JP2010237317A - 光学素子及び、上記光学素子を備えた液晶表示装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】基材上に遮光領域を形成し、次いで、従来層に先んじて位相差層を形成する場合、あるいは着色層などの機能層を用いず、基材と遮光領域と位相差層とで基本構成をなす場合であっても、遮光部の輪郭部分において光漏れの生じない光学素子、およびコントラストの優れた液晶表示装置を提供する。
【解決手段】光学素子の構成において、光透過性を有する基材と、上記基材を光が透過可能な開口部と光の透過が防止される遮光部とに区画するためにパターン形成される遮光領域と、少なくとも1つの中間層と、位相差層とをこの順で備えるよう構成し、かつ、上記中間層の膜厚を0.5μm以上とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、位相差層を備える光学素子、およびこれを用いた液晶表示装置に関する。
液晶表示装置は、薄型軽量、低消費電力という大きな利点を持つため、テレビ、パーソナルコンピューターや携帯電話、電子手帳、店舗に設置される端末装置、自動販売機等の様々な表示装置に積極的に用いられている。これらの液晶表示装置は、液晶層を構成する駆動用液晶材料の複屈折性を利用して光のスイッチングを行うことにより画像表示を可能とすることを特徴とするものである。
上記液晶表示装置は、一般的に、対面する2枚の基板と、これら基板間において設けられる駆動用液晶材料からなる液晶層とを有する。またカラー表示用の液晶表示装置には、表示側基板に着色層が設けられることが一般的である。それに加えて液晶表示装置は、液晶層に含まれる駆動用液晶材料(分子)の複屈折性を利用するという特殊性から、駆動用液晶材料の複屈折性に由来する視野角依存性の問題を有しており、この問題を解決するために、光の位相差を補償する位相差フィルムが利用されている。この位相差フィルムは、ポリアクリレート、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース等のフィルムの延伸によって作製されるものであって、通常、対面する2枚の基板とその間に形成される液晶層を備える液晶セル(以下、単に「液晶セル」ともいう)の外側面に、貼り付けて設置される。
また近年は、上記位相差フィルムに替えて、光学素子内に位相差層が形成される所謂インセル型の位相差層も開発されてきている。上記位相差層は、2枚の基材の外側にそれぞれ貼り付けられる位相差フィルムとは異なり、液晶セル内部に一層から構成することも可能であり、また層自体の厚みも薄いため、光学素子の薄型化が可能である上、耐熱性が向上するなどの有利な性質を有し、加えて、位相差フィルムを貼り付ける際の糊剤による弊害などの問題もない。このような位相差層を備える光学素子の提案としては、例えば下記特許文献1などがある。
また、近年は、環境問題などの観点から、液晶表示装置においても、消費電力を少なく抑えることが重要な課題の1つとなっている。これに対し、外光からの光も利用可能な半透過半反射型の液晶表示装置が注目されている。この半透過半反射型液晶表示装置は、外光を用いて液晶表示機能を発揮する部分(反射部)と、バックライトからの光を用いて液晶表示機能を発揮する部分(透過部)とを備えており、光源をバックライトのみに依存するタイプのものよりエネルギー効率が良い。そして上記半透過半反射型液晶表示装置のさらなるエネルギー効率の向上と高輝度化のために、反射部領域に選択的に上記位相差層をパターニング形成して、バックライトからの光のリサイクルを図る技術が提案されている(例えば特許文献2)。
ここで一般的に、上記光学素子は、液晶層の液晶材料を駆動させるために繰り返し電圧がかけられる仕組みになっている。したがって、光学素子内において液晶層と距離的に接近した位置に形成される層は、電圧の影響によりダメージを受けて液晶層などに材料のしみ込みが生じるようなことは避けなければならず、焼付き防止などの電気信頼性が求められる。この観点からは、近年開発された位相差層よりも、着色層などの技術的に蓄積があり電気信頼性の高い層(以下、単に「従来層」ともいう)が、液晶層寄りに設けられることが望ましい。具体的には、光透過性の基材上にまず、遮光領域をパターニング形成し、次いで位相差層を形成し、その後、着色層などの従来層を形成してなる光学素子の構成が、電気信頼性の観点では望ましい。また位相差層を形成するために配向膜が必要な場合には、位相差層に先んじて配向膜が作成されてもよい。尚、光透過性の基材上に、第一番目に遮光領域を形成することが望ましい理由は、遮光領域形成時に、同時に基材面にアライメントマークを形成することによって、後工程に形成される位相差層や着色層の形成位置を明確にすることができるという理由による。
また、白黒表示用の光学素子であって、特に着色層など機能層を設けない場合にも、やはり上述と同様に、基材上に遮光領域を形成し、次いで位相差層、あるいは配向膜と位相差層を形成する構成が可能である。
特開2000−221506号公報 特開2006−276397号公報
しかしながら、上述のように基材面に透過部と遮光部とにパターンニングされる遮光領域を形成し、この遮光部が凸となった基材面に、次いで、位相差層(もしくは配向膜及び位相差層)を形成すると、黒表示などの際に、遮光部の輪郭部分において光漏れが生じてしまい、問題であった。またこのように光漏れの問題のある光学素子を用いて液晶表示装置を製造した場合には、液晶表示装置のコントラストが低下し、高品質な画像を提供することができず問題であった。上記光漏れの問題は、位相差層を構成する位相差層形成材料を基材面に塗布した際に、凸部となる遮光部の段差の存在により、遮光部周辺に塗布された位相差層形成材料が基材面に対して平行になり難く、あるいは所望の方向に配向させることができないなどの不都合が生じるためと推察された。
本発明は、上記の問題点に鑑みなされたものであって、基材上に遮光領域を形成し、次いで、従来層に先んじて位相差層を形成する場合、あるいは着色層などの機能層を用いず、基材と遮光領域と位相差層とで基本構成をなす場合であっても、遮光部の輪郭部分において光漏れの生じない光学素子、およびコントラストの優れた液晶表示装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、基材面上に形成された遮光領域を覆って、一定以上の厚みを備える中間層を形成した後に、位相差層を形成することによれば、遮光部の輪郭部分からの光漏れを良好に防止できることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、
(1)光透過性を有する基材と、上記基材を光が透過可能な開口部と光の透過が防止される遮光部とに区画するためにパターン形成される遮光領域と、少なくとも1つの中間層と、位相差層とをこの順で備え、上記中間層の膜厚が0.5μm以上であることを特徴とする光学素子、
(2)上記中間層が、透明樹脂層および/または配向膜であることを特徴とする上記(1)に記載の光学素子、
(3)上記中間層の表面であって、上記基材とは反対側の面が平坦化されていないことを特徴とする上記(1)または(2)に記載の光学素子、
(4)上記位相差層がパターニングされていることを特徴とする上記(1)乃至(3)のいずれか1つに記載の光学素子、
(5)上記位相差層が、正のAプレートであることを特徴とする上記(1)乃至(4)のいずれか1つに記載の光学素子、
(6)上記位相差層上に直接または間接に、光透過性の着色層を備えることを特徴とする上記(1)乃至(5)のいずれか1つに記載の光学素子、
(7)向かい合う2枚の基板と、上記2枚の基板それぞれの外側面に設けられる偏光板と、上記2枚の基板間に設けられる駆動用液晶材料からなる液晶層とを備える液晶表示装置であって、上記2枚の基板のうちの一方の基板として、光透過性を有する基材と、上記基材を光が透過可能な開口部と光の透過が防止される遮光部とに区画するためにパターン形成される遮光領域と、少なくとも1つの中間層と、位相差層とをこの順で備え、上記中間層の膜厚が0.5μm以上であることを特徴とする光学素子が用いられることを特徴とする液晶表示装置、
(8)上記液晶表示装置が半透過半反射型液晶表示装置であることを特徴とする上記(7)に記載の液晶表示装置、
を要旨とするものである。
本発明によれば、遮光領域と位相差層との間に一定の厚みを有する中間層が形成されることにより、従来問題であった遮光部の輪郭部分における光漏れを良好に防止することができる。即ち、基材面に対し垂直方向から平面視した際に、中間層の少なくとも1層において、上記開口部と重なりあう該中間層の部分領域における中央部の膜厚(以下、単に「中間層の膜厚」ともいう)を0.5μm以上とする構成を採用することによって上記光漏れの問題を解決した。
上記中間層は、例えば、透明樹脂層であってもよいし、位相差層形成用の配向膜であってもよいし、あるいはこの組み合わせであってもよい。中間層が透明樹脂層である場合には、コストの低い透明樹脂を選択して使用することにより中間層を形成することによるコストの増加を抑えることができ、望ましい。また、中間層が配向膜である場合には、配向膜を従来よりも厚く形成するだけで、同時に中間層の役割も果たせることができるため、中間層を形成するための工程数を増やさずに所期の目的が達成される点で非常に有利である。
また本発明における中間層は、上述のとおり、その膜厚が0.5μm以上に形成されるが、その上限については特に制限されるものではない。ただし、本発明では、上記中間層を、遮光部の厚みを充分に上回った厚みで形成することによって、中間層の表面(基材とは反対側の面)を平坦化することなく、本発明の所期の目的を達成することができる。換言すると、本発明では、中間層の表面において遮光部の影響により凹凸が形成されていても、所定の膜厚さえ確保されていればよく、該中間層の厚みを、遮光部の厚み以下に設計する態様も可能である。したがって、本発明であれば、遮光部を完全に覆い、表面を平坦化させる程度に充分に厚く中間層を形成する必要が必ずしもないので、所謂平坦化層に比べて、中間層を構成する材料の使用量を少なく抑えることができるという点で有利である。また、所謂平坦化層のように厚くしなくても所期の目的を達成することができる中間層であれば、光学素子の薄膜化の観点からも望ましい。
本発明は、基材面に遮光領域、中間層、位相差層を順に設け、さらに着色層を形成することによって、光漏れのないカラー表示用の光学素子を提供することができる。また本発明の光学素子は、位相差層を所望のパターンにパターニングすることによって、半透過半反射型液晶表示用の光学素子として用いることができる。
上述のとおり、光漏れのない本発明の光学素子を一方側の基板として使用する液晶表示装置であれば、透過型、半透過半反射型、反射型のいずれのタイプの液晶表示装置においても、コントラストの優れた高品質の画像を提供することができる。
本発明の光学素子の一実施形態を示す概略断面図である。 本発明の光学素子の一実施形態を示す概略断面図である。 本発明の光学素子の一実施形態を示す概略断面図である。 従来の光学素子の例を示す概略断面図である。 半透過半反射型液晶表示装置用の本発明の光学素子の一実施態様を示す概略上面図である。 図5に示す光学素子のX−X断面の概略断面図である。 図5に示す光学素子のY−Y断面の概略断面図である。 本発明の半透過半反射型液晶表示装置の概略分解斜視図である。 実施例1を触針式膜厚計で測定した結果を示すグラフである。 比較例3を触針式膜厚計で測定した結果を示すグラフである。 実施例1の光漏れ評価の際の光の透過の状態を示す顕微鏡写真である。 比較例1の光漏れ評価の際の光の透過の状態を示す顕微鏡写真である。 比較例2の光漏れ評価の際の光の透過の状態を示す顕微鏡写真である。 比較例3の光漏れ評価の際の光の透過の状態を示す顕微鏡写真である。
以下に、本発明を実施するための形態について、図を用いて説明する。図1は、本発明の光学素子1の断面図である。光学素子1は、光透過性基板2上に、所望のパターンで形成される遮光部3aと開口部3bとからなる遮光領域3が形成され、次いで中間層4、位相差層5が順に形成され、さらに赤色着色領域6、緑色着色領域7、青色着色領域8からなる着色層9が形成されてなる。上記光学素子1を基材2に対し垂直方向から観察した際に、中間層4は、開口部3bに重なり合う中間層開口部領域Aと、遮光部3aに重なりあう中間層遮光部領域Bとに区別される。また中間層4は、基材2上面から、中間層4の中央部aにおける上面までの厚みが0.5μm以上となるよう形成される。
尚、図1は、中間層開口部領域Aの中央部aをとおり、基材面に垂直な角度から切断した際の断面を示すものである。例えば、基材面上において遮光部が縦横のラインが平行な格子状にパターン形成され、1つずつの開口部が略正方形あるいは略直方形に区画される態様の本発明の場合には、上記断面は、一つの中間層開口部領域における中央部をとおり上記基材面に垂直な角度であって、且つ、平行に隣り合う遮光部の伸長方向に対して垂直な角度で切断することが望ましい。これによって、上記態様の本発明における中間層の膜厚がよりよく観察される。以下に示す光学素子の断面についても、特に断りがない限りは、図1と同様に、中間層開口部領域の中央部をとおり、基材面に垂直な角度から切断した断面であるものとする。
また別の態様の本発明の光学素子11を図2に示す。光学素子11は、中間層として、適切な厚みの第一中間層12と、規定の厚みより薄い第二中間層13を備える以外には、光学素子1と同様に形成される。
またさらなる別の態様の本発明の光学素子21を図3に示す。光学素子21は、遮光部3aの厚みよりも大きい厚みであって、遮光領域3を完全に覆う第一中間層22が設けられ、次いで、第一中間層22の上に規定の厚みより薄い第二中間層23が設けられていること以外は光学素子1と同様に形成される。尚、中間層の厚みを遮光部の厚みよりも1.5倍〜2倍以上に厚くするか、あるいは基材面の平坦化処理を行うことによれば、中間層の表面(基材面とは反対側の表面)を平坦にすることも可能であるが、本発明においては、中間層の表面を平坦化することなく、充分に本発明の所期の目的を達成することができる。
図1乃至図3に示すように、本発明の光学素子1、11、および21は、いずれも基材2上に形成される遮光領域3と位相差層5との間に、少なくとも一層の、膜厚0.5μm以上の中間層を備えることが重要である。ここで、本発明における中間層とは、遮光領域と、位相差層との間において適切な厚みで形成することができる、等方性且つ光透過性の層であれば特に限定されない。たとえば、任意の透明性の樹脂材料で中間層を形成することもできるし、あるいは、位相差層を形成するために予め基材面に形成される配向膜の厚みを適切な厚みとすることによって、本発明の中間層としても機能させてもよい。尚、本発明において遮光領域とは、光が透過可能な開口部と光の透過が防止される遮光部とからなる領域を意味する。したがって、上述する中間層開口部領域は、実際には基材面に直接に接して中間層が形成されることになるが、このように基材面に中間層が接して形成される中間層開口部領域も含めて、本発明における中間層は、遮光領域と位相差層との間に形成される層であるものとする。
より具体的に本発明の実施態様について説明すると、本発明の一実施態様として、図1に示すように中間層は、1層であってよい。中間層が、1層である場合には、当該中間層が0.5μm以上の厚みで形成されればよく、具体的には、透明樹脂層を0.5μm以上で形成するか、あるいは配向膜を0.5μm以上で形成してよい。
また本発明の別の実施態様として、中間層は、図2または図3に示すように2層以上であってもよい。中間層が2層以上設けられる場合には、そのうちの少なくとも1層が0.5μm以上の厚みで形成されればよい。たとえば、第一中間層12または22を透明樹脂層で構成し、さらに第二中間層13または23として従来公知の位相差層形成用の配向膜を形成することができる。
一方、本発明の比較として、従来の光学素子101の断面図を図4に示す。光学素子101は、光透過性基材2の上に、遮光領域3を形成した後、位相差層5を形成するために0.1μmの厚みの配向膜102を設け、次いで位相差層5を形成したこと以外は光学素子1と同様に形成される。即ち、光学素子101に例示されるように従来の光学素子には、本発明において示される0.5μm以上の厚みを備える中間層は存在せず、遮光領域を形成した基板に直接、位相差層を形成するか、図4のように厚みの薄い配向膜を形成し、次いで位相差層を形成していた。かかる従来の光学素子では、上述のとおり遮光部の輪郭部分に光漏れが観察されていた。この光漏れの原因は明らかではないが、遮光部の存在により、位相差層を形成する材料が遮光部の周辺においては所望の方向に配向されず、その結果、配向不良による光漏れが生じるのではないかと推察される。
尚、本発明において光学素子が光漏れするものであるか否かは、偏光顕微鏡において、2枚の偏光板の光軸が90°(クロスニコル)となるように上下に配置し、次いで、上記2枚の偏光板に光学素子を挟み、光学素子の位相差層の遅相軸を2枚の偏光板のどちらかの光軸に合わせ(消光位)、下側の偏光板側から基材面に対し略垂直方向に光を入射した際に、遮光部の輪郭部周辺において光漏れが確認されるか否かで判断することができる。
本発明における中間層の厚みとは、上記基材面に対し垂直方向から平面視した際に、中間層を、開口部と重なりあう領域(以下、「中間層開口部領域」ともいう)と、遮光部に重なりあう領域(以下、「中間層遮光部領域」ともいう)とに区別し、一つの中間層開口部領域の中央部において測定される該中間層の膜厚をいう。1つの光学素子における中間層の膜厚を測定する際には、任意で選択した5つの中間層開口部領域における中央部の膜厚を測定し、その平均を算出することによって、該光学素子の膜厚とする。具体的には当該厚みの計測は、任意の5つの中間層開口部領域を選択し、それぞれの中間層開口部領域の中央部において、光透過性基材表面から、中間層の表面までの距離を計測し、その平均値で示される値を算出することにより行われる。尚、完成された光学素子の断面から中間層の厚みを計測する場合には、光学素子を中間層開口部領域の中央部を含む断面で切断し、その電子顕微鏡写真(SEM)を観察することにより計測することができる。また光学素子の形成途中においては、中間層開口部領域の中央部を含むラインにおいて、触針式膜厚計で、実際に中間層の厚みを計測することにより求められる。いずれの計測においても、1つのサンプルにおいて、任意の5つの中間層開口部領域を選択し、それぞれの中間層開口部領域の中央部において計測されたデータの平均値を算出することによって中間層の膜厚を得ることができる。上記触針式膜厚計としては、例えば小坂研究所製SURFCORDER ET400Lを挙げることができる。
上記中間層の厚みの下限を0.5μm以上とする理由は、遮光部の厚みとの関係において説明される。即ち、光学素子内に設けられる遮光部は、該光学素子を透過する光を遮光するために設けられる領域であることから、その目的を達成するために適切な厚みが存在する。光学素子において遮光部が充分に光を遮光するためには、OD値(Optical Density、Absorbance、吸光度)が3.0から4.0程度、必要であると一般的に理解されている。使用される遮光部形成材料によっても異なるが、上記OD値は、厚みが0.6μm以上、好ましくは0.7μm以上、より好ましくは1μm以上の遮光部であれば、充分に発揮される。したがって、本発明の光学素子は、遮光部が適切な厚み、即ち、0.6μm以上、あるいは0.7μm以上、さらには1.0μm以上の厚みで設計された場合において、本発明の所期の目的を達成可能な中間層の厚みを検討し、当該厚みが0.5μm以上であるということを見出したものである。
また本発明における中間層の厚みの上限については、本発明の所期の目的を達成するという点からは、特に限定されるものではない。ただし必要以上に中間層を厚くすることは、光学素子の厚みをいたずらに増加させ、あるいは中間層形成材料の増大によりコストを増加させる可能性があるため留意する必要がある。したがって、中間層の厚みは0.5μm以上であって、用いられる中間層形成材料の種類、あるいは、形成される遮光部の厚み、位相差層形成材料などの他の構成部材について勘案して適宜決定してよい。
尚、本発明は、中間層の厚みを遮光部の厚みより充分に厚くすることによって、あるいは、中間層の厚みを遮光部を上回る厚みにし、且つ平坦化処理することによって、中間層の表面(基材とは反対側の面)を平坦化させる必要は必ずしもない。即ち、図1または図2に示すように、中間層の厚みを遮光部の厚み以下に形成した場合、あるいはまた、図3に示すように、中間層の厚みが遮光部の厚みより厚く形成されるが該中間層の表面に凹凸が存在する場合のいずれにおいても、中間層の厚みが0.5μm以上であれば、充分に遮光部の輪郭部分における光漏れの問題を解決することができる。ただし、上述の記載は、表面が平坦化された中間層を備える態様の光学素子を本発明から除外する趣旨ではない。
尚、本発明において遮光部の厚みとは、上述のとおり、一つの中間層開口部領域における中央部をとおり上記基材面に垂直な角度で切断した際に現れる断面において、基材面を下方向としたときに凸状に表れる複数の遮光部のうちの任意の5つを選択し、それぞれ、基材面から、選択された遮光部の凸状の最も高い箇所までの距離を測定し、それを平均して算出される値をいう。具体的な測定は、上述する中間層と同様の方法で実施することができるため、本段落ではその記載を割愛する。
以下に、本発明の光学素子の詳細について、構成層ごとに順に説明する。
[光透過性基材]
本発明において用いられる光透過性の基材は、一つの基板形成材により単層で構成されても、複数種類の基板形成材にて多層に構成されてもよい。また上記光透過性基材の光線透過率は、適宜選定可能である。光透過性の基材の具体例としては、ガラス、シリコン、もしくは石英等の無機基材で構成することが好ましいが、次に列挙するような有機基材から構成することもできる。有機基材としては、ポリメチルメタクリレート等のアクリル、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、トリアセチルセルロース、ポリカーボネート、もしくは熱可塑性ポリイミド等からなるものを挙げることができるが、一般的なプラスチックからなるものも使用可能である。特に液晶表示装置に用いられることが予定される場合には、上記基板として、無アルカリガラスを用いることが好ましい。上記光透過性基材の厚みは、特に限定されるものではなく、用途に応じ、例えば、50μm〜数mm程度のものが使用されることが一般的である。
[遮光領域]
本発明における遮光領域は、黒色着色剤を含有する樹脂組成物を用いて、対象面である光透過性の基材の表面に直接又は間接に所定形状及び所定のパターンの遮光部を印刷する転写方式により形成し、これによって区画される開口部と上記遮光部とより構成することができる。あるいは、黒色着色剤を含有する塗料タイプの感光性樹脂組成物を用いて、塗布、パターン状露光および現像を行うことにより遮光部を形成してもよい。上記遮光部の形成パターンは、一般的には矩形格子状が採用されるが、例えばストライプ状、三角格子状などそのパターンは設計変更により適宜決定することができる。また遮光部の厚みは、上述のとおり、光学素子において充分なOD値を発揮するためには、0.6μm以上、好ましくは、0.7μm以上、より好ましくは1.0μm以上であることが望ましく、またその上限は特に規定はないが、2μm程度であることが一般的である。
[中間層]
本発明における中間層は、上述のとおり、等方性であって光透過性の層であればよい。具体的には、透明樹脂層や位相差層形成用として従来公知の配向膜を挙げることができる。尚、半透過半反射型液晶表示装置の一方側の基板として使用が予定される光学素子を形成する場合には、位相差層は、透過部領域には形成されず、反射部領域に選択的にパターン形成されるため、本発明において課題とする光漏れは、位相差層が形成される領域に重複する遮光領域において発生する。したがって、かかる場合には、中間層は、少なくとも位相差層の形成が予定される領域において形成されればよいが、中間層のパターン形成の工程上の手間を省略するために、遮光領域が形成された基材面上略全面に中間層を形成し、その上面に、位相差層をパターン形成してもよい。
上記透明樹脂層は、光学素子内において一般的に保護層を形成する際に用いられる保護層形成材を用いて形成することができる。たとえば、感光性樹脂を含有する樹脂組成物などを用いて形成することができ、市販品の例としては例えば、新日鐵化学株式会社製V259PAを挙げることができる。
また透明樹脂層を形成するための別の透明樹脂層形成材料としては、少なくとも重合性透明樹脂材料と光重合開始剤及び溶剤とを含む透明樹脂層形成材料、或いはアルカリ可溶性ポリマー及び多官能重合性モノマー、光重合開始剤及び溶剤とを含む透明樹脂層形成材料を挙げることができる。重合性透明樹脂材料としては、例えば、アクリル系やウレタン系の樹脂や、アクリル系やウレタン系のモノマーなどの電離放射線を照射することにより重合可能な光透過性の樹脂材料を挙げることができる。光重合開始剤としては、波長250nm〜400nmに分解吸収波長を有し、通常のレジストインキに使用される材料であれば特に制限は無い。また上記溶剤としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸3−メトキシブチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、シクロヘキサノン等、通常のレジストインキに用いられる溶剤であれば特に制限なく使用できる。また、アルカリ可溶性ポリマーとしては、側鎖に酸性基を導入し、アルカリ可溶なポリマーであれば特に限定されないが、一般的には(メタ)アクリル酸とメタクリル酸メチル、或いは/及び各種モノマーとの共重合体が用いられる。更に、多官能重合性モノマーとしては、(メタ)アクリレート基を2〜6官能有するものが用いられ、市販品としては、M−208(東亞合成社製)、M−315(東亞合成社製)、M−450(東亞合成社製)、SR−399E(日本化薬社製)、KAYARAD DPHA(日本化薬社製)等が上げられるが、重合可能なモノマーであれば特に限定されない。
透明樹脂層は、上述するような材料を用い、遮光領域が形成された基材面に、スピンコーティング方法、ダイコーティング方法、インクジェット法、フレキソ印刷などの従来公知の方法を適宜選択して塗布し塗膜を形成し、次いで、用いられる樹脂が感光性樹脂である場合には、上記塗膜を露光し、中間層を形成することができる。露光の前後において加熱処理を行ってもよい。また半透過半反射型液晶表示装置用の光学素子を作成する場合などにおいて、中間層をパターン形成したい場合には、フォトレジスト法により、部分露光した後、現像を行い、不要な部分を除去してパターン形成してもよい。
また中間層として、位相差層形成用の配向膜が形成される場合には、その厚みに留意する点以外は、従来公知の配向膜と同様の材料及び同様の方法で形成することができる。即ち、配向膜材料としては、一般的にはポリイミドなどの配向性樹脂が用いられる。配向膜材料として公知の市販品としては、日産化学(株)製の配向膜材料(サンエバー)、日立化成デュポンマイクロシステムズ(株)製の配向膜材料(QL,LXシリーズ)、JSR(株)製の配向膜材料(ALシリーズ)、チッソ(株)製の配向剤(リクソンアライナー)などを挙げることができる。
上記配向膜は、遮光領域が形成された基材面、あるいは透明樹脂層などの他の中間層が形成されたさらにその上面に、上述する材料を、上述する従来公知の塗布方法によって塗布して塗膜を形成し、次いで、オーブンなどの加熱装置を用いて加熱した後、塗膜表面をラビング処理、あるいは光配向処理することにより作製することができる。ただし上記ラビング処理や光配向処理は必ずしも行わなくても良い場合がある。また配向膜形成基材面に酸化ケイ素を斜め蒸着することで配向膜を形成することもできる。尚、中間層として、配向膜のみを形成する場合には、当該配向膜は0.5μm以上で形成する必要がある。一方、透明樹脂層などの他の中間層と組み合わせて配向膜を形成する場合であって、他の配向膜が0.5μm以上の厚みで形成される態様であれば、該配向膜は、従来の配向膜として一般的に採用される厚み、例えば、0.05μm〜0.15μm程度の厚みで形成すればよい。
[位相差層]
本発明における位相差層は、光学素子を透過する光の位相差を制御する機能を有する層であって、光学素子内に層形成されるものである。
本発明における位相差層は、熱重合あるいは電離放射線重合可能な重合性液晶化合物より構成することができる。より詳しくは、中間層が形成された基材表面に、重合性液晶化合物を含有する位相差層形成用樹脂組成物を塗布して塗膜を形成し、該塗膜中に存在する重合性液晶分子を所望の方向に配向させた後、その配向状態を保持したまま重合させることにより固定化することによって位相差層を形成することができる。尚、本明細書において電離放射線重合可能な化合物とは、電離放射線を照射することにより重合反応を起こす化合物を意味する。また本明細書において電離放射線とは、紫外線などを含む電磁波、及び電子線などを含み分子を重合し得るエネルギー量子を有する粒子線のいずれをも含む。 あるいはまた、本発明における位相差層は、上述する重合性液晶化合物ではなく、ポリマーを用いて形成してもよい。例えば、自己配向性能を有するポリイミドの構造を持つ平面性の高い高分子材料を基材面に塗布して位相差層を形成してもよい。
上記位相差層形成用樹脂組成物を、基材面に塗布する方法は、透明樹脂層形成用の樹脂組成物を基材面に塗布する際に実施可能の従来公知の塗布方法と同様である。特に、液晶性組成物を均一に塗布するが容易であるという観点からは、スピンコーティング方法が好ましい。尚、位相差層を塗布する前に、下地によってはUV洗浄やプラズマ処理を施して、液晶組成液を塗布しようとする配向膜表面の濡れ性を予め高めておいてもよい。
上述のとおり、位相差層形成用樹脂組成物を基材面に塗布して塗膜を形成した後、続いて、基材ごと塗膜を加熱し、塗膜に含まれる溶剤を除去するとともに、該塗膜中に存在する重合性液晶化合物を液晶相が発現する温度にまで昇温させて所望の方向に配向させる。上記加熱の温度及び時間は、液晶組成物に含まれる液晶化合物の特性に応じて変動しうるが、通常、60℃〜120℃で数分〜30分間程度の範囲で行われる。
そして、液晶化合物を一定方向に配向させた状態を維持しつつ、電離放射線を照射して重合させることにより液晶化合物を固定化させる。上記電離放射線として一般的には、波長200〜500nm程度の紫外線が選択され、高圧水銀ランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプ等などによって照射される。このときの、紫外線の照射光量は、重合性液晶化合物の種類や組成、光重合開始剤の種類や量等によって異なるが、通常、10〜3000mJ/cm程度の範囲である。
また、位相差層をパターン形成する場合には、フォトリソグラフィ法により、基材面に位相差層を部分的に形成してもよい。即ち、基材面に位相差層形成用樹脂組成物を塗布して塗膜を形成し、所定のパターンにて形成されたフォトマスクを介して電離放射線を照射し、液晶化合物の重合反応が十分に進んだ部分と、液晶化合物の重合反応が不十分な部分とを作出する。その後、液晶分子の重合反応が不十分で未硬化な状態にある液晶組成物を溶解可能な溶液に浸漬することにより、上記塗膜において液晶分子の重合反応が進まなかった部分を基材面から除去する(現像処理)ことによって、位相差層をパターン形成することができる。
上記位相差層を構成する重合性液晶化合物の配向方向を所望の方向に設計して形成することのできる位相差層の種類は、いわゆる正のAプレート、正のCプレート、負のCプレートなどから選択可能である。一般的に、半透過半反射型液晶表示装置における反射部領域に選択的にパターニングされる位相差層は、いわゆる正のAプレートとして形成される。また透過型液晶表示装置などにおいて、光学補償のために形成される位相差層は、例えば、上記正のAプレート以外にも、いわゆる正のCプレートとして形成することができ、あるいは別の態様として、いわゆる負のCプレートとして形成することもできる。さらに、1つの光学素子内において正のAプレート、正のCプレート、及び負のCプレートを任意の組合せで積層させることも可能である。尚、上記正のAプレートは、一般的に、光軸が基材面に対して略平行であり正の屈折率異方性をもつものと理解されるが、このとき「光軸が上記基材面に対して略平行であり」とは、正面(0°)から測定した589nmにおける位相差を100とした場合に、(位相差層の遅相軸に沿って測定角度を変え)±45°から測定した位相差の差が0であれば、基板に対して光軸が平行と理解されるが、上記位相差の差が25程度であれば許容されるとの趣旨である。また上記正のCプレートとは、一般的に、光軸が基材面に対して略垂直であり正の屈折率異方性をもつものと理解され、上記負のCプレートとは、一般的に光軸が基材面に対して略垂直であり負の屈折率異方性をもつものと理解される。
上記位相差層を形成する際に用いられる重合性液晶化合物としては、棒状の分子構造を有する棒状重合性液晶化合物、あるいは円盤状の分子構造を有する、所謂ディスコティック重合性液晶化合物を用いることができる。特には、棒状重合性液晶化合物を好ましく用いることができ、例えば特表平10−508882号に開示されているようなものを使用することができる。より具体的な棒状重合性液晶化合物の例として示す重合性のネマチック液晶分子としては、例えば、1分子中に(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、オキセタン基、イソシアネート基等の重合性基を少なくとも1個有するモノマー、オリゴマー、ポリマー等が挙げられる。また、このような棒状重合性液晶化合物として、より具体的には、下記化1に示す一般式(1)で表される化合物または下記化2に示す一般式(2)で表される化合物のうちの1種もしくは2種以上の混合物、化3または化4に示す化合物のうちの1種或いは2種以上の混合物、またはこれらを組み合わせた混合物を用いることができる。
化1に示す一般式(1)において、RおよびRは、それぞれに、水素またはメチル基を示すが、架橋性液晶分子が液晶相を示す温度の範囲をより広くするには少なくともR及びRのどちらか一方が水素であることが好ましく、両方が水素であることがより好ましい。また一般式(1)におけるX及び化2に示す一般式(2)のYは、水素、塩素、臭素、ヨウ素、炭素数1〜4のアルキル基、メトキシ基、シアノ基またはニトロ基のいずれであってもよいが、塩素またはメチル基であることが好ましい。また、一般式(1)の分子鎖両端の(メタ)アクリロイロキシ基と芳香環との間のアルキレン基の鎖長を示すaおよびb並びに、一般式(2)におけるdおよびeは、それぞれ個別に2〜12の範囲で任意の整数をとり得るが、3〜10の範囲であることが好ましく、4〜8の範囲であることがさらに好ましい。a=b=0である一般式(1)の化合物(I)またはd=e=0である一般式(2)の化合物(II)は安定性に乏しく、加水分解を受けやすい上に、化合物(I)または(II)自体の結晶性が高い。また、aおよびb、あるいはdおよびeがそれぞれ13以上である一般式(1)の化合物(I)または一般式(2)の化合物(II)は、等方相転移温度(TI)が低い。この理由から、これらの化合物は、どちらについても液晶性を安定的に示す温度範囲(液晶相を維持する温度範囲)が狭いものとなり、本発明の液晶組成物中に含有される液晶性化合物として用いるには好ましくない。
尚、上記重合性液晶化合物と共に、液晶組成物中に含まれる添加剤としては、従来公知の添加剤を適宜使用することができる。より具体的な添加剤の例としては、光重合開始剤、熱重合開始剤、界面活性剤、カイラル剤、増感剤、シランカップリング剤などが挙げられる。
位相差層の位相差(リタデーション)は、公知のリタデーション測定装置や顕微分光測定装置を使用して測定することができる。具体的には、RETS−1250VA(大塚電子社製)にて測定することができる。
また別の方法では、オリンパス社製の顕微分光測定装置OSP−SP200と偏光板2枚を用いて、回転検光子法によって算出することができる。具体的には、まず、顕微分光測定装置に、偏光板2枚の光軸がパラレルとなるようにそれら2枚の偏光板を上下に配置し、偏光板の光軸に対して位相差層の光軸が45°の角度をなすように2枚の偏光板で光学素子を挟み、下側の偏光板から入射されて上側の偏光板を透過した光の分光透過率を測定する。次に、上側の偏光板を90°回転させることで、2枚の偏光板をそれらの光軸がクロスするような状態とし、上記と同様の光の分光透過率を測定する。測定結果に基づき、各画素を通る光についての位相差を、回転検光子法によって算出する。
[着色層]
本発明における着色層は、カラー表示可能な液晶表示装置に用いられる光学素子を提供する場合には形成される層である。したがって、白黒表示用の光学素子である本発明の場合には、着色層は必須の構成要件ではない。着色層は、赤、緑、青の3色の着色領域から構成されるフルカラー可能な着色層が一般的であるが、着色領域は、単色、2色あるいは、4色以上であってもよい。また2色以上の着色領域から着色層が構成される場合には、各着色領域は、開口部領域を覆って色毎に帯状に配列されてもよいし、あるいは開口部毎にモザイク型、トライアングル型など種々の配置でパターン形成されもよい。
上記着色層は、各着色領域を形成する着色剤が溶解もしくは分散された、好ましくは微細顔料が分散された樹脂組成物を用いて着色領域毎にパターン形成されて構成される。より詳しくは、所定の色に着色したインキ組成物を調製して、各色パターン毎に印刷することによって形成されるか、あるいは所定の色の着色剤を含有した塗料タイプの感光性樹脂組成物を用いて、フォトリソグラフィ法によって形成される。着色層の厚みは、1μm〜5μm程度の範囲内において形成されることが一般的である。
尚、上述では位相差層に次いで、任意で着色層を形成してよいことを説明したが、上述は、本発明の光学素子において位相差層と着色層との間に、他の層を形成することを除外する趣旨ではない。例えば、位相差層上に基材面を平坦化させるための等方性且つ光透過性の平坦化層などを設けることもできる。
次に、本発明の光学素子を用いて作製される液晶表示装置について、半透過半反射型液晶表示装置を例に説明する。図5〜図7は、半透過半反射型液晶表示装置の一方側の基板として用いることのできる本発明の光学素子の一実施態様を示す図面である。図5は、半透過半反射型液晶表示装置の一方側の基板として用いることのできる本発明の光学素子31の基材面に対して垂直方向上面側から観察した上面図である。尚、光学素子31の構成における上下方向は、光透過性の基材面を下方向としたときの上下方向を意味する。
光学素子31は、図示しない光透過性基材上に、透過部33と反射部34とを設けるようパターニングされた遮光領域32が形成されている。尚、透過部33および反射部34は、いずれも本発明の光学素子における開口部として理解される。そして、図示しない中間層である透明樹脂層及び、配向膜が順に、遮光領域32が設けられた基板面略全面に形成された後、反射部34を覆う位置であって紙面左右方向の帯状に位相差層35がパターン形成され、ついで、紙面上下方向に赤色着色領域36、緑色着色領域37、青色着色領域38が帯状に並列して形成されて、光学素子31が完成される。尚、赤色着色領域36、緑色着色領域37、及び青色着色領域38によって着色層が構成されている。
図6に、図5に示す光学素子31のX−X断面図を示す。図6に示されるように、光学素子31には、光透過性基板39の上面に、遮光部32aと開口部32bとからなる遮光領域32がパターン形成されており、図6に示す遮光部32a間(即ち開口部32b)はいずれも透過部34に該当する。そして、遮光領域32が形成された基材面には、中間層である透明樹脂層40と、配向膜41とが順に設けられている。尚、透明樹脂層40は、本発明の中間層として充分な厚み(即ち0.5μm以上の厚み)の層であり、一方、配向膜41は、従来の配向膜と同様の厚み(即ち0.1μm程度)に形成される。
また光学素子31は、半透過半反射型液晶表示装置用の光学素子であるので、切断する角度を変えると、断面の構成は図6に示されるものとは異なる。即ち、図5に示す光学素子31をY−Y断面で切断した断面図として図7を示す。図7から明らかなとおり、Y−Y断面では、透過部33と反射部34とが交互に並んでおり、位相差層35は、反射部34領域に選択的に形成されている。また中間層である透明樹脂層40及び配向膜41は、本発明の所期の目的から鑑みれば、少なくとも反射部34上であって位相差層35の下面に設けられていればよいが、光学素子31では、透明樹脂層40及び配向膜41はパターン形成せずに、基材面略全面に設ける態様が採用されている。
次に、図5に示す光学素子31を一方側の基板とする、半透過半反射型液晶表示装置51について図8を用いて説明する。図8は各層の相対的な位置関係を示すための分解斜視図であって、実際の液晶表示装置における各構成層が図示のように離れているものではない。
半透過半反射型液晶表示装置51は、表示側基板として用いられる光学素子31が用いられ、一方、これに対向する基板として、薄膜トランジスタ(TFT)が設けられるとともに(TFTについては図示せず)、基材62の一方側の面において、光学素子31の反射部34の位置に併せて設けられた反射板63を有し(反射板63の非設置領域が光が透過される透過部33に対応している)、さらに、ITO等の透明導電膜からなる透明電極(図示せず)が積層され、そしてその透明電極を覆うように配向膜(図示せず)が形成されてなる対向基板61が用いられる。また光学素子31及び対向基板61には、基材39及び基材62の互いに対向する面とは反対側の面において、それぞれ、図面の手前から奥に向かう方向に対して反時計回りに135°の方向に光の吸収軸がある偏光板52aと、光の吸収軸が図面の手前から奥に向かう方向に対して反時計回りに45°の方向である偏光板52bが設置される。
そして対向する光学素子31と対向基板61との間には、駆動用液晶材料からなる液晶層53が設けられ、また対向基板61の外側には、透過部33を透過する光を与えるためのバックライト(図示せず)が備えられて構成される、駆動方式をVA(Vertical Aligned)モードとする半透過半反射型液晶表示装置51が完成される。尚、図示はしないが、VAモードの液晶表示装置の場合には、赤色着色領域36、緑色着色領域37、青色着色領域38から構成される着色層と、液晶層53との間にさらに透明電極膜が設けられてよい。さらに透明電極上に、配向・駆動電圧・セルギャップを規制するための樹脂組成物による構造物や、配向膜が設けられてよい。ただし以上に説明する半透過半反射型液晶表示装置51は、本発明の液晶表示装置の一実施態様にすぎず、本発明の液晶表示装置を何ら限定するものではない。本発明の液晶表示装置には、透過型液晶表示装置、反射型液晶表示装置などの他のタイプの液晶表示装置が含まれ、また本発明の半透過半反射型液晶表示装置は、VAモードの液晶表示装置に限定されるものではなく、TN(Twisted Nematic)モード、IPS(In Plane Switching)モードなどの他の駆動方式が採用される液晶表示装置に適宜使用される。
実施例および比較例を実施するために、予め、光透過性基材として、低膨張率無アルカリガラス板(コーニング社製1737ガラス 100mm×100mm、厚み0.7mm)を準備して洗浄処理を施した。また、以下に示すとおり、遮光領域(遮光部)、着色領域、中間層、および位相差層の形成用組成物(フォトレジスト)を調製した。
(遮光領域(遮光部)、中間層、および位相差層の形成用組成物の調製)
顔料分散型フォトレジストは、着色材料として顔料を用い、分散液組成物(顔料、分散剤及び溶剤を含有する)にビーズを加え、分散機で3時間分散させ、その後ビーズを取り除いた分散液とクリアレジスト組成物(ポリマー、モノマー、添加剤、開始剤及び溶剤を含有する)とを混合したものである。その組成を下記に示す。尚、分散機としては、ペイントシェーカー(浅田鉄工社製)を用いた。
遮光領域(遮光部)形成用のフォトレジストの組成は以下のとおりである。
・黒顔料・・・・・14.0重量部
(大日精化工業(株)製、TMブラック♯9550)
・分散剤・・・・・1.2重量部
(ビックケミー(株)製、ディスパービック111)
・ポリマー・・・・・2.8重量部
(昭和高分子(株)製、(メタ)アクリル樹脂、品番:VR60)
・モノマー・・・・・3.5重量部
(サートマー(株)製、多官能アクリレート、品番:SR399)
・添加剤(分散性改良剤)・・・・・0.7重量部
(綜研化学(株)製、ケミトリーL−20)
・開始剤・・・・・1.6重量部
(2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1)
・開始剤・・・・・0.3重量部
(4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン)
・開始剤・・・・・0.1重量部
(2,4−ジエチルチオキサントン)
・溶剤・・・・・75.8重量部
(エチレングリコールモノブチルエーテル)
赤色着色領域形成用フォトレジストの組成は以下のとおりである。
・赤色顔料(C.I.PR254)・・・・・3.5重量部
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、クロモフタールDPP Red BP)
・黄顔料(C.I.PY139)・・・・・0.6重量部
(BASF社製、パリオトールイエローD1819)
・分散剤・・・・・3.0重量部
(ゼネカ(株)製、ソルスパース24000)
・ポリマー1(下記参照)・・・・・5.0重量部
・モノマー・・・・・4.0重量部
(サートマー(株)製、多官能アクリレート、品番:SR399)
・開始剤・・・・・1.4重量部
(チバ・ガイギー(株)製、イルガキュア907)
・開始剤・・・・・0.6重量部
(2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール)
・溶剤・・・・・85.4重量部
(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
上記ポリマー1は、ベンジルメタクリレート:スチレン:アクリル酸:2−ヒドロキシエチルメタクリレート=15.6:37.0:30.5:16.9(モル比)の共重合体100モル%に対して、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを16.9モル%付加したものであり、重量平均分子量は42500である。以降の記載においても同様である。
緑色着色領域形成用フォトレジストの組成は、上記赤色着色領域形成用フォトレジストの組成における赤色顔料及び黄色顔料に替えて、下記の内容を採用した以外は、赤色着色領域形成用フォトレジストと同様である。
・緑色顔料(C.I.PG7)・・・・・3.8重量部
(大日精化製、セイカファストグリーン5316P)
・黄色顔料(C.I.PY139)・・・・・2.2重量部
(BASF社製、パリオトールイエローD1819)
青色着色領域形成用フォトレジストの組成は、上記赤色着色領域形成用フォトレジストの組成における赤色顔料、黄色顔料、及び分散剤に替えて、下記の内容を採用した以外は、赤色着色領域形成用フォトレジストと同様である。
・青色顔料(C.I.PB15:6)・・・・・4.6重量部
(BASF社製、ヘリオゲンブルーL6700F)
・紫色顔料(C.I.PV23)・・・・・1.4重量部
(クラリアント社製、フォスタパームRL−NF)
・顔料誘導体・・・・・0.6重量部
(ゼネカ(株)製、ソルスパース12000)
・分散剤・・・・・2.4重量部
(ゼネカ(株)製、ソルスパース24000)
中間層である透明樹脂層形成用フォトレジストの組成は、以下のとおりである。
・モノマー・・・・・14.0重量部
(サートマー(株)製、SR399)
・ポリマー1・・・・・10.0重量部
・開始剤・・・・・2.0重量部
(チバガイギー(株)製、イルガキュア907)
・開始剤・・・・・1.0重量部
(チバガイギー(株)製、イルガキュア365)
・溶剤・・・・・73.0重量部
(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
位相差層形成用の液晶組成液の組成は以下のとおりである。
・重合性液晶材料・・・・・28.75重量部
(上記化2において、a及びbが6、XがCHである重合性液晶化合物)
・光重合開始剤・・・・・1.25重量部
(チバガイギー(株)製、イルガキュア907)
・溶剤・・・・・70.0 重量部
(ジエチレングリコールジメチルエーテル)
[実施例1]
以上に示す光透過性基材及び各組成物を用いて、以下に示すとおり、遮光領域、中間層である透明樹脂層、配向膜および位相差層を順に形成して光学素子を形成し、実施例1とした。まず上記洗浄済みの光透過性基材上に、上記遮光領域形成用フォトレジストをスピンコート法で塗布し、減圧乾燥により溶剤を減じ、80℃、3分間の条件でプリベークし、フォトマスクを用いて露光(100mJ/cm)し、続いて0.05%KOH水溶液を用いたスプレー現像を60秒行った後、230℃、30分間ポストベークし、膜厚1.1μmの遮光部を矩形の格子状パターンで形成し、これと区画される開口部とより、遮光領域を形成した。
次に、上述のとおり遮光領域を作成した基材面上に、上記透明樹脂層形成用フォトレジストをスピンコート法で塗布し、減圧乾燥により溶剤を減じ、80℃、3分間の条件でプリベークし、フォトマスクを用いて露光(100mJ/cm)し、230℃、30分間ポストベークし、膜厚0.5μmの透明樹脂層を中間層として製膜した。
続いて、上記中間層表面に、配向膜形成用の組成物(JSR株式会社製、AL1254)をスピンコーターを用いて塗布し、次いで、230℃のオーブン内で30分加熱し、膜厚0.1μmの塗布膜を形成した。そしてラビング装置を用いて、上記塗布膜表面をラビングすることによって配向処理を施し、位相差層形成用の配向膜を形成した。その後、上記配向膜上に、上記位相差層形成用の液晶組成液をスピンコーターを用いて塗布して液晶塗布膜を得て、80℃、3分間の条件でプリベークした後、露光(200mJ/cm)した。続いて、メチルメチルケトン(MEK)を用いてバット現像を5秒間行った後、230℃、30分間ポストベークし、膜厚1.5μm程度の位相差層を得た。以上により、光透過性基材面上に、遮光領域、中間層、配向膜、及び位相差層を備える光学素子を完成し、これを実施例1とした。尚、上記バット現像は、パターニングして形成される位相差層との形成条件を合わせるために行ったもので、実施例1では、位相差層は特にパターニングせず、基材面略全面に形成した。
<中間層の膜厚の測定>
実施例1の形成工程において、遮光領域、中間層、位相差層の各形成工程後に、格子状に形成される遮光部により区画される開口部において、その中央部、及び対向する2辺の遮光部の中間を通過するラインにおいて、遮光部の厚み及び、中間層の厚み、及び位相差層の厚みを触針式膜厚計で測定した。測定結果を示すグラフを図9に示す。図9において、遮光領域の上面高さを示すライン103、中間層の上面高さを示すライン104、位相差層の上面高さを示すライン105として示されるグラフから明らかなとおり、中間層は、その中央部aにおいて、膜厚が約0.5μmで形成されていることが確認された。また遮光部の上部において中間層の盛り上がりが確認され、当該盛り上がりの影響で、遮光部の上面から側面へかけての肩のラインは完全に中間層に覆われていることが理解される。尚、触針式膜厚計は、小坂研究所製SURFCORDER ET400Lを使用した。
<光漏れ評価>
上述のとおり得られた実施例1について、以下のとおり光漏れ評価を行った。まず、偏光顕微鏡において、2枚の偏光板の光軸が90°(クロスニコル)となるように上下に配置し、次いで、上記2枚の偏光板に実施例1を挟み、実施例1の位相差層の遅相軸を2枚の偏光板の光軸どちらかに合わせ(消光位)、下側の偏光板側から基材面に対し略垂直方向に光を入射した際に、実施例1における遮光部の輪郭部周辺において光漏れが確認されるか否かを顕微鏡観察において判断した。この結果、実施例1は、光漏れは確認されなかった。実施例1の光漏れ評価の際の光の透過の状態を示す偏光顕微鏡写真を図11に示す。
尚、偏光顕微鏡は、オリンパス株式会社製BX50を用いた。実施例1の1つの画素は100μm×300μm程度である。後述する実施例及び比較例についても同様である。
[実施例2]
形成される中間層の膜厚を1.0μmとしたこと以外は、実施例1と同様に光学素子を作製し、これを実施例2とした。実施例2について、実施例1と同様に、遮光部、中間層、および位相差層の膜厚の測定を実施し、中間層の中央部において、膜厚が約1.0μmであることを確認した(図示省略)。また実施例2について、実施例1と同様に光漏れ評価を行ったところ、光漏れは確認されなかった(図示省略)。
[実施例3]
形成される中間層の膜厚を2.0μmとしたこと以外は、実施例1と同様に光学素子を作製し、これを実施例3とした。実施例3について、実施例1と同様に、遮光部、中間層、および位相差層の膜厚の測定を実施し、中間層の中央部において、膜厚が約2.0μmであることを確認した(図示省略)。また実施例3について、実施例1と同様に光漏れ評価を行ったところ、光漏れは確認されなかった(図示省略)。
[実施例4]
実施例1と同様に光学素子を形成した後、上記位相差層が形成された基材面上に、緑色着色領域形成用フォトレジストをスピンコート法で塗布し、減圧乾燥により溶剤を減じ、80℃、3分間の条件でプリベークし、フォトマスクを用いて露光(100mJ/cm)し、続いて0.05%KOH水溶液を用いたスプレー現像を60秒行った後、230℃、30分間ポストベークし、膜厚1.2μmの緑色着色領域を帯状のパターンで製膜した。同様に、赤色着色領域及び青色着色領域を形成して、3色の着色領域からなる着色層を形成した。以上により、光透過性基材面上に、遮光領域、中間層、配向膜、位相差層、及び着色層を備える光学素子を完成し、これを実施例4とした。実施例4について、実施例1と同様に、遮光部、中間層、および位相差層の膜厚の測定を実施し、中間層の中央部において、膜厚が約0.5μmであることを確認した(図示省略)。また実施例4について、実施例1と同様に光漏れ評価を行ったところ、光漏れは確認されなかった(図示省略)。
[比較例1]
中間層を形成しなかったこと以外は、実施例1と同様に光学素子を作製し、これを比較例1とした。比較例1について、実施例1と同様に光漏れ評価を行ったところ、遮光部の輪郭を縁取るように、はっきりとした光漏れが確認された。比較例1の光漏れ評価の際の光の透過の状態を示す偏光顕微鏡写真を図12に示す。
[比較例2]
形成される中間層の膜厚を0.1μmとしたこと以外は、実施例1と同様に光学素子を作製し、これを比較例2とした。比較例2について、実施例1と同様に、遮光部、中間層、および位相差層の膜厚の測定を実施し、中間層の中央部において、膜厚が約0.1μmであることを確認した(図示省略)。また比較例2について、実施例1と同様に光漏れ評価を行ったところ、比較例1よりはやや劣るが、遮光部の輪郭を縁取るように光漏れが確認された。比較例2の光漏れ評価の際の光の透過の状態を示す偏光顕微鏡写真を図13に示す。
[比較例3]
形成される中間層の膜厚を0.2μmとしたこと以外は、実施例1と同様に光学素子を作製し、これを比較例3とした。比較例3について、実施例1と同様に、遮光部、中間層、および位相差層の膜厚の測定を実施した。測定結果を示すグラフを図10に示す。図10において示される遮光領域の高さを示すライン106、中間層の膜厚を示すライン107、位相差層の高さを示すライン108及び、中間層の中央部aから、中間層の膜厚が約0.2μmで形成されていることが確認された。また遮光部の上部においては、中間層の厚みが非常に薄くなり、遮光部の上面から側面にかけての肩のラインがほぼそのまま表れていることが理解される。また比較例3について、実施例1と同様に光漏れ評価を行ったところ、比較例2よりはやや劣るが、遮光部の輪郭領域においてまだらに光漏れが確認された。比較例3の光漏れ評価の際の光の透過の状態を示す偏光顕微鏡写真を図14に示す。
以上に示すとおり、実施例1乃至4では、いずれも光漏れ評価において、光漏れは確認されず、良好な光学素子が作製されていることが確認された。一方、比較例1乃至3では、いずれも光漏れが確認された。これにより、遮光領域上に、着色層などの従来層を形成するに先んじて、位相差層を形成する場合に、膜厚が0.5μm以上の中間層を設けた場合には、遮光部の輪郭周辺からの光漏れが良好に防止されることが確認された。
また、上述のとおり光漏れのない本発明の光学素子を一方側の基板として、液晶表示装置を作製した場合には、比較例に示される従来の光学素子を用いた場合に比べて、提供される画像のコントラストが非常に大きくなり、高品質な画像となることが理解される。
1、11、21、31 本発明の光学素子
2、39 光透過性基板
3、32 遮光領域
3a、32a 遮光部
3b、32b 開口部
4 中間層
5、35 位相差層
6、36 赤色着色領域
7、37 緑色着色領域
8、38 青色着色領域
9 着色層
12 第一中間層
13 第二中間層
22 第一中間層
23 第二中間層
33 透過部
34 反射部
40 透明樹脂層
41 配向膜
51 半透過半反射型液晶表示装置
52 対向基板
53 液晶層
101 従来の光学素子
102 配向膜
103、106 遮光領域の上面高さを示すライン
104、107 中間層の上面高さを示すライン
105、108 位相差層の上面高さを示すライン
A 開口部
a 中央部

Claims (8)

  1. 光透過性を有する基材と、上記基材を光が透過可能な開口部と光の透過が防止される遮光部とに区画するためにパターン形成される遮光領域と、少なくとも1つの中間層と、位相差層とをこの順で備え、
    上記中間層の膜厚が0.5μm以上であることを特徴とする光学素子。
  2. 上記中間層が、透明樹脂層および/または配向膜であることを特徴とする請求項1に記載の光学素子。
  3. 上記中間層の表面であって、上記基材とは反対側の面が平坦化されていないことを特徴とする請求項1または2に記載の光学素子。
  4. 上記位相差層がパターニングされていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光学素子。
  5. 上記位相差層が、正のAプレートであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光学素子。
  6. 上記位相差層上に直接または間接に、光透過性の着色層を備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の光学素子。
  7. 向かい合う2枚の基板と、上記2枚の基板それぞれの外側面に設けられる偏光板と、上記2枚の基板間に設けられる駆動用液晶材料からなる液晶層とを備える液晶表示装置であって、
    上記2枚の基板のうちの一方の基板として、
    光透過性を有する基材と、上記基材を光が透過可能な開口部と光の透過が防止される遮光部とに区画するためにパターン形成される遮光領域と、少なくとも1つの中間層と、位相差層とをこの順で備え、
    上記中間層の膜厚が0.5μm以上であることを特徴とする光学素子が用いられること
    を特徴とする液晶表示装置。
  8. 上記液晶表示装置が半透過半反射型液晶表示装置であることを特徴とする請求項7に記載の液晶表示装置。
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