JP2010233895A - 体重支持用具及び介護装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】被介護者の上半身を支持する体重支持板1と、被介護者の脇の下を支持して被介護者のつま先方向へのずれ落ちを防止するように、体重支持板1に設けられた胴体支持板2と、被介護者の上腕の、被介護者の頭頂方向への展開を抑制するように、体重支持板1に設けられた上腕抑制部3と、を含むことを特徴とした。
【選択図】図2
Description
立ち上がり困難者の多くは車いすや歩行補助器(以下、車いすという。)を利用し、日常生活の不自由を緩和している。しかしながら、日常生活では、便器の使用時、就寝時、入浴時、車両座席への着座時など、車いすを利用できない場面が多く存在する。通常、これらの場面においては介助者が必要となることが多い。
現在、立ち上がりの介助者を物理的に支援するための、外部動力を利用した介助リフト、移乗介助機器などの福祉介助機器が体重支持用具として流通している。これらの体重支持用具は、主に被介護者の体重を臀部またはその周辺で支持する構造をしている。このような体重支持用具は、例えば、特許文献1から特許文献3、及び非特許文献1から非特許文献2に記載されている。
このため、立ち上がり困難者が車いすを利用できない場面において、介助者に依存せずに立ち上がることができる体重支持用具及び前記体重支持用具を含んだ介護装置が必要とされている。
これにより、被介護者本人、家族や社会の負担を軽減することができ、また被介護者の生活の質を向上することができる。
上記の体重支持用具によれば、被介護者の脊柱に対して左右方向、頭頂方向、つま先方向の4方向の運動自由度をそれぞれ拘束することができる。これにより、被介護者の重心点が体重支持板から外れ、体重支持板からずり落ちることを防止することができる。
上記の体重支持用具によっても、被介護者の脊柱に対して左右方向、頭頂方向、つま先方向の4方向の運動自由度をそれぞれ拘束することができる。これにより、被介護者の重心点が体重支持板から外れ、体重支持板からずり落ちることを防止することができる。
上記の体重支持用具によれば、ずり落ちを防止できる操作姿勢以外の誤った操作姿勢による操作を低減することができる。これにより、被介護者自身が体重支持用具を操作することができるので、介助者に頼らずに一人で安全にその体重支持用具を使用することができる。
上記の体重支持用具によっても、ずり落ちを防止できる操作姿勢以外の誤った操作姿勢による操作を低減することができる。これにより、被介護者自身が体重支持用具を操作することができるので、介助者に頼らずに一人で安全にその体重支持用具を使用することができる。
上記の体重支持用具によれば、体重支持用具操作用スイッチのみを設置した場合よりも、ずり落ちを防止できる操作姿勢以外の誤った操作姿勢による操作を低減することができる。
本発明のうち請求項6に係るずり落ち防止策を施した介護装置は、体重支持用具とアームと動力部を含む介護装置であって、前記体重支持用具は、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の体重支持用具であって、前記アームの一端は、前記体重支持用具の裏面側に接続されて、他端は前記動力部に接続されており、前記動力部は、前記アームを上下動させることができる、とともに床面に対して回転及び水平方向に移動することができる、ことを特徴としている。
(1)第一の実施形態
まず初めに、本実施形態に係る体重支持用具10を含んだ介護装置100について、図1から図4を参照して説明する。なお、本明細書に記載された各部品及び部分の材質、形状、寸法等に関しては、これに限定されたものではない。
図1は、本実施形態に係る体重支持用具10を含んだ介護装置100の全体を示す概念図である。図に示すように、介護装置100は体重支持用具10とアーム20と動力部30とを含んでおり、これら3つの部分はそれぞれ連結し、連動することで機能する。
図2から図4は、体重支持用具10の構成を示す概念図であり、それぞれ平面図、側面図、斜視図に対応している。図2から図4に示すようは、この体重支持用具10は、体重支持板1と胴体支持板2と上腕抑制部3とグリップ4とホールド・トゥ・ラン(Hold to Run)型スイッチ5とを含んでいる。
まず、図2から図4を参照して本実施形態に係る体重支持用具10の構成を説明する。
図2に示すように体重支持板1の外観は、平面視でほぼ「T」字型をした板状の部材である。この体重支持板1には、図に示すように3箇所に切り取りが施されている。1箇所は、平面視で体重支持板1の中心線CL上であり、且つ最上部に設けられており、その形状はほぼ四角形である。本明細書では、この切り取りを「第1切り取り部」C1と呼ぶ。
本明細書では、体重支持板1において、第1切り取り部C1が施された部分を「T」字型の「横棒」部分1aと、また、第2切り取り部C2が施された部分を「T」字型の「縦棒」部分1bと、それぞれ呼ぶこととする。
なお、第1切り取り部C1の横幅は「横棒」部分1aの横幅L2の1/3程度であり、その縦幅は「横棒」部分1aの縦幅L1とほぼ等しい。つまり、第1切り取り部C1は被介護者70の頭部の大きさと比較して十分に大きな空間となっている。なお、第1切り取り部C1は滑らかな曲面によって形成されている。
図3及び図4に示すように、体重支持板1上に設置された胴体支持板2の形状はそれぞれほぼ四角形であり、対向した一組の長辺2aと、対向した一組の短辺2bとを含んでいる。ここで、図2及び図3に示すように、体重支持板1の「縦棒」部分1bの外周部には中心線CLと平行な直線部分が2箇所ある。胴体支持板2における長辺2aの長さは、体重支持板1におけるこの直線部分の長さとほぼ等しい。一方、胴体支持板2における短辺2bの長さは、被介護者70の胴体の厚みの半分程度の長さと等しい。
図2から図4に示したように、体重支持板1に設置された上腕抑制部3はそれぞれ3つの四角形の板状部材から構成されており、第2切り取り部C2を取り囲むように設置されている。この上腕抑制部3を形成する3つの四角形の板状部材を、本明細書では第1案内部品31、第2案内部品32、第3案内部品33とそれぞれ呼ぶ。
なお、上腕抑制部3がそれぞれ設置される場所は、図3の側面図に示したように体重支持板1に対して、胴体支持板2が設けられた面の裏面である。
ここで、第1案内部品31の形状は、対向した一組の長辺の長さが体重支持板1における「横棒」部分1aの横幅の1/3程度であり、対向した一組の短辺の長さが被介護者70の上腕部の長さとほぼ等しい。
第3案内部品33の形状は、対向した一組の長辺の長さが第2切り取り部C2の直径の長さとほぼ等しく、対向した一組の短辺の長さが被介護者70の上腕部の長さとほぼ等しい。なお、第1案内部品31、第2案内部品32、第3案内部品33は金属製であり、その厚さは数ミリメートルである。
体重支持用具10に設けられたグリップ4は、連続した金属棒を第1折れ曲がり点4aから第3折れ曲がり点4cまでの3箇所で滑らかに折り曲げることで形成されている。
なお、この金属棒の全長は被介護者70の肘から手先までの長さの1.5倍程度であり、その内部は中空である。さらに、その直径は被介護者70が確実に握れる程度の長さであり、概ね数センチメートルである。
第1湾曲部分43に含まれる金属棒の先端同士の間の距離は、体重支持板1における「縦棒」部分1bの横幅の長さとほぼ等しい。そして、この第1湾曲部分43の先端部(即ち、グリップ4の先端部)には、ホールド・トゥ・ラン(Hold to Run)型スイッチ5がそれぞれ設置されている。
図1から図4では、物理的バリアが図示されていないが、設けられていることがより好ましい。なお、ホールド・トゥ・ラン型スイッチ5とは、押している間だけ動作し、離すと動作が停止する機能を有するスイッチを指す。
ここで、体重支持用具10とアーム20と動力部30との位置関係等について説明する。アーム20の設置場所は、体重支持板1において上腕抑制部3及びグリップ4が設置された面と同じ側の面(図3参照)であって、体重支持板1の中心線CL上、且つ体重支持板1の全長の1/2程度の位置である(図2参照)。なお、アーム20の材質は金属である。
また、体重支持板1は一枚の平板であっても構わないし、図5に示すように、体重支持板1の中央部が切り取られた部材であっても構わない。この際には、体重支持板1の一部分が被介護者70の腰部を支持する形状となっていることが好ましい。
第二の実施形態に係る介護装置の外観(図示せず)は、図1に示した第一の実施形態とほぼ同じである。つまり、第二の実施形態に係る介護装置は、体重支持用具11とアーム20(図示せず)と動力部30(図示せず)とを含んでおり、これら3つの部分はそれぞれ連結し、連動することで機能している。そこで、本実施形態に係る体重支持用具11について、図6から図8を参照して説明する。
図6から図8は、体重支持用具11の構成例を示す概念図であり、それぞれ平面図、側面図、斜視図に対応している。図6から図8に示すようは、この体重支持用具11は、第一の実施形態に係る体重支持用具10とほぼ同じであるが、グリップ6の形状及び上腕抑制部3の代わりに肘支持部7が備わっている点が異なっている。従って、ここでは第二の実施形態におけるグリップ6の形状及び肘支持部7を中心に説明し、その他の説明は省略する。
このため、図6及び図7に示すように、グリップ6には第1直線部分61、第2直線部分62、第1湾曲部分63、第3直線部分64を含んでいる。平面視では、第1直線部分61の軸方向と第2直線部分62の軸方向とは同一である。そして、第1湾曲部分63は第2直線部分62の軸方向に対して90度の角度で滑らかに湾曲して形成されている。さらに、第3直線部分64は第1湾曲部分63に対して90度の角度で滑らかに湾曲して形成されている。このため、平面視では第2直線部分62の軸方向と第3直線部分64の軸方向は並行となる。
ここで、第1折れ曲がり点6aは金属棒の全長の1/2程度の箇所に、第2折れ曲がり点6bは第1折れ曲がり点6aを起点にしてその全長の1/8程度の箇所に、第3折れ曲がり点6cは第1折れ曲がり点6aを起点にしてその全長の2/8程度の箇所に、第4折れ曲がり点6dは第1折れ曲がり点6aを起点にしてその全長の3/8程度の箇所にそれぞれ設けられている。
なお、一方の第3直線部分64と他方の第3直線部分64と間の距離は、被介護者70が両脇を絞めた際に両肘が位置する状態における、肘と肘との間の距離にほぼ等しい。
被介護者70の肘を支持する肘支持部7の外観は、図8に示すように2面が開放された中空の直方体である。つまり、この肘支持部7は、1つの第1固定部品71、1つの第2固定部品72、2つの第3固定部品73の合計4つの固定部品で構成されている。
肘支持部7は、第1固定部品71の長辺71aの一方と、第2固定部品72の長辺72aの一方とが当接することでその辺を共有している。さらに、第1固定部品71に含まれる短辺71bと第3固定部品73の辺73aの一つとが当接し、第2固定部品72に含まれる短辺72bと第3固定部品73の別の辺73aとが当接して、それぞれ一体化している。
さらに、長辺72aの長さは第1固定部品71の長辺71aの長さと等しい。また、短辺72bの長さは第1固定部品71の短辺71bの長さとほぼ等しい。辺73aの長さは第1固定部品の短辺71b、72bの長さとほぼ等しい。
ここで、第1固定部品71に設けられた穴74には、グリップ6の先端部が貫通している。
さらに、第一の実施形態と同様に、体重支持板1は一枚の平板であっても構わないし、体重支持板1の中央部が切り取られた部材であっても構わない。この際には、体重支持板1の一部分が被介護者70の腰部を支持する形状となっていることが好ましい。
なお、本発明に係る、被介護者70のずり落ちを防止する策が施された体重支持具10を含んだ介護装置100は、本発明者によって得られた、以下の知見に基づいてなされたものである。
そこで、被介護者70の重心点に働く重力と、被介護者70の腹部を支える体重支持板1から受ける抗力とがバランスした状態(釣り合った状態)における被介護者70の残りの移動自由度を、被介護者70の体軸の移動方向として、脊柱方向に対して左右方向、頭頂方向、つま先方向の4方向にそれぞれ区別して考える。
被介護者70の頭頂方向への移動自由度は、次の二つのうちいずれか一方の方法により一定範囲内に抑制される。一方の方法は、例えば両肩部に支持構造(本明細書では、上腕抑制部3に相当)を設けることにより、その自由度を一定範囲内に抑制する方法である。もう一方の方法は、被介護者70の上半身を一定の仰角を持って支持し、体重支持板1を被介護者70の重心点よりも十分高い位置まで用意することで、重心点にポテンシャルエネルギーの障壁をつくることによって、その自由度を一定範囲内に抑制する方法である。上記いずれか一方の方法を用いることにより、被介護者70の頭頂方向への移動を抑制できるので、体重支持板1から被介護者70がずり落ちるのを防ぐことができる。
人体の上腕骨および大腿骨は脊柱に対して並進自由度を持たない運動学的拘束条件で接続されている。従って、一般的にこれらの骨格の回転を抑制することで、脊柱のつま先方向への並進自由度が抑制される。そこで、ここでは上腕骨の回転を抑制して脊柱の頭頂方向へ垂直抗力を与えることを考える。
脊柱の上記4方向への並進移動を抑制する、これらの方法を組み合わせることにより、本発明に係る体重支持用具10を含む介護装置100で被介護者70の腹部を支持する際に、被介護者70の重心点が介護装置100の体重支持板1から外れてずり落ちる可能性を極力排除することができる。
次に、本発明に係る介護装置100の具体的な実施例を、図9から図14に示した概念図を参照して説明する。なお、本実施例では、被介護者70が本発明に係る介護装置100を用いて便器80を使用することを想定している。
まず初めに、図9を参照して被介護者70の動作及び介護装置100の動きの概略を説明する。その後、図10から図14に示した図を参照して被介護者70の動作の詳細を説明する。
以下に、図10から図14までの図を用いて被介護者70の動作及び介護装置100の動きの詳細について説明する。
まず、第1動作8aについて説明する。被介護者70は、車いす50に乗った状態で介護装置100の体重支持板1と正対するようにして接近する(図10参照)。体重支持板1に十分に接近した被介護者70は、グリップ4を握り、被介護者70自身の胴体を介護装置100の体重支持板1上へと引き上げて載置する(図示せず)。
用便後、被介護者70は第4動作8d、第5動作8e、第6動作8fを順次行うこと(即ち、第3動作8c、第2動作8b、第1動作8aを逆の順序で順次行うこと)で、車いす50を利用できない場面であっても、介助者に依存せずに一人で立ち上がり、便器80を使用することができる。
Claims (6)
- 被介護者の上半身を支持する体重支持板と、
前記被介護者の脇の下を支持して当該被介護者のつま先方向へのずれ落ちを防止するように、前記体重支持板に設けられた胴体支持板と、
前記被介護者の上腕の、当該被介護者の頭頂方向への挙上を抑制するように、前記体重支持板に設けられた上腕抑制部と、
を含むことを特徴とする体重支持用具。 - 被介護者の上半身を支持する体重支持板と、
前記被介護者の肘を支持して当該被介護者のつま先方向へのずり落ちを防止するように、前記体重支持板に設けられた肘支持部と、
を含むことを特徴とする体重支持用具。 - 前記被介護者の上半身が前記体重支持板で支持された時には、前記被介護者の脇の下が前記胴体支持板で支持され、且つ、前記被介護者の上腕が前記上腕抑制部で挙上を抑制された前記被介護者のみが操作できる位置に設置された、体重支持用具操作用スイッチ
をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の体重支持用具。 - 前記被介護者の上半身が前記体重支持板で支持された時には、前記被介護者の肘が前記肘支持部で支持された前記被介護者のみが操作できる位置に設置された、体重支持用具操作用スイッチ
をさらに含むことを特徴とする請求項2に記載の体重支持用具。 - 前記体重支持用具操作用スイッチの周辺部に物理的バリアを設けることをさらに特徴とする請求項3または請求項4に記載の体重支持用具。
- 体重支持用具とアームと動力部を含む介護装置であって、
前記体重支持用具は、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の体重支持用具であって、
前記アームの一端は、前記体重支持用具の裏面側に接続されて、他端は前記動力部に接続されており、
前記動力部は、前記アームを上下動させることができる、とともに床面に対して回転及び水平方向に移動することができる、
ことを特徴とする介護装置。
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