JP2010233812A - 吸収性物品及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】
液透過性表面シートと、液不透過性シートと、これらの間に介在された吸収体と、吸収体全体を包む包装シートを備えた吸収性物品において、前記包装シートに、湿潤状態で消臭効果を奏する消臭剤、樹脂及び溶媒を主成分とするインクを用いて印刷された印刷部を配する。
【選択図】図9
Description
そこで、本発明の主たる課題は、より効果的に消臭効果が発揮される吸収性物品を提供することにある。
<請求項1記載の発明>
液透過性表面シートと、液不透過性シートと、これらの間に介在された吸収体と、吸収体を包む包装シートとを備えた吸収性物品であって、
前記包装シートが、乾燥状態よりも湿潤状態で消臭効果を奏する消臭剤、樹脂及び溶媒を主成分とするインクを用いて印刷された印刷部を有する、
ことを特徴とする吸収性物品。
排泄物、特に尿を吸収、保持する部分は吸収体であるため、吸収体近傍に消臭剤が配置されることにより、高い消臭効果が得られることが期待される。しかし、吸収体近傍は使用後に湿潤状態となるのに対して、従来消臭剤粒子として使用されてきたゼオライト、活性炭などの多孔性粒子は、湿潤状態ではその孔が水分によって閉塞され、十分、かつ長期的な効果を奏することができなかった。本発明では、乾燥状態よりも湿潤状態で高い消臭効果を奏する消臭剤を使用することにより、トップシート、吸収体、吸収体を包む包装シートに消臭剤を配置することが可能である。しかし、トップシートは直接人体に触れる部分であるため、消臭剤に銀イオン等の金属イオンを含む場合に黄変などが目立つ、等の問題があり、消臭剤の配置には好ましくない。吸収体は、水分の拡散性が低い、消臭剤を均一に分散させづらい、等の問題があり、消臭剤の効果を十分に発揮しにくい。したがって、本発明では消臭剤は包装シートに配置する。
前記包装シートのトップシート側の面に前記印刷部を有する請求項1に記載の吸収性物品。
印刷部に含まれる消臭剤は、湿潤状態で効果を奏するため、より水分を受けやすいトップシート側に配することが好ましい。また、吸収体に吸収された排泄物からの臭気は、トップシート側に多く排出されることからも、トップシート側へ消臭剤を配することが好ましい。さらに、製造時において、予め印刷が施された包装シートを用いて吸収体を包むこともできるが、トップシート側の面への印刷は、吸収体を包んだ後の包装シートにも施すことができるため、製造効率を考慮して印刷のタイミングを選択することが可能となる。
前記消臭剤が、湿潤状態でイオン化し、そのイオンが臭気成分を捕捉することで効果を奏する化学的消臭剤である請求項1または2に記載の吸収性物品。
本発明において使用される消臭剤は、湿潤状態でイオン化する化学的消臭剤が好適である。このような化学的消臭剤は、活性炭、ゼオライトのような臭気成分を吸着させる物理的消臭剤と異なり、臭気成分を結合により強固に捕捉する。活性炭、ゼオライト等が湿潤状態で効果が減少するのに対し、特に銅、鉄または亜鉛を含む金属錯体、イオン交換粒子等の化学的消臭剤は、湿潤状態で十分な消臭効果が得られる。
前記インクが、樹脂100重量部に対して、消臭剤5〜20部、有機溶媒30〜70重量部を含み、
前記樹脂はウレタン系樹脂であり、
前記溶媒はアルコール系あるいはエステル系の有機溶媒である請求項1〜3のいずれか1項に記載の吸収性物品。
本発明の樹脂としては、通気性が高い点でウレタン系樹脂が好適である。溶媒としては、包装シートに残留した場合にも人体への影響が少ないアルコール系あるいはエステル系の有機溶媒が好適である。アルコール系としてはイソプロピルアルコール、エステル系としては、酢酸エチル、酢酸n−ブチルが特に好ましい。
前記包装シートの、少なくとも吸収体の幅方向両側部に相当する部分には、前記インクで印刷されない部位が存在する請求項1〜4のいずれか1項に記載の吸収性物品。
消臭剤を含有するインクによる印刷部は、包装シート上の水分の拡散性を高めるために、広範囲に設けられることが望ましいが、しかし、全体に前記インクが塗布された状態では、吸収体周縁部まで水分の拡散が進み、特に幅方向からの漏れの原因となり得る。包装シートの少なくとも吸収体の幅方向両側部に相当する部分に印刷されない部分が存在することにより、拡散した水分はインクのない両側部から包装シートを介して吸収体に吸収され、漏れは防止される。
前記包装シートは不織布または紙からなり、且つ通気性を有するものである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の吸収性物品。
消臭シートのシート基材がこのような通気性シートであると、基材自体が臭気吸着により若干の消臭効果を発揮できるとともに、基材の表面積が大きく通気性があることから臭気と消臭剤との接触確率が向上する。
図1〜図8は、パンツ型使い捨ておむつの一例を示している。このパンツ型使い捨ておむつは、製品外面(裏面)をなす外装シート12と、外装シートの内面に貼り付けられた内装体200とから構成されているものである。内装体200は、尿等の排泄物等を吸収保持する部分であり、外装シート12は着用者に装着するための部分である。なお、断面図における点模様部分は各構成部材を接合する接合部分を示しており、ホットメルト接着剤などのベタ、ビード、カーテン、サミットまたはスパイラル塗布などにより形成されるものである。なお、「前後方向」とは腹側(前側)と背側(後側)を結ぶ方向を意味し、「幅方向」とは前後方向と直交する方向(左右方向)を意味し、「上下方向」とはおむつの装着状態、すなわちおむつの前身頃両側部と後身頃両側部を重ね合わせるようにおむつを股間部で2つに折った際に胴回り方向と直交する方向、換言すればウエスト開口部WO側と股間部側とを結ぶ方向を意味する。
内装体200は任意の形状を採ることができるが、図示の形態では長方形である。内装体200は、図3〜図5に示されるように、身体側となる表面シート30と、液不透過性シート11と、これらの間に介在された吸収要素50とを備えているものであり、吸収機能を担う本体部である。符号40は、表面シート30を透過した液を速やかに吸収要素50へ移行させるために、表面シート30と吸収要素50との間に設けられた中間シート(セカンドシート)を示しており、符号60は、内装体200の両脇に排泄物が漏れるのを防止するために、内装体200の両側に設けられた、身体側に起立するバリヤーカフス60を示している。
表面シート30は、液を透過する性質を有するものであり、例えば、有孔又は無孔の不織布や、多孔性プラスチックシートなどを例示することができる。また、このうち不織布は、その原料繊維が何であるかは、特に限定されない。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維などや、これらから二種以上が使用された混合繊維、複合繊維などを例示することができる。さらに、不織布は、どのような加工によって製造されたものであってもよい。加工方法としては、公知の方法、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等を例示することができる。例えば、柔軟性、ドレープ性を求めるのであれば、スパンボンド法、スパンレース法が、嵩高性、ソフト性を求めるのであれば、エアスルー法、ポイントボンド法、サーマルボンド法が、好ましい加工方法となる。
表面シート30を透過した液を速やかに吸収体へ移行させるために、表面シート30より液の透過速度が速い、中間シート(「セカンドシート」とも呼ばれている)40を設けることができる。この中間シート40は、液を速やかに吸収体へ移行させて吸収体による吸収性能を高めるばかりでなく、吸収した液の吸収体からの「逆戻り」現象を防止し、表面シート30上を常に乾燥した状態とすることができる。中間シート40は省略することもできる。
液不透過性シート11の素材は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂等からなるプラスチックフィルムや、不織布の表面にプラスチックフィルムを設けたラミネート不織布、プラスチックフィルムに不織布等を重ねて接合した積層シートなどを例示することができる。液不透過性シート11には、近年、ムレ防止の観点から好まれて使用されている不透液性かつ透湿性を有する素材を用いることが好ましい。透湿性を有するプラスチックフィルムとしては、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を混練して、シートを成形した後、一軸又は二軸方向に延伸して得られた微多孔性プラスチックフィルムが広く用いられている。このほかにも、マイクロデニール繊維を用いた不織布、熱や圧力をかけることで繊維の空隙を小さくすることによる防漏性強化、高吸水性樹脂または疎水性樹脂や撥水剤の塗工といった方法により、プラスチックフィルムを用いずに液不透過性としたシートも、液不透過性シート11として用いることができる。
バリヤーカフス60は、内装体200の両側部に沿って前後方向全体にわたり延在する帯状部材であり、表面シート30上を伝わって横方向に移動する尿や軟便を遮断し、横漏れを防止するために設けられているものである。本実施の形態のバリヤーカフス60は、内装体200の側部から起立するように設けられ、付け根側の部分は幅方向中央側に向かって斜めに起立し、中間部より先端側の部分は幅方向外側に向かって斜めに起立するものである。
吸収要素50は、吸収体56と、この吸収体56の全体を包む包装シート58とを有する。
吸収体56は、繊維の集合体により形成することができる。この繊維集合体としては、綿状パルプや合成繊維等の短繊維を積繊したものの他、セルロースアセテート等の合成繊維のトウ(繊維束)を必要に応じて開繊して得られるフィラメント集合体も使用できる。繊維目付けとしては、綿状パルプや短繊維を積繊する場合は、例えば100〜300g/m2程度とすることができ、フィラメント集合体の場合は、例えば30〜120g/m2程度とすることができる。合成繊維の場合の繊度は、例えば、1〜16dtex、好ましくは1〜10dtex、さらに好ましくは1〜5dtexである。フィラメント集合体の場合、フィラメントは、非捲縮繊維であってもよいが、捲縮繊維であるのが好ましい。捲縮繊維の捲縮度は、例えば、1インチ当たり5〜75個、好ましくは10〜50個、さらに好ましくは15〜50個程度とすることができる。また、均一に捲縮した捲縮繊維を用いる場合が多い。吸収体56中には高吸収性ポリマー粒子を分散保持させるのが好ましい。
吸収体56には、その一部又は全部に高吸収性ポリマー粒子を含有させることができる。高吸収性ポリマー粒子とは、「粒子」以外に「粉体」も含む。高吸収性ポリマー粒子の粒径は、この種の吸収性物品に使用されるものをそのまま使用でき、1000μm以下、特に150〜400μmのものが望ましい。高吸収性ポリマー粒子の材料としては、特に限定無く用いることができるが、吸水量が40g/g以上のものが好適である。高吸収性ポリマー粒子としては、でんぷん系、セルロース系や合成ポリマー系などのものがあり、でんぷん−アクリル酸(塩)グラフト共重合体、でんぷん−アクリロニトリル共重合体のケン化物、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの架橋物やアクリル酸(塩)重合体などのものを用いることができる。高吸収性ポリマー粒子の形状としては、通常用いられる粉粒体状のものが好適であるが、他の形状のものも用いることができる。
包装シート58の素材としては、ティッシュペーパ、特にクレープ紙、不織布、ポリラミ不織布、小孔が開いたシート等を用いることができる。ただし、高吸収性ポリマー粒子が抜け出ないシートであるのが望ましい。クレープ紙に換えて不織布を使用する場合、親水性のSMS不織布(SMS、SSMMS等)が特に好適であり、その材質はポリプロピレン、ポリエチレン/ポリプロピレン複合材などを使用できる。目付けは、10〜30g/m2、特に20g/m2程度のものが望ましい。
−OH+NH3 → −O-・・NH4 +
また、臭気成分メルカプタンは、金属を導入したイオン交換粒子の表面において、イオン化した金属にメルカプタンの硫黄が配位結合することにより捕捉される(2)。
−M+RSH → −M:S(R)H (Mは金属、Rは有機基である。)
陰イオン交換粒子は、酢酸等の酸性物質を捕捉することができる。
−OH+RCOOH → −OH2 +・・-OOCR
外装シート12は、股間部から腹側に延在する前身頃Fと、股間部から背側に延在する後身頃Bとを有し、これら前身頃Fの両側部と後身頃Bの両側部とが接合されて、図7及び図8に示すように、装着者の胴を通すための胴開口部WO及び脚を通すための左右一対の脚開口部LOが形成されているものである。符号12Aは接合部分を示している(以下、この部分をサイドシール部ともいう)。なお、股間部とは、展開状態における前身頃のウエスト端縁から後身頃のウエスト端縁までの前後方向中央を意味し、それよりも前側の部分及び後側の部分が前身頃F及び後身頃Bをそれぞれ意味する。
外装シート12の後身頃Bの外面における幅方向中央部には、後処理テープ70(固定手段)が設けられている。後処理テープ70は、おむつを表面シート30が内側に且つ前身頃Fが内側となるように丸め若しくは折り畳んだ状態で固定するためのものである。一般的な後処理テープ70は、図5に示すように、基端部71が外装シート12の外面に接着剤等により固定されるとともに、この基端部71よりも先端側の部分は三つ折り(断面Z字状)や二つ折りで折り畳まれて、折り重なり部分間が仮止め接着剤72により剥離可能に固定(仮固定)されている。また、先端部に白色等の不透明色に着色された摘み部73を有するとともに、この摘み部73を除く部分が透明または半透明であり、この後処理テープ70における透明または半透明の部分を通して、後処理テープ70の外面側から後述するデザインが視認可能になっている。具体的な構造は適宜構成することができるが、図示形態では、全体を透明又は半透明の複数の基材を長手方向に連結して形成するとともに、摘み部73に着色テープ74を張り合わせた構造を採用している。
液不透過性シート11と外装シート12との間(外装シート12の層間を含む)には、印刷によりデザインの施されたデザインシート25を設けることもできる。外装シート12を省略し、デザインシートシート25が外面に露出する形態とすることもできる。また、図示例のデザインシートシート25は、それが配置される身頃よりも小さい面積を有しており、前身頃F及び後身頃Bに個別に設けられているが、前身頃Fから股間部を通り後身頃Bまで一体的に連続するように設けることもできる。
上述の例では、前身頃Fから後身頃Bまでを一体的な外装シート12により連続的に覆っているが、外装シートが、装着者の胴回りのうち腹側を覆う腹側外装シートと背側を覆う背側外装シートとに分割されており、腹側外装シートの幅方向中央部内面に内装体の前端部がホットメルト接着剤等により連結されるとともに、背側外装シートの幅方向中央部内面に内装体の後端部がホットメルト接着剤等により連結されており、腹側外装シートと背側外装シートとが股間側で連続しておらず、離間されている形態も採用することができる。この離間距離は150〜250mm程度とすることができる。この場合、内装体における液不透過性シートの裏面には、内装体の裏面全体を覆うように、あるいは腹側外装シートと背側外装シートとの間に露出する部分全体を覆うように、股間部外装シートを固定することもできる。股間部外装シートとしては、前述した外装シートに用いられるものと同様の資材を用いることができる。股間部外装シートも本発明の外装シートに相当する。
Claims (6)
- 液透過性表面シートと、液不透過性シートと、これらの間に介在された吸収体と、吸収体を包む包装シートとを備えた吸収性物品であって、
前記包装シートが、乾燥状態よりも湿潤状態で消臭効果を奏する消臭剤、樹脂及び溶媒を主成分とするインクを用いて印刷された印刷部を有する、
ことを特徴とする吸収性物品。 - 前記包装シートのトップシート側の面に前記印刷部を有する請求項1に記載の吸収性物品。
- 前記消臭剤が、湿潤状態でイオン化し、そのイオンが臭気成分を捕捉することで効果を奏する化学的消臭剤である請求項1または2に記載の吸収性物品。
- 前記インクが、樹脂100重量部に対して、消臭剤5〜20部、有機溶媒30〜70重量部を含み、
前記樹脂はウレタン系樹脂であり、
前記溶媒はアルコール系あるいはエステル系の有機溶媒である請求項1〜3のいずれか1項に記載の吸収性物品。 - 前記包装シートの、少なくとも吸収体の幅方向両側部に相当する部分には、前記インクで印刷されない部位が存在する請求項1〜4のいずれか1項に記載の吸収性物品。
- 前記包装シートは不織布または紙からなり、且つ通気性を有するものである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の吸収性物品。
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