合体、スチレン/マレイン酸エステル共重合体等、ポリアクリルアミド等の水溶性高分子、ロジン、トール油とフタル酸等のアルキド樹脂ケン化物、石油樹脂とロジンのケン化物等のアニオン性低分子化合物、イソジアネート系ポリマー等のカチオン性ポリマーなどが挙げられる。これらの中でも、水溶性高分子が好ましく、酸化澱粉及びヒドロキシエチル化澱粉が更に好ましい。上記表面処理剤は1種を単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。これらの表面処理剤を添加することにより、インキのビヒクル分が素早く吸収され、輪転機の高速化を促進することができ、また、填料が確実に繊維に固着されるため、填料の脱落を防止し、優れた印刷不透明度、印刷適性等を確保することができる。
表面処理剤の塗工量としては、片面あたり固形分換算で0.1g/m以上5g/m以下が好ましく、0.5g/m以上1g/m以下がより好ましい。表面処理剤の塗工量が上記上限を超えると表面処理剤のミストが発生して周辺機器を汚損するとともに、汚れに起因する断紙、用紙の欠陥が生じるおそれがある。一方、表面処理剤の塗工量が上記下限未満の場合、紙の表面処理が不十分となり塗工液の塗工効果を十分に発揮できないおそれがある。
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下においては、特に断りのない限り、%は質量%を、薬品添加量はパルプ絶乾質量(t)当たりの固形分質量(kg)を意味する。
なお、本実施例における各測定値は、以下の方法にて測定した値である。
[ふるい分け度(単位:%)]
JIS−P8220(1998)「パルプ−離解方法」に準拠して新聞用紙を離解して得られる離解パルプについてJIS−P8207(2009)「パルプ−ふるい分け試験方法」に準拠し、第1槽のふるい網の目開きを710μm、第2槽のふるい網の目開きを355μm、第3槽のふるい網の目開きを180μm、第4槽のふるい網の目開きを106μmとして測定した。
[機械パルプ含有量(単位:質量%)]
JIS−P8220(1998)に準拠して新聞用紙を離解し、得られる離解パルプについて、機械パルプの呈色を示すパルプの質量割合をJIS−P8120(1998)に記載の「紙、板紙及びパルプ−繊維組成試験方法」に準拠して測定した。
[坪量(単位:g/m)]
JIS−P8124(1998)に記載の「紙及び板紙−坪量測定方法」に準拠して測定した。
[厚さ(単位:μm)]
JIS−P8118(1998)「紙及び板紙−厚さ及び密度の試験方法」に準拠して測定した。
[引張強度(縦)(単位:kN/m)]
JIS−P8113(2006)に記載の「紙及び板紙−引張特性の試験方法−第2部:定速伸張法」に準拠して新聞用紙の縦方向について測定した。
[白紙不透明度(単位:%)]
JIS−P8149(2000)「紙及び板紙−不透明度試験方法(紙の裏当て)−拡散照明法」に準拠して測定した。
[密度(単位:g/cm)]
JIS−P8118(1998)「紙及び板紙−厚さ及び密度の試験方法」に準拠して測定した。
[灰分(単位:%)]
JIS−P8251(2003)に記載の「紙、板紙及びパルプ−灰分試験方法−525℃燃焼法」に準拠して測定した。
[印刷不透明度(単位:%)]
JAPAN TAPPI No.45(2000)「新聞用紙−印刷後不透明度試験方法」に準拠し、測定機器ISO白色度計(スガ試験機社製)を用いて測定した。
[白色度(紙)(単位:%)]
JIS−P8148(2001)「紙、板紙及びパルプ−ISO白色度(拡散青色光反射率)の測定方法」に準拠して測定した。
[インキ着肉性]
オフセット印刷機(型番:小森SYSTEMC−20、小森コーポレーション社製)を使用し、新聞インキ(商品名:ニューズゼットナチュラリス(墨)、大日本インキ化学工業社製)にて連続10000部の印刷を行った。得られた印刷物について、画像の鮮明さ及び濃淡ムラを目視にて観察し、以下の評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
5:画像が鮮明で濃淡ムラが全くなく、インキ着肉性に優れる。
4:画像が鮮明で濃淡ムラが殆どなく、インキ着肉性が良好である。
3:一部に画像が不鮮明な箇所及び濃淡ムラがややある。
2:一部に画像が不鮮明な箇所及び濃淡ムラがあり、インキ着肉性が良好でない。
1:全体的に画像が不鮮明で濃淡ムラが著しく、インキ着肉性に劣る。
[ブランケット紙粉、パイリング]
オフセット輪転印刷機(型番:LITHOPIA BTO−4、三菱重工業社製)を使用して50連巻きの印刷用紙にて両出し10万部の印刷を行い、印刷紙面のカスレとブランケット非画像部における紙粉の発生及び堆積の有無を目視にて観察し、以下の評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
5:紙面カスレと紙粉の発生が全く認められない。
4:紙面カスレがわずかに認められるがブランケット上での堆積は全く認められない。
3:紙面カスレがやや認められブランケット上での堆積が少し認められる。
2:紙面カスレの発生が認められ、ブランケット上に堆積している。
1:紙面カスレとブランケット上での紙粉の堆積が著しい。
〔新聞脱墨フロス由来の再生粒子の製造〕
新聞脱墨フロス中の無機粒子における炭酸カルシウムの含有量が78質量%である新聞フロスを固形分換算で100質量%含有する製紙スラッジを、水分率が45質量%となるように脱水工程に付した後、製紙スラッジの平均粒子径が3mmとなるように破砕し、内燃式の横型回転式キルン炉を用い、水分率が2質量%となるように乾燥工程に付した後、内燃式の横型回転式キルン炉にて温度800℃、酸素濃度12容量%にて燃焼処理した。燃焼処理での炭酸カルシウムの分解率は90%だった。燃焼工程後の燃焼物を平均粒子径が3μmとなるように粉砕した後、燃焼物濃度が10質量%となるようスラリー化し、二酸化炭素含有ガス(濃度16容量%)を撹拌しながら反応後pHが7.4になるまでスラリーに吹き込み、炭酸カルシウムを析出させ、新聞脱墨フロス由来の再生粒子を得た。この新聞脱墨フロス由来の再生粒子の平均粒子径は4μm、白色度は88%、吸油量は115mL/100g、ワイヤー摩耗度は80mgであった。
(実施例1)
〔新聞用紙の製造〕
(脱墨処理)
新聞古紙80%、雑誌古紙A20%を配合した古紙原料を用いて、離解パルプスラリーの濃度が13質量%になるように温水を加え、下記の脱墨剤を絶乾パルプあたり固形分で下記の添加量を添加し、pH調整剤として苛性ソーダ及びケイ酸ソーダを添加した後、15分間離解処理を行った。このパルプスラリーのpHは8.7だった。なお、使用した「雑誌古紙A」とは、(公益財団法人)古紙再生促進センター「古紙の統計分類と主要銘柄」に準拠して集荷された雑誌古紙を更に、JIS−P8220(1998)「パルプ−離解方法」に準拠して離解した離解パルプのうち、JIS−P8120(1998)「紙、板紙及びパルプ−繊維組成試験方法」に準拠して測定した機械パルプの呈色を示すパルプの含有量が85質量%以上となり、且つJIS−P8220(1998)「パルプ−離解方法」に準拠して離解した離解パルプをNo.2濾紙(アドバンテック東洋株式会社製)で濾過し乾燥させたパルプをJIS−P8251(2003)に記載の「紙、板紙及びパルプ−灰分試験方法−525℃燃焼法」に準拠して測定した灰分率が18%以下となるように選別した雑誌古紙である。具体的には、雑誌古紙の中でも、月刊誌や週刊誌等のコート紙が少なく、背表紙が針金や糊で綴じられている雑誌古紙を選択的に集荷したものである。また、用いた雑誌古紙Aの機械パルプ含有量は90質量%、灰分は10%であった。
(脱墨剤)
脂肪酸系脱墨剤:花王株式会社製「DI−254」、0.6kg/t
高級アルコール系脱墨剤:花王株式会社製「DI−7000D」、2.1kg/t
その後、離解パルプスラリーの濃度を1%まで稀釈し、IHIVOITH社製エコセル型フローテーターを用いてフローテーションを行ない、古紙パルプを得た。
上記古紙パルプ100質量%からなるパルプスラリーに、填料として上記新聞脱墨フロス由来の再生粒子を絶乾パルプあたり固形分で20kg/t添加した。次いで凝集剤として絶乾パルプに対し固形分で600ppmのカチオン性ポリマー(BASFジャパン株式会社製、ポリミンPR8150)を添加して、ツインワイヤー抄紙機で坪量41.0g/mの新聞用原紙を抄造した。
更に、表面処理剤として酸化澱粉(日本食品加工株式会社製 質量平均分子量70万)90質量部及びヒドロキシエチル化澱粉(HES、ペンフォード社製 質量平均分子量155万)10質量部を混合した澱粉液にスチレン系サイズ剤(星光PMC株式会社製、SS2712)を固形分で澱粉100質量部に対し15質量部配合した表面処理剤を上記原紙の両面に乾燥質量で1.2g/m(片面あたりそれぞれ0.6g/m)塗工して実施例1の新聞用紙を得た。
(実施例2〜4)
原料パルプを構成する新聞古紙及び雑誌古紙の割合、ふるい分け度の第1槽残(C)、第2槽残(C)及び第4槽通過分(C)の割合、機械パルプの含有量を表1に示すとおりに変えた点以外は上記実施例1と同様の操作を行い、実施例2〜4の新聞用紙を得た。
(実施例5〜7)
填料の種類及び添加量を表1に示すとおりに変えた点以外は上記実施例1と同様の操作を行い、実施例5〜7の新聞用紙を得た。なお、実施例7では、填料として新聞脱墨フロス由来の再生粒子の替わりにホワイトカーボン(体積平均粒子径18μm)を用いた。
(実施例8)
原料パルプとして上記古紙パルプ90質量%、サーモメカニカルパルプ(フリーネス120mlCSF)10質量%を用いた以外は、上記実施例1と同様の操作を行い、実施例8の新聞用紙を得た。
(比較例1〜2)
原料古紙における新聞古紙及び雑誌古紙の割合、ふるい分け度の第1槽残(C)、第2槽残(C)及び第4槽通過分(C)の割合、機械パルプの含有量、坪量を表1に示すとおりに変えた点以外は実施例1と同様の操作を行い、比較例1〜2の新聞用紙を得た。ただし、比較例2では新聞用原紙の坪量を42.3g/mとした。
(比較例3)
原料パルプとして雑誌古紙Aの替わりに雑誌古紙Bを用いた以外は、上記実施例1と同様の操作を行い、比較例3の新聞用紙を得た。なお、「雑誌古紙B」とは、(公益財団法人)古紙再生促進センター「古紙の統計分類と主要銘柄」に準拠して集荷された雑誌古紙である。用いた雑誌古紙Bの機械パルプ含有量は75質量%、灰分は20%であった。
(参考例A)
参考例として、他社製の新聞用紙のふるい分け度の第1槽残(C)、第2槽残(C)及び第4槽通過分(C)の割合、機械パルプの含有量を測定した。
(品質評価)
上記実施例1〜8、比較例1〜3、参考例Aの各新聞用紙の坪量、厚さ、引張強度、白紙不透明度、密度、灰分、印刷不透明度、白色度を上記方法にてそれぞれ測定し、インキ着肉性及びブランケット紙粉パイリングについてそれぞれ評価した。結果を表1に示す。
Figure 2013241719
上記表1に示されるように、本発明の新聞用紙は、全パルプ中の古紙パルプが90質量%以上と高配合で低坪量であるにもかかわらず、嵩高であり、引張強度、白紙不透明度、印刷不透明度及び印刷適性に優れることがわかる。
本発明の新聞用紙は、古紙パルプを多く含み、低坪量であるにもかかわらず、嵩高であり、引張強度、白紙不透明度及び印刷不透明度及び印刷適性に優れるため、高速でのオフセット印刷に特に好適に用いることができる。

Claims (4)

  1. 全パルプに対する古紙パルプの含有量が90質量%以上、坪量が35g/m以上43g/m以下の新聞用紙であって、
    JIS−P8220(1998)「パルプ−離解方法」に準拠して離解した離解パルプを、JIS−P8207(2009)「パルプ−ふるい分け試験方法」に準拠し、第1槽のふるい網の目開きを710μm、第2槽のふるい網の目開きを355μm、第3槽のふるい網の目開きを180μm、第4槽のふるい網の目開きを106μmとして測定したふるい分け度(%)において、第1槽残(C)の割合が20%以下、第2槽残(C)の割合が20%以上であることを特徴とする新聞用紙。
  2. 上記ふるい分け度(%)における第4槽通過分(C)の割合が20%以上である請求項1に記載の新聞用紙。
  3. 上記離解パルプにおいて機械パルプの呈色を示すパルプの含有量が40質量%以上70質量%以下である請求項1又は請求項2に記載の新聞用紙。
  4. 紙厚が65μm以上70μm以下、
    引張強度が2.1kN/m以上3.1kN/m以下、
    白紙不透明度が92%以上96%以下である請求項1、請求項2又は請求項3に記載の新聞用紙。
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