JP3192584U - 移動補助用吊り具 - Google Patents

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Abstract

【課題】要介護者自身が自力で移乗できるようにした移動補助用吊り具を提供する。【解決手段】昇降自在な介護用寝台2の足元側の床面の支柱基部7から回転自在にして起立させ、その上部から要介護者の方へ適宜に延設され寝台2上に配設される延設部を有してなる主支柱3と、主支柱3の延設部の端部側に懸架される身体用吊り具4と、寝台2の足元側の床面から主支柱3を挟んで立設されるとともに要介護者に向けて適宜長さで介護用寝台2上に延設される一対のガイド用支柱10と、一対のガイド用支柱10に主支柱3の延設部を横切って架設される円弧状のガイドアーム6とでなる。ガイドアーム6は、身体用吊り具4で吊り下げられた要介護者の手で掴まえて反力を得ることで主支柱3をその支柱基部7を中心に回転させることができるようにした移動補助用吊り具1とする。【選択図】図1

Description

本考案は、擁護施設・擁護老人ホームや病院等において寝台(ベッドともいう)から自力で移動できるように補助する移動補助用吊り具に関するものである。
従来、要介護状態にある者、即ち、身体上(精神上は除く)の障害があるために、一定期間、日常生活を営むのに支障があり、日常生活における基本的な動作の全部または一部について常時介護が必要な状態にある者が、介護者によってベッドから車椅子に移動するとき、ベッドの側に置いた簡易トイレに移動するとき、シーツの交換等を行うとき、などにおいて使用されるもので、介護用ベッドと併用される介護用リフトが知られている(特許文献1参照)。今後の高齢化社会においてますます介護用補助具が必要となってくる。
特開2010−252942号公報
従来の移動補助用吊り具においては、基本的に介護者を必要とすることを前提に構成されている。ベッドの側に介護者がいて、要介護者と吊り具とが平行になり前記介護者が作業しやすいように配置している。しかしながら、要介護者といっても、足が不自由であっても、少なくとも自己意思によって手を動かすことができ機器操作が可能な者であれば、簡単な吊り具(リフトともいう)があれば、ベッド側にある車椅子や簡易トイレに自力で移動することができて、介護者の手を煩わせることがない。
しかしながら、現状において多く提案されている吊り具は、介護者の労力負担を軽減する視点に立ったものであり、介護者用に工夫された装置が多いのが現状である。一方、吊り上げられる要介護者にとっては、例えば、身体用の吊り具は、帯状の吊り具や袋状の吊り具で支持され、全く身動きもできないような状態で吊り上げられるものが多く、要介護者にとっては不快なものであり、人の手を借りたくないという自尊心の強い要介護者には満足できるものではない。このような要介護者に役に立つ簡易な吊り具が実際には提供されていないのが現状である。本考案に係る移動補助用吊り具は、このような課題を解決するために提案されたものである。
本考案に係る移動補助用吊り具の上記課題を解決して目的を達成するための要旨は、昇降自在な介護用寝台の足元側の床面の支柱基部から回転自在にして起立させ、その上部から要介護者の方へ適宜に延設され前記寝台上に配設される延設部を有してなる主支柱と、前記主支柱の延設部の端部側に懸架される身体用吊り具と、前記寝台の足元側の床面から前記主支柱を挟んで立設されるとともに前記要介護者の頭部側に向けて適宜長さで延設される一対のガイド用支柱と、前記一対のガイド用支柱に前記主支柱の延設部を横切って架設される円弧状のガイドアームとでなり、前記ガイドアームは、前記身体用吊り具で吊り下げられた要介護者の手で掴まえて反力を得ることで前記主支柱をその支柱基部を中心に回転させることができるものであることである。
前記身体用吊り具は、要介護者を水平な支持枠の内側に入れる開口部を有するU字状若しくはコ字状の支持枠と、該支持枠に設けられる吊り装置と、前記支持枠を主支柱の延設部に懸架させる懸架部材とでなり、前記支持枠には、開口部を閉鎖する半円弧状で当該支持枠で回動自在に支持された腰パイプが設けられていることである。
前記身体用吊り具における吊り装置は、脚部を吊るす脚吊持部材と上半身を吊持する身体吊持部材とでなり、前記身体吊持部材は、身体の幅を所望の幅に維持する平板状の股プレートを有することである。
前記主支柱の延設部とガイドアームとの間には、当該主支柱に設けられて前記ガイドアームに係合して前記主支柱の回転を停止させる停止手段が設けられていることであり、
更に、前記停止手段は、主支柱の延設部に棒状体の基部が設けられ、先端部側の一部をガイドアームに当接させて前記主支柱の回転を停止させるものであることを含むものである。
本考案の移動補助用吊り具によれば、下半身が不自由でも手を使える要介護者が、自力で介護用寝台から車椅子に移乗したり、簡易トイレに移乗したり、シーツ等の交換ができるようになったりするなど、多くのことが自力でできるようになる。これは、介護者(専門職のほか家族も含む)にとって労力の負担軽減となり、おむつの使用量が低減され、介護用人件費の削減となり、介護施設の経営コストの大幅な削減となるものである。
また、要介護者においても、何時でもトイレ(ベッドの側の簡易トイレや車椅子で行く障害者トイレを含む)に行ければ、わざわざ介護者を呼ぶ必要もなくなり、特に深夜においては大変便宜なものとなる。更に、床ずれの解消となり上半身のリハビリ効果も発揮される。これにより、周囲の人に迷惑をかけたくないという要介護者の思いを満足させ、ストレスも解消させる移動補助用吊り具となるのである。
前記身体用吊り具は、要介護者を水平な支持枠の内側に入れる開口部を有するU字状若しくはコ字状の支持枠には、開口部を閉鎖する半円弧状で当該支持枠で回動自在に支持された腰パイプが設けられているので、ベッドから起き上がった要介護者が自分の手で前記腰パイプを操作して、腹側から腰へと回して開口部を自力で閉じることができる。
また、身体用吊り具における吊り装置は、脚部を吊るす脚吊持部材と上半身を吊持する身体吊持部材とでなり、前記身体吊持部材は、身体の幅を所望の幅に維持する平板状の股プレートを有するので、吊り上げられる要介護者の体が締め付けられず、拘束されるという不快感を解消できる。
更に、前記主支柱の延設部とガイドアームとの間には、当該主支柱に設けられて前記ガイドアームに係合して前記主支柱の回転を停止させる停止手段が設けられているので、要介護者は任意の位置で主支柱の回転を止めることができる、と言う数々の優れた効果を奏するものである。
本考案に係る移動補助用吊り具1の斜視図である。 同本考案の移動補助用吊り具1の平面図である。 同本考案の移動補助用吊り具1の正面図である。 同本考案の移動補助用吊り具1の一部を拡大した使用状態の側面図(A)と、使用状態における一部正面図(B)とである。 同本考案の移動補助用吊り具1の使用状態の側面図である。 同本考案の移動補助用吊り具1における、身体用吊り具4と腰パイプ4dの使用状態を示す説明用平面図(A),(B)である。 同本考案の移動補助用吊り具1を使用して介護用寝台2の脇の簡易トイレ11や車椅子12に移乗することを示す使用状態説明図である。
本考案に係る移動補助用吊り具1は、図1に示すように、介護用寝台2の脇に設けた回転自在な主支柱3に要介護者5の身体を締め付けないようにした身体用吊り具4を設け、要介護者5の自力で前記主支柱3を回転させるために、反力を得るためのガイドアーム6を設けたものである。
前記移動補助用吊り具1の各構成について説明する。図1乃至図3に示すように、移動補助用吊り具1は、電動や油圧若しくは手動によって上下方向に昇降される昇降自在な介護用寝台2の、足元側の床面の支柱基部7から回転自在にして起立させた起立部3aと、その起立部3aの上部から要介護者5の方へ適宜に延設され前記寝台2上に配設される延設部3bを有してなる主支柱3がある。
前記起立部3aは、支柱基部7に支持され、回転支持部7aにおいては、アキシアル荷重(120Kg:JIS規格)とモーメント荷重に耐えられる軸受用ベアリングを使用している。この主支柱3の軸径は、一例として50〜80mmである。前記延設部3bは図示の通り水平な延設部であるが、これに限らず、円弧状や楕円形状であってもよい。また、この延設部3bの端部から垂設部3cが設けられて、前記身体用吊り具4を懸架している。
前記主支柱3の延設部3bの端部側に懸架される身体用吊り具4は、要介護者5を水平な枠体の内側に入れる開口部4bを有するU字状若しくはコ字状の支持枠4aと、該支持枠4aに設けられる吊り装置8と、前記支持枠4aを主支柱3の水平な延設部3bに懸架させる懸架部材4cとでなる。
前記支持枠4aには、開口部4bを閉鎖する半円弧状で当該支持枠4aで回動自在に支持された腰パイプ4dが設けられている。
前記身体用吊り具1における吊り装置8は、要介護者5の脚部5aを吊るす脚吊持部材8aと上半身を吊持する身体吊持部材8bと、これらを吊持するロープ8cとでなる。前記身体吊持部材8bは、身体の幅を所望の幅に維持する平板状で一部に半円弧状の凹部(排泄用凹部)を有してなる股プレート8dとするものである。
前記股プレート8dは、要介護者5の身体を側面から締め付けて、身体の自由を奪わないようにするものである。よって、その材質は特に限定しないが、木製,合成樹脂製,金属製であって、その幅を維持する部材であればいずれでもよい。また、前記ロープ8cの上端部と支持枠4aとの取り合いは、輪状の取付け部材で繋着させ、揺動できるもので構成する。更に、股プレート8dを吊持する一方のロープ8cでは、支持枠4aに一点で係合させ着脱自在にして、片手で操作しやすいようにしてある。
前記介護用寝2台の足元側の床面から前記主支柱3を挟んで立設されるとともに、前記要介護者5の頭部側に向けて適宜長さで延設される一対のガイド用支柱10,10が設けられる。この一対のガイド用支柱10に前記主支柱3の延設部3bを横切って円弧状で鋼製のガイドアーム6が架設されている。
前記ガイドアーム6は、前記身体用吊り具4で吊り下げられた要介護者5の手で掴まえて反力を得ることで、前記主支柱3をその支柱基部7を中心に回転させることができるものである。主支柱3の延設部3bとガイドアーム6との間には、回転する当該主支柱3に設けられて前記ガイドアーム6に係合して、前記主支柱3の回転を停止させる停止手段9が設けられている。
前記停止手段9は、主支柱3の延設部3bに棒状体の基部9aが設けられ、先端部側の一部9bをガイドアーム6に当接させて、前記主支柱3の回転を停止させるものである。よって、この停止手段9の具体的な構成は種々提案されるものであり、特に動力を必要とせず、要介護者5の手で操作できるものであれば、出願時前の公知の機械的装置を含むものである。
以上の様にして構成される移動補助用吊り具1を使用して、要介護者5が、自力で介護用寝台2の側にある簡易トイレ11若しくは車椅子12に移乗する場合、更に、それらから介護用寝台2に移乗する場合について説明する。
まず、図4(A),(B)に示すように、要介護者5が仰向けの状態で、ガイドアーム6で身体用吊り具4を自分の身体の上に移す。なお、この要介護者5は、少なくとも片手の引く力が1kg以上あるものとする。そして、2つの脚吊持部材8aにそれぞれ両足を差し込んで乗せる。
次に、腰を少し浮かせて股プレート8dを臀部の下に差し込む。なお、この股プレート8dを使用しない時には、図3に示すように、支持枠4aに一方のロープ8cを繋着させて側方に股プレート8dを掛けておいてもよく、若しくは、要介護者5の手の届く範囲内に置いてあることでもよい。その後、図5に示すように、介護用寝台2の揺動自在な背もたれ13を駆動装置(図示せず)で駆動させて揺動させ、要介護者5の上半身を起こす。
そして、前記股プレート8dのロープ8cを支持枠4aに繋着させる。その後、図6(A)に示すように、支持枠4aの中に要介護者5の上半身が開口部4bから入り込んだので、腰パイプ4dを時計方向若しくは反時計方向に、手で掴んで半回転させて、図6(B)に示すように、前記開口部4bを閉蓋させてる。これで、支持枠4aから要介護者5の上半身が外へ抜け出すことがなく、安全が確保される。
次に、図7に示すように、介護用寝台2を、その昇降装置(図示せず)によって下降させる。それにより、要介護者5は、吊り装置8によって吊持される。前記股プレート8dによって、その幅が維持されるので、要介護者5は側方のロープ8c等による締め付けがなく、動きが不自由にならず不快感を感じることがない。
その後、停止手段9の先端部の一部9bを上に持ち上げて停止作用を解除させ、ガイドアーム6を手で掴んで引っ張ることで、主支柱3を車椅子12の方に回転させ横に移乗する。前記停止手段9によって適宜な所で前記一部9bを強く押し付けて主支柱3の回転を停止させる。なお、前記車椅子12の肘掛は、移乗の時に邪魔になるので、跳ね上げ式にしておいて、予め跳ね上げておくものである。
前記車椅子12の着座シートの上に置いてある、窄んだ状態からエアーを入れて膨らませたエアークッション12aの上に前記要介護者5が乗る。そして、脚吊持部材8aから脚を外し、股プレート8dのロープ8cを外す。前記腰パイプ4dを半回転させて、支持枠4aの開口部4bを開口させる。これにより、要介護者5が車椅子12へと着座して移乗完了する。前記跳ね上げてあった車椅子12の肘掛を元の位置に戻す。
前記股プレート8dは、車椅子12に移乗した後でも要介護者5の臀部に敷いたまま使用する。その後、この車椅子12から介護用寝台2へ移乗するときは、前記吊り具1の支持枠4a内に入り込んで腰パイプ4dを半回転させて開口部4bを閉じた後、前記エアークッション12aの空気を抜いて吊り装置8に吊持させる。そして、上記の逆手順で介護用寝台2へと移乗する。
また、簡易トイレ11を使用する場合には、移乗時における股プレート8dの位置とほぼ同じ高さの便座の上に移乗した後、脚吊持部材8aを外し、腰パイプ4dはそのまま閉じた状態で使用し、更に、前記股プレート8dは要介護者5から外さないまま使用するものである。
このようにして要介護者5は、自力で介護寝台2の脇にある車椅子12や簡易トイレ11に任意の時に移乗してすることができるのである。この移動補助用吊り具1は、特別な動力等や複雑な電気機器などを必要とせず、簡易な構成で大きな役割を果たすものである。なお、要介護者5が寝たきりになった場合には、その後を介護者に任せるものである。
本考案に係る移動補助用吊り具1は、身体の不自由な人で、手を使える人であれば、介護用寝台2での使用に限らず、ある場所から他の場所に移乗する際に適用できるものである。
1 移動補助用吊り具、
2 介護用寝台(ベッド)、
3 主支柱、 3a 起立部、
3b 延設部、 3c 垂設部、
4 身体用吊り具、 4a 支持枠、
4b 開口部、 4c 懸架部材、
4d 腰パイプ、
5 要介護者、 5a 脚部、
6 ガイドアーム、
7 支柱基部、 7a 回転基部、
8 吊り装置、 8a 脚吊持部材、
8b 身体吊持部材、 8c ロープ、
8d 股プレート、
9 停止手段、 9a 基部、
9b 先端部の一部、
10 ガイド用支柱、
11 簡易トイレ、
12 車椅子、 12a エアークッション、
13 背もたれ。

Claims (5)

  1. 昇降自在な介護用寝台の足元側の床面の支柱基部から回転自在にして起立させ、その上部から要介護者の方へ適宜に延設され前記寝台上に配設される延設部を有してなる主支柱と、
    前記主支柱の延設部の端部側に懸架される身体用吊り具と、
    前記寝台の足元側の床面から前記主支柱を挟んで立設されるとともに前記要介護者の頭部側に向けて適宜長さで延設される一対のガイド用支柱と、
    前記一対のガイド用支柱に前記主支柱の延設部を横切って架設される円弧状のガイドアームとでなり、
    前記ガイドアームは、前記身体用吊り具で吊り下げられた要介護者の手で掴まえて反力を得ることで前記主支柱をその支柱基部を中心に回転させることができるものであること、
    を特徴とする移動補助用吊り具。
  2. 身体用吊り具は、要介護者を水平な枠体の内側に入れる開口部を有するU字状若しくはコ字状の支持枠と、該支持枠に設けられる吊り装置と、前記支持枠を主支柱の延設部に懸架させる懸架部材とでなり、前記支持枠には、開口部を閉鎖する半円弧状で当該支持枠で回動自在に支持された腰パイプが設けられていること、
    を特徴とする請求項1に記載の移動補助用吊り具。
  3. 身体用吊り具における吊り装置は、脚部を吊るす脚吊持部材と上半身を吊持する身体吊持部材とでなり、前記身体吊持部材は、身体の幅を所望の幅に維持する平板状の股プレートを有すること、
    を特徴とする請求項2に記載の移動補助用吊り具。
  4. 主支柱の延設部とガイドアームとの間には、当該主支柱に設けられて前記ガイドアームに係合して前記主支柱の回転を停止させる停止手段が設けられていること、
    を特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の移動補助用吊り具。
  5. 停止手段は、主支柱の延設部に棒状体の基部が設けられ、先端部側の一部をガイドアームに当接させて前記主支柱の回転を停止させるものであること、
    を特徴とする請求項4に記載の移動補助用吊り具。
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