JP2019081988A - 機能性材料及びその利用 - Google Patents

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Abstract

【課題】アニオン性物質である銅錯体を吸着させることよって、高い抗ウイルス性を付与した新規な繊維を提供することである。【解決手段】機能性材料は、アニオン性物質である銅錯体が繊維(ただし、ハイドロタルサイトと繊維との複合繊維を除く。)の表面に吸着してなる。【選択図】なし

Description

本発明は、機能性材料及びその利用に関する。
消臭等の機能が付与された機能性材料は、その形態によらず、医療及び食品等の様々な分野において使用されている。
繊維は、その表面に無機材料を吸着させることによって、様々な特性を発揮させることができる。例えば、特許文献1では、ポリウレタン繊維等にハイドロタルサイト等の金属水酸化物を担持させた消臭性布帛が提案されている。
また、例えば、特許文献2及び3には、ハイドタルサイトを含有している消臭剤組成物が提案されている。
特開2012−144829号公報(2012年8月2日公開) 特開2015−193000号公報(2015年11月5日公開) 特開2013−085568号公報(2013年5月13日公開)
特許文献1〜3には、消臭性を有している機能性材料が報告されているが、繊維にアニオン性物質を吸着させることによって、さらなる機能を付与した新規な機能性材料は、様々な分野における用品を製造するための材料として有用である。
本発明はこのような事情に鑑みて成された発明であり、繊維にアニオン性物質を吸着させることによって、高い抗ウイルス性を付与した新規な機能性材料を提供することを目的とする。
本発明は、これに制限されるものでないが、以下の発明を包含する。
(1)アニオン性物質である銅錯体が繊維(ただし、ハイドロタルサイトと繊維との複合繊維を除く。)の表面に吸着してなる、機能性材料。
本発明の一態様によれば、繊維にアニオン性物質を吸着させることによって、高い抗ウイルス性を付与した新規な機能性材料を提供することができるという効果を奏する。
<機能性材料>
本発明の一態様に係る機能性材料は、繊維(ただし、ハイドロタルサイトと繊維との複合繊維を除く。)にアニオン性物質である銅錯体が吸着してなる機能性材料である。ここで、繊維とは、無機粒子と繊維との複合繊維を含まず、繊維のみからなることが好ましい。つまり、一態様に係る機能性材料は、基材である繊維がアニオン性物質を担持してなる機能性材料である。
〔アニオン性物質〕
一態様に係る機能性材料において、アニオン性物質とは、アニオン性の金属錯イオンを形成する塩化合物であり、このような塩化合物から生成されるアニオン性の金属錯イオン自身のことをアニオン性物質と称することもある。アニオン性物質には、銀、銅、及び亜鉛等の金属錯イオン及びその塩が挙げられ、ここで、金属錯イオンの配位子には、例えば、チオ硫酸イオン(S )、ヒドロキシド(OH)、及びシアニド(CN)等が挙げられる。すなわち、アニオン性の金属錯イオンとは、例えば、銀、銅、及び亜鉛等のチオスルファト錯体、ヒドロキシド錯体、及びシアニド錯体である。なかでも、金属錯イオンは、高い消臭性及び抗菌性を有していることから銀及び銅の錯体であることが好ましく、さらに、高い抗ウイルス性を有しているという観点から、アニオン性物質は、銅錯体であることがより好ましく、なかでも、銅のチオスルファト錯体であることがさらに好ましい。従って、本明細書中においてアニオン性物質とは、典型的には、銅のチオスルファト錯体のことを指す。
〔繊維〕
機能性材料に含まれる繊維は、例えば、セルロース繊維が好ましい。セルロース繊維の原料としては、パルプ繊維(木材パルプ、非木材パルプ)、バクテリアセルロース、ホヤ等の動物由来セルロース、藻類が例示され、木材パルプは、木材原料をパルプ化して製造すればよい。木材原料としては、アカマツ、クロマツ、トドマツ、エゾマツ、ベニマツ、カラマツ、モミ、ツガ、スギ、ヒノキ、カラマツ、シラベ、トウヒ、ヒバ、ダグラスファー、ヘムロック、ホワイトファー、スプルース、バルサムファー、シーダ、パイン、メルクシマツ、ラジアータパイン等の針葉樹、及びこれらの混合材、ブナ、カバ、ハンノキ、ナラ、タブ、シイ、シラカバ、ハコヤナギ、ポプラ、タモ、ドロヤナギ、ユーカリ、マングローブ、ラワン、アカシア等の広葉樹及びこれらの混合材が例示される。
木材原料をパルプ化する方法は、特に限定されず、製紙業界で一般に用いられるパルプ化法が例示される。木材パルプはパルプ化法により分類でき、例えば、クラフト法、サルファイト法、ソーダ法、ポリサルファイド法等の方法により蒸解した化学パルプ;リファイナー、グラインダー等の機械力によってパルプ化して得られる機械パルプ;薬品による前処理の後、機械力によるパルプ化を行って得られるセミケミカルパルプ;古紙パルプ;脱墨パルプ等が挙げられる。木材パルプは、未晒(漂白前)の状態であってもよいし、晒(漂白後)の状態であってもよい。
非木材由来の原料としては、綿、ヘンプ、サイザル麻、マニラ麻、亜麻、藁、竹、バガス、ケナフ、サトウキビ、トウモロコシ、稲わら、楮(こうぞ)、みつまた等が例示される。
また、パルプ繊維は、未叩解及び叩解のいずれでもよく、機能性材料の物性に応じて選択すればよいが、叩解を行う方が好ましい。また、セルロース原料はさらに処理を施すことで、微粉砕セルロース、酸化セルロース等の化学変性セルロースとして使用することもできる。
また、セルロース繊維の他にも様々な、天然繊維、化学繊維、再生繊維、合成繊維、半合繊維、無機繊維が挙げられる。天然繊維としては、例えば、ウール、絹糸、コラーゲン繊維等の蛋白系繊維、キチン・キトサン繊維、アルギン酸繊維等の複合糖鎖系繊維等が挙げられる。合成繊維としては、例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、アクリル繊維、半合繊維としてはレーヨン、リヨセル、アセテート等が挙げられる。無機繊維としては、ガラス繊維、炭素繊維、各種金属繊維等が挙げられる。
また、合成繊維とセルロース繊維との複合繊維も本発明の一態様において使用することができ、例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、アクリル繊維、ガラス繊維、炭素繊維、各種金属繊維等とセルロース繊維との複合繊維も使用することができる。
以上に示した例の中でも、木材パルプを含むか、若しくは、木材パルプと非木材パルプ及び/又は合成繊維との組み合わせを含むことが好ましく、木材パルプのみであることがより好ましい。また、繊維長が長く強度の向上に有利なことから、針葉樹クラフトパルプがさらに好ましい。
以上に例示した繊維については単独でも2種類以上の組み合わせで用いてもよい。なお、機能性材料は、パルプ繊維等の繊維を使用する態様において歩留剤等を含み得る。
また、繊維長は特に制限されないが、例えば、平均繊維長が0.1μm〜15mm程度とすることができ、1μm〜12mm、100μm〜10mm、500μm〜8mm等としてもよい。
本態様に係る機能性材料の坪量は、目的に応じて適宜調整できる。機能性材料の坪量は、例えば、例えば、10g/m以上、500g/m以下、好ましくは、20g/m以上、300g/m以下の坪量のものが挙げられる。
また、機能性材料は、0.01重量%以上、10重量%以下の範囲内の含有量にて、アニオン性物質を含んでいることがより好ましい。これにより、アニオン性物質に由来する機能を機能性材料に好適に付与することができる。
なお、機能性材料の機能の1つである抗ウイルス特性は、JIS L 1922:2016 繊維製品の抗ウイルス性試験方法にて評価するとよい。抗ウイルス性試験方法の評価方法及び、好ましい抗ウイルス活性値については、実施例にてより詳細に説明される。なお、抗ウイルス性とは、ウイルス表面のたんぱく質を変性させ得る又は構造に損傷を与え得る性能である。当該ウイルスとして、ネコカリシウイルス、ノロウイルス又はインフルエンザウイルスが挙げられる。
また、一態様に係る機能性材料は、アニオン性物質を繊維の表面に吸着していることにより、抗ウイルス性以外の機能である抗菌性及び消臭性等の機能を有している。
<機能性材料の製造方法>
本発明の一態様に係る機能性材料の製造方法では、無機粒子を合成しないようにして、スラリーに含まれる繊維の表面にアニオン性物質を吸着させる。
スラリーの製造において、当該スラリーに含まれる繊維は、未叩解及び叩解のいずれでもよく、機能性材料の物性に応じて選択すればよいが、叩解を行う方が好ましい。これにより、繊維の強度の向上及びカチオン性物質の定着促進が期待できる。また、繊維を叩解することにより、シート状の機能性材料とする態様において、そのBET比表面積の向上効果が期待できる。
例えば、公知の叩解機を用いて繊維を機械的(力学的)に処理することが挙げられる。叩解機としては、パルプ繊維を叩解する場合に通常使用される叩解機を使用することができ、例えば、ナイアガラビーター、PFIミル、ディスクリファイナー、コニカルリファイナー、ボールミル、石臼型ミル、サンドグラインダーミル、インパクトミル、高圧ホモジナイザー、低圧ホモジナイザー、ダイノーミル、超音波ミル、カンダグラインダ、アトライタ、振動ミル、カッターミル、ジェットミル、離解機、家庭用ジューサーミキサー、乳鉢である。中でも、ナイアガラビーターやディスクリファイナー、コニカルリファイナーを好適に用いることができる。
例えば、スラリーに含まれる繊維の濾水度は、限定されるものではないが、上限値が600mL以下である。繊維の濾水度が600mL以下であれば、繊維に対してアニオン性物質を吸着させることができ、アニオン性物質に由来する機能を好適に付与することができる。濾水度の下限値は、10mL以上であり、さらに好ましくは200mL以上である。また、繊維の濾水度が250mL以上であれば、連続抄紙の操業性が良好である。尚、パルプ繊維の叩解の程度はJIS P 8121−2:2012に規定されるカナダ標準濾水度(Canadian Standard freeness:CSF)によって表わすことができる。叩解が進むにつれてパルプ繊維の水切れ状態が低下し、濾水度は低くなる。
スラリーを調製するための水としては、通常の水道水、工業用水、地下水、井戸水等を用いることができる他、イオン交換水や蒸留水、超純水、工業廃水、製造工程中に得られる水を好適に用いることができる。
叩解は、バッチ式で行ってもよく、連続式で行ってもよい。好ましい一態様において、繊維を含むスラリーを流動させながら連続式で叩解する。これにより、繊維の叩解を効率よく行うことができる。
スラリーに含まれる繊維の含有量は、限定されるものではないが、0.1重量%〜30重量%として叩解処理することが好ましく、スラリー中の繊維の濃度を0.3重量%〜25重量%として処理することがより好ましく、0.5重量%〜20重量%として処理することがさらに好ましい。
アニオン性物質は、水溶液として繊維を含むスラリーに添加される。アニオン性物質としてチオスルファト錯体溶液を用いる場合、金属塩の溶液と、チオ硫酸塩の溶液とを混合することによって、金属のチオスルファト錯体溶液を形成する。金属塩は、銀塩、銅塩、及び亜鉛塩等並びにこれらの水和物を挙げることができ、塩化銅、硫酸銅、及び硝酸銅等を使用することができる。
チオ硫酸塩は、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸カリウム、チオ硫酸カルシウム、チオ硫酸アンモニウム等、及びこれらの水和物を使用することができるが、より好ましくは、チオ硫酸ナトリウム(通称、ハイポ)である。
スラリーに含まれる繊維へのアニオン性物質の吸着は、20℃〜60℃の範囲内の温度にて行なうとよい。これにより、アニオン性物質を歩留よく繊維の表面に吸着させることができる。また、繊維へのアニオン性物質の吸着は、1時間〜12時間の範囲内で行うとよい。
なお、アニオン性物質を吸着した繊維のスラリーには、抄紙を妨げない限りにおいて、その後の工程において、適宜、表面にアニオン性物質が吸着していない繊維、歩留剤、繊維と複合化していない無機粒子、有機粒子及びその他の添加剤等を配合してもよい。
(i)表面にアニオン性物質が吸着していない繊維
スラリー中には、上述のアニオン性物質が吸着していない繊維が含まれていてもよい。当該繊維は、長さ加重平均繊維長が1.0mm以上、2.0mm以下であるものが好ましい。スラリーにおける、長さ加重平均繊維長が1.0mm以上、2.0mm以下である繊維を更に含むことによって、機能性材料の紙力を向上させることができる。
(ii)歩留剤
スラリーには、填料の繊維への定着を促したり、填料及び繊維の歩留を向上させたりするために、歩留剤を添加することもできる。例えば、歩留剤として、カチオン性又はアニオン性、両性ポリアクリルアミド系物質を用いることができる。また、これらに加えて少なくとも一種以上のカチオンやアニオン性のポリマーを併用する、いわゆるデュアルポリマーと呼ばれる歩留りシステムを適用することもでき、少なくとも一種類以上のアニオン性のベントナイトやコロイダルシリカ、ポリ珪酸、ポリ珪酸もしくはポリ珪酸塩ミクロゲル及びこれらのアルミニウム改質物等の無機微粒子や、アクリルアミドが架橋重合したいわゆるマイクロポリマーといわれる粒径100μm以下の有機系の微粒子を一種以上併用する多成分歩留りシステムであってもよい。特に単独又は組合せで使用するポリアクリルアミド系物質が、極限粘度法による重量平均分子量が200万ダルトン以上である場合、良好な歩留りを得ることができ、好ましくは、500万ダルトン以上であり、更に好ましくは1000万ダルトン以上、3000万ダルトン未満の前記アクリルアミド系物質である場合に非常に高い歩留りを得ることが出来る。このポリアクリルアミド系物質の形態はエマルジョン型でも溶液型であっても構わない。この具体的な組成としては、該物質中にアクリルアミドモノマーユニットを構造単位として含むものであれば特に限定はないが、例えば、アクリル酸エステルの4級アンモニウム塩とアクリルアミドとの共重合物、あるいはアクリルアミドとアクリル酸エステルを共重合させた後、4級化したアンモニウム塩が挙げられる。該カチオン性ポリアクリルアミド系物質のカチオン電荷密度は特には限定されない。
歩留剤は、スラリー中の繊維の全重量に対して、好ましくは0.001重量%〜0.1重量%、より好ましくは0.005重量%〜0.05重量%の量で添加することができる。
(iii)繊維と複合化していない無機粒子
繊維のスラリーには、当該繊維と複合化していない無機粒子を更に添加することができる。このような無機粒子は、複合繊維を構成している無機粒子のように水素結合等によってセルロース繊維と結着せず、繊維と混在している点で区別される。繊維と複合化していない無機粒子(以下、「非複合化無機粒子」という。)の種類は、目的に応じて適宜選択すればよく、一般に無機填料と呼ばれる粒子を選択することができる。無機填料としては上述した無機粒子の他に、金属単体、白土、ベントナイト、珪藻土、クレー(カオリン、焼成カオリン、デラミカオリン)、タルク、脱墨工程から得られる灰分を再生して利用する無機填料及び再生する過程でシリカ又は炭酸カルシウムと複合物を形成した無機填料等が挙げられる。これらは単独でも2種類以上の組み合わせで用いてもよい。
非複合化無機粒子を添加する場合、繊維と非複合化無機粒子との重量比は、適宜設定すればよく、例えば、99.5/0.5〜70/30が好ましい。少量の添加で効果が得られるものもあれば、用途によっては多量に添加が必要なものがある。また、添加量を30%以下とすることで良好に歩留りする。
シート化の際においてスラリーには、有機粒子を添加してもよい。有機粒子とは有機化合物を粒子状にしたものである。有機粒子としては、例えば、難燃性を高めるための有機系の難燃材料(リン酸系、ホウ素系等)、尿素−ホルマリン樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂、微小中空粒子、アクリルアミド複合繊維、木材由来の物質(微細繊維、ミクロフィブリル繊維、粉体ケナフ)、印刷適性を向上させるための変性不溶化デンプン、未糊化デンプン、ラテックス等が挙げられる。これらは単独でも2種類以上の組み合わせで用いてもよい。
有機粒子を添加する場合、スラリー中の繊維と有機粒子との重量比は、適宜設定すればよく、例えば、99.5/0.5〜70/30が好ましい。また、添加量を30%以下とすることで良好に歩留りする。
(iv)その他の添加剤
スラリーには、その他の添加剤として、湿潤及び/又は乾燥紙力剤(紙力増強剤)を添加することができる。これにより、機能性材料の強度を向上させることができる。紙力剤としては例えば、尿素ホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ポリアミド、ポリアミン、エピクロロヒドリン樹脂、植物性ガム、ラテックス、ポリエチレンイミン、グリオキサール、ガム、マンノガラクタンポリエチレンイミン、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルアミン、ポリビニルアルコール等の樹脂;前記樹脂から選ばれる2種以上からなる複合ポリマー又は共重合ポリマー;澱粉及び加工澱粉;カルボキシメチルセルロース、グアーガム、尿素樹脂等が挙げられる。紙力剤の添加量は特に限定されない。
その他、目的に応じて、濾水性向上剤、内添サイズ剤、pH調整剤、消泡剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤等が挙げられる。各添加剤の使用量は特に限定されない。
〔3:機能性材料の成形〕
本態様に係る機能性材料は、適宜、成形物(体)を製造することも可能である。シート製造に用いる抄紙機(抄造機)としては、例えば長網抄紙機、丸網抄紙機、ギャップフォーマ、ハイブリッドフォーマ、多層抄紙機、又はこれらの機器の抄紙方式を組合せた公知の抄造機等が挙げられる。抄紙機におけるプレス線圧、後段でカレンダー処理を行う場合のカレンダー線圧は、いずれも操業性及び/又はシートの性能に支障を来さない範囲内で定めることができる。また、形成されたシートに対して含浸又は塗布により、澱粉、各種ポリマー、顔料及びそれらの混合物を付与しても良い。
シート化以外の成形法を用いることも可能であり、例えば、パルプモールドと呼ばれるように鋳型に原料を流し込んで吸引脱水・乾燥させる方法や、樹脂や金属等の成形物の表面に塗り広げて乾燥後、基材から剥離する方法等によって、種々の形状を有する成形物を得ることができる。また、樹脂を混ぜてプラスチック様に成形することもできるし、シリカやアルミナ等の鉱物を添加し、焼成することでセラミック様に成形することもできる。以上に示した配合・乾燥・成形において、1種類の複合体のみを用いることもできるし、2種類以上の複合体を混合して用いることもできる。2種類以上の複合体を用いる場合は、予めそれらを混合したものを用いることもできるし、それぞれを配合・乾燥・成形したものを後から混合することもできる。
<衛生用品>
本発明によって得られた機能性材料は、様々な、衛生用品に使用することができる。衛生用品としては、限定されるものではないが、使い捨ておむつ、生理用ナプキン、失禁者用パッド、及び母乳パッド等の衛生用品、並びに不純物除去、消臭、除湿等の吸着剤として好適に使用することができる。また、脂取り紙等の化粧紙、並びに、トイレットペーパー、ティッシュペーパー、ワイパー、おむつ、生理用品、シーツ、マクラカバー、携帯トイレ、マスク、ウェットティッシュ、及び医療用品の包装紙等の衛生紙等に抗ウイルス性を付与した各種抗ウイルス用衛生用品として、特に好ましく使用することができる。
(その他の用途)
また、機能性材料は、種々の用途に用いることができ、例えば、紙、繊維、不織布、セルロース系複合材料、フィルター材料、塗料、プラスチック及びその他の樹脂、ゴム、エラストマー、セラミック、ガラス、金属、タイヤ、建築材料(アスファルト、アスベスト、セメント、ボード、コンクリート、れんが、タイル、合板、繊維板等)、各種担体(触媒担体、医薬担体、農薬担体、微生物担体等)、しわ防止剤、粘土、研磨材、改質剤、補修材、断熱材、防湿材、撥水材、耐水材、遮光材、シーラント、シールド材、防虫剤、接着剤、インキ、化粧料、医用材料、ペースト材料、食品添加剤、錠剤賦形剤、分散剤、保形剤、保水剤、濾過助材、精油材、油処理剤、油改質剤、電波吸収材、絶縁材、遮音材、防振材、半導体封止材、放射線遮断材、化粧品、肥料、飼料、香料、塗料・接着剤・樹脂用添加剤、変色防止剤、導電材、伝熱材等のあらゆる用途に広く使用することができる。また、前記用途における各種充填剤、コーティング剤等に用いることができる。
本発明の機能性材料は、製紙用途に適用してもよく、抗ウイルス性を付与した各種抗ウイルス用紙として、好ましく使用することができる。例えば、印刷用紙、新聞紙、インクジェット用紙、PPC用紙、クラフト紙、上質紙、コート紙、微塗工紙、包装紙、薄葉紙、色上質紙、キャストコート紙、ノンカーボン紙、ラベル用紙、感熱紙、各種ファンシーペーパー、水溶紙、剥離紙、工程紙、壁紙用原紙、不燃紙、難燃紙、積層板原紙、プリンテッドエレクトロニクス用紙、バッテリー用セパレータ、クッション紙、トレーシングペーパー、含浸紙、ODP用紙、建材用紙、化粧材用紙、封筒用紙、テープ用紙、熱交換用紙、化繊紙、減菌紙、耐水紙、耐油紙、耐熱紙、光触媒紙、たばこ用紙、板紙(ライナー、中芯原紙、白板紙等)、紙皿原紙、カップ原紙、ベーキング用紙、研磨紙、合成紙等が挙げられる。
〔まとめ〕
本発明は、これに制限されるものではないが、以下の発明を包含する。
(1)アニオン性物質である銅錯体が繊維(ただし、ハイドロタルサイトと繊維との複合繊維を除く。)の表面に吸着してなる、機能性材料の表面に吸着してなる、機能性材料。
(2)前記銅錯体が、銅のチオスルファト錯体である、(1)に記載の機能性材料。
(3)前記繊維が、化学繊維、再生繊維又は天然繊維である、(1)又は(2)に記載の機能性材料。
(4)前記繊維がセルロース繊維である、(3)に記載の機能性材料。
(5)(3)又は(4)に記載の機能性材料を含む、衛生用品。
(6)(3)又は(4)に記載の機能性材料を含む、抗ウイルス用衛生製品。
(7)繊維(ただし、ハイドロタルサイトと繊維との複合繊維を除く。)のスラリーに、アニオン性物質である銅錯体を含む溶液を添加することを含む、機能性材料の製造方法。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
〔実施例1:機能性材料の製造〕
(1)スラリーの調製
まず、銅を吸着させるための繊維のスラリーを調製した。繊維として、セルロース繊維を使用した。具体的には、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP、日本製紙製)と針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP、日本製紙製)を8:2の重量比で含み、シングルディスクリファイナー(SDR)を用いてカナダ標準濾水度を390mlに調整したパルプ繊維を用いた(サンプル1)。
(2)銅チオスルファト錯体溶液による表面処理
塩化銅を溶解し、その溶液とチオ硫酸ナトリウム五水和物の溶液を混合し、銅のチオスルファト錯体溶液を調製した。この銅のチオスルファト錯体溶液を、サンプル1のスラリー(濃度1.5%)に対し、固形分当たり銅が0.8〜2.0%になるように添加し、3時間、20℃〜60℃の条件で撹拌した(サンプル2)。
(3)塩化銅溶液による表面処理
塩化銅を水に溶解し0.1Mの塩化銅溶液を調製した。この塩化銅溶液を、サンプル1のスラリー(濃度1.5%)に対し、固形分当たり銅が2.0%になるように添加し、3時間、20℃〜60℃の条件で撹拌した。
〔実施例2:マットの製造〕
続いて、JIS P 8222に基づいて、製造したサンプル(サンプル1及び2)からマットを製造した(坪量:約100g/m)。具体的には、繊維のスラリー(濃度:約0.5%)をろ紙(JIS P3801、定量分析用、5種B)を用いてろ過し、得られたサンプルを1MPaで5分間圧力をかけて脱水した後、50℃で2時間緊張乾燥させて、機能性材料マットを製造した。
〔実施例3:抗ウイルス試験〕
製造した機能性材料マットについて、抗ウイルス特性を評価した。抗ウイルス性試験は、JIS L 1922:2016 繊維製品の抗ウイルス性試験方法にて実施した。試験に供した複合体マットの重さは0.4g、対照試料には標準綿布を用いた。試験ウイルス種としてネコカリシウイルス(Feline calicivirus;Strain:F−9 ATCC VR−782)を使用した。試験手順を以下に示す。
1.試験片0.4gをバイアル瓶に入れ、試験ウイルス液0.2mlを滴下後、バイアル瓶のふたをする。
2.バイアル瓶を25℃で2時間静置する。
3.洗い出し液20mlを加えて試験片からウイルスを洗い出し、プラーク測定法により感染価を算出する。
4.次の式によって抗ウイルス活性値(Mv)を計算する。なお、JISでは抗ウイルス効果を、Mv≧2.0で効果が有り、Mv≧3.0で十分に効果があると定められている。
抗ウイルス活性値(Mv) = Log(Vb)−Log(Vc)
Mv:抗ウイルス活性値
Log(Vb): 対照試料の2時間作用後の3検体の感染価常用対数(3検体の平均値)
Log(Vc): 抗ウイルス試料の2時間作用後の3検体の感染価常用対数(3検体の平均値)
Figure 2019081988
〔効果の確認〕
表1に示すように、銅チオスルファト錯体を用いたサンプル2は、塩化銅を用いたサンプル3よりも、高い抗ウイルス活性値を有していることを確認した。また、サンプル3も、サンプル2ほどではないが、十分な抗ウイルス活性値を有していることを確認した。
本発明の一態様は、例えば、機能性材料として利用することができる。

Claims (7)

  1. アニオン性物質である銅錯体が繊維(ただし、ハイドロタルサイトと繊維との複合繊維を除く。)の表面に吸着してなる、機能性材料。
  2. 前記銅錯体が、銅のチオスルファト錯体である、請求項1に記載の機能性材料。
  3. 前記繊維が、化学繊維、再生繊維又は天然繊維である、請求項1又は2に記載の機能性材料。
  4. 前記繊維がセルロース繊維である、請求項3に記載の機能性材料。
  5. 請求項3又は4に記載の機能性材料を含む、衛生用品。
  6. 請求項3又は4に記載の機能性材料を含む、抗ウイルス用衛生用品。
  7. 繊維(ただし、ハイドロタルサイトと繊維との複合繊維を除く。)のスラリーに、アニオン性物質である銅錯体を含む溶液を添加することを含む、機能性材料の製造方法。
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