以下、操作部材への操作により、物品把持部が物品収容部内の特定領域に移動した場合には大きい把持力が決定され、それ以外の場合にはより小さい把持力が決定されるように構成された物品把持ゲーム機1を例として本発明の好ましい実施形態を説明する。
図1は、本発明の1実施形態に係る物品把持ゲーム機1の外観構成を示す説明図である。図示のように、この物品把持ゲーム機1は、直方体状の基台10と、基台10上に載置されたぬいぐるみやキャラクタグッズなどの1又は複数の物品(景品)Pを収容する物品収容部11とを主体に構成される。
物品収容部11は、例えば、不透明な金属などの板部材で形成された天井11a及び背面11bと、外部から物品収容部11内の景品Pを視認できるようにアクリルなどの透明な部材で形成された正面壁11c及び側面壁11dで囲われた箱状の空間であり、物品収容部11には、遊戯者の操作や予め定められたプログラム等に従って物品収容部11内を移動する物品把持部50が吊設されている。
本実施形態では、上記物品収容部11内のX軸(X軸レール21の延在方向/図2参照)上に1又は複数の特定領域SX1〜SXnが規定され、Y軸(Y軸レール22の延在方向/図2参照)上に1又は複数の特定領域SY1〜SYmが規定されており、遊戯者に操作される物品把持部50が上記特定領域SX1〜SXn,SY1〜SYmに停止した場合には、物品把持部50がより大きい把持力Gをもって把持動作を行うようになっており、正面壁11c及び側面壁11dの上方には、物品収容部11のどの部分が特定領域SX1〜SXn,SY1〜SYmであるかを示す1又は複数の表示12X及び12Yが設けられている。
物品収容部11の正面壁11cは、引戸等の方式の錠付扉11eとされ、ユーザ(例えば店舗の店員)が錠付扉11eを開けて景品Pの補充、陳列等を行うことが可能である。
また、物品収容部11の底面には、物品把持部50により運ばれた景品Pを落下させる景品落下口13が形成されており、当該景品落下口13には、景品Pの落下を検知する光センサーなどからなる払出検知器13a(図10)が取り付けられている。
基台10の正面には、操作用卓であるコントロールパネル14が設けられている。コントロールパネル14には、硬貨等のゲーム料金を投入するための料金投入口15と、遊戯者が物品把持部50をX軸方向に移動操作するためのX軸ボタン16a及びY軸方向に移動操作するためのY軸ボタン16bからなる操作装置16が設けられている。操作装置16は、ジョイスティックなどの他の操作手段により構成することも可能である。
基台10下方の左右位置には、景品落下口13と連通する景品取出口17が設けられており、景品落下口13に落下した景品Pが景品取出口17から払い出されるようになっている。また、基台10の内部には、物品把持ゲーム機1の動作を統括制御する制御装置61(図10)や物品把持部50の動作条件の設定を行うための設定パネル18a(図10)等が収容されており、基台10下方に設けられた施錠可能な開閉扉18を開くことでこれらの装置にアクセスすることが可能である。
なお、図示の例では、2人の遊戯者が同時にプレイできるように、景品落下口13、料金投入口15、操作装置16、景品取出口17等が左右に2組設けられた形態を示しているが、1人用或いは3人以上用の物品把持ゲーム機とする等のために、これらを1組又は3組以上設けることも可能である。
図2は、物品収容部11において物品把持部50を水平面(XY面)内で移動させるための水平移動機構20を示す説明図である。
図示のように、物品収容部11の天井11aには、X軸方向に延びるX軸レール21が敷設され、当該X軸レール21には、Y軸方向に延びるY軸レール22がX軸レール21上でスライド可能に取り付けられ、当該Y軸レール22には、把持部基台31がY軸レール22上でスライド可能に取り付けられている。物品把持部50は把持部基台31の下方に昇降部材41を介して取り付けられている。
そして、Y軸レール22は、X軸モータ21aの駆動によりX軸レール21上を走行可能とされ、把持部基台31はY軸モータ22aの駆動によりY軸レール22上を走行可能とされており、X軸モータ21a、Y軸モータ22aを制御することで、物品把持部50を物品収容部11におけるXY面内で移動させることが可能である。
本発明において物品把持部50(又は把持部基台31)の位置検知を行うか否か、行う場合にどのような方法で検知するかなどは任意であるが、本実施形態の水平移動機構20は、X軸モータ21aの回転数を検出するX軸エンコーダ21b及びY軸モータ22aの回転数を検出するY軸エンコーダ22bを備えており、各エンコーダ21b,22bの出力に基づいて物品把持部50の位置をリアルタイムで検知することが可能である。また、水平移動機構20は、物品把持部50のX軸及びY軸上での限界位置への到達を検知するためのリミット検知器21c,22c(図10)を備えている。
図3は、物品把持部50を鉛直方向(Z軸方向)で昇降させるための鉛直移動機構30を示す説明図であり、図3(A)には、把持部基台31に収容される機構30の構成が平面視で示されており、図3(B)には、当該把持部基台31の下方に設けられた昇降部材41が示されている。
図示のように、把持部基台31には、Z軸モータ32と、Z軸モータ32の出力軸に一体に取り付けられた巻取リール33と、巻取リール33からのワイヤー34を下方に導くためのガイドリール35と、物品把持部50の底付状態及び上付状態を検知するための揺動板36、揺動リール37、底付検知器38、遮光板39、上付検知器40などが収容されている。
昇降部材41は、順次小径となる4本のパイプ41a〜41dを入子式に摺動自在に嵌合させた中空の伸縮管であり、ガイドリール35から垂下するワイヤー34は、昇降部材41の内側を通って最下位のパイプ41dに嵌合されたコネクタ42に取り付けられている。パイプ41dの下端には物品把持部50を取り付けるためのカプラ43が設けられている。
上記鉛直移動機構30では、Z軸モータ32が所定方向に回転してワイヤー34が巻き上げられた場合には、ワイヤー34によってコネクタ42が上方に牽引され、これにより、パイプ41d,41c,41bが順次上位のパイプ41c,41b,41aに収納される態様で物品把持部50が上昇する。Z軸モータ32が逆方向に回転してワイヤー34が巻き戻された場合には、物品把持部50等の重量によりパイプ41d,41c,41bが順次上位のパイプ41c,41b,41aから送り出される態様で物品把持部50が下降する。
図4は、鉛直移動機構30による下降動作において物品把持部50が下限位置に到達したことを検知する底付検知機構44を示す説明図である。本発明では、物品把持部50の下限位置への到達を検知するか否か、検知する場合にどのような方法で検知するかなどは任意であるが、本実施形態では、物品把持部50が下降して景品Pや物品収容部11の床面、景品落下口13などに当接して物品把持部50の下降が止まった状態(底付状態)を物品把持部の下限位置と定義し、このときのワイヤー34の張力変化に基づいて底付状態となったか否かが検知されるよう構成されている。
具体的には、図4に示されるように、底付検知機構44は、ガイドリール35の支軸35aの周りで揺動自在とされた揺動板36と、揺動板36の1自由端に設けられた支軸37aに回転自在に取り付けられた揺動リール37と、光センサーで構成される底付検知器38とを有している。揺動板36は、支軸35aの右側の遮光部36aと支軸35aの左側のアーム部36bから構成された板状の部材であり、支軸35aに取り付けられたコイルバネ36c(図3(A))などの付勢手段により図4における反時計回り方向に付勢されている。
従って、物品把持部50が底付状態でないときは、物品把持部50等の重量による張力でワイヤー34が巻取リール33とガイドリール35の間で概略直線状に保たれるため、図4(A)に示すように揺動リール37がコイルバネ36cの付勢力に抗して押し上げられることになり、その結果、底付検知器38の受光部は遮光部36aにより遮光された状態に保たれる。
一方、物品把持部50が下降して景品Pに当接するなどにより底付状態になると、ワイヤー34の張力が減少するため、図4(B)に示すように、揺動リール37がコイルバネ36cの付勢力により反時計回り方向に回転し、その結果、底付検知器38の受光部が遮光部36aにより遮光されない状態に移行する。
このように、本実施形態では、ワイヤー34の張力変化による遮光部36aの移動を検知することで物品把持部50が底付状態かどうかが検知される。
図5は、鉛直移動機構30による上昇動作において物品把持部50が上限位置に到達したことを検知する上付検知機構45を示す説明図である。本発明では、物品把持部50の上限位置への到達を検知するか否か、検知する場合にどのような方法で検知するかなどは任意であるが、本実施形態では、ワイヤー34の巻き上げにより、全てのパイプ41d,41c,41bがそれぞれ上位のパイプ41c,41b,41aに完全に収容された状態から更にワイヤー34が巻き上げられて最上位のパイプ41aの上端が把持部基台31内まで上昇した状態を上付状態として検知するよう構成されている。
具体的には、本実施形態の上付検知機構45は、図5に示されるように、把持部基台31内における昇降部材41の上方位置において、コイルバネ39aなどの付勢手段により図上反時計回り方向に付勢された状態で立設された遮光板39と、光センサーで構成される上付検知器40とを有している。
上記上付検知機構45では、パイプ41aの上端が把持部基台31よりも下にある通常状態では、図5(A)に示すように、遮光板39はコイルバネ39aの付勢力によって直立した状態、即ち、上付検知器40の受光部が遮光板39により遮光されない状態にある。
一方、物品把持部50が上限位置まで上昇し、これに伴ってパイプ41aが把持部基台31内まで上昇すると、パイプ41a上端に突き上げられた遮光板39が傾倒し、その結果、上付検知器40の受光部が遮光板39により遮光された状態に移行する。
このように、本実施形態の上付検知機構45は、上付検知器40が遮光状態となったことをもって物品把持部50の上限位置への到達を検知する。
図6は、物品把持部50の外観構成を示す説明図である。
図示のように、物品把持部50は、物品把持部50が行う把持動作の強さ(把持力G)に関する情報を表示するための情報パネル51が設けられた筐体52と、筐体52から下方に延出する2本のアーム57を有している。
本発明において把持力Gに関する情報の表示を行うか否か、行う場合にどのような情報をどのような態様で表示するか等は任意であるが、本実施形態では、大きい把持力Gが決定される特定領域SX1〜SXn、SY1〜SYmに物品把持部50が位置しているか否かについての情報、及び、把持力決定部77により決定された把持力Gついての情報が情報パネル51において表示される。
具体的には、情報パネル51にはLEDなどで構成される発光部材51aが設けられ、物品把持部50がX軸上の特定領域SX1〜SXn又はY軸上の特定領域SY1〜SYmを通過中は発光部材51aが点灯し、それ以外の間は消灯する。また、情報パネル51には7セグ表示器などで構成される把持力表示器51bが設けられ、把持力決定部77により決定された把持力パラメータCGが表示される。なお、物品把持部50による把持動作における把持力Gの大きさは把持力パラメータCGと正相関の関係を有するため、遊戯者は把持力パラメータCGから把持力Gの大きさを理解することができる。
図7は、物品把持部50の内部構造を示す説明図であり、筐体52を取り払い、更に、アーム57の一部を切り欠いた状態の物品把持部50が示されている。
図示のように、物品把持部50は、カプラ43により昇降部材41下端に取り付けられた垂下板53と、垂下板53の裏面側に配置された2つの把持モータ54と、把持モータ54の出力軸54aと一体となって回転する駆動ギア55と、出力軸54aから所定距離離間して位置する回動軸56aを軸芯とし、駆動ギア55と歯合する伝達ギア56と、伝達ギア56とは独立に回動軸56aに揺動可能に取り付けられたアーム57と、アーム57に対して付勢力を印加するためのコイルバネ58と、垂下板53に固定されたストッパー59を有している。
上記伝達ギア56は、円弧状の長穴56bと凸状のボス56c及び突起56dを有し、コイルバネ58の一端(遊挿端)58aは図7の紙面奧側に折り曲げられて長穴56bの所定位置に遊挿されている。また、アーム57裏面には係止孔57a及び受座57bが形成されており、コイルバネ58の他端(係止端)58bが図7の紙面手前側に折り曲げられて係止孔57aに挿入固定されるとともに、ボス56cが受座57bに当接することで伝達ギア56の回転力がアーム57に伝達されるようになっている。
図8、9は、物品把持部50の動作態様を示す説明図である。
図8(A)には、初期状態にある物品把持部50が示されており、アーム57は、その自重により重心位置が最下位置となる所定角度で回動軸56aから垂下した状態にあり、コイルバネ58には外力が作用せずその両端58a,58bが図示の角度で開いた開放状態(捻りが加えられていない状態)にある。
この状態から把持モータ54の駆動により伝達ギア56が図8(B)のM1方向に回転すると、受座57bがボス56cに押し上げられるためにアーム57が図中のM2方向に開いていき(図8(B))、やがては突起56dがストッパー59に当接するところまでアーム57が開いて全開状態になる(図8(C))。この間、ボス56cは一貫して受座57bに当接しており、係止端58bは係止孔57aに固定されているため、長穴56bにおけるコイルバネ58の遊挿端58aの遊挿位置は初期状態から不変であり、コイルバネ58は開放状態のままである。
図8(C)の状態から把持モータ54が逆回転すると、伝達ギア56が図9(A)のM3方向に回転し、アーム57は自重によりボス56cに追随してM4方向に閉じていく。この場合も、アーム57に外方(M2方向)への力が作用しない限りはボス56cは受座57bに当接したままであり、長穴56bにおける遊挿端58aの遊挿位置は初期状態から不変である。
アーム57が図9(A)の角度にあるときに両アーム57の先端に景品Pが接触したものとして、把持モータ54が更に逆回転を続けると、伝達ギア56がM3方向に回転するのに対し、アーム57が景品Pに当接しているために、アーム57及びアーム57に係止端58bが固定されたコイルバネ58は図9(A)の状態から回転することは出来ない。そのため、長穴56bにおける遊挿端58aの遊挿位置が移動することになり、やがては図9(B)に示すように、遊挿端58aが長穴56bの一端に当接する。なお、図9(B)に至る迄の過程では、遊挿端58aが長穴56bに遊挿されている(長穴56bの端部に当接していない)ためにコイルバネ58は一貫して開放状態であり、従って、コイルバネ58による付勢力は発生せず、景品Pにはアーム57の自重による接触力以外の外力は作用しない。
図9(B)の状態から更に把持モータ54が逆回転を続けると、伝達ギア56は更にM3方向に回転する。このとき、アーム57に固定されたコイルバネ58の係止端58bは図9(B)の状態から移動できないのに対して、遊挿端58aは伝達ギア56の回転によって長穴56bの端部に引かれるために、コイルバネ58には図9(B)の時点からの伝達ギア56の回転量Rに応じた大きさTの捻りが加えられる(図9(C))。この捻りに対するコイルバネ58の復元力が係止端58bを介してアーム57に伝達されるため、コイルバネ58の捻り量Tに応じた大きさの把持力Gで景品Pが把持されることになる。
従って、コイルバネ58の捻り量T、或いは、遊挿端58aが長穴56bの端部に当接した時点からの伝達ギア56の回転量Rによって景品Pに印加する把持力Gを制御することが可能であり、捻り量T又は回転量Rをゼロに設定すれば、景品Pに対する把持力Gをゼロにする(アーム57の自重による接触力のみを景品Pに作用させる)ことも可能である。
図10は、物品把持ゲーム機1の制御系統60の構成を示す説明図である。
図示のように、物品把持ゲーム機1の制御系統60は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)からなるマイクロコンピュータなどで構成される制御装置61と、物品把持ゲーム機1の動作シーケンスを規定したプログラム等を記録するハードディスクや不揮発性メモリなどからなる記憶装置62と、インターフェイス63等を備えており、制御装置61がインターフェイス63を介して操作装置16や払出検知器13a、設定パネル18a、エンコーダ21b,22b、リミット検出器21c,22c、底付検知器38、上付検知器40などの入力系統64、発光部材51aや把持力表示器51bなどの出力系統65、X軸モータ21a、Y軸モータ22a、Z軸モータ32、把持モータ54などの駆動系統66等との信号の授受を行うことで物品把持ゲーム機1の動作が制御される。
図11は、制御装置61のCPUが上記プログラムを実行することにより物品把持ゲーム機1において実現される機能構成70を示す説明図である。
図示のように、本実施形態の物品把持ゲーム機1の機能構成70には、水平移動部71、鉛直移動部72、基準ペイアウト記憶部73、ペイアウト率算出部74、表示制御部75、テーブル記憶部76、把持力決定部77、把持部制御部78が含まれる。
ここで、水平移動部71は、操作装置16への操作に従ってX軸モータ21a、Y軸モータ22aを駆動し、物品把持部50を物品収容部11のX軸方向及びY軸方向に移動させる処理を実行する。水平移動部71は更に、エンコーダ21b,22bやリミット検出器21c,22cからの信号に基づいてXY面内での物品把持部50の位置及び限界位置への到達を検知し、物品把持部50の位置及びX軸方向、Y軸方向への移動完了を鉛直移動部72、表示制御部75、把持力決定部77、把持部制御部78に通知する。
鉛直移動部72は、上記水平移動部71による物品把持部50のXY面内での移動が完了した後に動作し、Z軸モータ32を駆動して物品把持部50をZ軸方向に移動させる処理を実行する。鉛直移動部72は更に、底付検知器38、上付検知器40からの信号に基づいて底付状態及び上付状態を検知し、これを把持部制御部78及び水平移動部71に通知する処理を実行する。
基準ペイアウト率記憶部73は、設定パネル18aなどへの操作によりユーザが設定した基準ペイアウト率RPRを記録する。
ペイアウト率算出部74は、料金投入口15への料金投入等に基づいて特定されるゲームの実行回数GN、及び、払出検知器13aからの信号に基づいて特定される景品Pの払出回数PNからゲームの終了毎にペイアウト率PR(=PN/GN)を算出する処理を実行する。
表示制御部75は、X軸上及びY軸上における物品把持部50の時々刻々の位置情報を水平移動部71から受信し、物品把持部50がX軸上の特定領域SX1〜SXn内を移動中である場合、又は、Y軸上の特定領域SY1〜SYm内を移動中である場合に発光部材51aを点灯させる処理を実行する。表示制御部75は更に、設定パネル18aなどへの操作によりユーザが設定した把持力パラメータの初期値CG0を把持力表示器51bに表示するとともに、把持力決定部77から把持力パラメータCGの更新が通知された場合には、当該更新された把持力パラメータCGを把持力表示器51bに表示する処理を実行する。
テーブル記憶部76は、物品把持部50が特定領域SX1〜SXn,SY1〜SYmに停止した場合に把持力パラメータCGに加算される加算パラメータSGを規定した第1テーブル76a及び第2テーブル76bを記憶するものである。
ここで、第1テーブル76aは、前回のゲーム終了時にペイアウト率算出部74が算出したペイアウト率PRが基準ペイアウト率記憶部73に記録される基準ペイアウト率RPR以上である場合に使用される加算パラメータSGを規定するものであり、第2テーブル76bは、ペイアウト率PRが基準ペイアウト率RPR未満である場合に使用される加算パラメータSGを規定するものである。
第1テーブル76a及び第2テーブル76bの加算パラメータSGは任意の方法で決定することができ、例えば、ゲームの興趣性をより高める等のために、特定領域SX1〜SXn,SY1〜SYm毎に異なる値の加算パラメータSGを規定することが可能であり、また、ペイアウト率PRを平準化する等のために、第2テーブル76bの方が第1テーブル76aよりも全ての加算パラメータSG又は加算パラメータSGの平均値が大きくなる設定とすることも可能である。
図12(A)、(B)には、それぞれ第1テーブル76a及び第2テーブル76bに規定された例示的な加算パラメータSGが示されており、例えば、第1テーブル76aでは、特定領域SX2には加算パラメータSGとして「10」が規定され、特定領域SY2には加算パラメータSGとして「15」が規定され、第2テーブル76bでは、特定領域SX2には加算パラメータSGとして「20」が規定され、特定領域SY2には加算パラメータSGとして「25」が規定されている。
把持力決定部77は、X軸ボタン16a及び/又はY軸ボタン16bへの操作の態様に応じて物品把持部50の把持動作における把持力Gを決定するものである。本発明において操作部材への操作の態様に応じてどのような方法で把持力を決定するかは任意であるが、本実施形態の把持力決定部77は以下の方法により把持力Gを決定する。
即ち、把持力決定部77は、設定パネル18a等への操作により指定される把持力パラメータ初期値CG0をゲームの開始時点の把持力パラメータCGとして決定する。
そして、X軸ボタン16aへの操作が完了した時点で物品把持部50がX軸上の特定領域SX1〜SXnにある場合には、把持力決定部77は、把持力パラメータCGに物品把持部50が位置する特定領域SX1〜SXnについて加算テーブル76a又は76bが規定する加算パラメータSGを加算した値を新たな把持力パラメータCGとして決定する。
更に、Y軸ボタン16bへの操作が完了した時点で物品把持部50がY軸上の特定領域SY1〜SYmにある場合には、把持力パラメータCGに物品把持部50が位置する特定領域SY1〜SYmについてテーブル76a又は76bが規定する加算パラメータSGを加算した値を新たな把持力パラメータCGとして決定する。
例えば、設定パネル18aにおいて把持力パラメータ初期値CG0として「50」が設定され、前回のゲーム終了時のペイアウト率PRが基準ペイアウト率RPR以上であったとして、X軸ボタン16aへの操作完了の時点で物品把持部50が特定領域SX2に位置していた場合には、把持力パラメータ初期値CG0である「50」に特定領域SX2について加算テーブル76aに規定された加算パラメータSGである「10」が加算されて把持力パラメータCGは「60(=50+10)」と決定される。その後、Y軸ボタン16bへの操作完了の時点で物品把持部50が特定領域SY2に位置していた場合には、上記把持力パラメータCGである「60」に更に特定領域SY2について加算テーブル76aに規定された加算パラメータSGである「15」が加算されて、最終的な把持力パラメータCGは「75(=60+15)」と決定される。
上記のようにして更新された把持力パラメータCGは、更新がなされる毎に表示制御部75に通知される。
把持部制御部78は、水平移動部71及び鉛直移動部72からの物品把持部50のY方向への移動完了及び底付状態の通知に応答して動作し、把持力決定部77が決定した把持力パラメータCGを用いて物品把持部50に把持動作を実行させる。
具体的には、物品把持部50のY軸方向への移動が完了した時点で把持モータ54を駆動してアーム57を全開状態にし(図8(C))、物品把持部50が底付状態となった時点で把持モータ54を逆回転させることでアーム57を閉じる把持動作を実行する(図9(A)〜(C))。このとき、把持モータ54の逆回転の際の回転量R又は捻り量Tは把持力パラメータCGに応じた値となるように制御され、これにより、物品把持部50は、把持力パラメータCGに応じた大きさの把持力Gをもって上記把持動作を行うことになる。従って、把持力決定部77は、実質的に物品把持部50の把持動作における把持力Gを決定していることになる。
図13,14は、物品把持ゲーム機1において実行されるゲーム処理の内容を示すフローチャートである。
このゲーム処理は、料金投入口15への料金投入等を契機に開始され、ステップS1では、把持力パラメータCGが把持力パラメータ初期値CG0に設定されるとともに、当該把持力パラメータCGを把持力表示器51bに表示させる処理が実行される。
続くステップS2では、前回のゲームのステップS38において算出されたペイアウト率PRが基準ペイアウト率RPR以上であるか否かが検査され、基準ペイアウト率RPR以上である場合(Yes)はステップS3において第1テーブル76aが有効化され、基準ペイアウト率RPR未満である場合(No)はステップS4において第2テーブル76bが有効化される。
続くステップS5では、X軸ボタン16aへの操作(X軸ボタン16aの押圧)が待ち受けられる。
そして、X軸ボタン16aの押圧があった場合には、処理はステップS6に移行し、水平移動部71による物品把持部50のX軸方向への移動処理が実行される。
続くステップS7では、物品把持部50が特定領域SX1〜SXn内に位置するか否かが検査され、位置する場合(Yes)にはステップS8において発光部材51aを点灯させる処理が実行され、位置しない場合(No)にはステップS9において発光部材51aを消灯させる処理が実行される。
その後、ステップS10において物品把持部50がX軸上の限界位置に到達したか否かが判定され、到達していない場合(No)には、更にステップS11においてX軸ボタン16aの押圧が解除されたか否かが判定される。
そして、ステップS10において限界位置への到達が判定され(Yes)、或いは、ステップS11においてX軸ボタン16aの押圧解除が判定された場合(Yes)には、処理はステップS12に移行し、ステップS11においてX軸ボタン16aの押圧解除が判定されない場合(No)は、物品把持部50のX軸方向への移動を継続するべく処理はステップS6に戻される。
ステップS12では、物品把持部50のX軸方向への移動を停止させる処理が実行され、ステップS13では、物品把持部50がいずれかの特定領域SX1〜SXn内で停止したか否かの検査が実行される。
そして、いずれかの特定領域SX1〜SXn内に停止していた場合(Yes)には、処理はステップS14に移行し、いずれの特定領域SX1〜SXnにも停止していない場合(No)には、処理はステップS16に移行する。
ステップS14では、把持力決定部77が動作し、物品把持部50が停止した特定領域SX1〜SXnについてステップS3又はS4で有効化された第1又は第2テーブル76a,76bに規定される加算パラメータSGを把持力パラメータCGに加算することにより把持力パラメータCGが更新され、続くステップS15では、表示制御部75が当該更新された把持力パラメータCGを把持力表示器51bに表示させる。
続くステップS16〜S26では、Y軸方向についてステップS6〜S16と同様の処理が実行される。
即ち、ステップS16では、Y軸ボタン16bの押圧操作が待ち受けられ、ステップS17では、水平移動部71による物品把持部50のY軸方向への移動処理が実行される。
続くステップS18では、物品把持部50の位置が検査され、特定領域SY1〜SYm内であれば発光部材51aが点灯され(ステップS19)、そうでなければ発光部材51aが消灯される(ステップS20)。
そして、物品把持部50のY軸上の限界位置への到達(ステップS21)及びY軸ボタン16bの押圧解除が検査され(ステップS22)、限界位置への到達又は押圧解除が判定された場合には、処理はステップS23に移行し、そうでなければ処理はステップS17に戻される。
ステップS23では、物品把持部50のY軸方向への移動が停止され、ステップS24では、物品把持部50の停止位置が特定領域SY1〜SYm内か否かの検査が実行される。
そして、上記停止位置がいずれかの特定領域SY1〜SYm内である場合には、ステップS3又はS4において有効化されたテーブル76a,76bを用いた把持力パラメータCGの更新(ステップS25)及び更新された把持力パラメータCGの把持力表示器51bでの表示(ステップS26)が行われ、上記停止位置がいずれかの特定領域SY1〜SYm内でない場合には、これらの処理は行われることなく処理はステップS27に移行する。
ステップS27では、把持部制御部78が動作して、把持モータ54の駆動により物品把持部50のアーム57が全開状態(図8(C))とされ、続くステップS28では、鉛直移動部72が動作して、Z軸モータ32の駆動により物品把持部50を下降させる処理が実行される。
ステップS29では、物品把持部50が底付状態となったか否かが検査され、底付状態である場合には処理はステップS30に移行し、底付状態でなければ更に物品把持部50を下降させるべく処理はステップS28に戻される。
ステップS30では、再度把持部制御部78が動作し、アーム57を閉じる把持動作(図9(A)〜(C))が実行される。このとき、把持部制御部78は、伝達ギア56の回転量R又はコイルバネ58の捻り量TがステップS1、S14又はS25において把持力決定部77が決定した把持力パラメータCGに応じた値となるように把持モータ54を駆動制御する。従って、物品把持部50は、当該把持力パラメータCGに応じた把持力Gをもって把持動作を行うことになる。
把持動作(ステップS30)の完了後、再度鉛直移動部72が動作し、Z軸モータ32の駆動により物品把持部50を上昇させる処理が実行される(ステップS31)。
ステップS32では、物品把持部50が上付状態となったか否かが検査され、上付状態である場合には処理はステップS33に移行し、上付状態でなければ更に物品把持部50を上昇させるべく処理はステップS31に戻される。
ステップS33では、水平移動部71により物品把持部30を景品落下口13上方位置に移動させる処理が実行され、ステップS34では、把持部制御部78により物品把持部50のアーム57を全開状態とする処理が実行され、ステップS30の把持動作により景品Pが物品把持部50に把持されていた場合には、当該景品Pが景品落下口13に落下して景品取出口17から払い出され、当該景品Pの払い出しは払出検知器13aにより検知される。
ステップS35では、ゲームの実行回数GNを更新する処理が実行され、ステップS36では、払出検知器13aからの信号に基づいて景品Pの払い出しの有無が検査される。
そして、景品Pの払い出しがあった場合(Yes)には払出回数PNを更新する処理(ステップS37)を実行した後に、払い出しが無かった場合(No)には当該処理を実行することなく処理はステップS38に移行し、ペイアウト率算出部74によるペイアウト率PRの計算処理が実行されて1ゲームについてのゲーム処理は完了となる。
本実施形態に係る物品把持ゲーム機1では、操作装置16への操作により物品把持部を移動させたXY面内での位置に応じて把持力Gが決定される。従って、景品Pの形状や大きさ、配置の態様(向きや他の物品との重なり具合など)だけでなく、景品Pが配置された位置によっても景品Pの把持し易さが変わることになる。
従って、遊戯者が狙いの物品を決めるための判断要素が多様化することになり、これにより、ゲームの面白味の増進が達成される。
また、操作部材への操作が行われる毎に(ステップS15,S26)、更新された把持力Gの大きさ(把持力パラメータCGの値)が表示されるため、ゲームとしての面白味を一層増進することができる。
また、把持力Gの大きさが表示される(ステップS1,S15,S26)ために、把持力が不当に弱く設定されていないかなどの遊戯者の疑念を払拭し、遊戯者に安心感、信頼感を与えるなどの効果を得ることも可能である。
更に、ペイアウト率PRが基準ペイアウト率RPR未満である場合には、より大きい加算パラメータSGを加算することで把持力パラメータCGが決定される構成であるため、遊戯者の平均的な技量が高かったり、低かったりした場合のペイアウト率の変動を小さくすることが可能である。
図15は、本発明の他の実施形態に係る物品把持ゲーム機2が有する機能構成70を示す説明図であり、図16は、機能構成70におけるテーブル記憶部76に記録される第1、第2テーブル76a,76bの例示的な内容を示す説明図である。
図15に示すように、物品把持ゲーム機2は、その機能構成70において、把持力決定部77が所定範囲(例えば0〜99)の乱数を発生させる乱数発生部77aを有し、図16に示すように、乱数発生部77aが発生させる乱数値と加算パラメータSGの関係を規定した第1、第2テーブル76a,76bがテーブル記憶部76に記憶されている点を除いて物品把持ゲーム機1と同様の構成を有している。なお、図示の例では、ペイアウト率PRが基準ペイアウト率RPR未満である場合により大きな把持力パラメータCGが決定されるようするために、第2テーブル76bの方が加算パラメータSGの期待値が大きくなるように乱数値と加算パラメータSGの関係が規定されている。
図17は、物品把持ゲーム機2において実行されるゲーム処理の一部を示すフローチャートである。なお、物品把持ゲーム機2のゲーム処理におけるステップS1〜S12及びステップS27〜S38は物品把持ゲーム機1のゲーム処理におけるステップS1〜S12及びステップS27〜S38と同一であるため、図示が省略されている。
図示のように、物品把持ゲーム機2のゲーム処理は、ステップS13とS14の間、及び、ステップS24とS25の間にそれぞれステップS41及びS42を追加的に有しおり、当該ステップS41,S42及びこれに続くステップS14,S25での処理の内容を除いて物品把持ゲーム機1のゲーム処理と同一である。
即ち、ステップS41では、把持力決定部77が乱数発生部77aを用いて乱数値を発生させ、この乱数値をステップS3又はS4で有効化された第1又は第2テーブル76a,76bに照らし合わせることで加算パラメータSGを導出する抽選処理を実行する。例えば、発生させた乱数値が35であり、ステップS3で図16の第1テーブル76aが有効化されていたなら加算パラメータSGは「10」に決定される。
そして、これに続くステップS14では、ステップS41において決定された加算パラメータSGを把持力パラメータCGに加算することで把持力パラメータCGを更新する処理が実行される。
ステップS42では、把持力決定部77が乱数発生部77aを用いて乱数値を発生させ、この乱数値をステップS3又はS4で有効化された第1又は第2テーブル76a,76bに照らし合わせることで加算パラメータSGを導出する抽選処理を実行する。例えば、発生させた乱数値が75であり、ステップS4で図16の第2テーブル76bが有効化されていたなら加算パラメータSGは「20」に決定される。
そして、これに続くステップS25では、ステップS42において決定された加算パラメータSGを把持力パラメータCGに加算することで把持力パラメータCGを更新する処理が実行される。
上記物品把持ゲーム機2では、物品把持部50が特定領域SX1〜SXn,SY1〜SYmに停止した場合には、抽選により決定される加算パラメータSGを把持力パラメータCGに加算することで把持力パラメータCGが決定される。
従って、物品把持ゲーム機2では、物品把持ゲーム機1について上記した効果に加えて、物品把持部50が同一の特定領域に停止した場合でも、抽選によって毎回異なる把持力パラメータCGが決定されるために、ゲームとしての面白味が一層増進されるという追加的な効果が達成される。
なお、上記実施形態では、ステップS14,S25で把持力決定部77が決定する把持力パラメータCG(乃至把持力G)の期待値がペイアウト率PR(乃至ペイアウト率PRと基準ペイアウト率RPRとの関係)に応じて変化する場合を説明したが、把持力決定部77が決定する把持力パラメータCG(乃至把持力G)の期待値を常に一定にしても構わないし、操作部材16への操作の態様(例えば、物品把持部50の停止位置)を含む他の要因に応じてステップS14,S25で決定される把持力パラメータCG(乃至把持力G)の期待値が変化するよう構成しても構わない。
図18は、本発明の更に他の実施形態に係る物品把持ゲーム機3が有する機能構成70を示す説明図であり、図19は、物品把持ゲーム機3において実行されるゲーム処理の一部を示すフローチャートである。なお、図19では、物品把持ゲーム機3のゲーム処理におけるステップS5〜S38は図示が省略されているが、このうち、ステップS13,S14〜S24,S26〜S38については物品把持ゲーム機1のゲーム処理におけるステップS13,S14〜S24,S26〜S38と同一である。
図18に示すように、物品把持ゲーム機3の機能構成70は、第1テーブル76aのみを有し、第2テーブル76bを有しない点で物品把持ゲーム機1と相違するが、それ以外の点では、物品把持ゲーム機3は物品把持ゲーム機1と同一の構成を有している。
図19に示すように、物品把持ゲーム機3におけるゲーム処理では、物品把持ゲーム機1におけるステップS1〜S4がステップS51〜S54に置換されている。
即ち、物品把持ゲーム機3のゲーム処理が開始されると、ステップS51において、前回のゲームのステップS38で算出されたペイアウト率PRが基準ペイアウト率RPR以上であるか否かが検査され、基準ペイアウト率RPR以上である場合(Yes)は、ステップS52において把持力パラメータ初期値CG0が所定値PDG(例えば、「5」)だけ減算され、基準ペイアウト率RPR未満である場合(No)は、ステップS53において把持力パラメータ初期値CG0が所定値PSG(例えば、「5」)だけ増分され、その後、物品把持ゲーム機1におけるステップS1と同様の処理がステップS54において実行される。
その後、ステップS14及びS25において、物品把持部50が停止した特定領域SX1〜SXn又はSY1〜SYmについて第1テーブル76aに規定される加算パラメータSGを把持力パラメータCGに加算することにより把持力パラメータCGが更新される点を除いて、物品把持ゲーム機1と同様のステップS5〜S38が実行される。
本実施形態に係る物品把持ゲーム機3では、ペイアウト率PRが基準ペイアウト率RPR以上である状態が続けば、各ゲームのステップS52で把持力パラメータ初期値CG0が所定値PDGずつ減算されていくために最終的に決定される把持力パラメータCG(ステップS54、S14又はS25で決定される把持力パラメータCG)は徐々に小さくなっていき、その結果、いずれはペイアウト率PRが低下することになる。逆に、ペイアウト率PRが基準ペイアウト率RPR未満である状態が続けば、各ゲームのステップS53で把持力パラメータ初期値CG0が所定値PSGずつ加算されていくために最終的に決定される把持力パラメータCGが徐々に大きくなっていき、その結果、いずれはペイアウト率PRが上昇することになる。
従って、物品把持ゲーム機3では、希望のペイアウト率を基準ペイアウト率RPRに設定すれば、実際のペイアウト率PRが基準ペイアウト率RPRに近づくようにフィードバック制御されることになるために、物品把持ゲーム機1について上記した効果に加え、希望のペイアウト率での運用を容易に行うことが可能になるという追加的な効果が達成される。
なお、ステップS52,S53における減算値PDG,加算値PSGは、必ずしも定数である必要はなく、ゲーム毎に減算値PDG,加算値PSGを変化させても構わない。また、把持力パラメータ初期値CG0に上限値、下限値を設定し、ステップS52,S53の処理で把持力パラメータ初期値CG0が上限値以上又は下限値以下になる場合には、ステップS52,S53をスキップするように構成することも可能である。
以上、例示的な実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は上記実施形態により限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載内において種々の変更、改変を行うことが可能である。
例えば、上記実施形態では、操作装置への操作によってどの位置に物品把持部を移動させたかに応じて把持力が決定される場合について説明したが、他の操作態様に応じて把持力を決定することも可能である。
その一例としては、本発明の物品把持ゲーム機は、操作部材に対する操作時間を計測するための操作時間計測手段を追加的に備え、当該操作時間計測手段により測定された操作時間に応じて把持力を決定するよう構成することが可能であり、これによっても、ゲームの面白味を増進させることができる。
特に、操作時間が短い程把持力が大きくなる構成とすれば、平均的なゲームの所要時間の短縮が期待できるため、物品把持ゲーム機の回転率の向上、遊戯者単価の増大など、物品把持ゲーム機を設置する遊技店舗等にとって有益な効果を達成することも可能である。
この場合における操作時間としては、例えば、上記実施形態の物品把持ゲーム機1〜3におけるステップS6の実行からステップS23の実行までの時間、各ゲームにおいて最初にステップS5が実行されてからステップS6が実行されるまでの時間、又は、最初にステップS16が実行されてからステップS17が実行されるまでの時間を例示することができる。
更に、本発明の物品把持ゲーム機は、操作部材に対する操作回数を計測するための操作回数計測手段を追加的に備え、当該操作回数計測手段により測定された操作回数に応じて把持力を決定するよう構成することが可能であり、これによっても、ゲームの面白味を増進させることができる。
この場合、遊戯者が操作部材への操作を複数回数行い得ることが前提となるが、その具体的構成としては、上記実施形態の物品把持ゲーム機1〜3において、物品把持部50のX軸方向及び/又はY軸方向への移動操作の完了を指示するための追加的な操作手段を設け、当該操作手段への入力がなされるまではX軸ボタン16a及び/又はY軸ボタン16bを複数回数操作することで物品把持部50のX軸方向及び/又はY軸方向への移動と停止を反復できるようにした構成を例示することができる。
そして、上記物品把持ゲーム機において、操作回数が少ない程把持力が大きくなるように構成すれば、把持力は小さくなってしまうことを承知で物品把持部50の位置を微調整するためにX軸ボタン16a及び/又はY軸ボタン16bを何度も操作するか、大きい把持力を得るためにより少ない回数で物品把持部50を移動させるかなど、操作における判断要素が増加することとなるため、ゲームの面白味の一層の増大が達成される。
上記以外にも、物品把持部の移動経路や操作部材への押圧操作の強さに応じて把持力を決定するなども可能である。
また、上記実施形態では、操作の態様(物品把持部の停止位置)とペイアウト率に応じて把持力が決定される場合(物品把持ゲーム機1、3)及び操作の態様と抽選の結果に応じて把持力が決定される場合(物品把持ゲーム機2)について説明したが、操作の態様のみに基づいて把持力を決定することも可能であり、或いは、把持力、ペイアウト率及び抽選の結果の3つの要因に基づいて把持力を決定することも可能であり、或いは、操作の態様と上記以外の要因に基づいて把持力を決定することも可能である。
また、上記実施形態では、操作の態様に基づく把持力の決定が行われる条件、或いは、大きい把持力が決定される条件の表示(表示12X,12Yや発光部材51aの発光)や決定された把持力Gの大きさの表示(把持力表示器51bの表示)がなされる場合について説明したが、これらの表示は行わなくても構わない。
また、上記実施形態では、物品把持部が特定の位置(SX1〜SXn又はSY1〜SYm)に停止した場合にのみ操作の態様に応じた把持力の決定が行われる場合について説明したが、物品把持部の停止位置に拘わらず常に操作の態様に応じた把持力の決定を行うことも可能である。
また、上記実施形態では、物品把持部の停止位置と把持力の決定に用いる値との関係を規定したテーブルを使用する場合について説明したが、操作の態様(例えば、物品把持部の停止位置)と把持力(又は把持力の決定に用いる値)の関係を規定した関数を使用しても構わない。
また、上記実施形態では、把持パラメータCGに基づく把持力G(伝達ギア56の回転量R又はコイルバネ58の捻り量T)の具体的な制御方法は述べなかったが、例えば、把持モータ54としてステッピングモータを使用し、遊挿端58aの長穴56b端部への当接やボス56cの受座57bからの離間をセンサー等によって検知し、当該検知からの把持モータ54の回転量を把持パラメータCGに応じて制御するなどにより把持力G(伝達ギア56の回転量R又はコイルバネ58の捻り量T)を制御することが可能である。
その他、上記実施形態における物品把持ゲーム機又はこれを構成する部材の形状、寸法、材質、機能構成、動作態様、制御態様、物品把持ゲーム機の制御に使用するパラメータの種類、値、算出方法などは単なる例として記載したものであり、これらは特許請求の範囲の記載内において任意に変更することが可能である。