JP2010237537A - 光学走査装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】画像スジの発生を防止する。
【解決手段】折り返しミラー26C1を、ハウジング部材30に固定するための薄板ばね32に、把持部を設け、組み付け時に、把持部を工具で把持し、撓ませながら挿入することにより、折り返しミラー26C1およびハウジング部材30の削れを防止する。
【選択図】図5

Description

本発明は、レーザビームプリンタやデジタル複写機等に使用される光学走査装置に関する。
従来、光学走査装置では、画像信号に応じて光源から光変調されて出射した光束が、例えば回転多面鏡等の光偏向器によって、周期的に偏向走査され、fθ特性を有する結像光学系によって、感光体上の結像面にスポット状に集束される。光学走査装置を有する画像形成装置は、偏向器による主走査と感光体の回転による副走査とに伴って静電潜像を形成し、画像記録を行っている。
前記結像光学系は、fθ特性を有する結像レンズと折り返しミラーが主たる構成要素であり、それぞれハウジング部材に固定される。例えば特許文献1では、光学箱(ハウジング部材)内にミラー支持体とばね支持体が配設されており、折り返しミラーの両端をそれぞれミラー支持体に当接させ、折り返しミラーとばね支持体の間にばねを挿入することにより折り返しミラーの組み付けが行われる。このばねは、ばね支持体のばね当接面に一体成型された係止爪に係止されることで、光学箱に固定される。
このようにばねを用いて折り返しミラーを固定する理由は、光学箱と折り返しミラーの線膨張係数の差によって、折り返しミラーに歪が発生するのを回避するためである。
特許第3352333号
しかしながら、特許文献1に記載の技術には、次のような未解決の課題があった。
ばね挿入時、折り返しミラーの稜部にばねが強く接触して、稜部の一部が欠けることにより、折り返しミラーの切削片が発生する。また、ばね支持体の係止爪においても、ばねの端面が強く接触し、光学箱の切削片が発生する。これら切削片は、前記結像光学系を構成する光学部品に付着することで、画像スジを引き起こす場合がある。なお、切削片の発生は折り返しミラーに限った事ではなく、その他の光学部品を固定する際も、固定される光学部品の切削片が発生することがあり、このような切削片も画像スジを引き起こす原因となる。
図7に示すような特許文献1と類似の構成においては、このような切削片が発生する懸念がある。ここで、図7は、従来の薄板ばね50による課題を示す図であり、(a)は折り返しミラーの切削片発生の様子、(b)はハウジング部材の切削片発生の様子をそれぞれ示している。
そこで本発明は、光学部品やハウジング部材の切削片の発生を防ぎ、画像スジの発生を防止することができる、光学走査装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明に係る光学走査装置の代表的な構成は、
光学部品が、ハウジング部材に設けられた位置決めのための第一基準面及び第二基準面に対して弾性部材によって弾性的に押圧されることにより、前記ハウジング部材に固定される光学走査装置であって、
前記ハウジング部材が、前記弾性部材が係止される係止部を備えた支持体を有し、
前記弾性部材が、前記弾性部材において前記支持体と前記光学部品との間に介装される部分に発生する弾性反発力により前記光学部品を前記第一基準面に押圧する第一押圧部と、前記光学部品を前記第二基準面に弾性的に押圧する第二押圧部と、を備える光学走査装置において、
前記弾性部材は、
前記係止部に係止されず、かつ前記第一押圧部が前記光学部品と接触しない状態のまま、前記ハウジング部材における係止位置まで移動されるべく、前記支持体と前記光学部品との間に介装される部分が前記弾性反発力に抗して変形された変形状態で把持可能に構成されており、
前記第二押圧部が前記光学部品に弾性的に接触した後に、前記変形状態で把持された状態が解かれることにより前記係止部に係止され、かつ前記第一押圧部による押圧状態が形成されることを特徴としている。
以上説明したように、本発明によれば、光学部品やハウジング部材の切削片の発生を防ぎ、画像スジの発生を防止することができる。
実施例1に係る光学走査装置S1の上面斜視図である。 偏向走査手段20で偏向された光束の経路を示す図である。 偏向走査手段20に入射する光束の経路を示す断面図である。 実施例1に係る薄板ばね32の形状説明図である。 折り返しミラー26C1の固定部の斜視図である。 実施例1に係る薄板ばね32の組付過程の説明図である。 従来の薄板ばね50による課題を示す図である。 実施例2に係る薄板ばね35の形状説明図である。 実施例3に係る薄板ばね36の形状説明図である。 実施例3に係る薄板ばね36の組付過程の説明図である。 実施例1に係る画像形成装置Dの構成図である。
以下に図面を参照して、この発明を実施するための最良の形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
<実施例1>
本発明の実施例1に係る光学走査装置及び画像形成装置について図を参照して説明する。
(カラー画像形成装置D)
まず、図11を参照して、カラー画像形成装置Dについて説明する。図11は、光学走査装置を備えたカラー画像形成装置の構成図である。図11に示すように、本実施例に係るカラー画像形成装置Dは、光学走査装置S1を有するものである。
画像情報に基づいて各々光変調された光束LY、LM、LC、LKは、ハウジング部材
30から出射し、各々対応する感光体40Y、40M、40C、40Kの表面上に照射され、これにより静電潜像が形成される。感光体40Y〜40Kの表面は、一次帯電器43Y、43M、43C、43Kによって各々一様に帯電している。感光体40Y〜40Kの表面上に形成された静電潜像は、現像手段である現像器44Y、44M、44C、44Kによって各々イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナー像に可視像化される。
給送トレイに載置された転写材Pは、給送ローラ45によって給送され、転写ベルト49と感光体40Y〜40Kとのニップ部へ搬送される。可視像化されたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナー像は、各ニップ部において順に転写材P上に転写され、転写材P上にカラー画像が形成される。
駆動ローラ41は、転写ベルト49の送りを精度良く行っており、回転ムラの小さな駆動モータ(図示せず)と接続している。転写材P上に形成されたカラー画像は、定着器47によって熱定着された後、排出ローラ48などによって装置外に排出される。
(光学走査装置S1)
図1〜図3を参照して、光学走査装置S1について説明する。図1は、実施例1に係る光学走査装置S1の内部の概略構成を示す斜視図である。図2は、実施例1において、偏向器20で偏向された光束の経路を示す図である。図3は、実施例1において、偏向器20に入射する光束の経路を示す概略断面図である。
図1に示すように、光学走査装置S1は、光源ユニット10Y、10M、10C、10Kと、偏向器20と、ハウジング部材30と、を有する。さらに、光学走査装置S1は、光学部品である、走査レンズ23、24、25Y、25M、25C、25Kと、折り返しミラー26Y1、26M1、26C1、26K1、26M2、26C2と、シリンドリカルレンズ27と、を有する。
ハウジング部材30は、光源ユニット10Y〜10K、偏向器20、走査レンズ23、24、25Y〜25K、折り返しミラー26Y1〜26K1、26M2、26C2、シリンドリカルレンズ27が収納可能に構成されている。本実施例では、ハウジング部材30の材質は、コストの観点からPC−ABS等の樹脂材料を使用している。ここで、PCはポリカーボネートであり、ABSはアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体である。折り返しミラー26Y1〜26K1、26M2、26C2は、弾性部材としての金属性の薄板ばね32によってハウジング部材30に対し固定されている。
図3に示すように、光源ユニット10Y〜10Kは、半導体レーザ(光源)11Y、11M、11C、11Kと、光学部品であるコリメータレンズ12Y、12M、12C、12Kと、光源保持部材13Y、13M、13C、13Kと、を有する。半導体レーザ11Y〜11Kは、画像情報に応じて独立して発光制御される4つの光源である。コリメータレンズ12Y〜12Kは、各々の半導体レーザ11Y〜11Kに対応している。光源保持部材13Y〜13Kは、半導体レーザ11Y〜11K、レンズ12Y〜12Kを精度よく保持する。
偏向器20は、半導体レーザ11Y〜11Kが出射した光束を走査レンズ側に反射する回転多面鏡21と、回転多面鏡21を回転させるモータ部20bと、を有し、半導体レーザ11Y〜11Kから出射した光束を偏向走査する。ここで、偏向器20の回転軸20aは、回転多面鏡21の回転軸である。
図2に示すように、光学走査装置S1には、偏向器20により偏向走査された光束LY〜LKを、各光束毎に別個の感光体40Y〜40K上に走査(導光)する複数の光学走査
系が形成されている。複数の光学走査系は、偏向器20の回転軸20aに対し(偏向器20を挟むように)両側に配設される。図2において、偏向器20の回転軸20aに対して左側に第一光学走査系、右側に第二光学走査系がそれぞれ形成されている。
図1に示す光学走査装置S1は、インライン方式のカラー画像形成装置に搭載されるユニットである。光学走査装置S1は、イエロー、マゼンダ、シアン、ブラックの各色に対応した感光体40Y〜40Kに対して光走査を行う。以下の説明においては、便宜上、各色に対応した光学走査系について、Yステーション、Mステーション、Cステーション、Kステーションと呼ぶこととする。
第一光学走査系、第二光学走査系は、第一走査レンズ23、24、第二走査レンズ25Y〜25K、折り返しミラー26Y1〜26K1、26M2、26C2、光学部品であるシリンドリカルレンズ27を有する。第一光学走査系(Yステーション、Mステーション)、第二光学走査系(Cステーション、Kステーション)は、それぞれ2つの独立した光束を走査する。
Yステーションにおいては、半導体レーザ11Yから出射された光束LYは、レンズ12Yにより略平行光化され、シリンドリカルレンズ27を通過し、偏向器20により偏向される。偏向された光束LYは、第一走査レンズ23、第二走査レンズ25Yを通過した後、平面鏡の折り返しミラー26Y1によって反射され(折り返され)、ハウジング部材30の底面に設けられた出射口を通過して感光体40Yに導かれ、走査線を描画する。
Mステーションにおいては、半導体レーザ11Mから出射された光束LMは、レンズ12Mにより略平行光化され、シリンドリカルレンズ27を通過して、偏向器20により偏向される。偏向された光束LMは、第一走査レンズ23を通過した後、折り返しミラー26M1によって方向を変えられ、第二走査レンズ25Mを通過し、折り返しミラー26M2によって反射され、ハウジング部材30の底面に設けられた出射口を通過する。このようにして光束LMは感光体40Mに導かれ、走査線を描画する。
第一光学走査系と第二光学走査系は、偏向器20の回転軸20aに対してそれぞれ異なる側、すなわち、図2において偏向器20の回転軸20aに対して左右両側に光束が偏向走査される、いわゆる対面走査系をなすものである。ここで、図2において偏向器20の回転軸20aに対して左右両側とは、半導体レーザ11Y〜11Kから偏向器20を見た場合に、回転多面鏡21の回転軸20aに対して左右両側のことをいう。したがって、CステーションはMステーションと類似の構成であり、KステーションはYステーションと類似の構成である。
また、折り返しミラー26M1は、偏向器20により偏向走査された光束LMの光軸方向において偏向器20に近づくように光束LMを折り返す。折り返しミラー26M2は、折り返しミラー26M1により折り返された光束LMを感光体40Mに向けて折り返す。折り返しミラー26C1は、偏向器20により偏向走査された光束LCの光軸方向において偏向器20に近づくように光束LCを折り返す。折り返しミラー26C2は、折り返しミラー26C1により折り返された光束LCを第二像担持体としての感光体40Cに向けて折り返す。
画像形成装置Dのフレーム(不図示)は対向して設けられており、光学走査装置S1は、対向するフレーム間に組み付けられる。そして、光学走査装置S1は、画像形成装置Dのフレームに対し、ハウジング部材30の感光体配列方向(一方向)における両端部に設けられた固定部30e、30f、30gにて不図示の固定手段により固定されている。すなわち、固定部30e、30f、30gは、画像形成装置Dのフレーム間に固定されるよ
うに、ハウジング部材30のうち一方向の両側に設けられている。ここで、前記固定手段としては、ビスや弾性部材が好ましい。
(薄板ばね32及び折り返しミラー26C1の固定方法)
次に、図4〜図7を参照して、本実施例の特徴的な構成である、折り返しミラー固定用の薄板ばね32、及び、折り返しミラーの固定方法について説明する。図4は、薄板ばね32の形状説明図である。図5は、折り返しミラー26C1の固定部の斜視図である。図6は、薄板ばね32の組付過程の説明図であり、各過程を(a)〜(f)で時系列順に示している。なお、図7(a)、図7(b)は、前述のように従来の薄板ばね50による課題を示す図である。
まず、図4を参照して、薄板ばね32について説明する。薄板ばね32は、板厚0.3mm程度の金属製の部材であり、基準面32aと、第一押圧部32bと、第二押圧部32cと、延出部32dと、被係止部32eと、突き当て面32gと、を備える。
薄板ばね32は、一枚の薄板を折り曲げて形成される。薄板ばね32は、基準面32aを備えた基体部32hと、基体部32hに対してそれぞれ折り曲げられた、第一折り曲げ部32iと、第二折り曲げ部32jと、一対の第三折り曲げ部32kと、で構成されている。第一折り曲げ部32iは、基体部32hの一端から略V字状に折り返されており、基準面32aとは反対側において基体部32hの他端側に向かって延びる。第二折り曲げ部32jは、基体部32hの他端から略直角に折り曲げられており、基準面32aとは反対側において第一折り曲げ部32iと交差する方向に延びる。一対の第三折り曲げ部32kは、基体部32hの両側端から基準面32a側(第一折り曲げ部32i及び第二折り曲げ部32jとは逆側)に略直角に折り曲げられている。
基準面32aは、薄板状の基体部32hの一方の面であり、ハウジング部材30に設けられたばね支持体33の角柱部33aに当接し、薄板ばね32の位置の基準となる。第一押圧部32bは、第一折り曲げ部32iにおいて基体部32hとは反対側に突出するように凸状に折り曲げられた部分で構成されている。第一押圧部32bは、第一折り曲げ部32iと基体部32hとが折り返しミラー26C1とばね支持体33との間に弾性力に抗して撓められた(圧縮された)状態で介装されることにより、折り返しミラー26C1のa面に当接する。これにより、第一押圧部32bは、折り返しミラー26C1をミラー支持体31の第一基準面31aに対して弾性的に押圧することになる。第二押圧部32cは、第二折り曲げ部32jにおいて折り返しミラー26C1の稜部aに当接する部分で構成されている。第二押圧部32cは、第二折り曲げ部32jが基体部32hに対して弾性力に抗して撓められた状態で薄板ばね32がばね支持体33に係止されることにより、折り返しミラー26C1をミラー支持体31の第二基準面31bに対して弾性的に押圧することになる。第一折り曲げ部32iの先端は、略二股形状を有しており、第二折り曲げ部32jの両脇を通って第二押圧部32cの押圧面よりも反押圧面側に突出する構成となっている。延出部32dは、この第一折り曲げ部32iの先端において第二折り曲げ部32jを越えて延出された部分で構成される。延出部32dの側面は、後述するように基体部32hの基準面32aの一部とともに薄板ばね32の把持部として機能するとともに、薄板ばね32のハウジング部材30への取り付けの際に、第一折り曲げ部32i(第一押圧部32b)を撓ませるためのものである。被係止部32eは、基準面32a上に設けられ基体部32hの両面を貫通する孔部であり、ばね支持体33の係止部34に係止可能に構成されている。突き当て面32gは、第三折り曲げ部32kの端面であり、薄板ばね32が、図5における時計回りに回転した際に、ばね支持体33の突き当てリブ33bに当接し、薄板ばね32の姿勢を安定させる役目をする。
次に、図5を参照して、折り返しミラー固定部のハウジング部材30側を説明する。ハ
ウジング部材30は、ミラー支持体31、ばね支持体33が配設されている。ミラー支持体31には、折り返しミラーをハウジング部材30に対して位置決めするための第一基準面31a、第二基準面31bが設けてある。第一基準面は、折り返しミラーの光線を担う面と平行であり、第二基準面は、第一基準面と直交している。折り返しミラー26C1は、第一基準面31a、第二基準面31bにそれぞれ当接するように設置される。ばね支持体33は、ミラー支持体31に設置された折り返しミラー26C1と対向するように配設されている。ばね支持体33は、主に角柱部33aと、薄板ばね32の突き当て面32gを突き当てる役割のリブ33bと、角柱の強度向上のための三角リブ33cと、薄板ばね32を係止する係止部34と、で構成されている。係止部34は、ばね支持体33の角柱部33aにおいて薄板ばね32の基準面32aと当接する当接面に設けられた突起部である。
次に、図6を参照して、薄板ばね32の組付過程について説明する。まず、折り返しミラー26C1をミラー支持体31に設置する(図6(a))。次に、工具aなどにより、基準面32aの一部と延出部32dの側面とで薄板ばね32を把持(挟持)する(図6(b))。そして、第一押圧部32bを基準面32a方向に変位させるように、すなわち、基体部32hと第一折り曲げ部32iとの間の折り返し角度が小さくなるように、弾性力に抗して薄板ばね32を撓ませる(図6(c))。この変形状態で、薄板ばね32を図中の矢印方向に、薄板ばね32の被係止部32eが、ばね支持体33の係止部34の係止面34aを越えるまで、すなわち、把持状態を解いたときに係止部34が被係止部32eと確実に嵌合する位置まで挿入する(図6(d))。なお、第一押圧部32bと折り返しミラー26C1、薄板ばね32の基準面32aとばね支持体33の係止部34が、それぞれ接触しない程度まで、薄板ばね32を工具aにて撓ませている。
挿入の過程で、薄板ばね32の第二押圧部32cは、まず折り返しミラー26C1の稜部aに当接する。そして、さらに挿入されることにより、第二押圧部32c(第二折り曲げ部32j)が基体部32hに対して弾性力に抗して撓み、第二押圧部32cが折り返しミラー26C1をミラー支持体31の第二基準面31bに弾性的に押圧する。
上述の位置まで薄板ばね32を挿入した後、第二押圧部32c(第二折り曲げ部32j)の根元付近を工具bなどで押さえながら、薄板ばね32の基準面32a、および延出部32dを把持していた工具aを離す。すると、薄板ばね32は復元し、薄板ばね32の基準面32aがばね支持体33の角柱部33aに当接し、第一押圧部32bが折り返しミラー26C1のa面に当接し、折り返しミラー26C1がミラー支持体31の第一基準面31aに押圧される(図6(e))。
その後、第二押圧部32cの根元付近を押さえていた工具bを退避させると、折り返しミラー26C1からの反力により、薄板ばね32の被係止部32eが、ばね支持体33の係止部34の係止面34aに突き当たり、係止される(図6(f))。以上で組み付けは完了する。
従来においては、上述の延出部32dのような薄板ばねを把持可能にする把持部が設けられておらず、薄板ばね50の第一押圧部50aを、撓ませた状態で組み付けることが出来ない。そのため、図7(a)に示すように、第一押圧部50a付近が、折り返しミラー26C1の稜部aに接触した後、第一押圧部50aの弾性力により、強く当接した状態で挿入されるため、稜部aが削れて切削片aが発生する。また図7(b)に示すように、薄板ばね50の被係止部50bが、ばね支持体33の係止部34を乗り越えて係止される際、薄板ばね32の被係止部50bが、ばね支持体33の係止部34の端部を削り、切削片bが発生する。
切削片aは、そのまま光学走査装置S1外に脱落する場合もあれば、光学走査装置S1内に留まる場合もある。切削片bは、上記二つの場合に加え、ばね支持体33の係止部34に、薄皮1枚程度でつながり、その場に留まることもあり、光学走査装置や画像形成装置の輸送時の振動や衝撃により、係止部34から離脱してしまう。これら切削片a、bは、光学走査系を構成している光学部品に付着し、画像スジ等の問題を引き起こす。このことは、特許文献1においても同様である。
本実施例では、薄板ばね32の基準面32aと延出部32dとを把持し、第一折り曲げ部32i(第一押圧部32b)を撓ませることで、挿入の過程において薄板ばね32の第一押圧部32bが折り返しミラー26C1の稜部aと接触するのを防止できる。さらに、本実施例では、薄板ばね32の被係止部32eがばね支持体33の係止部34の端部と接触するのを防止できる。したがって、図7に示すような切削片を発生させることがない。
また、薄板ばね32が、折り返しミラー26C1を押圧する際に受ける反力により、薄板ばねに、図5における時計回り方向のモーメントが発生し、薄板ばね32の姿勢が変化し、押圧力が不足することがある。しかし、薄板ばね32の突き当て面32gが、ばね支持体33のリブ33bに突き当たることにより、姿勢を保持することが可能である。これにより、折り返しミラー26C1を固定するのに、十分な押圧状態を保つことができる。
また、薄板ばねの面32fが、ばね支持体33の角柱33a、三角リブ33cに比べ突出しない、すなわち、第三折り曲げ部32kの端部が、角柱33aや三角リブ33cからはみ出さないように構成されている。これにより、薄板ばね32の組み付け後、組み立て作業者などが薄板ばね32の面32fに接触し、薄板ばね32が抜けることを防止することができる。
以上説明したように、本実施例によれば、薄板ばねの組み付け時に光学部品やハウジング部材の切削片が発生しないため、画像スジの発生を防止することができる。
<実施例2>
次に、図8を参照して、本発明の実施例2について説明する。図8は、本実施例に係る薄板ばね35の説明図である。なお、本実施例に係る光学走査装置、画像形成装置の概略構成は、実施例1に係る光学走査装置、画像形成装置の概略構成と同様である。また、実施例1と説明の重複する部分については、同一の符号を付して説明を省略する。したがって、ここでは、図1、図2、図3、図11に係る内容については説明を省略し、実施例2の特徴的な構成についてのみ説明する。
(薄板ばね35)
図8に示すように、本実施例の薄板ばね35は、上記実施例1の薄板ばね32の延出部32dと、同様の役目をする延出部35aが、第二押圧部32cに設けられた貫通孔35bに挿通されて設けられている。
薄板ばね35の組付過程は、図6に示した、上記実施例1の薄板ばね32の組付過程と同様に行う。ただし、第一押圧部32bを、基準面32a方向に変位させるように薄板ばね35を撓ませる(図6(b)、(c))際は、薄板ばね35の基準面32aと延出部35aの側面とで、薄板ばね35を工具などで把持する。
本実施例においても、上記実施例1と同様に、薄板ばね35の基準面32a、および延出部35aで把持して、薄板ばね35を撓ませることにより、挿入の過程において、薄板ばね35の第一押圧部32bが、折り返しミラー26C1の稜部aに接触しない。また薄板ばね32の被係止部32eが、ばね支持体33の係止部34の端部に接触しない。した
がって、図7に示すような切削片を発生させることがない。
以上説明したように、本発明によれば、上記実施例1と同様に、薄板ばねの組み付け時に光学部品やハウジング部材の切削片が発生しないため、画像スジの発生を防止することができる。
さらに、薄板ばね35は、延出部35aが貫通孔35bを貫通する構成であることによって、延出部32dが第二押圧部32cを挟みこむように二股に設けられている薄板ばね32と比べ、組み付け工具の簡略化が可能である。したがって、組み付け時にスペースを必要としない。よって、ばね挿入部周辺(作業スペース)が狭い状態でも、組み付けることが可能である。
また、薄板ばね35は、延出部35aが貫通孔35bを貫通する構成であることによって、延出部32dが二股形状の薄板ばね32に比べ、ばね同士が絡まりづらい。したがって、納品された薄板ばね35を取り出す際などに、不慮に変形してしまうこと防ぐことができる。
さらに、本実施例では、貫通孔35bによって第一折り曲げ部32i(第一押圧部32b)の変形範囲を限定することができる。したがって、ばね挿入部のスペースと必要な押圧力の関係上、塑性領域近傍で薄板ばね35を使用する場合には、第一押圧部32bを撓ませた際に延出部35aが貫通孔35bの基準面32a側に当接するように構成することで、必要量以上に撓むことを防止できる。したがって、薄板ばね35が不慮に塑性変形してしまうことを防ぐことができる。
<実施例3>
次に、図9、図10を参照して、本発明の実施例3に係る光学走査装置、および画像形成装置について説明する。図9は、実施例3に係る薄板ばね36の説明図である。図10は、実施例3に係る薄板ばね36の組付過程の説明図であり、各過程を(a)〜(g)で時系列順に示している。なお、本実施例に係る光学走査装置、画像形成装置の概略構成は、実施例1に係る光学走査装置、画像形成装置の概略構成と同様である。また、上記実施例1と説明の重複する部分については、同一の符号を付して説明を省略する。したがって、ここでは、図1、図2、図3、図11に係る内容については説明を省略し、実施例3の特徴的な構成についてのみ説明する。
(薄板ばね36及び折り返しミラー26C1の固定方法)
図9に示すように、本実施例の薄板ばね36は、前述の実施例1の薄板ばね32の被係止部32eが、開口縁の一部に、基準面32aと逆側への曲げ起こし部36aを備えた構成となっている。
次に、図10を参照して、薄板ばね36の組付過程について説明する。まず、折り返しミラー26C1をミラー支持体31に設置する(図10(a))。次に、工具aなどにより、基準面32aの一部と延出部32dの側面とで薄板ばね36を把持(挟持)する(図10(b))。そして、第一押圧部32bを基準面32a方向に変位させるように、すなわち、基体部32hと第一折り曲げ部32iとの間の折り返し角度が小さくなるように、弾性力に抗して薄板ばね36を撓ませる(図10(c))。この状態で、薄板ばね36を図中の矢印方向に、第一押圧部32bが、折り返しミラー26C1の端面aに接触することなく、端面aを越えるまで薄板ばね36を挿入する(図10(d))。
上述の位置まで薄板ばね36を挿入した後、第二押圧部32c(第二折り曲げ部32j)の根元付近を工具bなどで押さえながら、薄板ばね36の基準面32a、および延出部
32dを把持していた工具aを離す。すると、薄板ばね36は復元し、薄板ばね36の基準面32aがばね支持体33の係止部34に当接し、第一押圧部32bが折り返しミラー26C1のa面に当接される(図10(e))。このとき、折り返しミラー26C1は、ミラー支持体31の第一基準面31aに押圧されている。一方、薄板ばね36の基準面32aは、ばね支持体33の角柱部33aの側面には当接しておらず、係止部34に乗り上げたような状態となっている。
続いて、工具bで矢印の方向に薄板ばね36をさらに挿入すると、薄板ばね36の基準面32aは、ばね支持体33の係止部34に、薄板ばね36の第一押圧部32bは折り返しミラー26C1のa面に、それぞれ沿って挿入される。すなわち、薄板ばね36は、基準面32aと係止部34、及び、第一押圧部32bと折り返しミラー26C1のa面とが互いにすべり(摺動し)ながら、最終的な設置位置に向けてさらに押し込まれる。そして、薄板ばね36はさらに弾性力に抗して撓み、押圧力も大きくなる(図10(f))。挿入の過程で、薄板ばね36の第二押圧部32cは、まず折り返しミラー26C1の稜部aに当接し、折り返しミラー26C1を、ミラー支持体31の第二基準面31bに押圧する。
その後、薄板ばね36の第二押圧部32cの撓み量が大きくなるに伴って、押圧力も大きくなる。薄板ばね36の被係止部32e(曲げ起こし部36a)が、ばね支持体33の係止部34の係止面34aを越えるまで挿入されると、薄板ばね36は復元する。そして、薄板ばね36の被係止部32e(曲げ起こし部36a)が、ばね支持体33の係止部34に、滑らかに沿いながら係止面34aに係止される(図10(g))。以上で組み付けは完了する。
本実施例では、上記実施例1、2と同様、薄板ばね36の挿入過程において薄板ばね36を撓ませることにより、挿入過程において薄板ばね36の第一押圧部32bが折り返しミラー26C1の稜部aに接触しない。したがって、図7(a)に示したような折り返しミラーの切削片aを発生させることがない。また、本実施例では、薄板ばね36の被係止部32eが、曲げ起こし部36aを備えている。これにより、薄板ばね36の挿入過程において、薄板ばね36の被係止部32e(曲げ起こし部36a)がばね支持体33の係止部34を乗り越えて係止される際、係止部34の端部が曲げ起こし36aの湾曲面に滑らかに沿う(すべる)ようにして乗り越える。したがって、薄板ばね36の被係止部32eが係止部に係止される際に係止部34の角が削れてしまうことが防止され、図7(b)に示したような切削片bを発生させることがない。
以上説明したように、本発明によれば、薄板ばねの組み付け時に光学部品やハウジング部材の切削片が発生しないため、画像スジの発生を防止することができる。
さらに、本実施例では、上記実施例1に係る薄板ばね32と比べて、薄板ばね36の組付け時における第一折り曲げ部32i(第一押圧部)の撓み量を小さくすることができる。すなわち、本実施例では、薄板ばね36を基準面32aと係止部34とを互いに滑らせて薄板ばね36を挿入するので、薄板ばね36は挿入に必要な量だけ撓むことになり、実施例1の薄板ばね32のように必要以上に撓ませる必要がない。したがって、ばね挿入部のスペースと必要な押圧力との関係上、塑性領域近傍で薄板ばね36を使用する場合において、実施例1に係る薄板ばね32と比べて、薄板ばね36の撓み量の低減を図ることができ、薄板ばね36の塑性変形の防止を図ることができる。
<その他>
上記各実施例では、折り返しミラーの固定部について例示したが、走査レンズなど、その他の光学部品の固定においても、同様の構成をとることは可能である。また、上記各実
施例では、光学部品をハウジング部材の第一基準面及び第二基準面に対して弾性的に押圧する弾性部材として、上記各薄板ばねを例示しているが、弾性部材の具体的な形態としてはこれに限られるものではない。まず、弾性部材が、支持体と光学部品との間に介装される部分に発生する弾性反発力によって光学部品を第一基準面に弾性的に押圧する第一押圧部と、光学部品を第二基準面に弾性的に押圧する第二押圧部とを備えていること。そして、弾性部材が、支持体と光学部品との間に介装される部分を弾性反発力に抗して変形させた状態で把持し、ハウジング部材における係止位置まで、係止部と係止させず、かつ第一押圧部を光学部品と接触させないで移動させることができること。以上の構成を備えたものであれば種々の形態の弾性部材を採用することができる。したがって、上記各実施例では薄板ばねが一枚の薄板を折り曲げて形成されているが、例えば、複数枚の薄板を組み合わせて形成した板ばねであってもよい。また、弾性部材としては、板ばねだけでなく、例えば、ゴム等の弾性材と板材等を組み合わせて構成されたようなものであってもよい。
26C1 折り返しミラー
30 ハウジング部材
31a 第一基準面
31b 第二基準面
32、35、36 薄板ばね
32b 第一押圧部
32c 第二押圧部
32d 延出部
32e 被係止部
33 ばね支持体
34 係止部
S1 光学走査装置

Claims (5)

  1. 光学部品が、ハウジング部材に設けられた位置決めのための第一基準面及び第二基準面に対して弾性部材によって弾性的に押圧されることにより、前記ハウジング部材に固定される光学走査装置であって、
    前記ハウジング部材が、前記弾性部材が係止される係止部を備えた支持体を有し、
    前記弾性部材が、前記弾性部材において前記支持体と前記光学部品との間に介装される部分に発生する弾性反発力により前記光学部品を前記第一基準面に押圧する第一押圧部と、前記光学部品を前記第二基準面に弾性的に押圧する第二押圧部と、を備える光学走査装置において、
    前記弾性部材は、
    前記係止部に係止されず、かつ前記第一押圧部が前記光学部品と接触しない状態のまま、前記ハウジング部材における係止位置まで移動されるべく、前記支持体と前記光学部品との間に介装される部分が前記弾性反発力に抗して変形された変形状態で把持可能に構成されており、
    前記第二押圧部が前記光学部品に弾性的に接触した後に、前記変形状態で把持された状態が解かれることにより前記係止部に係止され、かつ前記第一押圧部による押圧状態が形成されることを特徴とする光学走査装置。
  2. 前記弾性部材は、
    前記係止部に係止可能に構成された薄板状の基体部と、
    前記基体部の一端からV字状に折り曲げられて前記基体部の他端側に延びるとともに、前記基体部とともに前記支持体と前記光学部品との間に配置され、前記第一押圧部を有する薄板状の第一折り曲げ部と、
    前記基体部の他端から前記第一押圧部の延びる方向と交差する方向に折り曲げられて延びるとともに、前記第二押圧部を有する薄板状の第二折り曲げ部と、
    を備えた薄板ばねであり、
    前記第一折り曲げ部の先端において前記第二折り曲げ部を越えて延びる延出部の側面と、前記基体部において前記支持体に当接する面と、で挟まれることにより把持可能に構成されており、
    前記係止位置において、前記第一押圧部が前記光学部品と接触せず、かつ前記基体部が前記係止部に係止されないように、前記第一折り曲げ部が前記基体部に対して撓んだ状態で把持されることを特徴とする請求項1に記載の光学走査装置。
  3. 前記第二折り曲げ部は、前記第一折り曲げ部の前記延出部が挿通される貫通孔を有することを特徴とする請求項2に記載の光学走査装置。
  4. 前記係止部は、前記支持体の前記基体部が当接する面に設けられた突起部であり、
    前記基体部は、前記突起部に係止可能な孔部を前記支持体に当接する面に有していることを特徴とする請求項2又は3に記載の光学走査装置。
  5. 前記孔部の開口縁に、前記基体部における前記支持体に当接する面とは逆側に曲げ起こされたような形状を有する曲げ起こし部を有することを特徴とする請求項4に記載の光学走査装置。
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