JP2011043644A - カラーフィルタの製造方法、およびカラーフィルタを備える液晶表示装置 - Google Patents

カラーフィルタの製造方法、およびカラーフィルタを備える液晶表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は、位相差層および駆動用液晶層の両方についての屈折率の波長分散特性の問題を解決可能なカラーフィルタを製造するための製造方法およびそのカラーフィルタを備えた液晶表示装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 光透過性を有する基材と、厚みの異なる複数の着色層を備えてなるカラーフィルタ層と、入射光に位相差を生じさせる位相差層とを備えるカラーフィルタの製造方法が、基材に対して直接又は間接に厚みを異にする着色層を設けるカラーフィルタ層形成工程と、基材に対して直接又は間接に、重合性官能基を有する液晶化合物を含有する液晶組成物を塗布して液晶塗布膜を形成し、該液晶塗布膜に含まれる液晶化合物を所定の方向に配向させ、フォトマスクを介して液晶塗布膜に対して活性放射線を照射することにより、液晶塗布膜に含まれる液晶化合物を重合してなる構造を有する位相差層を形成する位相差層形成工程と、を備え、その位相差層形成工程で、フォトマスクとして、ハーフトーンマスクが用いられ、カラーフィルタ層形成工程および位相差層形成工程が、該カラーフィルタ層形成工程および位相差層形成工程の実施後において、カラーフィルタの最表面の領域のうち位相差層と着色層の積層構造が存在する部分により形成されるとともに厚みを異にする着色層ごとに形成される積層構造形成領域によって、隣り合う積層構造形成領域の間又は境界位置に、0.1μmを超える所定の大きさの段差部が形成されるように、行われることで、波長分散特性の問題を解決可能なカラーフィルタを得ることができる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、カラーフィルタの製造方法、およびカラーフィルタを備える液晶表示装置に関する。
カラー表示可能な液晶表示装置(カラー液晶表示装置)は、薄型・軽量、低消費電力といった利点があり、様々な産業分野で、テレビ、コンピュータ、携帯電話、電子手帳、各種の端末装置、自動販売機等といった、画像や映像等の表示装置に用いられる。
カラー液晶表示装置は、対面する基板と、両基板の間に液晶を封入してなる駆動用液晶層を備えてなる構造(液晶セル)を有する。また、液晶セルを構成する基板の一方に着色層からなるカラーフィルタ層が備えられている。カラーフィルタ層を構成する着色層としては、例えば、赤色の着色層(R)、緑色の着色層(G)、青色の着色層(B)などの様々な色種の着色層が知られている。
液晶表示装置は、特にモバイル機器の用途で広く用いられるようになったことにより、さらなる薄型化や省電力化、どのような環境(周囲の明るさ)でも見易い液晶画像の表示の実現を要請されている。この課題に応えるべく、透過表示機能と反射表示機能を有する半透過半反射型液晶表示装置が提案されている。ここに、透過表示機能と反射表示機能は、それぞれ透過型液晶表示装置と反射型液晶表示装置の表示機構に対応する機構による表示機能を示す。
半透過半反射型液晶表示装置のなかでも優れたものとして、反射表示機能に対応して定められる反射部に位相差層を形成した液晶表示装置が提案されている。その位相差層としては、「重合性官能基を有する液晶化合物(重合性液晶化合物)を所定の方向に配向させて重合させてなる構造」を備えるものが知られている。
ところが、一般に、位相差層を構成する重合性液晶化合物には、屈折率の波長分散特性があり、重合性液晶化合物の屈折率異方性が短波長側で大きくなる。これに対して、カラー液晶表示装置の所定の部分に位相差層を形成する場合、実際に必要な波長分散特性は、屈折率異方性が長波長側で大きくなるものである。したがって、位相差層を形成したカラー液晶表示装置では、位相差層の波長分散特性が問題となる。
この問題について、位相差層の厚みを着色層の色種に応じて変更したカラーフィルタが提案されている(特許文献1)。このカラーフィルタは、着色層の厚みを当該着色層の色種に応じて変えつつ、着色層の層厚みと位相差層の厚みの合計を保つように構成している。これにより、各色の着色層に対応する位相差層について、相対的に位相差層の厚みが変化している。そして、各色の着色層に応じて位相差層の厚みが変化していることにより、位相差層の波長分散特性の問題の解消が図られる。
特開2007−101645号公報
液晶表示装置においては、駆動用液晶層に液晶化合物が含まれる。このため、上記位相差層と同様に、駆動用液晶層についても屈折率の波長分散特性の問題が生じうる。すなわち、液晶表示装置においては、位相差層および駆動用液晶層の両方についての屈折率の波長分散特性の問題を抑えることが重要となる。したがって、液晶表示装置に組み込まれるカラーフィルタについては、位相差層および駆動用液晶層の両方についての屈折率の波長分散特性の問題を解決可能なカラーフィルタが要請される。
この点、特許文献1では、上記したような位相差層および駆動用液晶層の両方についての屈折率の波長分散特性の問題を解決することは、考慮されていない。
本発明は、上記したような位相差層および駆動用液晶層の両方についての屈折率の波長分散特性の問題を解決可能なカラーフィルタを製造するための製造方法を提供すること、および、その製造方法により得られたカラーフィルタを備えた液晶表示装置を提供することを目的とする。
本発明は、(1)光透過性を有する基材と、厚みの異なる複数の着色層を備えてなるカラーフィルタ層と、入射光に位相差を生じさせる位相差層とを備えるカラーフィルタの製造方法であって、
基材に対して直接又は間接に厚みを異にする着色層を設けるカラーフィルタ層形成工程と、
基材に対して直接又は間接に、重合性官能基を有する液晶化合物を含有する液晶組成物を塗布して液晶塗布膜を形成し、該液晶塗布膜に含まれる液晶化合物を所定の方向に配向させ、フォトマスクを介して液晶塗布膜に対して活性放射線を照射することにより、液晶塗布膜に含まれる液晶化合物を重合してなる構造を有する位相差層を形成する位相差層形成工程と、を備えており、
位相差層形成工程では、フォトマスクとして、ハーフトーンマスクが用いられており、
カラーフィルタ層形成工程および位相差層形成工程は、該カラーフィルタ層形成工程および位相差層形成工程の実施後において、カラーフィルタの最表面の領域のうち位相差層と着色層の積層構造が存在する部分により形成されるとともに厚みを異にする着色層ごとに形成される積層構造形成領域によって、隣り合う積層構造形成領域の間又は境界位置に、0.1μmを超える所定の大きさの段差部が形成されるように、行われる、ことを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
(2)光透過性を有する基材と、厚みの異なる複数の着色層を備えてなるカラーフィルタ層と、入射光に位相差を生じさせる位相差層と、部分的に厚みを異にするとともに光学的に等方性である等方層とを備えるカラーフィルタの製造方法であって、
基材に対して直接又は間接に厚みを異にする着色層を設けるカラーフィルタ層形成工程と、
基材に対して直接又は間接に、重合性官能基を有する液晶化合物を含有する液晶組成物を塗布して液晶塗布膜を形成し、該液晶塗布膜に含まれる液晶化合物を所定の方向に配向させ、フォトマスクを介して液晶塗布膜に対して活性放射線を照射することにより、液晶塗布膜に含まれる液晶化合物を重合してなる構造を有する位相差層を形成する位相差層形成工程と、
基材に対して直接又は間接に、重合性官能基を有する重合性化合物を含有する重合性組成物を塗布して等方性を有する重合性塗布膜を形成し、該重合性塗布膜に対してフォトマスクを介して活性放射線を照射することにより、重合性塗布膜に含まれる重合性化合物を重合反応させてなる構造を有する等方層を形成する等方層形成工程と、と備えており
少なくとも等方層形成工程では、フォトマスクとして、ハーフトーンマスクが用いられており、
カラーフィルタ層形成工程と位相差層形成工程と等方層形成工程は、該カラーフィルタ層形成工程と位相差層形成工程と等方層形成工程の実施後において、カラーフィルタの最表面の領域のうち位相差層と着色層と等方層の積層構造が存在する部分により形成されるとともに厚みを異にする着色層ごとに形成される積層構造形成領域によって、隣り合う積層構造形成領域の間又は境界位置に、0.1μmを超える所定の大きさの段差部が形成されるように、行われる、ことを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
(3)位相差層形成工程よりも後においてカラーフィルタ層形成工程が行われる、上記(1)に記載のカラーフィルタの製造方法。
(4)カラーフィルタ層形成工程よりも後において位相差層形成工程が行われる、上記(2)に記載のカラーフィルタの製造方法。
(5)カラーフィルタ層形成工程では、色種を異にする複数種類の着色層が形成され、且つ、着色層は、400nm以上700nm以下の範囲における光の透過率の最大値を与える波長が大きい着色層ほど、着色層の膜厚が小さくなるように形成される、上記(1)から(4)のいずれかに記載のカラーフィルタの製造方法。
(6)カラーフィルタ層形成工程では、光透過性を有する着色層として、赤色の着色層、緑色の着色層、青色の着色層が形成され、且つ、各色の着色層の膜厚が(数1)をみたすように着色層が形成され、
位相差層形成工程では、赤色の着色層、緑色の着色層、青色の着色層それぞれに対面する領域に形成された位相差層の膜厚が、(数2)をみたすように位相差層が形成される、上記(1)から(4)のいずれかに記載のカラーフィルタの製造方法。
(数1) h(R)<h(G)<h(B)
(数2) d(R)>d(G)>d(B)
(ただし、h(R)、h(G)、h(B)は、それぞれ、赤色の着色層の膜厚、緑色の着色層の膜厚、青色の着色層の膜厚であり、d(R)、d(G)、d(B)は、それぞれ、赤色の着色層に対面する領域に形成された位相差層の膜厚、緑色の着色層に対面する領域に形成された位相差層の膜厚、青色の着色層に対面する領域に形成された位相差層の膜厚である。)
(7)透過表示機能と反射表示機能を有する半透過半反射型液晶表示装置に用いられ、透過表示機能にて表示される領域に対応して定められる透過部と、反射表示機能にて表示される領域に対応して定められる反射部とから構成されるカラーフィルタの製造方法であり、
位相差層形成工程では、透過部を避けて反射部に対して位相差層を形成可能に所定のパターンを形成したハーフトーンマスクにて、位相差層がパターニング形成される、ことを特徴とする、上記(1)から(6)のいずれか1項に記載のカラーフィルタの製造方法。
(8)上記(1)から(7)のいずれか1項に記載の製造方法で得られたカラーフィルタを備えることを特徴とする液晶表示装置、を要旨とする。
本発明で得られるカラーフィルタでは、カラーフィルタの最表面の領域のうち位相差層と着色層の積層構造が少なくとも存在する部分として特定される領域により積層構造形成領域が形成され、その積層構造形成領域は、厚みを異にする着色層ごとに区分形成される。そして、本発明で得られるカラーフィルタでは、カラーフィルタ層形成工程において厚みを異にする着色層を形成すること、および、ハーフトーンマスクを使用して層構造が形成されることで、隣り合う積層構造形成領域の間もしくは境界位置に、0.1μmを超える所定の大きさの段差部が形成される。すなわち、本発明によれば、カラーフィルタとして、「位相差層の厚みを部分的に異ならせた構成」と、「狙った大きさ段差を形成する部分たる段差部をカラーフィルタの表面領域における狙った位置に形成した構成」とを兼ね備えるものを得ることができる。しかも、本発明によれば、カラーフィルタの表面の領域における狙った位置に、隣り合う積層構造形成領域にて形成される段差部として、0.1μmを超える所定の大きさの段差を形成する部分を、容易に設けることができる。
ところで、液晶表示装置においては、駆動用液晶層についての屈折率の波長分散特性の問題を解消するために、各色種の着色層に対向する駆動液晶層の部分の厚みを、着色層の色種に応じて定められた値とすることが好ましい。表面の所定位置に段差部を設けたカラーフィルタを液晶表示装置に組み込むことにより、部分的に駆動用液晶層の厚みを異ならせることができ、波長分散特性の問題が解消できるようになる。そうすると、液晶表示装置において位相差層および駆動用液晶層の両方についての屈折率の波長分散特性の問題を抑えようとすれば、表面の所定位置に所定の大きさの段差を形成する部分たる段差部を設けるとともに位相差層の厚みを部分的に異ならせたカラーフィルタが要請されることになる。このときカラーフィルタ表面の段差部に要請される段差の大きさは、駆動用液晶層の駆動モードなどの設計仕様に応じて適宜設定される。その場合、0.1μmを超える所定の大きさの段差部を表面の所定の位置に形成したカラーフィルタが求められることもある。
この点、本発明では、表面上の所定の位置に0.1μmを超える所定の大きさの段差を有するようなカラーフィルタが得られるので、位相差層および駆動用液晶層の両方についての屈折率の波長分散特性の問題を解決可能なカラーフィルタが得られる。
本発明の製造方法では、カラーフィルタの最表面の所定の位置に所定の大きさの段差を形成させることができる。このため、そのカラーフィルタが半透過半反射型液晶表示装置に組み込まれることで、半透過半反射型液晶表示装置において、反射部の着色層の色種ごとに、反射部の位相差層の厚みと駆動用液晶層の厚みとを同時に調整することが可能となる。そして、位相差層および駆動用液晶層の両方についての屈折率の波長分散特性の問題を抑制可能な半透過半反射型液晶表示装置が得られる。
なお、位相差層は、カラーフィルタにおいて半透過半反射型液晶表示装置の反射部に対応する部分に形成される場合のみならず、視野角補償のために液晶表示装置のカラーフィルタに形成される場合もあるが、本発明は、そのいずれの場合についても適用可能である。
本発明によれば、上記したような位相差層および駆動用液晶層の両方についての屈折率の波長分散特性の問題を解決可能なカラーフィルタを製造するための製造方法を提供することができるようになり、また、その製造方法により得られたカラーフィルタを備えた液晶表示装置を提供することができるようになる。
本発明の第1の実施形態にて製造されるカラーフィルタの一実施例を模式的に示す斜視模式図である。 (a)図1のA−A線断面の状態を模式的に示す断面模式図である。(b)図1のB−B線断面の状態を模式的に示す断面模式図である。 (a)本発明の第2の実施形態にて製造されるカラーフィルタの一実施例について、図2(a)に対応する断面を模式的に示す断面模式図である。(b)本発明の第2の実施形態にて製造されるカラーフィルタの一実施例について、図2(b)に対応する断面を模式的に示す断面模式図である。 (a)本発明の第1の実施形態において、液晶塗布膜に向けて活性放射線を照射する工程を模式的に説明するための工程断面模式図である。(b)本発明の第1の実施形態において、基板上に位相差層が形成された状態を模式的に説明するための断面模式図である。 本発明の第2の実施形態において、重合性塗布膜に向けて活性放射線を照射する工程を模式的に説明するための工程断面模式図である。 図1の矢印C方向にカラーフィルタを見た場合(カラーフィルタを平面視した場合)におけるカラーフィルタを模式的に示す平面模式図である。 (a)図2(a)の領域Saに対応する部分を拡大した部分拡大図である。(b)図3(a)の領域Sbに対応する部分を拡大した部分拡大図である。(c)本発明の第4の実施形態で製造されるカラーフィルタの一実施例について、図7(b)に対応する部分を模式的に示す部分拡大図である。 本発明の第4の実施形態にて製造されるカラーフィルタの一実施例について、図2(a)に対応する断面を模式的に示す断面模式図である。 本発明により製造されるカラーフィルタを組み込んだ半透過半反射型液晶表示装置の構造を模式的に説明するための斜視模式図である。 ハーフトーンマスクのマスクパターンの例を模式的に説明するための斜視模式図である。 実施例における着色層の形成パターンを説明するための平面模式図である。 入射光束(太陽光)の可視光領域のスペクトルを示すグラフである。 各色の着色層の透過率スペクトルを示すグラフである。 偏光板の透過率を示すグラフである。 位相差層の波長分散特性を示すグラフである。
[第1の実施形態]
本発明は、図1に示すような、光透過性を有する基材2と、基材2に対して直接若しくは間接に厚みの異なる複数の着色層5,6,7を備えてなるカラーフィルタ層3と、基材2に対して直接又は間接に設けられる位相差層9とを備えるカラーフィルタ1の製造方法である。
本発明におけるカラーフィルタ1の製造方法についての実施形態を具体的に説明する(第1の実施形態)(図1,図2(a)(b),図4(a)(b))。
このカラーフィルタ1の製造方法は、カラーフィルタ層形成工程と、位相差層形成工程とを備えてなる。
(位相差層形成工程)
位相差層形成工程は、基材2に対して直接又は間接に位相差層9を形成する工程である。位相差層形成工程で形成される位相差層9は、液晶化合物を重合させた構造を有する層にて形成されている。
図1に例示されるカラーフィルタ1を製造する場合では、位相差層形成工程はカラーフィルタ層形成工程よりも前の段階で行われる。位相差層9は、基材2面に対してカラーフィルタ層3を介在させずに形成され、例えば基材2面に対して直接に形成される。
位相差層形成工程を行うにあたり、基材2が準備される。基材2は、一種類にて単層に構成されても、複数種類の多層に構成されてなる合材でもよい。
基材2は、光学的に等方性を有するように構成されていることが好ましい。基材2としては、ガラス基板や、プラスチック基板など、種々の材質からなる板状体を適宜選択できる。
位相差層形成工程は、基材2に対して直接又は間接に液晶塗布膜4を形成して液晶塗布膜4に含まれる液晶化合物を所定の方向に配向させる段階と(第1段階)、液晶塗布膜4に含まれる液晶化合物を所定の方向に配向させつつ液晶塗布膜4を硬化させる段階と(第2段階)(図4(a)(b))を備えてなる。
ところで、第1段階が実施される前には、配向膜が、その配向膜の敷設の必要性に応じて基材2上に形成される。そして、第1段階が実施され、配向膜上に液晶塗布膜4が形成される。このとき配向膜としては、位相差層9に含まれる液晶化合物に要求される配向性(例えば、水平配向、垂直配向)に応じて、垂直配向膜や水平配向膜が選択される。
配向膜として水平配向膜が選択される場合、まず、配向膜に使用可能なポリイミド等の材料を用いて基材2に対して直接又は間接に塗布して塗布膜を作製する。例えば、図1の例では、塗布膜は基材2面上に直接形成される。その塗布膜の作成方法は、従前より公知な方法(印刷法、スピンコーティング法等)を適宜採用される。塗布膜が作製されると、その塗布膜にラビング処理が施され、塗布膜が水平配向膜をなす。
このように配向膜が基材2上に形成される場合、位相差層9は、基材2に対して配向膜を介在させて形成されることとなり、すなわち基材2に対して間接に形成される。
<第1段階>
液晶塗布膜4を形成するにあたり、液晶組成物が調製される。液晶組成物には、液晶化合物と溶剤が含まれる。
液晶組成物は、必要とされる位相差層9の光学機能と、選択された液晶化合物の種類および配向性に応じて選択される。液晶化合物としては、ネマチック液晶相を形成可能な液晶化合物やスメクチック液晶相を形成可能な液晶化合物を用いることができる。そのような液晶化合物には、棒状の分子形状を有する液晶化合物や、ディスク状の分子形状を有する液晶化合物が挙げられるが、棒状の分子形状を有する液晶化合物が好ましい。
また、液晶化合物は、その液晶化合物をなす分子構造中に不飽和2重結合を重合性官能基として有する重合性液晶化合物が好ましい。また、重合性液晶化合物には、液晶相状態で架橋重合反応可能な重合性液晶化合物(架橋重合性液晶化合物、あるいは架橋性液晶化合物ともいう)がより好ましく用いられ、架橋重合性液晶化合物としては、その分子構造の両末端に不飽和2重結合を有するもの(不飽和2重結合を2以上有するもの)が好ましい。重合性液晶化合物を用いて位相差層9が形成されることで、位相差層9に、重合性液晶化合物をなす分子同士を相互に架橋させてなる架橋高分子構造を形成することができる。
重合性液晶化合物としては、具体的に、重合性官能基を有するネマチック液晶化合物(重合性ネマチック液晶分子)などをあげることができる。重合性ネマチック液晶化合物としては、例えば、1分子中に(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、オキタセン基、イソシアネート基等の重合性基を少なくとも1個有するモノマー、オリゴマー、ポリマー等が挙げられる。また、このような重合性液晶化合物として、より具体的には、重合性液晶モノマーとして、下記式(1)〜式(11)に示すような化合物をあげることができる。
Figure 2011043644
・・・(1)
Figure 2011043644
・・・(2)
Figure 2011043644
・・・(3)
Figure 2011043644
・・・(4)
Figure 2011043644
・・・(5)
Figure 2011043644
・・・(6)
Figure 2011043644
・・・(7)
Figure 2011043644
・・・(8)
Figure 2011043644
・・・(9)
Figure 2011043644
・・・(10)
Figure 2011043644
・・・(11)

上記の式(11)中、メチレン基の数(アルキレン基の鎖長)を示すa〜bはいずれも整数であって、a、bが、各々個別に2〜12であり、より好ましくは3〜10、特に好ましくは4〜8である。
液晶組成物に含まれる液晶化合物の量は、所望する位相差層9の膜厚や望まれる位相差の大きさ等により異なるが、通常は、液晶組成物に対して、10重量%から40重量%である。
溶剤は、液晶化合物等を溶解することが可能であり、かつ配向膜など「液晶化合物に配向性を与える材料」を基材2上に設けた場合などにおいてそのような材料の配向性能を阻害しないものであれば、特に限定されるものではない。溶剤としては、具体的に、トルエン等の炭化水素類、メチルエチルケトン等のケトン類、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶剤、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のグリコール系溶剤などを挙げることができる。
なお、液晶組成物には、イルガキュアー184、イルガキュアー369、イルガキュアー651、イルガキュアー907(いずれもチバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製)、ダロキュアー(メルク社製)などの光重合開始剤が含まれることが好ましい。また、液晶組成物には、その塗布特性を向上させる助剤となる界面活性剤が含まれていてもよい。また、位相差層9の光学機能と、選択された液晶化合物の種類および配向性に応じて、位相差層9に含まれる液晶分子をねじれ配向させる場合、液晶組成物には、Merck社製S−811等のカイラル剤が適宜含まれてよい。
重合性官能基を有する液晶化合物(重合性液晶化合物)が選択され、これを含有する液晶組成物が調製されると、液晶組成物が基材2に対して直接又は間接に塗布される。これにより、液晶塗布膜4が形成される(図4(a))。なお、図4(a)では、基材2面上に、液晶塗布膜4が形成される。
液晶組成物の塗布方法としては、スピンコート法、ロールコート法、スライドコート法、印刷法、ダイコート法等が挙げられる。
第1段階と第2段階の間において、液晶塗布膜がプリベーク(pre−baking)されることが好ましい(プリベーク処理)。このプリベーク処理では、液晶塗布膜4に含まれる液晶化合物がより良好な所定の配向状態となり、また、液晶塗布膜4に含まれる溶剤が除去される。プリベーク温度、時間は、液晶組成物に含まれる重合性液晶化合物の特性に応じて変動しうるが、通常、70℃〜120℃で数分〜30分間程度の範囲で行われる。
<第2段階>
液晶塗布膜4に含まれる重合性液晶化合物が所定の方向に配向されると、次いで、ハーフトーンマスク10を介して液晶塗布膜4に対して活性放射線Lが照射される(図4(a))。このとき、重合性液晶化合物の重合性官能基同士が重合反応し、この重合反応により液晶塗布膜4の硬化が生じる。これにより、硬化された液晶塗布膜4が位相差層9となる。なお、2以上の重合性官能基を有する重合性液晶化合物では、重合反応の条件に応じて、重合性液晶化合物同士の架橋重合反応が生じる。
活性放射線Lは、紫外線などを含む電磁波、及び電子線などを含み分子を重合し得るエネルギー量子を有する粒子線のいずれをも含む概念である。活性放射線Lとしては、紫外線が好ましく用いられる。紫外線としては、波長250〜400nm程度の光が用いられ、その光源として超高圧水銀灯、高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ等が用いられる。また、紫外線の照射光量は、重合性液晶化合物の種類や組成、光重合開始剤の種類や量等によって異なるが、通常、10〜3000mJ/cm程度の範囲である。
位相差層9は、基板2面の所定の領域に形成される。基板2面は、着色層5,6,7のうちの第1着色層5a,6a,7aをそれぞれ積層される領域として第1着色層積層予定領域Na1,Na2,Na3が区画化されており(図2(a)(b))、位相差層9は、第1着色層積層予定部Na1,Na2,Na3をなす領域に形成される。なお、図2(a)(b)は、カラーフィルタの実施例の一つを説明するための概略断面図である。また、基板2面は、着色層5,6,7のうちの第2着色層5b,6b,7bをそれぞれ積層される領域として第2着色層積層予定領域Nb1,Nb2,Nb3が区画化されており、位相差層9は、第2着色層積層予定領域Nb1,Nb2,Nb3を避けて形成される。すなわち、このカラーフィルタ1の例では、位相差層9は、基板2面上、所定色の着色層5,6,7のうちの第2着色層5a,6a,7aの形成が予定された部分に対応する部分として定められた領域を避けて形成されることになる。
ハーフトーンマスク10とは、フォトマスクであって、フォトマスクを透過する光量を多様にした、多諧調フォトマスクである。ハーフトーンマスク10は、その厚み方向に活性放射線Lを通す開口部12(図10)を所定のパターンで形成している。開口部12の形成パターンは、位相差層9の形成パターンに対応するパターンとなっている。ハーフトーンマスク10のうち開口部12の形成領域(図10の符号Qで示す領域)以外の領域として特定される部分(非開口部13)は、遮光性を有する部分となっている。さらに、開口部12の形成領域は、透過率(活性放射線Lの透過率(%))を異にする複数の領域に区分されている。
例えば、図2に示すカラーフィルタ1の例では、位相差層9の厚みは、第1着色層積層予定領域Na1,Na2,Na3それぞれに形成される部分ごとに異にしており、第1着色層積層予定領域Na1,Na2,Na3に形成される部分の厚みをT1,T2,T3とすると、T1>T2>T3となっている(図2(a))。このような位相差層9を形成しようとする場合、図4(a)、図10に示すように、ハーフトーンマスク10は、開口部12において、基板2面の着色層積層予定領域Na1,Na2,Na3上に形成された液晶塗布膜4に対して対向する部分の領域に応じて、透過率を異ならせてパターン形成している。すなわち、着色層積層予定領域Na1,Na2,Na3それぞれの上に形成された液晶塗布膜4の部分に対応する液晶塗布膜4表面の領域となるそれぞれの領域U1,U2,U3に対して、それらの領域U1,U2,U3に対向するように、開口部12の領域が、領域R1,R2,R3に区画されている。そして、それらの領域R1,R2,R3について、ハーフトーンマスク10は、領域R1の透過率がRa1、領域R2の透過率がRa2、領域R3の透過率がRa3であるとすると、Ra1>Ra2>Ra3となっているように、開口部12の領域における透過率のパターンを形成している。
また、図4,10に示すハーフトーンマスク10の例では、活性放射線Lの透過率を基準にして区分された所定の領域は、多数の単位領域からなる領域群からなる。領域群は、単位領域を所定のパターンで配置されて形成される。透過率は、「要請される位相差層9の厚みのパターン」を基準にして所定の値を設定される。このため、ハーフトーンマスク10では、位相差層9の面内方向の所定位置において位相差層9に要請される膜厚のパターンに応じて、開口部12の形成領域は、透過率の異なる複数の領域に区分されている。
例えば、図4,10のハーフトーンマスク10では、開口部の領域は、領域R1,R2,R3に区画されており、領域R1,R2,R3のそれぞれが、多数の単位領域(領域r1,r2,r3)からなる群をなしている。すなわち、図10に示すように、ハーフトーンマスク10では、開口部12の領域Qが、所定の領域r1,r2,r3に区画されて領域単位をなしており、領域R1は、単位領域r1を多数整列配置して領域群をなしており、領域R2,R3についても領域R1と同様に、それぞれの単位領域r2,r3を所定のパターンで多数配置して領域群をなしている。
第2段階では、液晶塗布膜4の硬化の後、位相差層9をなす液晶塗布膜4が現像され、さらに焼成(ポストベーク)されることが好ましい(焼成処理)。焼成処理において、焼成温度、焼成時間は、重合性液晶化合物の種類や組成のほか、重合開始剤などの添加物の反応開始温度等に依存して変動するが、通常、150℃〜260℃、10分〜60分間程度の範囲である。
このカラーフィルタの製造方法においては、位相差層9の面内方向の所定位置において位相差層9に要請される膜厚の違いに応じて、多様な膜厚を有する(所望の膜厚のパターンを有する)ように位相差層9が形成される(図4(b))。
(カラーフィルタ層形成工程)
カラーフィルタ層形成工程は、カラーフィルタ層3を形成する工程である。ここに、カラーフィルタ層3は、入射光束のうち所定範囲の波長の可視光を通過させる着色層5,6,7を有してなる(図1,2(a)(b))。カラーフィルタ層形成工程では、基材2に対して直接又は間接に着色層5,6,7が設けられる。
所定色の着色層5,6,7は色種を異にする。なお、本明細書において色種を異にするとは、可視光領域(波長400nm以上700nm以下)の光について透過率を最大にする波長が10nm以上異なることを示すものとする。
図1に示すカラーフィルタ1の例では、着色層5,6,7の色種は、RGBの三色(赤色(R)、緑色(G)、青色(B))であり、それぞれ赤色(R)の着色層5、緑色(G)の着色層6、青色(B)の着色層7である。また、この例における着色層5,6,7は、図6に示すように、カラーフィルタ1の平面視上、それぞれ短冊状に形成され、面順次に配列されている。
着色層5は、第1着色層5aと第2着色層5bから構成されている。着色層5において、第1着色層5aは、位相差層9を介して基材2に対して間接的に設けられる部分となっており、第2着色層5bは、基材2に直接に設けられている部分となっている。着色層6,7は、着色層5と同様に、それぞれ、第1着色層6aと第2着色層6b、第1着色層7aと第2着色層7bから構成される。また、第1着色層6a,7aは、位相差層9を介して基材2に対して間接的に設けられる部分となっており、第2着色層6b,7bは、基材2に直接に設けられている部分となっている。
着色層5,6,7の厚み(膜厚)に関しては、第1着色層5a,6a,7aの相互間で膜厚が異なっており、さらに、第2着色層5b,6b,7bの相互間でも膜厚が異なっている(図2(b))。なお、図2(b)では、基材2面上に第1着色層7aが形成される部分と第2着色層7bが形成されている部分についての相対的な膜厚と形成パターンが断面模式図にて特に示されているが、このような相対的な膜厚と形成パターンは、第1着色層5a,6aと第2着色層5b,6bについても同様である。
着色層5,6,7は、次のように形成される。
まず、カラーフィルタ1を製造するにあたり、基板2面に、第1着色層5a,6a,7aを積層される領域としてそれぞれ第1着色層積層予定領域Na1,Na2,Na3が区画化され、第2着色層5b,6b,7bを積層される領域としてそれぞれ第2着色層積層予定領域Nb1,Nb2,Nb3が区画化される。さらに、位相差層形成工程の実施により、基板2面には、位相差層9が、第2着色層積層予定領域Nb1,Nb2,Nb3を避けて第1着色層積層予定領域Na1,Na2,Na3上に形成されている。
そして、カラーフィルタ層形成工程では、基材2面上において、位相差層9の非形成部となっている第2着色層積層予定領域Nb1,Nb2,Nb3に、第2着色層5b,6b,7bが形成され、第1着色層積層予定領域Na1,Na2,Na3上にあって位相差層9面上に、第1着色層5a,6a,7aが形成される。
このようにカラーフィルタ層形成工程では、基材2上の所定の領域に、第1着色層5a,6a,7a、および第2着色層5b,6b,7bが形成されることにより、着色層5,6,7が、カラーフィルタ1の平面視上、短冊状に形成され、着色層5,6,7の短手方向に沿って面順次に配列される。そして、これら着色層5,6,7にてカラーフィルタ層3が形成される。
第1着色層5a,6a,7a、および、第2着色層5b,6b,7bは、つぎのようにフォトリソグラフィー法や、印刷法などを適宜用いて形成される。
<フォトリソグラフィー法の場合>
まず、着色層5,6,7の色種ごとに、各色種に対応する顔料と、光硬化性を有する樹脂などの樹脂材料を配合してなる着色材料を分散させる溶媒を選択する。そして、着色層5,6,7を構成する第1着色層5a,6a,7aおよび第2着色層5b,6b,7bのそれぞれに応じて、顔料と樹脂材料と溶媒の配合比率を調整しつつ、顔料と樹脂材料を溶媒に分散させた着色材料分散液を調製する。これにより、第1着色層5a,6a,7a、第2着色層5b,6b,7bのそれぞれに対応する着色材料分散液が調製される。
次に、第1着色層5aに対応して調製された着色材料分散液を、位相差層9を形成した基材2に対して、位相差層9形成面側に、一面に塗布する。これにより、位相差層9を形成した基材2に着色材料分散液の塗膜が一面に形成される。そして、位相差層9における第1着色層積層予定領域Na1に対応したパターンを形成したフォトマスクを介して、塗膜に所定波長の光を照射し、その後、現像処理を行って、基材2上に、位相差層9を介して第1着色層5aを形成できる。
第1着色層6a,7aの形成については、着色材料分散液とフォトマスクのパターン(それぞれ第1着色層積層予定領域Na2,Na3に対応するパターン)をそれぞれに対応するものとする他は、第1着色層5aを形成する方法と同じ方法が適用されることで、基材2上に、位相差層9を介して、第1着色層積層予定領域Na2,Na3にあたる部分に、それぞれ第1着色層6a,7aを形成することができる。
第2着色層5b,6b,7bについてみると、着色材料分散液とフォトマスクのパターン(それぞれ第2着色層積層予定領域Nb1,Nb2,Nb3に対応するパターン)を異にするほかは、第1着色層5aを形成する方法と同じ方法が適用されることで、基材2上に、第2着色層積層予定領域Nb1,Nb2,Nb3にあたる部分に、それぞれ第2着色層5b,6b,7bを形成することができる。
第1着色層5a,6a,7aの膜厚の相互差、第2着色層5b,6b,7bの膜厚の相互差は、相互の膜厚を異ならせる目的と着色層5,6,7の色種の相違に応じて異なる。例えば、着色層5,6,7の色種がRGBの3色でなる場合であり、且つ、第1着色層5a,6a,7a相互の膜厚および第2着色層5b,6b,7b相互の膜厚を異ならせる目的が、波長分散特性の問題を解消する目的である場合、第1着色層5a,6a,7aの膜厚の相互差および第2着色層5b,6b,7bの膜厚の相互差は、それぞれ0.05〜0.5μmの範囲程度とされることが多い。
各色の着色層5,6,7は所定波長の可視光に対して光透過性を有しており、入射される可視光を分光してそれぞれ赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の光となす。ここで、着色層5は、所定の領域ごとに微細な区画に区画化され、1つの区画が1つの画素をなす。このとき、着色層5の区画化パターンに応じて第1着色層5aと第2着色層5bも微細な区画に区画化されており、1つの画素は、少なくとも第1着色層5aの微細な1つの区画と、第2着色層5bの微細な1つの区画とを有するユニットから構成される。着色層6,7および、第1着色層6a,7a、第2着色層6b,7bも、着色層5および第1着色層5aと第2着色層5bと同様に、それぞれ区画化されて、着色層6,7における微細な1つの区画が1つの画素を構成しており、また、着色層6,7のそれぞれにおける1つの画素は、第1着色層6aと第2着色層6bの微細な区画を有するユニット、第1着色層7aと第2着色層7bの微細な区画を有するユニットからなる。さらに、面順次に並ぶRGBの三色の着色層5,6,7で定められる3つの画素があわさって、一つの絵素が形成される。
なお、カラーフィルタ層3は、RGB方式の三色の着色層5,6,7からなるほか、その補色系であるCMY方式の三色の着色層から構成されることも可能であり、二色、または四色以上の着色層から構成される場合なども採りうる。また着色層の形状は、短冊状のほか、矩形状や三角形状など適宜の形状を定められてよい。
カラーフィルタの製造方法においては、カラーフィルタ層形成工程および位相差層形成工程の実施後において、カラーフィルタ1の最表面の所定の領域に段差が形成されている。カラーフィルタ1において段差を形成する部分が段差部14である。段差部14は、位相差層9とカラーフィルタ層3の両層の積層構造が存在する領域(図6中、符号Vで示す領域)として特定される部分において、互いに隣り合う積層構造形成領域V(R)、V(B)、V(G)の境界位置に形成されている。なお、積層構造形成領域V(R)は、カラーフィルタ1の平面視上、位相差層9と第1着色層5aの積層構造が存在する部分に対応する領域であり、積層構造形成領域V(G)は、カラーフィルタ1の平面視上、位相差層9と第1着色層6aの積層構造が存在する部分に対応する領域であり、積層構造形成領域V(B)は、カラーフィルタ1の平面視上、位相差層9と第1着色層7aの積層構造が存在する部分に対応する領域である。
段差部14は、「隣り合う積層構造形成領域V(R)、V(B)、V(G)の間又は境界位置に、0.1μmを超える所定の大きさ(図7において、符号G(段差量))の段差を形成する部分」となっている。このような段差部14は、「ハーフトーンマスク10を介した液晶塗布膜4に対する活性放射線Lの照射が、位相差層9と着色層5,6,7の積層された領域Vでのカラーフィルタ1の表面の段差量Gが0.1μmを超える所定の大きさとなるように、実施されること」、および、「着色層5,6,7が所定厚みにて形成されてカラーフィルタ層3が形成されること」により、実現される。
なお、図1,4の例に示すカラーフィルタ1では、段差部14は、図6,7(a)に示すように、隣り合う積層構造形成領域(V(R),V(G),V(B))の境界位置に形成されているが、これに限定されず、段差部14が、隣り合う積層構造形成領域(V(R),V(G),V(B))の間の位置に形成されていてもよい。
段差部14が隣り合う積層構造形成領域(V(R),V(G),V(B))の間の位置に形成されている場合については、段差部14が図7(c)にて示すように形成される場合が例示される。図7(c)のカラーフィルタ1は、後述のブラックマトリクス8を基材2上に形成した後にカラーフィルタ層形成工程と位相差層形成工程、および後述の等方層11を形成する工程たる等方層形成工程が行われてカラーフィルタ層3、位相差層9および等方層11が積層されることで製造されたカラーフィルタ1の一実施例に対応する。このカラーフィルタ1では、図7(c)に示すように、少なくとも隣り合う着色層5,7が間隔を隔てて形成されている。すると、カラーフィルタ1の平面視上、積層構造形成領域V(B)と積層構造形成領域V(R)の間に所定の大きさの隙間が(図7において、その隙間部分の大きさは、符号Wで示す)が存在している。この場合、カラーフィルタ1には積層構造形成領域V(B)と積層構造形成領域V(R)の間に挟まれた領域に、段差部14が形成されることになる。
カラーフィルタ1の表面の段差部14で形成される段差量Gは、次のように測定される。第1着色層5a,6a,7aの形成領域中央位置に対応するカラーフィルフィルタの表面位置(第1着色層5a,6a,7aそれぞれについて、位置P(R)、位置P(G)、位置P(B))について、触針式段差計にて、位置P(R)、位置P(G)、位置P(B)から基材2面までの距離が測定される。その距離は、位置P(R)、位置P(G)、位置P(B)について、距離L(R)、L(G)、L(B)であるとする。そして、隣り合う第1着色層5a,6a,7aについて距離L(R)、L(G)、L(B)相互の差を求め、その値をGとする。例えば、隣り合う第1着色層7a,5aについて、段差量Gは|L(B)−L(R)|であるものとする。本発明の製造方法で得られるカラーフィルタ1では、どの隣り合う第1着色層5a,6a,7a間でも、段差量Gは、0.1μmを超える所定値となる。なお、カラーフィルタ1の表面の段差については、0.1μmを超える所定の段差が、どの隣り合う第2着色層5b,6b,7b間で形成されていてもよい。
カラーフィルタ1の表面の段差量Gは、触針式段差計にて、第1着色層5a,6a,7aのいずれかの表面位置を基準にして、その第1着色層に対して隣り合う他の第1着色層の表面位置までの段差を直接計測することによって、測定されてもよい。そのほか、段差量Gは、SEM(走査型電子顕微鏡)で、カラーフィルタ1の断面図を得て、この断面図からの読み取りによって、測定されてもよい。なお、第2着色層5b,6b,7b間の段差の大きさについては、第1着色層5a,6a,7a間の段差量Gと同様の方法にて特定できる。
本発明によれば、ハーフトーンマスク10を用いて位相差層9を形成することで、入射光束のうち位相差層9の所定の領域を位相差層9の厚み方向に進行する光束に対して所定の位相差を与えるような領域とする位相差層9を形成するとともに、隣り合う「位相差層9の所定の領域」の間もしくは境界に所定の大きさの段差を生じた部分たる段差部14を形成することができる。したがって、本発明によれば、位相差層9を構成する液晶化合物による波長分散特性の問題と、駆動用液晶層を構成する液晶化合物による波長分散特性の問題の両方を解決可能なカラーフィルタ1を得ることができる。
なお、本発明の第1の実施形態では、既に説明したように、位相差層形成工程よりも後に、カラーフィルタ層形成工程が実施される。位相差層形成工程よりも後に、カラーフィルタ層形成工程が実施されることで、電気信頼性では位相差層よりも優れた実績を有するとされる着色層で、位相差層の表面を覆うことができる。
[第2の実施形態]
本発明は、図3(a)(b)に示すような、光透過性を有する基材2と、その基材2に対して直接若しくは間接に厚みの異なる複数の着色層5,6,7を備えてなるカラーフィルタ層3と、そのカラーフィルタ層3に対して直接又は間接に設けられる位相差層9と、部分的に厚みを異にするとともに光学的に等方性である等方層11とを備えるカラーフィルタ1の製造方法であってもよい(第2の実施形態)。
第2の実施形態で製造されるカラーフィルタ1において、基材2、カラーフィルタ層3、着色層5,6,7、位相差層9の個々の層につき、形成パターンなどの外観、内部構造、材料、および光透過率や位相差などの光学的性質は、それぞれ第1の実施形態で製造されるカラーフィルタにおける基材2、カラーフィルタ層3、着色層5,6,7、位相差層9と同じとすることができる。
本発明の第2の実施形態について、具体的に説明する。
第2の実施形態の製造方法は、カラーフィルタ層形成工程と、位相差層形成工程と、等方層形成工程とを備えてなる。
第2の実施形態の製造方法では、位相差層形成工程よりも前に、カラーフィルタ層形成工程が実施される。
第2の実施形態のカラーフィルタ層形成工程で作製されるカラーフィルタ層3は、第1の実施形態と同じく、着色層5,6,7からなり、また、各着色層5,6,7は、第1着色層5a,6a,7aと第2着色層5b,6b,7bとからなる。第2の実施形態におけるカラーフィルタ層形成工程は、第1の実施形態におけるカラーフィルタ層形成工程と同じ方法で実施される。ただし、第2の実施形態のカラーフィルタ層形成工程では、第1着色層5a,6a,7aと第2着色層5b,6b,7bは、いずれも基材2面上に直接形成される(図3(a)(b))。なお、図3(b)では、第1着色層7aと第2着色層7bが基材2面上に形成されている部分についての積層構造と形成パターンが断面模式図にて特に示されているが、このような積層構造と形成パターンは、第1着色層5a,6aと第2着色層5b,6bについても同様である。
第2の実施形態における位相差層形成工程は、第1の実施形態における位相差層形成工程と同様に第1段階と第2段階からなる方法を用いて実施される工程であってよい。また、この場合、第2段階が実施されるにあたっては、使用されるフォトマスクとして、ハーフトーンマスクにかえて、単諧調のフォトマスクが用いられてもよい。単諧調のフォトマスクには、光透過可能な開口部が位相差層9の形成パターンに対応したパターンで形成されている。ただし、第2の実施形態で製造されるカラーフィルタ1では、第1の実施形態で示すカラーフィルタ1の例と異なり、位相差層9は、カラーフィルタ層3の上に形成されることになる。
<等方層形成工程>
等方層形成工程は、基材2に対して直接又は間接に等方層11を形成する工程である。等方層形成工程で形成される等方層11は、重合性化合物を重合させた構造にて形成されている。
等方層形成工程は、基材2に対して直接又は間接に等方性を有する重合性化合物を含有する重合性塗布膜15を形成する段階と(塗布段階)、重合性塗布膜15を硬化させる段階と(硬化段階)(図5)を備えてなる。
<塗布段階>
重合性塗布膜15を形成するにあたり、重合性組成物が調製される。重合性組成物には、重合性化合物が含まれる。
重合性化合物は、等方層11に要求される物性(耐熱性、透明性等)に応じて選択される。重合性化合物としては、エネルギー線の照射によって重合反応を生じて硬化された層構造を形成することができるような化合物を、適宜選択することができる。このとき、重合性化合物は、硬化された層構造として透明な層構造を形成可能なものであることがより好ましい。したがって、重合性化合物としては、重合性官能基を有する化合物を選択することができる。具体的には、例えば、重合性化合物として、アクリル系やウレタン系の樹脂のモノマーなど、「電離放射線を照射することにより重合可能な光透過性の樹脂材料」のモノマーを挙げることができる。
また、重合性化合物としては、アルカリ可溶性ポリマーと多官能重合性モノマーの混合物からなる樹脂材料が、適宜選択されてもよい。アルカリ可溶性ポリマーとしては、側鎖に酸性基を導入し、アルカリ可溶なポリマーであれば特に限定されないが、一般的には(メタ)アクリル酸とメタクリル酸メチル、或いは/及び各種モノマーとの共重合体が用いられる。多官能重合性モノマーとしては、(メタ)アクリレート基を2〜6官能有するものが用いられ、市販品としては、M−208(東亞合成社製)、M−315(東亞合成社製)、M−450(東亞合成社製)、SR−399E(日本化薬社製)、KAYARAD DPHA(日本化薬社製)等が挙げられるが、重合可能なモノマーであれば特に限定されるものではない。
また、重合性組成物には、光重合開始剤や溶剤が含まれてよい。光重合開始剤としては、波長250nm〜400nmに分解吸収波長を有し、通常のレジストインキに使用される材料であれば特に制限されるものではない。溶剤としては、重合性化合物等を溶解することが可能であれば特に限定されず、液晶組成物を調製する際に使用可能な溶剤としてあげた各種の溶剤を用いることができ、例えばプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸3−メトキシブチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、シクロヘキサノン等、通常のレジストインキに用いられる溶剤を特に制限なく使用できる。
重合性組成物に含まれる重合性化合物の量は、等方層11の膜厚等により異なるが、通常は、重合性組成物に対して、10重量%から40重量%である。
重合性組成物が調製されると、重合性組成物が基材2に対して直接又は間接に塗布される。これにより、重合性塗布膜15が形成される(図5)。なお、図5では、位相差層9面上に重合性塗布膜15が形成されており、基材2面上に、カラーフィルタ層3および位相差層9を介し、間接的に重合性塗布膜15が形成される。
重合性組成物の塗布方法としては、液晶組成物の塗布方法と同様の方法を用いることができる。
<硬化段階>
重合性塗布膜15が形成されると、次いで、ハーフトーンマスク10を介して重合性塗布膜15に対して活性放射線Lが照射される(図5)。このとき、重合性塗布膜15に含まれる重合性化合物の重合性官能基同士が重合反応し、この重合反応により重合性塗布膜15の硬化が生じ、等方層11が形成される。なお、2以上の重合性官能基を有する重合性化合物では、重合反応の条件に応じて、重合性化合物同士の架橋重合反応が生じる。
硬化段階で照射される活性放射線Lは、位相差層形成工程における液晶組成物の塗布方法でも説明したように、紫外線などを含む電磁波、及び電子線などを含み分子を重合し得るエネルギー量子を有する粒子線のいずれをも含む概念である。この活性放射線Lとしては、紫外線が好ましく用いられ、その場合、紫外線の照射光量は、通常、10〜3000mJ/cm程度の範囲であることが好ましい。
第2の実施形態における等方層形成工程で使用されるハーフトーンマスク10は、第1の実施形態における位相差層形成工程で使用されるハーフトーンマスク10と同様に、は、開口部の所定領域ごとに活性放射線Lの透過率を異にする多諧調フォトマスクである。
図3(a)に示すカラーフィルタ1の例では、等方層11の厚みは、第1着色層積層予定領域Na1,Na2,Na3それぞれに形成される部分ごとに異にしており、第1着色層積層予定領域Na1,Na2,Na3上に形成される部分の厚みをE1,E2,E3とすると、E1<E2<E3となっている(図3(a))。そして、図5に示すように、ハーフトーンマスク10では、第1着色層積層予定領域Na1,Na2,Na3に対応する重合性塗布膜15の表面上の領域U1,U2,U3に対向する領域ごとに、開口部の領域が区画される。このとき、区画される開口部の領域は、領域U1,U2,U3のそれぞれに対して、それぞれ領域R1,R2,R3となる。ハーフトーンマスク10は、開口部の区画された領域R1,R2,R3について、領域R1の透過率がRa1、領域R2の透過率がRa2、領域R3の透過率がRa3であるとすると、Ra1<Ra2<Ra3となっているように、開口部の領域における活性放射線Lの透過率のパターンを有している。
なお、図5に示すハーフトーンマスク10の例では、活性放射線Lの透過率を基準にして区画された所定の領域(領域R1,R2,R3)は、第1の実施形態で示すハーフトーンマスク10と同じく、多数の単位領域からなる領域群からなる。
硬化段階では、重合性塗布膜15の硬化の後、等方層11をなす重合性塗布膜15が現像され、さらに焼成(ポストベーク)されることが好ましい(焼成処理)。焼成処理において、焼成温度、焼成時間は、重合性化合物の種類や組成のほか、重合開始剤などの添加物の反応開始温度等に依存して変動するが、通常、150℃〜260℃、10分〜60分間程度の範囲である。
このカラーフィルタの製造方法においては、等方層11の面内方向の所定位置において等方層11に要請される膜厚の違いに応じて、多様な膜厚を有する(所望の膜厚のパターンを有する)ように等方層11が形成される(図3(a))。
第2の実施形態では、カラーフィルタ層形成工程と位相差層形成工程と等方層形成工程の実施後において、カラーフィルタ1の最表面の領域のうち位相差層9と着色層5,6,7と等方層11の積層構造が存在する部分により形成されるとともに厚みを異にする着色層5,6,7ごとに区分形成される積層構造形成領域によって、隣り合う積層構造形成領域の間又は境界位置に、0.1μmを超える所定の大きさの段差部が形成される。
第2の実施形態の製造方法は、位相差層形成工程よりも前に、カラーフィルタ層形成工程が実施されている。したがって、カラーフィルタを製造する全工程を見た場合に、位相差層形成後に実施されるべき工程から、カラーフィルタ層形成工程を減じることができる。このように、位相差層形成後に実施されるべき工程数が減ぜられると、位相差層形成後に実施される工程による位相差の低下量についての予測がなされやすくなる。
[第3の実施形態]
第1または第2の実施形態の製造方法において、カラーフィルタ層形成工程では、着色層5,6,7は、次のような膜厚にて形成されてよい(第3の実施形態)。
すなわち、第3の実施形態の製造方法におけるカラーフィルタ層形成工程では、色種を異にする複数種類の着色層5,6,7が形成され、且つ、着色層5,6,7は、可視光域における光の透過率の最大値を与える波長が大きい着色層ほど、着色層5,6,7の膜厚が小さくなるように形成される。
たとえば、第3の実施形態の製造方法において、カラーフィルタ層形成工程にて、光透過性を有する着色層として、赤色(R)の着色層5、緑色(G)の着色層6、青色(B)の着色層7が形成される場合、各色の着色層5,6,7の膜厚が下記(数3)をみたすように各着色層5,6,7が形成される(図2(a)、図3(a))。
なお、赤色(R)の着色層5、緑色(G)の着色層6、青色(B)の着色層7について、400nm以上700nm以下の範囲における光の透過率の最大値を与える波長は、それぞれ600nm以上700nm以下の範囲、500nm以上600nm未満の範囲、400nm以上500nm未満の範囲にある。
さらに、下記(数3)が満たされる場合において、位相差層形成工程では、赤色の着色層5、緑色の着色層6、青色の着色層7それぞれに対面する領域に形成された位相差層9の部分の膜厚が、下記(数4)をみたすように、位相差層9が形成されることが好ましい。
(数3) h(R)<h(G)<h(B)
(数4) d(R)>d(G)>d(B)
(ただし、h(R)、h(G)、h(B)は、それぞれ、赤色の着色層の膜厚、緑色の着色層の膜厚、青色の着色層の膜厚であり、d(R)、d(G)、d(B)は、それぞれ、赤色の着色層に対面する領域に形成された位相差層の膜厚、緑色の着色層に対面する領域に形成された位相差層の膜厚、青色の着色層に対面する領域に形成された位相差層の膜厚である。)
図2のカラーフィルタ1の例では、位相差層9における所定領域ごとの膜厚を示すT1、T2、T3が、それぞれ上記(数4)におけるd(R)、d(G)、d(B)である。
なお、着色層5,6,7の膜厚、位相差層9の膜厚は、触針式段差計にて示される値である。
位相差層を有するカラーフィルタにおいて、カラーフィルタ層3を構成する着色層としては、上記のように赤色の着色層5、緑色の着色層6、青色の着色層7の3種類を採用されることが頻繁である。このような3色の着色層5,6,7を有するカラーフィルタ1について、上記したような屈折率特性の問題を解消するには、位相差層9に対面するカラーフィルタ層3において、上記(数3)のように3色の着色層5,6,7の厚みが定められることが重要となる。
本発明では、カラーフィルタの製造にあたり、基材面に対して位相差層を形成した後に着色層を形成する場合には、着色層の厚みを制御することで、カラーフィルタの表面段差の制御がより細かに制御される。また、本発明では、基材面に対して着色層を形成した後に位相差層を形成する場合には、着色層の膜厚みを調整することで、位相差層の形成時にハーフトーンマスクを使用せずに位相差層の波長分散特性についての問題を解消されたカラーフィルタを得ることが可能となる。
[第4の実施形態]
第1から第3の実施形態のいずれかの製造方法においては、入射光束の進行を遮断するブラックマトリクス8を、カラーフィルタ1の平面視上、複数種類の着色層5,6,7を区画化するようなパターンにて設けるブラックマトリクス形成工程が備えられていてもよい(第4の実施形態)(図8)。図8は、基材2面上にブラックマトリクス8を形成した場合のカラーフィルタ1の例を説明する断面図である。
(ブラックマトリクス形成工程)
図8に示すように、基材2の表面上の所定の領域に、遮光性のブラックマトリクス8が形成される。ブラックマトリクス8は、黒色顔料等を含む有機材料を基材2の面上に塗工する方法など、着色層5,6,7の形成方法と同様の方法により形成できる。ブラックマトリクス8は、着色層5,6,7の形成パターンなどの諸条件に応じて、格子状など所定のパターンにて適宜形成される。
[カラーフィルタを組み込んだ液晶表示装置]
本発明の製造方法によりカラーフィルタ1を得ることができる。このカラーフィルタ1は、例えば次のような半透過半反射型液晶表示装置に組み込んで使用することができる。
本発明の製造方法にて作製されたカラーフィルタ1を用いた液晶表示装置(半透過半反射型液晶表示装置)について、駆動方式をIPSモードとする液晶表示装置を例として説明する(図9)。図9は、半透過半反射型液晶表示装置の構成を模式的に示す斜視図である。
半透過半反射型液晶表示装置30は、図9に示すように、対面する一対の基板25(第1の基板22、第2の基板23)の間に、印加電圧に応じて液晶44の光軸の向きを可変に液晶材料24を封入してなる駆動用液晶層28を形成してなる液晶セル40を備え、その液晶セル40の厚み方向外側に2枚の偏光板19、20を備え、さらにその外側にバックライト(図示せず)を備える。バックライトは、第2の基板23のさらに外側の位置に、第2の基板23に向かって光を入射するように備えられる。
また、半透過半反射型液晶表示装置30は、反射型表示機能と透過型表示機能を有するものである。液晶セル40には、反射型表示機能を発揮させる部分として定められる反射部60と、透過型表示機能を発揮させる部分として定められる透過部61とが形成されている。
第1の基板22、第2の基板23は、基材2であるガラス基板110、ガラス基板111をそれぞれ備えており、第1の基板22は、ガラス基板110上にブラックマトリクス8を積層し、さらにそのガラス基板110面上にあってブラックマトリクスの形成面3上に配向膜(図示せず)を積層している。さらに、第1の基板22には、反射部60に対応する部分に、配向膜上に位相差層9がパターン形成されている。位相差層9の上にはカラーフィルタ層3が積層されている。カラーフィルタ層3は、着色層5,6,7でなる。着色層5は、第1着色層5aと第2着色層5bからなり、着色層6,7についても同様に、それぞれ、第1着色層6aと第2着色層6b、第1着色層7aと第2着色層6bからなる。第1の基板22は、平面視上、反射部60となる領域と透過部61となる領域とに区画されており、第1着色層5a,6a,7aは、反射部60となる領域上に形成され、第2着色層5b,6b,7bは、透過部61となる領域上に形成される(図9では、第2着色層5b,6bの記載を省略)。位相差層9上には、第1着色層5a,6a,7aが積層される。ここに、位相差層9は、所定の領域ごとに膜厚を異にしている。すなわち、位相差層9の膜厚は、位相差層9と第1着色層5a,6a,7aとの積層構造を形成された領域(積層構造領域V(R),V(G),V(B))のうち、積層構造領域V(R),V(G),V(B)のいずれに対応する部分であるかに応じて異なっている。
なお、位相差層9の位相差は、この例では、「位相差層9への入射光束に1/2波長の位相差が生じるような」値となっている。
そして、第1の基板22には、さらに柱体50が、所定の位置(柱体形成予定位置)にフォトリソグラフィー法などの公知方法を用いて分散配置されている。柱体50は、多官能アクリレートを含有するアクリル系、及びアミド系又はエステル系ポリマー等の光硬化可能な感光性を有する樹脂材料から構成されている。柱体50の高さは、第1の基板22と第2の基板23の間隔に応じて設定される。さらに、第1の基板22には、柱体50などを覆うように、配向膜(図示せず)が形成されており、この配向膜が、液晶セル40の第1の基板22において駆動液晶層28との対向面側最表面を構成することになる。
また、第1の基板22において、ガラス基板110には、外側に、偏光板19が配置されている。
第2の基板23は、反射部60に対応する部分に、光を反射させる反射膜34を備える。また、第2の基板23は、平面視上、透過部61に対応する部分に対応する領域を反射膜34の非設置領域として、透過部61に対応する部分を、「光が透過できる部分」となしている。さらに、第2の基板23には、駆動用液晶層28の液晶44に対する電圧の印加有無のスイッチング駆動する駆動用回路をなすTFT(図示せず)やITO等の透明導電膜45が積層されており、そしてそれらを覆うように配向膜(図示せず)が形成されている。
第1の基板22と第2の基板23は、柱体50の先端Kを第2基板23に当接させることによって所定の間隔(セルギャップ)を保っている。このとき、セルギャップは、着色層5,6,7ごとに、反射部60のセルギャップが透過部61のセルギャップの1/2程度となるように定められる。
この液晶表示装置30には、必要に応じて、偏光板19とガラス基板110の間に位相差フィルム31を介在させて、その位相差フィルム31にて視野角補償を行うように構成してもよい。
本明細書において、半透過半反射液晶表示装置30は、駆動用液晶層28の液晶44の駆動方式をIPSモード(In Plane Switching Mode)としているが、駆動方式はこれに限定されるものではなく、VAモード(Vartical Allignment Mode)などであってもよい。ただし、VAモードの場合には、位相差層9は、入射光束に1/4波長の位相差を付与する層となる。
[半透過半反射型液晶表示装置に用いられるカラーフィルタの製造方法]
図9に示す半透過半反射型液晶表示装置30の製造方法では、第4の実施形態の製造方法でカラーフィルタ1が製造されるとともに、そのカラーフィルタ1が組み込まれる。
すなわち、ガラス基板110を準備し、ブラックマトリクス形成工程、位相差層形成工程、カラーフィルタ層形成工程を順次実施して、ガラス基板110面上に、ブラックマトリクス8、配向膜、位相差層9、カラーフィルタ層3を順次積層してカラーフィルタ1を得る。そして、このカラーフィルタ1の表面に柱体50を形成し、第1の基板22を形成する。その一方で、ガラス基板111を準備して、これに反射膜34、透明導電膜などを配置して第2の基板23を製造しておく。そして、第1の基板22の柱体50の先端が第2の基板23に向かうように第1の基板22と第2の基板23が向かい合わされて、第1の基板22と第2の基板23に液晶44を従前公知な方法を適宜用いて封入し、液晶セル40が形成される。液晶セル40の外面に、偏光板19,20が設けられる。こうして、カラーフィルタ1を組み込んだ透過表示機能と反射表示機能を有する半透過半反射型液晶表示装置30が形成される。
この半透過半反射型液晶表示装置30に組み込まれるカラーフィルタ1は、位相差形成工程において、ハーフトーンマスク10が使用されている。位相差層形成工程においては、図10に示すように、ハーフトーンマスク10として、反射部60の形成パターン(位相差層9の形成される部分)に応じた領域(図10中、領域Q)に開口部12を形成したものが準備される。すなわち、ハーフトーンマスク10は、透過部61を避けて反射部60に対して位相差層9を形成可能な所定のパターンで、開口部12を形成している。そして、開口部12は、位相差層9の面内方向の所定領域に応じて特定される開口部12内の所定領域の透過率を、位相差層9に要請される膜厚に応じて異ならせている。そして、位相差層形成工程においては、そのようなハーフトーンマスク10にて、位相差層9がパターニング形成される。
このように本発明によれば、所定の厚みの位相差層を有するとともに表面に所定の段差を有するカラーフィルタを組みこまれた半透過半反射液晶表示装置を得ることができる。
なお、上記の半透過半反射液晶表示装置30の例では、第4の実施形態によって得られたカラーフィルタ1が半透過半反射液晶表示装置30に組み込まれていたが、これに限定されず、第1から第3の実施形態のいずれかの製造方法において得られたカラーフィルタ1が半透過半反射液晶表示装置に組み込まれていてもよい。
以下に、本発明の実施例及びこれに対する比較例を示す。
(位相差層の理想的な位相差と厚みの設定)
カラーフィルタに形成される位相差層の理想的な位相差(目標位相差η1(nm))と段差部の段差量(目標段差η2(μm))について次のように導出した。カラーフィルタとしては、「カラーフィルタ層が赤色の着色層、緑色の着色層、青色の着色層(これらの着色層は面順次に並ぶ)からなり、図9に示す概略構造を有する半透過半反射型液晶表示装置に組み込まれるものであり、さらに、カラーフィルタの位相差層に含まれる重合性液晶が、半透過半反射型液晶表示装置における駆動液晶層の液晶と波長分散特性を同じくするものである」という条件を満たすようなものが、想定された。また、理想的な位相差と膜厚の導出にあたり、半透過半反射型液晶表示装置としては、駆動液晶層の駆動方式をIPSモードとするものが想定された。
上記の想定の下、目標位相差(η1)は、「位相差層が、その位相差層の入射光束に1/2波長の位相差を付与する機能を有する層となる」場合における理想的な位相差量として導出される。また、目標段差η2(μm)は、「半透過半反射型液晶表示装置の明表示時もしくは暗表示時に、駆動液晶層の反射部および透過部に相当する部分が、それぞれ、その部分の入射光束に対して、1/4波長の位相差を付与する機能を有する層構造および1/2波長の位相差を付与する機能を有する層構造となる」場合における段差部の理想的な段差量として導出される。
このとき、目標位相差(η1)および目標段差(η2)は、赤色の着色層、緑色の着色層、青色の着色層のそれぞれと位相差層との積層構造を形成された各領域(積層構造領域V(R),V(G),V(B))について、積層構造領域V(R),V(G),V(B)のいずれに対応する部分であるかに応じて、個々に導出される。したがって、目標位相差(η1)および目標段差(η2)は、位相差層や駆動液晶層への入射光束に応じて導出されることになる。
位相差層や駆動液晶層への入射光束は、外部の光源から液晶セル内に向けて出射された光束のうち偏光板と着色層を通過した光束で構成されていることから、外部の光源と着色層の透過率で特定される。ここで、位相差層や駆動液晶層の位相差は、複屈折と層の厚みで特定される。さらに、位相差層や駆動液晶層には液晶が含まれるため、位相差層や駆動液晶層の屈折率には、波長分散特性が存在している。したがって、入射光束の状態が特定されると、波長分散特性を考慮しながら位相差層の位相差量と段差部の段差量についての理想的に要請される値が特定されることになり、目標位相差(η1)と目標段差(η2)が特定される。具体的に、目標位相差(η1)と目標段差(η2)は、「半透過半反射型液晶表示装置を暗表示させた場合に、輝度(黒輝度)をできるだけ小さくできる」場合における位相差層の位相差量と段差部の段差量として、それぞれ定めることができる。
まず、黒輝度に影響する条件として、カラーフィルタに入射される光(入射光束)のスペクトル、カラーフィルタ層を構成する各色の着色層の透過率、偏光板の透過率、位相差層の屈折率の波長分散特性(駆動液晶層の波長分散特性は、位相差層と同じであると想定した)の条件を指定した。それぞれの条件について、図12から図15に示す。なお、図12においては、太陽光を入射光束に想定した場合のスペクトルが示されている。図12中、縦軸の光量はスペクトル強度(W/m・nm)を示す。図13において、各色の着色層として赤(R)、緑(G)、青(B)の着色層を想定した。赤、緑、青の着色層の透過率スペクトルは、それぞれ、実線、長破線、短破線で示すグラフである。図14において、実線で示すグラフおよび破線で示すグラフは、それぞれ2枚の偏光板がクロスニコルである場合、2枚の偏光板が平行ニコルである場合について一方の偏光板から他方の偏光板に向かう方向の光の透過率を示すグラフである。図13,14において、縦軸の値が1のとき、透過率が100%である。図15において、縦軸のRe/Re(550nm)は、波長550nmの光の位相差(Re(550nm))を1.0としたときの、横軸に示す各波長の光の位相差(Re)の相対値(Re/Re(550nm))の値を示す。
また、半透過半反射型液晶表示装置において、偏光板と位相差層の光軸の相対的な位置関係は、入射光束の入射方向に沿って液晶セルを見た場合に、位相差層の遅相軸と偏光板の吸収軸とのなす角度(鋭角)が22.5°となるような位置関係とした。駆動液晶層と位相差層の光軸の相対的な位置関係は、電圧非印加時において、駆動液晶層の遅相軸と偏光板の吸収軸とのなす角度が90°となるような位置関係とした。ただし、半透過半反射型液晶表示装置としては、電圧非印加時に、暗表示となるように構成されたものが想定された。
黒輝度の値Yは、暗表示時のカラーフィルタを正面方向から観察した場合に、液晶セル外部への漏出を想定される各波長の光と、CIE1931表色系(2度視野XYZ表色系)の等色関数とを用いて導出した三刺激値Yの値である。
上記したような条件と想定に基づき、「位相差層および駆動液晶層が光束に与える位相差は、光束が通過する着色層の色種(赤、緑、青)によらず等しい」と仮定して(積層構造領域V(R),V(G),V(B)のいずれを通過する光束に対しても一様な位相差を生じると仮定して)(波長分散特性を考慮せずに)黒輝度が低くなるように位相差を導出した場合の位相差(試行例1)、位相差層のみ波長分散特性を考慮して黒輝度が低くなるように位相差を導出した場合の位相差(試行例2)、位相差層および駆動液晶層の波長分散特性を考慮して黒輝度が低くなるように位相差を導出した場合の位相差(試行例3)をシミュレーションした。それぞれについて黒輝度も含めて結果を表1に示す。ただし、表1には、波長589nmの光が位相差層に入射する場合における位相差の値を示す。
さらに、試行例1から3について、位相差層の複屈折(Δn)が0.13、駆動液晶の複屈折(Δn)が0.07となっているものを想定して、位相差層と駆動液晶層の厚み(μm)を導出した。それぞれについて結果を表2に示す。
なお、表1,2において、位相差層の欄における赤、緑、青の各欄の値は、それぞれ積層構造領域V(R),V(G),V(B)に対応する位相差層の部分についての位相差(表1)、厚み(表2)を示す。駆動液晶層の欄における赤、緑、青の各欄の値は、それぞれ積層構造領域V(R),V(G),V(B)を通る光束が通過する駆動液晶層の部分についての位相差(表1)、厚み(表2)を示す。
Figure 2011043644
Figure 2011043644
試行例1から3について、上記の表2の駆動液晶層の厚みの値に基づき、カラーフィルタの段差部に必要とされる段差量が表3に示すように算出される。ただし、試行例1から3について、カラーフィルタにおける隣り合う赤色の着色層と緑色の着色層の間又は境界位置に形成される段差部の段差量(μm)が、表3の「赤−緑」欄に示す値であり、隣り合う緑色の着色層と青色の着色層の間又は境界位置に形成される段差部の段差量(μm)が、表3の「緑−青」欄に示す値である。
なお、各色の着色層の厚みについては、位相差層と駆動液晶層の厚みの合計値を考慮することで、それぞれ所定の値に決定される。
Figure 2011043644
試行例1から3をみると、表1に示すように、試行例3が黒輝度を抑えている。このことから、カラーフィルタとして、上記試行例3のような位相差層の位相差(nm)(表2に示す)と段差部の段差量(μm)(表3に示す)を有するものが得られることが好ましいことになる。このように試行例1から3のなかから目標位相差(η1)と目標段差(η2)を選択すると、これらの値は、試行例3における位相差層の位相差と段差部の段差量となる。
次に、本発明の製造方法にて、「上記試行例3のような位相差を入射光束に与える位相差層」と「試行例3のような段差量を有する段差部」を形成したカラーフィルタを得ることができることを示す。上記したように、このカラーフィルタは、IPSモードの半透過半反射型液晶表示装置に組み込まれるものであるので、反射部と透過部に対応する部分に区分できるものとなっている。
(ガラス基材の準備と洗浄処理)
基材として低膨張率無アルカリガラス板(コーニング社製、1737ガラス)(縦100mm×横100mm、厚み0.7mm)を準備し、その基板(ガラス基材)に洗浄処理を施した。
(ブラックマトリクス、着色層、等方層の各層を形成するための各材料組成物の調製)
ブラックマトリクスを形成するための材料組成物及び赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の各色の着色層を形成するための材料組成物としては、それぞれに対応した組成の顔料分散型フォトレジストが用いられた。ここで、各色種の着色層は反射部に設けられる着色層(第1着色層に相当し、反射部着色層ということがある)と透過部に設けられる着色層(第2着色層に相当し、透過部着色層ということがある)とからなる。そこで、色種ごとに、これら第1着色層と第2着色層の分光濃度を合わせるため、RGBの各色の着色層を形成するための材料組成物については、色種ごとに、第1の着色層と第2の着色層を構成するものを調整し、計6種類のフォトレジストを調製した。本実施例では簡単のために、反射部着色層の感材の濃度を1通りにしたが、着色層の膜厚設計に合わせ、より正確に適宜調整することが可能である。
顔料分散型フォトレジストは、着色材料として顔料を用い、分散液組成物(顔料、分散剤及び溶剤を含有する)にビーズを加え、分散機で3時間分散させ、その後ビーズを取り除いた分散液とクリアレジスト組成物(ポリマー、モノマー、添加剤、開始剤及び溶剤を含有する)とを混合したものである。その組成を下記に示す。尚、分散機としては、ペイントシェーカー(浅田鉄工社製)を用いた。
各フォトレジストの組成を以下に示す。
(i)ブラックマトリックス形成用フォトレジスト
・黒顔料・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14.0部
(大日精化工業(株)製、TMブラック#9550)
・分散剤・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1.2部
(ビックケミー(株)製、ディスパービック111)
・ポリマー・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2.8部
(昭和高分子(株)製、(メタ)アクリル系樹脂、品番:VR60)
・モノマー・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3.5部
(サートマー(株)製、多官能アクリレート、品番:SR399)
・添加剤(分散性改良剤)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.7部
(綜研化学(株)製、ケミトリーL−20)
・開始剤・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1.6部
(2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1)
・開始剤(4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン)・・・・・・0.3部
・開始剤(2,4−ジエチルチオキサントン)・・・・・・・・・・0.1部
・溶剤(エチレングリコールモノブチルエーテル)・・・・・・・75.8部
(ii)赤色第1着色層形成用フォトレジスト
・赤色顔料(C.I.PR254)・・・・・・・・・・・・・・・1.75部
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)、クロモフタールDPP Red BP)
・黄色顔料(C.I.PY139)・・・・・・・・・・・・・・・0.3部
(BASF社製、パリオトールイエローD1819))
・分散剤・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1.5部
(ゼネカ(株)製、ソルスパース24000)
・ポリマー1(下記)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5.0部
・モノマー・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4.0部
(サートマー(株)製、多官能アクリレート、品番:SR399)
・開始剤・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1.4部
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、イルガキュア907)
・開始剤・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.6部
(2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール)
・溶剤・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・85.4部
(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
なお、ポリマー1は、ベンジルメタクリレート:スチレン:アクリル酸:2−ヒドロキシエチルメタクリレート=15.6:37.0:30.5:16.9(モル比)の共重合体100モル%に対して、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを16.9モル%付加したものであり、重量平均分子量は42500である。また、このことは、後述の緑色第1着色層形成用フォトレジスト、緑色第2着色層形成用フォトレジスト、青色第1着色層形成用フォトレジスト、青色第2着色層形成用フォトレジスト、等方層形成用フォトレジストにおいても同じである。
上記の組成は反射部着色層である第1着色層の形成を行うためのフォトレジスト(赤色第1着色層形成用フォトレジスト)であり、透過部着色層である第2着色層の形成を行うためのフォトレジスト(赤色第2着色層形成用フォトレジスト)としては、赤色第1着色層形成用フォトレジストに含まれる赤顔料、黄顔料、および分散剤をそれぞれ2倍としたほかは、赤色第1着色層形成用フォトレジストと同様にして形成されるフォトレジストが調製された。
(iii)緑色第1着色層形成用フォトレジスト
上記の赤色第1着色層形成用フォトレジストにおける赤色顔料および黄色顔料に替えて、顔料として下記のものを下記の配合量で用いた。
・緑色顔料(C.I.PG7)・・・・・・・・・・・・・・・・・1.9部
(大日精化製セイカファストグリーン5316P))
・黄色顔料(C.I.PY139)・・・・・・・・・・・・・・・1.1部
(BASF社製、パリオトールイエローD1819)
上記の組成は反射部着色層である第1着色層の形成を行うためのフォトレジスト(緑色第1着色層形成用フォトレジスト)であり、透過部着色層である第2着色層の形成を行うためのフォトレジスト(緑色第2着色層形成用フォトレジスト)としては、緑色第1着色層形成用フォトレジストに含まれる緑色顔料、黄色顔料、および分散剤をそれぞれ2倍としたほかは、緑色第1着色層形成用フォトレジストと同様にして形成されるフォトレジストが調製された。
(iv)青色第1着色層形成用フォトレジスト
上記の赤色第1着色層形成用フォトレジストにおける赤色顔料、黄色顔料、および分散剤に替えて、下記のものを下記の配合量で用いた。
・青色顔料(C.I.PB15:6)・・・・・・・・・・・・・・2.3部
(BASF社製ヘリオゲンブルーL6700F))
・紫色顔料(C.I.PV23)・・・・・・・・・・・・・・・・0.7部
(クラリアント社製、フォスタパームRL−NF)
・顔料誘導体・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.3部
(ゼネカ(株)製ソルスパース12000)
・分散剤・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1.2部
(ゼネカ(株)製ソルスパース24000)
上記の組成は反射部着色層である第1着色層の形成を行うためのフォトレジスト(青色第1着色層形成用フォトレジスト)であり、透過部着色層である第2着色層の形成を行うためのフォトレジスト(青色第2着色層形成用フォトレジスト)としては、青色第1着色層形成用フォトレジストに含まれる青色顔料、紫色顔料、顔料誘導体および分散剤をそれぞれ2倍としたほかは、青色第1着色層形成用フォトレジストと同様にして形成されるフォトレジストが調製された。
(位相差層形成用の材料組成物の調製)
位相差層形成用の材料組成物(液晶組成物)として、次に示す組成の重合性液晶組成物が調製された。重合性液晶組成物は、次に示す各成分を混合して溶剤に固形成分を溶解させることで、調製された。
(重合性液晶組成物)
重合性液晶(化11におけるa=b=6の化合物) 28.75重量部
光重合開始剤(イルガキュア907) 1.24重量部
重合禁止剤(2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール) 0.01重量部
溶剤(ジエチレングリコールジメチルエーテル) 70.00重量部
(等方層形成用の材料組成物の調製)
等方層形成用の材料組成物(重合性組成物)として、次に示す組成の等方層形成用フォトレジストが調整された。これに含まれる「モノマー」は重合性化合物をなす。
(等方層形成用フォトレジスト)
・モノマー・・・・・14.0重量部
(サートマー(株)製、SR399)
・ポリマー1・・・・・13.0重量部
・開始剤・・・・・2.0重量部
(チバガイギー社製、イルガキュア907)
・開始剤・・・・・1.0重量部
(チバガイギー社製、イルガキュア365)
・溶剤・・・・・70.0重量部
(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
実施例1
カラーフィルタとして、図9に示す概略構造を有するIPSモードの半透過半反射型液晶表示装置に組み込まれるものを次に示すように作製した。このカラーフィルタには、反射部と透過部が形成される。
(ブラックマトリクスの形成)
洗浄したガラス基材上に、上記BM用フォトレジストをスピンコート法で塗布し、減圧乾燥により溶剤を減じ、80℃、3分間の条件でプリベークし、ストライプ状のBM101が設けられるよう形成されたマスクを用いて露光(100mJ/cm)し、続いて0.05%KOH水溶液を用いたスプレー現像を60秒行った後、230℃、30分間ポストベークし、膜厚1.0μmのBMを製膜した(BM形成基材)。
(位相差層の形成)
上述のとおりBM形成基材の形成後に、BM形成基材面におけるBMの形成された面に対して、配向膜形成用の組成物(JSR株式会社製、AL1254)を、スピンコーターを用いて塗布して、配向膜形成用塗布膜を形成するとともに、配向膜形成用塗布膜を形成したBM形成基材を230℃のオーブン内で30分焼成して乾燥膜を形成した。なお、配向膜形成用塗布膜の膜厚は、0.1μm以下なるように調整された、次いで、ラビング装置を用いて、乾燥膜に配向処理を施し、乾燥膜を配向膜となした。
次に、形成された配向膜上に、上記の位相差層形成用の重合性液晶組成物をスピンコート法で塗布して液晶塗布膜を得て、80℃、3分間の条件でプリベークし、フォトマスクを用いて、この液晶塗布膜をアライメント露光(200mJ/cm)した。引き続き、メチルエチルケトン(MEK)を用いてバット現像を5秒行った後、230℃、30分間ポストベークした。これにより、位相差層が、カラーフィルタの平面視上、反射部を覆うようにパターニングされた。
位相差層の形成にあたっては、フォトマスクとして、次のようなハーフトーンマスクが用いられた。ハーフトーンマスクとしては、図10に示すように反射部の形成パターンに応じた領域に開口部を形成したものが準備された。開口部は、透過部を避けて反射部に対して位相差層を形成可能な所定のパターンにて形成される。さらに開口部の内部においては、形成しようとする位相差層の面内方向の所定領域に応じて特定される開口部内の所定領域の透過率を、位相差層に要請される膜厚に応じて異ならせている。ここで、要請される位相差層の膜厚は、積層構造領域V(R),V(G),V(B)に対応する位相差層の部分のいずれかによって定められる。開口部は、積層構造領域V(R),V(G),V(B)に応じて特定される所定領域ごとに、透過率を異ならせてなるパターンを形成している。透過率のパターンを表4に示す。表4中、赤、緑、青の欄に示す値は、それぞれ積層構造領域V(R),V(G),V(B)に応じて特定される開口部の所定領域の透過率(%)である。各透過率については、積層構造領域V(R)に対応して定まる領域の透過率が100%であるものとし、これを基準として積層構造領域V(G),V(B)に対応して定まる領域それぞれの透過率が定められた。
Figure 2011043644
こうして、ガラス基材面上にBM、配向膜、位相差層を形成した位相差層形成基材を得た。
(カラーフィルタ層の形成)
カラーフィルタ層は、赤色の着色層と緑色の着色層と青色の着色層とから構成される。さらに、各色の着色層は、それぞれ、反射部に形成される着色層(第1着色層(赤色第1着色層、青色第1着色層、緑色第1着色層))と透過部に形成される着色層(第2着色層(赤色第2着色層、青色第2着色層、緑色第2着色層))とから構成される。
まず、青色第1着色層を構成するための青色第1着色層形成用フォトレジストを上記位相差層形成基材上にスピンコート法で一面に塗布し、減圧乾燥により溶剤を減じ、80℃、3分間の条件でプリベークし、青色第1着色層のパターンに応じて定められる面内方向の所定位置に矩形状の開口部(光透過部)を形成したフォトマスクを用いて、アライメント露光(100mJ/cm)した。これに引き続き、0.1%KOH水溶液を用いたスプレー現像を60秒行った後、230℃、30分間ポストベークし、位相差層形成基材に対して所定の位置に青色第1着色層がパターン形成された。
さらに、基材上に、青色第1着色層を形成する方法と同様にして、緑色第1着色層、赤色第1着色層、青色第2着色層、緑色第2着色層、赤色第2着色層を形成することにより、「カラーフィルタ層を形成された基板」を得た。反射部用の各色の着色層(第1着色層)の膜厚(目標とする膜厚)は、表5に示す通りとした。透過部用の各色の着色層(第2着色層)の膜厚(目標とする膜厚)については、青色第2着色層の膜厚を2.26μm、緑色第2着色層の膜厚を1.85μm、赤色第2着色層の膜厚を1.34μmとした。なお、表5において、反射部着色層の欄における赤、緑、青の各欄は、反射部着色層の各色種を示している。
ここで、反射部用の着色層のパターンおよび透過部用の着色層のパターンは、それぞれ、赤色、緑色、青色の着色層が面順次に並ぶようなパターンである。そして、反射部の着色層のパターンでなる画素パターンおよび透過部の着色層のパターンでなる画素パターンはガラス基板の面内方向の所定位置に略矩形状の光透過部を所定方向に間欠的に格子状に並べて形成されるパターンであり、赤色、緑色、青色の着色層が面順次に並ぶようなパターンである(図11)。図11中、BM基板は、符号Uで示され、ブラックマトリクスは、符号Mで示され、赤色、緑色、青色の着色層は、C(R)、C(G)、C(B)の符号で示され、赤色第1着色層、緑色第1着色層、青色第1着色層は、C(R1)、C(G1)、C(B1)の符号で示され、赤色第2着色層、緑色第2着色層、青色第2着色層は、C(R2)、C(G2)、C(B2)の符号で示される。
こうして、カラーフィルタが得られた。得られたカラーフィルタを用い、位相差層の位相差(nm)と、反射部の表面に形成された段差部の段差量(μm)(反射部の表面段差)を測定した。結果を表6に示す。表6において、位相差層の欄における赤、緑、青の各欄の値は、表1,2と同じく、それぞれ積層構造領域V(R),V(G),V(B)に対応する位相差層の部分の位相差(nm)を示す。また、表6において、後述の段差部の段差量の欄における「赤−緑」、「緑−青」の各欄の値は、それぞれ「隣り合う積層構造領域V(R)とV(G)の間もしくは境界」、「隣り合う積層構造領域V(G)とV(B)の間もしくは境界」に形成される段差部の段差量(μm)を示す。
カラーフィルタにおける段差部の段差量は、触針式段差測定装置で測定された。なお、カラーフィルタの各層の膜厚についても、公知の触針式段差測定装置を使用することにより測定することができる。触針式段差測定装置としては、小坂研究所社製SURFCORDER ET400Lが用いられた。
位相差層の位相差は、公知のリタデーション測定装置や顕微分光測定装置を使用して測定することができる。具体的には、オリンパス社製の顕微分光測定装置OSP−SP200と偏光板2枚を用いて、偏光板2枚の吸収軸がパラレルとなるようにそれら2枚の偏光板を上下に配置し、偏光板の吸収軸に対して位相差層の光軸が45°の角度をなすように2枚の偏光板でカラーフィルタをはさみ、下側の偏光板から入射されて上側の偏光板を透過した光の分光透過率を測定した。次に、カラーフィルタの厚み方向に回転軸をとって上側の偏光板を90°回転することで、2枚の偏光板をそれらの吸収軸がクロスするような状態とし、上記と同様の光の分光透過率を測定した。分光透過率の測定結果に基づき、各色の着色層を通る光についての位相差を、回転検光子法によって算出した。測定と算出は各色の画素ごとに行った。なお、顕微分光測定装置を用いた位相差の測定にあたり、カラーフィルタの平面視上各色の着色層の形成領域内の中央部分に測定スポット(測定スポット径10μm)を選択し、その測定スポットについて位相差が計測された。これにより、カラーフィルタの位相差層の区分領域ごとの位相差が測定されることになる。
実施例2
実施例1と同じ方法と材料を用いてBM形成基材を作製した。BM形成基材の、BM形成面上にカラーフィルタ層を形成した。カラーフィルタ層の形成については、RGBの各色の着色層を形成するための材料組成物をBM形成基材面におけるBMの形成された面に塗布し、反射部用の各色の着色層の膜厚を表5に示す通りの値とした。透過部用の各色の着色層(第2着色層)の膜厚(目標とする膜厚)については、青色第2着色層の膜厚を3.28μm、緑色第2着色層の膜厚を2.87μm、赤色第2着色層の膜厚を2.36μmとした。これら着色層の膜厚のほかについては、実施例1と同じ方法と材料が用いられた。さらに、カラーフィルタ層の表面上に、位相差層を形成した。位相差層の形成については、カラーフィルタ層の形成された面に対して配向膜形成用の組成物を塗布して配向膜形成用塗布膜を形成したほかは、実施例1と同じ方法と材料が用いられた。このとき、ガラス基材面上にBM、着色層、配向膜、位相差層をこの順に積層形成した積層体が得られる。
この積層体における位相差層形成面上に、次のように、等方層が形成された。
(等方層の形成)
得られた積層体面上に上述の等方層形成用フォトレジストをスピンコート法で塗布して等方層形成用塗布膜を作製して等方層形成用塗布膜形成基板を得て、減圧乾燥により等方層形成用塗布膜に含まれる溶剤を留去した。次に、等方層形成用塗布膜形成基板を80℃、3分間の条件でプリベークした。そして、等方層形成用塗布膜形成基板の等方層形成用塗布膜を、フォトマスクを用いてアライメント露光(100mJ/cm)した(露光処理)。この露光処理に引き続いて0.1%KOH水溶液を用いたスプレー現像を60秒行い、その後、等方層形成用塗布膜形成基板を230℃、30分間ポストベークし、反射部にあたる部分に等方層を形成した。このとき、積層体の平面視上、赤色第1着色層、緑色第1着色層、青色第1着色層上に形成される等方層の膜厚(目標とされる膜厚)は、それぞれ1.10μm、1.32μm、1.5μmとされた。
なお、露光処理の際に使用されたフォトマスクは、等方層形成用のハーフトーンマスクが用いられた。このハーフトーンマスクとしては、反射部の形成パターンに応じた領域に開口部を形成したものが準備された。開口部は、透過部を避けて反射部に対して位相差層を形成可能な所定のパターンにて形成される。さらに開口部の内部においては、形成しようとする等方層の面内方向の所定領域に応じて特定される開口部内の所定領域の透過率を、等方層に要請される膜厚に応じて異ならせている。等方層形成用のハーフトーンマスクでは、開口部は、積層構造領域V(R),V(G),V(B)に応じて特定される所定領域ごとの透過率がそれぞれ60%、80%、100%になるように、設計された。
こうして、ガラス基材面上にBM、着色層、配向膜、位相差層、等方層をこの順に積層形成したカラーフィルタが得られた。
得られたカラーフィルタを用い、実施例1と同様にして、位相差層の位相差(nm)と、反射部の表面(最表面)に形成された段差部の段差量(μm)(反射部の表面段差)を測定した。結果を表6に示す。
実施例3
ブラックマトリクスを形成せず、アライメントマークのみを形成し、且つ、位相差層を形成する工程で基材の表面に、配向膜形成用の組成物(JSR株式会社製、AL1254)をスピンコーターで一面に塗布したほかは、実施例1と同じ方法と材料を用いて、カラーフィルタを作製した。なお、アライメントマークを形成するための組成物としては、ブラックマトリックス形成用フォトレジストが流用された。なお、アライメントマークは、ガラス基材面上の着色層と位相差層のいずれかの層の非形成領域における予め指定された位置(マーク指定位置)に形成された。
得られたカラーフィルタを用い、実施例1と同様にして、位相差層の位相差(nm)と、反射部の表面(最表面)に形成された段差部の段差量(μm)(反射部の表面段差)を測定した。結果を表6に示す。
実施例4
ブラックマトリクスを形成せず、アライメントマークのみを形成し、且つ、位相差層を形成する工程で基材の表面に、配向膜形成用の組成物(JSR株式会社製、AL1254)をスピンコーターで一面に塗布したほかは、実施例2と同じ方法と材料を用いて、カラーフィルタを作製した。なお、アライメントマークを形成するための組成物としては、青色第1着色層形成用フォトレジストが流用された。青色第1着色層形成用フォトレジストは、実施例2においてカラーフィルタ層を構成する着色層として最初に形成された着色層を形成するために用いられる組成物である。また、アライメントマークは、マーク指定位置(実施例3にいうマーク指定位置と同位置)に形成された。
得られたカラーフィルタを用い、実施例1と同様にして、位相差層の位相差(nm)と、反射部の表面(最表面)に形成された段差部の段差量(μm)(反射部の表面段差)を測定した。結果を表6に示す。
比較例1から4
比較例1から4では、ハーフトーンマスクにかえて、表4に示すような透過率を有する単諧調フォトマスクを用いた。また、反射部の着色層の膜厚は表5に示す通りとし、透過部の着色層の膜厚は実施例1と同じとした。そのほかについては、比較例1は実施例1と同様に、比較例2は実施例2と同様に、比較例3は実施例3と同様に、比較例4は実施例4と同様にして、それぞれカラーフィルタを得た。なお、表4に示す単諧調フォトマスクの開口部の存在領域(形成パターン)は、ハーフトーンマスクの開口部の存在領域(形成パターン)と同じになっている。
比較例1から4のそれぞれについて、得られたカラーフィルタを用い、実施例1と同様にして、位相差層の位相差(nm)と、反射部の表面(最表面)に形成された段差部の段差量(μm)(反射部の表面段差)を測定した。結果を表6に示す。
Figure 2011043644
Figure 2011043644
各実施例および比較例から明らかに、色種ごとに着色層の膜厚を変えるとともに、カラーフィルタの表面段差を調整し、さらに位相差層の位相差を調整することで、波長分散を制御できること及び、画素ごとに制御された表面段差を形成できることが確認された。実施例では、「試行例3と同等の位相差を入射光束に付与可能な位相差層」と「試行例3と同等の段差量を有する段差部」を形成したカラーフィルタが作製されている。したがって、このようなカラーフィルタを用いることで半透過半反射型液晶表示装置の反射表示の黒輝度を抑制することができる。
1 カラーフィルタ
2 基材
3 カラーフィルタ層
4 液晶塗布膜
5,6,7 着色層
5a,6a,7a 第1着色層(反射部用着色層)
5b,6b,7b 第2着色層(透過部用着色層)
8 ブラックマトリクス
9 位相差層
10 ハーフトーンマスク
11 等方層
12 開口部
13 非開口部
14 段差部
15 重合性塗布膜
19,20 偏光板
22 第1の基板
23 第2の基板
24 液晶材料
25 一対の基板
28 駆動用液晶層
30 液晶表示装置
31 位相差フィルム
34 反射膜
40 液晶セル
44 液晶
50 柱体
60 反射部
61 透過部
110,111 ガラス基板
R1,R2,R3 ハーフトーンマスクの開口部における所定の領域
r1,r2,r3 ハーフトーンマスクの開口部における所定の領域を構成する単位領域
U1,U2,U3 1種類の色種の着色層に対して対面する部分に対応する領域
Q ハーフトーンマスクにおいて光を透過させる部分(開口部12)の領域
L 照射される光の進行方向
V(R),V(G),V(B) 積層構造形成領域

Claims (8)

  1. 光透過性を有する基材と、厚みの異なる複数の着色層を備えてなるカラーフィルタ層と、入射光に位相差を生じさせる位相差層とを備えるカラーフィルタの製造方法であって、
    基材に対して直接又は間接に厚みを異にする着色層を設けるカラーフィルタ層形成工程と、
    基材に対して直接又は間接に、重合性官能基を有する液晶化合物を含有する液晶組成物を塗布して液晶塗布膜を形成し、該液晶塗布膜に含まれる液晶化合物を所定の方向に配向させ、フォトマスクを介して液晶塗布膜に対して活性放射線を照射することにより、液晶塗布膜に含まれる液晶化合物を重合してなる構造を有する位相差層を形成する位相差層形成工程と、を備えており、
    位相差層形成工程では、フォトマスクとして、ハーフトーンマスクが用いられており、
    カラーフィルタ層形成工程および位相差層形成工程は、該カラーフィルタ層形成工程および位相差層形成工程の実施後において、カラーフィルタの最表面の領域のうち位相差層と着色層の積層構造が存在する部分により形成されるとともに厚みを異にする着色層ごとに形成される積層構造形成領域によって、隣り合う積層構造形成領域の間又は境界位置に、0.1μmを超える所定の大きさの段差部が形成されるように、行われる、ことを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
  2. 光透過性を有する基材と、厚みの異なる複数の着色層を備えてなるカラーフィルタ層と、入射光に位相差を生じさせる位相差層と、部分的に厚みを異にするとともに光学的に等方性である等方層とを備えるカラーフィルタの製造方法であって、
    基材に対して直接又は間接に厚みを異にする着色層を設けるカラーフィルタ層形成工程と、
    基材に対して直接又は間接に、重合性官能基を有する液晶化合物を含有する液晶組成物を塗布して液晶塗布膜を形成し、該液晶塗布膜に含まれる液晶化合物を所定の方向に配向させ、フォトマスクを介して液晶塗布膜に対して活性放射線を照射することにより、液晶塗布膜に含まれる液晶化合物を重合してなる構造を有する位相差層を形成する位相差層形成工程と、
    基材に対して直接又は間接に、重合性官能基を有する重合性化合物を含有する重合性組成物を塗布して等方性を有する重合性塗布膜を形成し、該重合性塗布膜に対してフォトマスクを介して活性放射線を照射することにより、重合性塗布膜に含まれる重合性化合物を重合反応させてなる構造を有する等方層を形成する等方層形成工程と、と備えており
    少なくとも等方層形成工程では、フォトマスクとして、ハーフトーンマスクが用いられており、
    カラーフィルタ層形成工程と位相差層形成工程と等方層形成工程は、該カラーフィルタ層形成工程と位相差層形成工程と等方層形成工程の実施後において、カラーフィルタの最表面の領域のうち位相差層と着色層と等方層の積層構造が存在する部分により形成されるとともに厚みを異にする着色層ごとに形成される積層構造形成領域によって、隣り合う積層構造形成領域の間又は境界位置に、0.1μmを超える所定の大きさの段差部が形成されるように、行われる、ことを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
  3. 位相差層形成工程よりも後においてカラーフィルタ層形成工程が行われる、請求項1に記載のカラーフィルタの製造方法。
  4. カラーフィルタ層形成工程よりも後において位相差層形成工程が行われる、請求項2に記載のカラーフィルタの製造方法。
  5. カラーフィルタ層形成工程では、色種を異にする複数種類の着色層が形成され、且つ、着色層は、400nm以上700nm以下の範囲における光の透過率の最大値を与える波長が大きい着色層ほど、着色層の膜厚が小さくなるように形成される、請求項1から4のいずれかに記載のカラーフィルタの製造方法。
  6. カラーフィルタ層形成工程では、光透過性を有する着色層として、赤色の着色層、緑色の着色層、青色の着色層が形成され、且つ、各色の着色層の膜厚が(数1)をみたすように着色層が形成され、
    位相差層形成工程では、赤色の着色層、緑色の着色層、青色の着色層それぞれに対面する領域に形成された位相差層の膜厚が、(数2)をみたすように位相差層が形成される、請求項1から4のいずれかに記載のカラーフィルタの製造方法。
    (数1) h(R)<h(G)<h(B)
    (数2) d(R)>d(G)>d(B)
    (ただし、h(R)、h(G)、h(B)は、それぞれ、赤色の着色層の膜厚、緑色の着色層の膜厚、青色の着色層の膜厚であり、d(R)、d(G)、d(B)は、それぞれ、赤色の着色層に対面する領域に形成された位相差層の膜厚、緑色の着色層に対面する領域に形成された位相差層の膜厚、青色の着色層に対面する領域に形成された位相差層の膜厚である。)
  7. 透過表示機能と反射表示機能を有する半透過半反射型液晶表示装置に用いられ、透過表示機能にて表示される領域に対応して定められる透過部と、反射表示機能にて表示される領域に対応して定められる反射部とから構成されるカラーフィルタの製造方法であり、
    位相差層形成工程では、透過部を避けて反射部に対して位相差層を形成可能に所定のパターンを形成したハーフトーンマスクにて、位相差層がパターニング形成される、ことを特徴とする、請求項1から6のいずれか1項に記載のカラーフィルタの製造方法。
  8. 請求項1から7のいずれか1項に記載の製造方法で得られたカラーフィルタを備えることを特徴とする液晶表示装置。
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