JP2010234905A - 車両用空調装置及び車両用空調装置の制御方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】車両に搭載される空調装置(1)は、空調空気を車室内に供給する空調部(2)と、車両が駐車されている間にその車両周囲の状況に関する状態を表す少なくとも一つの状態情報に基づいて出発時刻を推定する出発時刻推定部(53)と、出発時刻推定部(53)により推定された出発時刻よりも所定期間前の時刻を事前空調開始時刻として決定する事前空調開始時刻決定部(54)と、現在時刻が事前空調開始時刻になると空調部(2)の空調制御を開始する空調制御部(55)とを有する。
【選択図】図1
Description
しかし、乗車予定時刻を車両に乗車する前に毎回設定する作業は煩雑である。特に、一日の間に何度も車両を運転する場合には、その作業の煩雑さは顕著となる。またユーザは、天候、道路の混雑状況などの環境によって事前に設定した乗車予定時刻とは異なる時刻に乗車することもある。
また、車両が駐車されている場所またはユーザがいる場所の電波状況によっては、ユーザが所持する携帯端末と空調装置とが通信不可能なこともある。このような場合、空調装置は、事前空調開始時刻を特定することができないので、事前空調を適切に実行することができない。
係る構成を有することにより、この空調装置は、ユーザ自身が出発時刻を設定しなくても、状況に応じた適切なタイミングから事前空調を開始できる。
このように、この空調装置は、車両が走行中である確率の時刻による遷移を調べることができるので、正確に出発時刻を推定できる。
これにより、この空調装置は、出発時刻を推定するために車両の制御ユニットを動作させる期間を推定開始時刻以降に限定できるので、消費電力を抑制できる。
これにより、この空調装置は、複数の時刻のうち、車両が走行開始する確率が最も高い時刻を選択することができるので、正確に出発時刻を推定できる。
これにより、この空調装置は、ユーザ自身の出発時刻の履歴から、現在の状況に最も近いものを利用することができるので、ユーザの普段の行動に応じて正確に出発時刻を推定できる。
係るステップを有することにより、この空調装置の制御方法は、ユーザ自身が出発時刻を設定しなくても、状況に応じた適切なタイミングから事前空調を開始できる。
本発明の一つの実施形態による車両用空調装置は、車両周囲の状態を表す状態情報を確率モデルに入力して出発時刻を推定することにより、状況に応じて出発時刻が変動する場合でも、適切なタイミングで事前空調を実施するものである。なお、以下では、この空調装置は、バッテリから供給される電気を用いてモータを駆動することにより走行する電気自動車、または内燃機関による動力をバッテリの充電にのみ使用し、モータの動力により走行するハイブリッドカーに搭載されるものとして説明する。しかし、本発明に係る車両用空調装置は、内燃機関により走行し、かつ、走行中に内燃機関の動力を用いて発電機を駆動することにより、空調装置その他の機器に電気を供給するバッテリを充電する車両にも搭載可能である。
また空調部2は、四方弁を有する代わりに、ラジエータの冷却水を用いて取り入れた空気を暖房するヒータコアと、ヒータコアを通過した空気とヒータコアを迂回した空気の混合比率を調整して空調空気を得るためのエアミックスドアを有してもよい。
なお、空調部2として、車載用空調装置に使用される周知の様々な構成を採用することができるため、ここでは、空調部2の構造の詳細な説明を省略する。
また、車両10の電子制御ユニット(以下ECUと呼ぶ)7も情報取得部3に含まれるものとし、ECU7から曜日、現在時刻などの時間情報を状態情報として取得してもよい。
情報取得部3は、車両10の走行中、定期的(例えば、10分毎、30分毎など)に一つ以上の状態情報を取得する。あるいは、情報取得部3は、車両10が始動されたとき(すなわち、車両10のイグニッションスイッチがONになったとき)、あるいは停止されたとき(すなわち、車両10のイグニッションスイッチがOFFになったとき)に一つ以上の状態情報を取得してもよい。さらに情報取得部3は、後述する事前空調開始処理の実行中にも一つ以上の状態情報を定期的に取得する。なお、本実施形態では、イグニッションスイッチは、単に車両10を起動するためのスイッチとして機能する。そして、イグニッションスイッチがONにされることにより、ユーザは車両10を走行させることが可能となり、一方、イグニッションスイッチがOFFにされることにより、ユーザは車両10を走行させることができなくなる。
そして、情報取得部3は、その取得された状態情報をコントロールエリアネットワーク(CAN)のような車載通信規格に従ってデータ通信する、車両10内に設置された車内通信回線6を介して制御部5へ渡す。
図2は、空調装置1の制御部5の機能ブロック図である。
制御部5は、図示していない1個もしくは複数個のプロセッサ及びその周辺回路(図示せず)と、電気的に書き換え可能あるいは書き換え不可能な不揮発性半導体メモリ、揮発性半導体メモリを有する記憶部51と、車内通信回線6に制御部5を接続する車内通信インターフェース部52とを有する。
本実施形態では、確率モデルとして、ベイジアンネットワークを用いた。ベイジアンネットワークは、複数の事象の確率的な因果関係をモデル化するものであり、各ノード間の伝播を条件付き確率で求める、非循環有向グラフで表されるネットワークである。なお、ベイジアンネットワークの詳細については、本村陽一、岩崎弘利著、「ベイジアンネットワーク技術」、初版、電機大出版局、2006年7月、繁桝算男他著、「ベイジアンネットワーク概説」、初版、培風館、2006年7月、又は尾上守夫監修、「パターン識別」、初版、新技術コミュニケーションズ、2001年7月などに開示されている。
そこで、出発時刻推定部53は、出発時刻推定のための確率モデルの入力ノードに入力される状態情報のうち、最後に車両10のイグニッションキーがOFFにされたときに取得される状態情報のみを用いて、出発時刻の推定を開始する時刻である推定開始時刻を決定してもよい。
例えば、曜日が平日(x1=1)、出発地がユーザの自宅(x3=1)であり、時刻が6時(x2=2)の場合に、車両10が走行中である確率P(x5=True|x1=x3=1,x2=2,x4)は、CPT314及びCPT315から以下のように算出される。
P(x5=True|x1=x3=1,x2=2,x4)
= P(x5=True|x1=x3=1,x2=2,x4=1)P(x4=1) + P(x5=True|x1=x3=1,x2=2,x4=2)P(x4=2)
= 0.8・0.5 + 0.6・0.5 = 0.7
同様に、曜日が平日(x1=1)、出発地がユーザの自宅(x3=1)であり、時刻が5時(x2=1)、7時(x2=3)の場合に、車両10が走行中である確率P(x5=True|x1=x2=x3=1,x4)、P(x5=True|x1=x3=1,x2=3,x4)は、それぞれ、0.0、1.0となる。
したがって、6時に対応する確率P(x5=True|x1=x3=1,x2=2,x4)が最初に閾値Th2以上となるので、出発時刻推定部53は、6時の所定時間前の時刻、例えば5時を推定開始時刻とする。
出発時刻推定部53は、推定した出発時刻を事前空調開始時刻決定部54に通知する。
さらに、空調装置1が複数の空調モードの何れかにしたがって空調運転可能であれば、記憶部51は、それぞれの空調モードに対応する参照テーブルを記憶する。なお、空調モードは、例えば、最大パワーで車室内を冷房または暖房する急速冷暖房モード、最もエネルギー効率が良い方法で車室内を冷房または暖房する省エネモードなどが含まれる。そして事前空調開始時刻決定部54は、前回空調装置1が停止されたときの空調モードに対応する参照テーブルにしたがって事前空調実施期間を決定してもよい。
この場合、蓄電空調優先度を示す優先度フラグが記憶部51に記憶される。初期設定では、優先度フラグの値は、バッテリ残量を維持することを示す値に設定される。そして予備バッテリ量が事前空調使用量以下となる度、制御部5は、ユーザが車両10のイグニッションスイッチをONにした時点で、バッテリ残量を維持することと、事前空調を実施することの何れを優先するかを問いかけるメッセージを操作パネル4の表示部に表示させる。その際、ユーザが操作パネル4の操作スイッチを操作することで、バッテリ残量を維持することまたは事前空調を実施することを選択すると、制御部5は、その選択に従って優先度フラグの値を更新する。
事前空調開始時刻決定部54は、決定した事前空調開始時刻を制御部5に通知する。
また学習データ蓄積部56は、出発時刻推定部53が出発時刻を推定するために取得した状態情報の値の組も、学習データセットとして記憶部51に記憶してもよい。この場合、車両10のイグニッションスイッチはOFFとなっているので、それら状態情報の値の組に、車両10が駐車中であることを関連付けて一つの学習データセットとする。
さらに学習データ蓄積部56は、学習データセットの数が確率モデルを適切に学習するために不十分である場合、車両10が駐車中である間も、定期的に状態情報を取得し、その状態情報の値の組に車両10が駐車中であることを関連付けて学習データセットとし、その学習データセットを記憶部51に保存してもよい。
さらにまた、学習データ蓄積部56は、レインセンサから取得される雨滴の有無など、ECUを起動しなければ取得不能な状態情報を、車両10のイグニッションスイッチがOFFになっている間に対応する学習データセットとして取得するために、イグニッションスイッチがONになっている直近のその状態情報の値、あるいは他の情報から推定してもよい。例えば、学習データ蓄積部56は、イグニッションスイッチがOFFとなっている間の所定時刻における雨滴の有無を、イグニッションスイッチが最後にOFFにされたとき、あるいはその所定時刻後に最初にイグニッションスイッチがONにされたときの雨滴の有無の値で代用してもよい。また、学習データ蓄積部56は、車両10が駐車された地区のその所定時刻における降水確率を、例えばナビゲーションシステムから取得し、その降水確率を、学習データセットに含める状態情報の値としてもよい。
学習データ蓄積部56は、例えば、イグニッションスイッチがOFFにされたとき、曜日、時刻、出発地ごとに、記憶部51に記憶されている走行距離の平均値、中央値あるいは最頻値などの統計的代表値を算出する。そして学習データ蓄積部56は、その統計的代表値を、対応する曜日、時刻、出発地における走行予定距離とする。そして学習データ蓄積部56は、求めた走行予定距離を、対応する曜日、時刻、出発地と関連付けて記憶部51に記憶する。
学習部57は、学習した確率モデルのグラフ構造、各ノードに対応するCPTなどを記憶部51に記憶する。
ステップS106の後、あるいは、ステップS103にてイグニッションスイッチがONからOFFに操作されていない場合、制御部5は学習処理を終了する。制御部5は、上記の学習処理を状態情報の取得間隔で定期的に繰り返す。
一方、現在時刻が推定開始時刻以降であれば、制御部5は、車両10のECUに起動信号を送信して、ECUを起動させる(ステップS203)。そして制御部5は、出発時刻の推定に使用される確率モデルに入力される全ての状態情報を情報取得部3から取得する(ステップS204)。
一方、ステップS206において、求めた確率が閾値Th1以上である場合、出発時刻推定部53は、推定対象となった時刻を出発時刻と推定する(ステップS207)。
その後、事前空調開始時刻になると、制御部5の空調制御部55は、空調部2を動作させて、事前空調を開始する(ステップS210)。そして空調制御部55は、イグニッションスイッチがONにされた時か、出発時刻の何れか早い方まで、事前空調を実施する。
さらに、出発時刻推定部は、出力ノードが複数の出発時刻に関する確率を出力する確率モデルを使用してもよい。この場合、出発時刻推定部は、各出発時刻について算出された確率のうち、最も高い確率が上記の閾値Th1以上であれば、その最も高い確率に対応する出発時刻に決定すればよい。またこのような確率モデルが使用される場合、制御部の学習データ蓄積部は、実際の出発時刻(例えば、車両のイグニッションスイッチがONにされたとき)に取得された状態情報の値の組に、その出発時刻を関連付けて学習データセットとする。
さらに、出発時刻推定部は、確率モデルを使用する代わりに、学習データセットとして蓄積された状態情報の値の組に基づいて、k-NN法を適用することにより出発時刻を推定してもよい。
なお、過去出発時刻情報に含まれる状態情報が3値以上の値を有し、かつ数値でない場合には、現在時刻において取得される状態情報と過去出発時刻情報に含まれる状態情報の距離を定義するために、予め状態情報の各値間の距離を定義したテーブルを記憶部に記憶しておく。そして出発時刻推定部は、そのテーブルを参照して、現在時刻において取得される状態情報と過去出発時刻情報に含まれる状態情報間の距離を求める。例えば、そのテーブルにおいて、状態情報が曜日である場合、同じ曜日間の距離を0、互いに平日でかつ異なる曜日間の距離を1、平日と休日間の距離を2と定義しておけばよい。そして現在時刻において取得される状態情報が、例えば月曜日であれば、出発時刻推定部は、過去出発時刻情報のうち、状態情報として月曜日が記録されている過去出発時刻情報を最も優先して抽出し、該当する過去出発時刻情報がなければ、次に状態情報として火曜日〜金曜日の何れかが記録されている過去出発時刻情報を抽出する。
また、過去出発時刻情報に複数の状態情報が含まれる場合、出発時刻推定部は、現在時刻において取得された複数の状態情報のそれぞれについて、過去出発時刻情報に含まれる対応する状態情報との距離を求め、その距離の合計値が最も小さい過去出発時刻情報を選択する。
この場合、制御部は、公衆無線回線を通じて携帯端末と通信するための通信部をさらに有する。そのような通信部は、例えば、携帯端末との間での通信セッションの確立あるいは終了処理、送信する信号の符号化処理、変調処理、及び受信した信号の復調処理、復号処理などを行う通信処理用回路を有する。そして通信部は、公衆無線回線に対して無線信号を送信し、かつ公衆無線回線から信号を受信するためのアンテナと接続される。
同様に、車両用空調装置が電気自動車またはハイブリッドカーに搭載されている場合であっても、その車両の駐車中にバッテリが充電されていれば、事前空調開始時刻決定部は、予備バッテリ量にかかわらず、事前空調開始時刻を修正しなくてもよい。そして空調制御部は、現在時刻が事前空調開始時刻になれば、予備バッテリ量にかかわらず事前空調を開始してもよい。
上記のように、当業者は、本発明の範囲内で様々な修正を行うことが可能である。
2 空調部
3 情報取得部
4 操作パネル
5 制御部
6 車内通信回線
7 電子制御ユニット(ECU)
8 バッテリ
9 バッテリセンサ
10 車両
51 記憶部
52 車内通信インターフェース部
53 出発時刻推定部
54 事前空調開始時刻決定部
55 空調制御部
56 学習データ蓄積部
57 学習部
Claims (6)
- 車両に搭載される空調装置であって、
空調空気を車室内に供給する空調部(2)と、
前記車両が駐車されている間に該車両周囲の状況に関する状態を表す少なくとも一つの状態情報に基づいて前記車両が走行開始する出発時刻を推定する出発時刻推定部(53)と、
前記出発時刻推定部(53)により推定された出発時刻よりも所定期間前の時刻を事前空調開始時刻として決定する事前空調開始時刻決定部(54)と、
現在時刻が前記事前空調開始時刻になると前記空調部(2)の空調制御を開始する空調制御部(55)と、
を有することを特徴とする空調装置。 - 前記出発時刻推定部(53)は、前記少なくとも一つの状態情報を定期的に確率モデルに入力することにより、前記車両が走行中である確率を前記出発時刻に関する確率として算出し、該確率が第1の閾値以上となる最初の時刻を前記出発時刻として推定する、請求項1に記載の空調装置。
- 前記出発時刻推定部(53)は、前記確率モデルに入力される状態情報のうち、前記車両の制御ユニットが動作停止中に取得可能な状態情報のみを前記確率モデルに入力して、複数の時刻について車両が走行中である確率を算出し、該確率が前記第1の閾値よりも低い第2の閾値以上となる最初の時刻を推定開始時刻として設定し、
前記推定開始時刻を過ぎると、前記確率モデルに入力される全ての状態情報を取得して、前記出発時刻を推定する、請求項2に記載の空調装置。 - 前記出発時刻推定部(53)は、前記少なくとも一つの状態情報を確率モデルに入力することにより、複数の時刻のそれぞれにおいて前記車両が走行開始する確率を前記出発時刻に関する確率として算出し、前記複数の時刻のうち、前記車両が走行開始する確率が最も高い時刻を前記出発時刻として推定する、請求項1に記載の空調装置。
- 前記車両が走行開始する度に、該走行開始時の出発時刻と該出発時刻において取得された前記少なくとも一つの状態情報との組を過去出発時刻情報として記憶する記憶部(51)をさらに有し、
前記出発時刻推定部(53)は、前記記憶部(51)に記憶された過去一定期間の過去出発時刻情報の中から、現在時刻において取得された前記少なくとも一つの状態情報の値に最も近い状態情報の値を持ち、現在時刻よりも後でかつ現在時刻に最も近い過去出発時刻情報に含まれる出発時刻を前記出発時刻として推定する、請求項1に記載の空調装置。 - 空調空気を車両の車室内に供給する空調部(2)を有する空調装置の制御方法であって、
前記車両が駐車されている間に該車両周囲の状況に関する状態を表す少なくとも一つの状態情報を取得するステップと、
前記少なくとも一つの状態情報に基づいて該出発時刻を推定するステップと、
前記推定された出発時刻よりも所定期間前の時刻を事前空調開始時刻として決定するステップと、
現在時刻が前記事前空調開始時刻になると前記空調部(2)の空調制御を開始するステップと、
を含むことを特徴とする制御方法。
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