JP2010236537A - 積層複合管 - Google Patents
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Abstract
【課題】断熱効果および制振効果の両方を得ることができ、使用される排気系全体としての構成を従来のものよりも小さくすることが可能な積層複合管を提供する。
【解決手段】振動源に接続して使用される積層複合管1であって、内管2と、この内管の外側に同軸となるように配置した外管4と、内管2と外管4の間に設けた防振断熱材3とを備え、内管2と外管4が、互いに異なる固有振動数となる金属管、または同じ固有振動数に対して異なる振動モードとなる金属管である構成とした。
【選択図】図2
【解決手段】振動源に接続して使用される積層複合管1であって、内管2と、この内管の外側に同軸となるように配置した外管4と、内管2と外管4の間に設けた防振断熱材3とを備え、内管2と外管4が、互いに異なる固有振動数となる金属管、または同じ固有振動数に対して異なる振動モードとなる金属管である構成とした。
【選択図】図2
Description
本発明は、原動機等の振動源からの排気を行うときに使用される積層複合管に関する。
一般に、原動機(エンジン)を動力源として駆動する自動車等は、その多くがエンジンからの排ガスを排気管を介して車外に排出している。このような排気管には、排ガスの熱を外に逃がさないための断熱性や、エンジンの振動の伝搬および排気に伴う振動に対する制振性を得るために、積層構造としているものがある(例えば、特許文献1,2参照)。
特許文献1には、自動車に使用される排気マニホールド(エキゾーストマニホールド、以下、単にマニホールドという)およびこれに適用される排気管が提案されている。前記排気管は、エンジンの各シリンダに接続されて排気系を一本に束ねるために設置されるもので、断面を同心円状に配置された外管とその内側の内管との間に繊維材料からなる支持層を設けた構成である。そして、外管は、例えば鋼管、アルミニウム管、あるいはチタン管のような金属管で形成され、内管は、無機ポリマーやアルミケイ酸塩主体のジオポリマー等の無機マトリックス複合材で形成されている。また、支持層を形成する繊維材料は、セラミックス繊維およびセラミック繊維シート、ならびにシリカ繊維、アルミナ繊維、ジルコニウム繊維、アルミナホウケイ酸繊維であることが記載されている。
このように構成された排気管は、断熱性に優れ、また排気系の温度、ならびに内管が晒される排ガスの流量および加速の各条件に対応可能に、内管が劣化や損傷することなく、外管の内側で支持層により適切に保持される。
また、特許文献2には、自動車の排気系に使用するための、それぞれが金属からなる外管と内管とを、10〜150μmの間隙を設けて配置した制振性二重金属管が提案されている。このように構成された二重金属管は、振動で互いに接触可能な微小な間隙を設けることにより制振効果が向上する。さらにこの制振性二重金属管には、加熱により変質するような充填材を用いていないため、性能変化等もなく、優れた制振効果を長期にわたって安定して奏する。
しかしながら、前記従来の排気管等は、以下に示すような問題点が存在していた。特許文献1の排気管は、マニホールドとしてエンジンに接続されるもので、排気系の一部分に限定して配置されるものであるため、エンジンからの排気による排気管に対する脈動により生じる振動を抑制する構成ではなかった。また、特許文献2に記載の制振性二重金属管は、ある程度の制振性を得ることはできるが、エンジンからの排気による脈動が大きくなると、外管と内管とが接触し、それぞれが金属管であるために大きな音が発生してしまう。また、外管と内管の間が極めて小さな隙間であるため、熱の放出を抑制することが困難であった。
本発明は前記問題点に鑑みてなされたものであって、断熱効果に優れ、かつ制振効果を向上させて、排気管として使用される排気系の全体としての構成を従来のものよりも小さくすることが可能な積層複合管を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明に係る積層複合管は、振動源に接続して使用される積層複合管であって、内管と、この内管の外側に同軸となるように配置した外管と、前記内管と前記外管の間に設けた防振断熱材とを備えて、前記内管と前記外管が、互いに異なる固有振動数となる金属管または同じ固有振動数に対して異なる振動モードとなる金属管である構成とした。
なお、本発明に係る積層複合管は、原動機から、マニホールド、触媒器、および消音器を介して外部に排ガスを排出する排気系において、マニホールド、触媒器、および消音器のそれぞれの間のいずれかを互いに接続するために使用される積層複合管としてもよい。
かかる構成により積層複合管は、振動源から振動を伝えられたときに、この振動による内管または外管の一方の金属管の振動が、他方の金属管に伝わる前に防振断熱材およびその内部に含まれる空気に伝わるので、減衰されてから前記他方の金属管に伝わる。さらに内管と外管は、固有振動数が互いに異なるので、少なくとも一方の金属管は振動源からの振動の振動数と固有振動数が異なるので振動し難く、また一方の金属管がその固有振動数で大きく振動(固有振動)した場合もこの振動は他方の金属管には伝わり難く、積層複合管全体としての振動は抑制される。または内管と外管は、同じ固有振動数に対して異なる振動モードの金属管なので、振動源からの振動がこの固有振動数と同じ振動数であっても、それぞれの振動が互いに打ち消し合うように抑制される。特に、原動機を振動源として積層複合管が排気系に使用された場合は、原動機から排ガスが排気される際に、内管の内側から排気に伴う圧力脈動が伝わって内管が振動しても、内管の振動は外管には防振断熱材で減衰されて伝わり、さらに外管の振動と互いに打ち消し合うため、外管から外側へは振動が伝わり難い。また、積層複合管は、特に内管を金属管とすることにより、原動機から排出される数百℃の高温の排ガスが流通しても耐えることができ、また管全体として積層構造であり、さらにこの積層構造の中間層に防振断熱材を備えるため、断熱性にも優れた構成とすることができる。
ここで、本発明において、内管と外管の固有振動数が互いに異なる、また同じであるとは、以下の状態を指す。金属管は、外部から作用する振動の振幅が微小であっても、その振動数が自身の固有振動数と一致していればその振動数で大きな振幅で振動する(固有振動)が、振動数が一致しなくとも近似していれば自身の固有振動数である程度大きく振動する。すなわち内管と外管の固有振動数が一致または近似し、同じ振動が作用することで内管と外管が共に固有振動するような場合を、内管と外管の固有振動数が同じであるとする。したがって、反対に、内管と外管の固有振動数が互いに異なるとは、一方が固有振動しても他方は固有振動しない程度に互いの固有振動数に差があるということを指す。
また、内管と外管が同じ固有振動数に対して異なる振動モードであるとは、ある1つの振動数が、例えば内管の1次振動モードにおける固有振動数、かつ外管の2次振動モードにおける固有振動数であること(近似する振動数を含む)を指す。そして、同一の管において異なる振動モードでの振動では、振動の波の進行方向において振動の節と呼ばれる不動点の数が異なり、低次の振動モードに比べて高次の振動モードでは多くなる(後記図3参照)。したがって、このような積層複合管において、前記の内管と外管が同じ固有振動数で振動する場合、例えば内管は1次振動モード、外管は2次振動モードで振動するとなると、それぞれの振動の節は数が異なるので、その少なくとも一部は対向しない位置となる。そのため、内管のある部分とこれに対向する外管の部分は互いに反対方向に変形しようとして、それぞれの振動が互いに打ち消し合うように抑制される。
また、本発明に係る積層複合管は、前記内管と前記外管が、異種の金属材料で形成されている、または異なる断面形状である構成とした。かかる構成により、積層複合管は、内管と外管の固有振動数を異なるものとする、または同じ固有振動数に対して異なる振動モードとすることができ、前記したように、振動源によって生じる振動を抑制、減衰させる構成とすることができる。
また、前記外管は鋼管、チタン管、またはアルミニウム管であることが好ましく、前記内管は鋼管またはチタン管であることが好ましい。さらに、前記外管がチタン管で、前記内管がステンレス管であることが好ましい。また、前記防振断熱材は、ガラス繊維またはセラミック繊維、あるいは無機系の粉体または粒体を充填したものであることが好ましい。
また、本発明に係る積層複合管は、前記内管の外周面および前記外管の内周面の一方または両方に、管軸方向に沿って突条が形成され、かつ、前記内管および前記外管の両方に前記突条が形成された場合には、前記両方のそれぞれの突条が互いに対向しない位置に設けられる構成としてもよい。かかる構成により積層複合管は、内管と外管とで固有振動数が異なるものとする、または同じ固有振動数で異なる振動モードとすることができ、前記したように振動源によって生じる振動を抑制、減衰させる構成とすることができる。
本発明に係る積層複合管は、特に管内から伝えられる振動が減衰されて、外部へ伝わり難いので、自動車等の排気系における排気管に使用すると、原動機からの排ガスの脈流による振動が減衰されて外部への音の発生を抑制できる。さらに、積層複合管は、断熱性に優れて管内の熱を外に逃がさないため、流通する排ガスが高温で維持され、その燃焼の促進を補助することができる。
〔第1実施形態〕
以下、本発明の実施形態に係る積層複合管について図面を参照して説明する。
本発明の第1実施形態に係る積層複合管1は、例えば自動車のエンジン(原動機)から排出される排ガスの排気系に使用される。排気系の一例として、排気経路10は、図1に示すように、エンジン(図1のエンジンシリンダブロック内)の各シリンダ(気筒)に接続されて一本に束ねるマニホールド11、および触媒器13、中間消音器(消音器)14、消音器15、ならびにこれらを接続する排気管12a,12b,12cから構成され、エンジンから排出される排ガスを車外に排出するように構成されている。排気経路10において、積層複合管1は、触媒器13から後段(車外側)を接続する排気管12b,12cとして、触媒器13と中間消音器14の間および消音器14,15の間に使用されている。さらに、マニホールド11と触媒器13の間の排気管12aを積層複合管1に置き換えてもよい。
以下、本発明の実施形態に係る積層複合管について図面を参照して説明する。
本発明の第1実施形態に係る積層複合管1は、例えば自動車のエンジン(原動機)から排出される排ガスの排気系に使用される。排気系の一例として、排気経路10は、図1に示すように、エンジン(図1のエンジンシリンダブロック内)の各シリンダ(気筒)に接続されて一本に束ねるマニホールド11、および触媒器13、中間消音器(消音器)14、消音器15、ならびにこれらを接続する排気管12a,12b,12cから構成され、エンジンから排出される排ガスを車外に排出するように構成されている。排気経路10において、積層複合管1は、触媒器13から後段(車外側)を接続する排気管12b,12cとして、触媒器13と中間消音器14の間および消音器14,15の間に使用されている。さらに、マニホールド11と触媒器13の間の排気管12aを積層複合管1に置き換えてもよい。
図2に示すように、積層複合管1は、それぞれが金属で形成されて断面形状が同心円状に設けられた円管の内管2およびその外側の外管4と、内管2と外管4との間に筒状に設けられた防振断熱材3とを備える。内管2と外管4とは、互いに異なる固有振動数、あるいは同じ固有振動数に対して異なる振動モードとなるような金属管で構成される。なお、本明細書において「断面」とは、記載のない場合は管軸方向に垂直な面とする。
(内管)
内管2は、積層複合管1が自動車の排気系(排気経路10)に使用された場合に、エンジンからの排ガスの排出に伴って発生する脈動、およびエンジンから伝搬する機械的振動に対して十分耐えることができる曲げ剛性と、内側を流通する排ガスに対する耐食性および耐熱性を有している必要がある。このような内管2を形成する金属材料は、例えば、ステンレス材等の鋼材、あるいはチタン材から選択される。また、内管2は、その肉厚を0.1〜2mmの範囲とすることが好ましい。内管2を形成する金属材料や必要な強度等にもよるが、肉厚が0.1mm未満であると強度が不十分であり、2mmを超えると重量が増大するため積層複合管1の軽量化の観点から好ましくない。内管2の肉厚は、さらに好ましくは0.5〜1mmの範囲である。また、内管2の径(断面の直径)については、内径を排気経路10の排気の流量等に応じて設計すればよい。例えば、自動車の排気系(排気経路10)においては、外径で約30mm以上60mm未満の範囲とすることが好ましい。
内管2は、積層複合管1が自動車の排気系(排気経路10)に使用された場合に、エンジンからの排ガスの排出に伴って発生する脈動、およびエンジンから伝搬する機械的振動に対して十分耐えることができる曲げ剛性と、内側を流通する排ガスに対する耐食性および耐熱性を有している必要がある。このような内管2を形成する金属材料は、例えば、ステンレス材等の鋼材、あるいはチタン材から選択される。また、内管2は、その肉厚を0.1〜2mmの範囲とすることが好ましい。内管2を形成する金属材料や必要な強度等にもよるが、肉厚が0.1mm未満であると強度が不十分であり、2mmを超えると重量が増大するため積層複合管1の軽量化の観点から好ましくない。内管2の肉厚は、さらに好ましくは0.5〜1mmの範囲である。また、内管2の径(断面の直径)については、内径を排気経路10の排気の流量等に応じて設計すればよい。例えば、自動車の排気系(排気経路10)においては、外径で約30mm以上60mm未満の範囲とすることが好ましい。
さらに内管2は、前記脈動に伴う断面内の曲げ振動を抑制するため、この振動数に対して高い固有振動数とすることが好ましい。ここで、金属管の固有振動数は、後記するように、材料の密度およびヤング率、ならびに断面の形状および大きさ(肉厚、径)によって決定され、材料については密度が小さいほど、またヤング率が高いほど固有振動数が高くなる。例えば内管2の材料は、前記した通り、剛性が高いすなわち高ヤング率であることが望ましいが、内管2の固有振動数を高くする場合、さらに密度の割合いにヤング率が高い金属材料を選択することがより望ましい。
(防振断熱材)
防振断熱材3は、内管2の外周面および外管4の内周面の少なくとも一方に接触した状態で設けられ、防振性、吸音性、および断熱性を備えるように形成される。また、防振断熱材3は、積層複合管1が自動車の排気系に使用された場合に、内管2がその内側を流通する排ガスにより表面温度500〜800℃の高温となるため、十分な耐熱性を有する材料で形成される。このような材料としては、融点1000℃以上の、例えば、アルミナ、ジルコニア、ハイドロキシアパタイト、炭化ケイ素、窒化ケイ素、蛍石、チタン酸バリウム、窒化ホウ素、フェライト、ステアタイト等のセラミックス、あるいはソーダガラス、カリガラス、鉛クリスタルガラス、セミクリスタルガラス、ホウケイ酸ガラス等のガラスが挙げられる。これらから選択した材料を、ガラス繊維やセラミック繊維として、例えば面密度が250〜3500g/m2となるように繊維間に隙間を有したシート状にしたものを、内管2および外管4と断面が同心円状になる筒状に形成して、防振断熱材3とする。あるいは、前記材料を粉粒体状に加工したものを、内管2と外管4の間に、自由に移動できる程度に隙間を有して充填して防振断熱材3としてもよい。なお、粉粒体の材料としては、中空ガラス、シラス、中空シラス(シラスバルーン)等も適用でき、特に中空粒状体であれば、断熱性がいっそう向上する。これらのように形成された防振断熱材3は、内管2および外管4を形成する金属材料と比較して容易に変形してより大きく振動を吸収するので、内管2からの振動を外管4に伝え難くする。
防振断熱材3は、内管2の外周面および外管4の内周面の少なくとも一方に接触した状態で設けられ、防振性、吸音性、および断熱性を備えるように形成される。また、防振断熱材3は、積層複合管1が自動車の排気系に使用された場合に、内管2がその内側を流通する排ガスにより表面温度500〜800℃の高温となるため、十分な耐熱性を有する材料で形成される。このような材料としては、融点1000℃以上の、例えば、アルミナ、ジルコニア、ハイドロキシアパタイト、炭化ケイ素、窒化ケイ素、蛍石、チタン酸バリウム、窒化ホウ素、フェライト、ステアタイト等のセラミックス、あるいはソーダガラス、カリガラス、鉛クリスタルガラス、セミクリスタルガラス、ホウケイ酸ガラス等のガラスが挙げられる。これらから選択した材料を、ガラス繊維やセラミック繊維として、例えば面密度が250〜3500g/m2となるように繊維間に隙間を有したシート状にしたものを、内管2および外管4と断面が同心円状になる筒状に形成して、防振断熱材3とする。あるいは、前記材料を粉粒体状に加工したものを、内管2と外管4の間に、自由に移動できる程度に隙間を有して充填して防振断熱材3としてもよい。なお、粉粒体の材料としては、中空ガラス、シラス、中空シラス(シラスバルーン)等も適用でき、特に中空粒状体であれば、断熱性がいっそう向上する。これらのように形成された防振断熱材3は、内管2および外管4を形成する金属材料と比較して容易に変形してより大きく振動を吸収するので、内管2からの振動を外管4に伝え難くする。
また、積層複合管1が自動車の排気系に使用された場合に、防振断熱材3が熱を外部に伝え難くして、積層複合管1の内側(管内)を流通する排ガスの温度が極端に低下することを防止している。この防振断熱材3により管内の温度の低下を防止することで、排ガスが流通する間にその排ガスの燃焼の促進を補助することができる。さらに、積層複合管1が特にマニホールド11に接続された排気管12aに使用された場合には、触媒器13に流入する排ガスの温度を高くして触媒器13の触媒能を向上させる。なお、防振断熱材3は、その肉厚を0.1〜12mmの範囲とすることが好ましい。肉厚が0.1mm未満であると前記の防振および断熱効果が発揮できず、12mmを超えると外管4の径が大きくなり、すなわち積層複合管1の外径が大きくなるので好ましくない。
(外管)
外管4は、積層複合管1が自動車の排気系に使用された場合に、エンジンから伝搬する機械的振動に対して十分耐えることができる強度と、設置環境に対する耐食性を有している必要がある。このような外管4を形成する金属材料は、例えば、ステンレス材等の鋼材、チタン材、アルミニウム材(アルミニウム合金材を含む)から選択される。また、外管4は、その肉厚を0.3〜2mmの範囲とすることが好ましい。外管4を形成する金属材料や必要な強度等にもよるが、肉厚が0.3mm未満であると強度が不十分となり、2mmを超えると重量が増大するため積層複合管1の軽量化の観点から好ましくない。なお、外管4の径は、内管2の径および防振断熱材3の肉厚に応じて設計すればよいが、内管2に対して過大にすると、重量が増大する上、積層複合管1の外径が大きくなって当該積層複合管1を備える排気系等が大型化するので好ましくない。例えば、自動車の排気系(排気経路10)においては、外管4の径は、外径で約60mm以下とすることが好ましい。さらに外管4は、内管2と異なる固有振動数となるように、次に説明するように、金属材料を選択、および大きさ(肉厚、径)を設計する。
外管4は、積層複合管1が自動車の排気系に使用された場合に、エンジンから伝搬する機械的振動に対して十分耐えることができる強度と、設置環境に対する耐食性を有している必要がある。このような外管4を形成する金属材料は、例えば、ステンレス材等の鋼材、チタン材、アルミニウム材(アルミニウム合金材を含む)から選択される。また、外管4は、その肉厚を0.3〜2mmの範囲とすることが好ましい。外管4を形成する金属材料や必要な強度等にもよるが、肉厚が0.3mm未満であると強度が不十分となり、2mmを超えると重量が増大するため積層複合管1の軽量化の観点から好ましくない。なお、外管4の径は、内管2の径および防振断熱材3の肉厚に応じて設計すればよいが、内管2に対して過大にすると、重量が増大する上、積層複合管1の外径が大きくなって当該積層複合管1を備える排気系等が大型化するので好ましくない。例えば、自動車の排気系(排気経路10)においては、外管4の径は、外径で約60mm以下とすることが好ましい。さらに外管4は、内管2と異なる固有振動数となるように、次に説明するように、金属材料を選択、および大きさ(肉厚、径)を設計する。
(円管の振動における変形形態および固有振動数)
ここで、本発明の実施形態に係る積層複合管の内管、外管の固有振動数を説明するため、1つの金属管(円管)の振動における変形形態について図3を参照して説明する。なお、内管2、外管4をまとめて金属管2として説明する。金属管は、外部(金属管以外)の振動源により振動が伝えられたとき、弾性変形によりその形状が変形するような曲げ振動(適宜、振動という)が発生する。本発明の実施形態に係る積層複合管は、自動車の排気系に使用されたとき、内側を流通する排ガスによって内側から振動が伝えられ、さらにエンジンの稼動によるエンジン自身の機械的振動が加振され、エンジン側(上流)の一端から排出側(下流)の他端へと管軸方向にも振動が伝搬する。
ここで、本発明の実施形態に係る積層複合管の内管、外管の固有振動数を説明するため、1つの金属管(円管)の振動における変形形態について図3を参照して説明する。なお、内管2、外管4をまとめて金属管2として説明する。金属管は、外部(金属管以外)の振動源により振動が伝えられたとき、弾性変形によりその形状が変形するような曲げ振動(適宜、振動という)が発生する。本発明の実施形態に係る積層複合管は、自動車の排気系に使用されたとき、内側を流通する排ガスによって内側から振動が伝えられ、さらにエンジンの稼動によるエンジン自身の機械的振動が加振され、エンジン側(上流)の一端から排出側(下流)の他端へと管軸方向にも振動が伝搬する。
金属管(以下、適宜、管という)は、内側から振動が伝えられたとき、その内面が加圧・減圧され、また断面方向に圧力分布を伴うため、その断面形状が変形するような曲げ振動が発生する。詳しくは、管が円筒形(円管)に形成されていれば、その周面のある部分は外側へ、同時に別のある部分は内側へ移動するように変形し、それぞれの部分は管に伝えられる振動に応じて外側と内側とに往復移動する。この外側へ変形する部分と内側へ変形する部分とは周方向に互い違いになるため、金属管2の断面の変形形態は、図3に実線と二点鎖線とで示すように花びらのような形状になって、外側と内側とに交互に波打つように振動(曲げ振動)する。なお、図3において、金属管2の静止状態は一点鎖線で示す。このとき、管の断面において振動(移動)しない点が存在し、この点を振動の節といい(以下、適宜、節という)、また、変位(振幅)の最大となる点を振動の腹という(以下、適宜、腹という)。
通常、振動体(金属管)の振動は、伝搬する距離(振動源からの距離)が長くなるにしたがい減衰する。しかし、外部から作用する振動の振幅が微小であっても振動体に大きな振幅の曲げ振動が発生するような振動数が、同一の振動体について複数存在する。このような振動数を固有振動数といい、金属管が固有振動数で振動するとき、その振幅は振動源の振幅よりも著しく大きくなる。同一の振動体における複数の固有振動数について、振動数の低い順から、1次振動モード、2次振動モード、3次振動モード、・・・といい、高次の振動モードほど振動の節の数が増加する。
図3(a)は、金属管2が、最も低い、すなわち1次振動モードの固有振動数fc1で振動するときの断面の変形形態である。詳しくは、金属管2の断面が、実線で示す径方向におけるある方向(図3の縦方向)を長軸とする楕円形に変形した後、次の瞬間に二点鎖線で示す前記方向と直交する方向(図3の横方向)を長軸とする楕円形に変形し、これを交互に繰り返すように振動する。このとき、断面において見かけ上全く振動しない点すなわち節は4個であり、これが円管として最小の振動の節の数であり、最も低次の1次振動モードである。そして、次に低い固有振動数fc2で、すなわち2次振動モードでは、図3(b)に示すように、6個の節が存在するように3枚の花びらのような形状の断面に変形して振動する。さらに次の3次振動モードとなる固有振動数fc3では、図3(c)に示すように、8個の節が存在する。このように、同じ管でも、高次の振動モードほど節の数が多くなり、異なる振動モードでは断面の変形形態が異なって振動する。このような円管の、径方向の振動における(n−1)次振動モードの固有振動数fcは、下式(1)で表される(n=2,3,4,・・・)。固有振動数は、主に振動体の形状と大きさ、ならびに材料のヤング率Eと密度ρに基づく。振動体の形状と大きさに基づくとは、例えば振動体の、振動の波の進行方向長(ここでは金属管2の断面の周の長さ)が長いほど固有振動数が低くなる。
Rは円管の断面の厚さ(肉厚)中心線を通る円の半径である。Iは振動の波の進行方向(断面における周方向)に垂直な断面2次モーメント、γは単位面積あたりの重量であり、奥行方向長(管軸方向長)をb、板厚(肉厚)をhとすると、それぞれ下式(2)、(3)で表すことができる。これらから式(1)を変形すると、下式(4)となる。さらに1次振動モードの固有振動数fc1は下式(5)となる。
このように、金属管2の固有振動数fcは、金属材料としては、ヤング率(E)の平方根、密度(ρ)の平方根の逆数に比例し、円管の大きさ(寸法)としては、径(2R)の2乗の逆数、肉厚(h)に比例する。本実施形態に係る積層複合管1においては、同じ(相似する)断面形状の内管2と外管4が同心円状の二重管を構成しているので、少なくとも径2Rについては、内管2より外管4の方が大きい。したがって、他の要素である肉厚hならびに金属材料(ヤング率Eおよび密度ρ)を内管2と外管4とで同じとすれば、同じ振動モードにおいて、外管4の固有振動数fcoの方を低く(fci>fco)、すなわち互いに異なる固有振動数とすることができる。一方、必要とする径、強度等の点から、内管2と外管4で異なる金属材料を適用し、あるいは異なる肉厚とする場合は、これらの要素の組合せによって内管2と外管4の固有振動数が同じとならない(fci≠fco)ように、許容範囲内で肉厚等を設定すればよい。なお、内管2と外管4で異なる金属材料を適用する例としては、積層複合管1が自動車の排気系に使用される場合、内管2は耐熱性および強度の特に優れたステンレス、外管4は積層複合管1の軽量化のためにチタンを適用することが挙げられる。
以上のように構成された積層複合管1は、例えば自動車の排気系における排気管に使用されると、以下の作用を奏する。
(振動の伝搬)
エンジンが稼動することにより振動すると、図1に示すように、その振動(機械的振動)がマニホールド11、排気管12a、および触媒器13を経由して、積層複合管1(排気管12b)の管壁(外管4および内管2)に伝搬する。また、エンジンから排ガスが排出されて、マニホールド11、排気管12a、および触媒器13のそれぞれの内部(管内)を経由して、積層複合管1(排気管12b)内に流入すると、排ガスが流通するときに積層複合管1にその内側から圧力脈動が伝搬する。積層複合管1はこれら2種類の振動が伝搬されて振動し、さらにこの振動は中間消音器14、排気管12c(積層複合管1)、消音器15へと伝搬する。振動の伝搬においては、一般的に振動源からの距離が長くなるにしたがい振幅が小さくなる(減衰する)が、エンジンのみが振動源である機械的振動に対して、排気に伴う圧力脈動は、内側を流通する排ガスが直接の振動源であるため、エンジンからの距離による振動の減衰が小さい。したがって、ここでは、排気に伴う圧力脈動による積層複合管1の振動について説明する。このとき、まず内管2にその内側から外側に向けて振動が伝わる。
(振動の伝搬)
エンジンが稼動することにより振動すると、図1に示すように、その振動(機械的振動)がマニホールド11、排気管12a、および触媒器13を経由して、積層複合管1(排気管12b)の管壁(外管4および内管2)に伝搬する。また、エンジンから排ガスが排出されて、マニホールド11、排気管12a、および触媒器13のそれぞれの内部(管内)を経由して、積層複合管1(排気管12b)内に流入すると、排ガスが流通するときに積層複合管1にその内側から圧力脈動が伝搬する。積層複合管1はこれら2種類の振動が伝搬されて振動し、さらにこの振動は中間消音器14、排気管12c(積層複合管1)、消音器15へと伝搬する。振動の伝搬においては、一般的に振動源からの距離が長くなるにしたがい振幅が小さくなる(減衰する)が、エンジンのみが振動源である機械的振動に対して、排気に伴う圧力脈動は、内側を流通する排ガスが直接の振動源であるため、エンジンからの距離による振動の減衰が小さい。したがって、ここでは、排気に伴う圧力脈動による積層複合管1の振動について説明する。このとき、まず内管2にその内側から外側に向けて振動が伝わる。
前記した通り、内管2は、内側から振動が伝えられて、図3に示すようにその断面が変形するような曲げ振動が発生する。内管2に伝えられた振動(以下、圧力脈動として示す)の振動数が、内管2の固有振動数fci(fci1,fci2,fci3,・・・)のいずれとも一致・近似しない場合は、内管2の曲げ振動の振幅は小さく、したがって外管4に伝えられる振動も小さく、積層複合管1全体としての振動が小さくなる。一方、圧力脈動の振動数が、内管2の固有振動数fciのいずれかと一致または近似している場合は、内管2は大きく振動して、その振動は外側へ伝わることになる。なお、圧力脈動の振動数が、内管2のある固有振動数fciに一致ではなく近似する場合は、内管2は当該固有振動数fciで振動する。これは、外管4についても同様である。
以下、図4を参照して、積層複合管1における内管2から防振断熱材3、外管4への振動の伝搬を説明する。なお、図4において、内管2および外管4の断面は板厚を省略して示し、またそれぞれの静止状態(円形)は一点鎖線で示す。内管2が、圧力脈動の振動数が1次振動モードの固有振動数fci1となる金属管である場合、その断面形状は、図4の実線と二点鎖線で示す仮想線とを交互に繰り返して振動する。
次に、前記のように振動する内管2から、この振動が内管2の外側表面に接触して配置される防振断熱材3に伝わる(固有振動伝搬という)。しかし、防振断熱材3は、繊維状または粉粒体状の材料を隙間を有して形成されているため、一種のクッション材のように振る舞い、その外側の外管4への振動伝搬を抑制、低減させ、また内管2の外側に変形した部分が外管4の内面に接触することを防止する。また、内管2からの振動は内管2と外管4との間(防振断熱材3における隙間)にある空気にも伝わる(空気振動伝搬という)が、防振断熱材3における狭い隙間を空気が通過するときの抵抗により、空気振動も低減する(オリフィス効果という)。したがって、これらの効果により内管2から生じた振動は減衰されて、防振断熱材3の外側に接するように配置された外管4に伝わる。
ここで、外管4が内管2とは固有振動数が異なり、外管4に伝えられた振動の振動数(内管2の振動の振動数)が外管4の固有振動数fco(fco1,fco2,fco3,・・・)のいずれとも一致・近似しない場合は、外管4の振動の振幅は小さく、したがって積層複合管1の外側へ伝わる振動も小さくなる。また、この外管4があまり振動しないことにより、防振断熱材3を介して近接する内管2の振動がある程度抑制される。一方、内管2の振動の振動数が、外管4の固有振動数fcoのいずれかと一致または近似している場合は、外管4は大きく振動することになる。なお、圧力脈動の振動数が内管2の固有振動数fciと一致・近似しないために内管2の振動が小さくとも、この振動数が、外管4の固有振動数fcoのいずれかと一致または近似している場合は、外管4はある程度の振幅で振動する。ただし、この場合は、内管2があまり振動しないことにより、外管4の振動が抑制される。
内管2と外管4が共通する固有振動数で振動する場合は、共に大きく振動することになる。ただし、この振動数(内管2と外管4の共通する固有振動数)において、内管2と外管4とでは異なる振動モードで振動する。具体的には、図4に示すように、外管4は、例えば振動の節が6個となる2次振動モードの固有振動数fco2で振動する金属管とする。このとき、外管4は、内管2と同様に図4および図3(b)の実線と二点鎖線で示す仮想線とを交互に繰り返して振動するが、節の数が内管2と異なるため、内管2と外管4のそれぞれの節の位置が少なくとも一部で異なる(対向しない)ことになる。したがって、図4に示すように、内管2の周面のある部分(腹)が外側へ変形しようとしても、この部分と対面する外管4の周面の部分またはその近傍にある腹が内側へ変形しようとして、それぞれの振動が互いに打ち消し合うように抑制されることになる。
さらに、外管4に伝えられた振動は防振断熱材3により低減されているので、外管4の振動はいっそう抑制されたものになる。そのために、管内を流通する排ガスにより内管2に伝えられた振動は、外管4から外へ伝わるときには、前記振動の1/5以下、あるいは1/10以下となる。
このように内管2と外管4が同じ(近似を含む)固有振動数に対して異なる振動モードとなる(例えばfci1=fco2、またはfci1≒fco2)ということは、同じ振動モードでの(振動の節が同数となる)固有振動数が内管2と外管4で異なることを意味する。したがって、内管2と外管4とが、同じ振動モード、例えば1次振動モードにおける固有振動数fc1(式(5)参照)が異なる(fci1≠fco1)ように構成すれば、共通する固有振動数が(排気系にて発生する振動数の範囲には)存在せず、あるいは同じ固有振動数であっても異なる振動モードにおけるものとなる。金属管の固有振動数fcの算出方法(式(4)参照)にて説明した通り、外管4が内管2よりも径(2R)が大きいため、肉厚(h)や金属材料の特性(√(E/ρ))の差にもよるが、同じ振動モードにおける固有振動数fcは、通常、外管4の方が小さくなる(例えば、fci1>fco1)。この場合、内管2と外管4が共通の固有振動数で振動するとき、外管4は内管2より高次の振動モードで振動する。具体的には、fci1=fco2(またはfci1≒fco2)のとき、図4に示すように、内管2は1次振動モードで、外管4は2次振動モードで、それぞれ振動する。
このように構成されることで、本発明の実施形態に係る積層複合管1においては、圧力脈動やエンジンの機械的振動のような外部から作用する振動の振動数によっては、内管2と外管4の少なくとも一方の金属管について、その周面の振動における固有振動数fci,fcoのいずれとも一致・近似しないために、振動が抑制される。また、図4に示したように、内管2と外管4が同じ固有振動数で振動する場合は、互いの振動モードが異なるために、それぞれの振動が互いに打ち消し合うように抑制されることになる。したがって、外部から作用する振動の振動数が変化しても、内管2から外管4への振動伝搬抑制効果は維持される。また、ここでは、積層複合管1の振動の伝搬について、内側から外側へすなわち内管2から外管4へ伝搬する振動の抑制について説明したが、外管4から内管2への振動の伝搬においても、同様に、一方の金属管が他方の金属管の振動を抑制し、あるいは互いに振動を打ち消し合い、さらに防振断熱材3により振動の伝搬が抑制されるので、このように伝搬する振動に対しても有効に抑制できることは勿論である。
(熱の伝搬)
また、積層複合管1において、内側を流通する排ガスの熱により内管2は加熱されるが、内管2から外側へ放出する熱は、防振断熱材3の繊維内に満たされた空気により遮断されて外管4には伝わり難い。つまり、防振断熱材3は、振動だけでなく熱についても、内管2から外管4への伝搬を抑制している。その結果、排ガスは、外管4に、さらにその外に熱が逃げ難く、すなわち冷え難くなっており、積層複合管1内を流通する間に、温度が極端に低下することがない。そのため、積層複合管1内を流通する排ガスの温度が維持されることで、排ガスの燃焼の促進を補助して、不完全燃焼により発生する排ガスの大気汚染原因物質を減らすことができ、さらに高温により触媒器13の触媒能を向上させることでも大気汚染原因物質を減らすことができる。
また、積層複合管1において、内側を流通する排ガスの熱により内管2は加熱されるが、内管2から外側へ放出する熱は、防振断熱材3の繊維内に満たされた空気により遮断されて外管4には伝わり難い。つまり、防振断熱材3は、振動だけでなく熱についても、内管2から外管4への伝搬を抑制している。その結果、排ガスは、外管4に、さらにその外に熱が逃げ難く、すなわち冷え難くなっており、積層複合管1内を流通する間に、温度が極端に低下することがない。そのため、積層複合管1内を流通する排ガスの温度が維持されることで、排ガスの燃焼の促進を補助して、不完全燃焼により発生する排ガスの大気汚染原因物質を減らすことができ、さらに高温により触媒器13の触媒能を向上させることでも大気汚染原因物質を減らすことができる。
第1実施形態に係る積層複合管は、内管と外管を同じ断面形状(同心円状)で大きさ(径)の異なる円管として、あるいはさらに肉厚や金属材料の種類を異なるものとすることで、固有振動数を異なるものとする構成としたが、内管と外管の組合せにより振動を抑制、低減する方法はこれに限らない。例えば強度や耐熱性、排気の流量等により、金属材料の種類や径、肉厚の設計範囲が制約を受けて、これらの制約下では内管と外管を固有振動数に十分な差のある円管とすることが困難な場合は、以下のように、互いに異なる断面形状に形成した内管と外管とで構成することもできる。なお、以下の各実施形態に係る積層複合管を構成する内管、外管、および防振断熱材は、記載ない限りそれぞれ第1実施形態に係る積層複合管と同じ構成(材料の種類、肉厚の範囲等)とし、さらに同じ要素については同じ符号を付し、説明を省略する。
〔第2実施形態〕
第2実施形態に係る積層複合管1Cは、第1実施形態と同様に円管である内管2Cおよび外管4Cが断面を同心円状に配置された二重管の構成であるが、内管2Cは外周面に、外管4Cは内周面に、それぞれ管軸方向(長手方向)に沿って突条22,42が形成されている。ここで、内管2C、外管4Cのそれぞれの突条22,42は、互いに対向しない位置に設けられる。本実施形態では、図5(a)に示すように、内管2Cの突条22は上下(鉛直)に2本、外管4Cの突条42は左右(水平)に2本形成される。すなわち積層複合管1Cは、内管2Cと外管4Cとで断面形状が異なる。なお、突条22,42の大きさおよび形状については特に限定しないが、その高さ(径方向長)は、積層複合管1Cの振動において、内管2Cと外管4Cが突条22,42で互いに接触しない程度とし、内管2C、外管4Cが第1実施形態と同様にそれぞれ独立して振動する構成とする。また、防振断熱材3は、突条22,42の表面も含めて接触するように内管2Cと外管4Cの間に設けられている。
第2実施形態に係る積層複合管1Cは、第1実施形態と同様に円管である内管2Cおよび外管4Cが断面を同心円状に配置された二重管の構成であるが、内管2Cは外周面に、外管4Cは内周面に、それぞれ管軸方向(長手方向)に沿って突条22,42が形成されている。ここで、内管2C、外管4Cのそれぞれの突条22,42は、互いに対向しない位置に設けられる。本実施形態では、図5(a)に示すように、内管2Cの突条22は上下(鉛直)に2本、外管4Cの突条42は左右(水平)に2本形成される。すなわち積層複合管1Cは、内管2Cと外管4Cとで断面形状が異なる。なお、突条22,42の大きさおよび形状については特に限定しないが、その高さ(径方向長)は、積層複合管1Cの振動において、内管2Cと外管4Cが突条22,42で互いに接触しない程度とし、内管2C、外管4Cが第1実施形態と同様にそれぞれ独立して振動する構成とする。また、防振断熱材3は、突条22,42の表面も含めて接触するように内管2Cと外管4Cの間に設けられている。
このような形状の内管2C、外管4Cは、その断面において突条22,42により局所的に肉厚が厚い周面を有し、断面が変形する振動(図3、図4参照)において、この肉厚の厚い箇所が変形し難いために不動点(振動の節または支点)として固定化され易い。したがって、振動モードの同異にかかわらず、内管2Cと外管4Cとで振動の節の位置が異なる(対向しない)ため、内管2Cと外管4Cが同じ振動数で固有振動する場合もそれぞれの振動が互いに打ち消し合うように抑制されることになる。
このように構成した積層複合管1Cは、内管2Cと外管4Cがその金属材料の種類や径、肉厚(突条22,42を除く)により固有振動数に十分な差を設けることができなくても、突条22,42により固有振動における変形形態を互いに異なる円管とすることができる。したがって、第2実施形態に係る積層複合管1Cは、第1実施形態と同様に、振動源から振動が伝えられて内管2Cと外管4Cとが振動しても、それぞれの振動が互いに打ち消し合うように抑制され、その結果、振動源から内管2Cに伝えられた振動は、外管4Cから外へ伝わるときには、前記振動の1/5以下、あるいは1/10以下となる。
また、内管と外管とで異なる本数の突条を形成したり、一方のみに突条を形成した構成としてもよい。図5(b)に示すように、第2実施形態の変形例に係る積層複合管1Eは、突条のない円管である内管2と、内周面に突条42を形成した外管4Eとを組み合わせて構成される。このような形状の外管4Eは、第2実施形態に係る積層複合管1Cの外管4Cと同様に、断面が変形する振動において、突条42が形成された肉厚の厚い箇所が不動点として固定化され易い。外管4Eは、周方向に3本の突条42が均等に形成されているため、断面において3個の不動点(振動の節または支点)の位置が決定されている。したがって、外管4Eは、3の倍数かつ偶数すなわち6の倍数の振動の節が存在するように振動する、2次(図3(b)参照)、5次、8次、・・・の振動モードに限定され易く、固有振動する振動数が少なくなる。すなわち、内管2と外管4Eとが同時に固有振動し難く、例えば内管2が振動しようとしても外管4Eによって抑制される。
このように、外管4Eのみを固有振動し難くする(1次振動モードの固有振動数fco1を高くする)ことで、例えば排気に伴う圧力脈動により内管2が固有振動しても、外管4Eを振動し難くすることで内管2の振動も抑制される。また、外管4Eのみについて突条42を形成すればよいので、例えば円管(平滑管)である内管2は剛性の高い鋼管で構成することができる。
第2実施形態およびその変形例に係る積層複合管1C,1Eにおいては、その内管2Cおよび外管4C,4Eの突条22,42を管軸方向に沿って(平行に)形成するとしたが、例えば管軸に対して傾斜させて螺旋状に(ヘリカルに)形成してもよい(図示せず)。
〔第3実施形態〕
第2実施形態とその変形例に係る積層複合管は、内管や外管をその周面に突条を形成した円管とすることで、内管と外管を異なる断面形状に構成して、振動の変形形態や固有振動数を互いに異なるものとしたが、本発明に係る積層複合管の内管および外管は円管に限らない。すなわち、以下の実施形態に係る積層複合管のように、その断面形状が円形以外の内管および外管で構成してもよい。
第2実施形態とその変形例に係る積層複合管は、内管や外管をその周面に突条を形成した円管とすることで、内管と外管を異なる断面形状に構成して、振動の変形形態や固有振動数を互いに異なるものとしたが、本発明に係る積層複合管の内管および外管は円管に限らない。すなわち、以下の実施形態に係る積層複合管のように、その断面形状が円形以外の内管および外管で構成してもよい。
内管と外管の断面形状が異なるとは、積層複合管に配置された状態での向きも含めたものであり、例えば、断面形状の縦横比が異なるように、楕円形(円形含む)あるいは小判型に形成された金属管を配置すればよい。図6(a)に示すように、第3実施形態に係る積層複合管1Aは、それぞれ断面形状が楕円形に形成された内管2Aおよび外管4Aが、中心(管軸)を一致させてすなわち同心楕円状に配置されて備えられるが、それぞれの長軸方向が互いに直交して配置されている。なお、防振断熱材3は、第1実施形態と同様に内管2Aと外管4Aとの間に筒状に設けられ、両方に接触するように肉厚は均一ではないが、第1実施形態と同様の範囲であることが好ましい。
このような形状の、すなわち楕円管である内管2Aとおよび外管4Aは、その断面の曲率が周方向に一様ではないため、断面の振動における変形形態(図3参照)において、波の大きさ(波長)が一様ではない。このような構成の積層複合管1Aでは、内管2Aと外管4Aの周面の対向する部位での曲率が異なることで、振動の変形形態や固有振動数が異なり、あるいは同じ固有振動数に対する振動モードが異なる。
また、断面形状の縦横比が異なる内管と外管の組合せとして、図6(b)に示すように、第3実施形態の変形例に係る積層複合管1Bは、円管の内管2、および楕円管の外管4Aが、断面の中心(管軸)を一致させて配置されて備えられている。また、防振断熱材3は、第3実施形態と同様に内管2と外管4Aとの間に両方に接触するように設けられている。このような構成の積層複合管1Bも、第3実施形態と同様に、内管2と外管4Aのそれぞれの周面の対向する部位での振動の変形形態や固有振動数が異なり、あるいは同じ固有振動数に対して振動モードが異なる。したがって、第3実施形態およびその変形例に係る積層複合管1A,1Bは、第1実施形態と同様に、振動源から振動が伝えられて内管2A,2と外管4Aとが振動しても、それぞれの振動が互いに打ち消し合うように抑制され、その結果、振動源から内管2A,2に伝えられた振動は、外管4Aから外へ伝わるときには、前記振動の1/5以下、あるいは1/10以下となる。
〔第4実施形態〕
本発明に係る積層複合管は、内管および外管が、例えば断面形状が矩形の管で構成されても振動の変形形態や固有振動数が互いに異なる二重管とすることができる。図7(a)、(b)に示すように、第4実施形態に係る積層複合管1Dは、それぞれ断面形状が正方形の内管2Dおよび外管4D、ならびにこれらの間の防振断熱材3を備えている。
本発明に係る積層複合管は、内管および外管が、例えば断面形状が矩形の管で構成されても振動の変形形態や固有振動数が互いに異なる二重管とすることができる。図7(a)、(b)に示すように、第4実施形態に係る積層複合管1Dは、それぞれ断面形状が正方形の内管2Dおよび外管4D、ならびにこれらの間の防振断熱材3を備えている。
内管2Dおよび外管4Dは、前記の各実施形態に係る積層複合管の内管および外管と同じく、異なる固有振動数、あるいは同じ固有振動数に対して異なる振動モードとなるように構成する。なお、内管2Dおよび外管4Dの振動における断面の変形形態について、断面の一辺は、直線(静止時)で構成されているので、棒状の振動体いわゆる梁の振動の変形形態で振動し、静止時の辺(直線)を中心として外側と内側とに波打つように変形する。両端を支持された梁の、N次振動モードの固有振動数fは下式(6)で表される。lは梁の両支持間の長さ、Aは断面積である。内管2Dおよび外管4Dの断面において、式(6)のlは断面の一辺の長さWとなり、断面積Aはb×hとなる(b:管軸方向長、h:肉厚)。また、断面2次モーメントIは前記の式(2)で表すことができる。これらから、内管2Dおよび外管4Dの断面における各辺のN次の固有振動数fsは下式(7)で表すことができる。
したがって、第1実施形態と同様に、内管2Dと外管4Dとで、断面の一辺の長さ(W)に十分な差を設けた(防振断熱材3を十分に厚くした)り、それぞれ異なる金属材料で、または異なる肉厚(h)として形成する。あるいは第2実施形態やその変形例(図5(a)、(b)参照)と同様に、内管2Dおよび外管4Dの一方に、または両方であって互いに対向しない位置に突条を設ける。このように構成することで、第4実施形態に係る積層複合管1Dは、前記各実施形態に係る積層複合管と同様に、振動源からの振動に対して制振効果が得られる。
以上のように、本発明の各実施形態に係る積層複合管は、内管と外管が、それぞれの固有振動数を異なるものとする、あるいは同じ固有振動数に対する振動モードを異なるものとするように、金属材料、板厚、あるいは断面形状の異なる構成とし、また内管と外管の間に防振断熱材を挿入することで、内側を流通する排ガスによる圧力脈動および原動機の振動によって生じる管の振動を抑制、低減すると共に断熱性にも優れたものとなる。また、本発明の各実施形態に係る積層複合管は、使用する場所を自動車のエンジン(原動機)からの排気系における配管(排気管)として説明したが、振動源に接続されて使用する配管であれば特に限定されるものではない。
以上、本発明を実施するための形態について述べてきたが、以下に、本発明の効果を確認した実施例を、本発明の要件を満たさない比較例と対比して具体的に説明する。なお、本発明はこの実施例によって制限を受けるものではなく、請求項に示した範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
(供試材作製)
内管として、管径(外径)40.0mm、肉厚0.8mmのSUS製の平滑管を長さ1000mmに切り出して適用した。この内管の外側に、防振断熱材としてグラスウールを表1に示すように一重または二重に巻き付けた。これを、長さ1000mmの、表1に示す肉厚のおよび管径のSUS製またはチタン製の平滑管を外管として、その内側に通して供試材とした。また、管径50.8mm、肉厚1.2mmのSUS製の平滑管を比較例(供試材No.5)とした。それぞれの供試材の内管と外管について、1次振動モードの固有振動数の理論値fci1,fco1、ならびに内管と外管の固有振動数の比(fco1/fci1)を式(5)に基づいて算出し、表1に示す。なお、SUSは密度:8.03g/cm3、ヤング率:199GPa、チタンは密度:4.51g/cm3、ヤング率:106GPaとした。また、供試材の面密度を表1に併記する。
内管として、管径(外径)40.0mm、肉厚0.8mmのSUS製の平滑管を長さ1000mmに切り出して適用した。この内管の外側に、防振断熱材としてグラスウールを表1に示すように一重または二重に巻き付けた。これを、長さ1000mmの、表1に示す肉厚のおよび管径のSUS製またはチタン製の平滑管を外管として、その内側に通して供試材とした。また、管径50.8mm、肉厚1.2mmのSUS製の平滑管を比較例(供試材No.5)とした。それぞれの供試材の内管と外管について、1次振動モードの固有振動数の理論値fci1,fco1、ならびに内管と外管の固有振動数の比(fco1/fci1)を式(5)に基づいて算出し、表1に示す。なお、SUSは密度:8.03g/cm3、ヤング率:199GPa、チタンは密度:4.51g/cm3、ヤング率:106GPaとした。また、供試材の面密度を表1に併記する。
制振性評価として、排気による圧力脈動による振動を模擬した音圧加振、および原動機(振動源)の機械的振動による振動を模擬した機械加振をそれぞれ供試材の一端側から施し、供試材からの放射音(供試材(外管)の外周面から径方向の外側へ放射される音)の変化に代えて、供試材の外周面の表面振動の振幅を測定してその変化を評価した。測定は、図8に示すように、供試材を、管軸方向を水平にして両端それぞれの近傍をロープで支持して吊るした状態で加振し、供試材の加振点から管軸方向の距離(加振点からの距離)L1,L2における外周面に、振動計の検出器(ピックアップ)を接続して測定した。音圧加振の周波数、および機械加振の振動数は、それぞれ500Hz、1kHz、2kHz(1/1オクターブバンド)とし、振幅は10デシベル間隔で3段階(Low,Mid,High)とした。
(音圧加振による制振性評価)
図8(a)に示すように、供試材の一端を加振点として、その開口部に体積速度センサ(センサ)、および可撓性のチューブからなる導波管を介してスピーカ音源を接続し、周波数および振幅を変化させて加振した。なお、周波数および振幅は、体積速度センサにより計測した加振点の近傍における供試材の管内の体積速度の変化に基づく。
図8(a)に示すように、供試材の一端を加振点として、その開口部に体積速度センサ(センサ)、および可撓性のチューブからなる導波管を介してスピーカ音源を接続し、周波数および振幅を変化させて加振した。なお、周波数および振幅は、体積速度センサにより計測した加振点の近傍における供試材の管内の体積速度の変化に基づく。
(機械加振による制振性評価)
図8(b)に示すように、供試材の一端近傍を加振点として、その周面の一点(外管、防振断熱材、内管)に孔を空けて、加振力センサ(センサ)を介して加振器をこの孔に通して接続し、振動数および振幅を加振力センサで計測しながら外管と内管に同時に加振した。
図8(b)に示すように、供試材の一端近傍を加振点として、その周面の一点(外管、防振断熱材、内管)に孔を空けて、加振力センサ(センサ)を介して加振器をこの孔に通して接続し、振動数および振幅を加振力センサで計測しながら外管と内管に同時に加振した。
音圧加振、機械加振それぞれについて、測定した表面振動の振幅を単位加振力あたりの振動速度に換算し、加振点からの距離L1,L2:10mmから700mmによる変化をグラフにして、周波数または振動数別に、図9、図10に示す。
(評価結果)
図9および図10に示すように、比較例(供試材No.5)も含めていずれの供試材も、加振点からの距離が10mmから700mmに遠くなると振動が減衰する傾向が見られたが、機械加振に比べて音圧加振は減衰が小さかった。これは、機械加振が主に供試材(内管、外管)の管壁を管軸方向に伝搬することで減衰するのに対して、音圧加振は主に供試材の管内の空気から直接に供試材(内管)に伝搬することによると推察できる。また、それぞれの供試材を比較すると、単層の管である供試材No.5は、供試材No.1〜4よりも、音圧加振および機械加振の全体として、距離による減衰が少なかった。
図9および図10に示すように、比較例(供試材No.5)も含めていずれの供試材も、加振点からの距離が10mmから700mmに遠くなると振動が減衰する傾向が見られたが、機械加振に比べて音圧加振は減衰が小さかった。これは、機械加振が主に供試材(内管、外管)の管壁を管軸方向に伝搬することで減衰するのに対して、音圧加振は主に供試材の管内の空気から直接に供試材(内管)に伝搬することによると推察できる。また、それぞれの供試材を比較すると、単層の管である供試材No.5は、供試材No.1〜4よりも、音圧加振および機械加振の全体として、距離による減衰が少なかった。
さらに、音圧加振、機械加振それぞれの振動の減衰が比較的小さかった振幅Lowについて、加振点からの距離L1,L2を100mm、300mmとする測定位置を追加した距離依存性のグラフを図11、図12に示す。図11および図12に示すように、供試材No.1〜4は、機械加振、音圧加振共に距離による減衰が大きく、特に供試材No.2〜4は加振点から短い距離(100mm)で振動が減衰した。本発明の実施例である供試材No.1〜4は内管と外管の外径の差が小さいが、供試材No.2〜4については、内管より外管の肉厚を1.5倍と大幅に厚くしたため、1次固有振動数の理論値を内管よりも外管を20%以上大きくすることができた。供試材No.1は、他の供試材No.2〜4と比較して、内管と外管の固有振動数(理論値)の差が小さく、効果がやや小さかったが、内管と外管との間に設けた防振断熱材が振動を吸収したため、単層の管である供試材No.5よりは距離による減衰が大きく、本発明の積層複合管による制振効果が確認された。
1,1A,1B,1C,1D,1E 積層複合管
2,2A,2C,2D 内管
3 防振断熱材
4,4A,4C,4D,4E 外管
10 排気経路
11 マニホールド
12a,12b,12c 排気管
13 触媒器
14 中間消音器(消音器)
15 消音器
2,2A,2C,2D 内管
3 防振断熱材
4,4A,4C,4D,4E 外管
10 排気経路
11 マニホールド
12a,12b,12c 排気管
13 触媒器
14 中間消音器(消音器)
15 消音器
Claims (10)
- 振動源に接続して使用される積層複合管であって、
内管と、この内管の外側に同軸となるように配置した外管と、前記内管と前記外管の間に設けた防振断熱材とを備えて、前記内管と前記外管が、互いに異なる固有振動数となる金属管または同じ固有振動数に対して異なる振動モードとなる金属管であることを特徴とする積層複合管。 - 原動機から、マニホールド、触媒器、および消音器を介して外部に排ガスを排出する排気系において、前記マニホールド、触媒器、および消音器のそれぞれの間のいずれかを互いに接続するために使用される積層複合管であって、
内管と、この内管の外側に同軸となるように配置した外管と、前記内管と前記外管の間に設けた防振断熱材とを備えて、前記内管と前記外管が、互いに異なる固有振動数となる金属管または同じ固有振動数に対して異なる振動モードとなる金属管であることを特徴とする積層複合管。 - 前記内管と前記外管が、互いに異なる種類の金属からなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の積層複合管。
- 前記内管と前記外管が、互いに異なる断面形状の金属管であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の積層複合管。
- 前記外管は、鋼、チタン、またはアルミニウムからなることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の積層複合管。
- 前記内管は、鋼またはチタンからなることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の積層複合管。
- 前記外管がチタンからなり、前記内管がステンレスからなることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の積層複合管。
- 前記防振断熱材が、ガラス繊維またはセラミック繊維であることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載の積層複合管。
- 前記防振断熱材が、無機系の粉体または粒体を充填したものであることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載の積層複合管。
- 前記内管の外周面および前記外管の内周面の一方または両方に、管軸方向に沿って突条が形成され、かつ、前記内管および前記外管の両方に前記突条が形成された場合には、前記両方のそれぞれの突条が互いに対向しない位置に設けられることを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか一項に記載の積層複合管。
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